説明

有機性固形物含有廃水の処理方法および処理装置

【課題】少ないオゾン添加量で有機性固形物含有廃水を高精度に処理することができる有機性固形物含有廃水の処理方法および処理装置を提供する。
【解決手段】有機性固形物含有廃水の処理装置は有機性固形物含有廃水を導入して酸生成を行なう酸生成槽12と、酸生成槽12の下流側に配置されたオゾン反応槽15とを備えている。オゾン反応槽15の下流側にpH調整槽16と、生物処理槽17とが設けられている。オゾン反応槽15と酸生成槽12との間に、返送ポンプ19aを有する返送管31が設けられている。酸生成槽12とオゾン反応槽15との間で廃水を循環させることにより、廃水中の酸生成と可溶化を同時に行なって、廃水を確実に処理することができる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、例えば下水処理施設、屎尿処理施設などの下水処理プロセスから排出される初沈汚泥や余剰汚泥などの有機性固形物含有廃水を有効利用することができ、かつ減容化することができる有機性固形物含有廃水の処理方法および処理装置に関する。
【従来の技術】
【0002】
有機性固形物含有廃水、例えば都市下水や有機性産業廃水などを活性汚泥法によって浄化処理すると、初沈汚泥や余剰汚泥と呼ばれる大量の有機性固形物が発生する。これらの有機性固形物の発生量は近年の下水道整備にともない、1年に5%の割合で増加しており、その量は乾燥重量に換算して150万トン/年、最終処分量として200〜250万トン/年にも及んでいる。これら有機性固形物の70%は埋め立てによって処分されているが、処分場の過半数は残余年数が数年しかなく、増大する有機性固形物の処理が大きな問題となっている。
【0003】
この問題を解決する1つの方法として、有機性固形物をメタン発酵プロセスによって処理する方法があげられる。有機性固形物のメタン発酵プロセスは、メタンガスとしてエネルギー回収を行えること、消費エネルギーが少ないこと、病原細菌の死滅率が高いことなどの利点を持っている。
【0004】
一方、メタン発酵プロセスは、(1)加水分解プロセスあるいは可溶化プロセス、(2)酸生成プロセス、(3)メタン生成プロセスから成り立っている。これら3つの連鎖過程において、タンパク質、核酸、脂質および炭水化物などの細胞内高分子物質の溶出とこれらの物質の加水分解による低分子化が律速段階となり、20〜30日間の長い消化日数を要すること、また、有機物の分解率が30〜50%に留まることなどの欠点が指摘されている。
【0005】
そこで、有機性固形物含有廃水中の生物分解可能な有機物を可溶化し、消化効率を向上させる目的で、オゾンの酸化力を利用した有機性固形物含有廃水の前処理が行われている。
【0006】
図13は従来のオゾンを用いた有機性固形物含有廃水の処理装置の一例を示す構成図である。
【0007】
図13に示すように、従来のオゾンを用いた有機性固形物含有廃水の処理装置は、有機性固形物含有廃水1を導入してオゾン処理を行うオゾン反応槽2と、オゾン含有ガス3を導入するオゾン発生装置4と、生物学的な処理を行う生物処理槽5とを備えている。
【0008】
図13において、オゾン反応槽2に導入された有機性固形物含有廃水1は、オゾン反応槽2の下部から導入されるオゾン含有ガス3と接触して酸化分解される。オゾン反応槽2内で一定時間オゾン処理した有機性固形物含有廃水1は、導入ポンプ6により生物処理槽7に導入し、微生物の分解作用を利用して処理を行う。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
しかしながら、オゾンを用いた有機性固形物含有廃水の処理装置では、十分な処理効果を得るためには比較的高価であるオゾンの添加量が大きくなり、処理コストが高くなるという問題点がある。
【0010】
本発明はこのような点を考慮してなされたものであり、オゾンの添加量を低減し、かつ確実に有機性固形物を処理することができる有機性固形物含有廃水の処理方法および処理装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0011】
