説明

有機電界発光素子

【課題】発光効率が良好で、高い耐久性を示す有機電界発光素子を提供すること。
【解決手段】陽極と陰極とからなる一対の電極間に発光層を含む複数の有機化合物層を有する有機電界発光素子であって、発光層と陰極との間に、3座以上の配位子を有する金属錯体を含む層を少なくとも一層有することを特徴とする有機電界発光素子。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、電気エネルギーを光に変換して発光できる有機電界発光素子(EL素子)に関する。
【背景技術】
【0002】
有機電界発光(EL)素子は、低電圧で高輝度の発光を得ることができるため、有望な表示素子として注目されている。この有機電界発光素子の重要な特性値として、外部量子効率がある。外部量子効率は、「外部量子効率φ=素子から放出されたフォトン数/素子に注入された電子数」で算出され、この値が大きいほど消費電力の点で有利な素子と言える。
【0003】
有機電界発光素子の外部量子効率は、「外部量子効率φ=内部量子効率×光取り出し効率」で決まる。有機化合物からの蛍光発光を利用する有機EL素子においては、内部量子効率の限界値が25%であり、光取り出し効率が約20%であることから、外部量子効率の限界値は約5%とされている。
【0004】
発光素子の特性をさらに向上する手段として、オルトメタル化イリジウム錯体(Ir(ppy)3:Tris−Ortho−Metalated Complex of Iridium(III) with 2−Phenylpyridine)からの発光を利用した緑色発光素子が報告されている(例えば特許文献1参照)。この特許文献1に記載のりん光発光素子は、従来の一重項発光素子に比べて緑色及び赤色の発光効率が大幅に向上しているが、耐久性の点で改良が望まれている。
【特許文献1】米国特許2002/0034656A1号
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明の目的は、高い発光効率及び高い耐久性の少なくとも1つを示す有機電界発光素子の提供にある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
この課題は下記手段によって達成された。
1.陽極と陰極とからなる一対の電極間に発光層を含む複数の有機化合物層を有する有機電界発光素子であって、発光層と陰極との間に、3座以上の配位子を有する金属錯体を含む層を少なくとも一層有することを特徴とする有機電界発光素子。
2.前記3座以上の配位子が、4座配位子であることを特徴とする上記1に記載の有機電界発光素子。
3.前記金属錯体の金属イオンが、ロジウムイオン、パラジウムイオン、レニウムイオン、イリジウムイオン、または、白金イオンであることを特徴とする上記1または2に記載の有機電界発光素子。
4.前記金属錯体が、下記一般式(1)で表される化合物であることを特徴とする上記1〜3のいずれかに記載の有機電界発光素子。
【0007】
【化1】

【0008】
11は金属イオンを表す。Q11、Q12、Q13、Q14はそれぞれM11に配位する原子群を表す。L11、L12、L13、L14はそれぞれ単結合または連結基を表す。n11は0または1を表す。n11が0の時は、Q13とQ14の間のL14を介した結合は存在しない。M11−Q11間の結合、M11−Q12間の結合、M11−Q13間の結合、M11−Q14間の結合は、共有結合であっても良いし、配位結合であっても良いし、イオン結合であっても良い。
5.前記一般式(1)で表される化合物が、下記一般式(2)で表される化合物であることを特徴とする上記4に記載の有機電界発光素子。
【0009】
【化2】

