説明

有機素材を処理するための方法と装置

この発明は、有機素材を処理するための方法と装置に関するものであり、その方法は、少なくとも二つの反応器(1,2)を用いることと、二酸化炭素または二酸化炭素を含むガスと、アンモニアまたはアンモニアを含む素材とを第一の反応機内で、バッファー化合物/化合物群を形成するように結合させ、それから第一の反応機(1)内で形成されたバッファー化合物/化合物群を第二の反応器(2)へと入れ、そして第二の反応器内で有機素材の生物変換を行うことから成る。その場合、混合された二酸化炭素ガスの二酸化炭素はアンモニアと反応し、炭酸水素アンモニウムそして/または炭酸アンモニウムのようなバッファー化合物を形成する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
発明は、有機素材を処理するための方法に関するものであり、特に、二酸化炭素または二酸化炭素を含む気体の混合物、そしてアンモニアまたはアンモニアを含む素材が、結合してバッファー化合物を形成する方法に関するものであり、そしてその方法を実施するための装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
公報US 4,824,571は、嫌気性培地中での様々な有機生産物や廃棄物の分解のための方法と装置を公開している。その方法は、分解された生産物やバイオガスを発生させる。その方法において、分解されるべき物質の塊は、発酵バットへと導入され、そして生産されたバイオガスが回収される。この後、そのバイオガスは、流動化効果を与えるために、底からバットの中へと戻される。
【0003】
公報US 4,302,236は、ガス剥離を洗浄するための堆肥化システムの使用を公開している。その方法は、特に、硫黄が豊富であるガスの流れから無機酸を形成する成分を除去することから成る。無機官能基は、酸素または水の存在下で無機酸を形成する。浄化されるべきガスの流れは、好熱性の細菌相消化の条件下で有効であるような、活性な堆肥化ための生物分解可能な有機廃棄物を通して導かれる。
【0004】
公報WO 93/06064は、堆肥化に伴って形成されたガスを中和し、回収するための方法を公開している。公報に記載されているこの発明の目的は、有害な、毒性の、そして/または汚れている肥料のガスを、無害にすることである。公報によれば、ガスの一部は、その栄養価を高めるために、構成された物質の塊へとリサイクルされる。
【0005】
公報DE 3,134,980は、細菌菌株によって生産された、そしてバイオガス貯蔵庫に蓄えられたバイオガスを用いて、バイオガス反応器中で酸素のない環境下でバイオマスを混合する方法を公開している。この方法において、バイオガスは、断続的なバイオガスの吹きつけとともに混合される。必要なバイオガスの圧力は、バイオガス反応器中の細菌菌株によって与えられる。反応器は外部からは閉じられていて、バイオガス圧力容器と連絡している。圧力は、バイオガス圧力容器中で解放され、そして次に、バイオガス容器へとさらに導かれたバイオガスから、バイオマスへと吹き入れられる。
【0006】
公報EP 486,466は、有機廃棄物の、制御された、そして連続的な好気性生物分解のための方法を公開している。細菌や微生物の混合物を任意に接種される分解する素材が、微生物の廃棄物中の素材に入れられ、そして分解した素材は、酸素を含んだガスが分解のためになくなるように、除去される。公報に記載されている方法の目的は、窒素を含んだ生産物の分解を制御することである。この方法において、二酸化炭素ガスが、窒素を全く含まない、または非常にわずかしか含まない画分と混合された酸素を含んだガスに、アンモニア含量と分解産物のpHに依存して加えられる。公報に記載された方法は、好気的方法である。
【0007】
有機素材は、植物や動物起源の生産物など様々なソースから受け入れられる。有機素材の分解植物についての一つの問題は、その処理すべき素材の入手可能性が季節依存的であり、植物は、長時間の保存に耐えられないことから、短時間内に、実に大量な有機固体の処理を可能にしなければならない。有機素材の保存はいくつかの問題を突き付ける;例えば、保存は、毒性な化合物であり微生物が機能することを阻害するアンモニアを産出する。現在では、生物変換の反応器は、アンモニアが反応器中の微生物の機能を阻害するために、ほんのわずかな固体内容物の導入しか許していない。季節的に生産された有機素材の保存はまた、従来型の生物変換プロセスが採用されたとすると、それはpHの変化に感受性であるから、酸性または塩基性の条件下で保存することができないために、問題を引き起こす。従来型の生物変換プロセスはまた、温度の変化にもきわめて感受性である。
