説明

有機EL素子およびその製造方法

【課題】塗布液中の溶質の凝集や結晶化の発生を抑制し、有機EL素子の発光寿命を向上させる。
【解決手段】基板1上に一定の塗布液を塗布して乾燥させ有機発光層3を形成する有機EL素子ELの製造方法が開示されている。当該製造方法は、有機発光層3を構成する溶質を溶媒に溶解させ、動的光散乱法による溶質の粒度分布ピークが3nm以下である塗布液を調製する工程と、基板1の温度および前記塗布液の温度を30℃以上〜80℃以下に保持しながら、前記塗布液を基板1上に塗布する工程と、を備える。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は有機EL素子およびその製造方法に関し、詳しくは、フレキシブルな樹脂基板を用いた白色発光型の有機エレクトロルミネッセンス素子およびその製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
発光型の電子ディスプレイデバイスとして、エレクトロルミネッセンスディスプレイ(以下「ELD」と略記する。)がある。ELDの構成要素としては、無機エレクトロルミネッセンス素子(以下「無機EL素子」ともいう。)や有機エレクトロルミネッセンス素子(以下「有機EL素子」ともいう。)が挙げられる。無機EL素子は、平面型光源として使用されてきたが、発光素子を駆動させるためには交流の高電圧が必要である。
【0003】
一方、有機エレクトロルミネッセンス素子は、発光する化合物を含有する発光層を、陰極と陽極で挟んだ構成を有し、発光層に電子及び正孔を注入して、再結合させることにより励起子(エキシトン)を生成させ、このエキシトンが失活する際の光の放出(蛍光・リン光)を利用して発光する素子であり、数V〜数十V程度の電圧で発光が可能であり、更に自己発光型であるために視野角に富み、視認性が高く、薄膜型の完全固体素子であるために省スペース、携帯性等の観点から注目されている。
【0004】
また、有機エレクトロルミネッセンス素子は、従来実用に供されてきた主要な光源、例えば、発光ダイオードや冷陰極管と異なり、面光源であることも大きな特徴である。この特性を有効に活用できる用途として、照明用光源や様々なディスプレイのバックライトがある。特に近年、需要の増加が著しい液晶フルカラーディスプレイのバックライトとして用いることも好適である。
【0005】
近年、照明光源用あるいはディスプレイ用として、省電力である有機エレクトロルミネッセンス発光パネルへの要請が高まってきている。大サイズの発光素子の開発は、湿式塗布方式による生産が不可欠であり、従来の蒸着方式と比較して特にその発光効率の向上や長寿命化が難しいなど、困難な課題を抱えていた。
【0006】
湿式塗布方式において、発光効率が高く長寿命な有機エレクトロルミネッセンス素子を得るために、材料を非晶質にしてから溶解、塗布を行う構成が開示されている(特許文献1参照)。また、塗布液作製時の調液温度、手段を規定する構成が開示されている(特許文献2)。また、有機エレクトロルミネッセンス素子の組成物の状態において、粒度分布の体積平均粒径が400nm以下で良好なことが示されている(特許文献3)。
【0007】
このような研究開発がなされた結果、現在では有機エレクトロルミネッセンス素子は、10V程度の低電圧で数千cd/m程度の高輝度の面発光が可能となり、寿命特性も改良されてきている。
【0008】
しかし、特許文献1の技術では、組成物全量が非晶質である訳では無く、製造の都度非晶質と結晶質の割合が変化し、性能が安定しにくく効果は限定的である。
特許文献2の技術においては、素材を溶解する手段としては通常用いられる手段であり、塗布液に超音波をあてて溶解性を向上させる手段をとっても、その後に溶液を停滞させると溶解性はまた元に戻ってしまう。
特許文献3の技術においては、対象が発光層組成物ではなく電荷輸送材料であり、性能劣化の主原因である発光層の改良が主ではないため、大きな効果は望めない。
上記のような従来技術により、いずれの技術も発光効率、輝度、及び寿命とも良化してきているが、まだ十分とは言えず、また製造面からみても再現性、安定性に劣り、大量生産に移行する上でおのずと限界があった。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0009】
【特許文献1】特開2010−206191号公報
【特許文献2】特開2010−218767号公報
【特許文献3】特開2010−212354号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
ところで、湿式塗布法では、塗布液の塗布工程から乾燥工程にかけての成膜過程において、発光層素材が凝集、結晶化を起こすことが知られている。この現象は蒸着法では起こらないことである。発光層に使用される素材は加熱溶解後、溶液が冷えるに従い凝集を起こす。経時によっても凝集が促進される。発光層塗布液を基材に塗布した後、一次乾燥するまでにも、膜の乾燥に伴い素材同士が接近し、凝集/結晶化を起こす。かかる現象が認められる場合、正孔や電子の移動が制限を受け、有機EL素子の性能(特に発光寿命)に大きく係わっていることが分かってきた。
したがって、本発明の主な目的は、湿式塗布法を用いて有機EL素子(発光層)を製造する方法であって、その製造過程において塗布液中の溶質の凝集や結晶化の発生を抑制することができる有機EL素子の製造方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0011】
本発明者らは、鋭意検討の結果、発光層を構成する塗布液中の溶質の最大粒度と、塗布から乾燥工程において溶質が凝集を起こさないような条件で塗布液/基板温度を最適化することにより、製造上の安定性を保ったまま有機EL素子の性能、特に発光寿命が改善できることを見出した。
【0012】
そこで、本発明によれば、
基板上に一定の塗布液を塗布して乾燥させ有機発光層を形成する有機EL素子の製造方法であって、
前記有機発光層を構成する溶質を溶媒に溶解させ、動的光散乱法による溶質の粒度分布ピークが3nm以下である塗布液を調製する工程と、
前記基板の温度および前記塗布液の温度を30℃以上〜80℃以下に保持しながら、前記塗布液を基板上に塗布する工程と、
を備えることを特徴とする有機EL素子の製造方法が提供される。
【0013】
本発明は、開発が困難な有機エレクトロルミネッセンス素子に使用する素材の改良ではなく、従来の素材を使用したプロセス上の改良である。これらの手段を用いることで、発光材料の性能を最大限生かしたまま、発光層を構成する塗布液中の溶質の存在状態を従来よりも安定化させることができ、発光寿命を向上させることができる。
【発明の効果】
【0014】
本発明によれば、塗布液中の溶質の凝集や結晶化の発生を抑制することができ、ひいては有機EL素子の発光寿命を向上させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【図1】有機EL素子の構成を示す概略断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0016】
以下、図面を参照しながら本発明の好ましい実施形態について説明する。
【0017】
《白色発光有機EL素子の構成》
本発明に係る白色発光有機EL素子は、基板(基盤)、電極、種々の機能を有する有機層等の構成要素によって構成される。
図1に示すとおり、有機EL素子ELは可撓性の基板1を有している。基板1上には、陽極2、有機層3および陰極4がこの順に形成されている。基板1上の陽極2、有機層3および陰極4は、封止用の接着剤6を介して封止部材5で封止されている。
陽極2から陰極4にかけての好ましい構成(特に有機層3の層構成)の具体例を以下に示すが、本発明はこれらに限定されない。
【0018】
(i)陽極/正孔輸送層/電子阻止層/発光層/正孔阻止層/電子輸送層/陰極
(ii)陽極/正孔輸送層/電子阻止層/発光層/正孔阻止層/電子輸送層/陰極バッファー層/陰極
(iii)陽極/陽極バッファー層/正孔輸送層/発光層/電子輸送層/陰極
(iv)陽極/陽極バッファー層/正孔輸送層/電子阻止層/発光層/正孔阻止層/電子輸送層/陰極
(v)陽極/陽極バッファー層/正孔輸送層/電子阻止層/発光層/正孔阻止層/電子輸送層/陰極バッファー層/陰極
【0019】
なお、上記の正孔輸送層、電子阻止層、正孔阻止層、電子輸送層及び下記中間層を総称して「キャリア制御層」という。また、「キャリア」とは電子及び正孔をいい、「キャリア輸送層」は、キャリア輸送材料からなる層であるが、p型又はn型半導体層から構成されることが好ましい。ここで、「p型又はn型半導体層」とは、各々電子受容性化合物又は電子供与性化合物を含有し半導性を示す有機層をいう。
【0020】
《有機EL素子の有機層》
次いで、本発明の有機EL素子を構成する有機層の材料や特性等について説明する。
【0021】
《ジベンゾフラン化合物》
本発明の有機EL素子においては、有機エレクトロルミネッセンス素子を構成する有機層は、好ましくは少なくとも1層がジベンゾフラン化合物を含有しており、当該ジベンゾフラン化合物が、下記一般式(A)で表される化合物であることが好ましい。
【0022】
以下、一般式(A)で表されるジベンゾフラン化合物について説明する。
【0023】
【化1】

【0024】
上記一般式(A)において、R〜Rは、各々水素原子、アルキル基、アリール基、カルバゾリル基またはアザカルバゾリル基を表し、複数ある場合は異なるものを表していてもよく、また任意の置換基を有していてもよい。
【0025】
また、上記の置換基は、連結基を有して複数組み合わせることもできる。好ましい様態としては一般式(A)が非対称に置換したものであり、具体的には、2,6−ジベンゾフランジイル基、2,4,8−ジベンゾフラントリイル基等が好ましい。
【0026】
本発明に係るジベンゾフラン化合物の含有量は、添加する有機層の20〜99.0質量%が好ましく、50〜97.5質量%がさらに好ましい。
【0027】
以下、一般式(A)として用いられる化合物の具体例を挙げるが、本発明はこれらに限定されない。
【0028】
【化2】

