説明

木材破砕機

【課題】動力装置及び破砕装置のメンテナンスをする際に安全性及び利便性の高い作業スペースを確保することができる木材破砕機を提供する。
【解決手段】本体フレーム10と、この本体フレーム10の長手方向一方側に設けた動力装置4と、この動力装置4の本体フレーム長手方向他方側に設けられ、被破砕木材を破砕する破砕ロータを有する破砕装置13と、この破砕装置13と動力装置4との間で機体の幅方向一方側に破砕ロータの回転軸とほぼ同じ高さに配設され、破砕ロータを回転駆動させる駆動装置31と、この駆動装置31の出力軸と破砕ロータの回転軸に設けたプーリ32,33の間に巻き回され、機体幅方向の一方側に位置する動力伝達ベルト34と、この動力伝達ベルト34及び駆動装置31を包囲するカバー35と、このカバー35の上方に設けた第1作業フロア36とを備えたことを特徴とする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、剪定枝材・間伐材、枝木材、廃木材等を破砕する木材破砕機に関する。
【背景技術】
【0002】
例えば、森林で伐採された木材を枝払いしたときに発生する剪定枝材・間伐材や、造成・緑地維持管理等で発生する枝木材、あるいは木造家屋に使用された廃木材は、通常、最終的に産業廃棄物等として処理される。木材破砕機は、こうした廃棄物処理過程における廃棄物としての被破砕木材の減容化、或いは粉砕後の破砕木材(木材チップ)を発酵処理し有機肥料として再利用すること等を目的に、被破砕木材を所定の大きさに破砕するものである。
【0003】
この種の木材破砕機には、特許文献1に記載されたもののように、ホッパで受け入れた被破砕木材をホッパ内側の送りコンベアによって搬送し、破砕装置手前で押圧ローラによって被破砕木材を押圧して送りコンベアとの間に把持した状態で破砕装置に導入して破砕処理するものがある。
【0004】
【特許文献1】特開2002−219373号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
木材破砕機の破砕装置は、破砕ビットを取り付けた破砕ロータを高速回転させ、その際の破砕ビットとの衝突によって被破砕木材を粗破砕し、さらに破砕ロータの回転に伴って周回する木材片をアンビル等に衝突させることで所定粒度まで破砕するようになっているため、破砕ロータにはかなりの衝撃が加わる。そのため、破砕ロータを駆動する駆動装置(モータ)の出力軸をロータ回転軸に直結すると駆動装置に衝撃が伝達してしまう。
それに対し、上記従来技術では、伝達ベルトを介して駆動装置の駆動力を破砕ロータに伝達し、破砕ロータに加わる衝撃が駆動装置に直接伝わらない構成を採っている。
【0006】
ここで、上記従来技術では、破砕装置の前方側(破砕木材排出側)に各作動装置の動力源となる動力装置が配置されている。動力装置には、エンジンや油圧ポンプ、制御弁、ラジエータ、作動油タンク、燃料タンク等の様々な設備が内蔵されている。したがって、作業フロアを動力装置の周囲に設けると給油やメンテナンスの際に利便性が高い。しかも動力装置の内蔵設備は上記のように多岐にわたるため、作業フロアは動力装置の機体幅方向一方ではなく両方側に要求される。作業フロアを動力装置の両側に設けるなら、作業効率の点ではそれらの間を行き来できるように接続し、なおかつ隣接する破砕装置のメンテナンス用の作業スペースとしても有効利用できるようにするため、動力装置と破砕装置との間に通路分のスペースを創出することが望ましい。
【0007】
しかしながら、上記従来技術では、駆動装置をロータ回転軸よりも上方側に配置しているので、伝達ベルトがロータ回転軸より上方に向かって立ち上るようにして駆動装置との間に巻き回されている。このとき、動力装置と破砕装置との間にスペースを創出するにしても、効率的に動力供給するために主要装置である破砕ロータの駆動装置は動力装置にできるだけ近く配置したい。そのため、破砕装置と動力装置との間にスペースを創出する際に破砕ロータの駆動装置を動力装置の近くに残しておくと、動力装置の両側に作業フロアを設けたとしても駆動装置及び伝達ベルトがそれらの間を行き来する作業者の障害になってしまい、安全性及び利便性の高い作業スペースを確保することが難しい。
【0008】