本発明は、有機性固形物含有廃水を酸生成を行う酸生成槽とオゾン処理を行うオゾン反応槽とで循環処理した後、この有機性固形物含有廃水を生物処理槽に送り生物学的な処理を行うことを特徴とする有機性固形物含有廃水の処理方法、および有機性固形物含有廃水を導入して酸生成を行なう酸生成槽と、酸生成槽の下流側に連結され酸生成槽からの廃水に対してオゾン処理を行なうオゾン反応槽と、オゾン反応槽の下流側に連結されオゾン反応槽からの廃水のpH調整を行なうpH調整槽と、pH調整槽の下流側に連結されpH調整槽からの廃水の生物学的処理を行なう生物処理槽とを備え、オゾン反応槽と酸生成槽との間に、オゾン反応槽内の廃水を酸生成槽へ戻す返送管を設けたことを特徴とする有機性固形物含有廃水の処理装置である。
【0012】
本発明によれば、前記酸生成槽とオゾン反応槽との間で有機性固形物含有廃水が循環することによって、有機性固形物含有廃水とオゾン含有ガスとの接触時間を長くすることができ、従来よりも少ないオゾン添加量で十分な処理効果を得ることができる。廃水はその後pH調整槽でpH調整が行なわれ、生物処理槽により処理される。
【0013】
また前記酸生成槽および前記オゾン反応槽で一定時間循環処理した後、有機性固形物含有廃水の全量を排出して、生物処理槽へと導入してもよい。
【0014】
また、(1)後段のオゾン処理槽への導入量とpHを調整したり、(2)可溶化を促進させるため、酸生成槽から前記オゾン処理槽への循環を一時的に停止し、前記酸生成槽を滞留槽として用いることもできる。
【0015】
(2)に関して、有機性固形物含有廃水として余剰汚泥を用いた場合、一時的に余剰汚泥のpHを11に調整しても、24時間程度滞留することでpHを7付近まで変化させることができる。この作用を利用して、後段のオゾン処理でアルカリ領域でのオゾンの自己分解を抑制し、酸化分解効率が高めることができる。
【0016】
また酸生成槽およびオゾン反応槽間で一定時間廃水を循環処理した後、有機性固形物含有廃水の一部を排出して、生物処理槽へと導入してもよい。
【0017】
本発明において、酸生成槽に、酸生成槽内の廃水量を検知して第1のポンプを制御する第1流量制御部を設けてもよい。
【0018】
本発明によれば、酸生成槽内の廃水量を検知する第1流量制御部を備え、第1流量制御部により酸生成槽内の廃水量を検知し、酸生成槽からオゾン処理槽に導入する廃水量を自動制御することによって、酸生成槽とオゾン処理槽との循環量を安定させることができる。
【0019】
本発明において、オゾン反応槽に、オゾン反応槽内の廃水量を検知して返送ポンプを制御する第2流量制御部を設けてもよい。
【0020】
本発明によれば、オゾン反応槽内に廃水量を検知する第2流量制御部を備え、第2流量制御部により酸生成槽内の廃水量を検知し、オゾン処理槽から酸生成槽に返送する廃水量を自動制御することによって、酸生成槽とオゾン処理槽との循環量を安定させることができる。
【0021】
なお本発明において、有機性固形物は有機性汚泥、例えば、下水処理施設、屎尿処理施設などの下水処理プロセスから排出される初沈汚泥や余剰汚泥であってもよい。
【0022】
また本発明において、生物処理槽は嫌気性の処理槽であってもよい。
【0023】
本発明によれば、前記生物処理槽は嫌気性の処理槽であることによって、前記酸生成槽で生成した有機酸を嫌気性菌であるメタン菌の分解作用により、メタンに転換することができる。
【0024】
また本発明において、生物処理槽は嫌気性完全混合型のリアクタであってもよい。
【0025】
また本発明において、生物処理槽は嫌気性UASBリアクタであってもよい。
【0026】
本発明において、生物処理槽が嫌気性生物処理槽と、この嫌気性生物処理槽の下流側に設けられた好気性生物処理槽とからなるものであってもよい。
【0027】
本発明によれば、嫌気性生物処理槽で廃水を処理した後、この廃水を好気性の生物処理槽に導入することによって、廃水中の有機成分をさらに分解することができる。
【0028】
また本発明において好気性生物処理槽で残留した有機性固形物含有廃水を酸生成槽に返送してもよい。
【0029】
本発明によれば、好気性生物処理槽で残留した有機性固形物含有廃水を酸生成槽に導入することによって、本プロセスで残留する有機性固形物量をさらに抑制することができる。
【0030】
本発明において、酸生成槽内に撹拌装置を設けてもよい。
【0031】
本発明において、酸生成槽に加温装置を設けてもよい。
【0032】
本発明において、酸生成槽に、酸生成槽内のpHを調整するpH調整手段を設けてもよい。
