説明

木質ペレットストーブの温風送出装置

【課題】暖房能力の低下を招くことなく、低騒音で熱交換部を強制通風することができる木質ペレットストーブの温風送出装置を提供する。
【解決手段】木質ペレットストーブ1の温風送出装置は、室内空気を強制循環する循環送風機17と、この循環送風機17から受けた室内空気について木質ペレットを燃焼した燃焼気の熱を伝える熱交換部15とを備えて構成され、上記熱交換部15は、室内空気の流路31と燃焼気の流路32との間を伝熱板33により画成し、この伝熱板33の少なくとも一部は、室内空気流路31の横断面が波型状に形成した波板により構成する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、木質ペレットを燃料とする木質ペレットストーブの温風送出装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
木質ペレットストーブは、木片を破砕圧縮により成形した非化石燃料である木質ペレットを燃料とし、利用性に乏しい間伐材、製材端材等をバイオマス資源として有効利用するものである。その内部構成は、燃料の木質ペレットを貯留するタンクと木質ペレットを燃焼する燃焼室とに分けられる。燃焼室には、タンクから木質ペレットを供給するペレット供給部と、受けたペレットを燃焼させる燃焼部と、その熱により室内空気を加熱する熱交換部と、燃焼部の下方で灰を受ける灰受部等を備えて構成される。
【0003】
温風送出装置は、室内空気を強制循環する循環送風機と、この循環送風機から受けた室内空気について木質ペレットを燃焼した燃焼気の熱を伝える熱交換部とから構成される。従来の熱交換部は、燃焼室の上部に燃焼ガスを受ける多数の細管を架設し、これらの加熱された細管中に室内空気をターボファンによって強制通風することにより、木質ペレットの燃焼熱を室内側に取出すことができる。
【0004】
しかし、上記ターボファンによる温風送出装置は、熱交換部を強制通風するために比較的大きな騒音を発生し、その無機的な送風音が木質ペレットの燃焼による落ち着いた雰囲気を損なう原因となっていた。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
解決しようとする問題点は、暖房能力の低下を招くことなく、低騒音で熱交換部を強制通風することができる木質ペレットストーブの温風送出装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
請求項1に係る発明は、室内空気を強制循環する循環送風機と、この循環送風機から受けた室内空気について木質ペレットを燃焼した燃焼気の熱を伝える熱交換部とからなる木質ペレットストーブの温風送出装置において、上記熱交換部は、室内空気の流路と燃焼気の流路の間を伝熱板により画成し、この伝熱板の少なくとも一部は、室内空気流路の横断面が波型状の波板により形成したことを特徴とする。
【0007】
請求項2に係る発明は、請求項1の構成において、前記循環送風機は、前記熱交換部の幅寸法と略等しい軸長の横流型送風機により構成したことを特徴とする。
【発明の効果】
【0008】
請求項1に係る発明は、木質ペレットストーブの温風送出装置において、熱交換部の伝熱板の少なくとも一部を波板としたことから、所要の流路断面積および伝熱面積を確保しつつ、流路抵抗を小さく抑えることができるので、循環送風機は横流ファン等による低速の送風機により所要の暖房能力と対応する流量を確保することができる。したがって、上記構成の木質ペレットストーブの温風送出装置は、暖房能力を損なうことなく、送風騒音を低減して木質ペレットの燃焼による落ち着いた雰囲気を確保することができる。
【0009】
請求項2に係る発明は、請求項1の構成において、前記循環送風機は、前記熱交換部の室内空気流路の幅寸法と略等しい軸長の横流型送風機により構成したことから、循環送風機からの送風流路の断面形状を略一定に構成することにより送風ロスが最小限度に抑えられるので、送風動力を抑えた横流型送風機により木質ペレットストーブの小型化が可能となる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0010】
本発明の実施の形態について、以下に図面に基づいて詳細に説明する。
図1は、木質ペレットストーブの内部構成を示す全体透視側面図である。木質ペレットストーブ1は、燃焼部2を中心にその後部に木質ペレットPの貯留部3と供給部4、下部に灰受部5を備えて木質ペレットPを燃焼する本体部を構成し、その背面側から戸外に延びる二重管による吸排部6を接続して構成される。