【0010】
21は金属イオンを表す。Q23、Q24はそれぞれM21に配位する原子群を表す。L22は連結基を表す。R21、R22はそれぞれ置換基を表す。m21、m22はそれぞれ0〜3の整数を表す。M21−N間の結合(点線部)は、配位結合を示す。M21−Q23間の結合及びM21−Q24間の結合は、共有結合であっても良いし、配位結合であっても良いし、イオン結合であっても良い。
6.前記発光層が発光材料を含有し、前記発光材料がりん光材料であることを特徴とする上記1〜5のいずれかに記載の有機電界発光素子。
7.前記発光材料が、4座以上の配位子を有する金属錯体であることを特徴とする上記1〜6に記載の有機電界発光素子。
【発明の効果】
【0011】
本発明によれば、高い発光効率及び高い耐久性の少なくとも1つを示す有機電界発光素子を提供することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0012】
本発明の有機電界発光素子は、陽極と陰極とからなる一対の電極間に発光層を含む複数の有機化合物層を有し、発光層と陰極の間に、3座以上の配位子を有する金属錯体を含む層を少なくとも一層を有している。
この発光層と陰極の間に存在する3座以上の配位子をする金属錯体を少なくとも含む層は、発光層に隣接していても良いし、陰極に隣接していても良いし、発光層、陰極双方に隣接していなくても良いが、発光層もしくは陰極に隣接していることが好ましく、発光層に隣接していることがより好ましい。
【0013】
3座以上の配位子をする金属錯体の金属イオンは、遷移金属イオンであることが好ましく、ルテニウムイオン、ロジウムイオン、パラジウムイオン、銀イオン、タングステンイオン、レニウムイオン、オスミウムイオン、イリジウムイオン、白金イオン、金イオンが好ましく、ロジウムイオン、パラジウムイオン、レニウムイオン、イリジウムイオン、白金イオンがより好ましく、白金イオン、パラジウムイオンがさらに好ましく、白金イオンが特に好ましい。
【0014】
金属錯体は、4座の配位子を有することが好ましい。
配位子としては、上記の金属イオンに配位する原子群であれば特に限定されないが、例えば、炭素原子で配位する原子群、窒素原子で配位する原子群、酸素原子で配位する原子群、硫黄原子で配位する原子群、りん原子で配位する原子群等を挙げることができ、炭素原子で配位する原子群がより好ましい。すなわち、金属錯体は炭素で配位する配位子を有する錯体(有機金属錯体)であることがより好ましい。
配位により形成される金属イオンと配位子との結合としては、配位結合、共有結合、イオン結合が挙げられる。
【0015】
本発明に係る金属錯体は低分子化合物であっもて良く、また、オリゴマー化合物、金属錯体を主鎖または側鎖に有するポリマー化合物(重量平均分子量(ポリスチレン換算)は好ましくは1000〜5000000、より好ましくは2000〜1000000、さらに好ましくは3000〜100000である。)であっても良い。本発明の化合物は低分子化合物が好ましい。
【0016】
3座以上の配位子をする金属錯体としては、一般式(1)で表される化合物であることが好ましく、一般式(2)で表される化合物であることがより好ましい。
【0017】
一般式(1)について説明する。M11は金属イオンを表し、遷移金属イオンであることが好ましく、ルテニウムイオン、ロジウムイオン、パラジウムイオン、銀イオン、タングステンイオン、レニウムイオン、オスミウムイオン、イリジウムイオン、白金イオン、金イオンが好ましく、ロジウムイオン、パラジウムイオン、レニウムイオン、イリジウムイオン、白金イオンがより好ましく、白金イオン、パラジウムイオンがさらに好ましく、白金イオンが特に好ましい。
【0018】
11、Q12、Q13、Q14はそれぞれM11に配位する(配位により形成される結合としては、例えば配位結合、共有結合、イオン結合 がある)原子群をす。Q11
12、Q13、Q14はM11に配位する原子群であれば、特に限定されないが、炭素原子で配位する原子群、窒素原子で配位する原子群、酸素原子で配位する原子群、硫黄原子で配位する原子群、りん原子で配位する原子群が好ましく、炭素原子で配位する原子群、窒素原子で配位する原子群、酸素原子で配位する原子群がより好ましく、炭素原子で配位する原子群、窒素原子で配位する原子群がさらに好ましい。
【0019】
炭素原子で配位する原子群としては、例えばイミノ基、芳香族炭化水素環基(ベンゼン、ナフタレンなど)、ヘテロ環基(チオフェン、ピリジン、ピラジン、ピリミジン、ピリダジン、トリアジン、チアゾール、オキサゾール、ピロール、イミダゾール、ピラゾール、トリアゾールなど)およびこれらを含む縮合環、およびこれらの互変異性体が挙げられる。これらの基は、さらに置換基を有していても良い。置換基の例としては、後述のR21で説明する基が挙げられる。
【0020】
窒素原子で配位する原子群としては、例えば含窒素ヘテロ環基(ピリジン、ピラジン、ピリミジン、ピリダジン、トリアジン、チアゾール、オキサゾール、ピロール、イミダゾール、ピラゾール、トリアゾールなど)、アミノ基(アルキルアミノ基(好ましくは炭素数2〜30、より好ましくは炭素数2〜20、特に好ましくは炭素数2〜10であり、例えばメチルアミノ)、アリールアミノ基(例えばフェニルアミノ)などが挙げられる。)、アシルアミノ基(好ましくは炭素数2〜30、より好ましくは炭素数2〜20、特に好ましくは炭素数2〜10であり、例えばアセチルアミノ、ベンゾイルアミノなどが挙げられる。)、アルコキシカルボニルアミノ基(好ましくは炭素数2〜30、より好ましくは炭素数2〜20、特に好ましくは炭素数2〜12であり、例えばメトキシカルボニルアミノなどが挙げられる。)、アリールオキシカルボニルアミノ基(好ましくは炭素数7〜30、より好ましくは炭素数7〜20、特に好ましくは炭素数7〜12であり、例えばフェニルオキシカルボニルアミノなどが挙げられる。)、スルホニルアミノ基(好ましくは炭素数1〜30、より好ましくは炭素数1〜20、特に好ましくは炭素数1〜12であり、例えばメタンスルホニルアミノ、ベンゼンスルホニルアミノなどが挙げられる。)、イミノ基などが挙げられる。これらの基はさらに置換されていても良い。置換基の例としては、後述のR21で説明する基が挙げられる。
【0021】
酸素原子で配位する原子群としては、アルコキシ基(好ましくは炭素数1〜30、より好ましくは炭素数1〜20、特に好ましくは炭素数1〜10であり、例えばメトキシ、エトキシ、ブトキシ、2−エチルヘキシロキシなどが挙げられる。)、アリールオキシ基(好ましくは炭素数6〜30、より好ましくは炭素数6〜20、特に好ましくは炭素数6〜12であり、例えばフェニルオキシ、1−ナフチルオキシ、2−ナフチルオキシなどが挙げられる。)、ヘテロ環オキシ基(好ましくは炭素数1〜30、より好ましくは炭素数1〜20、特に好ましくは炭素数1〜12であり、例えばピリジルオキシ、ピラジルオキシ、ピリミジルオキシ、キノリルオキシなどが挙げられる。)、アシルオキシ基(好ましくは炭素数2〜30、より好ましくは炭素数2〜20、特に好ましくは炭素数2〜10であり、例えばアセトキシ、ベンゾイルオキシなどが挙げられる。)、シリルオキシ基(好ましくは炭素数3〜40、より好ましくは炭素数3〜30、特に好ましくは炭素数3〜24であり、例えばトリメチルシリルオキシ、トリフェニルシリルオキシなどが挙げられる。)、カルボニル基(例えばケトン基、エステル基、アミド基など)、エーテル基(例えばジアルキルエーテル基、ジアリールエーテル基、フリル基など)などが挙げられる。これらの基はさらに置換されていても良い。置換基の例としては、後述のR21で説明する基が挙げられる。
【0022】
硫黄原子で配位する原子群としては、アルキルチオ基(好ましくは炭素数1〜30、より好ましくは炭素数1〜20、特に好ましくは炭素数1〜12であり、例えばメチルチオ、エチルチオなどが挙げられる。)、アリールチオ基(好ましくは炭素数6〜30、より好ましくは炭素数6〜20、特に好ましくは炭素数6〜12であり、例えばフェニルチオなどが挙げられる。)、ヘテロ環チオ基(好ましくは炭素数1〜30、より好ましくは炭素数1〜20、特に好ましくは炭素数1〜12であり、例えばピリジルチオ、2−ベンズイミゾリルチオ、2−ベンズオキサゾリルチオ、2−ベンズチアゾリルチオなどが挙げられる。)、チオカルボニル基(例えばチオケトン基、チオエステル基など)、チオエーテル基(例えばジアルキルチオエーテル基、ジアリールチオエーテル基、チオフリル基など)などが挙げられる。これらの基はさらに置換されていても良い。置換基の例としては、後述のR21で説明する基が挙げられる。
【0023】
りん原子で配位する原子群としては、ジアルキルホスフィノ基、ジアリールホスフィノ基、トリアルキルホスフィン、トリアリールホスフィン、ホスフィニン基等があげられる。これらの基はさらに置換されていても良い。置換基の例としては、後述のR21で説明する基が挙げられる。
【0024】
11、Q12は窒素原子で配位する原子群、酸素原子で配位する原子群、りん原子で配位する原子群が好ましく、窒素原子で配位する原子群がより好ましく、窒素原子で配位する含窒素へテロ環基がさらに好ましく、窒素原子で配位する単環の含窒素へテロ環基が特に好ましい。
【0025】
13、Q14は炭素原子で配位する原子群、窒素原子で配位する原子群、酸素原子で配位する原子群が好ましく、炭素原子で配位するアリール基、炭素原子で配位するヘテロアリール基、窒素原子で配位するヘテロアリール基、酸素原子で配位するカルボキシル基、酸素原子で配位するアリールオキシ基、酸素原子で配位するヘテロアリールオキシ基がより好ましく、炭素原子で配位するアリール基、炭素原子で配位するヘテロアリール基、窒素原子で配位するヘテロアリール基、酸素原子で配位するカルボキシル基がさらに好ましく、炭素原子で配位するアリール基、炭素原子で配位するヘテロアリール基が特に好ましい。
