説明

木材を薬剤で部分的に処理する木材処理装置及び木材処理方法

【課題】木材保存用の薬液に浸漬させる木材の深さを調整して該木材を木材保存用の薬液で効率的に処理する共に、前記木材への前記薬液の処理範囲の均一化を図る木材処理装置及び木材処理方法を低コストで提供する。
【解決手段】木材を保存処理する薬液が貯留される浸漬槽1と、前記浸漬槽1上に水平に設けられた前記木材を保持する木材保持容器2と、前記木材保持容器2を垂直方向に回転させる回転装置3と、前記木材保持容器2に保持された木材に前記薬液を部分的に浸漬させるために、前記浸漬槽1の内側から該浸漬槽1の高さよりも上へ向かって立てるように設けられた、前記回転装置3と共に前記木材保持容器2を昇降させる昇降装置4と、を有する木材処理装置30とする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、木材を薬液で部分的に処理する木材処理装置及び木材処理方法に関し、さらに詳しくは、製材、集成材、合板、単板積層材、木質パネル、木質繊維版等の木材をオオウズラタケ、カワラタケ等の微生物やシロアリ等の害虫から保護する木材保存用の薬液で木材を部分的に処理する木材処理装置及び処理方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、木材を木材保存用の薬液で保存処理するのに、大きく分けて、2つの方法が実施されている。即ち、木材を圧力容器に入れてその圧力容器内の圧力をを低くする工程と前記圧力容器に木材保存用の薬液を高圧で押し込む工程とを組み合わせて、該木材の細胞組織中に該薬液をしみ込ませる方法[いわゆる、加圧注入処理方法](特許文献1を参照。)と、木材保存用の薬液を木材に塗りつけたり木材保存用の薬液に木材を浸漬したりす方法[いわゆる、表面処理方法](特許文献2を参照。)と、がある。これらの2つの方法をそれぞれ実施するためには、専用の木材保存用の薬液が用意される。
【0003】
前記2つの方法を工場で実施する場合には、木材全体を束ねて、一度に処理することが技術的にも経済的にも妥当な方法とされている。従来においては、このような木材の必要な部分のみに木材保存用の薬液で処理するには、該木材の一本ずつに手作業で該木材保存用の薬液を塗布したりや噴き付けたりする作業が行われており、それらの多くの場合には、作業者が住宅の建築現場に出向き、噴霧器などを用いて、木材の必要な部分のみに該木材保存用の薬液で処理している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開平2010−111101号公報
【特許文献2】特開平2008−303157号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、前記作業者が住宅の建築現場に出向いて木材の必要な部分のみに該木材保存用の薬液で処理する方法においては、該木材保存用の薬液が飛散したり、また、該木材保存用の薬液の使い残しによる余剰液が発生するので、該木材保存用の薬液で環境を汚染したり、また、該木材保存用の薬液による木材の処理コストを増大させるという問題があった。
【0006】
このような問題を解決するために、近年、大規模の住宅メーカーを中心にして、工場において木材を木材保存用の薬液で効率的に処理する方法が広まりつつあるが、現在の工法では、柱等の住宅で立てて用いる木材の処理は地面から1m前後までの範囲で行うことが一般的となっているので、木材の一部分のみ処理すればよいことになっている。したがって、従来の技術によって、工場でにおいて木材を木材保存用の薬液で効率的に処理しようとすると、木材の処理が不要な部分まで処理を行うことになるという問題があった。また、木材の必要な部分のみを処理することを優先すると、噴霧器等を使用した手作業で木材に処理を行うことになり、そのために、生産効率の面で工場処理のメリットが減るという問題があった。
【0007】
本発明は、かかる問題を解決することを目的としている。
【0008】
即ち、本発明は、木材保存用の薬液に浸漬させる木材の深さを調整して該木材を木材保存用の薬液で効率よく部分的に処理する共に、前記木材への前記薬液の処理範囲の均一化を図ることができる木材処理装置及び木材処理方法を低コストで提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0009】