【0011】
燃焼部2は、正面図およびそのA―A線断面図を図2、図3にそれぞれ示すように、灰受部5の上部を囲むように断熱周壁11を巡らせて燃焼室を形成し、その正面に開閉可能な蓋部材12を有する開口13を長方形等に形成する。燃焼室内部には、灰受部5に面する底部中央に木質ペレットを燃焼する燃焼ポット14、その上方に供給部4から木質ペレットを案内するシュータ4g、頂部に熱交換部15を配置する。燃焼部2の背面側には、熱交換部15から燃焼気を吸引して強制給排する吸引排気用送風機16、室内空気を熱交換部15に送って強制循環する循環送風機17、燃焼ポット14の灰掻具18を前後駆動する駆動部18d等を配置する。
【0012】
燃焼室正面部を詳細に説明すると、蓋部材12は、開口13の形状と対応するように耐熱ガラス12wを嵌め殺し固定して内部透視可能なガラス窓を構成し、燃焼部2の前面に開閉可能に軸支する。開口13の周縁には、その下辺部13bを除き、外方に立ち上がる窓枠部13fを形成する。この窓枠部13fと対応して、蓋部材12の内面に耐熱パッキン12sを取付ける。この耐熱パッキン12sは、開口13の上辺13tと両側辺13s、13sの3辺が蓋部材12と密接可能に構成して空気流通をシールし、下辺13bは窓下通気部12gとして開放する。また、開口13の上辺13tの内側部には、下垂板13pを設ける。この下垂板13pは、閉鎖位置にある蓋部材12から熱交換部15側に後退した位置で内部透視に支障のない範囲に下垂して配置する
【0013】
上記構成の燃焼室正面部は、下垂板13pが耐熱ガラス12wから熱交換部15側に離間した位置で下垂することから、耐熱ガラス12wの内面に沿う上昇流は下垂板13pの下端を通って熱交換部15に向かう。一方、熱交換部15からガラス面に向かう燃焼気Qは下垂板13pに当たって下降し、次いで上記上昇流と合流してガラス面に触れることなく熱交換部15に向かう。したがって、熱交換部15の燃焼気はガラス面に触れることなく熱交換の後に排出されてガラス窓上部の煤汚れを防止することができる。
【0014】
その一方で、開口13の周縁に形成した窓枠部13fは、下辺部13bの少なくとも一部が後退欠損して窓下通気部12gとして開放されることから、この開口13の下辺部13bからストーブ外周の空気が進入し、ガラス窓の内面に沿う上昇流Rが形成される。したがって、蓋部材12の方向に向かう燃焼気Sは、窓下通気部12gからの上昇流Rに阻まれてガラス面に触れることなく熱交換部15まで上昇した後に排出されるので、ガラス窓下部の煤汚れを防止することができる。また、燃焼室の開口13は、ガラス嵌め殺し型の蓋部材12を開いて窓枠部13fを開放することによってメンテナンス口として機能する。
【0015】
次に、燃焼装置について詳細に説明すると、燃焼ポット14は、図4の平面図(a)、正面断面図(b)、側面断面図(c)に示すように、円筒状の周壁22によって丸型に形成する。周壁22には、その側方から給気を受けるための多数の側部通気孔22h…を略全周に形成する。燃焼ポット14の下端開口内には、木質ペレットを受ける火格子21を備え、周壁22の外周には、取付け用のフランジ14fを固定する。燃焼ポット14の上端開口内には、干渉部材23を横断架設する。
【0016】
側部通気孔22h…は、旋回流を起こすために、フランジ14fの高さより下位において火格子21より上位の一定の高さ位置に、各中心軸線が円筒半径線に対して一方側に共通の角度で傾斜し、例えば、左方45°に傾斜して周壁22に貫通形成する。干渉部材23は、木質ペレットが円形の燃焼ポット14内に拡散堆積するように、木質ペレットの投入経路中でその一部と干渉する位置に配置し、火格子21の上方に隙間を確保し、かつ、側部通気孔22h…による旋回流を妨げないように、切欠や貫通孔等の通風部23cを形成して通風性よく形成する。
【0017】
上記構成の燃焼ポット14は、フランジ14fを介して燃焼室の底部位置に取付けることにより、下方の灰受部5から強制給気を受けつつ、堆積収容した木質ペレットPを燃焼することができる。この場合において、木質ペレットPは、燃焼ポット14に投入の際にその一部が干渉部材23に干渉することにより、円形の燃焼ポット14内に偏在堆積することなく、一様に拡散されて均一に効率よく燃焼することが可能となる。
【0018】
