説明

有機発光表示装置及びその製造方法

【課題】ガラスフリットの形状を正確に形成することができ、有機発光素子を容易に密封することのできる有機発光表示装置の製造方法を提供する。
【解決手段】本発明の有機発光表示装置の製造方法は、有機発光素子を含む表示部11を備えた基板10を準備する段階と、基板10の一面に対向するように配置される密封部材20を準備する段階と、密封部材20の一面に表示部11の外郭に対応するようにガラスフリット21をペースト状態で塗布する段階と、ガラスフリット21によって基板10と密封部材20とを接合する段階とを含み、ガラスフリット21を塗布する段階では、スクリーン印刷法を利用することを特徴とする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、有機発光表示装置及びその製造方法に係り、さらに詳細には、有機発光素子を容易に密封することのできる有機発光表示装置及びその製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
最近、ディスプレイ装置では、携帯可能な薄型の平板表示装置への代替が趨勢となっている。平板ディスプレイ装置の中でも電界発光表示装置は、自発光型ディスプレイ装置であり、視野角が広くてコントラストに優れるだけでなく、応答速度が速いという長所があるので、次世代ディスプレイ装置として注目されている。また、発光層の形成物質が有機物で構成される有機発光表示装置は、無機発光表示装置に比べて輝度、駆動電圧及び応答速度の特性に優れ、多色化が可能であるという利点を有する。
【0003】
一方、有機発光表示装置は、水分の浸透によって劣化してしまう特性を有する。したがって、水分の浸透や外部の異物から有機発光素子を保護するために、有機発光素子を密封する必要がある。そこで、密封するためにガラスフリットを使用する場合があるが、ガラスフリットの塗布には、長時間がかかり、正確なパターニングが困難であるという問題点がある。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上述した問題点に鑑み、本発明は有機発光素子を容易に密封することのできる有機発光表示装置及びその製造方法を提供することを、その目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明は、有機発光素子を含む表示部を備えた基板を準備する段階と、前記基板の一面に対向するように配置される密封部材を準備する段階と、前記密封部材の一面に前記表示部の外郭に対応するように、ガラスフリットをペースト状態で塗布する段階と、前記ガラスフリットによって前記基板と前記密封部材とを接合する段階とを含み、前記ガラスフリットを塗布する段階では、スクリーン印刷法を利用することを特徴とする有機発光表示装置の製造方法を開示する。
【0006】
本発明において、塗布されたガラスフリットを焼成する段階をさらに含みうる。
【0007】
本発明において、前記ガラスフリットを焼成する段階を経た後、前記ガラスフリットの上下両面のうち、前記密封部材に接する側の面の幅に対する他方の面の幅の比が0.5〜0.95を満足しうる。
【0008】
本発明において、前記ガラスフリットの厚さは、3〜100μmに形成することができる。
【0009】
本発明において、前記ガラスフリットと前記表示部との間隔は、20μm〜20mmに形成することができる。
【0010】
本発明において、前記ガラスフリットを塗布する段階では、スクリーンマスクを利用して前記ガラスフリットを前記密封部材に塗布し、前記スクリーンマスクは200〜400メッシュでありうる。
【0011】
本発明において、前記基板と前記密封部材とを接合する段階では、前記ガラスフリットを溶融した後に硬化させる段階を含みうる。
【0012】
本発明において、前記ガラスフリットを溶融した後に硬化させる段階は、前記ガラスフリットにレーザを照射する段階を含みうる。
【0013】
本発明において、前記密封部材上に前記ガラスフリットを取り囲むようにシーラントを塗布する段階をさらに含みうる。
【0014】
本発明の他の側面によれば、基板と、前記基板上に形成され、有機発光素子を備えた表示部と、前記有機発光素子を密封するように前記基板の一面に対向して接合される密封部材と、前記表示部の外郭を取り囲むように前記密封部材と前記基板との間に介在するガラスフリットとを備え、前記ガラスフリットの上下両面のうち、前記密封部材に接する側の面の幅に対する他方の面の幅の比が0.5〜1であり、前記ガラスフリットの厚さが3〜100μmであることを特徴とする有機発光表示装置を開示する。
