説明

有機金属錯体に対応するキラル三座化合物、その調製方法、および不斉触媒反応における配位子としての前記化合物ならびに錯体の使用

本発明は、式(I)または式(II)の化合物(式中、Wは、酸素原子または式NHを有する基であり;Xは、水素、アルカリ陽イオン、C1〜C8アルキル、または−(CH−C(R)(R)(R)基であり;一方でXおよびR、他方でXおよびRは独立に、場合により置換されている5、6、または7個の結合を有する環を形成することができる)に関する。本発明はまた、前記化合物と、銅、パラジウム、ルテニウム、イリジウム、およびロジウムを含む群から選択される少なくとも1つの金属との錯体、ならびにこれらの化合物の合成方法に関する。これらの化合物および錯体は、種々の不斉触媒反応方法において使用することができる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明の分野は触媒化学分野である。
【0002】
より詳細には、本発明は、アゾメチン型構造を有する新規なキラル三座化合物に関する。
【0003】
本発明はまた、このような化合物を種々の遷移金属、特に銅、パラジウム、ルテニウム、イリジウム、およびロジウムと錯形成することによって得られる金属アゾメチニレート(azomethinylate)型有機金属錯体に関する。
【0004】
本発明はまた、種々の遷移金属を使用した不斉触媒反応方法、たとえば、特に、排他的なものではないが、共役付加、水素化、C−H活性化、異性化、およびC−CならびにC−N結合形成のエナンチオ選択的な触媒反応方法における、このような化合物または錯体の使用に関する。
【0005】
本発明はまた、このような化合物、特に、キラルなアゾメチニレートジフェニルホスフィノアリールおよびキノリン塩を、鏡像異性的に富んだα−およびβ−アミノカルボン酸、および多種多様に置換された芳香族アルデヒドから合成する方法に関する。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明の一目的は、市場で低価格で入手可能な非常に多様化したキラル源、すなわちα−およびβ−アミノカルボン酸から迅速に入手可能である新規な三座配位子を提案することである。
【0007】
本発明の別の一目的は、このような新規な配位子およびそれらに関連する錯体が種々の遷移金属を含む不斉触媒反応において優れた反応性およびエナンチオ選択性を有することができることを説明することである。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明は、式(I)または(II):
【化1】

(式中:
Wは、酸素原子または式NHを有する基であり;
Xは、水素、アルカリ陽イオン、C1〜C8アルキル、または−(CH−C(R)(R)(R)基(式中、R、R、およびRは独立に、水素、C1〜C8アルキル、C5もしくはC6シクロアルキル、アリール、またはナフチルであり、場合により置換されている)であり;一方でXおよびR、他方でXおよびRは独立に、場合により置換されている5、6、または7個の鎖を有する環を形成することができ;
=0または1であり;
=0、1、または2であり;
=0〜4であり;
RおよびRは独立に、C1〜C8アルキル、場合により置換されているC5あるいはC6シクロアルキル、場合により置換されているナフチル、または−(CH−C(R)(R10)V基(式中、RおよびR10は独立に、水素、C1〜C6アルキル、C5もしくはC6シクロアルキル、またはアリールである)であり;一方でRおよびR、他方でRおよびRは独立に、場合により置換されている3、4、5、6、または7個の鎖を有する環を形成することができ;一方でRおよびR、他方でRおよびRは独立に、場合により置換されている3、4、5、6、または7個の鎖を有する環を形成することができ;
Vは式:
(CH
を有する基であり;
Yは、水素、ハロゲン、OR11、SR12、COOR13、NHCOR14、C5もしくはC6シクロアルキル、または場合により置換されているアリールであり;
=0または1であり;
=1〜6であり;
は、水素、C1〜C8アルキル、または場合により置換されているアリールもしくはナフチルであり;
は、C1〜C6アルキル、ハロゲン、またはOR15であり;
Zは、式P(R16を有する基、式SR17を有する基、式OR18を有する基、式P(O)R19を有する基、式SO20を有する基、または式NR21を有する基であり;
11、R12、R13、R14、R15は独立に、H、C1〜C6アルキル、C5もしくはC6シクロアルキル、または場合により置換されているアリールであり;
16、R17、R18、R19、R20、R21は独立に、C1〜C6アルキル、C6シクロアルキル、またはアリールである。)
のいずれかの化合物に関する。
【0009】
代案の1つによると、本発明の化合物は、特に式Ia−K、Ia−Na、またはIb−K:
【化2A】

