説明

杉花粉症対策茶並びにその製造方法

【課題】 杉の葉に含まれる保健成分を余すことなく摂取することができる新規な杉花粉症対策茶並びにその製造方法の開発を技術課題とした。
【解決手段】 1:1〜1:3の混合比でブレンドされた杉の葉原料1Lと茶葉原料2Lとが、微粉状に粉砕されて成ることを特徴として成るものであり、杉花粉症対策茶5を湯、水、アルコール等の中に分散させ、これを飲むことにより、杉の葉原料1L及び茶葉原料2Lに含まれる成分を余すことなく全て服飲することが可能となる。また茶葉成分の香味によって杉の葉成分の持つ苦味や青臭さが気にならない程度に打ち消すことができる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、茶飲料に関するものであり、特に杉の葉成分を摂取することにより花粉症の症状を改善することを図った杉花粉症対策茶並びにその製造方法に係るものである。
【背景技術】
【0002】
従来より、花粉症の症状等を緩和させようとする民間療法の一つとして、杉の葉を煎じて得られた抽出液を服飲することが行われている。
このような杉の葉の抽出液は、精油成分のさわやかな香りがある反面、苦味や青臭さがあるため人によっては飲み難いものであり、このため緑茶や他の原料をブレンドすることも行われている(例えば特許文献1参照)。
【0003】
ところで市場において前記杉の葉は、乾燥させられたものがティーバッグに詰められた状態となって流通しているのがほとんどであり、これらは購入者が家庭で煮出すことを前提とた商品形態のものである。
したがって抽出後の杉の葉は、いわゆる茶殻として捨てられており、水に溶けない精油や繊維質等の保健成分が必ずしも有効に摂取されているとは言えなかった。
【0004】
【特許文献1】特開平9−226号
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明は、このような背景を認識してなされたものであって、杉の葉に含まれる保健成分を余すことなく摂取することができる新規な杉花粉症対策茶並びにその製造方法の開発を技術課題とした。
【課題を解決するための手段】
【0006】
すなわち請求項1記載の杉花粉症対策茶は、1:1〜1:3の混合比でブレンドされた杉の葉原料と茶葉原料とが、微粉状に粉砕されて成ることを特徴として成るものである。
この発明によれば、杉花粉症対策茶を湯、水、アルコール等の中に分散させ、これを飲むことにより、杉の葉原料及び茶葉原料に含まれる成分を余すことなく全て服飲することが可能となる。
また茶葉成分の香味によって杉の葉成分の持つ苦味や青臭さが気にならない程度に打ち消すことができる。
【0007】
また請求項2記載の杉花粉症対策茶の製造方法は、杉の葉原料と茶葉原料とをブレンドして混合原料を得る工程と、この混合原料を粉砕する工程とを具えて成ることを特徴として成るものである。
この発明によれば、粒径が揃った粉末状の杉の葉原料及び茶葉原料が、均等に混ざった製品を、効率的に製造することができる。
【0008】
更にまた請求項3記載の杉花粉症対策茶の製造方法は、前記請求項2記載の要件に加え、前記杉の葉原料は、採取された杉の葉を乾燥し、その後、葉と茎とを篩い分けして得られたものであることを特徴として成るものである。
この発明によれば、杉の葉の含有成分を著しく破壊してしまうことがなく、更に均質な杉の葉原料を得ることができる。
【0009】
また請求項4記載の杉花粉症対策茶の製造方法は、前記請求項2または3記載の要件に加え、前記杉の葉原料と茶葉原料との混合比は1:2であることを特徴として成るものである。
この発明によれば、湯、水、アルコール等の中に分散させ、これを飲むことにより、杉の葉原料及び茶葉原料に含まれる成分を余すことなく全て服飲することが可能となる杉花粉症対策茶を製造することができる。
また茶葉成分の香味によって、杉の葉成分の持つ苦味や青臭さが気にならない程度に打ち消すことができる杉花粉症対策茶を製造することができる。
そしてこれら各請求項記載の発明に基づいて前記課題の解決が図られる。
【発明の効果】
【0010】
本発明によれば、杉の葉に含まれる保健成分を余すことなく、且つ抵抗なく摂取することができる新規な杉花粉症対策茶を提供することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0011】
本発明を実施するための最良の形態は以下の実施例に述べる通りであるが、この実施例に対し、本発明の技術的思想の範囲内において適宜変更を加えることも可能である。
【実施例】
【0012】
図中符号5で示すものが本発明の杉花粉対策茶であって、このものは、杉の葉1L及び茶葉2Lを原材料とした粒径50〜100μm程度の粉粒体であり、湯、水あるいは焼酎等のアルコール類に混ぜて服飲されるものである。
なお杉の葉1Lには精油であるテレピン油(揮発性・芳香性物質であり、水に溶けずアルコール・油脂などに溶ける物質)やフェルギノール(抗菌活性及び抗酸化活性を有する物質)が含まれている。
一方、茶葉2Lには、カテキン、カフェイン、ビタミンC、カロチン(ビタミンA)、ビタミンE、クロロフィル等が含まれている。
【0013】
以下、本発明の杉花粉対策茶5の製造方法について説明する。
