説明

有機質入り消石灰の製造法

【課題】 生石灰と焼酎蒸留粕水分率85重量%及至95重量%を混合して、水分率15重量%以下にして、生石灰と焼酎蒸留粕とを消化分解処理することで、焼酎粕排水処理施設を無くす事と有機物入り消石灰を製造する事。
【解決手段】 含水等が85重量%及至95重量%ある焼酎蒸留粕を一定の大きさの丸型及び角型の角度に関係なく、焼酎蒸留粕を貯留できる枡に貯留し、その貯留した枡の中に生石灰を焼酎蒸留粕10に対して6以上投入撹拌して、焼酎蒸留粕内の水分を、生石灰の消化反応で分解処理して、その後、石灰のカルシウムイオンと、焼酎蒸留粕間のイオンで、イオン交換反応など電気的に凝縮する作用により団粒化して、焼酎蒸留粕内の塑性指数が減少して、焼酎蒸留粕に有機物を微生物醗酵した物質を取り込み有機質消石灰化を行うことを特徴としている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、焼酎蒸留粕と生石灰とを混合して、水分を排除することによって生石灰で有機物を取り込んだ有機質入り消石灰の製造法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来この種の生石灰(酸化カルシウム)から消石灰(水酸化カルシウム)を工業的に製造する方法としては、混合機を備え付けた消化反応装置に生石灰を消化水と共に投入し消化させ、熱成槽が設置されている場合には、必要に応じ熟成させて消石灰を得る乾式消化法が一般的に知られている現状である。
また、有機石灰として、一般的には、貝殻及び牡蠣殻等を高温熱処理して、石灰と混合して有機消石灰を製造している。
【0003】
更に、芋、米、麦の焼酎蒸留粕は、85重量%及至95重量%を含み液状状態で、焼酎製造工場より排出されている。該焼酎蒸留粕は、芋、米、麦等の澱粉を微生物分解し、糖化し、その糖化液を酵母にてアルコール発酵して、アルコールのみ抽出した栄養分を多く含んだ未利用液としている。
そして、その利用方法として、液又は乾燥飼料として利用している。乾燥に関しては、85重量%及至95重量%の高い水分率を持ち、大きい乾燥エネルギーを必要としていることと、液状飼料には、栄養価が高いために、腐敗菌管理に大きな設備費を必要としている現状である。
【0004】
また、焼酎蒸留粕に水分吸収材として、木材チップ、バカス、米糠、フスマ等を混合して、その混合物に、糸状菌等を添加して微生物醗酵処理方法で堆肥肥料を製造する方法では、該水分吸収材に焼酎蒸留粕水分率85重量%及至95重量%を投入撹拌して、その後、土壌微生物(糸状菌)等の好気性細菌を投入して撹拌し、微生物の醗酵熱を利用して自由水分等を下げる工程を行い、木材チップ入り醗酵堆肥等があるが、焼酎蒸留粕の水分率85重量%及至95重量%が高く吸収材の水分吸収面積を考えれば、堆肥工場の規模も著しく大きな敷地面積を必要とするものである。
更に、焼酎蒸留粕は、廃酸として処理が行われているのと、メタン醗酵処理方法が大規模焼酎製造工場の主流になっているものである。
しかしながら、メタン菌発生のメタンガス利用に関しては、ガス化時間10日及至30日を要して、醗酵効率も55%及至65%程度あり、最終的には、メタン菌醗酵残渣(汚泥)5%及至30%が出来て、硝化、脱窒、活性炭吸着処理、排水処理等と産業廃棄物処理から再度産業廃棄物を製造していると云う矛盾を兼ねているものである。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
従来の各種の問題点を述べると、
▲1▼ 生石灰を消化水と共に投入し消化させる。
▲2▼ 消石灰とミネラル等の土壌散布を2度の労力を費やしているために、アミノ酸態窒素入り有機質消石灰投入で土壌酸性化改良と有機物(蛋白質醗酵物)等の土壌散布が同時に行えることである。
▲3▼ 芋、米、麦焼酎蒸留粕は、水分率85重量%及至95重量%を含み液状状態であるために乾燥飼料等の乾燥を水分率13重量%及至15重量%の加工には大きな乾燥エネルギーを伴うものである。
▲4▼ 焼酎粕に水分吸収材を利用して、微生物醗酵処理方法で堆肥肥料を製造する方法では、木材チップ等の水分吸収材に焼酎粕水分率85重量%及至95重量%を投入して、好気性微生物醗酵処理を行うが、焼酎粕の水分率が高いので、水分吸収材の面積を大きく必要として、設備の大型化が不可欠となるものである。
▲5▼ 焼酎蒸留粕のメタン醗酵処理方法では、メタン醗酵効率が55%及至65%程度と、ガス化時間10日及至30日を要することと、メタン醗酵汚泥が5%及至30%が出来て、硝化、脱窒、活性炭吸着処理等の再処理と排水処理など産業廃棄物処理から再度産業廃棄物を製造していると云う矛盾を兼ねているものである。
本発明のものは、これら従来の各種の問題を解決するものであって、生石灰から消石灰を工業的に製造する方法である。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の有機質入り消石灰の製造法においては、水分率85重量%及至95重量%ある焼酎蒸留粕を一定の大きさの丸型及び角型の角度に関係なく、焼酎蒸留粕を貯留できる枡に貯留し、その貯留した枡の中に生石灰を焼酎蒸留粕10に対して6以上投入撹拌して、焼酎蒸留粕間のイオンとイオン交換反応など電気的に凝縮する作用により団粒化して、焼酎蒸留粕内の塑性指数が減少して、焼酎粕(蛋白質を微生物醗酵処理)を取り込みアミノ酸態窒素入りの有機質消石灰化を行う工程である。
【発明の効果】
【0007】
本発明は、以上説明したように構成されているので、従来の焼酎蒸留粕は、廃棄ならび大部分が未利用であったが、アミノ酸態窒素を含む有機質消石灰として製造したので、従来にない高付加価値の製品となる効果がある。
また、本発明のものが、焼酎蒸留粕10に対して生石灰6以上挿入撹拌する事によって、焼酎蒸留粕の水分率を生石灰によって確実に分解処理できる効果と、該有機質消石灰を利用することで、酸性土壌が中和され、且つ植物が必要としている植物類醗酵のアミノ酸態窒素、ミネラル、ビタミン等を利用することによって、酸性土壌中和と植物の栄養補給が同時に出来る効果がある。
更に、焼酎製造元より排出される焼酎蒸留粕は、その処理方法は、海洋投棄禁止で近年は、陸上処理が検討されているが、乾燥飼料、液状飼料、乾燥堆肥、メタン醗酵処理等は、何れも処理施設が大きく設備投資金額も膨大で、ランニングコストが著しく多くかかる問題があったが、本発明の有機質消石灰の製造技術を利用すれば、著しく安価に出来る効果がある。
また、焼酎蒸留粕は、多量の水分を含みBOD50,000ppm以上あるので工場排水は、大規模排水処理装置と多額のランニングコストとが必要とされたが、本発明によれば、焼酎粕処理のための排水処理施設を省略する事が出来る有益な効果がある。
【発明を実施するための形態】
【0008】
本発明は、含水率85重量%及至95重量%ある焼酎蒸留粕を一定の大きさの丸型及び角型の角度に関係なく、焼酎蒸留粕を貯留できる枡に貯留し、その貯留した枡の中に生石灰を焼酎蒸留粕10に対して6以上投入撹拌して、焼酎蒸留粕内の水分率を、生石灰の消化反応で分解処理して、その後、生石灰のカルシウムイオンと、焼酎蒸留粕間のイオンで、イオン交換反応など電気的に凝縮する作用により団粒化して、焼酎蒸留粕内の塑性指数が減少して、焼酎蒸留粕(有機物を微生物醗酵した物質)を取り込み有機質消石灰化を行うものである。
【実施例1】
【0009】
本発明の実施例を示すフローチャートである。
焼酎蒸留粕