即ち、請求項1に記載された発明は、上記目的を達成するために、(イ)木材を保存処理する薬液が貯留される浸漬槽と、(ロ)前記浸漬槽上に水平に設けられた前記木材を保持する木材保持容器と、(ハ)前記木材保持容器を垂直方向に回転させる回転装置と、(ニ)前記木材保持容器に保持された木材に前記薬液を部分的に浸漬させるために、前記浸漬槽の内側から該浸漬槽の高さよりも上へ向かって立てるように設けられた前記回転装置と共に前記木材保持容器を昇降させる昇降装置と、を有することを特徴とする木材処理装置である。
【0010】
請求項2に記載された発明は、請求項1に記載された発明において、前記浸漬槽における薬液の高さを自動的に調整する薬液高さ自動調整装置が、設けられていることを特徴とするものである。
【0011】
請求項3に記載された発明は、請求項2に記載された発明において、前記薬液高さ自動調整装置が、前記薬液の液面高さを検知する液面レベルセンサーと、前記液面レベルセンサーで検知した前記薬液の液面高さをフィードバックして予め設定された薬液の液面高さになるように薬液タンクから前記浸漬槽への前記薬液の流入流出を薬液ポンプを用いて制御する薬液の流入流出制御装置と、を有していることを特徴とするものである。
【0012】
請求項4に記載された発明は、
(a)木材保存処理用の薬液を浸漬槽に貯留させる工程、
(b)前記浸漬槽上に水平に設置された木材保持容器に木材を入れて保持する工程、
(c)前記木材を入れた木材保持容器を回転装置で垂直方向に回転させて該木材を立てた状態で保持する工程、
(d)前記浸漬槽の内側から該浸漬槽の高さよりも上へ向かって立てるように設けられた、昇降装置を用いて、前記立てた状態で保持した木材を降下させることにより、前記木材を前記薬液に一部分だけ浸漬させる工程、
(e)前記木材を前記木材保持容器に入れたまま斜め方向に反転させて前記薬液の液面から離間させた状態にすることにより該薬液を垂れ切る工程、及び、
(f)前記薬液を垂れきった木材を前記木材保持容器に入れたまま当初の水平に設置された状態に戻して該木材を取り出す工程、
を順次有することを特徴とする木材処理方法である。
【発明の効果】
【0013】
請求項1に記載された発明によれば、(イ)木材を保存処理する薬液が貯留される浸漬槽と、(ロ)前記浸漬槽上に水平に設けられた前記木材を保持する木材保持容器と、(ハ)前記木材保持容器を垂直方向に回転させる回転装置と、(ニ)前記木材保持容器に保持された木材に前記薬液を部分的に浸漬させるために、前記浸漬槽の内側から該浸漬槽の高さよりも上へ向かって立てるように設けられた、前記回転装置と共に前記木材保持容器を昇降させる昇降装置と、を有しているので、木材保存用の薬液に浸漬させる木材の深さを調整して該木材を木材保存用の薬液で短時間において効率よく部分的に処理する共に、前記木材への前記薬液の処理範囲の均一化を図る木材処理装置及び木材処理方法を低コストで提供することができる。
【0014】
請求項2,3に記載された発明によれば、前記浸漬槽における薬液の高さを自動的に調整する薬液高さ自動調整装置が、設けられているので、木材の処理範囲を実施回数や処理材積に関わらず一定に保つことができる。
【0015】
請求項4に記載された発明によれば、
(a)木材保存処理用の薬液を浸漬槽に貯留させる工程、
(b)前記浸漬槽上に水平に設置された木材保持容器に木材を入れて保持する工程、
(c)前記木材を入れた木材保持容器を回転装置で垂直方向に回転させて該木材を立てた状態で保持する工程、
(d)前記浸漬槽の内側から該浸漬槽の高さよりも上へ向かって立てるように設けられた、昇降装置を用いて、前記立てた状態で保持した木材を降下させることにより、前記木材を前記薬液に一部分だけ浸漬させる工程、
(e)前記木材を前記木材保持容器に入れたまま斜め方向に反転させて前記薬液の液面から離間させた状態にすることにより該薬液を垂れ切る工程、及び、
(f)前記薬液を垂れきった木材を前記木材保持容器に入れたまま当初の水平に設置された状態に戻して該木材を取り出す工程、
