説明

有機ELパネル

【課題】電子部品実装領域において未硬化の異方性導電接着材に起因する不良の発生を抑制することができる有機ELパネルを提供することである。
【解決手段】本発明に係る有機ELパネル100は、陽極電極102と、陽極電極102に対向する陰極電極104と、陽極電極102と陰極電極104との間に配置された発光層とを有する有機EL素子を備える有機ELパネル100であって、陽極電極102に信号を供給する引き出し配線109と、引き出し配線109に異方性導電接着材115を介して接続されたドライバIC110と、ドライバIC110の周囲に設けられ、引き出し配線109と異方性導電接着材115の未硬化部117との間に形成された保護絶縁膜116を備える。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、有機EL(Electro Luminescence)パネルに関し、特に、電子部品が接続された有機ELパネルに関する。
【背景技術】
【0002】
近年、携帯端末、モバイルPC、携帯電話等の表示デバイスとして有機ELパネルが有望視されている。有機ELパネルは自発光方式のため、応答特性に優れている。また、バックライトが不要であるため、低消費電力・薄型・軽量などの特長を有する。さらに、カラーフィルタを用いずにフルカラー表示が可能であり、広視野角・高輝度・高コントラスト・優れた色再現性といった特長を有している。
【0003】
一般的に、有機ELパネルは、ガラス基板上に複数の陽極電極が平行して配置され、陽極電極と直交する方向に複数の陰極電極が平行して配置され、両電極間に有機EL層が挟持された構造を有する。陽極電極と陰極電極との交点が1つの画素となる。また、陽極電極と陰極電極との間に電流を供給するため、各電極からガラス基板の端部に向けて、それぞれ引き出し配線が形成されている。
【0004】
近年、電子機器の小型化に伴い、有機ELパネルの小型化が望まれている。このため、COG(Chip On Glass)実装技術を用いて、有機ELパネルを構成する基板上にドライバICを実装する場合がある(例えば、特許文献1参照)。図6は、従来のCOG型の有機ELパネル10の電子部品実装領域の構成を模式的に示す図である。図6に示すように、従来の有機ELパネル10では、基板11上に形成された引き出し配線12の端部にドライバIC13の出力端子が接続されている。また、基板11上には、外部からドライバIC13に表示信号を供給するための外部接続配線14が形成されている。外部接続配線14の一端にはドライバIC13の入力端子が接続され、他端にはフレキシブル配線基板(FPC)15が接続される。
【0005】
このような有機ELパネルにおいては、一般的に異方性導電接着材16を用いてドライバIC13及びFPC15などの電子部品の実装を行う。ドライバIC13の接続部においては、図7及び図8に示すように、異方性導電接着材16をドライバIC13から一定幅だけはみ出すように、基板12の引き出し配線12及び外部接続配線14とドライバIC13との間に介在させる。異方性導電接着材16は、一般的に、熱硬化性樹脂をバインダ樹脂として、その中に導電粒子17が分散された構成を有している。
【0006】
ドライバIC13の上から加熱圧着ツールを用いて加熱しながら加圧することにより、ドライバIC13の各端子と各配線との間に配置された導電粒子を押しつぶす。これにより、各配線とドライバIC13のバンプ電極とを電気的に接続している。また、ドライバIC13の上面を加熱圧着ツールで加熱しながら加圧すると、加熱圧着ツールの熱がドライバIC13を介して異方性導電接着材16に伝導し、熱硬化性樹脂を硬化させる。これにより、基板11とドライバIC13とを物理的に固定している。
【0007】
また、FPC15接続部においては、FPC15に設けられた異方性導電接着材を加熱圧着ツールにて加熱しながら加圧するため、図9に示すように、異方性導電接着材16は、FPC15の下側から外部接続配線14の方にはみ出すように配置される。
【特許文献1】特開2003−323125号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
ところで、ドライバIC13の下側に配置された異方性導電接着材16は、熱圧着時にドライバIC13により押圧され、その一部がドライバIC13の周辺に押し出される。上述のように、ドライバIC13の下に配置された異方性導電接着材16は、加熱圧着ツールからの熱がドライバIC13を介して伝導するため硬化する。しかしながら、ドライバIC13からはみ出した部分の異方性導電接着材には、熱の伝導が不足してしまい、熱硬化性樹脂が未硬化のままとなる。
