説明

有機塩素系化合物で汚染された物質の浄化方法および装置

【要 約】
【課 題】ダイオキシン類等の有機塩素系化合物によって汚染された土壌や灰等の汚染物質を浄化する方法および装置を提供する。
【解決手段】反応鉄材17を内蔵する分解槽2内に、有機塩素系化合物に汚染された物質pと、少なくとも嫌気性微生物cとを導入し、前記分解槽2内を嫌気的条件に調整して前記嫌気性微生物cの増殖と代謝とを行わせることにより前記有機塩素系化合物pを還元分解して浄化する有機塩素系化合物で汚染された物質の浄化方法。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、有機塩素系化合物で汚染された物質の浄化方法および装置、より詳しくはダイオキシン類等の有機塩素系化合物によって汚染された土壌や灰等の汚染物質を浄化する方法および装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、環境問題の一つとして、ダイオキシン類等の有機塩素系化合物(以下
有機塩素系化合物という)で汚染された土壌や灰等の汚染物質を浄化することが実施されている。その方法として、溶融法、熱分解法、超臨界抽出法や生物的方法が提案されている。このうち、比較的広範囲で低濃度の汚染物質の浄化や環境修復には、経済性および技術面から生物的方法が好ましいとされている。
【0003】
この生物的方法は、例えば、特開平10−34128号公報(以下特許文献1という)や本件特許出願人が先に出願している特開2003―164849号(以下特許文献2という)に示されるように、嫌気性微生物と好気性微生物とを汚染物質に混合し、この汚染物質を嫌気的条件において嫌気性微生物を増殖と代謝活動を行わせることにより、2〜8塩素化ダイオキシン類を還元分解、すなわち還元的脱塩素化し、そして、好気的条件の基において好気性微生物を増殖と代謝活動を行わせることにより、1〜3塩素化ダイオキシン類を酸化分解するものである。
【0004】
そして、この汚染物質を嫌気的条件と好気的条件に置くことを交互に繰り返しながらダイオキシン類等を還元分解および酸化分解させることにより有機塩素系化合物で汚染された土壌や灰等の汚染物質を浄化するようにしたものである。
【特許文献1】特開平10−34128号公報
【特許文献2】特開2003−164849号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ところで、前記従来の生物的方法により有機塩素系化合物で汚染された物質を浄化する方法においては、その浄化に長時間を要したり、または特別な装置が必要になるなど効率的な汚染物質の浄化ができないという問題があった。
【0006】
具体的には、汚染された物質を嫌気的条件(O2 が1%以下程度)と好気的条件(空気レベルのO2 含有量程度)とに相互に繰返して置くこととなっているが、この場合、特に嫌気的条件とするために、一定時間静置する(6〜12時間)こと、または脱気(O2 が1%以下程度の存在)することとされている(特許文献2)。
【0007】
そのため、一定時間静置して所定の嫌気条件とするのには長時間を必要とし、また、脱気により嫌気条件とするためには、特別の排気装置(例えば、真空ポンプ、排気ブロック)等が必要になるなどの問題がある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明は、前記従来の問題点を解決するためになされたものであって、次のように構成されている。
【0009】
1)請求項1に記載の発明は、反応鉄材を内蔵する分解槽内に、ダイオキシン等の有機塩素系化合物(以下、有機塩素系化合物)に汚染された土壌と、少なくとも嫌気性微生物を含んだコンポスト又は土壌とを導入し、前記分解槽内を嫌気的条件に調整して、前記嫌気性微生物の増殖と代謝とを行わせることにより前記有機塩素系化合物を還元分解して浄化することを特徴としている。
【0010】
このような有機塩素系化合物で汚染された物質の浄化方法によれば、分解槽内に存在する酸素により反応鉄材の表面に積極的に酸化皮膜を形成させることにより酸素を除去するものであり、極めて容易に嫌気的条件を形成することができるのである。
【0011】
2)また、請求項2に記載の発明は、反応鉄材を内蔵する分解槽内に導入された有機塩素系化合物に汚染された物質と嫌気性微生物とを攪拌することを特徴としている。
【0012】
