説明

有機電界発光素子

【課題】 発光特性(波長、輝度、量子収率、駆動電圧等)及び耐久性が良好な有機電界発光素子の提供。
【解決手段】 一対の電極間に少なくとも一層の有機層を有する有機電界発光素子であって、下記一般式(I)で表される構造を含む化合物の少なくとも一種を前記有機層に含有する有機電界発光素子(式中、R1〜R4は、水素原子または置換基、X1、X2はCまたはN、m、nは0または1、Mは金属イオン、YはMに配位する分子または配位する基、pは0以上の整数。A1は単結合または二価の連結基を表す)。
【化21】

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は有機電界発光素子に関する。
【背景技術】
【0002】
フェニルピリジン白金錯体やフェノキシピリジン白金錯体等の4座配位白金錯体(例えば特許文献1)、オクタエチルポルフィリン白金錯体等の4座配位白金錯体(例えば特許文献2、3)等の材料を含有する有機電界発光素子が開示されている。しかし、発光波長の短波化及び耐久性の点でさらなる改良が求められていた。
【特許文献1】国際公開第04/108857号パンフレット
【特許文献2】米国特許第6,303,238B1号明細書
【特許文献3】米国特許第6,653,564B1号明細書
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
本発明の目的は、発光特性(波長、輝度、量子収率、駆動電圧等)及び耐久性が良好な有機電界発光素子の提供にある。
【課題を解決するための手段】
【0004】
この課題は下記手段によって達成された。
(1)一対の電極間に少なくとも一層の有機層を有する有機電界発光素子であって、下記一般式(I)で表される構造を含む化合物の少なくとも一種を前記有機層に含有する有機電界発光素子。
一般式(I)
【0005】
【化6】

【0006】
式中、R1、R2、R3及びR4は、各々独立に水素原子または置換基を表す。R1とR2が置換基を表す場合、互いに結合して環を形成してもよい。R1とR4およびR2とR3が互いに結合して芳香環を形成することはない。X1およびX2は炭素原子または窒素原子を表す。mおよびnは0または1を表す。X1またはX2が窒素原子をあらわすとき、mまたはnは0である。Mは金属イオンを表す。YはMに配位する分子または配位する基を表す。pは0以上の整数を表す。A1は単結合または二価の連結基を表す。
【0007】
(2)前記一般式(I)が下記一般式(II)又は(III)で表される上記(1)に記載の有機電界発光素子。
一般式(II)
【0008】
【化7】

【0009】
式中、Z1、Z2、Z3、Z4、Z5、Z6、Z7、Z8、Z9及びZ10は、各々独立に、炭素、窒素および珪素から選択される原子を表す。Z1、Z2、Z3、Z4、Z5、Z6、Z7、Z8、Z9及びZ10は、置換基を有していてもよい。A2、A3及びA4は単結合または二価の連結基を表す。qは0または1を表す。X1、X2、R1、R2、M、m、nは一般式(I)のそれらと同義である。
一般式(III)
【0010】
【化8】

【0011】
式中、Z10、Z11、Z12、Z13、Z14、Z15、Z16及びZ17は、各々独立に、炭素、窒素、酸素、硫黄および珪素から選択される原子を表す。Z10、Z11、Z12、Z13及びN原子、並びにZ14、Z15、Z16、Z17及びN原子から形成される5員環における原子間の結合は単結合又は二重結合を表す。Z10、Z11、Z12、Z13、Z14、Z15、Z16及びZ17は、置換基を有していてもよい。X1、X2、R1、R2、M、m、nは一般式(I)のそれらと同義であり、A2、A3、A4、qは一般式(II)のそれらと同義である。
【0012】
(3)前記一般式(II)が下記一般式(IIA)で表される上記(2)に記載の有機電界発光素子。
一般式(IIA)
【0013】
【化9】

【0014】
式中、R 5、R 6、R7、R8、R9及びR10は、各々独立に、水素原子又は置換基を表す。R1、R2、Mは一般式(I)のそれらと同義であり、A2、A3、A4、qは一般式(II)のそれらと同義である。
【0015】
(4)前記一般式(III)が下記一般式(IIIA)で表される上記(2)に記載の有機電界発光素子。
一般式(IIIA)
【0016】
【化10】