【0015】
本発明において、前記ガラスフリットと前記表示部との間隔は、20μm〜20mmでありうる。
【0016】
本発明において、前記密封部材と前記基板との間に介在するシーラントをさらに備え、前記シーラントは前記ガラスフリットを取り囲むように前記ガラスフリットの外郭に形成されうる。
【発明の効果】
【0017】
本発明の有機発光表示装置及びその製造方法によれば、スクリーン印刷法を利用してガラスフリットを形成するので、ガラスフリットの形状を正確に形成することができ、有機発光素子を容易に密封することを可能にする。
【発明を実施するための最良の形態】
【0018】
以下、添付した図面に示した本発明の実施形態を参照して、本発明の構成及び作用を詳細に説明する。
【0019】
図1乃至図3は、本発明の一実施形態に係る有機発光表示装置の製造方法を順次説明するための概略的な断面図である。
【0020】
図1に示すように、基板10の片面に複数個の表示部11を形成する。
【0021】
基板10は、SiOを主成分とする透明なガラス材質から形成されている。図示していないが、基板10の上面には、基板10の平滑性と不純元素の浸透を遮断するためにバッファ層(図示せず)をさらに含んでおり、このバッファ層は、SiOかSiNxのいずれか、またはSiOとSiNxの両方から形成することができる。ただし、基板10は、必ずしもこのような構成に限定されるものではなく、透明なプラスチック材から形成してもよく、金属フォイルなども適用可能である。
【0022】
表示部11は、画像を具現するための有機発光素子を含んでいる。この有機発光素子は、能動型素子であってもよいし、受動型素子であってもよい。この点についての詳細な説明は後述する。
【0023】
次に、図2を参照すれば、基板10の片面に対向するように配置される密封部材20を準備する。この密封部材20には、基板10の表示部11の外郭に対応するようにガラスフリット21が形成される。
【0024】
密封部材20は、外部の水分や酸素などから有機発光素子を保護するために形成されるものであり、透明な材質から形成される。このため、ガラス、プラスチックから形成されるか、または有機物と無機物とを複数重畳させた構造を有している。
【0025】
そして、密封部材20にガラスフリット21が形成されると、図3に示すように基板10と密封部材20とを結合する。
【0026】
ここで、密封部材20にガラスフリット21を形成する方法を詳細に説明する。図4は、図2のガラスフリット21をスクリーン印刷法を利用して密封部材20に形成する段階を概略的に示した断面図である。
【0027】
本発明では、スクリーン印刷法を利用してガラスフリット21を密封部材20に形成する。スクリーン印刷法を利用する場合、所望のパターンで膜を形成するために、スクリーンマスクを必要とする。
【0028】
スクリーンマスク30は、図4に示すように、ガラスフリット21が染み込んだスクリーン部31と、スクリーン部31の周囲を限定する遮蔽部32とを備えている。
【0029】
スクリーンマスク30は、所定の粒度のガラスフリットペーストが染み込むように、ナイロン生地のようなメッシュ型の部材によって形成されているが、スクリーン部31を除いた領域に対しては、硬化剤を利用して前記生地の穴を埋めて遮蔽部32を形成し、この遮蔽部32によってスクリーン部31のパターンを限定する。このようなスクリーン印刷用のスクリーンマスク30としては、これ以外にもポリエステル素材、ステンレス鋼からなるメッシュを使うことが可能である。メッシュの範囲は多様であるが、ガラスフリット21の密封特性上、200〜400メッシュを有するスクリーンマスク30を使用することが望ましい。これは、ガラスフリットペーストの粒度及び粘度を考慮したためである。
【0030】
スクリーンマスク30の下面、例えば、遮蔽部32に対応する領域の下面には、図4に示すように、支持部材33が接合されている。支持部材33は、レジンのような乳剤を使うことが可能であるが、必ずしもこれに限定する必要はなく、スクリーンマスク30を支持することが可能なものであれば、その他のものであっても使用可能である。支持部材33は、パターンの精密度を高めるために、図4に示すように、遮蔽部32よりも少し広くスクリーン部31の周りを取り囲むように形成されている。