かかる有機塩素系化合物で汚染された物質の浄化方法によれば、分解槽内に存在する酸素を反応鉄材の表面に積極的に酸化皮膜を形成することによって除去することができる。また、分解槽内を容易に嫌気的条件を形成できるとともに攪拌により嫌気性微生物の増殖と代謝が促進されるため、より効果的な有機塩素系化合物で汚染された物質の浄化が可能となるのである。
【0013】
3)更に、請求項3に記載の発明は、有機塩素系化合物で汚染された物質と嫌気性微生物および好気性微生物を第一の分解槽に導入し、この第一分解槽内を好気的条件として前記好気性微生物の増殖と代謝とを行わせることにより前記有機塩素系化合物の一部を酸化分解させることができ、更に、この有機塩素系化合物の一部が酸化分解された物質を反応鉄材が内蔵された第二の分解槽に導入し、この第二の分解槽内を嫌気的条件となるように調整して前記嫌気性微生物の増殖と代謝とを行わせることにより、残留する有機塩素系化合物を還元分解して浄化することを特徴としている。
【0014】
このような有機塩素系化合物で汚染された物質の浄化方法によれば、第一の分解槽で有機塩素系化合物の一部が酸化分解され、そして、第二の分解槽で残る有機塩素系化合物が還元分解されるため、広範囲な有機塩素系化合物の分解ができる。そのため、有機塩素系化合物で汚染された物質の浄化を十分に行うことができる。
【0015】
4)請求項4に記載の発明は、本体内に攪拌翼を配置するとともに反応鉄材を内蔵する分解槽と、前記攪拌翼の回転駆動装置と、有機塩素系化合物に汚染された物質と嫌気性微生物とを前記分解槽内に供給する処理物供給装置とからなる有機塩素系化合物で汚染された物質の浄化装置である。
【0016】
このような構成による有機塩素系化合物で汚染された物質の浄化装置によれば、分解槽内を容易に嫌気的条件とすることができるとともに嫌気性微生物の増殖と代謝が促進されるため、有機塩素系化合物で汚染された物質の浄化を効率よく行うことができる。
【0017】
5)請求項5に記載の発明は、攪拌翼の少なくとも一部を多孔質構造となし、該攪拌翼内に反応鉄材を収納したことを特徴としている。
【0018】
このように構成された有機塩素系化合物で汚染された物質の浄化装置によれば、反応鉄材と汚染物質とか混合することがなくなるため、処理後の分離作業が必要なくなる。しかも、多孔質、好ましくはメッシュ構造を通して攪拌翼の内部に通気するため嫌気的条件の形成に支障はない。
【0019】
6)請求項6に記載の発明は、パドル型の攪拌翼であって該攪拌翼の回転方向の後側に多孔質板を配置したことを特徴としている。
【0020】
このように構成された有機塩素系化合物で汚染された物質の浄化装置によれば汚染物質が多孔板構造、好ましくはメッシュ材を通して攪拌翼内に侵入することがなくなるため、分解槽内を容易にかつ効果的に嫌気的条件とすることができる。
【0021】
7)請求項7に記載の発明は、反応鉄材が粒状に形成されている有機塩素系化合物で汚染された物質の浄化装置である。
【0022】
このように構成された有機塩素系化合物で汚染された物質の浄化装置によれば、反応鉄材の表面積が大となり嫌気的条件を短時間に形成することができるばかりでなく、例えば、多孔質板で閉止されている構造体の空間に反応鉄材を収納することで汚染物質との混合を避けることができるため、より効果的な有機塩素系化合物で汚染された物質の浄化が可能となる。
【0023】
8)更に、請求項8に記載の発明は、本体内にそれぞれ攪拌翼を有する第一の分解槽および第二の分解槽と、前記攪拌翼をそれぞれ回転させる第一の駆動装置と第二の駆動装置と、前記第一の分解槽内に有機塩素系化合物に汚染された物質と嫌気性微生物および好気性微生物と供給する第一の処理物供給装置と、
前記第一の分解槽から排出される処理物を第二の分解槽に供給する第二の処理物供給装置からなり、前記第二の分解槽に鉄基材を内装させるとともに前記第一の分解槽の排出口と前記第二の分解槽の投入口とを連通させるように構成したことを特徴とする有機塩素系化合物で汚染された物質の浄化装置である。
【0024】
このように構成された有機塩素系化合物で汚染された物質の浄化装置によれば、第一の分解槽で有機塩素系化合物の一部が酸化分解され、そして、第二の分解槽で残る有機塩素系化合物が還元分解されるため、広範囲な有機塩素系化合物の分解ができるばかりでなく、第二分解槽内を簡単にかつ短時間に嫌気的条件に形成することができる。
【発明の効果】
【0025】