【0017】
式中、R 11、R 12、R13及びR14は、各々独立に、水素原子又は置換基を表す。R1、R2、Mは一般式(I)のそれらと同義であり、A2、A3、A4、qは一般式(III)のそれらと同義である。
【0018】
(5)前記一般式(I)〜(IIIA)において、Mがニッケル、銅、亜鉛、錫、パラジウムおよび白金から選択されることを特徴とする上記(1)〜(4)のいずれかに記載の有機電界発光素子。
【0019】
(6)前記一般式(I)〜(IIIA)において、Mがパラジウムおよび白金から選択されることを特徴とする上記(1)〜(4)のいずれかに記載の有機電界発光素子。
【0020】
(7)前記一般式(II)〜(IIIA)において、A2、A3、A4が、単結合、-C(R15)(R16)-、-C(R17)(R18)C(R19)(R20)-、-Si(R21)(R22)-、-N(R25)-、-O-、-S-、-SO-、-SO2-、-CO-(R15、R16、R17、R18、R19、R20、R21、R22、及びR25はそれぞれ独立に水素原子又は置換基を表す。)から選択される基である上記(2)〜(6)のいずれかに記載の有機電界発光素子。
【発明の効果】
【0021】
本発明において、一般式(I)〜(IIIA)に示される化合物を有機層に含有する有機電界発光素子は、発光特性(波長、輝度、量子収率、駆動電圧等)に優れる。また、本発明における化合物が、例えばA2、A3およびA4により連結して、かつ金属原子に4つの原子により結合が可能な配位子を用いた錯体である場合は、特に耐久性に優れ、有機配位子を含む錯体であるために蒸着性に優れる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0022】
本明細書において、一般式(I)、(II)、(III)、(IIA)及び(IIIA)で表される化合物は、「本発明の化合物」と同義で用いる。また本発明の化合物を含有する有機層を有する有機電界発光素子は、「本発明の素子」と同義で用いる。本明細書において置換基群Aとは以下のように定義される。
【0023】
(置換基群A)
アルキル基(好ましくは炭素数1〜30、より好ましくは炭素数1〜20、特に好ましくは炭素数1〜10であり、例えばメチル、エチル、iso−プロピル、tert−ブチル、n−オクチル、n−デシル、n−ヘキサデシル)、シクロアルキル基(好ましくは炭素数3〜30、より好ましくは炭素数1〜20、特に好ましくは炭素数3〜10であり、例えばシクロプロピル、シクロペンチル、シクロヘキシルなどが挙げられる。)、アルケニル基(好ましくは炭素数2〜30、より好ましくは炭素数2〜20、特に好ましくは炭素数2〜10であり、例えばビニル、アリル、2−ブテニル、3−ペンテニルなどが挙げられる。)、アルキニル基(好ましくは炭素数2〜30、より好ましくは炭素数2〜20、特に好ましくは炭素数2〜10であり、例えばプロパルギル、3−ペンチニルなどが挙げられる。)、
【0024】
アリール基(好ましくは炭素数6〜30、より好ましくは炭素数6〜20、特に好ましくは炭素数6〜12であり、例えばフェニル、p−メチルフェニル、ナフチル、アントラニルなどが挙げられる。)、アミノ基(好ましくは炭素数0〜30、より好ましくは炭素数0〜20、特に好ましくは炭素数0〜10であり、例えばアミノ、メチルアミノ、ジメチルアミノ、ジエチルアミノ、ジベンジルアミノ、ジフェニルアミノ、ジトリルアミノなどが挙げられる。)、アルコキシ基(好ましくは炭素数1〜30、より好ましくは炭素数1〜20、特に好ましくは炭素数1〜10であり、例えばメトキシ、エトキシ、ブトキシ、2−エチルヘキシロキシなどが挙げられる。)、アリールオキシ基(好ましくは炭素数6〜30、より好ましくは炭素数6〜20、特に好ましくは炭素数6〜12であり、例えばフェニルオキシ、1−ナフチルオキシ、2−ナフチルオキシなどが挙げられる。)、ヘテロ環オキシ基(好ましくは炭素数1〜30、より好ましくは炭素数1〜20、特に好ましくは炭素数1〜12であり、例えばピリジルオキシ、ピラジルオキシ、ピリミジルオキシ、キノリルオキシなどが挙げられる。)、
【0025】
アシル基(好ましくは炭素数1〜30、より好ましくは炭素数1〜20、特に好ましくは炭素数1〜12であり、例えばアセチル、ベンゾイル、ホルミル、ピバロイルなどが挙げられる。)、アルコキシカルボニル基(好ましくは炭素数2〜30、より好ましくは炭素数2〜20、特に好ましくは炭素数2〜12であり、例えばメトキシカルボニル、エトキシカルボニルなどが挙げられる。)、アリールオキシカルボニル基(好ましくは炭素数7〜30、より好ましくは炭素数7〜20、特に好ましくは炭素数7〜12であり、例えばフェニルオキシカルボニルなどが挙げられる。)、アシルオキシ基(好ましくは炭素数2〜30、より好ましくは炭素数2〜20、特に好ましくは炭素数2〜10であり、例えばアセトキシ、ベンゾイルオキシなどが挙げられる。)、アシルアミノ基(好ましくは炭素数2〜30、より好ましくは炭素数2〜20、特に好ましくは炭素数2〜10であり、例えばアセチルアミノ、ベンゾイルアミノなどが挙げられる。)、
【0026】
アルコキシカルボニルアミノ基(好ましくは炭素数2〜30、より好ましくは炭素数2〜20、特に好ましくは炭素数2〜12であり、例えばメトキシカルボニルアミノなどが挙げられる。)、アリールオキシカルボニルアミノ基(好ましくは炭素数7〜30、より好ましくは炭素数7〜20、特に好ましくは炭素数7〜12であり、例えばフェニルオキシカルボニルアミノなどが挙げられる。)、スルホニルアミノ基(好ましくは炭素数1〜30、より好ましくは炭素数1〜20、特に好ましくは炭素数1〜12であり、例えばメタンスルホニルアミノ、ベンゼンスルホニルアミノなどが挙げられる。)、スルファモイル基(好ましくは炭素数0〜30、より好ましくは炭素数0〜20、特に好ましくは炭素数0〜12であり、例えばスルファモイル、メチルスルファモイル、ジメチルスルファモイル、フェニルスルファモイルなどが挙げられる。)、
【0027】
カルバモイル基(好ましくは炭素数1〜30、より好ましくは炭素数1〜20、特に好ましくは炭素数1〜12であり、例えばカルバモイル、メチルカルバモイル、ジエチルカルバモイル、フェニルカルバモイルなどが挙げられる。)、アルキルチオ基(好ましくは炭素数1〜30、より好ましくは炭素数1〜20、特に好ましくは炭素数1〜12であり、例えばメチルチオ、エチルチオなどが挙げられる。)、アリールチオ基(好ましくは炭素数6〜30、より好ましくは炭素数6〜20、特に好ましくは炭素数6〜12であり、例えばフェニルチオなどが挙げられる。)、ヘテロ環チオ基(好ましくは炭素数1〜30、より好ましくは炭素数1〜20、特に好ましくは炭素数1〜12であり、例えばピリジルチオ、2−ベンズイミゾリルチオ、2−ベンズオキサゾリルチオ、2−ベンズチアゾリルチオなどが挙げられる。)、
【0028】
スルホニル基(好ましくは炭素数1〜30、より好ましくは炭素数1〜20、特に好ましくは炭素数1〜12であり、例えばメシル、トシルなどが挙げられる。)、スルフィニル基(好ましくは炭素数1〜30、より好ましくは炭素数1〜20、特に好ましくは炭素数1〜12であり、例えばメタンスルフィニル、ベンゼンスルフィニルなどが挙げられる。)、ウレイド基(好ましくは炭素数1〜30、より好ましくは炭素数1〜20、特に好ましくは炭素数1〜12であり、例えばウレイド、メチルウレイド、フェニルウレイドなどが挙げられる。)、リン酸アミド基(好ましくは炭素数1〜30、より好ましくは炭素数1〜20、特に好ましくは炭素数1〜12であり、例えばジエチルリン酸アミド、フェニルリン酸アミドなどが挙げられる。)、ヒドロキシ基、メルカプト基、ハロゲン原子(例えばフッ素原子、塩素原子、臭素原子、ヨウ素原子であり、より好ましくはフッ素原子が挙げられる)、