【0029】
【化3】

【0030】
【化4】

【0031】
【化5】

【0032】
【化6】

【0033】
【化7】

【0034】
【化8】

【0035】
【化9】

【0036】
【化10】

【0037】
【化11】

【0038】
【化12】

【0039】
【化13】

【0040】
【化14】

【0041】
本発明に係るジベンゾフラン化合物は、従来公知の合成方法に従って、合成することができる。
【0042】
《クラウンエーテル化合物》
本発明の有機EL素子においては、本発明に係る有機層は、好ましくは少なくとも1層が、クラウンエーテル化合物を含有している。
【0043】
本発明に係るクラウンエーテル化合物とは、岩波理化学辞典第5版(1998年岩波書店発行、編集 長倉三郎 他)に記載の「クラウンエーテル」の定義に規定されているように、環状エーテル+空孔内に包接する機能を有する化合物の総称である。
【0044】
本発明に係るクラウンエーテル化合物は、複数の酸素原子、硫黄原子、窒素原子を持つ環状エーテル化合物もしくはその類縁体であり、また、酸素原子、硫黄原子、窒素原子が混在していても良く、(その総数は少なくとも4以上である)、環状エーテルの形成に係る、硫黄原子は硫黄原子単体でも、硫黄原子が酸化されたスルホキシドやスルホン状態でも構わない。同様に、窒素原子は、無置換もしくは置換アミノ基、またはアンモニウム陽イオンの状態を呈していても構わない。
【0045】
また、酸素原子、硫黄原子、窒素原子を結ぶ結合はエチレン鎖の様な単結合でも、エチン鎖の様な多重結合を含んでも良く、多重結合は、芳香族炭素環や芳香族複素環(ヘテロ芳香環ともいう)の様に環を形成しても良い。また化合物中の水素原子は置換基で置換されていても良く、該置換基としては、例えば、アルキル基(例えば、メチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、(t)ブチル基、ペンチル基、ヘキシル基、オクチル基、ドデシル基、トリデシル基、テトラデシル基、ペンタデシル基等)、シクロアルキル基(例えば、シクロペンチル基、シクロヘキシル基等)、アルケニル基(例えば、ビニル基、アリル基等)、アルキニル基(例えば、プロパルギル基等)、アリール基(例えば、フェニル基、p−クロロフェニル基、メシチル基、トリル基、キシリル基、ナフチル基、アントリル基、アズレニル基、アセナフテニル基、フルオレニル基、フェナントリル基、インデニル基、ピレニル基、ビフェニリル基等)、複素環基(例えば、ピリジル基、チアゾリル基、オキサゾリル基、イミダゾリル基、フリル基、ピロリル基、ピラジニル基、ピリミジニル基、ピリダジニル基、セレナゾリル基、スルホラニル基、ピペリジニル基、ピラゾリル基、テトラゾリル基等)、アルコキシル基(例えば、メトキシ基、エトキシ基、プロピルオキシ基、ペンチルオキシ基、ヘキシルオキシ基、オクチルオキシ基、ドデシルオキシ基等)、シクロアルコキシル基(例えば、シクロペンチルオキシ基、シクロヘキシルオキシ基等)、アリールオキシ基(例えば、フェノキシ基、ナフチルオキシ基等)、アルキルチオ基(例えば、メチルチオ基、エチルチオ基、プロピルチオ基、ペンチルチオ基、ヘキシルチオ基、オクチルチオ基、ドデシルチオ基等)、シクロアルキルチオ基(例えば、シクロペンチルチオ基、シクロヘキシルチオ基等)、アリールチオ基(例えば、フェニルチオ基、ナフチルチオ基等)、アルコキシカルボニル基(例えば、メチルオキシカルボニル基、エチルオキシカルボニル基、ブチルオキシカルボニル基、オクチルオキシカルボニル基、ドデシルオキシカルボニル基等)、アリールオキシカルボニル基(例えば、フェニルオキシカルボニル基、ナフチルオキシカルボニル基等)、スルファモイル基(例えば、アミノスルホニル基、メチルアミノスルホニル基、ジメチルアミノスルホニル基、ブチルアミノスルホニル基、ヘキシルアミノスルホニル基、シクロヘキシルアミノスルホニル基、オクチルアミノスルホニル基、ドデシルアミノスルホニル基、フェニルアミノスルホニル基、ナフチルアミノスルホニル基、2−ピリジルアミノスルホニル基等)、ウレイド基(例えば、メチルウレイド基、エチルウレイド基、ペンチルウレイド基、シクロヘキシルウレイド基、オクチルウレイド基、ドデシルウレイド基、フェニルウレイド基、ナフチルウレイド基、2−ピリジルアミノウレイド基等)、アシル基(例えば、アセチル基、エチルカルボニル基、プロピルカルボニル基、ペンチルカルボニル基、シクロヘキシルカルボニル基、オクチルカルボニル基、2−エチルヘキシルカルボニル基、ドデシルカルボニル基、フェニルカルボニル基、ナフチルカルボニル基、ピリジルカルボニル基等)、アシルオキシ基(例えば、アセチルオキシ基、エチルカルボニルオキシ基、ブチルカルボニルオキシ基、オクチルカルボニルオキシ基、ドデシルカルボニルオキシ基、フェニルカルボニルオキシ基等)、アミド基(例えば、メチルカルボニルアミノ基、エチルカルボニルアミノ基、ジメチルカルボニルアミノ基、プロピルカルボニルアミノ基、ペンチルカルボニルアミノ基、シクロヘキシルカルボニルアミノ基、2−エチルヘキシルカルボニルアミノ基、オクチルカルボニルアミノ基、ドデシルカルボニルアミノ基、フェニルカルボニルアミノ基、ナフチルカルボニルアミノ基等)、カルバモイル基(例えば、アミノカルボニル基、メチルアミノカルボニル基、ジメチルアミノカルボニル基、プロピルアミノカルボニル基、ペンチルアミノカルボニル基、シクロヘキシルアミノカルボニル基、オクチルアミノカルボニル基、2−エチルヘキシルアミノカルボニル基、ドデシルアミノカルボニル基、フェニルアミノカルボニル基、ナフチルアミノカルボニル基、2−ピリジルアミノカルボニル基等)、スルフィニル基(例えば、メチルスルフィニル基、エチルスルフィニル基、ブチルスルフィニル基、シクロヘキシルスルフィニル基、2−エチルヘキシルスルフィニル基、ドデシルスルフィニル基、フェニルスルフィニル基、ナフチルスルフィニル基、2−ピリジルスルフィニル基等)、アルキルスルホニル基またはアリールスルホニル基(例えば、メチルスルホニル基、エチルスルホニル基、ブチルスルホニル基、シクロヘキシルスルホニル基、2−エチルヘキシルスルホニル基、ドデシルスルホニル基、フェニルスルホニル基、ナフチルスルホニル基、2−ピリジルスルホニル基等)、アミノ基(例えば、アミノ基、エチルアミノ基、ジメチルアミノ基、ブチルアミノ基、シクロペンチルアミノ基、2−エチルヘキシルアミノ基、ドデシルアミノ基、アニリノ基、ナフチルアミノ基、2−ピリジルアミノ基等)、ニトロ基、シアノ基等が挙げられる。
【0046】
これらの置換基は、上記の置換基によってさらに置換されていてもよい。また、これらの置換基は複数が互いに結合して環を形成してもよい。
【0047】
本発明においては、本発明に係るクラウンエーテル化合物が、下記一般式(B)、一般式(C)及び一般式(D)で表される化合物から選ばれる少なくとも1種であることが好ましい。
【0048】
【化15】

【0049】
上記一般式(B)において、nは0〜4の整数を表す。R〜R、R、Rm+1は、各々水素原子または炭素数1〜10の炭化水素基を表す。mは、nが1〜4の範囲でn×2+7で表される9〜15の奇数を表す。また、該炭化水素基は、直鎖状又は分枝鎖状の炭素数1〜10のアルコキシル基、−OH基、−COOH基及び−COO−アルキルエステル基(ただし、アルキル部分は、直鎖状又は分枝鎖状の炭素数1〜10残基である)からなる群から選択される1以上の官能基で置換されていてもよく、更に、Rと隣接するRj+1とが互いに共同して、環状骨格を形成していてもよい。ただし、Rは、R〜Rにおける番号が偶数の基(R、R、R、R)及びRm+1を表す。
【0050】
【化16】

【0051】
上記一般式(C)において、Rは水素原子、置換基を有してもよいアルキル基または置換基を有してもよいフェニル基を表す。nは0から5の整数を表す。Rで表されるアルキル基としては、例えば、メチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、(t)ブチル基、ペンチル基、ヘキシル基、オクチル基、ドデシル基、トリデシル基、テトラデシル基、ペンタデシル基等が挙げられる。また、アルキル基またはフェニル基が有してもよい置換基としては、前述の本発明に係るクラウンエーテル化合物が有してもより置換基を挙げることができる。
【0052】
【化17】

【0053】
上記一般式(D)において、R10〜R13は、それぞれ独立した水素原子、置換基を有してもよいアルキル基または置換基を有してもよいフェニル基を表す。また、R10とR12またはR13とが、あるいはR11とR12またはR13とが、それぞれアルキレンオキシド基で連結し、環状化合物を形成してもよい。R10〜R13で表されるアルキル基としては、例えば、メチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、(t)ブチル基、ペンチル基、ヘキシル基、オクチル基、ドデシル基、トリデシル基、テトラデシル基、ペンタデシル基等が挙げられる。また、アルキル基またはフェニル基が有してもよい置換基としては、前述の本発明に係るクラウンエーテル化合物が有してもより置換基を挙げることができる。
【0054】
以下、一般式(B)〜一般式(D)で表されるクラウンエーテル化合物の具体例を示すが、本発明はこれらに限定されない。
【0055】
【化18】