【0031】
そして、スクリーンマスク30上にガラスフリットペーストを塗布した後、スクリーン部31に対応する領域をスキージ37で押し、スクリーン部31のメッシュを介してガラスフリットペーストを排出して密封部材20上に所定のパターン膜からなるガラスフリット21を形成する。
【0032】
1枚の基板10に複数個の有機発光表示装置を作るために、1枚の基板10には独立した複数個の表示部11が形成されている。そして、各表示部11の外郭にガラスフリット21を形成できるように、スクリーンマスク30は複数のスクリーン部31を含んでいる。
【0033】
スクリーンマスク30を密封部材20に密着させた後、スクリーン印刷を行う。このとき、スクリーン部31と密封部材20との間の圧力がスクリーン部31の全体で均一になると、全体的に均一な塗布が可能である。ガラスフリット21をスクリーン印刷した後、所定の焼成工程を経てガラスフリット21を硬化させることができる。
【0034】
図5は、本発明の一実施形態に係るガラスフリット21の詳細な配置位置及び構造を示す断面図である。図5に示すように、ガラスフリット21は、密封部材20上に上面の幅と下面の幅が異なって形成されている。すなわち、ガラスフリット21の上下両面のうち、密封部材20に接する側の面の幅w1が他方の面の幅w2よりも大きくなるように形成されている。望ましくは、w2/w1が0.5〜0.95になることが好ましい。w2/w1の値が小さい場合、すなわちw2の値が小さ過ぎる場合にはガラスフリット21と基板10との接触面積が減って、密封能が減少する。
【0035】
ここで、スクリーン印刷ではなくディスペンス法でガラスフリット21を形成した場合には、ディスペンサーのノズルからフリットペーストを自然に噴出するので、ガラスフリット21が形成された後にはガラスフリット21の上面が均一ではなくなってしまう。また、ノズルから噴出されるフリットペーストの特性上、フリットペーストが密封部材20と接触する部分が自然に増加する。結果的として、焼成した後にガラスフリット21のw2/w1の比が小さくなる。
【0036】
しかし、スクリーン印刷法でガラスフリット21を形成する場合には、スクリーンマスク30を利用し、スクリーンマスク30のスクリーン部31にフリットペーストが染み込むように、スキージ37で押す。すなわち、スキージ37でフリットペーストの上面を押すので、密封部材20上にガラスフリット21が形成された時に上面、すなわち密封部材20と接していない側のガラスフリット21の面が滑らかになり、上面と下面の幅の比、w2/w1の値が1に近い大きな値となる。特に、スクリーン印刷法を利用した場合には、別途の工程なしにw2/w1の値を容易に0.7以上の値にすることができる。
【0037】
また、ガラスフリット21の厚さhは、3〜100μmの厚さに形成する。基板10に形成される表示部11の厚さ以上の厚みを確保できるように、ガラスフリット21は、3μm以上の厚さに形成する必要がある。また、ガラスフリット21が厚過ぎると、光が散乱して画質特性が低下するので、100μm以下の厚さとなるように形成することが望ましい。
【0038】
さらに、ガラスフリット21と表示部11との間は、20μm以上の間隔を有するように形成する。ガラスフリット21と表示部11との間隔dが狭過ぎれば、後続する工程であるレーザ硬化工程の時に表示部11が損傷を受けるおそれがあるからである。したがって、ガラスフリット21と表示部11との間隔dは、20μm以上になることが望ましい。しかし、その間隔dが広過ぎると、基板10におけるデッドスペースが増加してしまう。したがって、工程条件及び製造しようとする有機発光表示装置のサイズを考慮してガラスフリット21と表示部11との間隔dを適宜に決定できるが、20mm以下に形成するようにする。
【0039】
図6は、図2の密封部材20にガラスフリット21を塗布した状態を示す平面図である。図6に示すように、ガラスフリット21は、各表示部11の外郭に対応するように塗布されている。
【0040】