【0029】
シアノ基、スルホ基、カルボキシル基、ニトロ基、ヒドロキサム酸基、スルフィノ基、ヒドラジノ基、イミノ基、ヘテロ環基(好ましくは炭素数1〜30、より好ましくは炭素数1〜12であり、ヘテロ原子としては、例えば窒素原子、酸素原子、硫黄原子、具体的には例えばイミダゾリル、ピリジル、キノリル、フリル、チエニル、ピペリジル、モルホリノ、ベンズオキサゾリル、ベンズイミダゾリル、ベンズチアゾリル、カルバゾリル基、アゼピニル基などが挙げられる。)、シリル基(好ましくは炭素数3〜40、より好ましくは炭素数3〜30、特に好ましくは炭素数3〜24であり、例えばトリメチルシリル、トリフェニルシリルなどが挙げられる。)、シリルオキシ基(好ましくは炭素数3〜40、より好ましくは炭素数3〜30、特に好ましくは炭素数3〜24であり、例えばトリメチルシリルオキシ、トリフェニルシリルオキシなどが挙げられる。)などが挙げられる。これらの置換基は更に置換されてもよい。
【0030】
一般式(I)について説明する。
【0031】
一般式(I)において、R1、R2、R3及びR4は、各々独立に水素原子または置換基を表す。その置換基は前記置換基群Aから選ばれる。R1とR2が置換基を表す場合、互いに結合し環を形成してもよい。ただし、R1とR4およびR2とR3が互いに結合して、芳香環を形成することはない。
R1、R2、R3及びR4の好ましい基としては、アルキル基、シクロアルキル基、アルケニル基、アルキニル基、アリール基、アルコキシ基、アリールオキシ基、ヘテロ環オキシ基、アシル基、アルコキシカルボニル基、アルキルチオ基、アリールチオ基、ヘテロ環チオ基、スルホニル基、ハロゲン原子、シアノ基、スルホ基、カルボキシル基、ヘテロ環基、シリル基であり、より好ましくは、アルキル基、シクロアルキル基、アリール基、アルコキシ基、アリールオキシ基、ヘテロ環オキシ基、アルキルチオ基、アリールチオ基、シアノ基、ヘテロ環基であり、さらに好ましくはアルキル基、アリール基あるいはヘテロ環基である。
【0032】
一般式(I)において、Yは、配位性の分子あるいは基を表す。pは0以上の整数を表す。pが1以上の整数を表し、Yが置換可能である場合、YとR3あるいはYとR4が互いに結合してもよい。pが2以上の整数を表す場合、複数存在するYは同一でも異なっていてもよく、複数存在するYが置換基を有する場合、YとR3あるいはYとR4あるいはY同士が互いに結合してもよい。YとMとの結合はいかなる結合であっても良い。Yが配位性の中性分子の場合、MとYとの間の結合は点線で表され、配位結合を表す。Yが配位性の基を表す場合、MとYとの間の結合は実線で表され、配位結合を表す。
【0033】
配位結合については、例えば、松林玄悦、黒沢英夫、芳賀正明、松下隆之著「錯体・有機金属の化学」32-35頁(丸善株式会社)、基礎錯体工学研究会編「新版 錯体化学 基礎と最新の展開」11頁(講談社サイエンティフィク)等の成書に詳しく解説されている。
【0034】
配位性の分子の例としては、水や一酸化炭素、ニトロシル、アミン(好ましくは炭素数0〜30、より好ましくは、炭素数0〜20、特に好ましくは炭素数0〜10であり、例えば、アンモニア、テトラメチルエチレンジアミン、シクロヘキサンジアミンなど)、アルケン(好ましくは、炭素数2〜30、より好ましくは、炭素数2〜20、特に好ましくは炭素数2〜10であり、例えば、シクロオクタジエンなど)、エーテル(好ましくは炭素数2〜30、より好ましくは、炭素数2〜20、特に好ましくは炭素数2〜10であり、例えば、ジエチルエーテル、ジフェニルエーテルなど)、チオエーテル(好ましくは炭素数2〜30、より好ましくは、炭素数2〜20、特に好ましくは炭素数2〜10であり、例えば、ジエチルスルフィドなど)、ヘテロ環(好ましくは炭素数1〜30、より好ましくは炭素数1〜20、特に好ましくは炭素数1〜12であり、例えばピリジン、ビピリジン、キノリン、フェナントロリンなどが挙げられる。)、有機リン化合物(好ましくは炭素数1〜30、より好ましくは炭素数1〜20、特に好ましくは炭素数1〜18であり、例えばトリフェニルホスフィン、トリエチルホスフィン、トリ−t−ブチルホスフィンなどが挙げられる。)、スルホキシド(好ましくは炭素数2〜30、より好ましくは炭素数2〜20、特に好ましくは炭素数2〜18であり、例えばジメチルスルホキシドなどが挙げられる。)、ウレア(好ましくは炭素数1〜30、より好ましくは炭素数1〜20、特に好ましくは炭素数1〜18であり、例えば尿素などが挙げられる。)などが挙げられる。
配位性の分子として好ましくは、一酸化炭素、アルケン、チオエーテル、ヘテロ環、有機リン、スルホキシドであり、より好ましくは一酸化炭素、アルケン、ヘテロ環、有機リン化合物であり、さらに好ましくはアルケンあるいはヘテロ環である。
【0035】
Yが配位性の基を表す場合、その基としては、前記の置換基群Aから選ばれる置換基と同義である。
配位性の基として好ましくは、アリール基、アリールオキシ基、ヘテロ環オキシ基、アシルオキシ基、アルキルチオ基、アリールチオ基、ヘテロ環チオ基、スルホニル基、ヒドロキシ基、ハロゲン原子、シアノ基、スルホ基、カルボキシル基、ヘテロ環基であり、より好ましくは、アリール基、アリールオキシ基、アルキルチオ基、アリールチオ基、ハロゲン原子、シアノ基であり、さらに好ましくは、アリール基、アリールチオ基、アリールオキシ基である。
【0036】
一般式(I)において、X1およびX2は炭素原子または窒素原子を表す。mおよびnは0または1を表す。ただしX1またはX2が窒素原子をあらわすとき、mまたはnは0である。
【0037】
Mは金属イオンを表す。その金属イオンとしては、周期表における第三周期以降の元素(好ましくは第三周期以降の元素、より好ましくは第三周期以降で第3族から第16族の元素)を表し、例えばマグネシウム、アルミニウム、スカンジウム、チタニウム、バナジウム、クロム、マンガン、鉄、コバルト、ニッケル、銅、亜鉛、ガリウム、ゲルマニウム、イットリウム、ジルコニウム、ニオブ、モリブデン、テクネチウム、ルテニウム、ロジウム、パラジウム、銀、カドミウム、インジウム、錫、アンチモン、テルル、ランタン、セリウム、プラセオジム、ネオジム、プロメチウム、サマリウム、ユウロピウム、ガドリウム、テルビウム、ジスプロシウム、エルビウム、ツリウム、イッテルビウム、ルテチウム、ハフニウム、タンタル、タングステン、レニウム、オスミウム、イリジウム、白金、水銀、タリウム、鉛、ビスマス等が挙げられ、好ましくは、亜鉛、錫、銅、ニッケル、パラジウム、白金であり、より好ましくはパラジウム、白金である。
【0038】
一般式(I)において、A1は単結合又は二価の連結基を表す。二価の連結基としては特に限定されないが、炭素原子、窒素原子、酸素原子、硫黄原子、ケイ素原子、ゲルマニウム原子、セレン原子、またはリン原子を含んでなる二価の連結基が特に好ましく、下記の連結基群Aより選択される基が特に好ましい。
【0039】
連結基群A
【0040】
【化11】