【化2B】

を有する化合物などのジフェニルホスフィノフェニルアゾメチニレートである。
【0010】
別の一実施形態によると、これは式Icを有する化合物である。
【化3】

【0011】
別の代案の1つによると、本発明による化合物は、特に式IIa−KまたはIIa−Naを有する化合物などのキノリン−アゾメチニレートである。
【化4】

【0012】
本発明はまた、特に、式:
【化5】

を有する錯体などの、前述の化合物と、銅、パラジウム、ルテニウム、イリジウム、およびロジウムからなる群から選択される少なくとも1つの金属とのあらゆる錯体に関する。
【0013】
本発明はまた、前述の化合物の合成方法であって:
アミノカルボン酸:
【化6】

から式Aの生成物を得るステップと、
得られた生成物に、式B:
【化7】

のアルデヒドまたはケトン、ならびに式C:
【化8】

のアルデヒドまたはケトンの群から選択されるアルデヒドまたはケトンを加えるステップと、からなるステップを含むことを特徴とする合成方法に関する。
【0014】
代案の1つによると、該アルデヒドは、ジフェニルホスフィン−ベンズアルデヒドおよびキノリン−8カルボキシアルデヒドからなる群から選択される。
【0015】
式Ia−K、Ia−Na、IIa−K、またはIIa−Naの前述の化合物の場合、本発明による方法は好ましくは、以下の反応パターンの群:
【化9A】

【化9B】

から選択される反応パターンを含む。
【0016】
最後に、本発明はまた、不斉触媒反応方法における上記化合物または錯体のあらゆる使用に関する。
【0017】
本発明およびその種々の利点は、以下の本発明による化合物および錯体の種々の実施形態の説明、ならびに種々の不斉触媒反応方法におけるそれらの使用の説明によって、より容易に理解できる。
【発明を実施するための形態】
【0018】
式(I)の化合物の2つの例、すなわちtert−ロイシンから得られるジフェニルホスフィノフェニル−アゾメチニレートナトリウム塩およびカリウム塩(Ia−NaおよびIa−K)の合成、ならびに式(II)の化合物の2つの例、すなわちtert−ロイシンから得られるキノリン−アゾメチニレートナトリウム塩およびカリウム塩(IIa−NaおよびIIa−K)の合成を以下に詳細に説明する。
【0019】
これらの合成は以下に示す合成パターンを有する:
【化10】

【0020】
Ia−Kの合成
冷却剤を含有する試験シリンダー中で、モレキュラーシーブ4Åを活性化させる。脱気無水メタノール(1mmol当たり2mL)中のtert−L(+)−ロイシン(131mg、1mmol、1当量)と水酸化カリウム(56mg、1mmol、1当量)との溶液を加える。次にオルトデフェニルホスフィン−ベンズアルデヒド(290mg、1mmol、1当量)を加え、混合物を40℃において激しい撹拌下で3時間維持する。次に溶媒を蒸発させる。カリウム=tert−ロイシン=ホスフィノアゾメチニレート(Ia−K)が、黄色がかった固体(432mg、98%)の形態で得られる。
【化11】