【0033】
これらの発明によれば、酸生成槽が撹拌機能を有すること、加温状態を保つこと、およびpH調整機能を有することによって、有機性固形物の可溶化と酸生成をさらに促進することができる。
【0034】
本発明において、酸生成槽に、酸生成槽内の廃水の温度を検知して加温装置を制御する温度制御部を設けてもよい。
【0035】
本発明によれば、酸生成槽の温度を検知して加温装置を制御する温度制御部を備え、この温度制御部により酸生成槽内の温度を検知し、酸生成槽内の温度を自動制御することができ、有機性固形物の可溶化と酸生成をより効果的に行うことができる。
【0036】
本発明において、酸生成槽に、酸生成槽内の廃水のpHを検知してpH調整手段を制御するpH制御部を設けてもよい。
【0037】
本発明によれば、酸生成槽にpHを検知してpH調整手段を制御するpH制御部を備え、このpH制御部により酸生成槽内のpHを検知し、酸生成槽内のpHを制御することができ、有機性固形物の可溶化と酸生成をより効果的に行うことができる。
【0038】
また本発明において、酸生成槽に酸を添加してもよい。
【0039】
本発明によれば、酸生成槽に酸を添加することによって、オゾン処理の酸化分解効率が高くなり、生成した有機酸のメタンへの転換を抑制することができる。
【0040】
また本発明において、酸生成槽にアルカリを添加してもよい。
【0041】
本発明によれば、酸生成槽にアルカリを添加することによって、有機性固形物の可溶化が進み、有機酸の生成を促進することができる。
【0042】
また本発明において、酸生成槽に添加する酸はHClであってもよい。
【0043】
また本発明において、前記酸生成槽に添加する酸はH2 SO4 であってもよい。
【0044】
さらに本発明において、酸生成槽に添加する酸はHNO3 であってもよい。
【0045】
これらの発明によれば、有機性固形物含有廃水のpHを適当な酸性条件に保つことにより、オゾン処理の酸化分解効率が高くなり、生成した有機酸のメタンへの転換を抑制することができる。
【0046】
本発明において、酸生成槽に添加するアルカリはNaOHであってもよい。
【0047】
本発明によれば、有機性固形物含有廃水のpHを適当なアルカリ性条件に保つことにより、有機性固形物の可溶化が進み、有機酸の生成を促進することができる。
【発明の効果】
【0048】
本発明によれば、有機性固形物含有廃水を酸生成槽と、オゾン反応槽との間で循環し、この酸生成槽とオゾン反応槽により廃水のpH調整とオゾン処理を行なって酸生成と可溶化を同時に行うことができる。このため従来よりも少ないオゾン添加量で有機性固形物含有廃水を処理することができ。また、生物学的な汚泥減量化法と組み合わせることにより、より効果的で経済的に有機性固形物の減量化を行うことができる。
【発明の実施の形態】
【0049】
第1の実施の形態以下、図面を参照して本発明の実施の形態について説明する。図1は本発明による有機性固形物含有廃水の処理方法および処理装置の第1の実施の形態を示す図である。
【0050】
本実施の形態では、酸生成槽とオゾン反応槽との間で有機性固形物含有廃水が循環することによって、有機性固形物含有廃水とオゾン含有ガスとの接触時間を長くすることができる有機性固形物含有廃水の処理装置について説明する。
【0051】
図1は本発明による有機性固形物含有廃水の処理装置の第1の実施の形態を示す構成図である。図1に示すように有機性固形物含有廃水の処理装置は、有機性固形物含有廃水11を導入して廃水の酸生成を行う酸生成槽12と、オゾン含有ガス13を生成するオゾン発生装置14と、オゾン発生装置14からのオゾン含有ガスにより廃水のオゾン処理を行うオゾン反応槽15と、有機性固形物含有廃水のpHを調整するpH調整槽16と、廃水の生物学的な処理を行う生物処理槽17とを備えている。
【0052】
また酸生成槽12とオゾン反応槽15との間には廃水を移送する第1ポンプ18aが設けられ、オゾン反応槽15とpH調整槽16との間には廃水を移送する第2ポンプ18bが設けられ、pH調整槽16と生物処理槽17との間には廃水を移送する第3ポンプ18cが設けられている。
【0053】