【0041】
連結基群Aにおいて、R15、R16、R17、R18、R19、R20、R21、R22、R23、R24、R25及びR26(R15乃至R26)はそれぞれ独立に水素原子又は置換基を表す。R15乃至R26が置換基を表す場合、該置換基は置換基群Aから選ばれる置換基と同義である。R15乃至R26が置換可能な場合、さらに置換基を有していてもよく、R15とR16、R17とR18、R18とR19、R19とR20、R17とR19、R17とR20、R18とR20、R21とR22またはR23とR24がそれぞれ互いに結合し環を形成してもよい。
【0042】
A1は好ましくは単結合又は連結基群Aより選択される置換基であり、このうち単結合、-C(R15)(R16)-、-C(R17)(R18)C(R19)(R20)-、-Si(R21)(R22)-、-N(R25)-、-O-、-S-、-SO-、-SO2-又は-CO-が好ましく、単結合、-C(R15)(R16)-、-C(R17)(R18)C(R19)(R20)-、-Si(R21)(R22)-、又は-O-がより好ましく、単結合又は-C(R15)(R16)-がさらに好ましい。
【0043】
前記-C(R15)(R16)-において、R15及びR16は、好ましくは水素原子又は下記置換基群Bから選ばれる置換基である。
【0044】
(置換基群B)
置換基は、アルキル基、シクロアルキル基、アリール基、ハロゲン原子、アミノ基、アルキルチオ基、アリールチオ基、アルコキシ基、アリールオキシ基、ヒドロキシ基、メルカプト基であり、より好ましくはアルキル基、シクロアルキル基、アリール基、ハロゲン原子、アルキルチオ基、アリールチオ基、アルコキシ基、アリールオキシ基であり、さらに好ましくはアルキル基、アリール基である。
【0045】
前記-C(R17)(R18)C(R19)(R20) -において、R17、R18、R19及びR20は好ましくは水素原子又は置換基群Bから選ばれる置換基である。
【0046】
前記-Si(R21)(R22)- において、R21及びR22は好ましくは水素原子又は置換基群Bから選ばれる置換基である。
【0047】
前記-Ge(R23)(R24)- において、R23及びR24は好ましくは水素原子又は置換基群Bから選ばれる置換基である。
【0048】
前記-N(R25)- において、R25は好ましくは、水素原子、アルキル基、シクロアルキル基、又はアリール基であり、より好ましくは、アルキル基、アリール基であり、さらに好ましくはアリール基である。
【0049】
前記-P(R26)- において、R26は、前記-N(R25)-におけるR25の好ましい範囲と同義である。
【0050】
本発明における一般式の関係は以下の通りである。一般式(I)は好ましくは一般式(II)又は(III)である。一般式(II)は好ましくは一般式(IIA)である。一般式(III)は好ましくは一般式(IIIA)である。
【0051】
一般式(II)について説明する。Z1、Z2、Z3、Z4、Z5、Z6、Z7 、Z8、Z9及びZ10は、各々独立に、炭素、窒素、珪素から選択される原子を表す。Z1、Z2、Z3、Z4、Z5、Z6、Z7、Z8、Z9及びZ10は、好ましくは炭素又は窒素原子である。
【0052】
一般式(II)において、Z1、Z2、Z3、Z4、Z5、Z6、Z7 、Z8、Z9及びZ10は、置換基群Aから選ばれる置換基を有していてもよい。その好ましい置換基としては、アルキル基、シクロアルキル基、アリール基、アミノ基、アルコキシ基、アリールオキシ基、アシル基、アルコキシカルボニル基、アリールオキシカルボニル基、アシルオキシ基、スルホニルアミノ基、スルファモイル基、カルバモイル基、アルキルチオ基、アリールチオ基、ヘテロ環チオ基、スルホニル基、スルフィニル基、ウレイド基、リン酸アミド基、ヒドロキシ基、メルカプト基、ハロゲン原子、シアノ基、スルホ基、カルボキシル基、ニトロ基、スルフィノ基、ヘテロ環基、シリル基であり、より好ましくは、置換又は無置換のアルキル基、シクロアルキル基、アリール基、アミノ基、アルコキシ基、アリールオキシ基、ヘテロ環基であり、特に好ましくは、アルキル基、アルコキシ基、アミノ基である。
【0053】
一般式(II)において、A2、A3、A4は単結合又は二価の連結基を表す。連結基としては特に限定されないが、単結合、又は、炭素原子、窒素原子、酸素原子、硫黄原子、ケイ素原子、ゲルマニウム原子、セレン原子、またはリン原子を含んでなる二価の連結基が好ましく、単結合又は前記連結基群Aより選択される基がより好ましく、単結合、-C(R15)(R16)-、-C(R17)(R18)C(R19)(R20)-、-Si(R21)(R22)-、-N(R25)-、-O-、-S-、-SO-、-SO2-、又は-CO-がさらに好ましく、単結合、-C(R15)(R16)-又は-O-が特に好ましい。A2、A3またはA4が-C(R15)(R16)-、-C(R17)(R18)C(R19)(R20)-、-Si(R21)(R22)-、-Ge(R23)(R24)-、-N(R25)- 及び-P(R26)-を表す場合、その好ましい範囲は、前記A1で説明した好ましい範囲と同義である。ただし、一般式(II)において、mまたはnが1を表し、R1、R2、A3またはA4が置換可能である場合、A3とR1またはA4とR2が互いに結合して芳香環を形成することはない。qは0または1を表し、好ましくは1である。
一般式(II)において、R1、R2、X1、X2、M、m及びnは一般式(I)のそれらと同義である。
【0054】
一般式(III)について説明する。一般式(III)において、Z10、Z11、Z12、Z13、Z14、Z15、Z16及びZ17(Z10乃至Z17)は、各々独立に、炭素、窒素、酸素、硫黄、および珪素から選択される原子を表し、炭素又は窒素原子が好ましい。Z10乃至Z17は、置換基を有していてもよい。一般式(III)において、R1、R2、X1、X2、M、m及びnは一般式(I)のそれらと同義であり、A2、A3、A4及びqは一般式(II)におけるそれらと同義であり、好ましい範囲も同じである。
一般式(III)において、Z10、Z11、Z12、Z13及びN原子、並びにZ14、Z15、Z16、Z17及びN原子から形成される5員環における原子間の結合は単結合又は二重結合を表す。
【0055】
一般式(IIA)について説明する。一般式(IIA)において、R1、R2、Mは一般式(I)のそれらと同義であり、A2、A3、A4、及びqは一般式(II)のそれらと同義である。R5、R6、R 7、R 8、R9及びR10(R5乃至R10)は、各々独立に水素原子又は置換基を表す。該置換基は置換基群Aから選ばれる置換基と同義である。R5乃至R10の好ましい基としては、水素原子、アルキル基、シクロアルキル基、アリール基、アシル基、アルコキシ基、アミノ基、アルコキシカルボニル基、アリールオキシカルボニル基、アシルオキシ基、スルホニルアミノ基、スルファモイル基、カルバモイル基、アルキルチオ基、アリールチオ基、ヘテロ環チオ基、スルホニル基、スルフィニル基、ウレイド基、リン酸アミド基、ヒドロキシ基、メルカプト基、ハロゲン原子、シアノ基、スルホ基、カルボキシル基、ニトロ基、スルフィノ基、ヘテロ環基、シリル基であり、より好ましくは水素原子、アルキル基、アリール基、アルコキシ基、アミノ基、スルホニル基、ハロゲン原子、シアノ基、ニトロ基、ヘテロ環基であり、最も好ましくは水素原子、アルキル基、アリール基、アルコキシ基、アミノ基である。R5乃至R10がさらに置換可能である場合、置換基を有していてもよい。同一ピリジン環上にあるR5とR6、R6とR7、R5とR7、R8とR9、R8とR10、及びR9とR10は互いに結合して環を形成してもよい。
【0056】
一般式(IIIA)について説明する。一般式(IIIA)において、R1、R2、及びMは一般式(I)のそれらと同義であり、A2、A3、A4、及びqは、一般式(III)のそれらと同義である。R11、R12、R13及びR14(R11乃至R14)は、各々独立に水素原子又は置換基を表す。該置換基は置換基群Aから選ばれる置換基と同義である。R11乃至R14の好ましい基としては、水素原子、アルキル基、シクロアルキル基、アリール基、アシル基、アルコキシカルボニル基、アリールオキシカルボニル基、アシルオキシ基、スルホニルアミノ基、スルファモイル基、カルバモイル基、アルキルチオ基、アリールチオ基、ヘテロ環チオ基、スルホニル基、スルフィニル基、ウレイド基、リン酸アミド基、ヒドロキシ基、メルカプト基、ハロゲン原子、シアノ基、スルホ基、カルボキシル基、ニトロ基、スルフィノ基、ヘテロ環基、シリル基であり、より好ましくは水素原子、アルキル基、シクロアルキル基、アリール基、ハロゲン原子、シアノ基であり、さらに好ましくは水素原子、アルキル基、アリール基である。R11乃至R14がさらに置換可能である場合、置換基を有していてもよい。
【0057】
本発明の化合物は、低分子化合物であってもよく、また、オリゴマー化合物、ポリマー化合物などの重合体であってもよい。重合体である場合、質量平均分子量(ポリスチレン換算)は好ましくは1000〜5000000、より好ましくは2000〜1000000、さらに好ましくは3000〜100000である。重合体である場合、各一般式で表される構造がポリマー主鎖中に含まれても良く、またポリマー側鎖に含まれていても良い。該ポリマー化合物はホモポリマー化合物であっても良く、共重合体であっても良い。本発明の化合物は低分子化合物が好ましい。
【0058】
本発明の化合物は、有機電界発光素子の有機層に適用可能であり、発光材料、ホスト材料、正孔注入材料、正孔輸送材料、電子輸送材料、正孔ブロック材料、電子ブロック材料、励起子ブロック材料のいずれに用いることも可能である。本発明の化合物は、好ましくは正孔注入材料、正孔輸送材料、電子ブロック材料、ホスト材料、発光材料であり、より好ましくは、ホスト材料、発光材料用途であり、さらに好ましくは発光材料である。発光材料として本発明の化合物を用いる場合、紫外発光、可視光発光、赤外発光であってもよく、また蛍光発光であっても燐光発光であってもよい。
【0059】
<本発明の化合物の合成方法>
本発明の化合物は種々の手法で合成することができる。例えば、配位子、又はその解離体と金属イオンを含有する化合物を溶媒(例えば、ハロゲン系溶媒、アルコール系溶媒、エーテル系溶媒、エステル系溶媒、ケトン系溶媒、ニトリル系溶媒、アミド系溶媒、スルホン系溶媒、スルホキサイド系溶媒、水などが挙げられる)の存在下、又は溶媒非存在下、塩基の存在下(無機、有機の種々の塩基、例えば、ナトリウムメトキサイド、t−ブトキシカリウム、トリエチルアミン、炭酸カリウムなどが挙げられる)、もしくは、塩基非存在下、室温以下、もしくは加熱し(通常の加熱以外にも、マントルヒーターを使用する方法、マイクロウェーブで加熱する手法なども有効である)得ることができる。
【0060】
本発明の化合物は、例えば、J. Chem. Soc., Dalton Trans., 1981-1987,(1981)に記載の方法等を参照として対応するアセチレン化合物と適当な金属イオン源を前述したような溶媒下で反応せしめることにより合成することができるが、ここで挙げた方法に限定されるものではない。
【0061】
本発明の化合物を合成する際の反応時間は反応の活性により異なり、特に限定されないが、1分以上5日以下が好ましく、5分以上3日以下がより好ましく、10分以上24時間以下がさらに好ましい。
【0062】
本発明の化合物を合成する際の反応温度は反応の活性により異なり、特に限定されないが、0℃以上300℃以下が好ましく、5℃以上250℃以下がより好ましく、10℃以上200℃以下がさらに好ましい。
【0063】
本発明の化合物の合成において、目的とする錯体の部分構造を形成している配位子を金属イオンMを含む化合物に対し、好ましくは0.1当量〜10当量、より好ましくは0.3当量〜6当量、さらに好ましくは0.5当量〜4当量加えて合成することができる。前記の金属イオンMを含む化合物としては、ハロゲン化物(例えば、塩化物、臭化物等)、カルボン酸塩類(例えば、酢酸塩等)、ジケトナート類(例えば、アセチルアセトナート等)、有機配位子を含有する化合物(例えばジクロロシクロオクタジエニル等)又はそれらの水和物などがあげられる。
【0064】
本発明の化合物の具体例を示すが本発明はこれらに限定されない。
【0065】
【化12】