本発明は、以上の点に鑑みてなされたものであり、その目的は、動力装置及び破砕装置のメンテナンスをする際に安全性及び利便性の高い作業スペースを確保することができる木材破砕機を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記目的を達成するために、第1の発明は、本体フレームと、この本体フレームの長手方向一方側に設けた動力装置と、この動力装置の本体フレーム長手方向他方側に設けられ、被破砕木材を破砕する破砕ロータを有する破砕装置と、この破砕装置と前記動力装置との間で機体の幅方向一方側に前記破砕ロータの回転軸とほぼ同じ高さに配設され、前記破砕ロータを回転駆動させる駆動装置と、この駆動装置の出力軸と前記破砕ロータの回転軸に設けたプーリの間に巻き回され、機体幅方向の一方側に位置する動力伝達ベルトと、この動力伝達ベルト及び前記駆動装置を包囲するカバーと、このカバーの上方に設けた第1作業フロアとを備えたことを特徴とする。
【0010】
第2の発明は、第1の発明において、前記第1作業フロアの機体反対側に設けた第2作業フロアと、前記動力装置と前記破砕装置との間に前記第1及び第2作業フロアを接続するように設けた通路とを備えたことを特徴とする。
【0011】
第3の発明は、第1又は第2の発明において、前記カバーは、その上面が機体幅方向外側に向かって下り傾斜に形成されていることを特徴とする。
【0012】
第4の発明は、第1乃至第3の発明のいずれかにおいて、前記第1作業フロアは、機体幅方向の前記動力装置の給油口が設けられている側に配設されていることを特徴とする。
【0013】
第5の発明は、第1乃至第4の発明のいずれかにおいて、前記第1作業フロアにアクセス昇降手段を設けたことを特徴とする。
【発明の効果】
【0014】
本発明によれば、破砕ロータの回転軸とほぼ同じ高さにその駆動装置を配置しているので、動力装置及び動力伝達ベルトの上部に第1作業フロアを設けることができ、動力装置と破砕装置との間に創出したスペースを有効利用して、第1作業フロアと機体の反対側に設けた第2作業フロアとを接続する通路を設けることができる。そして、この通路で第1及び第2フロア間を行き来できるようにするに際し、破砕ロータの回転中心と同程度の高さ位置に駆動装置の配設高さを下げたことにより、駆動装置や動力伝達ベルトが第1作業フロアの下方に位置することとなるので、それらが第1及び第2フロア間を行き来する場合の障害となることを防止することができる。よって、動力装置及び破砕装置のメンテナンスをする際に安全性及び利便性の高い作業スペースを確保することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0015】
以下、図面を用いて本発明に係る木材破砕機の一実施の形態を説明する。
図1は本発明の一実施の形態に係る木材破砕機の全体構造を表す側面図、図2はその平面図、図3は後方から見た背面図である。以下の説明において、図1中の左・右に対応する方向を木材破砕機の前・後または一方・他方とする。
図1〜図3に示したように、本実施の形態の木材破砕機は、自力走行するための走行体1と、この走行体1に搭載した木材破砕機本体部2と、木材破砕機本体部2からの破砕木材(木材チップ)を搬送し機外に排出する排出コンベア3と、機体各所に搭載した各作動機器の動力源(エンジン)等を内蔵した動力装置(パワーユニット)4とで概略構成されている。これら走行体1、木材破砕機本体2、排出コンベア3、動力装置4の概略構成を次に順次説明していく。
【0016】
走行体1は、トラックフレーム5と、このトラックフレーム5の前後両端部に設けた駆動輪6及び従動輪7と、出力軸を駆動輪6の軸に連結した駆動装置(走行用油圧モータ)8と、駆動輪6及び従動輪7に巻回した履帯(無限軌道履帯)9とで構成されている。トラックフレーム5上には本体フレーム10が配設されており、上記した木材破砕機本体部2、排出コンベア3、動力装置4等がこの本体フレーム10によって支持されている。
【0017】
木材破砕機本体部2は、投入される被破砕木材を受け入れるホッパ11と、ホッパ11に投入された被破砕木材を搬送する送りコンベア12と、送りコンベア12によって導入された被破砕木材を破砕する破砕装置13と、この破砕装置13の手前で被破砕木材を送りコンベア12に押し付けつつ送りコンベア12と協動して被破砕木材を破砕装置13に導入する押圧導入手段としての押圧ローラ装置14とを備えている。