またオゾン反応槽15と酸生成槽12との間には、オゾン反応槽15内の廃水を酸生成槽12へ戻す返送管31が設けられ、この返送管31には返送ポンプ19aが取付けられている。さらに生物処理槽17と酸生成槽12との間には、生物処理槽17内の汚泥を酸生成槽12へ戻す汚泥ポンプ19bを有する汚泥管32が設けられている。
【0054】
次にこのような構成からなる本実施の形態の作用について説明する。図1において、酸生成槽12に導入された有機性固形物含有廃水11は第1ポンプ18aによってオゾン反応槽15に導入され、オゾン反応槽15の下部から導入されるオゾン含有ガス13と接触して酸化分解される。オゾン反応槽15内で一定時間オゾン処理された有機性固形物含有廃水11は、返送ポンプ19aにより再び酸生成槽12へと返送され、循環しながら処理される。
【0055】
また、(1)後段のオゾン処理槽15への導入量と廃水のpHを調整したり、(2)廃水の可溶化および酸生成を促進させる目的で、酸生成槽12からオゾン反応槽15への廃水の移送を一時的に停止し、酸生成槽12を滞留槽として用いることもできる。
【0056】
このように有機性固形物含有廃水を酸生成槽12とオゾン反応槽15との間で循環することによって、有機性固形物の可溶化と酸生成を同時に行うことができる。
【0057】
オゾン反応槽15におけるオゾン処理をpH5以下の酸性領域で行うと酸化分解効率が高くなり、また酸生成槽12における酸生成菌の働きによって行われる酸生成プロセスも、酸性領域で行うことによって生成した有機酸のメタンへの転換を抑制することができる。
【0058】
また、pH9以上のアルカリ領域でも有機性固形物の可溶化が進み、有機酸の生成を促進することができる。
【0059】
可溶化プロセスおよび酸生成プロセスにより有機性固形物の十分な可溶化と酸生成が進めば、これらの有機酸を基質として進行するメタン発酵プロセスも効率良く行うことができる。
【0060】
次に、酸生成槽12とオゾン反応槽15との間で一定時間循環処理して十分に可溶化および酸生成した有機性固形物含有廃水は、その全量または一部がpH調整槽16へ第2ポンプ18bにより導入される。pH調整槽16では酸またはアルカリを廃水に加えて、廃水のpHを7付近に調整した後、生物処理槽17、例えばメタン発酵槽に導入し、微生物の分解作用を利用して処理を行う。生物処理槽17で発生した残留汚泥は汚泥ポンプ19bにより、再び酸生成槽12に導入され、本プロセスで残留する有機性固形物の発生量を抑制する。
【0061】
また生物処理槽17からのバイオガスは外方へ放出され、また生物処理槽17で処理された廃水は処理水として放流される。
【0062】
第2の実施の形態次に本発明の第2の実施の形態について図2および図3により説明する。
【0063】
本実施の形態は、酸生成槽12からオゾン処理槽15に導入される廃水量を自動制御することによって、酸生成槽12とオゾン処理槽15との循環量を安定させたものである。
【0064】
図2および図3において、図1に示す第1の実施の形態と同一部分には同一符号を付して詳細な説明は省略する。
【0065】
図2に示すように、酸生成槽12に、廃水量を検知して第1ポンプ18aを制御する第1流量制御部20aが設置されている。この第1流量制御部20aにより酸生成槽12内の廃水量を検知し、第1ポンプ18aを制御して酸生成槽12からオゾン処理槽15に導入する廃水量を調整する。このことによって、酸生成槽12とオゾン処理槽15との循環量を安定させることができる。
【0066】
なお図3に示すように、酸生成槽12に第1ポンプ18aを制御する第1流量制御部20aを設け、さらにオゾン反応層15に廃水量を検知して返送ポンプ19aを制御する第2流量制御部20bを設置してもよい。この第2流量制御部20bによりオゾン反応槽15内の廃水量を検知し、オゾン処理槽15から酸生成槽12に返送する廃水量を調整して、酸生成槽12とオゾン処理槽15との循環量を安定させることができる。
【0067】
第3の実施の形態次に本発明の第3の実施の形態について図4および図5により説明する。
【0068】
図4および図5において、図1に示す第1の実施の形態と同一部分には同一符号を付して詳細な説明は省略する。
【0069】
図4に示すように、生物処理槽として、嫌気性の処理槽である完全混合型のリアクタ21が設けられている。この嫌気性の完全混合型のリアクタ21により、酸生成槽12で生成した有機酸を嫌気性菌であるメタン菌の分解作用により、メタンに転換することができる。