【0009】
また、ドライバIC13からはみ出した部分の異方性導電接着材の未硬化部分には、図7に示すように、ドライバIC13の下側に配置されていた異方性導電接着材16内に分散していた導電粒子17が流動し滞留してしまう。
【0010】
近年、ドライバIC13のシュリンク化に伴い、ドライバIC13のバンプ電極のピッチは狭くなっている。また、このような未硬化の異方性導電接着材16は水分を吸収しやすく、熱硬化性樹脂の絶縁抵抗が低くなる。このため、上述のようにドライバIC13の周辺部の異方性導電接着材16の未硬化部に導電粒子が滞留すると、滞留した導電粒子17により隣接する配線間でリークが発生してしまうおそれがある。
【0011】
また、このような未硬化の異方性導電接着材16は耐湿性能が低下する。このため、ドライバIC13の周辺部の異方性導電接着材16の未硬化部において、水分の浸入により電極の腐食が発生するおそれがある。
【0012】
また、基板11とFPC15との接続部においても、異方性導電接着材16が外部接続配線14上に押し出される。この外部接続配線14上に押し出された異方性導電接着材16もまた未硬化となり、導電性樹脂が滞留してしまうという問題がある。従って、上述のような問題は、基板11とFPC15との接続部においても発生するおそれがある。
【0013】
本発明は、このような事情を背景としてなされたものであり、本発明の目的は、電子部品実装領域において未硬化の異方性導電接着材に起因する不良の発生を抑制することができる有機ELパネルを提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0014】
本発明の第1の態様に係る有機ELパネルは、第1の電極と、前記第1の電極に対向する第2の電極と、前記第1の電極と前記第2の電極との間に配置された発光層とを有する有機EL素子を備える有機ELパネルであって、前記第1の電極に信号を供給する配線と、前記配線の上に設けられた電子部品と、前記配線と前記電子部品とを接続するよう前記配線と前記電子部品との間に設けられ、前記電子部品からはみ出すよう配置された異方性導電材料と、前記電子部品の周囲に設けられ、前記配線と前記異方性導電材料との間に形成された絶縁保護膜を備えるものである。これにより、電子部品の周辺部において異方性導電材料による不良の発生を抑制することができる。
【0015】
本発明の第2の態様に係る有機ELパネルは、上記の有機ELパネルにおいて、前記電子部品は、ICチップであるものである。本発明は、このような場合に特に有効である。
【0016】
本発明の第3の態様に係る有機ELパネルは、上記の有機ELパネルにおいて、前記電子部品は、配線基板であるものである。本発明は、このような場合に特に有効である。
【0017】
本発明の第4の態様に係る有機ELパネルは、上記の有機ELパネルにおいて、前記絶縁保護膜は、前記発光層の周囲に設けられている開口絶縁膜と同一の材料又は前記複数の前記第2の電極間に設けられている隔壁と同一の材料を有しているものである。これにより、製造工程の増加を抑制することができる。
【発明の効果】
【0018】
本発明によれば、電子部品実装領域において未硬化の異方性導電接着材に起因する不良の発生を抑制することができる有機ELパネルを提供することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0019】
本発明の実施の形態に係る有機ELパネルについて、図1及び図2を参照して説明する。図1は、本実施の形態に係る有機ELパネルの構成の一例を示す断面図である。また、図2は、本実施の形態に係る有機ELパネルの電子部品接続部の構成を示す断面図である。ここでは、有機ELパネルの一例として有機EL表示パネルについて説明するが、本発明は例示する構成の有機EL表示パネルに限定するものではない。
【0020】
図1及び図2に示すように、本実施の形態に係る有機ELパネル100は、素子基板101、陽極電極102、開口絶縁膜103、陰極電極104、封止基板105、捕水材106、シール材107、電子部品実装領域108、引き出し配線109、ドライバIC110、外部接続配線111、フレキシブル配線基板(FPC)112、円偏光板113、異方性導電接着材115、保護絶縁膜116を備えている。
【0021】