【0066】
【化13】

【0067】
【化14】

【0068】
【化15】

【0069】
【化16】

【0070】
【化17】

【0071】
【化18】

【0072】
【化19】

【0073】
【化20】

【0074】
<有機電界発光素子>
本発明の有機電界発光素子について詳細に説明する。本発明の素子は基板上に陰極と陽極を有し、両電極の間に少なくとも一層の有機層(有機層が一層である場合には発光層)を有する。発光素子の性質上、陽極及び陰極のうち少なくとも一方の電極は、透明であることが好ましい。
【0075】
本発明の素子において、該有機層の機能は、特に限定されないが、発光層の他に正孔注入層、正孔輸送層、電子注入層、電子輸送層、正孔ブロック層、電子ブロック層、励起子ブロック層、保護層などであってもよい。また本発明の素子では、発光層のほかに、正孔注入層、正孔輸送層、電子注入層、電子輸送層、正孔ブロック層、電子ブロック層、励起子ブロック層、保護層などを有してもよい。またこれらの各層は、それぞれ他の機能を兼備していても良い。
【0076】
本発明において、層の積層の態様としては、陽極側から、正孔輸送層、発光層、電子輸送層の順に積層されている態様が好ましい。更に、正孔輸送層と発光層との間、又は、発光層と電子輸送層との間には、電荷ブロック層等を有していてもよい。陽極と正孔輸送層との間に、正孔注入層を有してもよく、陰極と電子輸送層との間には、電子注入層を有してもよい。尚、各層は複数の二次層に分かれていてもよい。
【0077】
<基板>
本発明で使用する基板としては、有機層から発せられる光を散乱又は減衰させない基板であることが好ましい。その具体例としては、ジルコニア安定化イットリウム(YSZ)、ガラス等の無機材料、ポリエチレンテレフタレート、ポリブチレンフタレート、ポリエチレンナフタレート等のポリエステル、ポリスチレン、ポリカーボネート、ポリエーテルスルホン、ポリアリレート、ポリイミド、ポリシクロオレフィン、ノルボルネン樹脂、ポリ(クロロトリフルオロエチレン)等の有機材料が挙げられる。
例えば、基板としてガラスを用いる場合、その材質については、ガラスからの溶出イオンを少なくするため、無アルカリガラスを用いることが好ましい。また、ソーダライムガラスを用いる場合には、シリカなどのバリアコートを施したものを使用することが好ましい。有機材料の場合には、耐熱性、寸法安定性、耐溶剤性、電気絶縁性、及び加工性に優れていることが好ましい。
【0078】
基板の形状、構造、大きさ等については、特に制限はなく、発光素子の用途、目的等に応じて適宜選択することができる。一般的には、基板の形状としては、板状であることが好ましい。基板の構造としては、単層構造であってもよいし、積層構造であってもよく、また、単一部材で形成されていてもよいし、2以上の部材で形成されていてもよい。
【0079】
基板は、無色透明であっても、有色透明であってもよいが、有機発光層から発せられる光を散乱又は減衰等させることがない点で、無色透明であることが好ましい。
【0080】
基板には、その表面又は裏面に透湿防止層(ガスバリア層)を設けることができる。
透湿防止層(ガスバリア層)の材料としては、窒化珪素、酸化珪素などの無機物が好適に用いられる。透湿防止層(ガスバリア層)は、例えば、高周波スパッタリング法などにより形成することができる。
熱可塑性基板を用いる場合には、更に必要に応じて、ハードコート層、アンダーコート層などを設けてもよい。
【0081】
<陽極>
陽極は、通常、有機層に正孔を供給する電極としての機能を有していればよく、その形状、構造、大きさ等については特に制限はなく、発光素子の用途、目的に応じて、公知の電極材料の中から適宜選択することができる。前述のごとく、陽極は、通常透明陽極として設けられる。
【0082】
陽極の材料としては、例えば、金属、合金、金属酸化物、導電性化合物、又はこれらの混合物が好適に挙げられる。陽極材料の具体例としては、アンチモンやフッ素等をドープした酸化錫(ATO、FTO)、酸化錫、酸化亜鉛、酸化インジウム、酸化インジウム錫(ITO)、酸化亜鉛インジウム(IZO)等の導電性金属酸化物、金、銀、クロム、ニッケル等の金属、さらにこれらの金属と導電性金属酸化物との混合物又は積層物、ヨウ化銅、硫化銅などの無機導電性物質、ポリアニリン、ポリチオフェン、ポリピロールなどの有機導電性材料、及びこれらとITOとの積層物などが挙げられる。この中で好ましいのは、導電性金属酸化物であり、特に、生産性、高導電性、透明性等の点からはITOが好ましい。
【0083】
陽極は、例えば、印刷方式、コーティング方式等の湿式方式、真空蒸着法、スパッタリング法、イオンプレーティング法等の物理的方式、CVD、プラズマCVD法等の化学的方式などの中から、陽極を構成する材料との適性を考慮して適宜選択した方法に従って、前記基板上に形成することができる。例えば、陽極の材料として、ITOを選択する場合には、陽極の形成は、直流又は高周波スパッタ法、真空蒸着法、イオンプレーティング法等に従って行うことができる。
【0084】
本発明の素子において、陽極の形成位置としては特に制限はなく、発光素子の用途、目的に応じて適宜選択することができるが、前記基板上に構成されるのが好ましい。この場合、陽極は、基板における一方の表面の全部に形成されていてもよく、その一部に形成されていてもよい。
【0085】
なお、陽極を形成する際のパターニングとしては、フォトリソグラフィーなどによる化学的エッチングによって行ってもよいし、レーザーなどによる物理的エッチングによって行ってもよく、また、マスクを重ねて真空蒸着やスパッタ等をして行ってもよいし、リフトオフ法や印刷法によって行ってもよい。
【0086】
陽極の厚みとしては、陽極を構成する材料により適宜選択することができ、一概に規定することはできないが、通常、10nm〜50μm程度であり、50nm〜20μmが好ましい。
【0087】
陽極の抵抗値としては、103Ω/□以下が好ましく、102Ω/□以下がより好ましい。陽極が透明である場合は、無色透明であっても、有色透明であってもよい。透明陽極側から発光を取り出すためには、その透過率としては、60%以上が好ましく、70%以上がより好ましい。
【0088】
なお、透明陽極については、沢田豊監修「透明導電膜の新展開」シーエムシー刊(1999)に詳述があり、ここに記載される事項を本発明に適用することができる。耐熱性の低いプラスティック基材を用いる場合は、ITO又はIZOを使用し、150℃以下の低温で成膜した透明陽極が好ましい。
【0089】
<陰極>
陰極は、通常、有機層に電子を注入する電極としての機能を有していればよく、その形状、構造、大きさ等については特に制限はなく、素子の用途、目的に応じて、公知の電極材料の中から適宜選択することができる。
【0090】
陰極を構成する材料としては、例えば、金属、合金、金属酸化物、電気伝導性化合物、これらの混合物などが挙げられる。具体例としてはアルカリ金属(たとえば、Li、Na、K、Cs等)、アルカリ土類金属(たとえばMg、Ca等)、金、銀、鉛、アルミニウム、ナトリウム−カリウム合金、リチウム−アルミニウム合金、マグネシウム−銀合金、インジウム、イッテルビウム等の希土類金属、などが挙げられる。これらは、1種単独で使用してもよいが、安定性と電子注入性とを両立させる観点からは、2種以上を好適に併用することができる。