以上の説明から明らかなように、本発明による有機塩素系化合物で汚染された物質の浄化方法および装置によれば、生物的方法により有機塩素系化合物を分解する場合において、反応鉄材の強力な酸化反応作用により、分解槽内を短時間にかつ容易に酸素が不足する嫌気的条件とすることができるという効果を奏する。
【発明を実施するための最良の形態】
【0026】
以下、本発明を図面を参照して実施形態について説明する。
【0027】
図1は、本発明による有機塩素系化合物で汚染された物質の浄化方法を実施するために用いられる分解槽の概略側断面図であって、1は、分解槽2の本体であり、この分解槽2には投入口3および排出口4が前後に設けられると共にこの投入口3と排出口4とには2個の弁体を協働させてシール作用を行う多重弁5、6が配置されている。
【0028】
そして、この分解槽2内には、減速器付モータの如き駆動装置7により回転されるパドル型の攪拌機8が配置されている。9は、処理材供給装置であるスクリューコンベアであり、20は加熱器、21は水供給用配管、22は水噴出ノズルである。
【0029】
パドル型の攪拌機8を構成する攪拌翼10は、図2に示すように回転軸11に一端が固着された二本の縦部材12a、12bと、この縦部材12a、12bの先端に取り付けられ、かつ本体1の内壁に沿って回転する横部材13を門形に構成している。各縦部材12a、12bと横部材13は、特に図3に示すように回転方向Mである前側は、その断面において角αを有する山形材14を使用し、その後面側をステンレス等よりなる多孔板やメッシュ板15を配置して空間構造に形成されている。
【0030】
そして、この山形材14と多孔板やメッシュ材15とにより形成された空間部16内には反応鉄材17が充填されている。この反応鉄材17の形状は特に限定されるものではないが、例えば、2〜7mmの粒状体あるいは焼結金属などの多孔質金属を使用して表面積を多く取ると共に3〜7mesh多孔板あるいはメッシュのメッシュ材15の網目より大径とするのが良い。
【0031】
この反応鉄材17は、分解槽内で回転しながら汚染土壌と積極的に接触するので、内部の雰囲気や汚染土壌を効率的に酸化作用させて嫌気性微生物が活動し易い嫌気的条件とすることができる。
【0032】
このようにして、分解槽2と駆動装置7と処理物供給装置であるスクリューコンベア9とによって有機塩素系化合物で汚染された物質pの浄化装置Aが構成されている。
【0033】
ここで「嫌気性微生物と好気性微生物」を例示すると下記の通りである。
ダイオキシン類に対する分解能を有する嫌気性微生物あるいは好気性微生物としては、単一種に限らず、複数の種や菌株を含む微生物群も用いることができる。これらの微生物は、ダイオキシン類汚染物質などから既知のスクリーニング方法により採取することができるので、それを培養して種菌として使用できる。
【0034】
また、本発明に適合する範囲で、ダイオキシン類等に対する分解活性を持つことが知られている公知の微生物種、菌株、菌群等を使用することができる。
【0035】
ダイオキシン類に対する分解能を有する嫌気性微生物の代表的な例としては、メタノバクテリウム(Methanobacterium)属、メタノサルシナ(Methanosarcina)
属、メタノロブス(Methanolobus)属などの嫌気性古細菌、アセトバクテリウム(Acetobacterium)属、デスルフォバクテリウム(Desulfobacterium)属、デスフォモニル(Desulfomonile)属、デハロスピリルム(Dehalosplillum)属、デハロバクター(Dehalobacter)属、デハロバクテリウム(Dehalobacterium)属、デハロコッコイデス(Dehalocuccoides)属、クロストリジウム(Clostridium)属等の嫌気性細菌のほか、シトロバクター(Citrobacter)属、エシェリキア(Escherichia)属、エンテロバクター(Enterobacter)属、セラチア(Serratia)属、プロテウス(Proteus)属、シュワネラ(Shewanella)属、スタフィロコッカス(Staphylococcus)属等の通性嫌気性細菌を挙げることができる。
【0036】
また、ダイオキシン類に対する分解能を有する嫌気性微生物の代表的な例としては、スフィンゴモナス(Sphingomonas)属、バークホリデリア(Burkholderia)属、ラルストニア(Ralstonia)属、シュードモナス(pseudomonas)属、ノカルジオイデス(Nocardioides)属、ロドコッカス(Rhodococcus)属、テラバクター(Terrabacter)属等を挙げることができる。