陽極電極102は、ITO(Indium Tin Oxide)などの透明性導電材料からなり、素子基板101上に形成されている。複数の陽極電極102は、一定間隔を隔ててそれぞれ平行に形成されている。また、素子基板101上には、それぞれの陽極電極102に延設された引き出し配線109が設けられている。なお、ここでは、図示していないが、素子基板101上には、後述する陰極電極104に接続された陰極用の引き出し配線が設けられる。陰極用の引き出し配線は陰極電極104に対応して形成される。また、素子基板101上には、外部からドライバICに信号を供給するための外部接続配線111が設けられている。引き出し配線109、外部接続配線111等は、低抵抗化のために下層にITO、接続部となる上層に金属材料に積層膜から形成される
【0022】
陽極電極102、引き出し配線109等が形成された素子基板101上には、画素を区画するための開口絶縁膜103が形成される。開口絶縁膜103は、陽極電極102と後述する陰極電極104との絶縁性を確保するために設けられる。開口絶縁膜103は、ポリイミドなどの絶縁材料からなる。開口絶縁膜103には、陽極電極102と後述する陰極電極104との交差位置、すなわち画素となる位置に対応して開口部が設けられている。つまり、開口絶縁膜103は、有機EL層と陽極電極102とが接触する開口部を画定する役割を果たしている。また、開口絶縁膜103は、図2に示す電子部品実装領域108の保護絶縁膜116と同時に形成される。保護絶縁膜116は、ドライバIC110等の電子部品の周辺部において、配線間のリーク等の不良の発生を抑制するために設けられる。保護絶縁膜116については、後に詳述する。
【0023】
なお、開口絶縁膜103の上には、隔壁119が形成される。隔壁119は、陰極電極104を分離形成するため、陰極電極104を蒸着などにより形成する前に所望のパターンに形成される。隔壁119は、陽極電極102に対し垂直に、陰極電極104に対して平行に設けられる。また、陰極電極104の分離をより確実なものとするため、隔壁119は逆テーパ構造を有している。すなわち、隔壁119は、素子基板101から離れるにつれて、その断面が広がるように形成される。
【0024】
また、上述した陽極電極102、開口絶縁膜103、隔壁119の上には、有機EL層(不図示)が所定の大きさで配置される。有機EL層は、例えば、正孔注入層、正孔輸送層、有機発光層、電子輸送層、電子注入層を順次積層した構成を有している。
【0025】
有機EL層上には、陰極電極104が形成されている。陰極電極104は、光反射性を有するアルミニウム等の導電性材料からなる。陰極電極104は、隔壁119によって分離されるため、隔壁119の間に配設される。従って、陰極電極104は、陽極電極102に対して垂直に設けられる。陽極電極102と陰極電極104とが交差する位置が画素となる。有機EL素子は、素子基板101上に順次積層された陽極電極102、有機EL層、陰極電極104を備える。複数の画素から構成される領域が、表示領域となる。
【0026】
封止基板105は、パネル中に水分や酸素が入らないように設けられる。封止基板105としては、ステンレス、アルミニウム又はその合金などの金属類のほか、ガラス、アクリル系樹脂などの1種類又は、2種類以上からなるものを使用することができる。封止基板105の画素に対向する面上には、捕水材106を配置するための凹部が形成されている。
【0027】
封止基板105と素子基板101とは、光硬化型のシール材107を介して固着されている。シール材107としては、水分などの透過性の低い紫外線硬化型のエポキシ系シール材などを用いることができる。シール材107は、表示領域を囲むように形成されている。シール材107は、封止基板105と素子基板101とを固着し、表示領域を含む空間を封止する。従って、有機EL素子は、素子基板101、封止基板105、シール材107で形成される気密空間(以下、封止領域とする。)に配置されている。
【0028】
また、封止領域内には、画素などへの水分や酸素の影響を抑制し、安定した発光特性を維持するための捕水材106が設けられている。捕水材106は、封止基板105上の、有機EL素子と対向する面に形成された凹部に設けられている。捕水材106としては、無機系の乾燥剤や、水分と反応性の高い有機金属化合物を膜状にしたもの、フッ素系オイルからなる不活性液体中に固体の吸湿剤を混合したものなどを用いることができる。
【0029】