【0056】
【化19】

【0057】
【化20】

【0058】
本発明に係るクラウンエーテル化合物は、従来公知の合成方法に従って、合成することができる。
【0059】
本発明に係るクラウンエーテル化合物の含有量は、添加する有機層の0.001〜10質量%が好ましく、0.005〜2.5質量%が更に好ましい。
【0060】
本発明においては、クラウンエーテル化合物を含有する有機層は、電子輸送性を有することが好ましく、更には、該有機層が電子輸送層(後述参照)であることが好ましい。
【0061】
また、クラウンエーテル化合物を含有する有機層が、発光層(後述参照)であることも好ましい態様の1つである。
【0062】
《有機酸アルカリ金属塩》
本発明においては、クラウンエーテル化合物を含有する有機層が、さらに有機酸アルカリ金属塩を含有することが好ましい。
【0063】
本発明に係る有機酸アルカリ金属塩としては、特に制限はないが、例えば、ギ酸塩、酢酸塩、プロピオン酸塩、酪酸塩、吉草酸塩、カプロン酸塩、エナント酸塩、カプリル酸塩、シュウ酸塩、マロン酸塩、コハク酸塩、安息香酸塩、フタル酸塩、イソフタル酸塩、テレフタル酸塩、サリチル酸塩、ピルビン酸塩、乳酸塩、リンゴ酸塩、アジピン酸塩、メシル酸塩、トシル酸塩、ベンゼンスルホン酸塩が挙げられ、好ましくはギ酸塩、酢酸塩、プロピオン酸塩、酪酸塩、吉草酸塩、カプロン酸塩、エナント酸塩、カプリル酸塩、シュウ酸塩、マロン酸塩、コハク酸塩、安息香酸塩、より好ましくはギ酸塩、酢酸塩、プロピオン酸塩、酪酸塩等の脂肪族カルボン酸のアルカリ金属塩が好ましく、脂肪族カルボン酸の炭素数が4以下であることが好ましい。最も好ましくは酢酸塩である。
【0064】
また、本発明に係る有機酸アルカリ金属塩のアルカリ金属の種類としては特に制限はないが、Na、K、Csが挙げられ、好ましくはK、Cs、さらに好ましくはCsである。
【0065】
本発明に係る有機酸アルカリ金属塩は、好ましくは、ギ酸Li、ギ酸K、ギ酸Na、ギ酸Cs、酢酸Li、酢酸K、酢酸Na、酢酸Cs、プロピオン酸Li、プロピオン酸Na、プロピオン酸K、プロピオン酸Cs、シュウ酸Li、シュウ酸Na、シュウ酸K、シュウ酸Cs、マロン酸Li、マロン酸Na、マロン酸K、マロン酸Cs、コハク酸Li、コハク酸Na、コハク酸K、コハク酸Cs、安息香酸Li、安息香酸Na、安息香酸K、安息香酸Csであり、より好ましくは酢酸Li、酢酸K、酢酸Na、酢酸Csであり、最も好ましくは酢酸Csである。
【0066】
本発明に係る有機酸アルカリ金属塩の含有量は、添加する有機層に対し好ましくは1.5〜35質量%であり、より好ましくは3〜25質量%であり、最も好ましくは5〜15質量%である。
【0067】
《注入層:正孔注入層、電子注入層》
本発明の有機EL素子においては、注入層は必要に応じて設けることができる。注入層としては電子注入層と正孔注入層があり、上記の如く陽極と発光層または正孔輸送層の間、及び陰極と発光層または電子輸送層との間に存在させてもよい。
【0068】
本発明でいう注入層とは、駆動電圧低下や発光輝度向上のために電極と有機層間に設けられる層で、「有機EL素子とその工業化最前線(1998年11月30日エヌ・ティー・エス社発行)」の第2編第2章「電極材料」(123〜166頁)に詳細に記載されており、正孔注入層と電子注入層とがある。
【0069】
正孔注入層は、例えば、特開平9−45479号公報、同9−260062号公報、同8−288069号公報等にもその詳細が記載されており、正孔注入層に適用可能な正孔注入材料としては、トリアゾール誘導体、オキサジアゾール誘導体、イミダゾール誘導体、ピラゾリン誘導体及びピラゾロン誘導体、フェニレンジアミン誘導体、アリールアミン誘導体、アミノ置換カルコン誘導体、オキサゾール誘導体、スチリルアントラセン誘導体、フルオレノン誘導体、ヒドラゾン誘導体、スチルベン誘導体、シラザン誘導体等を含むポリマーやアニリン系共重合体、ポリアリールアルカン誘導体、または導電性ポリマーが挙げられ、好ましくはポリチオフェン誘導体、ポリアニリン誘導体、ポリピロール誘導体であり、さらに好ましくはポリチオフェン誘導体である。
【0070】
電子注入層は、例えば、特開平6−325871号公報、同9−17574号公報、同10−74586号公報等にもその詳細が記載されており、具体的には、ストロンチウムやアルミニウム等に代表される金属バッファー層、フッ化リチウムに代表されるアルカリ金属化合物バッファー層、フッ化マグネシウムに代表されるアルカリ土類金属化合物バッファー層、酸化アルミニウムに代表される酸化物バッファー層等が挙げられる。本発明においては、上記バッファー層(注入層)はごく薄い膜であることが望ましく、フッ化カリウム、フッ化ナトリウムが好ましい。その膜厚は0.1nm〜5μm程度、好ましくは0.1〜100nm、さらに好ましくは0.5〜10nm、最も好ましくは0.5〜4nmである。
【0071】
《正孔輸送層》
正孔輸送層を構成する正孔輸送材料としては、上記正孔注入層で適用するのと同様の化合物を使用することができるが、さらには、ポルフィリン化合物、芳香族第3級アミン化合物及びスチリルアミン化合物、特に芳香族第3級アミン化合物を用いることが好ましい。
【0072】
芳香族第3級アミン化合物及びスチリルアミン化合物の代表例としては、N,N,N′,N′−テトラフェニル−4,4′−ジアミノフェニル;N,N′−ジフェニル−N,N′−ビス(3−メチルフェニル)−〔1,1′−ビフェニル〕−4,4′−ジアミン(TPD);2,2−ビス(4−ジ−p−トリルアミノフェニル)プロパン;1,1−ビス(4−ジ−p−トリルアミノフェニル)シクロヘキサン;N,N,N′,N′−テトラ−p−トリル−4,4′−ジアミノビフェニル;1,1−ビス(4−ジ−p−トリルアミノフェニル)−4−フェニルシクロヘキサン;ビス(4−ジメチルアミノ−2−メチルフェニル)フェニルメタン;ビス(4−ジ−p−トリルアミノフェニル)フェニルメタン;N,N′−ジフェニル−N,N′−ジ(4−メトキシフェニル)−4,4′−ジアミノビフェニル;N,N,N′,N′−テトラフェニル−4,4′−ジアミノジフェニルエーテル;4,4′−ビス(ジフェニルアミノ)クオードリフェニル;N,N,N−トリ(p−トリル)アミン;4−(ジ−p−トリルアミノ)−4′−〔4−(ジ−p−トリルアミノ)スチリル〕スチルベン;4−N,N−ジフェニルアミノ−(2−ジフェニルビニル)ベンゼン;3−メトキシ−4′−N,N−ジフェニルアミノスチルベンゼン;N−フェニルカルバゾール、さらには、米国特許第5,061,569号明細書に記載されている2個の縮合芳香族環を分子内に有するもの、例えば、4,4′−ビス〔N−(1−ナフチル)−N−フェニルアミノ〕ビフェニル(NPD)、特開平4−308688号公報に記載されているトリフェニルアミンユニットが3つスターバースト型に連結された4,4′,4″−トリス〔N−(3−メチルフェニル)−N−フェニルアミノ〕トリフェニルアミン(MTDATA)等が挙げられる。
【0073】
さらに、これらの材料を高分子鎖に導入した、またはこれらの材料を高分子の主鎖とした高分子材料を用いることもできる。また、p型−Si、p型−SiC等の無機化合物も正孔注入材料、正孔輸送材料として使用することができる。
【0074】
また、特開平4−297076号公報、特開2000−196140号公報、特開2001−102175号公報、J.Appl.Phys.,95,5773(2004)、特開平11−251067号公報、J.Huang et.al.著文献(Applied Physics Letters 80(2002),p.139)、特表2003−519432号公報に記載されているような、いわゆるp型半導体的性質を有するとされる正孔輸送材料を用いることもできる。
【0075】
正孔輸送層は、上記正孔輸送材料を、例えば、真空蒸着法、スピンコート法、キャスト法、インクジェット法を含む印刷法、LB法等の公知の方法により、薄膜化することにより形成することができる。正孔輸送層の膜厚については、特に制限はないが、通常は5nm〜5μm程度、好ましくは5〜200nmである。この正孔輸送層は上記材料の1種または2種以上からなる一層構造であってもよい。
【0076】
以下、本発明の有機EL素子の正孔輸送材料に用いられる化合物の好ましい具体例を挙げるが、本発明はこれらに限定されない。
【0077】
【化21】