【0026】
11、L12、L13、L14はそれぞれ単結合または連結基を表す。連結基としては、特に限定されないが、アルキレン基(例えばメチレン基、ジメチルメチレン基、ジイ
ソプロピルメチレン基、ジフェニルメチレン基、エチレン基、テトラメチルエチレン基など)、アルケニレン基(ビニレン基、ジメチルビニレン基など)、アルキニレン基(エチ
ニレン基など)、アリーレン基(フェニレン基、ナフチレン基など)、ヘテロアリーレン基(ピリジレン基、ピラジレン基、キノリレン基など)、酸素連結基、硫黄連結基、窒素連結基(メチルアミノ連結基、フェニルアミノ連結基、tブチルアミノ連結基など)、ケイ素連結基、及び、これらを組み合わせた連結基(例えばオキシレンメチレン基など)などが挙げられる。
【0027】
11、L13は単結合、アルキレン基、酸素連結基が好ましく、単結合、アルキレン基がより好ましく、単結合がさらに好ましい。
【0028】
12、L14は、単結合、アルキレン基、酸素連結基、窒素連結基が好ましく、アルキレン基、酸素連結基がより好ましく、アルキレン連結基が特に好ましい。
【0029】
11は0または1を表す。n11が0の時は、Q13とQ14の間のL14を介した結合は存在しない。
【0030】
11−Q11間の結合、M11−Q12間の結合、M11−Q13間の結合、M11−Q14間の結合は、共有結合であっても良いし、配位結合であっても良いし、イオン結合であっても良い。
【0031】
11−Q11間の結合、M11−Q12間の結合は、配位結合であることが好ましく、M11−Q13間の結合、M11−Q14間の結合は、共有結合、または、イオン結合であることが好ましく、共有結合であることがより好ましい。
【0032】
一般式(2)について説明する。
21は前記M11と同義であり、好ましい範囲も同じである。Q23、Q24はそれぞれM21に配位する原子群を表す。
【0033】
23、Q24は炭素原子で配位する原子群、窒素原子で配位する原子群、酸素原子で配位する原子群が好ましく、炭素原子で配位するアリール基、炭素原子で配位するヘテロアリール基、窒素原子で配位するヘテロアリール基、酸素原子で配位するカルボキシル基、酸素原子で配位するアリールオキシ基、酸素原子で配位するヘテロアリールオキシ基がより好ましく、炭素原子で配位するアリール基、炭素原子で配位するヘテロアリール基、窒素原子で配位するヘテロアリール基、酸素原子で配位するカルボキシル基がさらに好ましく、炭素原子で配位するアリール基、炭素原子で配位するヘテロアリール基が特に好ましい。
【0034】
22は連結基を表し、具体例としては前述の連結基が挙げられる。L22としては、アルキレン連結基、酸素連結基、窒素連結基であることが好ましい。
【0035】
21、R22はそれぞれ置換基を表す。置換基としては、例えば、アルキル基(好ましくは炭素数1〜30、より好ましくは炭素数1〜20、特に好ましくは炭素数1〜10であり、例えばメチル、エチル、iso−プロピル、tert−ブチル、n−オクチル、n−デシル、n−ヘキサデシル、シクロプロピル、シクロペンチル、シクロヘキシルなどが挙げられる。)、アルケニル基(好ましくは炭素数2〜30、より好ましくは炭素数2〜20、特に好ましくは炭素数2〜10であり、例えばビニル、アリル、2−ブテニル、3−ペンテニルなどが挙げられる。)、アルキニル基(好ましくは炭素数2〜30、より好ましくは炭素数2〜20、特に好ましくは炭素数2〜10であり、例えばプロパルギル、3−ペンチニルなどが挙げられる。)、アリール基(好ましくは炭素数6〜30、より好ましくは炭素数6〜20、特に好ましくは炭素数6〜12であり、例えばフェニル、p−メチルフェニル、ナフチル、アントラニルなどが挙げられる。)、アミノ基(好ましくは炭素数0〜30、より好ましくは炭素数0〜20、特に好ましくは炭素数0〜10であり、例えばアミノ、メチルアミノ、ジメチルアミノ、ジエチルアミノ、ジベンジルアミノ、ジフェニルアミノ、ジトリルアミノなどが挙げられる。)、アルコキシ基(好ましくは炭素数1〜30、より好ましくは炭素数1〜20、特に好ましくは炭素数1〜10であり、例えばメトキシ、エトキシ、ブトキシ、2−エチルヘキシロキシなどが挙げられる。)、アリールオキシ基(好ましくは炭素数6〜30、より好ましくは炭素数6〜20、特に好ましくは炭素数6〜12であり、例えばフェニルオキシ、1−ナフチルオキシ、2−ナフチルオキシなどが挙げられる。)、ヘテロ環オキシ基(好ましくは炭素数1〜30、より好ましくは炭素数1〜20、特に好ましくは炭素数1〜12であり、例えばピリジルオキシ、ピラジルオキシ、ピリミジルオキシ、キノリルオキシなどが挙げられる。)、アシル基(好ましくは炭素数1〜30、より好ましくは炭素数1〜20、特に好ましくは炭素数1〜12であり、例えばアセチル、ベンゾイル、ホルミル、ピバロイルなどが挙げられる。)、アルコキシカルボニル基(好ましくは炭素数2〜30、より好ましくは炭素数2〜20、特に好ましくは炭素数2〜12であり、例えばメトキシカルボニル、エトキシカルボニルなどが挙げられる。)、アリールオキシカルボニル基(好ましくは炭素数7〜30、より好ましくは炭素数7〜20、特に好ましくは炭素数7〜12であり、例えばフェニルオキシカルボニルなどが挙げられる。)、アシルオキシ基(好ましくは炭素数2〜30、より好ましくは炭素数2〜20、特に好ましくは炭素数2〜10であり、例えばアセトキシ、ベンゾイルオキシなどが挙げられる。)、アシルアミノ基(好ましくは炭素数2〜30、より好ましくは炭素数2〜20、特に好ましくは炭素数2〜10であり、例えばアセチルアミノ、ベンゾイルアミノなどが挙げられる。)、アルコキシカルボニルアミノ基(好ましくは炭素数2〜30、より好ましくは炭素数2〜20、特に好ましくは炭素数2〜12であり、例えばメトキシカルボニルアミノなどが挙げられる。)、アリールオキシカルボニルアミノ基(好ましくは炭素数7〜30、より好ましくは炭素数7〜20、特に好ましくは炭素数7〜12であり、例えばフェニルオキシカルボニルアミノなどが挙げられる。)、スルホニルアミノ基(好ましくは炭素数1〜30、より好ましくは炭素数1〜20、特に好ましくは炭素数1〜12であり、例えばメタンスルホニルアミノ、ベンゼンスルホニルアミノなどが挙げられる。)、スルファモイル基(好ましくは炭素数0〜30、より好ましくは炭素数0〜20、特に好ましくは炭素数0〜12であり、例えばスルファモイル、メチルスルファモイル、ジメチルスルファモイル、フェニルスルファモイルなどが挙げられる。)、カルバモイル基(好ましくは炭素数1〜30、より好ましくは炭素数1〜20、特に好ましくは炭素数1〜12であり、例えばカルバモイル、メチルカルバモイル、ジエチルカルバモイル、フェニルカルバモイルなどが挙げられる。)、アルキルチオ基(好ましくは炭素数1〜30、より好ましくは炭素数1〜20、特に好ましくは炭素数1〜12であり、例えばメチルチオ、エチルチオなどが挙げられる。)、アリールチオ基(好ましくは炭素数6〜30、より好ましくは炭素数6〜20、特に好ましくは炭素数6〜12であり、例えばフェニルチオなどが挙げられる。)、ヘテロ環チオ基(好ましくは炭素数1〜30、より好ましくは炭素数1〜20、特に好ましくは炭素数1〜12であり、例えばピリジルチオ、2−ベンズイミゾリルチオ、2−ベンズオキサゾリルチオ、2−ベンズチアゾリルチオなどが挙げられる。)、スルホニル基(好ましくは炭素数1〜30、より好ましくは炭素数1〜20、特に好ましくは炭素数1〜12であり、例えばメシル、トシルなどが挙げられる。)、スルフィニル基(好ましくは炭素数1〜30、より好ましくは炭素数1〜20、特に好ましくは炭素数1〜12であり、例えばメタンスルフィニル、ベンゼンスルフィニルなどが挙げられる。)、ウレイド基(好ましくは炭素数1〜30、より好ましくは炭素数1〜20、特に好ましくは炭素数1〜12であり、例えばウレイド、メチルウレイド、フェニルウレイドなどが挙げられる。)、リン酸アミド基(好ましくは炭素数1〜30、より好ましくは炭素数1〜20、特に好ましくは炭素数1〜12であり、例えばジエチルリン酸アミド、フェニルリン酸アミドなどが挙げられる。)、ヒドロキシ基、メルカプト基、ハロゲン原子(例えばフッ素原子、塩素原子、臭素原子、ヨウ素原子)、シアノ基、スルホ基、カルボキシル基、ニトロ基、ヒドロキサム酸基、スルフィノ基、ヒドラジノ基、イミノ基、ヘテロ環基(好ましくは炭素数1〜30、より好ましくは炭素数1〜12であり、ヘテロ原子としては、例えば窒素原子、酸素原子、硫黄原子、具体的には例えばイミダゾリル、ピリジル、キノリル、フリル、チエニル、ピペリジル、モルホリノ、ベンズオキサゾリル、ベンズイミダゾリル、ベンズチアゾリル、カルバゾリル基、アゼピニル基などが挙げられる。)、シリル基(好ましくは炭素数3〜40、より好ましくは炭素数3〜30、特に好ましくは炭素数3〜24であり、例えばトリメチルシリル、トリフェニルシリルなどが挙げられる。)、シリルオキシ基(好ましくは炭素数3〜40、より好ましくは炭素数3〜30、特に好ましくは炭素数3〜24であり、例えばトリメチルシリルオキシ、トリフェニルシリルオキシなどが挙げられる。)などが挙げられる。これらの置換基は更に置換されてもよい。
【0036】
21、R22はアルキル基、アルコキシ基、置換アミノ基が好ましく、アルキル基、置換アミノ基がより好ましく、アルキル基がさらに好ましい。
【0037】
21、m22はそれぞれ0〜3の整数を表し、0、1が好ましく、0がより好ましい。m21、m22が複数の場合、複数のR21、R22はそれぞれ同じであっても異なっても良い。
【0038】
以下に、一般式(1)又は(2)で表される化合物の具体例を示すが、本発明は以下のものに限定されない。
【0039】
【化3】

