説明

有機ELパネルの封止方法及び封止装置

【課題】封止工程における生産性を低下させることなく湾曲のない有機ELパネルを得ることが可能な有機ELパネルの封止方法及び封止装置を提供する。
【解決手段】有機EL素子が形成された支持基板を所定の遮光パターンを有する遮光マスク107と接するように配設し、前記有機EL素子を気密的に覆うための封止基板が配設された載置台104bを移動させて前記封止基板を紫外線硬化型の接着剤を介して前記支持基板に重ね合わせ、遮光マスク107側から紫外線を照射して前記接着剤を硬化させて前記支持基板と前記封止部材とを接合する有機ELパネルの封止方法である。前記支持基板及び前記封止基板を配設する前に、遮光マスク107と載置台104bとを同時に加熱し、さらに遮光マスク107と載置台104bとの温度差が安定状態となるまで放置冷却する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は有機EL(エレクトロルミネッセンス)素子を用いた有機ELパネルの封止方法及びその封止方法に用いられる封止装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、発光素子として、ガラス材料からなる透光性の支持基板上に、陽極となるITO(Indium Tin Oxide)等からなる透明電極と、正孔注入層、正孔輸送層、発光層及び電子輸送層等からなる有機層と、陰極となるアルミニウム(Al)等からなる非透光性の背面電極と、を順次積層形成して構成される有機EL素子が知られている。有機EL素子を用いた有機ELパネルは、自発光型平面表示装置として近年脚光を浴びており、液晶表示装置と比較して視野角依存性が少ない、コントラスト比が高い、薄膜化が可能であるなどの利点から各所で研究開発が行われている。
【0003】
一般に有機層は水分や酸素で劣化するため、有機ELパネルの製造に際しては、有機EL素子を気密的に覆うべく支持基板とガラスや金属からなる封止基板とを紫外線硬化型接着剤を介して接合する封止工程が行われる(例えば特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2004−79409号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
支持基板と封止基板との接合は、封止装置に備えられる載置台に封止基板を配設し、載置台を上昇させて支持基板に対して所定の圧力を加えた状態で封止基板を当接させ、その後支持基板側から紫外線を照射して接着剤を硬化させることでなされる。このとき、支持基板は所定の遮光パターンを有する遮光マスクと接するように配設される。遮光マスクは有機EL素子に紫外線が照射されて劣化することを防止し、接着剤のみに紫外線が照射されるようにするためのものである。支持基板が接する遮光マスクと封止基板が接する載置台とは、封止工程が連続して行われることにより紫外線照射が繰り返されると初期状態から徐々に温度が上昇し、熱の出入りのバランスがとれた温度で安定する。両基板は、熱膨張による伸びが異なる状態で接合されるとその後に有機ELパネルに湾曲が生じるため、遮光マスク及び載置台は支持基板及び封止基板の熱膨張率の違いも考慮して両者の温度差が安定した状態で接合された場合に有機ELパネルに湾曲が生じないようそれぞれの材質や厚さ等が設計される。通常遮光マスクに対して載置台が2〜10℃程度高い状態で両者の温度差が安定する。
【0006】
しかしながら、生産初期(封止工程の実施回数が少ない状態)では熱容量の違いから遮光マスクの方が載置台より温度が速く上昇するため両者の温度差が安定状態とは異なり、かかる状態で接合された有機ELパネルは熱膨張による両基板の伸びが異なるため湾曲が生じるという問題点があった。湾曲した有機ELパネルには熱収縮による残存応力があり、僅かな衝撃でも破損するおそれがある。また、特許文献1には、載置台にヒータ等の加熱手段を設けて封止基板の温度を調整する方法が開示されているが、かかる方法では遮光マスクの温度が安定するまでは封止工程の実施毎に載置台の温度調整をする必要があり、生産性が低下するため更なる改良の余地があった。