【0008】
バイオガスの燃焼プラントは、生物変換プロセスにおいて生産されたバイオガスの燃焼のための生物変換プラントに関連して、しばしばアレンジされる。バイオガス燃焼中に生産された排気ガスは、二酸化炭素含量が高い。しかしながら、二酸化炭素は環境に対して有害な化合物であり、そしてそれを取り除く一般的な目的がある。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
(発明の概要)
発明の目的は、前述の問題を解決するための方法を実施する、方法と装置を提供することである。発明の目的は、独立した請求項に公開されているものによって特徴づけられる、方法とシステムによって達成される。発明の好ましい実施例は、従属した請求項に公開されている。
【課題を解決するための手段】
【0010】
発明は、一つまたは複数のバッファー化合物が形成される加圧された反応器内で、二酸化炭素または二酸化炭素を含むガスと、アンモニアまたはアンモニアを含む素材とを結合させることに基づいている。二酸化炭素、または混合された二酸化炭素ガス中の二酸化炭素は、炭酸水素アンモニウム、そして/または炭酸アンモニウムを形成するように、反応器中でアンモニアと反応する。形成された化合物/化合物群は、アンモニアがない場合と同じ程度に、そのプロセスで微生物を阻害しない。なぜなら、形成されたバッファー化合物が、微生物にとって不利となるpHの変化を妨げるからである。第一の反応器内で生成したバッファー化合物または化合物群は、第二の反応器へと導かれ、そこでは、生物変換プロセス、すなわち嫌気的な消化が開始し、または進行中の生物変換プロセスが加速する。
【0011】
処理されるべき有機素材は、植物または動物起源のものでよい。これに関連して、有機素材とは、いずれかの有機物質について言及している。
【0012】
アンモニアは、アンモニアガス、または水性アンモニア溶液でよい。アンモニアを含む素材とは、アンモニアを含むいずれの素材でもよい。アンモニア、そして/またはアンモニアを含む素材は、例えば、単独で処理されるべき生物廃棄物か、もし必要ならば商業用のソースのどちらかに由来するものかもしれない。特に、タンパク質、そして/または脂質が豊富な有機素材は、必然的に大量のアンモニアを産出する。処理されるべき有機素材に加えられたアンモニア、または微生物によってそこに生産された遊離のアンモニアは、細胞膜を柔らかくするので、生物変換、すなわち加水分解それ自体もまた、かなり加速する。発明に記載の方法と装置は、加圧と非加圧の生物変換プロセスの両方において利用することができる。
【0013】
二酸化炭素、または混合された二酸化炭素を含むガスは、商業用のソース、または二酸化炭素が主生成物もしくは副産物として生産されるようなプロセスに由来するものでよい。例えば、二酸化炭素は、バイオガス燃焼プラント、または生物変換中に生成したバイオガス由来のものでよい。
【0014】
発明の長所は、有機素材が、生物変換の前に塩基性または酸性の条件下に維持されうることである。これは、季節ごとに生産される廃棄物が消化される場合には、特に優位である。酸または塩基とともに保存することは、生物変換プロセスと関連して最終的に用いることができる。以前には、これは不可能だとされていた。なぜなら、酸または塩基とともに保存された素材は、それ以上消化することができなかったからである。酸または塩基とともに保存することはまた、有機素材が生物変換される前に衛生化されうるという事実に言及することになる。これに関連して、衛生化とは、素材中の病原性細菌を殺すことについて言及している。以前には、衛生化は、例えば熱処理、すなわち低温殺菌法によって行われた。したがって本発明のシステムは、熱処理とは別にもう一つの衛生化を提供する。
【0015】