【0040】
【化4】

【0041】
【化5】

【0042】
【化6】

【0043】
【化7】

【0044】
上記具体例に係る金属錯体は公知の方法を参考にして製造することができる。例えば、上記の(1−9)で表される化合物は、例えば、WO2004/108857A2号の111頁に記載の化合物(79)の合成手法と同様の手法で下記合成スキームにより合成することができる。また、Tetrahedron Lett44(2003)2861.に記載のテトラキス(N−オキソピリジル)メタンを臭化ホスホリルによりテトラキス(2−ブロモピリジル)メタンに変換し、これを、フェニルホウ酸とカップリングしてテトラキス(2−フェニルピリジル)メタン(配位子)を調整し、これを塩化白金と反応させることにより、合成することもできる。
【0045】
【化8】

【0046】
錯体化の反応は、例えば、配位子と金属源(例えば、塩化白金、塩化パラジウム、塩化白金酸カリウム、塩化パラジウム酸ナトリウム、臭化白金、白金アセチルアセトン錯体など)を溶媒(アセトニトリル、ベンゾニトリル、酢酸、エタノール、メトキシエタノール、グリセロール、水、及び、これらの混合溶媒など)の存在下、もしくは、非存在下混合し、合成することができる。反応を活性化させる添加剤(トリフルオロメタンスルホン酸銀など)を添加させても良いし、不活性ガス(窒素、アルゴンなど)の存在下で反応させても良い。
反応温度は特に限定されないが、−30℃〜400℃が好ましく、0℃〜350℃がより好ましく、25℃〜300℃がさらに好ましい。
【0047】
なお、本発明に係る金属錯体としては、上記具体例に示す化合物の他に、WO2004/108857A1に記載の化合物(1)〜化合物(242)、及び、WO2004/099339A1に記載の化合物(1)〜化合物(154)も好適に用いることができる。
【0048】
金属錯体のイオン化ポテンシャルは、5eV以上7eV以下であることが好ましく、5.5eV以上6.5eV以下であることがより好ましく、5.8eV以上6.3eV以下であることがさらに好ましい。
【0049】
金属錯体の電子移動度は、1×10−7cm/Vs以上1×10cm/Vs以下であることが好ましく、1×10−6cm/Vs以上1×10−1cm/Vs以下であることがより好ましく、1×10−5cm/Vs以上1×10−1cm/Vs以下であることがさらに好ましく、1×10−4cm/Vs以上1×10−1cm/Vs以下であることが特に好ましい。
【0050】
金属錯体のホール移動度は、1×10−7cm/Vs以上、1×10cm/Vs以下であることが好ましく、1×10−6cm/Vs以上1×10−1cm/Vs以下であることがより好ましく、1×10−5cm/Vs以上1×10−1cm/Vs以下であることがさらに好ましく、1×10−4cm/Vs以上1×10−1cm/Vs以下であることが特に好ましい。
【0051】
金属錯体のガラス転移点が測定できる場合は、ガラス転移点は、80℃以上1000℃以下であることが好ましく、90℃以上500℃以下であることがより好ましく、100℃以上500℃以下であることがさらに好ましく、120℃以上500℃以下であることが特に好ましい。
【0052】
本発明に係る金属錯体を含有する有機化合物層の形成方法は、特に限定されるものではないが、抵抗加熱蒸着、電子ビーム、スパッタリング、分子積層法、コーティング法(スプレーコート法、ディップコート法、含浸法、ロールコート法、グラビアコート法、リバースコート法、ロールブラッシュ法、エアーナイフコート法、カーテンコート法、スピンコート法、フローコート法、バーコート法、マイクログラビアコート法、エアードクターコート、ブレードコート法、スクイズコート法、トランスファーロールコート法、キスコート法、キャストコート法、エクストルージョンコート法、ワイヤーバーコート法、スクリーンコート法等)、インクジェット法、印刷法、転写法などの方法が用いられ、特性面、製造面で抵抗加熱蒸着、コーティング法、転写法が好ましい。
【0053】
前述のように、上記の金属錯体を含有する層は発光層と陰極との間に配置されるが、この金属錯体を含有する層は電子注入層または電子輸送層として機能する層であることが好ましく、発光層に隣接する電子輸送層として機能する層であることが好ましい。
電子注入層又は電子輸送層として機能させるためには、陰極から電子を注入する機能、電子を輸送する機能、陽極から注入された正孔を障壁する機能のいずれか有する材料を層中に添加すればよい。このような材料の具体例としては、上記金属錯体の他、トリアゾール、オキサゾール、オキサジアゾール、イミダゾール、フルオレノン、アントラキノジメタン、アントロン、ジフェニルキノン、チオピランジオキシド、カルボジイミド、フルオレニリデンメタン、ジスチリルピラジン、ナフタレン、ペリレン等の芳香環テトラカルボン酸無水物、フタロシアニン、8−キノリノールの金属錯体やメタルフタロシアニン、ベンゾオキサゾールやベンゾチアゾールを配位子とする金属錯体に代表される各種金属錯体、有機シラン、及び、それらの誘導体等が挙げられ、上記の金属錯体、トリアゾール、オキサゾール、オキサジアゾール、イミダゾール、8−キノリノールの金属錯体やメタルフタロシアニン、ベンゾオキサゾールやベンゾチアゾールを配位子とする金属錯体に代表される各種金属錯体がより好ましく、上記の金属錯体、8−キノリノールの金属錯体やメタルフタロシアニン、ベンゾオキサゾールやベンゾチアゾールを配位子とする金属錯体に代表される各種金属錯体が最も好ましい。
【0054】
上記の金属錯体を含有する層が電子注入層又は電子輸送層である場合、その膜厚は特に限定されるものではないが、通常1nm〜5μmの範囲のものが好ましく、より好ましくは5nm〜1μmであり、更に好ましくは10nm〜500nmである。電子注入層、電子輸送層は上述した材料の1種または2種以上からなる単層構造であってもよいし、同一組成または異種組成の複数層からなる多層構造であってもよい。
電子注入層、電子輸送層の形成方法としては、真空蒸着法やLB法、前記電子注入輸送材料を溶媒に溶解または分散させてコーティングする方法、インクジェット法、印刷法、転写法などが用いられる。コーティング法の場合、樹脂成分と共に溶解または分散することができ、樹脂成分としては例えば、正孔注入輸送層の場合に例示したものが適用できる。
【0055】
発光層中で用いられる発光材料は、りん光材料(イリジウム錯体、白金錯体、レニウム錯体、オスミウム錯体、ルテニウム錯体などが挙げられる)であることが好ましい。また、発光材料としては、4座以上の配位子を有する金属錯体を用いることが好ましく、4座以上の配位子を有する金属錯体系のりん光材料を用いることがより好ましい。
4座以上の配位子を有する金属錯体系のりん光材料としては、例えば、WO2004/108857A1号の一般式(1)〜(12)、(X1)、(X2)、(X3)、化合物(1)〜(242)、WO2004/099339A1号の一般式(1)〜(18)、化合物(1)〜(159)等が挙げられる。
また4座以上の配位子を有する金属錯体系のりん光材料の中でも、4座配位子を有する白金錯体が好ましく、前記一般式(1)において、M11=Ptで表される白金錯体がより好ましく、前記一般式(2)において、M21=Ptで表される白金錯体が更に好ましい。
前記一般式(2)において、M21=Ptで表される白金錯体の中でも、Q23、Q24は、炭素原子で配位するアリール基、炭素原子で配位するヘテロアリール基、窒素原子で配位するヘテロアリール基、酸素原子で配位するカルボキシル基が好ましく、炭素原子で配位するアリール基、炭素原子で配位するヘテロアリール基、酸素原子で配位するカルボキシル基がより好ましい。
炭素原子で配位するアリール基を形成する芳香族炭化水素環としては、ベンゼン環、ナフタレン環が好ましく、ベンゼン環が更に好ましい。更に縮環を有していても、置換基を有していても良い。
炭素原子で配位するヘテロアリール基を形成する芳香族へテロ環としては、ピリジン環、ピラジン環、ピリミジン環、ピラゾール環、イミダゾール環、トリアゾール環、オキサゾール環、チアゾール環、オキサジアゾール環、チアジアゾール環、チオフェン環、フラン環が好ましく、ピリジン環、ピラゾール環、イミダゾール環、トリアゾール環、オキサゾール環、チアゾール環、チオフェン環、フラン環がより好ましく、ピリジン環、ピラゾール環、イミダゾール環が更に好ましい。更に縮環を有していても、置換基を有していても良い。
【0056】
発光材料の含有量は、発光層の全質量に対して、0.1〜50質量%であることが好ましく、1〜40質量%であることがより好ましく、3〜20質量%であることがさらに好ましい。
【0057】
発光材料のTレベル(最低三重項励起状態のエネルギーレベル)は、60Kcal/mol以上(251.4KJ/mol以上)、90Kcal/mol以下(377.1KJ/mol以下)が好ましく、62Kcal/mol以上(259.78KJ/mol以上)、85Kcal/mol以下(356.15KJ/mol以下)がより好ましく、65Kcal/mol以上(272.35KJ/mol以上)、80Kcal/mol以下(335.2KJ/mol以下)がさらに好ましい。
【0058】