そして、密封部材20上にガラスフリット21を形成した後に、密封部材20と基板10とを接合する。まず、基板10上に密封部材20を配置する。このとき、密封部材20上に形成されたガラスフリット21が表示部11の外郭に対応するように正確に配置する。正確に配置した後、ガラスフリット21を溶融する工程を実施する。多様な方法を利用してガラスフリット21を溶融することができるが、表示部11に及ぼす熱的損傷を防止するためには、レーザを利用してガラスフリット21を溶融することが望ましい。溶融したガラスフリット21を冷却すれば、基板10と密封部材20とは、ガラスフリット21によって接合される。特に、レーザを利用してガラスフリット21を溶融する場合に、ガラスフリット21の上面、すなわち密封部材20と接しない側の面にレーザを照射することができる。これにより、ガラスフリット21の上面を溶融して焼成した後には上面の幅w2をより大きくすることができる。したがって、焼成する前のガラスフリット21のw2/w1の値の範囲は、0.5〜0.95であったのに対してレーザ照射後には0.5〜1の値を有するようにできる。
【0041】
ここで、ディスペンス法を使用してガラスフリットを形成する場合には、ディスペンサーの特性上、ガラスフリットの塗布面の幅を一定にできない。さらに、ガラスフリットを塗布する開始点と終点では、ガラスフリットの幅が太くなるか、または薄くなる。その結果、レーザを照射する場合、ガラスフリット塗布面の幅が一定でない部分に応力が集中して、密封を破壊することもある。しかし、上述したようにスクリーン印刷法でガラスフリット21を塗布すれば、図6に示すように、ガラスフリット21の塗布面が均一に形成されてガラスフリット21の信頼性が向上し、その結果として、有機発光表示装置の密封能も改善することができる。
【0042】
そして、基板10と密封部材20とを接合した後に、各表示部11の周辺に形成されたガラスフリット21の外郭をスクライビングして、複数個の有機発光表示装置を製造することができる。また、本発明の一実施形態に係る有機発光表示装置の製造方法は、多様な形態の有機発光表示装置を製造するために適用することが可能である。
【0043】
次に、図7は、図1に示した表示部の一部を概略的に示した断面図であって、能動(Active Matrix type:AM)駆動型有機発光素子を含む有機発光表示装置の部分断面図である。
【0044】
図7に示すように、基板10の上面には基板10の平滑性と不純元素の浸透を遮断するために、バッファ層41が形成されている。バッファ層41は、SiOとSiNxのいずれか、またはSiOとSiNxの両方などから形成することができる。
【0045】
さらに、基板10の上面には薄膜トランジスタ(TFT)が形成されている。この薄膜トランジスタは、各画素別に少なくとも一つずつ形成されており、有機発光素子50に電気的に連結されている。具体的に薄膜トランジスタの構造を説明すると、まずバッファ層41上に所定パターンの半導体層42が形成される。この半導体層42は、非晶質シリコンまたはポリシリコンのような無機半導体や有機半導体から形成され、ソース領域、ドレイン領域及びチャンネル領域を含んでいる。
【0046】
そして、半導体層42の上部には、SiO、SiNxなどからなるゲート絶縁膜43が形成され、ゲート絶縁膜43の上部の所定領域には、ゲート電極44が形成される。ゲート電極44は、MoW、Al/Cuのような物質から形成されているが、これに限定されるわけではなく、隣接層との密着性、積層される層の平坦性、電気抵抗及び加工性などを考慮して多様な材料を使用できる。
【0047】
ゲート電極44は、TFTオン/オフ信号を印加するゲートライン(図示せず)と連結されている。
【0048】
さらに、ゲート電極44の上部には層間絶縁膜45を形成し、コンタクトホールを介してソース電極46及びドレイン電極47が、それぞれ半導体層42のソース領域及びドレイン領域に接するように形成されている。このように形成されたTFTは、パッシベーション膜48で覆われて保護されている。
【0049】
パッシベーション膜48は、無機絶縁膜または有機絶縁膜、あるいはその両方を使用して形成することができるが、無機絶縁膜としては、SiO、SiNx、SiON、Al、TiO、Ta、HfO、ZrO、BST、PZTなどを含み、有機絶縁膜としては、一般汎用高分子(PMMA、PS)、フェノール基を有する高分子誘導体、アクリル系高分子、イミド系高分子、アリルエーテル系高分子、アミド系高分子、フッ素系高分子、p−キシレン系高分子、ビニールアルコール系高分子及びそれらのブレンドなどを含んでいる。さらに、パッシベーション膜48は、無機絶縁膜と有機絶縁膜との複合積層体から形成してもよい。
【0050】