を順次有しているので、木材保存用の薬液に浸漬させる木材の深さを調整して該木材を木材保存用の薬液で短時間において効率よく部分的に処理する共に、前記木材への前記薬液の処理範囲の均一化を図り、しかも、前記処理した木材を浸漬槽の上で留め置いて、垂れ落ちる余剰薬液を周囲に散逸させることなく回収する木材処理方法を低コストで提供することを目的としている。
【発明を実施するための形態】
【0016】
図1において、30は、木材処理装置である。本発明の木材処理装置30は、木材を保存処理する薬液が貯留される浸漬槽1と、前記浸漬槽1上に水平に設けられた前記木材を保持する木材保持容器2と、前記木材保持容器2を垂直方向に回転させる回転装置3と、前記木材保持容器2に保持された木材に前記薬液を部分的に浸漬させるために、前記浸漬槽1の内側から該浸漬槽1の高さよりも上へ向かって立てるように設けられた、前記回転装置3と共に前記木材保持容器2を昇降させる昇降装置4と、を有している。
【0017】
このように、木材を保存処理する薬液が貯留される浸漬槽1と、前記浸漬槽1上に水平に設けられた前記木材を保持する木材保持容器2と、前記木材保持容器2を垂直方向に回転させる回転装置3と、を有していると、木材保存用の薬液に浸漬させる木材の深さを調整して該木材を木材保存用の薬液で短時間において効率よく部分的に処理する木材処理装置30を低コストで提供することができる。また、前記木材保持容器2に保持された木材に前記薬液を部分的に浸漬させるために、前記浸漬槽1の内側から該浸漬槽1の高さよりも上へ向かって立てるように設けられた、前記回転装置3と共に前記木材保持容器2を昇降させる昇降装置4を有していると、前記木材保持容器2上下に垂直移動することによって、前記木材の前記木材保存処理用の薬液の液面への挿入及び抜き取り時に該薬液の液面の揺れが小さくなり、そのために、前記木材への前記薬液の処理範囲の均一化を図ることができる。
【0018】
したがって、木材を保存処理する薬液が貯留された浸漬槽1と、前記浸漬槽1上に水平に設けられた前記木材を保持する木材保持容器2と、前記木材保持容器2を垂直方向に回転させる回転装置3と、前記木材保持容器2に保持された木材に前記薬液を部分的に浸漬させるために、前記浸漬槽1の内側から該浸漬槽1の高さよりも上へ向かって立てるように設けられた、前記回転装置3と共に前記木材保持容器2を昇降させる昇降装置4と、を有していると、木材保存用の薬液に浸漬させる木材の深さを調整して該木材を木材保存用の薬液で短時間において効率よく部分的に処理すると共に、前記木材への前記薬液の処理範囲の均一化を図る木材処理装置30を低コストで提供することができる。
【0019】
本願の木材処理装置30には、前記浸漬槽における薬液の高さを自動的に調整する薬液高さ自動調整装置20が、設けられている。前記薬液高さ自動調整装置20には、前記薬液の液面高さを検知する液面レベルセンサー5と、前記液面レベルセンサー5で検知した液面高さをフィードバックして予め設定された液面高さになるように、薬液タンク7から前記浸漬槽1への前記薬液の流入流出を薬液ポンプ8を用いて制御する薬液の流入流出制御装置6と、を有している。前記浸漬槽1の薬液面は、前記薬液の流入流出制御装置6によって調整される。
【0020】
このように、前記浸漬槽1における薬液の高さを自動的に調整する薬液高さ自動調整装置20が、設けられていると、木材の処理範囲を実施回数や処理材積に関わらず一定に保つことができる。
【0021】
次に、前記木材処理装置30を詳しく説明する。
【0022】
図1に示されているように、本発明の木材処理装置30においては、木材保存処理用の薬材が貯留される浸漬槽1の上に水平に位置するように設けられた木材保持容器2に薬液処理する木材を入れる。前記木材保持容器2は、動力によって垂直方向に回転する回転装置3に繋がっており、その回転装置3は、前記浸漬槽1の内側から該浸漬槽1の高さよりも上へ向かって立てた昇降装置4に付いている。前記木材を入れた木材保持容器2を回転装置3を使って水平方向(90度)回転させ、その木材の長さ方向が垂直になるようにして、前記昇降装置4を使って前記木材浸漬槽1に貯留させた木材保存処理用の薬液の中へ沈める。前記木材の処理条件によって予め設定した時間が経過した後に、前記昇降装置4を使って前記木材保持容器2と前記回転装置3とを垂直方向へ引き上げ、次に、斜め方向、例えば、45度上方へ回転させて、そのまま余剰の薬液が垂れ落ちることを想定してあらかじめ設定した時間保持する。その時間が経過した後に、前記回転装置3を反転させて(90度反転させて前記木材保持容器2を長さ方向に水平にする。その後、前記木材保持容器2から木質材料を取り出す。