また、素子基板101上において、封止領域外の領域には電子部品実装領域108が形成されている。電子部品実装領域108には、有機EL素子に電流を供給するためのドライバIC110及びFPC112が異方性導電接着材115を用いて実装されている。異方性導電接着材115としては、熱硬化性樹脂をバインダ樹脂として、その中に導電粒子が分散された一般的な構成のものを用いることができる。異方性導電接着材115としては、異方性導電フィルム(ACF(Anisotropic Conductive Film))や異方性導電ペースト(ACP(Anisotropic Conductive Paste))などを用いることができる。
【0030】
ドライバIC110は、陽極電極102及び陰極電極104にそれぞれ表示に必要な電圧を供給する。ドライバIC110は、素子基板101の一辺側に設けられている。具体的には、図2に示すように、電子部品実装領域108には、素子基板101上に陽極電極102から延設された引き出し配線109が設けられている。また、ドライバIC110には、出力側バンプ電極114b及び入力側バンプ電極114aからなるバンプ電極114が設けられている。出力側バンプ電極114bは、引き出し配線109に対応して設けられている。ドライバIC110のバンプ電極114bの下面が引き出し配線109との接続面となる。ドライバIC110の出力側バンプ電極114bは、引き出し配線109の端部に異方性導電接着材115を介して接続されている。従って、ドライバIC110の出力側バンプ電極114bと各陽極電極102とは、引き出し配線109を介して接続されている。
【0031】
なお、ここでは図示していないが、陰極電極104の引き出し配線とドライバIC110との接続部も同様の構成を有している。すなわち、ドライバIC110には、各陰極電極104用の引き出し配線に対応して設けられた出力側バンプ電極114bを有している。従って、ドライバIC110の出力側パンプ電極114bと各陰極電極104とは、陰極電極104用の引き出し配線を介して接続されている。
【0032】
また、上述したように、素子基板101上には、ドライバIC110に外部から信号を供給するための外部接続配線111が形成されている。ドライバIC110の入力側バンプ電極114aは、外部接続配線111に対応して形成されている。外部接続配線111の一端には、ドライバIC110の入力側バンプ電極114aが異方性導電接着材115を介して接続されている。また、外部接続配線111の他端には、FPC116が異方性導電接着材115を介して接続されている。従って、ドライバIC110には、有機ELパネル100の外部から、FPC112、外部接続配線111を介して、表示に必要な各種の制御信号、電源などが供給される。
【0033】
円偏光板113は、外部光の反射による悪影響を防止するために設けられている。円偏光板113は、例えば、直線偏光板と1/4波長板とからなるものを用いることができる。円偏光板113は、素子基板101の有機EL素子形成面と反対の面に貼着されている。すなわち、円偏光板113は、素子基板101の視認側に設けられているこれにより、有機EL素子の光出射面側から入射した外部からの光の素子内部での反射光を外部へ出さないように遮蔽することができる。
【0034】
ここで、保護絶縁膜116について図3をさらに参照して説明する。まず、ドライバIC110の接続部について説明する。図3は、本実施の形態に係る有機ELパネル100の、ドライバIC110の接続部の構成を示す平面図である。なお、説明のため、図3においては、ドライバIC110などにより隠れて見えない構成要素についても図示している。また、図3においてはドライバIC110と引き出し配線109との接続部の構成について図示しているが、ドライバIC110と外部接続配線111との接続部の構成は図3に示す構成と略同一であるため、図示を省略する。
【0035】
図2及び図3に示すように、異方性導電接着材115は、素子基板101上のドライバIC110搭載領域よりも大きく形成される。すなわち、異方性導電接着材115をドライバIC110から一定幅だけはみ出すように、素子基板101の引き出し配線109及び外部接続配線111とドライバIC110との間に介在させている。このように、異方性導電接着材115をドライバIC110よりも大きい面積とすることで、素子基板101上の異方性導電接着材115の形成位置がずれてしまったとしても、全てのバンプ電極114と対応する引き出し配線109及び外部接続配線111との間に確実に異方性導電接着材115を介在させ、良好な導通を図ることができる。