焼酎蒸留粕+生石灰

水分消化反応(撹拌)

イオン交換反応

製品原料(有機物入り消石灰)

粉末化・ペレット化

袋詰め

出荷
【実施例2】
【0010】
本発明の焼酎蒸留粕に生石灰を混合した有機物入りの消石灰の製造法としては、以下のような8工程に分かれる。
【0011】
▲1▼ 1番目の工程においては、含水率85重量%及至95重量%の焼酎蒸留粕を一定の大きさの丸型及び角型の角度に関係なく、焼酎蒸留粕を貯留できる枡に貯留する工程である。
【0012】
▲2▼ 2番目の工程では、1番目の工程で一定の大きさの枡に貯留した焼酎蒸留粕に対して、生石灰を焼酎蒸留粕10に対して6以上になるように投入を行う工程である。
【0013】
▲3▼ 3番目の工程では、2番目の工程で焼酎蒸留粕入りの枡の中に投入した生石灰を撹拌し、消化反応を促す工程である。
【0014】
▲4▼ 次に、4番目の工程では、3番目の工程が終了して、その後、石灰のカルシウムイオンと焼酎蒸留粕間のイオンで、イオン交換反応など電気的に凝縮する作用により団粒化する工程である。
【0015】
▲5▼ 5番目の工程では、4番目の工程が終了して、製品の均一化を図る工程である。
【0016】
▲6▼ 6番目の工程では、5番目の工程で製品の均一化を図れて、粉末化、ペレット化する工程である。
【0017】
▲7▼ 7番目の工程では、6番目の工程が終了して、製品を袋詰めにする工程である。
【0018】
▲8▼ 最後の8番目の工程では、袋詰めにした製品等を出荷する工程である。
【0019】
以下本発明の実施例の第1番目及至第8番目の工程を示すものである。


【特許請求の範囲】
【請求項1】
含水等が85重量%及至95重量%の焼酎蒸留粕に対し、該焼酎蒸留粕10に対して生石灰6以上を挿入撹拌して、焼酎蒸留粕内の水分を生石灰の消化反応で分解処理し、その後、生石灰のカルシウムイオンと該焼酎蒸留粕との間のイオンとイオン交換反応によって電気的に凝縮する作用により団粒化することを特徴とする有機質入り消石灰の製造法。
【請求項2】
請求項1における焼酎蒸留粕の水分率を15重量%及至30重量%としたことを特徴とする請求項1の有機質入り消石灰の製造法。

【公開番号】特開2012−46403(P2012−46403A)
【公開日】平成24年3月8日(2012.3.8)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−202429(P2010−202429)
【出願日】平成22年8月24日(2010.8.24)
【出願人】(510243883)
【Fターム(参考)】