【0023】
また、図1に示されているように、本発明の木材処理装置30においては、浸漬槽1の中に薬液の液面の高さを測る液面レベルセンサー5が取り付けられていて、前記液面の高さの情報が電気信号でコード11を伝わって薬液の流入流出制御装置6に伝わるようになっている。前記薬液の流入流出制御装置6による浸漬槽1の薬液面は、図2に示される「浸漬槽の薬液面調整フロー」に基づいて調整される。前記薬液の流入流出制御装置6は、薬液タンク7とパイプ9で繋がり、かつ、前記浸漬槽1とパイプ10で繋がる薬液ポンプ8に薬液の導入又は抜き取りの指示を出して、前記薬液ポンプ8を稼働させる。前記浸漬槽1において薬液の液面高さになったら、薬液ポンプ制御装置6から前記薬液ポンプ8に稼働停止の指示が前記薬液ポンプ8へ出される。木材が前記浸漬槽1内に出し入れされている作業中か作業中でないかに関わらず、これらの薬液液面の高さの調整は、常時行われる。前記木材への薬液の付着量は、処理する木材の浸漬時間に比例するので、前記木材への一定の薬液の付着量を短時間において効率よく得るためには、前記昇降装置4をタイマーによって制御して、一定時間で浸漬を終了させるように実施する。
【0024】
本願の木材処理方法は、
(a)木材保存処理用の薬液を浸漬槽1に貯留させる工程、
(b)前記浸漬槽1上に水平に設置された木材保持容器2に木材を入れて保持する工程、
(c)前記木材を入れた木材保持容器2を回転装置3で垂直方向に回転させて該木材を立てた状態で保持する工程、
(d)前記浸漬槽1の内側から該浸漬槽1の高さよりも上へ向かって立てるように設けられた、昇降装置4を用いて、前記立てた状態で保持した木材を降下させることにより、前記木材を前記薬液に一部分だけ浸漬させる工程、
(e)前記木材を前記木材保持容器2に入れたまま斜め方向に反転させて前記薬液の液面から離間させた状態にすることにより該薬液を垂れ切る工程、及び、
(f)前記薬液を垂れきった木材を前記木材保持容器2に入れたまま当初の水平に設置された状態に戻して該木材を取り出す工程、
を順次有している。
【0025】
このように、前記(イ)〜(ヘ)を順次有していると、木材保存用の薬液に浸漬させる木材の深さを調整して該木材を木材保存用の薬液で短時間において効率よく部分的に処理する共に、前記木材への前記薬液の処理範囲の均一化を図り、しかも、前記処理した木材を浸漬槽の上で留め置いて、垂れ落ちる余剰薬液を周囲に散逸させることなく回収する木材処理方法を低コストで提供することができる。
【実施例】
【0026】
(実施例1)
(a)社団法人日本木材保存協会認定の木材防腐・防蟻剤「サンプレーザーPW96」(認定番号A−5295)《以下、「木材防腐・防蟻剤」と略記する。》を含有する木材保存処理用の薬液を縦:1580mm×横:2022mm×高さ:1400mmの浸漬槽に900mmの深さとなるように貯留させる工程、
(b)前記浸漬槽上に水平に設けられた縦:920mm×横:1250mm×高さ:3090mmの木材保持容器に縦:9mm×横:910mm×高さ:1820mmのカラマツ構造用合板70枚を重ねた状態で入れて保持する工程、
(c)前記カラマツ構造用合板を入れた木材保持容器を回転装置で90度回転させて該カラマツ構造用合板を立てた状態に保持する工程、
(d)前記浸漬槽の内側から該浸漬槽の高さよりも上へ向かって立てるように設けられた、昇降装置を用いて、前記立てた状態で保持した木材を降下させることにより、前記木材保存処理用の薬液に前記カラマツ構造用合板における先端から820mmにわたる部分を10分間浸漬させる工程、
(e)前記カラマツ構造用合板を入れた木材保持容器を回転装置で60度回転させて、前記薬液の液面から離間させた状態で5分間保持することにより、前記薬液を垂れ切る工程、及び、
(f)前記薬液を垂れきったカラマツ構造用合板を前記木材保持容器に入れたまま当初の水平に設置された状態に戻して該木材を取り出す工程、