【0007】
本発明は、このような問題に鑑み、封止工程における生産性を低下させることなく湾曲のない有機ELパネルを得ることが可能な有機ELパネルの封止方法及び封止装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明は、前記課題を解決するために、有機EL素子が形成された支持基板を所定の遮光パターンを有する遮光マスクと接するように配設し、前記有機EL素子を気密的に覆うための封止基板が配設された載置台を移動させて前記封止基板を紫外線硬化型の接着剤を介して前記支持基板に重ね合わせ、前記遮光マスク側から紫外線を照射して前記接着剤を硬化させて前記支持基板と前記封止部材とを接合する有機ELパネルの封止方法であって、前記支持基板及び前記封止基板を配設する前に、前記遮光マスクと前記載置台とを同時に加熱し、さらに前記遮光マスクと前記載置台との温度差が安定状態となるまで放置冷却することを特徴とする。
【0009】
本発明は、前記課題を解決するために、所定の遮光パターンを有する遮光マスクと、前記遮光マスクに向けて移動可能な載置台と、紫外線を照射する紫外線照射手段と、を有し、有機EL素子が形成された支持基板を前記遮光マスクと接するように配設し、前記封止基板を前記載置台上に配設し、前記載置台を移動させて前記封止基板と紫外線硬化型の接着剤を介して前記支持基板に重ね合わせ、前記紫外線照射手段により前記遮光マスク側から紫外線を照射して前記接着剤を硬化させて前記支持基板と前記封止基板とを接合する封止装置であって、前記支持基板及び前記封止基板を配設する前に、前記遮光マスクと前記載置台とを同時に加熱し、さらに前記遮光マスクと前記載置台との温度差が安定状態となるまで放置冷却してなることを特徴とする。
【発明の効果】
【0010】
本発明は有機ELパネルの封止方法及び封止装置において、封止工程における生産性を低下させることなく湾曲のない有機ELパネルを得ることが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【図1】本発明の実施形態における有機ELパネルを示す斜視図である。
【図2】同上有機ELパネルを示す平面図である。
【図3】同上有機ELパネルを示す要部断面図である。
【図4】同上における有機ELパネルの製造方法を示す図である。
【図5】同上における有機ELパネルの封止方法を示す図である。
【図6】同上におけるの接着剤の塗布パターンを示す図である。
【図7】同上における封止装置を示す図である。
【図8】同上における封止装置を示す図である。
【図9】同上における遮光マスクとステージの温度推移を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下、本発明の実施形態を添付図面に基づき説明する。
【0013】
図1から図3を用いて有機ELパネルの構造の一例について説明する。有機ELパネル1は、支持基板2,透明電極3,絶縁層4,有機層5,背面電極6及び封止基板7とから構成されている。
【0014】
支持基板2は、例えばガラス材料からなる長方形状の透光性基板であり、有機EL素子を形成するための支持基板である。
【0015】
透明電極3は、支持基板2上にITO等の導電性材料によって構成され、日の字型の表示セグメント部3aと、個々のセグメントからそれぞれ引き出し形成されたリード部3bと、リード部3bの終端部に設けられる電極部3cとを備えている。電極部3c群は、支持基板2の一辺に集中的に配設される。
【0016】
絶縁層4は、ポリイミド系等の絶縁材料からなり、表示セグメント部3aに対応した窓部4aと、背面電極6の後述する電極部に対応する切り欠き部4bとを有し、発光領域の輪郭を鮮明に表示するため、透明電極3の表示セグメント部3aの周縁部と若干重なるように窓部4aが形成され、また、透明電極3と背面電極6との絶縁を確保するためにリード部3b上を覆うように配設される。
【0017】