【0078】
【化22】

【0079】
【化23】

【0080】
【化24】

【0081】
【化25】

【0082】
【化26】

【0083】
なお、上記例示化合物に記載のnは重合度を表し、重量平均分子量が50,000〜200,000の範囲となる整数を表す。重量平均分子量がこの範囲未満では、溶媒への溶解性の高さから製膜時に他の層と混合する懸念がある。また製膜できたとしても、低い分子量では発光効率が上がらない。重量平均分子量がこの範囲より大きい場合は、合成、精製の難しさにより問題が生じる。分子量分布が大きくなると共に、不純物の残存量も増加するため、有機EL素子の発光効率、電圧、寿命は悪化する。
【0084】
これらの高分子化合物は、Makromol.Chem.,193,909頁(1992)等に記載の公知の方法で合成することができる。
【0085】
《電子輸送層》
電子輸送層とは電子を輸送する機能を有する材料からなり、広い意味で電子注入層、正孔阻止層も電子輸送層に含まれる。電子輸送層は単層または複数層設けることができる。
【0086】
従来、単層の電子輸送層、及び複数層とする場合は発光層に対して陰極側に隣接する電子輸送層に用いられる電子輸送材料(正孔阻止材料を兼ねる)としては、陰極より注入された電子を発光層に伝達する機能を有していればよく、その材料としては従来公知の化合物の中から任意のものを選択して用いることができ、例えば、フルオレン誘導体、カルバゾール誘導体、アザカルバゾール誘導体、オキサジアゾール誘導体、トリゾール誘導体、シロール誘導体、ピリジン誘導体、ピリミジン誘導体、8−キノリノール誘導体等の金属錯体等が挙げられる。
【0087】
その他、メタルフリーもしくはメタルフタロシアニン、またはそれらの末端がアルキル基やスルホン酸基等で置換されているものも、電子輸送材料として好ましく用いることができる。
【0088】
これらの中でもカルバゾール誘導体、アザカルバゾール誘導体、ピリジン誘導体等が本発明では好ましく、カルバゾール誘導体であって本発明に係るジベンゾフラン化合物であることがより好ましい。
【0089】
電子輸送層は上記電子輸送材料を、例えば、真空蒸着法、スピンコート法、キャスト法、インクジェット法を含む印刷法、LB法等の公知の方法により、薄膜化することにより形成することができる。
【0090】
電子輸送層の膜厚については特に制限はないが、通常は5nm〜5μm程度、好ましくは5〜200nmである。電子輸送層は上記材料の1種または2種以上からなる一層構造であってもよい。
【0091】
また、不純物をゲスト材料としてドープしたn性の高い電子輸送層を用いることもできる。その例としては、特開平4−297076号公報、同10−270172号公報、特開2000−196140号公報、同2001−102175号公報、J.Appl.Phys.,95,5773(2004)等に記載されたものが挙げられる。
【0092】
本発明における電子輸送層には、有機物のアルカリ金属塩を含有することが好ましい。有機物の種類としては特に制限はないが、ギ酸塩、酢酸塩、プロピオン酸、酪酸塩、吉草酸塩、カプロン酸塩、エナント酸塩、カプリル酸塩、シュウ酸塩、マロン酸塩、コハク酸塩、安息香酸塩、フタル酸塩、イソフタル酸塩、テレフタル酸塩、サリチル酸塩、ピルビン酸塩、乳酸塩、リンゴ酸塩、アジピン酸塩、メシル酸塩、トシル酸塩、ベンゼンスルホン酸塩が挙げられ、好ましくはギ酸塩、酢酸塩、プロピオン酸塩、酪酸塩、吉草酸塩、カプロン酸塩、エナント酸塩、カプリル酸塩、シュウ酸塩、マロン酸塩、コハク酸塩、安息香酸塩、より好ましくはギ酸塩、酢酸塩、プロピオン酸塩、酪酸塩等の脂肪族カルボン酸のアルカリ金属塩が好ましく、脂肪族カルボン酸の炭素数が4以下であることが好ましい。最も好ましくは酢酸塩である。
【0093】
有機物のアルカリ金属塩のアルカリ金属の種類としては特に制限はないが、Na、K、Csが挙げられ、好ましくはK、Cs、さらに好ましくはCsである。有機物のアルカリ金属塩としては、前記有機物とアルカリ金属の組み合わせが挙げられ、好ましくは、ギ酸Li、ギ酸K、ギ酸Na、ギ酸Cs、酢酸Li、酢酸K、酢酸Na、酢酸Cs、プロピオン酸Li、プロピオン酸Na、プロピオン酸K、プロピオン酸Cs、シュウ酸Li、シュウ酸Na、シュウ酸K、シュウ酸Cs、マロン酸Li、マロン酸Na、マロン酸K、マロン酸Cs、コハク酸Li、コハク酸Na、コハク酸K、コハク酸Cs、安息香酸Li、安息香酸Na、安息香酸K、安息香酸Cs、より好ましくは酢酸Li、酢酸K、酢酸Na、酢酸Cs、最も好ましくは酢酸Csである。
【0094】
これらドープ材の含有量は、添加する電子輸送層に対し、好ましくは1.5〜35質量%であり、より好ましくは3〜25質量%であり、最も好ましくは5〜15質量%である。
【0095】
《発光層》
(1)特性や構成材料等
本発明の湯行きEL素子を構成する発光層は、電極または電子輸送層、正孔輸送層から注入されてくる電子及び正孔が再結合して発光する層であり、発光する部分は発光層の層内であっても発光層と隣接層との界面であってもよい。
【0096】
本発明に係る発光層は、含まれる発光材料が前記要件を満たしていれば、その構成には特に制限はない。
【0097】
また、同一の発光スペクトルや発光極大波長を有する層が複数層あってもよい。各発光層間には非発光性の中間層を有していることが好ましい。
【0098】
本発明における発光層の膜厚の総和は1〜100nmの範囲にあることが好ましく、さらに好ましくは、より低い駆動電圧を得ることができることから50nm以下である。なお、本発明でいう発光層の膜厚の総和とは、発光層間に非発光性の中間層が存在する場合には、当該中間層も含む膜厚である。
【0099】
個々の発光層の膜厚としては1〜50nmの範囲に調整することが好ましい。青、緑、赤の各発光層の膜厚の関係については、特に制限はない。
【0100】
発光層の作製には、後述する発光材料やホスト化合物を、例えば、真空蒸着法、スピンコート法、キャスト法、LB法、インクジェット法等の公知の薄膜化法により製膜して形成することができる。
【0101】
本発明においては、各発光層には複数の発光材料を混合してもよく、またリン光発光材料と蛍光発光材料を同一発光層中に混合して用いてもよい。
【0102】
本発明においては、発光層の構成として、ホスト化合物、発光材料(発光ドーパント化合物ともいう)を含有し、発光材料より発光させることが好ましい。
【0103】
(1.1)ホスト化合物
本発明の有機EL素子の発光層に含有されるホスト化合物としては、室温(25℃)におけるリン光発光のリン光量子収率が0.1未満の化合物が好ましい。さらに好ましくはリン光量子収率が0.01未満である。また、発光層に含有される化合物の中で、その層中での体積比が50%以上であることが好ましい。
【0104】
ホスト化合物としては、公知のホスト化合物を単独で用いてもよく、または複数種併用して用いてもよい。ホスト化合物を複数種用いることで、電荷の移動を調整することが可能であり、有機EL素子を高効率化することができる。また、後述する発光材料を複数種用いることで異なる発光を混ぜることが可能となり、これにより任意の発光色を得ることができる。
【0105】
本発明に用いられるホスト化合物としては、従来公知の低分子化合物でも、繰り返し単位をもつ高分子化合物でもよく、ビニル基やエポキシ基のような重合性基を有する低分子化合物(蒸着重合性発光ホスト)でもよい。
【0106】
公知のホスト化合物としては、正孔輸送能、電子輸送能を有しつつ、かつ発光の長波長化を防ぎ、なおかつ高Tg(ガラス転移温度)である化合物が好ましい。ここで、ガラス転移点(Tg)とは、DSC(Differential Scanning Colorimetry:示差走査熱量法)を用いて、JIS−K−7121に準拠した方法により求められる値である。
【0107】
公知のホスト化合物の具体例としては、以下の文献に記載されている化合物が挙げられる。例えば、特開2001−257076号公報、同2002−308855号公報、同2001−313179号公報、同2002−319491号公報、同2001−357977号公報、同2002−334786号公報、同2002−8860号公報、同2002−334787号公報、同2002−15871号公報、同2002−334788号公報、同2002−43056号公報、同2002−334789号公報、同2002−75645号公報、同2002−338579号公報、同2002−105445号公報、同2002−343568号公報、同2002−141173号公報、同2002−352957号公報、同2002−203683号公報、同2002−363227号公報、同2002−231453号公報、同2003−3165号公報、同2002−234888号公報、同2003−27048号公報、同2002−255934号公報、同2002−260861号公報、同2002−280183号公報、同2002−299060号公報、同2002−302516号公報、同2002−305083号公報、同2002−305084号公報、同2002−308837号公報等が挙げられる。
【0108】
本発明に用いられるホスト化合物は、カルバゾール誘導体であることが好ましく、カルバゾール誘導体であって、本発明に係るジベンゾフラン化合物であることがより好ましい。
【0109】
(1.2)ドーパント化合物
次に、発光材料について説明する。
【0110】
本発明に係る発光材料としては、蛍光性化合物、リン光発光材料(リン光性化合物、リン光発光性化合物等ともいう)を用いることができるが、リン光発光材料であることが好ましい。
【0111】
本発明において、リン光発光材料とは励起三重項からの発光が観測される化合物であり、具体的には室温(25℃)にてリン光発光する化合物であり、リン光量子収率が25℃において0.01以上の化合物であると定義されるが、好ましいリン光量子収率は0.1以上である。
【0112】
上記リン光量子収率は第4版実験化学講座7の分光IIの398頁(1992年版、丸善)に記載の方法により測定できる。溶液中でのリン光量子収率は種々の溶媒を用いて測定できるが、本発明においてリン光発光材料を用いる場合、任意の溶媒のいずれかにおいて上記リン光量子収率(0.01以上)が達成されればよい。
【0113】
リン光発光材料の発光原理としては2種挙げられ、一つはキャリアが輸送されるホスト化合物上でキャリアの再結合が起こってホスト化合物の励起状態が生成し、このエネルギーをリン光発光材料に移動させることでリン光発光材料からの発光を得るというエネルギー移動型、もう一つはリン光発光材料がキャリアトラップとなり、リン光発光材料上でキャリアの再結合が起こりリン光発光材料からの発光が得られるというキャリアトラップ型であるが、いずれの場合においても、リン光発光材料の励起状態のエネルギーはホスト化合物の励起状態のエネルギーよりも低いことが条件である。
【0114】
リン光発光材料は、有機EL素子の発光層に使用される公知のものの中から適宜選択して用いることができるが、好ましくは元素の周期表で8〜10族の金属を含有する錯体系化合物であり、さらに好ましくはイリジウム化合物、オスミウム化合物、または白金化合物(白金錯体系化合物)、希土類錯体であり、中でも最も好ましいのはイリジウム化合物である。
【0115】
以下に、リン光ドーパントとして用いられる化合物の具体例を示すが、本発明はこれらに限定されない。これらの化合物は、例えば、Inorg.Chem.,40巻、1704〜1711に記載の方法等により合成できる。
【0116】
【化27】