【0036】
このように、ドライバIC110の周縁部からはみ出すように形成された異方性導電接着材115を、ドライバIC110のバンプ電極114と引き出し配線109との間に介在させた状態で、ドライバIC110の上面を加熱圧着ツールにより加熱しながら加圧する。これにより、各バンプ電極114と素子基板101上の引き出し配線109及び外部接続配線111との間に配置される導電粒子を押しつぶし、ドライバIC110の各バンプ電極114と引き出し配線109及び外部接続配線111とを電気的に接続している。また、加熱圧着ツールの熱がドライバIC110を介して異方性導電接着材115に伝導することにより、熱硬化性樹脂が硬化する。これにより、ドライバIC110と素子基板101とは、物理的に固定されている。
【0037】
このとき、ドライバIC110の下側に配置された異方性導電接着材115は、ドライバIC110により押圧され、その一部がドライバIC110の周辺に押し出される。上述のように、ドライバIC110の下に配置された異方性導電接着材115は、加熱圧着ツールからの熱がドライバIC110を介して伝導するため硬化している。しかしながら、このドライバIC110からはみ出して配置された部分の異方性導電接着材115には、加熱圧着ツールからの熱伝導が不足してしまい、熱硬化性樹脂が未硬化のままとなる。この部分を、未硬化部117とする。
【0038】
ドライバIC110の周辺部において、異方性導電接着材115の未硬化部117と引き出し配線109との間には保護絶縁膜116が設けられている。保護絶縁膜116としては、上述したように、表示領域中の画素を確定する開口絶縁膜103と同一の材料であるポリイミドなどの有機絶縁材料を用いることができる。これにより、製造タクトを短くすることができる。
【0039】
図3に示すように、ドライバIC110の出力側バンプ電極114bは、引き出し配線109に対応して設けられている。ドライバIC110の出力側バンプ電極114bは、ドライバIC110の一辺側に一列に形成されている。保護絶縁膜116は、ドライバIC110の出力側バンプ電極114bが設けられた一辺側に設けられている。また、保護絶縁膜116は、複数の引き出し配線109を覆うように連続して形成されている。そして、出力側バンプ114bと引き出し配線109との接続部において、保護絶縁膜116は、ドライバIC110の外径端の内側まで延在している。ここで、引き出し配線109上の出力側バンプ電極114bに対応する位置には、保護絶縁膜116は形成されていない。従って、引き出し配線109の端部は露出されている。この露出部が、出力側バンプ電極114bと接続される端子部となる。
【0040】
なお、ここでは図示していないがドライバIC110の入力側バンプ電極114aは、外部接続配線111に対応して設けられている。また、ドライバIC110の入力側バンプ電極114aは、ドライバIC110の一辺側に一列に形成されている。保護絶縁膜116は、ドライバIC110の入力側バンプ電極114aが設けられた一辺側にも設けられている。また、保護絶縁膜116は、複数の外部接続配線111を覆うように連続して形成されている。そして、入力側バンプ114aと外部接続配線111との接続部においても、保護絶縁膜116は、ドライバIC110の外径端の内側まで延在している。ここで、外部接続配線111上の入力側バンプ電極114aに対応する位置には、保護絶縁膜116は形成されていない。従って、外部接続配線111の端部は露出されている。この露出部が、入力側バンプ電極114aと接続される端子部となる。
【0041】
すなわち、保護絶縁膜116は、ドライバIC110のバンプ電極114が形成された辺の周辺部において、表示領域中に形成されている陽極電極102及び陰極電極104に信号を供給するための引き出し配線109及び外部接続配線111と、異方性導電接着材115の未硬化部117との間に設けられている。
【0042】
通常、ドライバICからはみ出した部分の異方性導電接着材の未硬化部には、ドライバICの下側に配置されていた異方性導電接着材内に分散していた導電粒子が流動し滞留する。また、このような未硬化の異方性導電接着材は水分を吸収しやすく、熱硬化性樹脂の絶縁抵抗が低くなることが知られている。このため、従来、滞留した導電粒子により隣接する引き出し配線間及び外部接続配線間でリークが発生してしまうおそれがあった。
【0043】