パッシベーション膜48の上部には、有機発光素子50のアノード電極となる第1電極51を形成し、これを覆うように絶縁物で画素定義膜49を形成する。この画素定義膜49には所定の開口を形成した後、この開口によって限定された領域内に有機発光素子50の有機発光層52を形成する。そして、全ての画素を覆うように、有機発光素子50のカソード電極となる第2電極53を形成する。もちろん、第1電極51と第2電極53との極性は互いに逆であっても問題ない。
【0051】
有機発光素子50は、電流の流れによって光を発光して画像を表示するものであって、TFTのドレイン電極47にコンタクトホールを介して電気的に連結された第1電極51、有機発光層52及び第2電極53を備えている。
【0052】
第1電極51は、フォトリソグラフィ法によって画素に対応する形態で形成されている。第1電極51の上部には第2電極53を配置するが、この第2電極53は外部端子(図示せず)に連結してカソード電極として作用させる。第2電極53は、画像を具現する活性領域全体にわたって形成することができる。第1電極51の極性と第2電極53の極性とは、互いに逆であっても問題はない。基板10の方向に画像を具現する背面発光型である場合、第1電極51は、透明電極となり、第2電極53は、反射電極となる。第1電極51は、仕事関数の高いITO、IZO、ZnOまたはInなどから形成され、第2電極53は、仕事関数の小さな金属、すなわちAg、Mg、Al、Pt、Pd、Au、Ni、Nd、Ir、Cr、Li、Caなどから形成される。
【0053】
また、図1に示したように、第2電極53の方向に画像を具現する前面発光型である場合、第1電極51は、反射電極として備えられ、第2電極53は、透明電極として備えられる。このとき、第1電極51となる反射電極は、Ag、Mg、Al、Pt、Pd、Au、Ni、Nd、Ir、Cr、Li、Ca及びそれらの化合物などで反射膜を形成した後、その上に仕事関数の高いITO、IZO、ZnOまたはInなどを形成して構成されている。そして、第2電極53となる透明電極は、仕事関数の小さな金属、すなわちAg、Mg、Al、Pt、Pd、Au、Ni、Nd、Ir、Cr、Li、Ca及びそれらの化合物を蒸着した後、その上にITO、IZO、ZnOまたはInなどの透明導電物質で補助電極層やバス電極ラインを形成する。
【0054】
両面発光型の場合には、第1電極51と第2電極53とをいずれも透明電極として形成する。
【0055】
第1電極51と第2電極53のとの間に介在する有機発光層52は、第1電極51と第2電極53からの電気的駆動によって発光する。有機発光層52は、低分子または高分子有機物を使用できる。ここで、有機発光層52が低分子有機物から形成される場合には、有機発光層52を中心として第1電極51方向にホール輸送層及びホール注入層などが積層され、第2電極53方向に電子輸送層及び電子注入層などが積層される。その他にも必要に応じて多様な層を積層するようにしてもよい。使用可能な有機材料も銅フタロシアニン(CuPc)、N,N−ジ(ナフタレン−1−イル)−N,N’−ジフェニル−ベンジジン(NPB)、トリス−8−ヒドロキシキノリンアルミニウム(Alq3)をはじめとして、多様な材料を適用することが可能である。
【0056】
一方、有機発光層52が高分子有機物から形成された高分子有機層の場合には、有機発光層52を中心として第1電極51方向にホール輸送層(HTL:Hole Transport Layer)のみが含まれる。前記高分子ホール輸送層は、ポリエチレンジヒドロキシチオフェン(PEDOT)やポリアニリン(PANI)などを使用して、インクジェットプリンティングやスピンコーティング法により第1電極51の上部に形成され、高分子有機発光層52は、PPV、Soluble PPV's、Cyano−PPV、ポリフルオレンなどを使用でき、インクジェットプリンティングやスピンコーティングまたはレーザを利用した熱転写方式などの通常の方法でカラーパターンを形成することができる。
【0057】
以上、図7に示すトップゲート構造の能動型有機発光表示装置だけを説明したが、前記のように、本発明はこれに限定されるわけではなく、その他の多様な形態の有機発光表示装置に適用可能である。
【0058】
本発明の一実施形態に係る有機発光表示装置の製造方法によれば、スクリーン印刷法を利用してガラスフリット21を塗布するので、ディスペンス法などを利用してガラスフリット21を塗布する場合に比べて工程時間を大きく短縮することができる。そして、スクリーン印刷法を利用すれば、ガラスフリット21のパターニングが容易であり、断面の形状を均一に形成することができる。また、ガラスフリット21の優れた密封特性によって外部の水分や異物から有機発光素子を容易に保護することができる。