【0037】
かかる構成による有機塩素系化合物で汚染された物質の浄化装置Aにおいて、汚染物質pと嫌気性微生物mとは、予め混合・調整されてスクリューコンベア9により投入口3から分解槽2内に導入される。
【0038】
このとき分解槽2内は投入口3および排出口4が多重弁5、6を閉止してそれぞれシールされており、攪拌翼10を構成している反応鉄材17の表面に酸化膜が形成されることにより、その内部は嫌気的条件が形成されている。もちろん、この嫌気的条件を良好にするための加熱器20による温度や水供給配管21からの水分またはpH等が調整されている。
【0039】
このようにして、嫌気的条件が形成されている分解槽2内に導入された汚染物質pと嫌気性微生物mとは攪拌機8により緩速で攪拌される。そして、嫌気性微生物mが活発に増殖し,かつ代謝することとなり、その結果、2〜8塩素化ダイオキシン類を還元分解することができる。
【0040】
前記実施例においては、反応鉄材17として直径5mm程度の鉄粉を使用し、これを攪拌翼10内に充填する構造を採用しているが、ここで重要なことは、酸化性材料からなる反応鉄材17を用いて積極的に処理物や雰囲気を酸化させてO2を消費させて系内を嫌気的条件を形成させるという点にある。
【0041】
したがって、この反応鉄材17は、必要により分解槽2の内壁面を構成しても良いし、また汚染物質pとの分離を考慮して多孔質部材より形成された球体内に充填して分解槽2に内蔵させるようにするなど,種々変更することが考えられる。
【0042】
図4は、他の実施例を示すものであって、第二の分解槽32(図1の符号2に相当)の上流側に第一の分解槽31を配置したものである。
この第一の分解槽31内には第一の駆動装置33によって回転される攪拌機34が内装されると共に、一方の端部の上方に投入口35が、他方の端部の下方に排出口36とがそれぞれ設けられ、これらの投入口35と排出口36には多重弁42と43が設けられている。
【0043】
そしてこの分解槽32の排出側の下部は壁面37で仕切られており、この第一の分解槽31内で処理された汚染物質pは、この壁面37の上部に開口された排出口38より、排出口36に連通する水分調整室39に供給されるようになっている。この水分調整室39には水分調整ノズル40により水分が必要に応じて添加されるように構成されている。
【0044】
この水分調整室39で必要とする水分に調整された第一段処理の汚染土壌は連結管44を経由して第二の分解槽32に供給されて嫌気的条件の基に処理されるようになっている。
【0045】
この第二の分解槽32は、前記実施例における分解槽2と同様に反応鉄材17を内蔵(図3参照)するとともに、第二の駆動装置45により回転する攪拌機46を内装している。
【0046】
スクリューコンベア等の処理物供給装置46によって汚染土壌pと嫌気性部生物と好気性微生物からなる微生物mが弟一の分解槽31に所定量ずつ供給されるようになっている。
【0047】
そして、この第一の分解槽31、第二の分解槽32、第一の駆動装置33、第二の駆動装置45、第一の処理物供給装置46および第二の処理物供給装置に相当する排出口36により有機塩素系化合物で汚染された物質の浄化装置Bが構成されている。
【0048】
かかる構成による有機塩素系化合物で汚染された汚泥などの物質の浄化装置Bにおいて、汚染物質aと嫌気性微生物bと好気性微生物cとは混合され、第一の処理物供給装置31から投入口35を経て第一の分解炉31内に導入され、ここで攪拌機34により攪拌される。この第一の分解炉31内は、好気的条件が形成されているため、ここで好気性微生物cが活発に増殖し代謝する。このことにより、汚染物質p中に存在するダイオキシン類の内、1〜3塩素化ダイオキシン類が酸化分解される。
【0049】
このようにして、1〜3塩素化ダイオキシン類が酸化分解された汚染物質pは、排出口38から水分調整室39に至り、ここで水分調整のためおよび界面活性剤としての水Wがノズル40より供給される。そして、必要に応じて、図示しない攪拌機で攪拌される。その後、図示しない第二の処理物供給装置により多重弁43でシールを保持しながら、第二の分解槽32内に導入される。そして、この第二の分解槽32内で攪拌機47で攪拌しながら嫌気性微生物bにより2〜8塩素化ダイオキシン類を還元分解する。これにより、汚染物質pは、浄化され処理済み物質p2として、系外へ排出されるのである。