【0117】
【化28】

【0118】
【化29】

【0119】
【化30】

【0120】
【化31】

【0121】
【化32】

【0122】
【化33】

【0123】
【化34】

【0124】
【化35】

【0125】
【化36】

【0126】
【化37】

【0127】
【化38】

【0128】
【化39】

【0129】
【化40】

【0130】
【化41】

【0131】
【化42】

【0132】
【化43】

【0133】
【化44】

【0134】
(2)形成方法
発光層は基板上に一定の塗布液が塗布・乾燥され形成される。
詳しくは、発光層の形成方法は、主に、
(i)発光層を構成する溶質を溶媒に溶解させ、動的光散乱法による溶質の粒度分布ピークが3nm以下である塗布液を調製する工程と、
(ii)基板の温度および塗布液の温度を30〜80℃に保持しながら、塗布液を基板上に塗布する工程と、
(iii)基板上に塗布された塗布液を乾燥させる工程と、
とから構成され、これら各工程の処理が実行され発光層が形成される。
【0135】
(2.1)調製工程
(2.1.1)溶媒
(i)の調製工程で用いられる溶媒としては、例えば、塩化メチレン、メチルエチルケトン、テトラヒドロフラン、シクロヘキサノン等のケトン類、酢酸酸エチル等の脂肪酸エステル類、ジクロロベンゼン等のハロゲン化炭化水素類、トルエン、キシレン、メシチレン、シクロヘキシルベンゼン等の芳香族炭化水素類、シクロヘキサン、デカリン、ドデカン等の脂肪族炭化水素類、DMF、DMSO、n−ブタノール、s−ブタノール、t−ブタノールのアルコール類等の有機溶媒があげられるが、好ましくはエステル系化合物である。
エステル系化合物とは、カルボン酸等の有機酸や硫酸等の無機のオキソ酸が、アルコールと脱水縮合してできた化合物のことを指す。
有機酸としては、例えば、ギ酸、酢酸、クエン酸、シュウ酸、スルホン酸が挙げられ、無機酸としては例えば、塩酸、リン酸、硝酸、硫酸、ホウ酸、フッ化水素酸が挙げられる。
アルコールとしては、例えば、メタノール、エタノール、1−プロパノール、2−プロパノール、1−ブタノール、2−ブタノール、2−メチル−1−プロパノール、2−メチル−2−プロパノール、1−ペンタノールが挙げられる。また酢酸とアルコールからできたエステル化合物も好ましい。酢酸とアルコールからできたエステル系化合物としては、例えば、酢酸メチル、酢酸エチル、酢酸ブチル、酢酸プロピル、酢酸イソブチル、酢酸イソプロピル、酢酸フェニルがある。
本発明の発光層に用いる溶媒としては、好ましくは、沸点が80℃以上200℃以下のものを使用する。この範囲の溶媒を用いることにより、素材の溶解性、乾燥性を適点に保つことが出来る。
【0136】
(2.1.2)塗布液における溶液の粒度
(i)の調製工程では、動的光散乱法による溶質の粒度分布ピークが3nm以下である塗布液を調製し、これを塗布成膜工程で使用する。この粒径以下であることが確認された塗布液と成膜上の条件とがあったときに、従来の手段と比較して有機EL素子は特に寿命が改善される。
溶質の粒度分布ピークが3nm以上となると、塗布液中に凝集体が明らかに存在することとなり、有機EL素子の発光寿命の向上は望めない。
動的光散乱法による溶質の最大粒径は、好ましくは2nm以下である。
【0137】
(2.2)塗布工程
(2.2.1)塗布成膜法
(ii)の塗布工程では、湿式成膜法を用いる。
湿式成膜法で成膜することにより連続成膜が可能になり、樹脂製の基板への塗布が容易になる。
湿式成膜法の成膜手段としては、湿式であればいずれの方法でもよいが、例えば、スピンコート法、キャスト法、インクジェット法、印刷法、ダイコート法、ブレードコート法がある。
なお、発光層以外の有機機能層も湿式成膜法により成膜可能であり、発光層を含む有機機能層の成膜工程では、各層毎に異なる塗布方法を用いることができる。
【0138】
(2.2.2)塗布液温度
(ii)の塗布工程では、基板の温度および塗布液の温度を30℃以上80℃以下に保持する。
発光層を形成するための塗布液は、ある温度領域で溶質が安定して存在するという性質を持つ。塗布液の温度が30℃未満であると、常温と変わらずに塗布液は経時で凝集を作り始める。一方、塗布液の温度が80℃を上回ると、凝集を作ることはないが、塗布工程中に塗布液の乾燥状態(乾き具合)に偏りが生じ、有機EL素子を発光させた場合に発光状態にムラを生じることがある。塗布工程でダイコーターを使用した場合は、塗布液がコーターのスリット部で乾燥し、いわゆる塗布スジが発生し易くなってしまう。
以上から、塗布工程では、基板の温度および塗布液の温度を30℃以上80℃以下に保持し、好ましくは35℃以上70℃以下に保持する。
【0139】
(2.3)乾燥工程
通常、塗布膜の乾燥は2段階に分けられる。
本発明においては、乾燥工程を以下のように定義する。
1次乾燥工程:塗布液が基板に接触してから塗布液中の有機溶剤の80〜95%を除去するための乾燥工程
2次乾燥工程:1次乾燥工程後、さらに塗布液中の有機溶剤の96%以上を除去するための乾燥工程
【0140】
(2.3.1)1次乾燥工程
1次乾燥工程と呼ぶ最初のステージは、一定の乾燥傾向にあり(恒率乾燥期間)、この間においては、表面の溶媒は外部温度、溶媒蒸気濃度によって決められる速度並びにその循環の程度等によって影響されながら蒸発が進行する。
1次乾燥工程における乾燥方法としては、特に制限は無いが、送風機、ヒーター等から送風を行うことによる送風乾燥(熱風乾燥)、強力なファンで槽内の空気を吸い込み、循環させ、一部を排気して乾燥させる吸引乾燥、遠心力を利用して乾燥させるスピン乾燥、また送風乾燥との組み合わせ、また赤外線ヒーターを用いた赤外線乾燥、ホットプレート等を用いた伝導伝熱乾燥や輻射伝熱乾燥が用いられる。
1次乾燥工程における乾燥時間は好ましくは5秒以内である。
【0141】
(2.3.2)2次乾燥工程
2次乾燥工程と呼ぶ第2のステージは、溶媒分離速度が減少する状態である(減率乾燥期間)。これは、物質内の液境界面における浸透によるものである。この間では、形成される蒸気と液界面の移動距離が増加してくるので、乾燥速度は、減少してくる。
2次乾燥工程における乾燥方法としても、特に制限は無いが、通常、1次乾燥より強い乾燥手段をとる必要があるため、熱風乾燥、赤外線乾燥、マイクロ波乾燥、伝導伝熱乾燥、輻射伝熱乾燥が好ましく用いられる。
【0142】
《陽極》
白色発光有機EL素子における陽極としては、仕事関数の大きい(4eV以上)金属、合金、電気伝導性化合物及びこれらの混合物を電極物質とするものが好ましく用いられる。
このような電極物質の具体例としては、Au等の金属、CuI、インジウムチンオキシド(ITO)、SnO、ZnO等の導電性透明材料が挙げられる。また、IDIXO(In−ZnO)等非晶質で透明導電膜を作製可能な材料を用いてもよい。
陽極はこれらの電極物質を蒸着やスパッタリング等の方法により、薄膜を形成させ、フォトリソグラフィー法で所望の形状のパターンを形成してもよく、あるいはパターン精度をあまり必要としない場合は(100μm以上程度)、上記電極物質の蒸着やスパッタリング時に所望の形状のマスクを介してパターンを形成してもよい。あるいは、有機導電性化合物のように塗布可能な物質を用いる場合には、印刷方式、コーティング方式など湿式製膜法を用いることもできる。
この陽極より発光を取り出す場合には、透過率を10%より大きくすることが望ましく、また陽極としてのシート抵抗は数百Ω/□以下が好ましい。更に膜厚は材料にもよるが、通常10〜1000nm、好ましくは10〜200nmの範囲で選ばれる。
【0143】
《陰極》
一方、陰極としては、仕事関数の小さい(4eV以下)金属(電子注入性金属と称する)、合金、電気伝導性化合物及びこれらの混合物を電極物質とするものが用いられる。
このような電極物質の具体例としては、ナトリウム、ナトリウム−カリウム合金、マグネシウム、リチウム、マグネシウム/銅混合物、マグネシウム/銀混合物、マグネシウム/アルミニウム混合物、マグネシウム/インジウム混合物、アルミニウム/酸化アルミニウム(Al)混合物、インジウム、リチウム/アルミニウム混合物、希土類金属等が挙げられる。
これらの中で、電子注入性及び酸化等に対する耐久性の点から、電子注入性金属とこれより仕事関数の値が大きく安定な金属である第二金属との混合物、例えば、マグネシウム/銀混合物、マグネシウム/アルミニウム混合物、マグネシウム/インジウム混合物、アルミニウム/酸化アルミニウム(Al)混合物、リチウム/アルミニウム混合物、アルミニウム等が好適である。
陰極はこれらの電極物質を蒸着やスパッタリング等の方法により薄膜を形成させることにより、作製することができる。
また、陰極としてのシート抵抗は数百Ω/□以下が好ましく、膜厚は通常5〜10μm、好ましくは50〜200nmの範囲で選ばれる。
なお、発光した光を透過させるため、有機EL素子の陽極または陰極のいずれか一方が、透明または半透明であれば発光輝度が向上し好都合である。
【0144】
また、陰極に上記金属を1〜20nmの膜厚で作製した後に、陽極の説明で挙げた導電性透明材料をその上に作製することで、透明または半透明の陰極を作製することができ、これを応用することで陽極と陰極の両方が透過性を有する素子を作製することができる。
【0145】
《基板》
本発明において用いる基板としては、種類には特に限定はないが、フレキシビリティを有し、かつ透明であることが好ましい。
【0146】
樹脂基板の樹脂としては、例えば、ポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリエチレンナフタレート(PEN)等のポリエステル、ポリエチレン、ポリプロピレン、セロファン、セルロースジアセテート、セルローストリアセテート、セルロースアセテートブチレート、セルロースアセテートプロピオネート(CAP)、セルロースアセテートフタレート(TAC)、セルロースナイトレート等のセルロースエステル類又はそれらの誘導体、ポリ塩化ビニリデン、ポリビニルアルコール、ポリエチレンビニルアルコール、シンジオタクティックポリスチレン、ポリカーボネート、ノルボルネン樹脂、ポリメチルペンテン、ポリエーテルケトン、ポリイミド、ポリエーテルスルホン(PES)、ポリフェニレンスルフィド、ポリスルホン類、ポリエーテルイミド、ポリエーテルケトンイミド、ポリアミド、フッ素樹脂、ナイロン、ポリメチルメタクリレート、アクリル或いはポリアリレート類、アートン(商品名JSR社製)或いはアペル(商品名三井化学社製)といったシクロオレフィン系樹脂等を挙げられる。
【0147】
フレキシビリティを有する樹脂基板、すなわち、フレキシブルな樹脂基板としては、その引っ張り強度が20〜80kg/mmであり、基板面に平行な任意の方向での弾性率が1000〜2500kg/mmであり、基板面に平行な任意の方向での破壊伸度が5%以上であることが好ましい。
【0148】