【0059】
図8及び図9は、本発明の一実施形態に係る有機発光表示装置の製造方法により製造された有機発光表示装置の平面写真とその拡大写真である。
【0060】
実験のために325メッシュのスクリーンマスク30を使用してガラスフリット21を密封部材20に塗布し、420℃で10分間焼成した。そして、密封部材20を表示部11が形成された基板10にアラインした後に、レーザを照射して基板10と密封部材20とを合着した。図8のA部の拡大図である図9を参照すれば、ガラスフリット21が形成されたパターンが直線で形成されているため、所望のガラスフリット21のパターニングが容易であるということがわかる。また、ガラスフリット21の形成された幅が十分に確保されているので、基板10と密封部材20との接着の信頼性を高めることができる。また、スクリーン印刷法によりガラスフリット21を塗布する場合、スクリーンマスク30のメッシュ形状がガラスフリット21に残る場合があるが、図9は、ガラスフリット21上にスクリーンマスク30のメッシュの跡が残っていないことを示している。
【0061】
図10は、本発明の他の実施形態に係る有機発光表示装置を示す概略的な平面図である。以下では、前述した実施形態と異なる点を中心に説明する。同じ参照符号は、同じ部材を表す。
【0062】
本実施形態に係る有機発光表示装置の製造方法は、シーラント60を密封部材20に塗布する段階をさらに含んでいる。シーラント60は、ガラスフリット21を取り囲むように塗布される。シーラント60は、紫外線硬化シーラント及びその他の多様な種類の材質が使用可能である。
【0063】
図11は、図10に示す有機発光表示装置の変形例を示す平面図である。図10と違って、シーラント60は、ガラスフリット21を取り囲むが、それぞれの表示部11を密封するガラスフリット21を取り囲むように形成される。
【0064】
図10と図11の場合、シーラント60によって1次的に密封され、ガラスフリット21によりさらに密封される構造である。これにより、密封効果を向上させることができる。特に、図11は、各表示部11毎にスクライビングを行っても二重に密封された状態の圧力を維持することが可能である。
【0065】
本発明は、図面に示した実施形態を参考に説明したが、これは例示的なものに過ぎず、当業者であればこれから多様な変形及び均等な他の実施形態を実現可能であるという点が理解できるであろう。したがって、本発明の真の技術的保護範囲は、特許請求の範囲の技術的思想によって決定されなければならない。
【産業上の利用可能性】
【0066】
本発明は、有機発光ディスプレイ関連の技術分野に好適に用いることが可能である。
【図面の簡単な説明】
【0067】
【図1】本発明の一実施形態に係る有機発光表示装置の製造方法を示す概略的な断面図である。
【図2】本発明の一実施形態に係る有機発光表示装置の製造方法を示す概略的な断面図である。
【図3】本発明の一実施形態に係る有機発光表示装置の製造方法を示す概略的な断面図である。
【図4】図2のガラスフリットを密封部材にスクリーン印刷法により塗布する段階を概略的に示す断面図である。
【図5】本発明の一実施形態によるガラスフリットの詳細な配置位置及び構造を示す断面図である。
【図6】図2の密封部材にガラスフリットが塗布された状態を示す平面図である。
【図7】図1に示す表示部の一部の構造を概略的に示す断面図である。
【図8】本発明の一実施形態に係る方法で製造された有機発光表示装置の平面写真である。
【図9】本発明の一実施形態に係る方法で製造された有機発光表示装置の拡大写真である。
【図10】本発明の他の実施形態に係る有機発光表示装置を示す概略的な平面図である。
【図11】本発明の他の実施形態に係る有機発光表示装置を示す概略的な平面図である。
【符号の説明】
【0068】
10 基板
11 表示部
20 密封部材
21 ガラスフリット
30 スクリーンマスク
31 スクリーン部
32 遮蔽部
37 スキージ
41 バッファ層
42 半導体層
43 ゲート絶縁膜
44 ゲート電極
45 層間絶縁膜
46 ソース電極
47 ドレイン電極
48 パッシベーション膜
49 画素定義膜
50 有機発光素子