を順次経て前記カラマツ構造用合板を前記木材保存処理用の薬液で部分的に処理した。
【0027】
(実施例2)
前記(b)工程において、前記浸漬槽上に水平に設けられた縦:920mm×横:1250mm×高さ:3090mmの木材保持容器に縦:38mm×横:89mm×高さ:3000mmのスプルース製材216本を入れて保持した以外は、実施例1と同様にして、前記スプルース製材を前記木材保存処理用の薬液で部分的に処理した。
【0028】
(実施例3)
前記(b)工程において、前記浸漬槽上に水平に設けられた縦:920mm×横:1250mm×高さ:3090mmの木材保持容器に縦:38mm×横:89mm×高さ:3000mmのスプルース製材216本を入れて保持し、そして、前記(d)工程において、前記木材保存処理用の薬液に前記スプルース製材における先端から750mmにわたる部分を10分間浸漬させた以外は、実施例1と同様にして、前記スプルース製材を前記木材保存処理用の薬液で部分的に処理した。
【0029】
(比較例1)
定規を備えた台に載せられた縦:9mm×横:910mm×高さ:1820mmのカラマツ構造用合板の表面の端部から820mmの部分のみに木材防腐・防蟻剤を含有する木材保存処理用の薬液を吹き付けて処理した。そして、同様にして、前記カラマツ構造用合板69枚の表面の端部から820mmの部分のみに前記木材防腐・防蟻剤を含有する木材保存処理用の薬液を次々吹き付けて、前記カラマツ構造用合板を前記木材保存処理用の薬液で部分的に処理した。
【0030】
(比較例2)
定規を備えた台に並べて載せられた縦:38mm×横:89mm×高さ:3000mmのスプルース製材10本の1材面の表面の端部から820mmの部分のみに木材防腐・防蟻剤を含有する木材保存処理用の薬液を吹き付けて処理した。次に、前記スプルース製材10本それぞれを転がし、それらの隣の面を上にして形成した残り3面にも、前記木材防腐・防蟻剤を含有する木材保存処理用の薬液を吹き付けて同様に処理した。そして、同じ要領で前記スプルース製材10本ずつ(最後は6本)に前記木材防腐・防蟻剤を含有する木材保存処理用の薬液を吹き付けて、全部で216本のスプルース製材を前記木材保存処理用の薬液で部分的に処理した。
【0031】
(比較例2)
定規を備えた台に並べて載せられた縦:38mm×横:89mm×高さ:3000mmのスプルース製材10本の1材面の表面の端部から820mmの部分のみに木材防腐・防蟻剤を含有する木材保存処理用の薬液を吹き付けて処理した。次に、前記スプルース製材10本それぞれを転がし、それらの隣の面を上にして形成した残り3面にも、前記木材防腐・防蟻剤を含有する木材保存処理用の薬液を吹き付けて同様に処理した。そして、同じ要領で前記スプルース製材10本ずつ(最後は6本)に前記木材防腐・防蟻剤を含有する木材保存処理用の薬液を吹き付けて、全部で216本のスプルース製材を前記木材保存処理用の薬液で部分的に処理した。
【0032】
(比較例3)
定規を備えた台に並べて載せられた縦:38mm×横:89mm×高さ:3000mmのスプルース製材10本の1材面の表面の端部から750mmの部分のみに木材防腐・防蟻剤を含有する木材保存処理用の薬液を吹き付けて処理した。次に、前記スプルース製材10本それぞれを転がし、それらの隣の面を上にして形成した残り3面にも、前記木材防腐・防蟻剤を含有する木材保存処理用の薬液を吹き付けて同様に処理した。そして、同じ要領で前記スプルース製材10本ずつ(最後は6本)に前記木材防腐・防蟻剤を含有する木材保存処理用の薬液を吹き付けて、全部で216本のスプルース製材を前記木材保存処理用の薬液で部分的に処理した。
【0033】