【0018】
ホッパ11は、上部が開口した有底形状の部材であり、本体フレーム10の長手方向他方側(図1中右側)にほぼ水平に設けられており、このホッパ11に対し例えばグラップル等によって被破砕木材が上方や後方から投入される。
【0019】
送りコンベア12は、ホッパ11内に収容されるようにして本体フレーム10の長手方向他方側(図1中右側)にほぼ水平に配設されており、ホッパ11に投入された被破砕木材を破砕装置13に搬送する被破砕木材の搬送手段として機能する。詳細には図示していないが、送りコンベア12は、破砕装置13内の破砕ロータに対向して設けたスプロケット状の駆動輪とその反対側(機体後方側)に設けた従動輪との間に搬送体16を巻回して構成されている。本実施の形態において、搬送体16は、チェーンベルトにより構成され、図2に示したように機体幅方向に複数列(本例では4列)列設してある。
【0020】
破砕装置13は、送りコンベア12の前端部に対向するようにして本体フレーム10上に設けられている。特に図示していないが、破砕装置13は外周部に複数の破砕ビットを取り付けた破砕ロータを備えており、その破砕ロータを高速回転させることで送りコンベア12によって送り込まれた被破砕木材を打撃して粗破砕し、粗破砕した木材片をアンビル(衝突板)に衝突させて衝撃力によってさらに細かく破砕するようになっている。破砕途中の木材片は、破砕室内で破砕ロータの回転に伴って周回するうちに細粒化され、破砕室内の壁面の一部を構成するスクリーンの目よりも粒径が小さくなるとスクリーンを介し破砕装置13から排出される。
【0021】
押圧ローラ装置14は、破砕装置13の上部を覆うように配設されている。この押圧ローラ装置14は、送りコンベア12の駆動輪の上方に位置する押圧ローラ17と、この押圧ローラ17を上下揺動自在に支持するアーム部18とを備えている。これによって、送りコンベア12により破砕装置13に向かって被破砕木材が搬送されると、押圧ローラ17が被破砕木材上に乗り上がって押圧ローラ17の自重によって被破砕木材が送りコンベア12の搬送体16に押し付けられる。したがって、押圧ローラ17と送りコンベア12とで把持された状態で被破砕木材が破砕装置13に供給され、破砕反力がしっかりと受け止められて効率的な破砕処理がなされる。
【0022】
排出コンベア3は、動力装置4から突出して設けた支持部材20によって排出側(前方側、図1中の左側)部分が支持されている。またその反対側(後方側、図1中の右側)部分は、支持部材21を介して本体フレーム10に懸架されている。これにより、排出コンベア3は、破砕装置13の下方から動力装置4の下方を通った後、機体前方側に向かって上り傾斜に配設されている。この排出コンベア3のフレーム22の長手方向前後両端には、それぞれ駆動輪及び従動輪(共に図示せず)が回転自在に設けられており、これら駆動輪及び従動輪にコンベアベルト(図示せず)が巻回してある。駆動輪の回転軸には駆動装置(排出コンベア用油圧モータ)23が直結しており、この駆動装置23を回転駆動させることによって駆動輪と従動輪との間でコンベアベルトが循環駆動する。コンベアベルトの上方はコンベアフレーム22に固定したカバー24によって覆われており、コンベアベルト上の破砕木材が風等で飛散するのを防止している。
【0023】
動力装置4は、本体フレーム10の長手方向一方側(図1中の左側)端部上に、支持部材25を介して搭載されており、この動力装置4の本体フレーム長手方向他方側(後方側)に先の破砕装置13が位置している。動力装置4には、エンジンやこのエンジンにより駆動される油圧ポンプ、油圧ポンプから各作動装置への圧油の流れを制御する制御弁、燃焼や作動油のタンク類、エンジン冷却水を冷却するラジエータ、エアクリーナ等が内蔵されている。26はエンジンの燃料を貯留する燃料タンク(図示せず)への給油口、27は各駆動装置(油圧アクチュエータ)に供給する作動油を貯留する作動油タンク(図示せず)への給油口で、これら給油口26,27は動力装置4の機体幅方向一方側(機体左側、図2中の下側))寄りの位置にある。
【0024】