本発明に係る樹脂基板の表面には、無機物、有機物の被膜またはその両者のハイブリッド被膜が形成されていてもよく、JIS K 7129−1992に準拠した方法で測定された水蒸気透過度(25±0.5℃、相対湿度(90±2)%RH)が、1×10−3g/(m・24h)以下のバリア性フィルムであることが好ましく、更には、JIS K 7126−1987に準拠した方法で測定された酸素透過度が、1×10−3ml/m・24h・atm以下、水蒸気透過度(25±0.5℃、相対湿度(90±2)%RH)が、1×10−3g/(m・24h)以下の高バリア性フィルムであることが好ましい。
【0149】
高バリア性フィルムとするために樹脂フィルム表面に形成されるバリア膜を形成する材料としては、水分や酸素など素子の劣化をもたらすものの浸入を抑制する機能を有する材料であればよく、例えば、酸化珪素、二酸化珪素、窒化珪素などを用いることができる。更に該膜の脆弱性を改良するためにこれら無機層と有機材料からなる層の積層構造を持たせることがより好ましい。無機層と有機層の積層順については特に制限はないが、両者を交互に複数回積層させることが好ましい。
【0150】
バリア膜の形成方法については、特に限定はなく、例えば真空蒸着法、スパッタリング法、反応性スパッタリング法、分子線エピタキシー法、クラスタ−イオンビーム法、イオンプレーティング法、プラズマ重合法、大気圧プラズマ重合法、プラズマCVD法、レーザーCVD法、熱CVD法、コーティング法などを用いることができるが、特開2004−68143号公報に記載されているような大気圧プラズマ重合法によるものが特に好ましい。不透明な基板としては、例えばアルミ、ステンレス等の金属板・フィルムや不透明樹脂基板、セラミック製の基板等が挙げられる。
【0151】
本発明に係る白色発光有機EL素子の発光の室温における外部取り出し効率は1%以上であることが好ましく、より好ましくは5%以上である。ここに、外部取り出し量子効率(%)=有機EL素子外部に発光した光子数/有機EL素子に流した電子数×100である。また、カラーフィルタ等の色相改良フィルタ等を併用しても、有機EL素子からの発光色を蛍光体を用いて多色へ変換する色変換フィルタを併用してもよい。
【0152】
《封止》
本発明に係る白色発光有機EL素子の封止に用いられる封止手段としては、例えば封止部材と、電極、基板とを接着剤で接着する方法を挙げることができる。
封止部材を用いて封止する場合、有機EL素子を複数並べた面発光パネルの発光面と反対面にある複数の発光層全体を覆うように封止するのが好ましい。
【0153】
接着剤としては、具体的には、アクリル酸系オリゴマー、メタクリル酸系オリゴマーの反応性ビニル基を有する光硬化及び熱硬化型接着剤、2−シアノアクリル酸エステルなどの湿気硬化型等の接着剤を挙げることができる。また、エポキシ系などの熱及び化学硬化型(二液混合)を挙げることができる。また、ホットメルト型のポリアミド、ポリエステル、ポリオレフィンを挙げることができる。また、カチオン硬化タイプの紫外線硬化型エポキシ樹脂接着剤を挙げることができる。
なお、有機EL素子が熱処理により劣化する場合があるので、室温から80℃までに接着硬化できるものが好ましい。また、前記接着剤中に乾燥剤を分散させておいてもよい。
【0154】
無機物、有機物の層を形成し封止膜とすることも好適に実施できる。
この場合、該膜を形成する材料としては、水分や酸素など素子の劣化をもたらすものの浸入を抑制する機能を有する材料であればよく、例えば、酸化珪素、二酸化珪素、窒化珪素などを用いることができる。更に該膜の脆弱性を改良するためにこれら無機層と有機材料からなる層の積層構造を持たせることが好ましい。
【0155】
これらの膜の形成方法については、特に限定はなく、例えば真空蒸着法、スパッタリング法、反応性スパッタリング法、分子線エピタキシー法、クラスタ−イオンビーム法、イオンプレーティング法、プラズマ重合法、大気圧プラズマ重合法、プラズマCVD法、レーザーCVD法、熱CVD法、コーティング法などを用いることができる。
封止部材と有機EL素子の表示領域との間隙には、気相及び液相では、窒素、アルゴン等の不活性気体や、フッ化炭化水素、シリコンオイルのような不活性液体を注入することが好ましい。
【0156】
また、真空とすることも可能である。
また、内部に吸湿性化合物を封入することもできる。
吸湿性化合物としては例えば金属酸化物(例えば、酸化ナトリウム、酸化カリウム、酸化カルシウム、酸化バリウム、酸化マグネシウム、酸化アルミニウム等)、硫酸塩(例えば、硫酸ナトリウム、硫酸カルシウム、硫酸マグネシウム、硫酸コバルト等)、金属ハロゲン化物(例えば、塩化カルシウム、塩化マグネシウム、フッ化セシウム、フッ化タンタル、臭化セリウム、臭化マグネシウム、沃化バリウム、沃化マグネシウム等)、過塩素酸類(例えば過塩素酸バリウム、過塩素酸マグネシウム等)等があげられ、硫酸塩、金属ハロゲン化物及び過塩素酸類においては無水塩が好適に用いられる。
【0157】
《保護膜、保護板》
有機層を挟み基板と対向する側の前記封止膜あるいは前記封止用フィルムの外側に、素子の機械的強度を高めるために保護膜、あるいは保護板を設けてもよい。
特に、封止が前記封止膜により行われている場合には、その機械的強度は必ずしも高くないため、このような保護膜、保護板を設けることが好ましい。これに使用することができる材料としては、前記封止に用いたのと同様なガラス板、ポリマー板・フィルム、金属板・フィルム等を用いることができるが、軽量かつ薄膜化ということからポリマーフィルムを用いることが好ましい。
【0158】
《白色発光有機EL素子の作製方法》
本発明に係る白色発光有機EL素子の作製方法の一例として、陽極/正孔注入層/正孔輸送層/発光層/電子輸送層/電子注入層/陰極からなる有機EL素子の作製法について説明する。
【0159】
先ず、フレキシブル性を有する支持基板上に所望の電極物質、例えば、陽極用物質からなる薄膜を1μm以下、好ましくは10〜300nmの膜厚になるように、蒸着やスパッタリング等の方法により形成させ、陽極を作製する。
次に、この上に有機EL素子材料である正孔注入層、正孔輸送層、発光層、電子輸送層及び電子注入層の有機化合物薄膜(有機層)を形成させる。
【0160】
これら各層の形成方法としては、湿式成膜法(スピンコート法、キャスト法、インクジェット法、印刷法、ダイコート法、ブレードコート法等)を用いる。
有機層の形成では、層毎に異なる成膜法を適用してもよい。
これらの層を形成後、その上に陰極用物質からなる薄膜を、1μm以下好ましくは50〜200nmの範囲の膜厚になるように、例えば、蒸着やスパッタリング等の方法により形成させ、陰極を設けることにより所望の有機EL素子が得られる。
【0161】
本発明における発光層の成膜工程においては、上記のとおり、発光層の塗布液の動的光散乱法による溶質の最大粒度が3nm以下である塗布液を使用し、塗布液温度及び基板温度を30℃以上80℃以下で保持しながら塗布液を基板上に塗布する。
塗布液及び基板を加熱する方法に特に制限は無い。
塗布液を加熱する方法としては、送液容器、送液配管、コーターダイスにヒーターを取り付けて加熱する方法がある。基板を加熱する方法としては、基板を保持しているバックロール等にヒーター等を取り付け、所望の温度に昇温する方法、温めたオイルを循環させる方法を用いることができる。また塗布直前にIRヒーター等を配置して基板を加熱してもよい。
なお、当該成膜工程では、塗布環境そのものを30℃以上80℃以下にしても良い。
【0162】
本発明において、成膜に湿式成膜法を用いて有機層を塗布する際は、不活性雰囲気下で塗布を行うことが好ましい。
不活性ガスとは、窒素、二酸化炭素、ヘリウム、ネオン、アルゴン、クリプトン、キセノン、ラドンを言うが、安価で得られる点から不活性ガスとしては窒素が好ましい。
不活性雰囲気下での酸素濃度及び水分濃度は、1〜1000ppmの範囲であることが好ましく、1〜100ppmの範囲であることがさらに好ましい。
【0163】
正孔注入層〜電子輸送層を形成後、例えばフッ化リチウムといった無機金属から成る電子注入層を設ける。この場合は例えば蒸着法により製膜させることができる。
【0164】
電子注入層の上に陰極用物質からなる薄膜を1μm以下、好ましくは、50〜200nmの範囲の膜厚になるように、例えば、蒸着やスパッタリング等の方法により形成し、陰極を設けることにより所望の有機EL素子が得られる。
【0165】
また、作製順序を逆にして、陰極、電子注入層、電子輸送層、発光層、正孔輸送層、正孔注入層、陽極の順に作製することも可能である。
このようにして得られた有機EL素子を多色の表示装置に用い、直流電圧を印加する場合には、陽極を+、陰極を−の極性として電圧2〜40V程度を印加すると、発光が観測できる。また交流電圧を印加してもよい。なお、印加する交流の波形は任意でよい。
【0166】
《白色発光有機EL素子の特性等》
有機EL素子は、空気よりも屈折率の高い(屈折率1.6〜2.1程度)層の内部で発光し、発光層で発生した光のうち15%から20%程度の光しか取り出せないことが一般的に言われている。これは、臨界角以上の角度θで界面(透明基板と空気との界面)に入射する光は、全反射を起こし素子外部に取り出すことができないことや、透明電極ないし発光層と透明基板との間で光が全反射を起こし、光が透明電極ないし発光層を導波し、結果として、光が素子側面方向に逃げるためである。
【0167】
この光の取り出しの効率を向上させる手法としては、例えば、透明基板表面に凹凸を形成し、透明基板と空気界面での全反射を防ぐ方法(例えば、米国特許第4774435号明細書)、基板に集光性を持たせることにより効率を向上させる方法(例えば、特開昭63−314795号公報)、素子の側面等に反射面を形成する方法(例えば、特開平1−220394号公報)、基板と発光体の間に中間の屈折率を持つ平坦層を導入し、反射防止膜を形成する方法(例えば、特開昭62−172691号公報)、基板と発光体の間に基板よりも低屈折率を持つ平坦層を導入する方法(例えば、特開2001−202827号公報)、基板、透明電極層や発光層のいずれかの層間(含む、基板と外界間)に回折格子を形成する方法(特開平11−283751号公報)などが挙げられる。
【0168】
本発明においては、これらの方法を本発明に係る白色発光有機EL素子と組み合わせて用いることができるが、基板と発光体の間に基板よりも低屈折率を持つ平坦層を導入する方法、あるいは基板、透明電極層や発光層のいずれかの層間(含む、基板と外界間)に回折格子を形成する方法を好適に用いることができる。
【0169】
本発明は、これらの手段を組み合わせることにより、更に高輝度あるいは耐久性に優れた素子を得ることができる。
【0170】
透明電極と透明基板の間に低屈折率の媒質を光の波長よりも長い厚みで形成すると、透明電極から出てきた光は、媒質の屈折率が低いほど、外部への取り出し効率が高くなる。
【0171】
低屈折率層としては、例えば、エアロゲル、多孔質シリカ、フッ化マグネシウム、フッ素系ポリマーなどが挙げられる。透明基板の屈折率は一般に1.5〜1.7程度であるので、低屈折率層は、屈折率がおよそ1.5以下であることが好ましい。またさらに1.35以下であることが好ましい。