有機層5は、少なくとも有機発光層を有するものであれば良いが、本発明の実施の形態においては正孔注入層,正孔輸送層,発光層及び電子輸送層を順次積層形成してなるものである。有機層5は、絶縁層4における各窓部4aの形成箇所に対応するように所定の大きさをもって配設される。
【0018】
背面電極6は、アルミ等の非透光性の導電性材料から構成され、有機層5上に配設される。背面電極6は、透明電極3における各電極部3cが形成される支持基板2の一辺に設けられるリード部6aと電気的に接続される。尚、リード部6aの終端部には、電極部6bが設けられ、リード部6a及び電極部6bは透明電極3と同材料により形成される。
【0019】
封止基板7は、ガラス材料からなるもので、透明電極3,絶縁層4,有機層5及び背面電極6からなる有機EL素子8を収納するための凹部形状の収納部7aを有し、透明電極3の電極部3c及び背面電極6の電極部6bが露出するように支持基板2よりも若干小さめに構成されるとともに、支持基板2と接着剤9を介して接合するため収納部7aの全周を取り巻くように形成される接合部7bが設けられている。封止基板7は、成形,エッチング法,サンドブラスト法及び切削の適宜手段によって得られるものである。
【0020】
紫外線硬化型の接着剤9は、紫外線照射で硬化するエポキシ系樹脂やアクリル系樹脂等からなり、グラスファイバーからなるスペーサが含有されている。
【0021】
以上の各部によって有機ELパネル1が構成される。
【0022】
次に、図4から図8を用いて有機ELパネル1の封止方法について説明する。
【0023】
まず、透明電極3,絶縁層4,有機層5及び背面電極6からなる有機EL素子8を、蒸着もしくはスパッタリング法等の手段により複数形成した多数個取り用の支持基板20を用意する。また、各有機EL素子8に対応し、各有機EL素子8を収納する凹部形状の複数の収納部70a(7a)と、各収納部70aの周縁を取り巻くとともに、支持基板20に接合するための複数の接合部70b(7b)とを備えた多数個取り用の封止基板70を用意する(図4(a)参照)。
【0024】
封止基板70の接合部70bの形成個所には、接着剤9がディスペンス方式もしくは印刷方式により塗布される(図4(a))。接着剤9の塗布について、図6を用いて詳述する。図6は封止基板70を示す平面図であり、収納部70aが縦,横方向に列状に形成されている。収納部70aの周縁には、支持基板20と接着剤9を介して接合するための接合部70bがぞれぞれ形成されており、各収納部70a間の接合部70bは、後述する切断工程によって個々の有機ELパネル1を得るための切断位置が確保され、広域部71が形成されている。
【0025】
接着剤9は、図6に示す配設パターン72に沿って封止基板70の接合部70b及び広域部71に塗布されるものである。接着剤9は、各収納部70aの取り巻くように環状に全周に渡って塗布されるものであるが、広域部71においては、略X字状の塗布パターン72となっている。即ち、支持基板20と封止基板70との接着工程において、所定の圧力が付与される状態となるが、接着剤9は、広域部71における配設パターン72の交差領域から外方に向かって広がることになり、両部材の良好な接合が得られることから、収納部70a内への外気の侵入を阻止することができる。また、ディスペンス方式によって接着剤9を塗布する場合において、ディスペンサを用いた一筆書きにて接着剤9を接合部70b及び広域部71に供給できることから、接着剤9の塗布時の生産性を向上させることができる。尚、接着剤9の塗布には、ディスペンス方式もしくは印刷方式が用いられが、多数機種少量生産に対応させる製造ラインの場合ではディスペンス方式が望ましく、また少数機種大量生産に対応させる製造ラインでは印刷方式が望ましい。なお、接着剤9の塗布膜の厚さは、0.2mmから0.4mm程度である。
【0026】
次に、図7に示すような封止装置100の封止室101にて支持基板20と封止基板70との接合を行う。
【0027】