また、動力装置4の後方側でかつ機体幅方向他方側(機体右側、図2中の上側)の区画には運転席28が設けられており、この運転席28には走行操作用の操作レバー29等が設けられている。そして、動力装置4の機体幅方向他方側(機体右側、図2中の上側)の区画には、この運転席28に接続するようにしてフロア30が設けてあり、動力装置4内の機体幅方向他方側に内蔵したラジエータ(図示せず)のメンテナンス作業等に配慮されている。
【0025】
図4は機体幅方向一方側に設けたカバー35及び第1作業フロア36(共に後述)を取外した状態で本実施の形態に係る木材破砕機の全体構造を表した側面図、図5は破砕装置13及び押圧ローラ装置14のユニットを抽出して表した斜視図である。図4及び図5において先の各図と同様の部分には同符号を付し説明を省略する。
図4及び図5に示したように、本実施の形態において、破砕装置13の破砕ロータを回転駆動させる駆動装置31は、動力装置4と破砕装置13との間で機体の幅方向一方側(図4中の紙面直交方向手前側)に破砕ロータの回転軸(図示せず)とほぼ同じ高さに配設されている。32は破砕ロータの回転軸に連結したプーリ、33は駆動装置31の出力軸に連結したプーリで、これらプーリ32,33の間には動力伝達ベルト34が巻き回されている。本実施の形態においては、駆動装置31の出力軸と破砕ロータの回転軸はほぼ同じ高さなので、動力伝達ベルト34はほぼ水平に巻回されている。なお、動力伝達ベルト34は機体幅方向の一方側(図4中の紙面直交方向手前側)に位置しているが、この動力伝達機構は機体の反対側にあっても構わない。
【0026】
図4では取外した状態を図示しているが、本実施の形態においては図1に示したように駆動装置31及び動力伝達ベルト34はカバー35によって包囲されており、駆動装置31の出力軸や駆動伝達ベルト34に作業者が触れられないようになっている。このカバー35は、図3に示したようにその上面が機体幅方向外側に向かって下り傾斜に形成されており、上部に粉塵や破砕木材が堆積し難いように配慮されている。
【0027】
またこのカバー35における動力装置4と破砕装置13の間の部分は上面が幾分切り欠かれており、この切り欠き部の上方には第1作業フロア36が設けられている。第1作業フロア36は、機体幅方向の動力装置4の給油口26,27が設けられている側に配設されている。第1作業フロア36の機体反対側には、前述した運転席28及び作業フロア30の後方に接続する第2作業フロア37が設けられている。第1及び第2作業フロア36,37には、地上(或いは履帯9上)からの昇り降りに配慮してアクセス昇降手段としての梯子38,39が下部に垂設固定されており、また作業フロア36,37の上部には、安全への配慮としてそれぞれ柵40,41が配設されている。
【0028】
また第1及び第2作業フロア36,37は通路42によって接続されている。この通路42は、動力装置4と破砕装置13との間に位置しており、図5に示したように破砕装置13の前壁部分に面している。図5では破砕装置13の前壁部分を取外した状態を図示しているが、このように前壁部分を取外すと、破砕装置13の前方寄りの部分に配置されているシアピン43が露出しシアピン43に対し通路42から容易にアクセス可能となっている。44は破砕室をカバーするラバーである。特に図示していないが、前述したアンビル(衝突板)は揺動可能な支持アームに固定されており、過度な衝撃が加わった場合に破砕室から退避するようになっている。シアピン43は、常時には支持アームの反力を受けてアンビルを破砕室内に留めているが、アンビルに過度な衝撃が加わった場合にアームを揺動させてアンビルを退避させるために折損する部品である。
【0029】
次に、上記構成の本実施の形態に係る木材破砕機の動作及び作用を順次説明する。