【0021】
この化合物のRMN特性は以下の通りである:
RMN H:(400MHz,CDDO)δ(ppm):8.81(d,H,PJ=5.3Hz,1H,H);8.17−8.14(m,1H,H);7.25−7.12(m,12H,H,H,H8−17);6.73−6.69(m,1H,H);3.28(s,1H,H);0.74(s,9H,H)。
【0022】
RMN31P:(162MHz,CDDO)δ(ppm):−15.52(s,P)
【0023】
RMN13C:(100MHz,CDOD)δ(ppm):179.07(1C,C19);160.15(1C,C);141.11(1C,C20);138.81(1C,C21);137.73(1C,C22);137.40(1C,C23);135.25(4C,C8,12,13,17);133.97(1C,C);131.27(1C,C);130.15−128.85(8C,C5,6,9,10,11,14,15,16);88.64(1C,C);35.29(1C,C18);27.84(3C,C
【0024】
IIa−Kの合成
冷却剤を含有する試験シリンダー中で、モレキュラーシーブ4Åを活性化させる。脱気無水メタノール(1mmol当たり2mL)中のtert−L(+)−ロイシン(41.7mg、0.32mmol、1当量)と水酸化カリウム(17.8mg、0.32mmol、1当量)との溶液を加える。次にキノリン−8−カルボキシアルデヒド(50mg、0.32mmol、1当量)を加え、混合物を40℃において激しい撹拌下で3時間維持する。次に溶媒を蒸発させる。カリウム=tert−ロイシン=キノレインゾメチニレート(quinoleinezomethinylate)(IIa−K)が褐色固体(96mg、97%)の形態で得られる。
【化12】

【0025】
この化合物のRMN特性は以下の通りである:
RMN H:(400MHz,CDDO)δ(ppm):9.47(s,1H,H10);8.91(d,J=2.6,1H,H);8.55(d,J=7.0,1H,H);8.3(d,J=8.1,1H,H);8.00(d,J=7.9,1H,H);7.67(t,J=7.7,1H,H);7.53(dd,J=4.0,J=8.4,1H,H);3.76(s,1H,H11);1.11(s,9H,H13
【0026】
RMN 13C:(100MHz,CDDO)δ(ppm):179.52(1C,C14);159.66(1C,C10);151.36(1C,C);147.67(1C,C);137.95(1C,C);134.17(1C,C);131.62(1C,C);129.88(1C,C);129.77(1C,C);127.63(1C,C);122.56(1C,C);88.97(1C,C11);35.49(1C,C12);28.11(3C,C13)。
【0027】
Ia−Naの合成
水酸化カリウムの代わりに水酸化ナトリウムを使用して、化合物Ia−Kの合成に使用した方法と同様の合成方法を実施した。
【0028】
IIa−Naの合成
水酸化カリウムの代わりに水酸化ナトリウムを使用して、化合物IIa−Kの合成に使用した方法と同様の合成方法を実施した。
【0029】
別の一実施形態により、化合物Ib−Kの合成も行った。
【0030】
Ib−Kの合成
冷却剤を含有する試験シリンダー中で、モレキュラーシーブ4Åを活性化させる。脱気無水メタノール(1mmol当たり2mL)のL(+)−ロイシン(65.5mg、0.5mmol、1当量)と水酸化カリウム(28mg、0.5mmol、1当量)との溶液を加える。次にオルトジフェニルホスフィン−ベンズアルデヒド(145mg、0.5mmol、1当量)を加え、混合物を40℃において激しい撹拌下で3時間維持する。次に溶媒を蒸発させる。カリウム=イソ−ロイシン=ホスフィノアゾメチニレート(Ib−K)が黄色がかった固体(209mg、95%)の形態で得られる。
【化13】