【0070】
なお図5に示すように、生物処理槽として、嫌気性の処理槽であるUASBリアクタ22を用いてもよい。図5において、この嫌気性のUASBリアクタ22により、酸生成層12で生成した有機酸を嫌気性菌であるメタン菌の分解作用により、メタンに転換することができる。
【0071】
第4の実施の形態次に本発明の第4の実施の形態について、図6および図7により説明する。
【0072】
本実施の形態では、廃水を嫌気性生物処理槽で処理した後、好気性の生物処理槽に導入することによって、廃水中の有機成分をさらに分解するようにしたものである。
【0073】
図6および図7において、図1に示す第1の実施の形態と同一部分には同一符号を付して詳細な説明は省略する。
【0074】
図6に示すように、pH調整槽16の下流側に設けられた生物処理槽は嫌気性生物処理槽23と、嫌気性生物処理槽23下流に設けられた好気性生物処理槽24とからなっている。
【0075】
図6において嫌気性生物処理槽23で廃水を処理した後、好気性生物処理槽24に廃水を導入することにより、廃水中の有機成分をさらに分解することができる。
【0076】
なお図7に示すように、嫌気性生物処理槽23と好気性生物処理槽24で残留した有機性固形物含有廃水(汚泥)を汚泥ポンプ19bを有する汚泥管32により酸生成槽12へ戻してもよい。
【0077】
第5の実施の形態次に本発明の第5の実施の形態について、図8乃至図10により説明する。
【0078】
本実施の形態は、酸生成槽12に撹拌機能、加温機能、pH調整機能を設けたものである。
【0079】
図8乃至図10において、図1に示す第1の実施の形態と同一部分には同一符号を付して詳細な説明を省略する。
【0080】
図8に示すように、酸生成槽12内に撹拌装置25が設置されている。この撹拌装置25により酸生成槽12内の混合状態を良好にし、有機性固形物の可溶化と酸生成をさらに促進することができる。
【0081】
なお図9に示すように、酸生成槽12内に撹拌装置25を設ける代わりに、酸生成槽12に加温装置26を設置してもよい。この加温装置26により酸生成槽12内を加温状態に保つことによって、有機性固形物の可溶化と酸生成をさらに促進することができる。
【0082】
さらに図10に示すように、酸生成槽12内に酸またはアルカリを添加するためのpH調整手段27を設置してもよい。このpH調整手段27からHCl、H2 SO4 またはHNO3 等の酸、またはNaOH等のアルカリを酸生成槽12に添加することによって、有機性固形物の可溶化と酸生成をさらに促進することができる。
【0083】
第6の実施の形態次に本発明の第6の実施の形態について図11および図12により説明する。
【0084】
本実施の形態は、酸生成槽12内に酸生成槽12内の温度やpHを検知し、酸生成槽12の加温装置26やpH調整手段27を自動制御することにより、有機性固形物の可溶化と酸生成をより効果的に行うものである。
【0085】
図11および図12において、図1に示す第1の実施の形態と同一部分には同一符号を付して詳細な説明は省略する。
【0086】
図11に示すように、酸生成槽12に加温装置26が設けられ、また酸生成槽12に酸生成槽12内の廃水の温度を検知して加温装置26を制御する温度制御部28が設置されている。この温度制御部28により酸生成槽12内の廃水の温度を検知し、酸生成槽12内の廃水の温度を自動調節することにより、有機性固形物の可溶化と酸生成をより効果的に行うことができる。
【0087】
なお図12に示すように、酸生成槽12にpH調整手段27が設けられ、また酸生成槽12に酸生成槽12内の廃水のpHを検知してpH調整手段27を制御するpH制御部29を設置してもよい。このpH制御部29により酸生成槽12内の廃水のpHを検知し、酸生成槽12内の廃水のpHを自動調節することにより、有機性固形物の可溶化と酸生成をより効果的に行うことができる。
【図面の簡単な説明】
【0088】
【図1】本発明による有機性固形物含有廃水の処理方法および処理装置の第1の実施の形態を示す構成図。
【図2】本発明による有機性固形物含有廃水の処理方法および処理装置の第2の実施の形態を示す構成図。
【図3】本発明の第2の実施の形態の変形例を示す構成図。
【図4】本発明による有機性固形物含有廃水の処理装置の第3の実施の形態を示す構成図。