また、発光層には上記のような発光材料とともにホスト材料が含まれていてもよい。ホスト材料としては、電界印加時に陽極または正孔注入層、正孔輸送層から正孔を注入することができると共に陰極または電子注入層、電子輸送層から電子を注入することができる機能や、注入された電荷を移動させる機能、正孔と電子の再結合の場を提供して発光させる機能を有する層を形成することができるものであればどのようなものでも用いることができる。例えばベンゾオキサゾール、ベンゾイミダゾール、ベンゾチアゾール、スチリルベンゼン、ポリフェニル、ジフェニルブタジエン、テトラフェニルブタジエン、ナフタルイミド、クマリン、ペリレン、ペリノン、オキサジアゾール、アルダジン、ピラリジン、シクロペンタジエン、ビススチリルアントラセン、キナクリドン、ピロロピリジン、チアジアゾロピリジン、シクロペンタジエン、スチリルアミン、芳香族ジメチリディン化合物、8−キノリノールの金属錯体や希土類錯体に代表される各種金属錯体、ポリチオフェン、ポリフェニレン、ポリフェニレンビニレン等のポリマー化合物、有機シラン、イリジウムトリスフェニルピリジン錯体、及び、白金ポルフィリン錯体に代表される遷移金属錯体、及び、それらの誘導体等が挙げられる。
【0059】
発光層に含まれるホスト材料のイオン化ポテンシャルは、5.8eV以上、6.3eV以下であることが好ましく、5.95eV以上、6.25eV以下であることがより好ましく、6.0eV以上6.2eV以下であることがさらに好ましい。
【0060】
発光層中のホスト材料の電子移動度は、1×10−6cm/Vs以上、1×10−1cm/Vs以下であることが好ましく、5×10−6cm/Vs以上1×10−2cm/Vs以下であることがより好ましく、1×10−5cm/Vs以上1×10−2cm/Vs以下であることがさらに好ましく、5×10−5cm/Vs以上1×10−2cm/Vs以下であることが特に好ましい。
【0061】
発光層中のホスト材料のホール移動度は、1×10−6cm/Vs以上、1×10−1cm/Vs以下であることが好ましく、5×10−6cm/Vs以上1×10−2cm/Vs以下であることがより好ましく、1×10−5cm/Vs以上1×10−2cm/Vs以下であることがさらに好ましく、5×10−5cm/Vs以上1×10−2cm/Vs以下であることが特に好ましい。
【0062】
発光層中のホスト材料のTレベル(最低三重項励起状態のエネルギーレベル)は、60Kcal/mol以上(251.4KJ/mol以上)、90Kcal/mol以下(377.1KJ/mol以下)が好ましく、62Kcal/mol以上(259.78KJ/mol以上)、85Kcal/mol以下(356.15KJ/mol以下)がより好ましく、65Kcal/mol以上(272.35J/mol以上)、80 Kcal/mol以下(335.2KJ/mol以下)がさらに好ましい。
【0063】
発光層に含まれるホスト材料のガラス転移点は90℃以上400℃以下であることが好ましく、100℃以上380℃以下であることがより好ましく、120℃以上370℃以下であることがさらに好ましく、140℃以上360℃以下であることが特に好ましい。
【0064】
発光層の形成方法は、特に限定されるものではないが、抵抗加熱蒸着、電子ビーム、スパッタリング、分子積層法、コーティング法、インクジェット法、印刷法、LB法、転写法などの方法が用いられ、好ましくは抵抗加熱蒸着、コーティング法である。
【0065】
発光層の膜厚は特に限定されるものではないが、通常1nm〜5μmの範囲のものが好ましく、より好ましくは5nm〜1μmであり、更に好ましくは10nm〜500nmである。
【0066】
発光層は、積層構造を有していてもよい。積層数は2層以上50層以下が好ましく、4層以上30層以下がより好ましく、6層以上20層以下がさらに好ましい。
積層を構成する各層の膜厚は特に限定されないが、0.2nm以上、20nm以下が好ましく、0.4nm以上、15nm以下がより好ましく、0.5nm以上10nm以下がさらに好ましく、1nm以上5nm以下が特に好ましい。
発光層が複数の層からなる場合は、それぞれの層は単一材料で形成されていても良いし、複数の化合物で形成されていても良い。
【0067】
また、上記のように発光層が複数の層から構成される場合、それぞれの層が異なる発光色で発光して、例えば、白色を発光してもよい。発光層が単一の層からなる場合は、単一層から白色を発光してもよい。
【0068】
発光層は、複数のドメイン構造を有していても良い。例えば、発光層が、ホスト材料及び発光材料の混合物からなる領域と、別のホスト材料及び発光材料の混合物からなる領域で構成されていても良い。各領域は約1nmとすることができる。各ドメインのサイズは、0.2nm以上10nm以下が好ましく、0.3nm以上5nm以下がより好ましく、0.5nm以上3nm以下がさらに好ましく、0.7nm以上2nm以下が特に好ましい。
【0069】
発光層の形成方法は、特に限定されるものではないが、抵抗加熱蒸着、電子ビーム、スパッタリング、分子積層法、コーティング法(スプレーコート法、ディップコート法、含浸法、ロールコート法、グラビアコート法、リバースコート法、ロールブラッシュ法、エアーナイフコート法、カーテンコート法、スピンコート法、フローコート法、バーコート法、マイクログラビアコート法、エアードクターコート、ブレードコート法、スクイズコート法、トランスファーロールコート法、キスコート法、キャストコート法、エクストルージョンコート法、ワイヤーバーコート法、スクリーンコート法等)、インクジェット法、印刷法、LB法、転写法などの方法が用いられ、特性面、製造面で抵抗加熱蒸着、コーティング法、転写法を用いることが好ましい。
【0070】
本発明の有機電界発光素子は、陽極及び陰極からなる一対の電極間に、上記発光層を有しており、さらに上記金属錯体を含む有機化合物層を電子注入層又は電子輸送層として有することができるが、さらに他の機能を備えた層を有することができる。他の機能層としては、例えば、正孔注入層、正孔輸送層、保護層、電荷ブロック層、励起子ブロック層等が挙げられる。本発明の有機電界発光素子は、少なくとも正孔輸送層、発光層、電子輸送層の3層を有することが好ましい。これらの各層はそれぞれ他の機能を備えたものであってもよい。各層の形成にはそれぞれ種々の公知材料を用いることができる。
【0071】
陽極は、正孔注入層、正孔輸送層、発光層などに正孔を供給するものであり、金属、合金、金属酸化物、電気伝導性化合物、またはこれらの混合物などを用いることができ、好ましくは仕事関数が4eV以上の材料である。具体例としては酸化スズ、酸化亜鉛、酸化インジウム、酸化インジウムスズ(ITO)等の導電性金属酸化物、あるいは金、銀、クロム、ニッケル等の金属、さらにこれらの金属と導電性金属酸化物との混合物または積層物、ヨウ化銅、硫化銅などの無機導電性物質、ポリアニリン、ポリチオフェン、ポリピロールなどの有機導電性材料、およびこれらとITOとの積層物などが挙げられ、好ましくは、導電性金属酸化物であり、特に、生産性、高導電性、透明性等の点からITOが好ましい。
陽極の膜厚は材料により適宜選択可能であるが、通常10nm〜5μmの範囲のものが好ましく、より好ましくは50nm〜1μmであり、更に好ましくは100nm〜500nmである。
【0072】
陽極は通常、ソーダライムガラス、無アルカリガラス、透明樹脂基板などの上に層形成したものが用いられる。ガラスを用いる場合、その材質については、ガラスからの溶出イオンを少なくするため、無アルカリガラスを用いることが好ましい。また、ソーダライムガラスを用いる場合、シリカなどのバリアコートを施したものを使用することが好ましい。基板の厚みは、機械的強度を保つのに十分であれば特に制限はないが、ガラスを用いる場合には、通常0.2mm以上、好ましくは0.7mm以上のものを用いる。
陽極の作製には材料によって種々の方法が用いられるが、例えばITOの場合、電子ビーム法、スパッタリング法、抵抗加熱蒸着法、化学反応法(ゾルーゲル法など)、酸化インジウムスズの分散物の塗布などの方法で膜形成される。
陽極は洗浄その他の処理により、素子の駆動電圧を下げたり、発光効率を高めることも可能である。例えばITOの場合、UV−オゾン処理、プラズマ処理などが効果的である。
【0073】
陰極は、電子注入層、電子輸送層、発光層などに電子を供給するものであり、電子注入層、電子輸送層、発光層などの負極と隣接する層との密着性やイオン化ポテンシャル、安定性等を考慮して選ばれる。陰極の材料としては金属、合金、金属ハロゲン化物、金属酸化物、電気伝導性化合物、またはこれらの混合物を用いることができ、具体例としてはアルカリ金属(例えばLi、Na、K等)及びそのフッ化物または酸化物、アルカリ土類金属(例えばMg、Ca等)及びそのフッ化物または酸化物、金、銀、鉛、アルミニウム、ナトリウム−カリウム合金またはそれらの混合金属、リチウム−アルミニウム合金またはそれらの混合金属、マグネシウム−銀合金またはそれらの混合金属、インジウム、イッテリビウム等の希土類金属等が挙げられ、好ましくは仕事関数が4eV以下の材料であり、より好ましくはアルミニウム、リチウム−アルミニウム合金またはそれらの混合金属、マグネシウム−銀合金またはそれらの混合金属等である。陰極は、上記化合物及び混合物の単層構造だけでなく、上記化合物及び混合物を含む積層構造を取ることもできる。例えば、アルミニウム/フッ化リチウム、アルミニウム/酸化リチウムの積層構造が好ましい。