グラップル等でホッパ11内に被破砕木材を投入すると、被破砕木材はホッパ11内の送りコンベア12上に載置され、ホッパ11の機体側方の内壁に案内されつつ循環駆動する搬送体16によって機体前方に向かって搬送される。押圧ローラ装置14付近まで被破砕木材が搬送されると押圧ローラ17が被破砕木材に乗り上がり、送りコンベア12上の被破砕木材は、押圧ローラ装置14の自重で送りコンベア12に押し付けられ、送りコンベア12と押圧ローラ17とで把持された状態で破砕室に導入される。これにより、被破砕木材は、押圧ローラ17と送りコンベア12とに挟持された部分を支点に片持ち梁状に破砕室内に突出し、この突出部分に高速回転する破砕ロータの破砕ビットが衝突することで粗破砕される。粗破砕された被破砕木材の木材片は、破砕室内において破砕ロータの回転に伴って周回しアンビル等に衝突するうちに、その衝撃力によってさらに細かく破砕されていく。このようにして、破砕室の壁面の一部を構成するスクリーンを通過する粒度にまで木材片が粉砕されると、その破砕木材(木材チップ)がスクリーンを通過して破砕装置13から排出される。そして、破砕装置13から排出された破砕木材は排出コンベア3のコンベアベルト上に落下し、さらに機体前方へと搬送されリサイクル品として機外に排出される。
【0030】
ここで、このような木材破砕機においては、高速回転する破砕ロータの破砕ビットとの衝突によって被破砕木材を粗破砕し、さらに破砕ロータの回転に伴って周回する木材片をアンビルや破砕ビットに衝突させることで所定粒度まで破砕するため、破砕ロータにはかなりの衝撃が加わる。そのため、仮に破砕ロータを駆動する駆動装置31の出力軸を破砕ロータの回転軸に直結してしまうと駆動装置31に衝撃が伝達してしまうが、本実施の形態では動力伝達ベルト34を介して駆動装置31の駆動力を破砕ロータに伝達することで、駆動装置31に直接衝撃が伝達することを防止することができる。そして、駆動装置31を動力装置4のすぐ後方に近接させているので、主要な作動機器である駆動装置31への供給動力(圧油)の損失(圧力損失)を最小限に抑制することができ、エネルギー効率を良好に保つことができる。
【0031】
このとき、本実施の形態においては、破砕ロータの回転軸とほぼ同じ高さに駆動装置31を配置しているので、動力伝達ベルト34を破砕ロータ回転軸とほぼ同じ高さ位置で水平方向に巻き回すことができる。したがって、駆動装置31及び動力伝達ベルト34からなる動力伝達機構の上部に第1作業フロア36を設けることができる。これにより、動力装置4と破砕装置13との間に創出したスペースを有効利用して、第1作業フロア36と機体の反対側に設けた第2作業フロア37とを接続する通路42を設けることができる。この通路42で第1及び第2フロア36,37間を行き来できるようにするに際し、本実施の形態では破砕ロータの回転中心と同程度の高さ位置に駆動装置31の配設高さを下げたことにより、駆動装置31や動力伝達ベルト34が第1作業フロア36の下方に位置することとなるので、それらが第1及び第2フロア36,37間を行き来する場合の障害とならない。
【0032】
以上のように、本実施の形態においては、動力装置4及び破砕装置13の機体両側にそれぞれ第1及び第2フロア36,37を設け、さらに通路42を通ってそれらフロア36,37の間を容易に行き来できるようにすることができる。そして、通路42自体も破砕装置13や動力装置4のメンテナンス用のフロアとして活用することができ、この通路42を含めた動力装置4及び破砕装置13の周囲の作業フロア30,36,37や運転席28の間を自在に往来することができる。
【0033】
これにより、例えば作業フロア30や運転席28でラジエータや操作レバー29及びその周辺機器をメンテナンスした後、給油口26,27を介して燃料や作動油を給油する作業に移行する場合等、機体から降りて反対側に回り込んだりしなくても、第2作業フロア37及び通路42を通って第1作業フロア36に容易かつ安全に移動することができる。また、前述したシアピン43が折損した場合、メンテナンス品であるこのシアピン43を交換するにも第1作業フロア36又は第2作業フロア37から通路42にアクセスし、通路42よりシアピン43を容易に交換することができる。もちろん、通路42は、シアピン43の交換作業のみならずその他の破砕装置13又は動力装置4のメンテナンス作業をする際にも利便性が高い。第1及び第2作業フロア36,37には梯子38,39が設けられているので、それぞれ地上又は履帯9上から第1又は第2作業フロア36,37にアクセスするのも容易である。
【0034】
以上のように、本実施の形態によれば、動力装置4及び破砕装置13のメンテナンスをする際に安全性及び利便性の高い作業スペースを確保することができる。
【0035】