【0031】
この化合物のRMN特性は以下の通りである:
RMN H:(400MHz,CDDO)δ(ppm):8.88(d,H,PJ=5.5Hz,1H,H);8.06−8.02(m,1H,H);7.28−7.07(m,12H,H,H,H10−19);6.72−6.69(m,1H,H);3.70(dd J=4.4Hz,J=9.7Hz,1H,H);1.55(qd,J=4.4Hz,J=9.7Hz,2H,H);0.89(m,1H,H);0.62(d,J=6.6Hz,3H,H5’);0.51(d,J=6.4Hz,3H,H5’’
【0032】
RMN 31P:(162MHz,CDDO)δ(ppm):−14.59(s,1P)
【0033】
RMN 13C:(100MHz,CDDO)δ(ppm):180.90(1C,C20);161.59(1C,C);141.42(1C,C21);139.32(1C,C24);139.13(1C,C23);138.0(1C,C);137.74(1C,C22);135.8(4C,C10,14,15,19);134.33(1C,C);131.87−129.13(8C,C7,8,11−13,16−18);76.94(1C,C);44.54(1C,C);25.7(1C,C5’’);24.3(1C,C5’);21.9(1C,C
【0034】
別の一実施形態により、ホスフィノアゾメチニレート=バリン=メチルエステル(Ic)の合成を行った。
【0035】
ホスフィノアゾメチニレート=バリン=メチルエステル(Ic)の合成
【化14】

500mgのL−(+)−バリン塩酸塩メチルエステルを丸底フラスコ中に入れる。45mLの緩衝液(KHPO/KPO(pH=12.4))、続いて22.5mLの無水ジクロロメタンを連続して加える。得られた混合物を室温で30分間撹拌する。有機相を分離して、ブラインで洗浄し、硫酸マグネシウム上で乾燥させ、濾過し、真空下で濃縮する。
【0036】
冷却剤を含有する試験シリンダー中で、モレキュラーシーブ4Åを活性化させる。脱気無水メタノール(1mmol当たり2mL)中のL(+)−バリンメチルエステル(45.27mg、0.34mmol、1当量)の溶液を加える。次にオルトジフェニルホスフィン−ベンズアルデヒド(100mg、0.34mmol、1当量)を加え、その混合物を40℃において激しい撹拌下で終夜維持する。次に溶媒を蒸発させる。
【0037】
この化合物のRMN特性は以下の通りである:
RMN H:(400MHz,CDDO)δ(ppm):8.81(d,H,PJ=5.8Hz,1H,H);7.89(m,1H,H);7.27−7.12(m,12H,H,H,H8−17,21,22);6.78−6.75(m,1H,H);3.52(s,3H,H24),3.44(d,J=7.3Hz,1H,H),2.08(sept,J=6.6Hz,1H,H18),0.69(d,J=6.8Hz,3H,H’);0.56(d,J=6.6Hz,3H,H3’’)。
【0038】
RMN 31P:(162MHz,CDDO)δ(ppm):−14.62(s,1P)。
【0039】
本発明による錯体の一実施形態において、以下の反応パターンにより、カリウム=ジフェニルホスフィノフェニル−アゾメチニレートIa−Kから以下の銅(II)錯体III−Cuを合成した:
【化15】

【0040】
式III−Cuの化合物の合成
【化16】

tert−ロイシン=ホスフィノアゾメチニレートカリウム塩(100mg、0.23mmol、1当量)と銅ビス−トリフレートCu(OTf)(114mg、0.23mmol、1当量)とを丸底フラスコ中に入れる。次に無水THF(9mL、1mmol当たり40mL)を加える。反応混合物を室温で1時間撹拌する。溶媒を蒸発させ、得られた生成物を減圧下で乾燥させる。緑色粉末が得られる(210mg、98%)。
【0041】
本発明による化合物Ia−Kを使用して、1,4ジエチル亜鉛の2−シクロヘキセノンと5−メチル−3−ヘキセン−2−オンとに対する付加反応を行った。
【0042】
これらの実施例では、以下の手順を使用した。
【0043】
銅(II)ビス−トリフレート(0.02mmol、0.02当量)などの銅源、化合物Ia−K(0.02mmol、0.02当量)、シクロドデカン(内部標準)、および無水溶媒(3mL)をシュレンク(Schlenk)管の中に投入する。この混合物を室温で10分間撹拌した後、ジエチル亜鉛(1.5mmol、1.5当量)を加える。この反応媒体の温度を−15℃にして、5分間撹拌した後、基質(1mmol、1当量)を加える。
【0044】
塩酸の1モル溶液を5mL加えることによって反応を停止させ、透明になるまで混合物を撹拌する。混合物をジエチルエーテルで希釈し、その有機相を静置し、飽和塩化ナトリウム溶液で洗浄し、硫酸マグネシウム上で乾燥させ、濾過し、濃縮する。気相クロマトグラフィーによって反応率を測定し、キラル気相クロマトグラフィーによって鏡像体過剰率(enantiomeric excess)を求める。
【0045】
1,4ジエチル亜鉛を2−シクロヘキセノンに付加して、3−エチルシクロヘキサノンを得る場合、6時間後に98%の反応率、および99%の鏡像体過剰率が観察された。
3−エチルシクロヘキサノン
【化17】