【0074】
陰極の膜厚は材料により適宜選択可能であるが、通常10nm〜5μmの範囲のものが好ましく、より好ましくは50nm〜1μmであり、更に好ましくは100nm〜1μmである。
陰極の作製には電子ビーム法、スパッタリング法、抵抗加熱蒸着法、コーティング法、転写法などの方法が用いられ、金属を単体で蒸着することも、二成分以上を同時に蒸着することもできる。さらに、複数の金属を同時に蒸着して合金電極を形成することも可能であり、またあらかじめ調整した合金を蒸着させてもよい。
陽極及び陰極のシート抵抗は低い方が好ましく、数百Ω/□以下が好ましい。
【0075】
陽極の場合と同様に、基材上に上記陰極を設けることができる。この基材としては、特に限定されないが、ジルコニア安定化イットリウム、ガラス等の無機材料、ポリエチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレート、ポリエチレンナフタレート等のポリエステルや、ポリエチレン、ポリカーボネート、ポリエーテルスルホン、ポリアリレート、アリルジグリコールカーボネート、ポリイミド、ポリシクロオレフィン、ノルボルネン樹脂、ポリ(クロロトリフルオロエチレン)、テフロン(登録商標)、ポリテトラフルオロエチレン−ポリエチレン共重合体等の高分子量材料であっても良い。
【0076】
正孔注入層、正孔輸送層の材料は、陽極から正孔を注入する機能、正孔を輸送する機能、陰極から注入された電子を障壁する機能のいずれか有しているものであればよい。その具体例としては、カルバゾール、トリアゾール、オキサゾール、オキサジアゾール、イミダゾール、ポリアリールアルカン、ピラゾリン、ピラゾロン、フェニレンジアミン、アリールアミン、アミノ置換カルコン、スチリルアントラセン、フルオレノン、ヒドラゾン、スチルベン、シラザン、芳香族第三級アミン化合物、スチリルアミン化合物、芳香族ジメチリディン系化合物、ポルフィリン系化合物、ポリシラン系化合物、ポリ(N−ビニルカルバゾール)、アニリン系共重合体、チオフェンオリゴマー、ポリチオフェン等の導電性高分子オリゴマー、有機シラン、カーボン膜、本発明の化合物、及び、それらの誘導体等が挙げられる。
【0077】
正孔注入層、正孔輸送層の膜厚は特に限定されるものではないが、通常1nm〜5μmの範囲のものが好ましく、より好ましくは5nm〜1μmであり、更に好ましくは10nm〜500nmである。正孔注入層、正孔輸送層は上述した材料の1種または2種以上からなる単層構造であってもよいし、同一組成または異種組成の複数層からなる多層構造であってもよい。
【0078】
正孔注入層、正孔輸送層の形成方法としては、真空蒸着法やLB法、前記正孔注入輸送材料を溶媒に溶解または分散させてコーティングする方法、インクジェット法、印刷法、転写法が用いられる。コーティング法の場合、樹脂成分と共に溶解または分散することができ、樹脂成分としては例えば、ポリ塩化ビニル、ポリカーボネート、ポリスチレン、ポリメチルメタクリレート、ポリブチルメタクリレート、ポリエステル、ポリスルホン、ポリフェニレンオキシド、ポリブタジエン、ポリ(N−ビニルカルバゾール)、炭化水素樹脂、ケトン樹脂、フェノキシ樹脂、ポリアミド、エチルセルロース、酢酸ビニル、ABS樹脂、ポリウレタン、メラミン樹脂、不飽和ポリエステル樹脂、アルキド樹脂、エポキシ樹脂、シリコン樹脂などが挙げられる。
【0079】
保護層の材料としては水分や酸素等の素子劣化を促進するものが素子内に入ることを抑止する機能を有しているものであればよい。その具体例としては、In、Sn、Pb、Au、Cu、Ag、Al、Ti、Ni等の金属、MgO、SiO、SiO2、Al23、G
eO、NiO、CaO、BaO、Fe23、Y23、TiO2等の金属酸化物、MgF2、LiF、AlF3、CaF2等の金属フッ化物、SiN、SiOなどの窒化物、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリメチルメタクリレート、ポリイミド、ポリウレア、ポリテトラフルオロエチレン、ポリクロロトリフルオロエチレン、ポリジクロロジフルオロエチレン、クロロトリフルオロエチレンとジクロロジフルオロエチレンとの共重合体、テトラフルオロエチレンと少なくとも1種のコモノマーとを含むモノマー混合物を共重合させて得られる共重合体、共重合主鎖に環状構造を有する含フッ素共重合体、吸水率1%以上の吸水性物質、吸水率0.1%以下の防湿性物質等が挙げられる。
保護層の形成方法についても特に限定はなく、例えば真空蒸着法、スパッタリング法、反応性スパッタリング法、MBE(分子線エピタキシ)法、クラスターイオンビーム法、イオンプレーティング法、プラズマ重合法(高周波励起イオンプレーティング法)、プラズマCVD法、レーザーCVD法、熱CVD法、ガスソースCVD法、コーティング法、印刷法、転写法を適用できる。
【0080】
なお、発光層に隣接する層(正孔輸送層、電子輸送層、電荷ブロック層、励起子ブロック層など)のTレベル(最低三重項励起状態のエネルギーレベル)は、60Kcal/mol以上(251.4KJ/mol以上)、90Kcal/mol以下(377.1KJ/mol以下)が好ましく、62Kcal/mol以上(259.78KJ/mol以上)、85Kcal/mol以下(356.15KJ/mol以下)がより好ましく、65Kcal/mol以上(272.35KJ/mol以上)、80Kcal/mol以下(335.2KJ/mol以下)がさらに好ましい。
【0081】
本発明の有機電界発光素子は、青色蛍光発光化合物を含有しても良いし、また、青色蛍光化合物を含有する青色発光素子と本発明の発光素子を同時に用いて、マルチカラー発光デバイス、フルカラー発光デバイスを作製しても良い。
【0082】
本発明の有機電界発光素子は青色色純度の観点から、発光の極大波長は好ましくは390nm以上、495nm以下であり、より好ましくは400nm以上、490nm以下である。また、本発明の発光素子は500nm以上にも発光極大波長を有しても良く、白色発光素子であっても良い。
【0083】
本発明の有機電界発光素子は青色色純度の観点から、発光のCIE色度値のx値は、好ましくは0.22以下であり、より好ましくは0.20以下である。発光のCIE色度値のy値は、好ましくは0.25以下であり、より好ましくは0.20以下であり、さらに好ましくは0.15以下である。
本発明の有機電界発光素子は青色色純度の観点から、発光スペクトルの半値幅は100nm以下が好ましく、90nm以下がより好ましく、80nm以下がさらに好ましく、70nm以下が特に好ましい。
【0084】
本発明の有機電界発光素子の外部量子効率としては、5%以上が好ましく、10%以上がより好ましく、13%以上がさらに好ましい。外部量子効率の数値は20℃で素子を駆動したときの外部量子効率の最大値、もしくは、20℃で素子を駆動した時の100〜300cd/m付近での外部量子効率の値を用いることができる。
【0085】
本発明の有機電界発光素子の内部量子効率としては、30%以上が好ましく、50%以上がさらに好ましく、70%以上がさらに好ましい。素子の内部量子効率は 内部量子効
率=外部量子効率/光取り出し効率で算出される。通常の有機EL素子では光取り出し効率は約20%であるが、基板の形状、電極の形状、有機層の膜厚、無機層の膜厚、有機層の屈折率、無機層の屈折率等を工夫することにより、光取り出し効率を20%以上にすることが可能で有る。
【0086】
本発明の有機電界発光素子は、種々の公知の工夫により、光取り出し効率を向上させることができる。例えば、基板表面形状を加工する(例えば微細な凹凸パターンを形成する)、基板・ITO層・有機層の屈折率を制御する、基板・ITO層・有機層の膜厚を制御すること等により、光の取り出し効率を向上させ、外部量子効率を向上させることが可能である。
【0087】
本発明の有機電界発光素子は、陰極側から発光を取り出す、いわゆる、トップエミッション方式(特開2003−208109号,2003−248441号,2003−257651号,2003−282261号公報などに記載)であっても良い。
【0088】
本発明の有機電界発光素子は、システム、駆動方法、利用形態など特に問わない。代表的な有機電界発光素子として有機EL(エレクトロルミネッセンス)素子を挙げることができる。
【0089】
本発明の有機電界発光素子の用途は特に限定されないが、表示素子、ディスプレイ、バックライト、電子写真、照明光源、記録光源、露光光源、読み取り光源、標識、看板、インテリア、光通信等の分野に好適に使用できる。
【実施例】
【0090】
以下に本発明の具体的実施例を述べるが、本発明の実施の態様はこれらに限定されない。
【0091】
[合成例1] 例示化合物(1−33)の合成
窒素雰囲気下、ナスフラスコに配位子D−1(100mg,0.237mmol)、ビス(アセトニトリル)パラジウム(II)ジクロリド(61mg,0.237mmol)、リン酸トリメチル(5mL)を仕込み、130℃で、4時間加熱、攪拌した。室温まで冷却し、析出した固体を濾過し、メタノールで洗浄後、減圧下で乾燥し、例示化合物(1−33)を淡黄色の固体として74mg得た(収率59%)。
他の化合物についても同様な手法、または国際公開パンフレットWO−108857に記載の方法で合成した。
【0092】
【化9】