また、本実施の形態では、第1作業フロア36に立つ作業者等の安全性を確保するために駆動装置31及び動力伝達ベルト34をカバーする必要があるが、単に駆動装置31や動力伝達ベルト34をカバーしても風に舞う微粒な木材片や粉塵がその上部に堆積すると、今度はカバーの清掃やメンテナンスをしなくてはならなくなる。
【0036】
そこで、本実施の形態においては、上面が機体幅方向外側に下り傾斜に形成されたカバー35によって駆動装置31や動力伝達ベルト34を覆うことにより、カバー35に木材片や粉塵が堆積することを防止することができ、余計なメンテナンス作業が増えることもない。また、カバー35と第1作業フロア36との間は柵40によって区画され、カバー35上に第1作業フロア36から作業者が乗り移ることができないようになっている。これにより、カバー35を設けるに際して作業者がホッパ11や破砕装置13の入口に近付けないように配慮されており、作業者の安全性を確保することができる。
【0037】
なお、以上においては、本発明を自力走行可能な木材破砕機に適用した場合を例にとって説明したが、これに限られず、牽引して走行可能な移動式木材破砕機、若しくは例えばクレーン等により吊り上げて運搬可能な可搬式木材破砕機、さらにはプラント等において固定機械として配置される定置式木材破砕機に適用しても良いことは言うまでもなく、これらの場合も上記と同様の効果を得る。
【図面の簡単な説明】
【0038】
【図1】本発明の一実施の形態に係る木材破砕機の全体構造を表す側面図である。
【図2】本発明の一実施の形態に係る木材破砕機の全体構造を表す平面図である。
【図3】本発明の一実施の形態に係る木材破砕機の全体構造を表す後方から見た背面図である。
【図4】本発明の一実施の形態に係る木材破砕機の全体構造を表す側面図であって、機体幅方向一方側に設けたカバー及び作業フロアを取外した状態を表している。
【図5】本発明の一実施の形態に係る木材破砕機に備えられた破砕装置及び押圧ローラ装置のユニットを抽出して表した斜視図である。
【符号の説明】
【0039】
4 動力装置
10 本体フレーム
13 破砕装置
31 駆動装置
32 プーリ
33 プーリ
34 動力伝達ベルト
35 カバー
36 第1作業フロア
37 第2作業フロア
42 通路

【特許請求の範囲】
【請求項1】
本体フレームと、
この本体フレームの長手方向一方側に設けた動力装置と、
この動力装置の本体フレーム長手方向他方側に設けられ、被破砕木材を破砕する破砕ロータを有する破砕装置と、
この破砕装置と前記動力装置との間で機体の幅方向一方側に前記破砕ロータの回転軸とほぼ同じ高さに配設され、前記破砕ロータを回転駆動させる駆動装置と、
この駆動装置の出力軸と前記破砕ロータの回転軸に設けたプーリの間に巻き回され、機体幅方向の一方側に位置する動力伝達ベルトと、
この動力伝達ベルト及び前記駆動装置を包囲するカバーと、
このカバーの上方に設けた第1作業フロアと
を備えたことを特徴とする木材破砕機。
【請求項2】
前記第1作業フロアの機体反対側に設けた第2作業フロアと、
前記動力装置と前記破砕装置との間に前記第1及び第2作業フロアを接続するように設けた通路と
を備えたことを特徴とする請求項1に記載の木材破砕機。
【請求項3】
前記カバーは、その上面が機体幅方向外側に向かって下り傾斜に形成されていることを特徴とする請求項1又は2に記載の木材破砕機。
【請求項4】
前記第1作業フロアは、機体幅方向の前記動力装置の給油口が設けられている側に配設されていることを特徴とする請求項1乃至3のいずれかに記載の木材破砕機。
【請求項5】
前記第1作業フロアにアクセス昇降手段を設けたことを特徴とする請求項1乃至4のいずれかに記載の木材破砕機。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公開番号】特開2006−116429(P2006−116429A)
【公開日】平成18年5月11日(2006.5.11)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2004−307012(P2004−307012)
【出願日】平成16年10月21日(2004.10.21)
【出願人】(000005522)日立建機株式会社 (2,611)
【Fターム(参考)】