発明に記載されている方法とシステムの長所は、より大量の固体物質を生物変換に導入することができることである。加えて、微生物学的に活性な廃棄物が、メタンの収量を考えて最適な状態に保存されうるので、衛生上のレベルが、温度の操作がなくともEUの指令に準拠する。発明に記載されている方法の長所は、バッファー化合物/バッファー化合物群、またはバッファー化合物/バッファー化合物群を含む素材が、過剰なアンモニア含量のために、その処理を妨害する、または反応器中での加水分解プロセスが過剰なアンモニア含量のために始まらないような、加水分解反応器へと入れることができ、そして加水分解が開始される、またはその操作が加速されることである。加えて、発明に記載されている方法は、有機素材の保存を以前より長くすることができ、保存を容易にする。しかしこれに反して、形成されたアンモニアはもはや処理を妨害せず、長い保存時間は廃棄物を前処理する。この方法は、回収し、再利用できる、加水分解産物とバイオガスを生産する。
【0016】
本発明はまた、生物変換プラント全体の操作という点においても優位性を提供する。発明に記載されている方法において、二酸化炭素が豊富で、バイオガスの燃焼において生産され、そして他方で環境に対しては有害である排気ガスを利用することが可能である。バイオガス燃焼において生産される排気ガスの高い二酸化炭素含量のため、発明に記載されている方法においては、これを二酸化炭素ソースとして利用することが可能である。
【0017】
発明に記載されている方法と装置の長所は、第一の反応器で形成されたバッファー化合物/バッファー化合物群が、第二の反応器へと導入されるとき、pH減少へと変動するために生物変換プロセスが安定する。加水分解プロセスの従来の反応器において、微生物にとって最も有利な条件は、反応器の底に行き渡っている。従来のプロセスにおいて、反応器の中間部分の条件は、微生物にとってかなり良く、そして反応器の上端の層の条件は、微生物が機能するためには質が悪い。反応器中で加水分解の物質塊を混合することは、従来の加水分解プロセスにおいては、微生物にとっての条件をより悪くするだけである。その代わりに、本発明に記載されている方法は、形成されたバッファー化合物が、加水分解反応器中のpHの変化を妨げるので、微生物が機能するための最適な条件を提供する。したがって、プロセスの安定化が、改良された処理条件と、加水分解反応器中の使いものになる微生物の量の向上をもたらす。利用できる微生物の量の向上のおかげで、より大量の有機素材を加水分解反応器に入れることができ、またはそれに相応して、もし同じ供給量が用いられるのであれば、処理時間はより短くなる。
【0018】
加速器または安定器として知られた、第一の反応器中でのバッファー化合物の形成は、加水分解のプロセスを改良し、促進するための非常に経済的な方法である。
【0019】
本発明の方法と装置は、加水分解された有機素材の効果的な生産を特に可能にする。
【0020】
(図面の簡単な説明)
発明は、実施例の図式的見方である、付属図中の図1を参照して、好ましい実施例とともにより詳細に記述されるだろう。
【0021】
(発明の詳細な説明)
発明は、有機素材を処理するための方法に関係し、その方法は、少なくとも2つの反応器を使用し、以下の行程から成る。
a)二酸化炭素または二酸化炭素を含むガスと、アンモニアまたはアンモニアを含む素材とを、第一の反応器中で、バッファー化合物/バッファー化合物群を形成するように結合させる、
b)第一の反応器中で形成されたバッファー化合物または化合物群を、第二の反応器へと入れる、そして
c)第二の反応器中で、有機素材の生物変換を行う。
【0022】
ここで、第一の反応器とは、二酸化炭素または二酸化炭素を含むガスと、アンモニアそして/またはアンモニアを含む素材が入れられる、反応器または反応器群について言及している。この反応器は、生物変換のプロセスを開始する、または別の反応器ですでに開始された生物変換のプロセスを加速する、一種の加速器と考えることができる。
【0023】
二酸化炭素を含むガスの混合物は、好ましくは1から100%の、より好ましくは20から100%の二酸化炭素を含む。
【0024】
アンモニアを含む素材は、好ましくは0.1から100%の、より好ましくは0.5から100%のアンモニアを含む。アンモニアを含む素材とは、例えば、アンモニアを含む排水、アンモニアが豊富な有機素材、または、他のいずれかのアンモニアを含む素材でよい。
【0025】
ここで、第二の反応器とは、生物変換を処理するいずれかの反応器または反応器群について言及している。いくつかの生物変換を処理する反応器が存在するであろう。
【0026】