51 第1電極
52 有機発光層
53 第2電極
60 シーラント

【特許請求の範囲】
【請求項1】
有機発光素子を含む表示部を備えた基板を準備する段階と、
前記基板の一面に対向するように配置される密封部材を準備する段階と、
前記密封部材の一面に前記表示部の外郭に対応するように、ガラスフリットをペースト状態で塗布する段階と、
前記ガラスフリットによって前記基板と前記密封部材とを接合する段階とを含み、
前記ガラスフリットを塗布する段階では、スクリーン印刷法を利用することを特徴とする有機発光表示装置の製造方法。
【請求項2】
塗布されたガラスフリットを焼成する段階をさらに含むことを特徴とする請求項1に記載の有機発光表示装置の製造方法。
【請求項3】
前記ガラスフリットを焼成する段階を経た後、前記ガラスフリットの上下両面のうち、前記密封部材に接する側の面の幅に対する他方の面の幅の比が0.5〜0.95を満足することを特徴とする請求項2に記載の有機発光表示装置の製造方法。
【請求項4】
前記ガラスフリットを焼成する段階を経た後、前記ガラスフリットの厚さを3〜100μmに形成することを特徴とする請求項2または請求項3に記載の有機発光表示装置の製造方法。
【請求項5】
前記ガラスフリットを焼成する段階を経た後、前記ガラスフリットと前記表示部との間隔を20μm〜20mmに形成することを特徴とする請求項2乃至請求項4のいずれか1項に記載の有機発光表示装置の製造方法。
【請求項6】
前記ガラスフリットを塗布する段階では、スクリーンマスクを利用して前記ガラスフリットを前記密封部材に塗布し、前記スクリーンマスクは200〜400メッシュであることを特徴とする請求項1乃至請求項5のいずれか1項に記載の有機発光表示装置の製造方法。
【請求項7】
前記基板と前記密封部材とを接合する段階では、前記ガラスフリットを溶融した後に硬化させる段階を含むことを特徴とする請求項1乃至請求項6のいずれか1項に記載の有機発光表示装置の製造方法。
【請求項8】
前記ガラスフリットを溶融した後に硬化させる段階は、前記ガラスフリットにレーザを照射する段階を含むことを特徴とする請求項7に記載の有機発光表示装置の製造方法。
【請求項9】
前記密封部材上に前記ガラスフリットを取り囲むようにシーラントを塗布する段階をさらに含むことを特徴とする請求項1乃至請求項8のいずれか1項に記載の有機発光表示装置の製造方法。
【請求項10】
基板と、
前記基板上に形成され、有機発光素子を備えた表示部と、
前記有機発光素子を密封するように、前記基板の一面に対向して接合される密封部材と、
前記表示部の外郭を取り囲むように、前記密封部材と前記基板との間に介在するガラスフリットとを備え、
前記ガラスフリットの上下両面のうち、前記密封部材に接する側の面の幅に対する他方の面の幅の比が0.5〜1であり、前記ガラスフリットの厚さが3〜100μmであることを特徴とする有機発光表示装置。
【請求項11】
前記ガラスフリットと前記表示部との間隔は、20μm〜20mmであることを特徴とする請求項10に記載の有機発光表示装置。
【請求項12】
前記密封部材と前記基板との間に介在するシーラントをさらに備え、前記シーラントは前記ガラスフリットを取り囲むように前記ガラスフリットの外郭に形成されていることを特徴とする請求項10または請求項11に記載の有機発光表示装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図10】
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【図11】
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【図8】
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【図9】
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【公開番号】特開2008−147151(P2008−147151A)
【公開日】平成20年6月26日(2008.6.26)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−71107(P2007−71107)
【出願日】平成19年3月19日(2007.3.19)
【出願人】(590002817)三星エスディアイ株式会社 (2,784)
【Fターム(参考)】