【0172】
また、低屈折率媒質の厚みは、媒質中の波長の2倍以上となるのが望ましい。これは、低屈折率媒質の厚みが、光の波長程度になってエバネッセントで染み出した電磁波が基板内に入り込む膜厚になると、低屈折率層の効果が薄れるからである。
【0173】
全反射を起こす界面または、いずれかの媒質中に回折格子を導入する方法は、光取り出し効率の向上効果が高いという特徴がある。この方法は、回折格子が1次の回折や、2次の回折といった、いわゆるブラッグ回折により、光の向きを屈折とは異なる特定の向きに変えることができる性質を利用して、発光層から発生した光のうち、層間での全反射等により外に出ることができない光を、いずれかの層間もしくは、媒質中(透明基板内や透明電極内)に回折格子を導入することで光を回折させ、光を外に取り出そうとするものである。
【0174】
導入する回折格子は、二次元的な周期屈折率を持っていることが望ましい。これは、発光層で発光する光はあらゆる方向にランダムに発生するので、ある方向にのみ周期的な屈折率分布を持っている一般的な1次元回折格子では、特定の方向に進む光しか回折されず、光の取り出し効率がさほど上がらない。
【0175】
しかしながら、屈折率分布を二次元的な分布にすることにより、あらゆる方向に進む光が回折され、光の取り出し効率が上がる。
【0176】
回折格子を導入する位置としては、いずれかの層間、もしくは媒質中(透明基板内や透明電極内)でも良いが、光が発生する場所である有機発光層の近傍が望ましい。このとき、回折格子の周期は、媒質中の光の波長の約1/2〜3倍程度が好ましい。回折格子の配列は、正方形のラチス状、三角形のラチス状、ハニカムラチス状など、2次元的に配列が繰り返されることが好ましい。
【0177】
本発明に係る白色発光有機EL素子は、支持基板(基板)の光取出し側に、例えばマイクロレンズアレイ上の構造を設けるように加工したり、あるいは、所謂集光シートと組み合わせることにより、特定方向、例えば素子発光面に対し正面方向に集光することにより、特定方向上の輝度を高めることができる。
【0178】
マイクロレンズアレイの例としては、基板の光取り出し側に一辺が30μmでその頂角が90度となるような四角錐を2次元に配列する。一辺は10〜100μmが好ましい。これより小さくなると回折の効果が発生して色付く、大きすぎると厚さが厚くなり好ましくない。
【0179】
集光シートとしては、例えば液晶表示装置のLEDバックライトで実用化されているものを用いることが可能である。このようなシートとして例えば、住友スリーエム社製輝度上昇フィルム(BEF)などを用いることができる。プリズムシートの形状としては、例えば基板に頂角90度、ピッチ50μmの△状のストライプが形成されたものであってもよいし、頂角が丸みを帯びた形状、ピッチをランダムに変化させた形状、その他の形状であっても良い。
【0180】
また、有機EL素子からの光放射角を制御するために光拡散板・フィルムを、集光シートと併用してもよい。例えば、(株)きもと製拡散フィルム(ライトアップ)などを用いることができる。
【0181】
《白色発光有機EL素子の応用分野》
本発明の白色発光有機EL素子は、照明用や露光光源のような一種のランプとして使用してもよいし、画像を投影するタイプのプロジェクション装置や、静止画像や動画像を直接視認するタイプの表示装置(ディスプレイ)として使用してもよい。動画再生用の表示装置として使用する場合の駆動方式は、単純マトリクス(パッシブマトリクス)方式でもアクティブマトリクス方式でもどちらでもよい。
【0182】
本発明に用いられる白色発光有機EL素子においては、必要に応じ製膜時にメタルマスクやインクジェットプリンティング法等でパターニングを施してもよい。
パターニングする場合は、電極のみをパターニングしてもよいし、電極と発光層をパターニングしてもよいし、素子全層をパターニングしてもよい。発光層に用いる発光性ドーパントとしては特に制限はなく、例えば、液晶表示素子におけるバックライトであれば、CF(カラーフィルタ)特性に対応した波長範囲に適合するように、本発明に係る白金錯体、また公知の発光性ドーパントの中から任意のものを選択して組み合わせて、また本発明に係る光取り出し及び/または集光シートと組み合わせて、白色化すればよい。
【0183】
このように、本発明に係る白色の有機EL素子は、CF(カラーフィルタ)と組み合わせて、また、CF(カラーフィルタ)パターンに合わせ素子及び駆動トランジスタ回路を配置することで、有機EL素子から取り出される白色光をバックライトとして、青色フィルタ、緑色フィルタ、赤色フィルタを介して青色光、緑色光、赤色光を得ることで、低駆動電圧で長寿命のフルカラーの有機エレクトロルミネッセンスディスプレイができ、好ましい。
【0184】
本発明の白色発光有機EL素子は、上述のように、表示デバイス、ディスプレイ、各種発光光源として用いることができる。
発光光源として、例えば、家庭用照明、車内照明、時計や液晶用のバックライト、看板広告、信号機、光記憶媒体の光源、電子写真複写機の光源、光通信処理機の光源、光センサーの光源等が挙げられるがこれに限定するものではないが、特にカラーフィルタや光拡散板、光取り出しフィルムなどと組み合わせた各種表示装置のバックライト、照明用光源としての用途に有効に用いることができる。
【実施例】
【0185】
以下、実施例を挙げて本発明を具体的に説明するが、本発明はこれらに限定されない。なお、本実施例において「%」の表示を用いるが、特に断りがない限り「質量%」を表す。
【0186】
《有機EL素子サンプルの作製》
(1)有機EL素子101の作製
(1.1)基板の準備
100mm×100mm×0.125mmのPEN(ポリエチレンナフタレート)基板上に大気圧プラズマ重合法で、厚さ約90nmの透明バリア膜を形成した。JIS K−7129Bに準拠した方法により水蒸気透過率を測定した結果、10−3g/m/day以下であった。JIS K−7126Bに準拠した方法により酸素透過率を測定した結果、10−3g/m/day以下であった。
【0187】
(1.2)陽極の形成
準備したガスバリア性の可撓性フィルム上に厚さ120nmのITO(インジウムチンオキシド)をスパッタ法により成膜し、フォトリソグラフィー法によりパターニングを行い、第1電極層を形成した。
なお、パターンは発光面積が50mm平方になるようなパターンとした。
【0188】
(1.3)正孔注入層の形成
パターニング後のITO基板をイソプロピルアルコールで超音波洗浄し、乾燥窒素ガスで乾燥し、UVオゾン洗浄を5分間行った。この基板上に、ポリ(3,4−エチレンジオキシチオフェン)−ポリスチレンスルホネート(PEDOT/PSSと略記、Bayer製、Baytron P Al 4083)を純水で70%に希釈した溶液を3000rpm、30秒でスピンコート法により製膜した後、二次乾燥としてホットプレートで200℃、1時間乾燥した。このようにして膜厚30nmの正孔注入層を形成した。
【0189】
(1.4)正孔輸送層の形成
この基板を、窒素ガス(グレードG1)を用いた窒素雰囲気下に移し、前記正孔輸送材料である例示化合物(60)(Mw=80,000)をクロロベンゼンに0.5%溶解した溶液を、1500rpm、30秒でスピンコート法により製膜した後、二次乾燥としてホットプレートで160℃、30分間乾燥した。このようにして膜厚30nmの正孔輸送層を形成した。
【0190】
(1.5)発光層の形成
次いで、下記組成の発光層組成物(塗布液)を調製し、これを1500rpm、30秒でスピンコート法により基板上に塗布し乾燥させた。
塗布液の塗布工程では、塗布液の温度や基板の温度を25℃に保持した。
乾燥(1次乾燥)は温度調節を行った窒素ガスを塗布面に吹き付けることによりおこない、温度と送風量を調整することにより乾燥時間を制御した。
その後、2次乾燥として、ホットプレートを用いて120℃で30分間乾燥させた。このようにして膜厚70nmの発光層を形成した。
【0191】
〈発光層組成物〉
例示化合物A−67 22.3質量部
例示化合物D−66 4.9質量部
例示化合物D−67 0.05質量部
例示化合物D−80 0.05質量部
シクロヘキシルベンゼン 2,000質量部
【0192】
(1.6)電子輸送層の形成
続いて、30mgの一般式(A)で表される化合物である例示化合物A−77と0.3mgの一般式(B)で表される化合物である例示化合物CN−1を、4mlのテトラフルオロプロパノール(TFPO)に溶解した溶液を、1500rpm、30秒でスピンコート法により製膜した後、二次乾燥として120℃で30分間乾燥した。このようにして膜厚30nmの電子輸送層を形成した。
【0193】
(1.7)電子注入層、陰極の形成
続いて、基板を大気に曝露することなく真空蒸着装置へ取り付けた。また、モリブデン製抵抗加熱ボートにフッ化ナトリウムおよびフッ化カリウムを入れたものを真空蒸着装置に取り付け、真空槽を4×10−5Paまで減圧した後、前記ボートに通電して加熱してフッ化ナトリウムを0.02nm/秒で前記電子輸送層上に膜厚1nmの薄膜を形成し、続けて同様にフッ化カリウムを0.02nm/秒でフッ化ナトリウム上に膜厚1.5nmの電子注入層を形成した。
引き続き、アルミニウム100nmを蒸着して陰極を形成し、白色発光型の有機EL素子101を作製した。
【0194】
(1.8)封止
前記白色発光有機EL素子の蒸着面側を300μmのエポキシ樹脂で覆い、更に12μmのアルミニウム箔で覆った後、硬化させた。白色発光有機EL素子101は大気に接触させることなく窒素雰囲気下のグローブボックス(純度99.999%以上の高純度窒素ガスの雰囲気下)で封止した。
【0195】
(2)有機EL素子102〜115の作製
白色発光有機EL素子101の作製(封止を含む。)において、発光層の形成時の塗布・乾燥条件を表1の条件に変更した。
それ以外は有機EL素子101の作製と同一とした。
【0196】
《有機EL素子サンプルの評価》
作製した有機EL素子101〜115に対し下記の評価をおこなった。
【0197】
(1)粒度分布ピークの算出
作製した有機EL素子101〜115の発光層塗布液と同一の塗布液について下記のようにして粒度分布ピークを求めた。
Malvern社製、Zetasizer_nano_sを用いて測定した。
溶質、溶媒の屈折率、及び溶液の粘度を塗布時の温度で設定した後、発光層塗布液を栓付き標準石英ガラスセルに1ml入れ、塗布時の温度で2分間保持、自動設定で測定した。粒度分布ピークは、得られたデータのIntensityの値からピーク1の値を求め、それを粒度分布ピークの値とした。算出結果を表1に示す。
【0198】
(2)発光寿命の評価
有機EL素子101〜115を、初期輝度10000cdを与える一定電流で連続駆動させ、輝度が半減するのに要した時間を測定し、これを半減寿命時間(τ0.5)として発光寿命の指標とした。測定には分光放射輝度計CS−1000(コニカミノルタセンシング社製)を用いた。評価結果を表1に示す。
【0199】
【表1】