反応器は、いずれかの反応容器、または格納容器でよく、または単なるパイプ部分でも構わない。当業者は、おのおのの特別な設備の必要性を満たす適切な反応器を設計することができる。
【0027】
これに関連して、生物変換とは、有機素材上で部分的に、または完全に行われる加水分解について言及している。生物変換は、加圧下、または非加圧下のプロセスでよい。
【0028】
有機素材は、生物変換プロセス反応器に入れられる。プロセス反応器内の圧力は、大気圧以上、または通常の大気圧である。有機素材が分解するにつれて、CHやCOを含むバイオガスが生産される。
【0029】
バッファー化合物または化合物群が生産される反応器または反応器群は、加圧されている。その圧力は、好ましくは、少なくともおよそ1.8気圧である。
【0030】
第一の反応器中、第二の反応器に入れられるバッファー化合物があり、その場合、第二の反応器において酸または塩基を添加することは、たいしたpHの変化をもたらさず、そして条件は微生物が機能するために最適である。生産されたバッファー化合物は、緩衝特性を持った化合物であるだろう。
【0031】
本発明に記載されている方法は、生物変換プロセスを開始するため、または進行中の生物変換プロセスを加速するために、特に有利である。文献には、アンモニアの毒性に関していくつかの参照例がある。以前に、3000mg/lのアンモニア含量が毒性であり、そして1500から3000mg/lのアンモニア含量が阻害的であると見なされた。しかしながら現在、扱われる素材のアンモニア含量がかなり高いにも関わらず、生物変換が起こるらしいことが、意外にも見いだされている。
【0032】
本発明に記載されている方法は、有機素材が、バイオガス燃焼プラントで、またはそのすぐ近傍において処理される場合に、特に有利である。生物変換は加水分解された素材とバイオガスを生産する。生産されたバイオガスは、バイオガス燃焼プラントでガス抜きされることによって、電気的なエネルギーへと変換される。バイオガス燃焼によって生産された排気ガスは、二酸化炭素が豊富であり、従って環境に対して有害である。この排気ガスは、本発明に記載されている方法においては、二酸化炭素ソースとして利用することができる。その場合、バイオガス燃焼プラントとともに、個別のガス浄化プラントを準備する必要はない。
【0033】
例えば、加圧された第一の反応器は、炭酸水素アンモニウムを生産する。なぜなら、2つのガス、アンモニアと二酸化炭素(NHとHCOイオンへと解離した)は、できるだけ小さい空間に収められる傾向にあるからである。その場合、反応剤であるアンモニアイオンは、反応溶液中の遊離アンモニアの量に依存して、炭酸水素アンモニウムか炭酸アンモニウムを生産するように、炭酸イオンと結合する。これらの塩の両方とも、炭酸のみならず遊離のアンモニアもともに、1:10の比率でバッファーとして作用する。嫌気性微生物の生活状況は、遊離のアンモニアの量とpHに大部分を依存していて、すなわちpHの上昇につれて微生物の生命の機能は弱くなるから、バッファーの存在は、特に、供給物が乾燥した物質であったり、既に嫌気的にアンモニアを生産した素材であったりする場合には、きわめて有利である。また、酢酸、プロピオン酸、または吉草酸といった、生物変換で形成される、または有機素材に存在するカルボン酸は、遊離のアンモニアとバッファーを形成する。圧力は、バッファーの形成に寄与する。
【0034】
発明の方法によって処理される有機物質は、反応器に入れられる前に、酸性または塩基性の条件に保持されうる。このことは、生物変換に導入される物質が、生物変換の前に衛生化されることを意味している。
【0035】
本発明に記載されている方法において行われる生物変換は、中温性または好熱性であるかもしれない。これに関連して、中温性という用語は、生物変換が40℃より低い温度で行われることを示す。またこれに関連して、好熱性という用語は、生物変換が40から70℃、好ましくは55から65℃で行われることを示す。従来の好熱性変換は、たいてい制御するのが困難であったが、本発明の方法では、好熱性生物変換の容易な実行ができるようになっている。
【0036】
例えば、発明の方法は、生物操作によって得られた魚の保存や輸送条件が、保存性、温度、保存時間などに関しては、特別なコストをもたらさないことを可能にしている。
【0037】
生産されたバッファー化合物/バッファー化合物群を、生物変換反応器の底から、反応混合物を通して供給することは、機械的混合を行うために、有利である。