封止室101は、排気ポート102を介して図示しない真空ポンプで封止室101内が略真空状態になるように排気され、その後窒素導入口103から所定の酸素濃度を有する窒素が導入されることで、例えば酸素の濃度が100ppm以下で露点が−70℃以下の窒素雰囲気が確保される。その場合の封止室101内の気圧は、1.0atmに保たれている。
【0028】
封止室101の略中央には、支持基板20と封止基板70とを配設し、両部材20,70を重ね合わせるための重ね合わせ機構104が備えられている。封止室101の上方には、接着剤9に紫外線(UV)を照射するUV照射手段105が備えられている。UV照射手段105は、例えば紫外線を照射するUVランプとこのUVランプを囲うボックスとからなる。また、UV照射手段105と重ね合わせ機構104との間には、ホルダー部106を介して配設され、UV照射手段105からの紫外線を部分的に遮断する遮光マスク107を配設するためのマスク配設部108が備えられている。遮光マスク107は、ガラスあるいは樹脂材料からなる平板部材にクロム(Cr)等の金属材料によって紫外線を部分的に遮光する遮光パターンを形成してなる。
【0029】
重ね合わせ機構104は、支持基板20を配設するための基板配設部104aと、封止基板70を配設するためのステージ(載置台)104bと、ステージ104bを例えばシリンダーからなる駆動手段によって上方に移動可能とする上昇機構104cとを備えている。基板配設部104a及びステージ104bは例えばSUS(ステンレス鋼)等の金属材料からなる。ステージ104bと上昇機構104cとの間には、バネ等からなる弾性部材104dが配設され、この弾性部材104dによって、上昇機構104cを上方に動作させて封止基板70を支持基板20に重ね合わせる際の支持基板20及び封止基板70の破損を防止している。
【0030】
支持基板20と封止基板70との接合に際し、まず、封止室101内の遮光マスク107とステージ104bとの温度差を安定状態とする温度安定化工程S1を行う。温度安定化工程S1において、UV照射手段105は、図8に示すように、遮光マスク107及びステージ104bに向けて紫外線を照射し、遮光マスク107及びステージ104bを加熱する。このとき熱容量の違いから遮光マスク107はステージ104bよりも急激に温度が上昇し、遮光マスク107の温度がステージ104bの温度よりも高くなる。ここで、遮光マスク107及びステージ104bは、支持基板20と封止基板70との接合時にステージ104bの温度が遮光マスク107の温度よりも2〜10℃高い状態で安定するように設計されている。したがって、加熱時においては遮光マスク107とステージ104bとの温度差は所望の温度差と異なる(逆転している)状態となっている。なお、紫外線照射よる加熱は、遮光マスク107及びステージ104bの温度が両者の温度差が安定する温度よりも高くなるまで行う。加熱後、紫外線照射を停止して遮光マスク107及びステージ104bを放置冷却する。このとき熱容量の違いから遮光マスク107はステージ104bよりも急激に温度が低下し、所定時間経過すると遮光マスク107の温度がステージ104bの温度よりも低くなり、その後両者の温度差は安定状態に至る。放置冷却は、遮光マスク107とステージ104bとの温度差が安定状態となるまで行う。
【0031】
次に、封止室101内に支持基板20及び封止基板70を投入し、支持基板20と封止基板70とをそれぞれ基板配設部104a及びステージ104bに配設して、重ね合わせ機構104にて重ね合わせる第1の重ね合わせ工程S2を行う(図4(b))。第1の重ね合わせ工程S2において、重ね合わせ機構104は、支持基板20を基準位置とし、封止基板70を支持基板20へ上昇機構104cによって移動させ、封止基板70に塗布した接着剤9が支持基板20に接触した状態で上昇機構104cを停止させる。なお、基板配設部104aは図示しない上昇機構によって遮光マスク107に向けて移動可能に設けられており、支持基板20は遮光マスク107と接するように配設される。
【0032】