【0091】
これらの中でも、陰極を構成する材料としては、電子注入性の点で、アルカリ金属やアルカリ土類金属が好ましく、保存安定性に優れる点で、アルミニウムを主体とする材料が好ましい。
アルミニウムを主体とする材料とは、アルミニウム単独、アルミニウムと0.01〜10質量%のアルカリ金属又はアルカリ土類金属との合金若しくはこれらの混合物(例えば、リチウム−アルミニウム合金、マグネシウム−アルミニウム合金など)をいう。
【0092】
なお、陰極の材料については、特開平2−15595号公報、特開平5−121172号公報に詳述されており、これらの広報に記載の材料は、本発明においても適用することができる。
【0093】
陰極の形成方法については、特に制限はなく、公知の方法に従って行うことができる。例えば、印刷方式、コーティング方式等の湿式方式、真空蒸着法、スパッタリング法、イオンプレーティング法等の物理的方式、CVD、プラズマCVD法等の化学的方式などの中から、前記した陰極を構成する材料との適性を考慮して適宜選択した方法に従って形成することができる。例えば、陰極の材料として、金属等を選択する場合には、その1種又は2種以上を同時又は順次にスパッタ法等に従って行うことができる。
【0094】
陰極を形成するに際してのパターニングは、フォトリソグラフィーなどによる化学的エッチングによって行ってもよいし、レーザーなどによる物理的エッチングによって行ってもよく、マスクを重ねて真空蒸着やスパッタ等をして行ってもよいし、リフトオフ法や印刷法によって行ってもよい。
【0095】
本発明において、陰極形成位置は特に制限はなく、有機層上の全部に形成されていてもよく、その一部に形成されていてもよい。
また、陰極と前記有機層との間に、アルカリ金属又はアルカリ土類金属のフッ化物、酸化物等による誘電体層を0.1〜5nmの厚みで挿入してもよい。この誘電体層は、一種の電子注入層と見ることもできる。誘電体層は、例えば、真空蒸着法、スパッタリング法、イオンプレーティング法等により形成することができる。
【0096】
陰極の厚みは、陰極を構成する材料により適宜選択することができ、一概に規定することはできないが、通常10nm〜5μm程度であり、50nm〜1μmが好ましい。
また、陰極は、透明であってもよいし、不透明であってもよい。なお、透明な陰極は、陰極の材料を1〜10nmの厚さに薄く成膜し、更にITOやIZO等の透明な導電性材料を積層することにより形成することができる。
【0097】
<有機層>
本発明における有機層について説明する。
本発明の有機電界発光素子は、少なくとも一層の有機層(有機層が一層の場合には発光層)を有しており、発光層以外の他の有機層としては、前述したごとく、正孔輸送層、電子輸送層、電荷ブロック層、正孔注入層、電子注入層等の各層が挙げられる。
【0098】
−有機層の形成−
本発明の有機電界発光素子において、有機層を構成する各層は、蒸着法やスパッタ法等の乾式製膜法、転写法、印刷法等いずれによっても好適に形成することができる。
【0099】
−発光層−
発光層は、電界印加時に、陽極、正孔注入層、又は正孔輸送層から正孔を受け取り、陰極、電子注入層、又は電子輸送層から電子を受け取り、正孔と電子の再結合の場を提供して発光させる機能を有する層である。
本発明における発光層は、発光材料のみで構成されていても良く、ホスト材料と発光材料の混合層とした構成でも良い。発光材料は蛍光発光材料でも燐光発光材料であっても良く、ドーパントは1種であっても2種以上であっても良い。ホスト材料は電荷輸送材料であることが好ましい。ホスト材料は1種であっても2種以上であっても良く、例えば、電子輸送性のホスト材料とホール輸送性のホスト材料を混合した構成が挙げられる。さらに、発光層中に電荷輸送性を有さず、発光しない材料を含んでいても良い。
また、発光層は1層であっても2層以上であってもよく、それぞれの層が異なる発光色で発光してもよい。
【0100】
本発明の化合物と合わせて使用できる蛍光発光材料の例としては、例えば、ベンゾオキサゾール誘導体、ベンゾイミダゾール誘導体、ベンゾチアゾール誘導体、スチリルベンゼン誘導体、ポリフェニル誘導体、ジフェニルブタジエン誘導体、テトラフェニルブタジエン誘導体、ナフタルイミド誘導体、クマリン誘導体、縮合芳香族化合物、ペリノン誘導体、オキサジアゾール誘導体、オキサジン誘導体、アルダジン誘導体、ピラリジン誘導体、シクロペンタジエン誘導体、ビススチリルアントラセン誘導体、キナクリドン誘導体、ピロロピリジン誘導体、チアジアゾロピリジン誘導体、シクロペンタジエン誘導体、スチリルアミン誘導体、ジケトピロロピロール誘導体、芳香族ジメチリディン化合物、8−キノリノール誘導体の金属錯体やピロメテン誘導体の金属錯体に代表される各種金属錯体等、ポリチオフェン、ポリフェニレン、ポリフェニレンビニレン等のポリマー化合物、有機シラン誘導体などの化合物等が挙げられる。
【0101】
錯体の配位子としては、例えば、G.Wilkinson等著,Comprehensive Coordination Chemistry, Pergamon Press社1987年発行、H.Yersin著,「Photochemistry and Photophysics of Coordination Compounds」 Springer-Verlag社1987年発行、山本明夫著「有機金属化学−基礎と応用−」裳華房社1982年発行等に記載の配位子などが挙げられる。
具体的な配位子としては、好ましくは、ハロゲン配位子(好ましくは塩素配位子)、含窒素ヘテロ環配位子(例えば、フェニルピリジン、ベンゾキノリン、キノリノール、ビピリジル、フェナントロリンなど)、ジケトン配位子(例えば、アセチルアセトンなど)、カルボン酸配位子(例えば、酢酸配位子など)、一酸化炭素配位子、イソニトリル配位子、シアノ配位子であり、より好ましくは、含窒素ヘテロ環配位子である。上記錯体は、化合物中に遷移金属原子を一つ有してもよいし、また、2つ以上有するいわゆる複核錯体であってもよい。異種の金属原子を同時に含有していてもよい。
【0102】
燐光発光材料は、発光層中に、0.1〜40質量%含有されることが好ましく、0.5〜20質量%含有されることがより好ましい。
【0103】
また、本発明における発光層に含有されるホスト材料としては、例えば、カルバゾール骨格を有するもの、ジアリールアミン骨格を有するもの、ピリジン骨格を有するもの、ピラジン骨格を有するもの、トリアジン骨格を有するもの及びアリールシラン骨格を有するものや、後述の正孔注入層、正孔輸送層、電子注入層、電子輸送層の項で例示されている材料が挙げられる。
【0104】
発光層の厚さは、特に限定されるものではないが、通常、1nm〜500nmであるのが好ましく、5nm〜200nmであるのがより好ましく、10nm〜100nmであるのが更に好ましい。
【0105】
−正孔注入層、正孔輸送層−