【0038】
有機素材は、魚または魚の廃棄物、ニワトリまたはニワトリの廃棄物といった動物由来のもの、穀物、栽培された植物または栽培された植物の廃棄物、例えば、大麦、キャベツ、ジャガイモまたはジャガイモの皮などといった植物由来のものからなる素材である。有機素材はまた、酵母または酵母の廃棄物、例えば、遺伝子操作された酵母の廃棄物といった、微生物由来のものでも可能である。有機素材はさらに、上記の素材の混合物でも可能である。加えて、有機素材は、有機物質を含むいずれの種類の排水でも可能である。
【0039】
生物変換は、大気圧以上の圧力、例えば、およそ1.2から6気圧、好ましくは2から4気圧で行うことができる。生物変換はまた、通常大気圧でも行うことができる。好ましくは、生物変換は加圧されるのがよい。
【0040】
生物変換は、有機素材中に存在する微生物、そして/または、微生物を加えることによって、行われる。
【0041】
方法は、少なくとも2つの反応器を使用し、そのうち一つはバッファー化合物/バッファー化合物群を形成するために、もう一つは生物変換のために使われる。発明に記載されている方法では、好ましくは、連続的な循環として行われる。
【0042】
方法で用いられているアンモニアは、好ましくは、有機素材の加水分解中に生産される。第一の反応器で形成されるバッファー化合物/バッファー化合物群は、生物変換が起こる第二の反応器へと加えられる。任意に、部分的に加水分解された有機素材を、生物変換反応器に加えることも可能である。
【0043】
アンモニアと二酸化炭素との反応の結果として生じたバッファー化合物または化合物群は、炭酸水素アンモニウム、そして/または炭酸アンモニウムと、遊離のアンモニアそして/または炭酸を含んでいる。炭酸水素アンモニウムまたは炭酸アンモニウムと、遊離のアンモニアそして/または炭酸との間の比率は、1:10である。
【0044】
有機素材から得られた加水分解産物は、回収され、例えば、土壌への添加物、肥料、または肥料のような生産物、または忌避剤として用いられる。
【0045】
生物変換産物中に生産されたバイオガスは、好ましくは回収され、例えば、加熱、発電、のための温室ガスとして、または燃料として用いることができる。浄化されたバイオガスは、25%より低い、たいていは15から20%の二酸化炭素を含んでいる。
【0046】
この発明はまた、有機素材を処理するための装置にも関連している。発明に関する装置の一例は、図1に図解されている。有機素材を処理するための装置は、少なくとも一つの第一の反応器1、少なくとも一つの第二の反応器2、第一の反応器1へと二酸化炭素または二酸化炭素を含むガスを入れるためのパイプ3、反応器1へとアンモニアまたはNHを含む素材を入れるためのパイプ4、第二の反応器2へとバッファー化合物を移すためのパイプ6、反応器2からバイオガスを移すためのパイプ7、そして反応器2から加水分解された、または部分的に加水分解された素材を移すためのパイプ8、から成る。
【0047】
ここで、第一の反応器とは、二酸化炭素または二酸化炭素を含むガスと、アンモニアそして/またはアンモニアを含む素材が入れられる、反応器または反応器群について言及している。この反応器は、第一の反応器中での生物変換プロセスを加速する、一種の加速器であると考えることができる。
【0048】
ここで、第二の反応器とは、生物変換を処理する反応器または反応器群について言及している。反応器または反応器群は、加圧下で、または通常大気圧で差し支えない。
【0049】
以下に、発明に記載されている装置の操作を、より詳細に示す。二酸化炭素または二酸化炭素を含むガスは、パイプ3を介して第一の反応器1へと入れられ、そしてアンモニアまたはアンモニアを含む素材はパイプ4を介して第一の反応器1へと入れられ、その後バッファー化合物または化合物群が反応器中で生産される。第一の反応器1は加圧されている。第一の反応器中の圧力は、好ましくはおよそ1から10気圧、より好ましくは2から6気圧である。第一の反応器1で生産されたバッファー化合物または化合物群は、パイプ5を介して第二の反応器2へと移される。有機素材は、パイプ6を介して第二の反応器2へ移される、または既に移されている。バッファー化合物の第二の反応器2への移動は、生物変換プロセスの開始、または、もし生物変換プロセスが進行中であるなら、バッファー化合物または化合物群の反応器2への移動は、反応器中で進行中である生物変換プロセスを加速する。生物変換プロセスによって生成したバイオガスは、パイプ7を介して第二の反応器2より除去され、そして加水分解された、または部分的に加水分解された生産物はパイプ8を介して除去される。第二の反応器2は、加圧されている、または通常圧力でよい。