リポデックス(Lipodex)E、25m;50℃(5分)−2℃/分−110℃(0分)−10℃/分−160℃(10分);R(R)=25.4分;R(S)=26.1分
【0046】
1,4ジエチル亜鉛を5−メチル−3−ヘキセン−2−オンに付加して、4−エチル−5−メチルヘキサン−2−オンを得る場合、14時間後に65%の反応率、および91%の鏡像体過剰率が観察された。
4−エチル−5−メチルヘキサン−2−オン
【化18】

リポデックスE、25m;50℃(5分)−0.5℃/分−110℃(0分)−10℃/分−160℃(10分);R(R)=45.3分;R(S)=47.0分
【0047】
ルテニウム錯体RuCl(PPhによる触媒作用を受ける水素化物を移動させることによる、アセトフェノンから1−フェニルエタノールへの還元反応にも、本発明による化合物Ia−Kを使用した。以下の手順を使用した。
【0048】
RuCl(PPh(0.01mmol、0.01当量)、本発明による化合物Ia−K(0.01mmol、0.01当量)、シクロドデカン(内部標準)、および無水低温脱気イソプロパノール(5mL)をシュレンク管中に投入する。混合物を80℃に加熱し、1時間撹拌する。室温まで冷却した後、無水イソプロパノール(2mL)中のアセトフェノン(1mmol、1当量)の溶液を加える。反応媒体を80℃まで加熱し、撹拌を15分間続ける。室温まで冷却した後、イソプロパノール(3mL)中の水酸化ナトリウム溶液(0.25mmol、0.25当量)を加える。反応媒体を65℃まで加熱し、撹拌を2時間続ける。
【0049】
塩酸の1モル溶液を0.5mL加えることによって反応を停止させ、混合物を5分間撹拌する。得られた混合物を濃縮し、その残渣を10mLの酢酸エチルおよび5mLの蒸留水と混合する。その有機相を静置し、飽和塩化ナトリウム溶液で洗浄し、硫酸マグネシウム上で乾燥させ、濾過し、濃縮する。気相クロマトグラフィーによって反応率を測定し、キラル気相クロマトグラフィーによって鏡像体過剰率を求める。
【0050】
2時間後に98%の反応率、および48%の鏡像体過剰率が観察された。
1−フェニルエタノール
【化19】