正孔注入層、正孔輸送層は、陽極又は陽極側から正孔を受け取り陰極側に輸送する機能を有する層である。正孔注入層、正孔輸送層は、具体的には、カルバゾール誘導体、トリアゾール誘導体、オキサゾール誘導体、オキサジアゾール誘導体、イミダゾール誘導体、ポリアリールアルカン誘導体、ピラゾリン誘導体、ピラゾロン誘導体、フェニレンジアミン誘導体、アリールアミン誘導体、アミノ置換カルコン誘導体、スチリルアントラセン誘導体、フルオレノン誘導体、ヒドラゾン誘導体、スチルベン誘導体、シラザン誘導体、芳香族第三級アミン化合物、スチリルアミン化合物、芳香族ジメチリディン系化合物、ポルフィリン系化合物、有機シラン誘導体、カーボン、等を含有する層であることが好ましい。
正孔注入層、正孔輸送層の厚さは、駆動電圧を下げるという観点から、各々500nm以下であることが好ましい。
正孔輸送層の厚さとしては、1nm〜500nmであるのが好ましく、5nm〜200nmであるのがより好ましく、10nm〜100nmであるのが更に好ましい。また、正孔注入層の厚さとしては、0.1nm〜200nmであるのが好ましく、0.5nm〜100nmであるのがより好ましく、1nm〜100nmであるのが更に好ましい。
正孔注入層、正孔輸送層は、上述した材料の1種又は2種以上からなる単層構造であってもよいし、同一組成又は異種組成の複数層からなる多層構造であってもよい。
【0106】
−電子注入層、電子輸送層−
電子注入層、電子輸送層は、陰極又は陰極側から電子を受け取り陽極側に輸送する機能を有する層である。電子注入層、電子輸送層は、具体的には、トリアゾール誘導体、オキサゾール誘導体、オキサジアゾール誘導体、イミダゾール誘導体、フルオレノン誘導体、アントラキノジメタン誘導体、アントロン誘導体、ジフェニルキノン誘導体、チオピランジオキシド誘導体、カルボジイミド誘導体、フルオレニリデンメタン誘導体、ジスチリルピラジン誘導体、ナフタレン、ペリレン等の芳香環テトラカルボン酸無水物、フタロシアニン誘導体、8−キノリノール誘導体の金属錯体やメタルフタロシアニン、ベンゾオキサゾールやベンゾチアゾールを配位子とする金属錯体に代表される各種金属錯体、有機シラン誘導体、等を含有する層であることが好ましい。
【0107】
電子注入層、電子輸送層の厚さは、駆動電圧を下げるという観点から、各々50nm以下であることが好ましい。
電子輸送層の厚さとしては、1nm〜500nmであるのが好ましく、5nm〜200nmであるのがより好ましく、10nm〜100nmであるのが更に好ましい。また、電子注入層の厚さとしては、0.1nm〜200nmであるのが好ましく、0.2nm〜100nmであるのがより好ましく、0.5nm〜50nmであるのが更に好ましい。
電子注入層、電子輸送層は、上述した材料の1種又は2種以上からなる単層構造であってもよいし、同一組成又は異種組成の複数層からなる多層構造であってもよい。
【0108】
−正孔ブロック層−
正孔ブロック層は、陽極側から発光層に輸送された正孔が、陰極側に通りぬけることを防止する機能を有する層である。本発明において、発光層と陰極側で隣接する有機層として、正孔ブロック層を設けることができる。
正孔ブロック層を構成する有機化合物の例としては、BAlq等のアルミニウム錯体、トリアゾール誘導体、BCP等のフェナントロリン誘導体、等が挙げられる。
正孔ブロック層の厚さとしては、1nm〜500nmであるのが好ましく、5nm〜200nmであるのがより好ましく、10nm〜100nmであるのが更に好ましい。
正孔ブロック層は、上述した材料の1種又は2種以上からなる単層構造であってもよいし、同一組成又は異種組成の複数層からなる多層構造であってもよい。
【0109】
<保護層>
本発明において素子は保護層によって保護されていてもよい。保護層に含まれる材料としては、水分や酸素等の素子劣化を促進するものが素子内に入ることを抑止する機能を有しているものであればよい。その具体例としては、In、Sn、Pb、Au、Cu、Ag、Al、Ti、Ni等の金属、MgO、SiO、SiO2、Al23、GeO、NiO、CaO、BaO、Fe23、Y23、TiO2等の金属酸化物、SiNx、SiNxy等の金属窒化物、MgF2、LiF、AlF3、CaF2等の金属フッ化物、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリメチルメタクリレート、ポリイミド、ポリウレア、ポリテトラフルオロエチレン、ポリクロロトリフルオロエチレン、ポリジクロロジフルオロエチレン、クロロトリフルオロエチレンとジクロロジフルオロエチレンとの共重合体、テトラフルオロエチレンと少なくとも1種のコモノマーとを含むモノマー混合物を共重合させて得られる共重合体、共重合主鎖に環状構造を有する含フッ素共重合体、吸水率1%以上の吸水性物質、吸水率0.1%以下の防湿性物質等が挙げられる。
【0110】
保護層の形成方法については、特に限定はなく、例えば、真空蒸着法、スパッタリング法、反応性スパッタリング法、MBE(分子線エピタキシ)法、クラスターイオンビーム法、イオンプレーティング法、プラズマ重合法(高周波励起イオンプレーティング法)、プラズマCVD法、レーザーCVD法、熱CVD法、ガスソースCVD法、コーティング法、印刷法、転写法を適用できる。
【0111】
<封止>
本発明の有機電界発光素子は、封止容器を用いて素子全体を封止してもよい。また、封止容器と発光素子の間の空間に水分吸収剤又は不活性液体を封入してもよい。水分吸収剤としては、特に限定されることはないが、例えば、酸化バリウム、酸化ナトリウム、酸化カリウム、酸化カルシウム、硫酸ナトリウム、硫酸カルシウム、硫酸マグネシウム、五酸化燐、塩化カルシウム、塩化マグネシウム、塩化銅、フッ化セシウム、フッ化ニオブ、臭化カルシウム、臭化バナジウム、モレキュラーシーブ、ゼオライト、酸化マグネシウム等を挙げることができる。不活性液体としては、特に限定されることはないが、例えば、パラフィン類、流動パラフィン類、パーフルオロアルカンやパーフルオロアミン、パーフルオロエーテル等のフッ素系溶剤、塩素系溶剤、シリコーンオイル類が挙げられる。
【0112】
本発明の有機電界発光素子は、陽極と陰極との間に直流(必要に応じて交流成分を含んでもよい)電圧(通常2ボルト〜15ボルト)、又は直流電流を印加することにより、発光を得ることができる。
本発明の有機電界発光素子の駆動方法については、特開平2−148687号、同6−301355号、同5−29080号、同7−134558号、同8−234685号、同8−241047号の各公報、特許第2784615号、米国特許5828429号、同6023308号の各明細書、等に記載の駆動方法を適用することができる。
【産業上の利用可能性】
【0113】
本発明の有機電界発光素子は、表示素子、ディスプレイ、バックライト、電子写真、照明光源、記録光源、露光光源、読み取り光源、標識、看板、インテリア、光通信等の分野に好適に使用できる。また本発明の化合物は、医療用途、蛍光増白剤、写真用材料、UV吸収材料、レーザー色素、記録メディア用材料、インクジェット用顔料、カラーフィルター用染料、色変換フィルター、分析用途等にも適用可能である。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
一対の電極間に少なくとも一層の有機層を有する有機電界発光素子であって、下記一般式(I)で表される構造を含む化合物の少なくとも一種を前記有機層に含有する有機電界発光素子。
一般式(I)
【化1】