【図面の簡単な説明】
【0050】
【図1】本発明による有機塩素系化合物で汚染された物質の浄化方法および装置の一実施例を示すものであって、浄化装置の概略側面図である。
【図2】図1の攪拌機の要部の拡大図である。
【図3】図2のX―X断面図である。
【図4】本発明による有機塩素系化合物で汚染された物質の浄化方法および装置の他の実施例を示すものであって、浄化装置の概略側面図である
【符号の説明】
【0051】
1・・・・本体
2・・・・分解槽
3、25・・・・投入口
4、26・・・・排出口
5、6・・多重弁
8、34、46・・・・攪拌機
9,46・・・スクリューコンベア
10・・・攪拌翼
11・・・・回転軸
12a、12b・・・縦部材
13・・・・横部材
14・・・・山形材
15・・・・多孔板、メッシュ部材
16・・・・空間部
17・・・・反応鉄材
31・・・・第一の分解槽
32・・・・第二の分解槽
33・・・・第一の駆動装置
35・・・・投入口
36・・・・排出口
37・・・・壁面
39・・・・水分調整室
45・・・・第二の駆動装置
46・・・・第一の処理物供給装置
47・・・・攪拌機

【特許請求の範囲】
【請求項1】
反応鉄材を内蔵する分解槽内に、ダイオキシン等の有機塩素系化合物に汚染された土壌と、少なくとも嫌気性微生物を含んだコンポスト又は土壌とを導入し、前記分解槽内を嫌気的条件に調整して前記嫌気性微生物の増殖と代謝とを行わせることにより前記有機塩素系化合物を還元分解して浄化することを特徴とする有機塩素系化合物で汚染された土壌の浄化方法。
【請求項2】
分解槽内に導入された有機塩素系化合物に汚染された土壌と嫌気性微生物含有土壌とを攪拌混合することを特徴とする請求項1記載の有機塩素系化合物で汚染された土壌の浄化方法。
【請求項3】
有機塩素系化合物で汚染された物質と嫌気性微生物および好気性微生物を第一の分解槽に導入し、該第一分解槽内を好気的条件として前記好気性微生物の増殖と代謝とを行わせることにより前記有機塩素系化合物の一部を酸化分解させるとともに、該有機塩素系化合物の一部が酸化分解された物質を反応鉄材が内蔵された第二の分解槽に導入し、該第二の分解槽内を嫌気的条件に調整して前記嫌気性微生物の増殖と代謝とを行わせることにより、残留する有機塩素系化合物を還元分解して浄化することを特徴とする有機塩素系化合物で汚染された土壌の浄化方法。
【請求項4】
本体内に攪拌翼を配置するとともに反応鉄材を内蔵する分解槽と、前記攪拌翼の駆動装置と、有機塩素系化合物に汚染された物質と嫌気性微生物とを前記分解槽内に供給する処理物供給装置とからなることを特徴とする有機塩素系化合物で汚染された土壌の浄化装置。
【請求項5】
攪拌翼の少なくとも一部を多孔質構造となし、該攪拌翼内に反応鉄材を収納したことを特徴とする請求項3記載の有機塩素系化合物で汚染された土壌の浄化装置。
【請求項6】
パドル型の攪拌翼であって該攪拌翼の回転方向の後側に多孔板配置したことを特徴とする請求項4記載の有機塩素系化合物で汚染された土壌の浄化装置。
【請求項7】
反応鉄材が、粒状に形成されていることを特徴とする請求項3乃至5記載の有機塩素系化合物で汚染された土壌の浄化装置。
【請求項8】
本体内にそれぞれ攪拌翼を有する第一の分解槽および第二の分解槽と、前記攪拌翼をそれぞれ回転させる第一の駆動装置と第二の駆動装置と、前記第一の分解槽内に有機塩素系化合物に汚染された土壌と嫌気性微生物および好気性微生物と供給する第一の処理物供給装置と、前記第一の分解槽から排出される処理物を第二の分解槽に供給する第二の処理物供給装置とからなり、前記第二の分解槽に反応鉄材を内装させるとともに、前記第一の分解槽の排出口と前記第二の分解槽の投入口とを遮断可能に連通させたことを特徴とする有機塩素系化合物で汚染された土壌の浄化装置。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate


【公開番号】特開2006−239559(P2006−239559A)
【公開日】平成18年9月14日(2006.9.14)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−58409(P2005−58409)
【出願日】平成17年3月3日(2005.3.3)
【出願人】(000005902)三井造船株式会社 (1,723)
【Fターム(参考)】