次に、第1の重ね合わせ工程S2の終了後、もしくは封止基板70と支持基板20との重ね合わせ中に、封止室101内の気圧を前記真空ポンプによって減圧する第1の室内気圧調整工程S3を行う。封止室101は、減圧前の気圧値(1.0atm)から第1の気圧値P1である、例えば0.7atmまで減圧される。この第1の気圧値P1からの減圧分(0.3atm)は、封止基板70の各収納部7aの大きさと、広域部71を含む接合部7bに塗布される接着剤9の厚みとにより定まる有機EL素子8を収納する凹部の体積(有機EL素子8を収納する収納空間の体積)に基づいて定まる内圧(内気圧)変化、即ち後述する第2の重ね合わせ工程S4における圧着時において、前記収納空間内の内圧の圧力上昇分を考慮して設定されるものである。
【0033】
次に、封止室101を第1の気圧値P1に減圧した後に、封止基板70を配設したステージ104bを上昇機構104cによって所定量上昇(移動量としては数mm程度)させて接着剤9を押しつぶし、支持基板20と封止基板70とを密着させる第2の重ね合わせ工程S4を行う(図4(c))。
【0034】
そして、前述の第2の重ね合わせ工程S4と同時に、封止室101内の気圧を前記第2の気圧値から減圧前の気圧である、第2の気圧値(1.0atm)に昇圧するべく、所定の酸素濃度を有する窒素ガスを窒素導入口103から導入する第2の室内気圧調整工程S5を行う。
【0035】
次に、UV照射手段105により遮光マスク107側から紫外線を所定時間照射して支持基板20と封止基板70との間に配設される接着剤9を硬化させる接着剤硬化工程S6を行う。なお、遮光マスク107により支持基板20に形成される各有機EL素子8への紫外線が遮られ、接着剤9にのみ紫外線が照射される。その後封止室101内の上昇機構104cを下降させて重ね合わされた重合基板(有機ELパネル)を封止室101から取り出す。
【0036】
そして、前記重合基板の所定個所を例えばスクライブ法によって切断することで個々の有機ELパネル1を得る(図4(d))。
【0037】
かかる有機ELパネル1の封止方法及び封止装置は、遮光マスク107と接する支持基板20とステージ104bと接する封止基板70とをそれぞれの配置位置に配設する前に、遮光マスク107とステージ104bとを同時に加熱し、さらに両者の温度差が安定状態となるまで放置冷却するものである。
【0038】
図9は、本実施形態における遮光マスク107及びステージ104bの温度推移を示す図である。図9に示すように、遮光マスク107及びステージ104bは初期状態から温度安定化工程S1で紫外線照射により加熱する期間においては、温度が上昇している。特に遮光マスク107は温度上昇が急激でありステージ104bよりも温度が高くなっている。そして、温度安定化工程S1で加熱後に放置冷却する期間において遮光マスク107の温度は急激に低下し、ステージ104bは緩やかに温度が低下する。そして所定時間経過後には遮光マスク107と徐々に温度が低下するステージ104bとの温度差が安定する。そして遮光マスク107とステージ104bとの温度差が安定した状態で生産(支持基板20と封止部材70とを接合するための工程S2〜S6)が開始されている。図9では、生産を繰り返し実行しており生産中の紫外線が照射されない期間(接着剤硬化工程S6以外の工程中)には遮光マスク107の温度低下が見られるもののその変化量は低く生産中に所望の温度差(2〜10℃)を保つことが可能となっている。したがって、本発明によれば生産全体を通して湾曲のない有機ELパネルを得ることができ、また、温度安定化工程S1の実行後はその都度温度調整を行うことなく連続して支持基板20と封止基板70との接合を行うことができることから生産性が低下することがない。
【0039】
また、接着剤9を硬化させるためのUV照射手段105によって遮光マスク107及びステージ104bに紫外線を照射して加熱することによって、容易に遮光マスク107及びステージ104bを同時加熱することができ、また専用の加熱手段が不要であるため製造コスト増加を抑制することができる。
【0040】