リポデックスE、25m;80℃(5分)−0.7℃/分−130℃(0分)−10℃/分−160℃(10分);R(R)=33.8分;R(S)=34.5分

【特許請求の範囲】
【請求項1】
式(I)または式(II)
【化1】

(式中:
Wは、酸素原子または式NHを有する基であり;
Xは、水素、アルカリ陽イオン、C1〜C8アルキル、または−(CH−C(R)(R)(R)基(式中、R、R、およびRは独立に、水素、C1〜C9アルキル、C5もしくはC6シクロアルキル、アリール、またはナフチルであり、場合により置換されている)であり;一方でXおよびR、他方でXおよびRは独立に、場合により置換されている5、6、または7個の鎖を有する環を形成することができ;
=0または1であり;
=0、1、または2であり;
=0〜4であり;
RおよびRは独立に、C1〜C8アルキル、場合により置換されているC5あるいはC6シクロアルキル、場合により置換されているナフチル、または−(CH−C(R)(R10)V基(式中、RおよびR10は独立に、水素、C1〜C6アルキル、C5もしくはC6シクロアルキル、またはアリールである)であり;一方でRおよびR、他方でRおよびRは独立に、場合により置換されている3、4、5、6、または7個の鎖を有する環を形成することができ;一方でRおよびR、他方でRおよびRは独立に、場合により置換されている3、4、5、6、または7個の鎖を有する環を形成することができ;
Vは式:
(CH
を有する基であり;
Yは、水素、ハロゲン、OR11、SR12、COOR13、NHCOR14、C5もしくはC6シクロアルキル、または場合により置換されているアリールであり;
=0または1であり;
=1〜6であり;
は、水素、C1〜C8アルキル、または場合により置換されているアリールもしくはナフチルであり;
は、C1〜C6アルキル、ハロゲン、またはOR15であり;
Zは、式P(R16を有する基、式SR17を有する基、式OR18を有する基、式P(O)R19を有する基、式SO20を有する基、または式NR21を有する基であり;
11、R12、R13、R14、R15は独立に、H、C1〜C6アルキル、C5もしくはC6シクロアルキル、または場合により置換されているアリールであり;
16、R17、R18、R19、R20、R21は独立に、C1〜C6アルキル、C6シクロアルキル、またはアリールである。)
の化合物。
【請求項2】
ジフェニルホスフィノフェニルアゾメチニレートであることを特徴とする、請求項1に記載の化合物。
【請求項3】
キノリン−アゾメチニレートであることを特徴とする、請求項1に記載の化合物。
【請求項4】
式:
【化2A】

【化2B】

を有する化合物からなる群から選択されることを特徴とする、請求項2に記載の化合物。
【請求項5】
式:
【化3】

を有する、請求項2に記載の化合物。
【請求項6】
式:
【化4】

を有する、請求項1に記載の化合物。
【請求項7】
式:
【化5】

を有する化合物からなる群から選択されることを特徴とする、請求項3に記載の化合物。
【請求項8】
請求項1〜7のいずれかに記載の化合物と、銅、パラジウム、ルテニウム、イリジウム、およびロジウムからなる群から選択される少なくとも1つの金属との錯体。
【請求項9】
前記錯体が式:
【化6】

を有することを特徴とする、請求項8に記載の錯体。
【請求項10】
アミノカルボン酸:
【化7】

から式Aの生成物を得るステップと、
前記得られた生成物に、式B:
【化8】

のアルデヒドまたはケトン、ならびに式C:
【化9】

のアルデヒドまたはケトンの群から選択されるアルデヒドまたはケトンを加えるステップと、
からなるステップを含むことを特徴とする、請求項1〜7のいずれかに記載の化合物を合成する方法。
【請求項11】
前記アルデヒドが、ジフェニルホスフィン−ベンズアルデヒドおよびキノリン−8カルボキシアルデヒドからなる群から選択されることを特徴とする、請求項10に記載の方法。
【請求項12】
以下の反応パターンの群:
【化10】

から選択される反応パターンを含む、式Ia−K、Ia−Na、IIa−K、またはIIa−Naを有する化合物を合成するための、請求項11に記載の方法。
【請求項13】
不斉触媒反応方法における請求項1〜10のいずれかに記載の化合物または錯体の使用。

【公表番号】特表2011−500646(P2011−500646A)
【公表日】平成23年1月6日(2011.1.6)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−529405(P2010−529405)
【出願日】平成20年10月17日(2008.10.17)
【国際出願番号】PCT/EP2008/064067
【国際公開番号】WO2009/050284
【国際公開日】平成21年4月23日(2009.4.23)
【出願人】(510108412)エコール・ナシオナル・シュペリウール・ドゥ・シミ・ドゥ・レンヌ (1)
【出願人】(510108401)セエヌエールエス(サントル・ナシオナル・ドゥ・ラ・ルシェルシュ・シアンティフィーク) (2)
【Fターム(参考)】