また、燃焼ポット14の側部通気孔22h…の軸線がポット中心を外れた一方側に傾斜することから、燃焼の過程で側部通気孔22h…から燃焼ポット14の内側に空気が進入した際に、円形の燃焼ポット14内で、通風性のよい干渉部材23に妨げられることなく、複数の側部通気孔22h…が相互間の衝突なしに統合されて旋回力を生じ、その旋回力をうけて燃焼気が上昇する。したがって、旋回による強力な混合作用によって燃焼が促進されるとともに旋回火炎が得られるので、木質ペレットストーブについて、小型の燃焼ポットにより燃焼効率を向上し、かつ、力強い旋回火炎により木質ペレットストーブとしての外観性を向上することができる。
【0019】
次に、温風送出装置について詳細に説明すると、熱交換部15は、図3のB―B線断面図を示す図5のように、循環送風機17から受けた室内空気を前上がりに傾斜して案内する流路31を燃焼室頂部中央寄りに形成し、その下面を燃焼気の流路32とを画成する波板による伝熱板33として構成する。この伝熱板33の波板は山谷を多条に並列して形成され、室内空気流路31の横断面が波型状となる方向に配置し、その吐出部31eを機体前面に開口する。伝熱板33の左右両側部には、伝熱板33を横断するように移動した燃焼気Bを吸引排気用送風機16の方向に案内する左右の燃焼気排出路32g、32gを形成する。
【0020】
循環送風機17は、熱交換部15の室内空気流路31の幅寸法と略等しい軸長の横流型送風機により構成し、略同一の幅寸法で燃焼室の背面部を立ち上がる背面部流路17gを介して熱交換部15と連通する。これら循環送風機17、背面部流路17gおよび熱交換部15は、室内空気を循環加熱する温風送出装置を構成する。
【0021】
上記構成の温風送出装置は、循環送風機17から受けた室内空気を熱交換部15に送り、吐出部31eから温風を室内に送出する。この場合において、熱交換部15の波型の伝熱板33により、所要の流路断面積および伝熱面積を確保しつつ、流路抵抗を小さく抑えることができるので、循環送風機17は横流ファン等による低速の送風機により所要の暖房能力と対応する流量を確保することができる。
【0022】
したがって、上記構成の木質ペレットストーブの温風送出装置は、暖房能力を損なうことなく、送風騒音を低減して木質ペレットの燃焼による落ち着いた雰囲気を確保することができる。また循環送風機17から熱交換部15に到る送風流路の断面形状を略一定に構成することによって送風ロスが最小限度に抑えられるので、送風動力を抑えた横流型送風機により木質ペレットストーブの小型化が可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0023】
【図1】木質ペレットストーブの内部構成を示す全体透視側面図である。
【図2】燃焼部の正面図である。
【図3】図2のA―A線断面図である。
【図4】燃焼ポットの平面図(a)、正面断面図(b)、側面断面図(c)である。
【図5】図3のB―B線断面図である。
【符号の説明】
【0024】
1 木質ペレットストーブ
2 燃焼部
4 供給部
4g シュータ
5 灰受部
11 断熱周壁
12 蓋部材
12g 窓下通気部
12s 耐熱パッキン
12w 耐熱ガラス
13 開口
13b 下辺
13f 窓枠部
13p 下垂板
13s 側辺
13t 上辺
14 燃焼ポット
14f フランジ
15 熱交換部
16 吸引排気用送風機
17 循環送風機
17g 背面部流路
21 火格子
22 周壁
22h 側部通気孔
23 干渉部材
23c 通風部
31e 吐出部
31 室内空気流路
32 燃焼気流路
32g 燃焼気排出路
33 伝熱板
P 木質ペレット
Q、S 燃焼気流

【特許請求の範囲】
【請求項1】
室内空気を強制循環する循環送風機と、この循環送風機から受けた室内空気について木質ペレットを燃焼した燃焼気の熱を伝える熱交換部とを備えてなる木質ペレットストーブの温風送出装置において、
上記熱交換部は、室内空気の流路と燃焼気の流路との間を伝熱板により画成し、この伝熱板の少なくとも一部は、室内空気流路の横断面が波型状に形成した波板により構成したことを特徴とする木質ペレットストーブの温風送出装置。
【請求項2】
前記循環送風機は、前記熱交換部の室内空気流路の幅寸法と略等しい軸長の横流型送風機により構成したことを特徴とする請求項1記載の木質ペレットストーブの温風送出装置。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate


【公開番号】特開2006−64248(P2006−64248A)
【公開日】平成18年3月9日(2006.3.9)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2004−245809(P2004−245809)
【出願日】平成16年8月25日(2004.8.25)
【出願人】(503143415)
【出願人】(504323250)
【Fターム(参考)】