なお、前述した実施形態では、セグメント型の有機ELパネル1の封止方法及び封止装置を示したが、ドットマトリクス型の有機ELパネルの封止方法に本発明を適用しても良い。
【0041】
また、本発明の実施形態では、複数の有機ELパネルを得るためのマルチ取り基板となる支持基板20と封止基板70を例に挙げて説明したが、本発明は、単一の有機ELパネルを得るための支持基板と封止基板とを封止する方法に適用しても良いことは言うまでもない。
【0042】
また、本発明の実施形態では、封止基板70の接合部70bに接着剤9が塗布され、支持基板20を基準として、封止基板70を支持基板20側へ移動させることで両部材20,70を接合するものであったが、支持基板20の封止基板70との接合個所に接着剤9を塗布して支持基板20と封止基板70とを接合するものであっても良い。
【産業上の利用可能性】
【0043】
本発明は、有機ELパネルの封止方法及び封止装置に好適である。
【符号の説明】
【0044】
1 有機ELパネル
2 支持基板
3 透明電極
4 絶縁層
5 有機層
6 背面電極
7 封止基板
7a 収納部
7b 接合部
20 支持基板
70 封止基板
70a 収納部
70b 接合部
100 封止装置
101 封止室
102 排出ポート
103 窒素導入口
104 重ね合わせ機構


【特許請求の範囲】
【請求項1】
有機EL素子が形成された支持基板を所定の遮光パターンを有する遮光マスクと接するように配設し、前記有機EL素子を気密的に覆うための封止基板が配設された載置台を移動させて前記封止基板を紫外線硬化型の接着剤を介して前記支持基板に重ね合わせ、前記遮光マスク側から紫外線を照射して前記接着剤を硬化させて前記支持基板と前記封止部材とを接合する有機ELパネルの封止方法であって、
前記支持基板及び前記封止基板を配設する前に、前記遮光マスクと前記載置台とを同時に加熱し、さらに前記遮光マスクと前記載置台との温度差が安定状態となるまで放置冷却することを特徴とする有機ELパネルの封止方法。
【請求項2】
前記遮光マスクと前記載置台とに紫外線を照射して加熱することを特徴とする請求項1に記載の有機ELパネルの封止方法。
【請求項3】
前記遮光マスクと前記載置台とを加熱し、放置冷却した後に、連続して前記支持基板と前記封止基板との接合を行うことを特徴とする請求項1に記載の有機ELパネルの封止方法。
【請求項4】
所定の遮光パターンを有する遮光マスクと、前記遮光マスクに向けて移動可能な載置台と、紫外線を照射する紫外線照射手段と、を有し、
有機EL素子が形成された支持基板を前記遮光マスクと接するように配設し、前記封止基板を前記載置台上に配設し、前記載置台を移動させて前記封止基板と紫外線硬化型の接着剤を介して前記支持基板に重ね合わせ、前記紫外線照射手段により前記遮光マスク側から紫外線を照射して前記接着剤を硬化させて前記支持基板と前記封止基板とを接合する封止装置であって、
前記支持基板及び前記封止基板を配設する前に、前記遮光マスクと前記載置台とを同時に加熱し、さらに前記遮光マスクと前記載置台との温度差が安定状態となるまで放置冷却してなることを特徴とする封止装置。
【請求項5】
前記紫外線照射手段は、前記遮光マスクと前記載置台とに紫外線を照射して加熱することを特徴とする請求項4に記載の封止装置。
【請求項6】
前記遮光マスクと前記載置台とを加熱し、放置冷却した後に、連続して前記支持基板と前記封止基板との接合を行うことを特徴とする請求項4に記載の封止装置。


【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【公開番号】特開2011−243466(P2011−243466A)
【公開日】平成23年12月1日(2011.12.1)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−115854(P2010−115854)
【出願日】平成22年5月20日(2010.5.20)
【出願人】(000231512)日本精機株式会社 (1,561)
【Fターム(参考)】