【0050】
当業者にとって、技術が進歩するにつれて、本発明の概念が様々な方法で実施されうることは明らかである。この発明とその実施例は、従って上記の例に制限されるものではなく、請求項の範囲内で変えてよい。
【実施例】
【0051】
以下のガスボンベがテストにおいて使われた:
メタン CH 99.5%
二酸化炭素 CO 100%
アンモニア NH 0.5%
窒素 N 100%
【0052】
ガス収量と測定設備:
使われた内容物は、ガス希釈器(Environics Inc.)によってガスボンベから取り出した。
圧力容器から吸い出されたガスの内容物は、FTIRガス分析器(GASMETTM)によって測定された。
試験容器は、約30lの圧力容器で、圧力は、ガス供給の間、約4気圧に保たれた。
【0053】
行われたテスト:
約25lの水を含んだ容器に、もし必要ならば、必要なアンモニア含量を与えるように水性アンモニアを加えた。ガス混合物は、圧力とともに、この溶液に加えられる。入ってくる総流量は、5l/minに保たれた。
【0054】
アンモニア溶液中でのテスト:
テスト1
まず、窒素が、2000mg/lのアンモニア含量である水へと加えられ、それによって、アンモニアはガス形態へと解放された。内容物を安定化させた後、次のガス混合物が加えられた:
CH 60%
CO 30%
10%
【0055】
テスト1の結果は、図2にグラフで示されている。下の表1は、テストが進むにつれての、pH値と炭酸水素アンモニウムの量の経緯を示す。
【表1】

【0056】
テスト2
まず、窒素が、2000mg/lのアンモニア含量である水へと加えられ、それによって、アンモニアはガス形態へと解放された。内容物を安定化させた後、次のガス混合物が加えられた:
CH 60%
40%
そして、進行中の内容物を安定化させた後、次のガス混合物が加えられた:
CH 60%
CO 20%
20%
【0057】
テスト2の結果は、図3にグラフで示されている。下の表2は、テストが進むにつれての、pH値と炭酸水素アンモニウムの量の経緯を示す。
【表2】

【0058】
テスト3
テスト3は、アンモニアガスを用いて行われた。次のガス混合物が、容器中の純水に加えられた:
CH 60%
40%
そして、進行中の内容物を安定化させた後、次のガス混合物が加えられた:
CH 60%
CO 20%
20%
この後、次のガス混合物が、水に加えられた:
CH 70%
CO 28%
12%
上記のガス流入の後、次のガス混合物が、水に加えられた:
NH 0.5%
99.5%
テスト3の結果は、図4にグラフで示されている。
【0059】
テスト4
100%二酸化炭素ガスが、0.2%のNH溶液を含む10リットルの容器へと加えられた。供給速度は1l/minであった。圧力は、2気圧から開始して8気圧にまで上げられ、そして形成されたCO量が測定された。表3は、バッファー化合物/バッファー化合物群の形成における圧力の効果を示す。
【表3】

【0060】
テスト5
100%二酸化炭素ガスが、0.2%のNH溶液を含む30リットルの容器へと加えられた。供給速度は3l/minであった。圧力は、2気圧から開始して8気圧にまで上げられ、そして形成されたCO量が測定された。表4は、バッファー化合物/バッファー化合物群の形成における圧力の効果を示す。
【表4】

【図面の簡単な説明】
【0061】
【図1】発明の好ましい実施例を行うための装置を図解する。
【図2】テスト1の結果を図式的に示す。
【図3】テスト2の結果を図式的に示す。
【図4】テスト3の結果を図式的に示す。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
少なくとも2つの反応器を用い、
a)第一の反応器中で、二酸化炭素または二酸化炭素を含むガスと、アンモニアまたはアンモニアを含む素材とを結合させて、バッファー化合物または化合物群を形成させ、
b)第一の反応器中で形成されたバッファー化合物または化合物群を第二の反応器へと入れ、そして、
c)第二の反応器中で、有機素材の生物変換を行う