【0093】
1H-NMR(CDCl3):δ(ppm)=8.06(dt, J=1.0, 8.4Hz, 2H), 7.80(t, J=9.0Hz, 2H), 7.55(dd, J=2.4, 8.4Hz), 7.42(d, J=7.6Hz, 2H), 6.62(ddd, J=2.4, 8.6, 12.8Hz, 2H), 2.07(s, 6H)
【0094】
[比較例1]
洗浄したITO基板を蒸着装置に入れ、銅フタロシアニンを5nm蒸着し、この上に、NPD(N,N’−ジ−α−ナフチル−N,N’−ジフェニル)−ベンジジン)を40nm蒸着した。この上に、Ir(ppy)とCBPを6:94の比率(質量比)で30nm蒸着し、この上に、BAlqを6nm蒸着し、この上に、Alq(トリス(8−ヒドロキシキノリン)アルミニウム錯体)を20nm蒸着した。この上に、フッ化リチウムを3nm蒸着した後、アルミニウム60nmを蒸着し、EL素子を作製した。東陽テクニカ製ソースメジャーユニット2400型を用いて、直流定電圧をEL素子に印加して発光させた結果、Ir(ppy)に由来する緑色発光が得られた。
【0095】
【化10】

【0096】
[実施例1]
比較例1のBAlqの代わりに、化合物(1−3)を用い、比較例1と同様に素子作製評価した結果、Ir(ppy)に由来する緑色の発光が得られた。1mA(発光面積4mm)で駆動した素子の輝度半減期は、比較例1の素子の2.3倍であった。
【0097】
[実施例2]
比較例1のAlqの代わりに、化合物(1−1)を用い、比較例1と同様に素子作製評価した結果、Ir(ppy)に由来する緑色の発光が得られた。1mA(発光面積4mm)で駆動した素子の輝度半減期は、比較例1の素子の1.5倍であった。
【0098】
[実施例3]
洗浄したITO基板を蒸着装置に入れ、銅フタロシアニンを5nm蒸着し、この上に、NPD(N,N’−ジ−α−ナフチル−N,N’−ジフェニル)−ベンジジン)を40nm蒸着した。この上に、Ir(ppy)とCBPを6:94の比率(質量比)で30nm蒸着し、この上に、化合物(1−3)を26nm蒸着した。この上に、フッ化リチウムを3nm蒸着した後、アルミニウム60nmを蒸着し、素子を作製した。東陽テクニカ製ソースメジャーユニット2400型を用いて、直流定電圧をEL素子に印加して発光させた結果、Ir(ppy)に由来する緑色の発光が得られた。1mA(発光面積4mm)で駆動した素子の輝度半減期は、比較例1の素子の2.0倍であった。
【0099】
[実施例4]
洗浄したITO基板を蒸着装置に入れ、銅フタロシアニンを5nm蒸着し、この上に、NPD(N,N’−ジ−α−ナフチル−N,N’−ジフェニル)−ベンジジン)を40nm蒸着した。この上に、Ir(ppy)とCBPを6:94の比率(質量比)で30nm蒸着し、この上に、化合物(1−19)を26nm蒸着した。この上に、フッ化リチウムを3nm蒸着した後、アルミニウム60nmを蒸着し、素子を作製した。東陽テクニカ製ソースメジャーユニット2400型を用いて、直流定電圧をEL素子に印加して発光させた結果、Ir(ppy)に由来する緑色の発光が得られた。1mA(発光面積4mm)で駆動した素子の輝度半減期は、比較例1の素子の2.1倍であった。
【0100】
[比較例2]
洗浄したITO基板を蒸着装置に入れ、銅フタロシアニンを5nm蒸着し、この上に、NPD(N,N’−ジ−α−ナフチル−N,N’−ジフェニル)−ベンジジン)を40nm蒸着した。この上に、Ir(ppy)とCBPを6:94の比率(質量比)で30nm蒸着し、この上に、BAlqと化合物Aを50:50の比率(質量比)で6nm蒸着し、この上に、Alqを20nm蒸着した。この上に、フッ化リチウムを3nm蒸着した後、アルミニウム60nmを蒸着し、素子を作製した。東陽テクニカ製ソースメジャーユニット2400型を用いて、直流定電圧をEL素子に印加して発光させた結果、Ir(ppy)に由来する緑色の発光が得られた。
【0101】
[実施例5]
比較例2のBAlqの代わりに化合物(1−3)を用い、比較例2と同様に素子作成評価した結果、Ir(ppy)に由来する緑色の発光が得られた。1mA(発光面積4mm)で駆動した素子の輝度半減期は、比較例2の素子の2.2倍であった。
【0102】
[実施例6]
比較例2のBAlqの代わりに化合物(1−33)を用い、比較例2と同様に素子作成評価した結果、Ir(ppy)に由来する緑色の発光が得られた。1mA(発光面積4mm)で駆動した素子の輝度半減期は、比較例2の素子の1.9倍であった。
【0103】
[比較例3]
洗浄したITO基板を蒸着装置に入れ、銅フタロシアニンを5nm蒸着し、この上に、NPD(N,N’−ジ−α−ナフチル−N,N’−ジフェニル)−ベンジジン)を40nm蒸着した。この上に、白金4座錯体BとmCPを15:85の比率(質量比)で30nm蒸着し、この上に、BAlqを6nm蒸着し、この上に、Alqを20nm蒸着した。この上に、フッ化リチウムを3nm蒸着した後、アルミニウム60nmを蒸着し、素子を作製した。東陽テクニカ製ソースメジャーユニット2400型を用いて、直流定電圧をEL素子に印加して発光させた結果、白金4座錯体Bに由来する緑色の発光が得られた。
【0104】
[実施例7]
比較例3のBAlqの代わりに化合物(1−3)を用い、比較例3と同様に素子作成評価した結果、白金4座錯体Bに由来する緑色の発光が得られた。1mA(発光面積4mm)で駆動した素子の輝度半減期は、比較例3の素子の1.8倍であった。
【0105】
[比較例4]
洗浄したITO基板を蒸着装置に入れ、銅フタロシアニンを5nm蒸着し、この上に、NPD(N,N’−ジ−α−ナフチル−N,N’−ジフェニル)−ベンジジン)を40nm蒸着した。この上に、白金4座錯体CとmCPを15:85の比率(質量比)で30nm蒸着し、この上に、BAlqを6nm蒸着し、この上に、Alqを20nm蒸着した。この上に、フッ化リチウムを3nm蒸着した後、アルミニウム60nmを蒸着し、素子を作製した。東陽テクニカ製ソースメジャーユニット2400型を用いて、直流定電圧をEL素子に印加して発光させた結果、白金4座錯体Cに由来する緑色の発光が得られた。
【0106】
[実施例8]
比較例4のBAlqの代わりに化合物(1−3)を用い、比較例4と同様に素子作成評価した結果、白金4座錯体Cに由来する緑色の発光が得られた。1mA(発光面積4mm)で駆動した素子の輝度半減期は、比較例4の素子の1.9倍であった。
【0107】
[比較例5]
洗浄したITO基板を蒸着装置に入れ、銅フタロシアニンを5nm蒸着し、この上に、NPD(N,N’−ジ−α−ナフチル−N,N’−ジフェニル)−ベンジジン)を40nm蒸着した。この上に、白金4座錯体DとmCPを15:85の比率(質量比)で30nm蒸着し、この上に、BAlqを6nm蒸着し、この上に、Alqを20nm蒸着した。この上に、フッ化リチウムを3nm蒸着した後、アルミニウム60nmを蒸着し、素子を作製した。東陽テクニカ製ソースメジャーユニット2400型を用いて、直流定電圧をEL素子に印加して発光させた結果、白金4座錯体Dに由来する青色の発光が得られた。
【0108】
[実施例9]
比較例5のBAlqの代わりに化合物(1−3)を用い、比較例5と同様に素子作成評価した結果、白金4座錯体Dに由来する青色の発光が得られた。1mA(発光面積4mm)で駆動した素子の輝度半減期は、比較例5の素子の1.6倍であった。
【0109】
他の本発明の化合物を用いた素子でも、耐久性の高いEL素子を作製することができる。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
陽極と陰極とからなる一対の電極間に発光層を含む複数の有機化合物層を有する有機電界発光素子であって、発光層と陰極との間に、少なくとも1種の下記一般式(1)で表される化合物を含む層を少なくとも一層有することを特徴とする有機電界発光素子。
【化1】