以上、前記実施例1〜3及び前記比較例1〜3においては、薬液処理した木材(カラマツ構造用合板、スプルース製材)を取り出せる状態になるまでの時間《即ち、前記実施例1〜3では、木材保持容器に木材を入れて保持するところから該木材に付着した薬液の液垂れを切り終えて該木材を該木材保持容器から取り出せるまでの時間(以下、「薬液処理時間」という。)であり、そして、前記比較例1〜3では、台に木材を並べるところから薬液を吹き付け木材を該台から取り出して束ねることのできる状態に積み上げるまでの時間(以下、「薬液処理時間」という。)》をそれぞれ測定した。そして、前記実施例1〜3及び前記比較例1〜3において薬液処理した木材(カラマツ構造用合板、スプルース製材)を木材保持容器及び台から取り出して、前記木材における先端から薬液で処理された部分(着色部分)の長さを測定し、その薬液で処理された部分の長さから、薬液処理範囲の目標値の基準に対して超過した長さ及び不足した長さの絶対値の最大値(以下、「薬液処理範囲の過不足」という。)を測定した。また、前記薬液で処理された部分の薬剤付着量(以下、「薬剤付着量」という。)と、薬液処理に使用した薬剤の使用量(以下、「薬剤使用量」という。)と、をそれぞれ測定した。測定結果は、次の表1に示される。
【0034】
【表1】

【0035】
表1からみると、(1)薬液処理時間は、実施例1〜3では、いずれも、18分であるが、比較例1,2,3では、それぞれ、92分、100分、98分であり、そして、(2)薬液処理範囲の過不足は、いずれも、「超過2cm、不足なし」であるが、比較例1,2,3では、それぞれ、「超過5cm、不足なし」、「超過6cm、不足なし」、「超過12cm、不足1cm」であるので、本発明の木材処理装置によれば、木材保存用の薬液に浸漬させる木材の深さを調整して該木材を木材保存用の薬液で短時間において効率よく部分的に処理する共に、前記木材への前記薬液の処理範囲の均一化を図れることがわかる。
【図面の簡単な説明】
【0036】
【図1】本発明の一実施の形態を示す木材処理装置の概略説明図である。
【図2】本発明の一実施の形態を示す木材処理装置における薬液の流入流出制御装置による薬液の流入流出制御の概要を示すフローチャートである。
【符号の説明】
【0037】
1 浸漬槽
2 木材保持容器
3 回転装置
4 昇降装置
5 液面レベルセンサー
6 薬液の流入流出制御装置
7 薬液タンク
8 薬液ポンプ
9 ,10 パイプ
11 電気コード
20 薬液高さ自動調整装置
30 木材処理装置

【特許請求の範囲】
【請求項1】
(イ)木材を保存処理する薬液が貯留される浸漬槽と、(ロ)前記浸漬槽上に水平に設けられた前記木材を保持する木材保持容器と、(ハ)前記木材保持容器を垂直方向に回転させる回転装置と、(ニ)前記木材保持容器に保持された木材に前記薬液を部分的に浸漬させるために、前記浸漬槽の内側から該浸漬槽の高さよりも上へ向かって立てるように設けられた、前記回転装置と共に前記木材保持容器を昇降させる昇降装置と、を有することを特徴とする木材処理装置。
【請求項2】
前記浸漬槽における薬液の高さを自動的に調整する薬液高さ自動調整装置が、設けられていることを特徴とする請求項1に記載の木材処理装置。
【請求項3】
前記薬液高さ自動調整装置が、前記薬液の液面高さを検知する液面レベルセンサーと、前記液面レベルセンサーで検知した前記薬液の液面高さをフィードバックして予め設定された薬液の液面高さになるように薬液タンクから前記浸漬槽への前記薬液の流入流出を薬液ポンプを用いて制御する薬液の流入流出制御装置と、を有していることを特徴とする請求項2に記載の木材処理装置。
【請求項4】
(a)木材保存処理用の薬液を浸漬槽に貯留させる工程、
(b)前記浸漬槽上に水平に設置された木材保持容器に木材を入れて保持する工程、
(c)前記木材を入れた木材保持容器を回転装置で垂直方向に回転させて該木材を立てた状態で保持する工程、
(d)前記浸漬槽の内側から該浸漬槽の高さよりも上へ向かって立てるように設けられた、昇降装置を用いて、前記立てた状態で保持した木材を降下させることにより、前記木材を前記薬液に一部分だけ浸漬させる工程、
(e)前記木材を前記木材保持容器に入れたまま斜め方向に反転させて前記薬液の液面から離間させた状態にすることにより該薬液を垂れ切る工程、及び、
(f)前記薬液を垂れきった木材を前記木材保持容器に入れたまま当初の水平に設置された状態に戻して該木材を取り出す工程、
を順次有することを特徴とする木材処理方法。

【図1】
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【図2】
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