工程を含む、有機素材の生物変換を開始するための方法。
【請求項2】
有機素材が動物起源の素材である、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
有機素材が、魚または魚の廃棄物、ニワトリまたはニワトリの廃棄物である、請求項2に記載の方法。
【請求項4】
有機素材が植物起源の素材である、請求項1に記載の方法。
【請求項5】
有機素材が、キャベツ、ジャガイモ、またはジャガイモの皮などの、栽培された植物または栽培された植物の廃棄物である、請求項4に記載の方法。
【請求項6】
有機素材が、酵母または酵母の廃棄物などの、微生物起源の素材である、請求項1から5のいずれかに記載の方法。
【請求項7】
二酸化炭素を含むガスが、1から100%の、好ましくは20から100%の二酸化炭素を含んでいる、請求項1から6のいずれかに記載の方法。
【請求項8】
アンモニアを含む素材が、0.1から100%の、好ましくは0.5から100%のアンモニアを含んでいる、請求項1から7のいずれかに記載の方法。
【請求項9】
アンモニアを含む素材が、アンモニアを含む排水である、請求項1から8のいずれかに記載の方法。
【請求項10】
生物変換が、加圧されたプロセスである、請求項1から9のいずれかに記載の方法。
【請求項11】
生物変換が、大気圧より大きい圧力で行われる、請求項1から10のいずれかに記載の方法。
【請求項12】
生物変換が、およそ1.2から1.6気圧で、好ましくは2気圧より大きい圧力で行われる、請求項11に記載の方法。
【請求項13】
生物変換が、加圧されていないプロセスである、請求項1から9のいずれかに記載の方法。
【請求項14】
第一の反応器が加圧されている、請求項1から13のいずれかに記載の方法。
【請求項15】
第一の反応器中の圧力が1.8気圧より大きい、請求項14に記載の方法。
【請求項16】
生物変換が嫌気的条件下で行われる、請求項1から15のいずれかに記載の方法。
【請求項17】
使用されたアンモニアが、有機素材の加水分解中に生産された、請求項1から16のいずれかに記載の方法。
【請求項18】
生産されたバッファー化合物群が、炭酸水素アンモニウムまたは炭酸アンモニウム、そして、遊離のアンモニア及び/または炭酸を含んでいる、請求項1から17のいずれかに記載の方法。
【請求項19】
生産されたバッファー化合物群が、炭酸水素アンモニウムまたは炭酸アンモニウムと、遊離のアンモニア及び/または炭酸とを、1:10の比率で含んでいることに特徴づけられる、請求項18に記載の方法。
【請求項20】
少なくとも一つの第一の反応器(1)、少なくとも一つの第二の反応器(2)、少なくとも一つの第一の反応器(1)へと二酸化炭素または二酸化炭素を含むガスを吹き入れるためのパイプ(3)、少なくとも一つの第一の反応器(1)へとアンモニアまたはアンモニアを含む素材を吹き入れるためのパイプ(4)、少なくとも一つの第二の反応器(2)へバッファー化合物を移すためのパイプ(5)、少なくとも一つの第二の反応器(2)へ有機素材を移すためのパイプ(6)、少なくとも一つの第二の反応器(2)からバイオガスを移すためのパイプ(7)、そして少なくとも一つの第二の反応器(2)から加水分解されたまたは部分的に加水分解された素材を移すためのパイプ(8)、を含む、有機素材を処理するための装置。
【請求項21】
反応器が、バット、容器、またはパイプでもよい、請求項20に記載の装置。
【請求項22】
バッファー化合物または化合物群が第一の反応器(1)内で形成され、そして生物変換が第二の反応器(2)内で起こる、請求項20から21のいずれかに記載の装置。


【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公表番号】特表2007−510540(P2007−510540A)
【公表日】平成19年4月26日(2007.4.26)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−538876(P2006−538876)
【出願日】平成16年11月10日(2004.11.10)
【国際出願番号】PCT/FI2004/000667
【国際公開番号】WO2005/044743
【国際公開日】平成17年5月19日(2005.5.19)
【出願人】(506156252)
【Fターム(参考)】