【図5】本発明の第3の実施の形態の変形例を示す構成図。
【図6】本発明による有機性固形物含有廃水の処理装置の第4の実施の形態を示す構成図。
【図7】本発明の第4の実施の形態の変形例を示す構成図。
【図8】本発明による有機性固形物含有廃水の処理装置の第5の実施の形態を示す構成図。
【図9】本発明の第5の実施の形態の変形例を示す構成図。
【図10】本発明の第5の実施の形態の変形例を示す構成図。
【図11】本発明による有機性固形物含有廃水の処理装置の第6の実施の形態を示す構成図。
【図12】本発明の第6の実施の形態の変形例を示す構成図。
【図13】従来の有機性固形物含有廃水の処理装置を示す構成図。
【符号の説明】
【0089】
11 有機性固形物含有廃水
12 酸生成槽
13 オゾン含有ガス
14 オゾン発生装置
15 オゾン反応槽
16 pH調整槽
17 生物処理槽
18a 第1のポンプ
18b 第2のポンプ
18c 第3のポンプ
19a 返送ポンプ
19b 汚泥ポンプ
20a 第1の流量制御部
20b 第2の流量制御部
21 嫌気性完全混合型リアクタ
22 嫌気性UASBリアクタ
23 嫌気性生物処理槽
24 好気性生物処理槽
25 撹拌装置
26 加温装置
27 pH調整装置
28 温度制御部
29 pH制御部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
有機性固形物含有廃水を酸生成を行う酸生成槽とオゾン処理を行うオゾン反応槽とで循環処理した後、この有機性固形物含有廃水を生物処理槽に送り生物学的な処理を行うことを特徴とする有機性固形物含有廃水の処理方法。
【請求項2】
有機性固形物含有廃水を導入して酸生成を行なう酸生成槽と、
酸生成槽の下流側に連結され酸生成槽からの廃水に対してオゾン処理を行なうオゾン反応槽と、
オゾン反応槽の下流側に連結されオゾン反応槽からの廃水のpH調整を行なうpH調整槽と、
pH調整槽の下流側に連結されpH調整槽からの廃水の生物学的処理を行なう生物処理槽とを備え、
オゾン反応槽と酸生成槽との間に、オゾン反応槽内の廃水を酸生成槽へ戻す返送管を設けたことを特徴とする有機性固形物含有廃水の処理装置。
【請求項3】
生物処理槽は嫌気性完全混合型リアクタ、または嫌気性UASBリアクタであることを特徴とする請求項2記載の有機性固形物含有廃水の処理装置。
【請求項4】
生物処理槽は嫌気性生物処理槽と、この嫌気性生物処理槽の下流側に設けられた好気性生物処理槽とからなることを特徴とする請求項2記載の有機性固形物含有廃水の処理装置。
【請求項5】
酸生成槽内に撹拌装置を設けたことを特徴とする請求項2記載の有機性固形物含有廃水の処理装置。
【請求項6】
酸生成槽に加温装置を設けたことを特徴とする請求項2記載の有機性固形物含有廃水の処理装置。
【請求項7】
酸生成槽に、酸生成槽内のpHを調整するpH調整手段を設けたことを特徴とする請求項2記載の有機性固形物含有廃水の処理装置。
【請求項8】
酸生成槽に、酸生成槽内の廃水の温度を検知して加温装置を制御する温度制御部を設けたことを特徴とする請求項6記載の有機性固形物含有廃水の処理装置。
【請求項9】
酸生成槽に、酸生成槽内の廃水のpHを検知してpH調整手段を制御するpH制御部を設けたことを特徴とする請求項7記載の有機性固形物含有廃水の処理装置。
【請求項10】
酸生成槽からオゾン反応槽への廃水の移送を一時的に停止し、酸生成槽を滞留槽として用いる工程をさらに備え、これによって、オゾン反応槽への廃水の導入量と廃水のpHを調整すること、または廃水の可溶化および酸生成を促進させることができることを特徴とする請求項1記載の有機性固形物含有廃水の処理方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【公開番号】特開2009−22955(P2009−22955A)
【公開日】平成21年2月5日(2009.2.5)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−283437(P2008−283437)
【出願日】平成20年11月4日(2008.11.4)
【分割の表示】特願平11−175906の分割
【原出願日】平成11年6月22日(1999.6.22)
【出願人】(000003078)株式会社東芝 (54,554)
【Fターム(参考)】