しかしながら、本発明によれば、引き出し配線109は、保護絶縁膜116下側に形成されている。このため、保護絶縁膜116の上側の異方性導電接着材115の未硬化部117において導電粒子が滞留したとしても、引き出し配線109間は保護絶縁膜116により絶縁状態が保たれる。これにより、引き出し配線109間のリークを効果的に抑制することができる。また、ドライバIC110のシュリンク化に伴い、ドライバIC110のバンプ電極114のピッチが狭くなったとしても、引き出し配線109間のリークを防止することができる。
【0044】
また、一般的に、未硬化の異方性導電接着材115は耐湿性能が低下する。このため、従来、ドライバICの周辺部の異方性導電接着材の未硬化部において、水分の浸入により引き出し配線及び外部接続配線の腐食が発生するおそれがあった。しかしながら、本発明によれば、保護絶縁膜116により、引き出し配線109及び外部接続配線111へ水分の浸入を防止することができる。これにより、引き出し配線109及び外部接続配線111の腐食を防止することができる。
【0045】
なお、図2においては、表示領域中の開口絶縁膜103と、ドライバIC110の周辺に形成された保護絶縁膜116とを連続して一体的に形成したが、これに限定されない。保護絶縁膜116を、開口絶縁膜103から独立して形成してもよい。
【0046】
次に、FPC112の接続部について図4及び図5を参照して説明する。図4は、本実施の形態に係る有機ELパネル100のFPC112の接続部の構成を示す断面図である。また、図5は、本実施の形態に係る有機ELパネル100のFPC112の接続部の構成を示す平面図である。なお、説明のため、図5においては、FPC112などにより隠れて見えない構成要素についても図示している。
【0047】
図5に示すように、FPC112には、外部接続配線111に対応して設けられた入力端子118が形成されている。FPC112の入力端子118の下面が外部接続配線111との接続面となる。図4及び図5に示すように、FPC112の接続部においては、FPC112に設けられた異方性導電接着材115を加熱圧着ツールにて加熱しながら加圧する。これにより、各入力端子118と素子基板101上の外部接続配線111との間に配置される導電粒子を押しつぶし、FPC112の入力端子118と外部接続配線111とを電気的に接続している。また、加熱圧着ツールの熱がFPC112を介して異方性導電接着材115に伝導することにより、熱硬化性樹脂が硬化する。これにより、FPC112と素子基板101とは、物理的に固定されている。
【0048】
また、図5に示すように、FPC112に設けられた異方性導電接着材115を加熱圧着ツールにて加熱しながら加圧するため、異方性導電接着材115は、FPC112の下側から外部接続配線111の方にはみ出してしまう。ここで、上述のように、FPC112の下に配置された異方性導電接着材115は、加熱圧着ツールからの熱がFPC112を介して伝導するため硬化している。しかしながら、このFPC112からはみ出して配置された部分の異方性導電接着材115には、加熱圧着ツールからの熱伝導が不足してしまい、熱硬化性樹脂が未硬化のままとなる。従って、FPC112の配置位置からはみ出した部分の異方性導電接着材115もまた、未硬化部117となる。
【0049】
図4及び図5に示すように、FPC112の周辺部において、異方性導電接着材115の未硬化部117と外部接続配線111との間には保護絶縁膜116が設けられている。図5に示すように、FPC112の入力端子118は、外部接続配線111に対応して設けられている。FPC112の入力端子118は、FPC112の一辺側に配列して形成されている。保護絶縁膜116は、FPC112の入力端子118が設けられた一辺側に設けられている。また、保護絶縁膜116は、複数の外部接続配線111を覆うように連続して形成されている。すなわち、保護絶縁膜116は、FPC112の入力端子118が形成された辺の周辺部において、表示領域中に形成されている陽極電極102及び陰極電極104に信号を供給するための外部接続配線111と、異方性導電接着材115の未硬化部117との間に設けられている。
【0050】