【0200】
(3)まとめ
表1に示すとおり、有機EL素子102,104,106〜108,110〜112,114〜115は発光寿命が顕著に向上している。
以上から、発光層を構成する塗布液として粒度分布ピークが3nm以下の溶液を使用し、基板および塗布液の温度を30〜80℃に保持しながら塗布することは、発光寿命の向上に有用であることがわかる。
【符号の説明】
【0201】
1 可撓性基板
2 陽極
3 有機層
4 陰極
5 可撓性封止部材
6 封止用接着剤
EL 有機EL素子

【特許請求の範囲】
【請求項1】
基板上に一定の塗布液を塗布して乾燥させ有機発光層を形成する有機EL素子の製造方法であって、
前記有機発光層を構成する溶質を溶媒に溶解させ、動的光散乱法による溶質の粒度分布ピークが3nm以下である塗布液を調製する工程と、
前記基板の温度および前記塗布液の温度を30℃以上〜80℃以下に保持しながら、前記塗布液を基板上に塗布する工程と、
を備えることを特徴とする有機EL素子の製造方法。
【請求項2】
請求項1に記載の有機EL素子の製造方法において、
前記塗布液に用いられる溶媒は、沸点が80℃以上200℃以下の溶媒であることを特徴とする有機EL素子の製造方法。
【請求項3】
請求項2に記載の有機EL素子の製造方法において、
前記塗布液に用いられる溶媒がエステル系溶媒であることを特徴とする有機EL素子の製造方法。
【請求項4】
請求項1〜3のいずれか一項に記載の有機EL素子の製造方法において、
前記塗布液を基板上に塗布する工程の後に、前記塗布液が基板に接触してから前記塗布液中の有機溶剤の80〜95%を除去するための第1の乾燥工程と、
第1の乾燥工程の後に、前記塗布液中の有機溶剤の96%以上を除去するための第2の乾燥工程と、を備え、
前記第1の乾燥工程では、乾燥時間を5秒以内とすることを特徴とする有機EL素子の製造方法。
【請求項5】
請求項1〜4のいずれか一項に記載の有機EL素子の製造方法により製造されたことを特徴とする有機EL素子。

【図1】
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【公開番号】特開2013−69451(P2013−69451A)
【公開日】平成25年4月18日(2013.4.18)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−205570(P2011−205570)
【出願日】平成23年9月21日(2011.9.21)
【国等の委託研究の成果に係る記載事項】(出願人による申告)国等の共同研究の成果に係る特許出願(平成23年度独立行政法人新エネルギー・産業技術総合開発機構「次世代高効率・高品質照明の基盤技術開発/有機EL照明の高効率・高品質化に係る基盤技術開発」共同研究、産業技術力強化法第19条の適用を受ける特許出願)
【出願人】(000001270)コニカミノルタホールディングス株式会社 (4,463)
【Fターム(参考)】