11は金属イオンを表す。Q11、Q12、Q13、Q14はそれぞれM11に配位する原子群を表す。L11、L12、L13、L14はそれぞれ単結合または連結基を表す。n11は0または1を表す。n11が0の時は、Q13とQ14の間のL14を介した結合は存在しない。M11−Q11間の結合、M11−Q12間の結合、M11−Q13間の結合、M11−Q14間の結合は、共有結合であっても良いし、配位結合であっても良いし、イオン結合であっても良い。
【請求項2】
前記一般式(1)で表される化合物が、下記一般式(2)で表される化合物であることを特徴とする請求項1に記載の有機電界発光素子。
【化2】


21は金属イオンを表す。Q23、Q24はそれぞれM21に配位する原子群を表す。L22は連結基を表す。R21、R22はそれぞれ置換基を表す。m21、m22はそれぞれ0〜3の整数を表す。M21−N間の結合(点線部)は、配位結合を示す。M21−Q23間の結合及びM21−Q24間の結合は、共有結合であっても良いし、配位結合であっても良いし、イオン結合であっても良い。
【請求項3】
前記金属イオンが、ロジウムイオン、パラジウムイオン、レニウムイオン、イリジウムイオン、または、白金イオンであることを特徴とする請求項1又は2に記載の有機電界発光素子。
【請求項4】
前記発光材料がりん光材料であることを特徴とする請求項1〜3のいずれかに記載の有機電界発光素子。

【公開番号】特開2006−332620(P2006−332620A)
【公開日】平成18年12月7日(2006.12.7)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−119523(P2006−119523)
【出願日】平成18年4月24日(2006.4.24)
【出願人】(000005201)富士フイルムホールディングス株式会社 (7,609)
【Fターム(参考)】