従来は、FPC112の接続部においても、FPCからはみ出した部分の異方性導電接着材の未硬化部に滞留した導電粒子により隣接する引き出し配線間及び外部接続配線間でリークが発生してしまうおそれがあった。しかしながら、本発明によれば、外部接続配線111は、保護絶縁膜116下側に形成されている。このため、保護絶縁膜116の上側の異方性導電接着材115の未硬化部117において導電粒子が滞留したとしても、外部接続配線111間は保護絶縁膜116により絶縁状態が保たれる。これにより、外部接続配線111間のリークを効果的に抑制することができる。また、保護絶縁膜116により、外部接続配線111へ水分の浸入を防止することができるため、外部接続配線111の腐食を防止することができる。
【0051】
このように、ドライバIC110及びFPC112などの電子部品の周辺部において、異方性導電接着材115の未硬化部117と配線との間に保護絶縁膜116を設けることによって、電子部品実装領域における未硬化の異方性導電接着材115に起因する不良の発生を抑制することができる。
【0052】
なお、本実施の形態においては、保護絶縁膜116が、外部接続配線111を覆うように形成された場合について説明したが、これに限定されない。保護絶縁膜116は、少なくとも異方性導電接着材115の未硬化部117と引き出し配線109及び外部接続配線111との間に設ければよい。
【0053】
本実施の形態においては、電子部品実装領域108の保護絶縁膜116を開口絶縁膜103と同一の材料により同一工程で形成した場合について説明したが、これに限定されない。例えば、保護絶縁膜116を隔壁119と同一材料により同一工程で形成しても良い。さらに、隔壁119と開口絶縁膜103の両方を用いて、保護絶縁膜116を形成することも可能である。
【図面の簡単な説明】
【0054】
【図1】本発明に係る有機ELパネルの構成を示す断面図である。
【図2】本発明に係る有機ELパネルの電子部品接続部の構成を示す断面図である。
【図3】本発明に係る有機ELパネルのドライバIC接続部の構成を示す平面図である。
【図4】本発明に係る有機ELパネルの電子部品実装領域の構成を示す断面図である。
【図5】本発明に係る有機ELパネルのフレキシブル配線基板接続部の構成を示す平面図である。
【図6】従来の有機ELパネルの電子部品接続部の構成を示す断面図である。
【図7】従来の有機ELパネルのドライバIC接続部の構成を示す断面図である。
【図8】従来の有機ELパネルのドライバIC接続部の構成を示す平面図である。
【図9】従来の有機ELパネルのフレキシブル配線基板接続部の構成を示す平面図である。
【符号の説明】
【0055】
100 有機ELパネル
101 素子基板
102 陽極電極
103 開口絶縁膜
104 陰極電極
105 封止基板
106 捕水材
107 シール材
108 電子部品実装領域
109 引き出し配線
110 ドライバIC
111 外部接続配線
112 フレキシブル配線基板
113 円偏光板
114 バンプ電極
115 異方性導電接着材
116 保護絶縁膜
117 未硬化部
118 入力端子
119 隔壁

【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1の電極と、前記第1の電極に対向する第2の電極と、前記第1の電極と前記第2の電極との間に配置された発光層とを有する有機EL素子を備える有機ELパネルであって、
前記第1の電極に信号を供給する配線と、
前記配線の上に設けられた電子部品と、
前記配線と前記電子部品とを接続するよう前記配線と前記電子部品との間に設けられ、前記電子部品からはみ出すよう配置された異方性導電材料と、
前記電子部品の周囲に設けられ、前記配線と前記異方性導電材料との間に形成された絶縁保護膜を備える有機ELパネル。
【請求項2】
前記電子部品は、ICチップである請求項1に記載の有機ELパネル。
【請求項3】
前記電子部品は、配線基板である請求項1に記載の有機ELパネル。
【請求項4】
前記絶縁保護膜は、前記発光層の周囲に設けられている開口絶縁膜と同一の材料又は前記複数の前記第2の電極間に設けられている隔壁と同一の材料を有している請求項1〜3のいずれか1項に記載の有機ELパネル。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【公開番号】特開2007−287609(P2007−287609A)
【公開日】平成19年11月1日(2007.11.1)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−116494(P2006−116494)
【出願日】平成18年4月20日(2006.4.20)
【出願人】(000103747)オプトレックス株式会社 (843)
【Fターム(参考)】