式中、R1、R2、R3及びR4は、各々独立に水素原子または置換基を表す。R1とR2が置換基を表す場合、互いに結合して環を形成してもよい。R1とR4およびR2とR3が互いに結合して芳香環を形成することはない。X1およびX2は炭素原子または窒素原子を表す。mおよびnは0または1を表す。X1またはX2が窒素原子をあらわすとき、mまたはnは0である。Mは金属イオンを表す。YはMに配位する分子または配位する基を表す。pは0以上の整数を表す。A1は単結合または二価の連結基を表す。
【請求項2】
前記一般式(I)が下記一般式(II)又は(III)で表される請求項1に記載の有機電界発光素子。
一般式(II)
【化2】

式中、Z1、Z2、Z3、Z4、Z5、Z6、Z7、Z8、Z9及びZ10は、各々独立に、炭素、窒素および珪素から選択される原子を表す。Z1、Z2、Z3、Z4、Z5、Z6、Z7、Z8、Z9及びZ10は、置換基を有していてもよい。A2、A3及びA4は単結合または二価の連結基を表す。qは0または1を表す。X1、X2、R1、R2、M、m、nは一般式(I)のそれらと同義である。
一般式(III)
【化3】

式中、Z10、Z11、Z12、Z13、Z14、Z15、Z16及びZ17は、各々独立に、炭素、窒素、酸素、硫黄、および珪素から選択される原子を表す。Z10、Z11、Z12、Z13及びN原子、並びにZ14、Z15、Z16、Z17及びN原子から形成される5員環における原子間の結合は単結合又は二重結合を表す。Z10、Z11、Z12、Z13、Z14、Z15、Z16及びZ17は、置換基を有していてもよい。X1、X2、R1、R2、M、m、nは一般式(I)のそれらと同義であり、A2、A3、A4、qは一般式(II)のそれらと同義である。
【請求項3】
前記一般式(II)が下記一般式(IIA)で表される請求項2に記載の有機電界発光素子。
一般式(IIA)
【化4】

式中、R 5、R 6、R7、R8、R9及びR10は、各々独立に、水素原子又は置換基を表す。R1、R2、Mは一般式(I)のそれらと同義であり、A2、A3、A4、qは一般式(II)のそれらと同義である。
【請求項4】
前記一般式(III)が下記一般式(IIIA)で表される請求項2に記載の有機電界発光素子。
一般式(IIIA)
【化5】

式中、R 11、R 12、R13及びR14は、各々独立に、水素原子又は置換基を表す。R1、R2、Mは一般式(I)のそれらと同義であり、A2、A3、A4、qは一般式(III)のそれらと同義である。
【請求項5】
前記一般式(I)〜(IIIA)において、Mがニッケル、銅、亜鉛、錫、パラジウムおよび白金から選択されることを特徴とする請求項1〜4のいずれかに記載の有機電界発光素子。
【請求項6】
前記一般式(I)〜(IIIA)において、Mがパラジウムおよび白金から選択されることを特徴とする請求項1〜4のいずれかに記載の有機電界発光素子。
【請求項7】
前記一般式(II)〜(IIIA)において、A2、A3、A4が、単結合、-C(R15)(R16)-、-C(R17)(R18)C(R19)(R20)-、-Si(R21)(R22)-、-N(R25)-、-O-、-S-、-SO-、-SO2-、-CO-(R15、R16、R17、R18、R19、R20、R21、R22、及びR25はそれぞれ独立に水素原子又は置換基を表す。)から選択される基である請求項2〜6のいずれかに記載の有機電界発光素子。

【公開番号】特開2006−344891(P2006−344891A)
【公開日】平成18年12月21日(2006.12.21)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−171030(P2005−171030)
【出願日】平成17年6月10日(2005.6.10)
【出願人】(000005201)富士フイルムホールディングス株式会社 (7,609)
【Fターム(参考)】