本発明の杉花粉対策茶5の製造方法は、杉の葉原料1及び茶葉原料2を得る工程と、これら杉の葉原料1と茶葉原料2とをブレンドして混合原料3を得る工程と、この混合原料3を粉砕する工程とを具えて成るものである。
以下これら各製造工程について詳しく説明する。
【0014】
(1)杉の葉原料の製造
まず前記杉の葉原料1は、杉の木から採取された杉の葉1Lを乾燥機10によって乾燥し、その後、選別機11によって葉と茎とを篩い分けして得られたものである。
因みに前記乾燥機10としては、煎茶の製造工場で用いられるとともに、後述する茶葉原料の製造工程で用いられる中揉機23を適用することができる。
なお、前記杉の葉1Lは、7月から10月頃にかけて採取された一年目の新芽であることが好ましい。
【0015】
(2)茶葉原料の製造
次に前記茶葉原料2は、通常の前茶の製造に準じて製造されるものであり、蒸熱機20、粗揉機21、揉捻機22、中揉機23、精揉機24及び乾燥機25によって順規処理されることにより得られたいわゆる荒茶の状態のものが適用される。
なお茶葉原料2としては、生葉を蒸してから揉むことなく乾燥して得られた、いわゆる「てん茶」や、生葉を蒸さずに釜で炒ったいわゆる「釜入り茶」を採用してもよい。
【0016】
(3)混合
次いで前記杉の葉原料1と茶葉原料2とを、1:1〜1:3の混合比でブレンドして混合原料3を得る。なおこのような混合比とすることにより、茶葉成分の香気と滋味によって、杉の葉成分の持つ苦味や青臭さが気にならない程度に打ち消されて、消費者による服飲が抵抗なく行われるようになるものである。
【0017】
(4)粉砕
次いで前記混合原料3を粒径50〜100μm程度の粉粒体となるように粉砕するものであり、一例として図2に示すような気流式粉砕機30を用いて粉砕が行われる。
この気流式粉砕機30としては一例として株式会社躍進機械製作所製、ミクロジェットKV−15が採用されるものであり、この装置は、円筒状のケーシング31内部を粉砕室32とし、この粉砕室32の上下にそれぞれ上部ファン33、下部ファン34を具える。そして下部ファン34から外気を導入すると、粉砕室32内において、無数の高速空気渦流と高周波振動が発生する。この状態で原料フィーダ35から被粉砕物を投入することでこのものを高速空気渦流中に導入し、高周波振動を与えることで自己破砕させるのである。このとき、ケーシング31内部では上部ファン33及び下部ファン34により空気の入れ替えがなされているのであり、自己破砕時に発生する粉砕熱の除去が速やかに行われる。
【0018】
また前記気流式粉砕機30の次段には、周辺機器としてサイクロン36が具えられ、このサイクロン36の下部取出口にロッカーバルブ37を、更にこのロッカーバルブ37の次段に製品タンク38が具えられる。
また前記サイクロン36の排気口の次段にはバグフィルタ39が併設される。
杉花粉対策茶5は粉砕室32内で気流とともに上昇し、上部ファン33により外部に排出されてサイクロン36に至り、ここで気体との分離がなされ下部に堆積する。その後適宜ロッカーバルブ37を解放することで製品タンク38に貯蔵される。このときサイクロン36から排出される気体中には微細な茶粉が含まれるのであり、このものはバグフィルタ39により回収される。
【0019】
本発明の杉花粉対策茶5は上記のようにして製造されるのであり、消費者は、湯、水あるいは焼酎等のアルコール類に混ぜてこのものを服飲することとなる。
なお杉の葉1Lには精油であるテレピン油(揮発性・芳香性物質であり、水に溶けずアルコール・油脂などに溶ける物質)やフェルギノール(抗菌活性及び抗酸化活性を有する物質)が含まれており、一方、茶葉2Lには、カテキン、カフェイン、ビタミンC、カロチン(ビタミンA)、ビタミンE、クロロフィル等が含まれている。
このため、湯、水に杉花粉対策茶5を混入したときには、水分に対してカテキン、カフェイン及びビタミンC、カロチン(ビタミンA)等水溶性の含有成分が溶け込むこととなり、更に食物繊維等の固形分が全体にコロイド状に分散することとなる。
またアルコール類に杉花粉対策茶5を混入したときには、水分に対して上述の成分が溶け込むとともに、アルコール分に対してテレピン油、クロロフィル、カロチン、ビタミンE等脂溶性の含有成分が溶け込み、更にまた食物繊維等の固形分が全体にコロイド状に分散することとなる。
このように杉花粉対策茶5を混入した湯、水あるいはアルコール類を服飲することにより、杉の葉1L及び茶葉2Lに含有される各種有効成分、植物繊維等を余すことなく摂取することができるのである。
このとき杉の葉原料1と茶葉原料2とは、1:1〜1:3の混合比でブレンドされているため、茶葉成分の香気と滋味によって、杉の葉成分の持つ苦味や青臭さが気にならない程度に打ち消されて、消費者による服飲が抵抗なく行われるようになるものである。
なお杉の葉1Lの含有成分により、杉花粉等が原因の花粉症に対する改善効果が期待できるものである。
【図面の簡単な説明】
【0020】
【図1】本発明の杉花粉対策茶の製造工程を示すブロック図である。
【図2】気流式粉砕機及びその周辺機器を示す骨格図である。
【符号の説明】
【0021】
1 杉の葉原料
1L 杉の葉
2 茶葉原料
2L 茶葉
3 混合原料
5 杉花粉対策茶
10 乾燥機
11 選別機
20 蒸熱機
21 粗揉機
22 揉捻機
23 中揉機
24 精揉機
25 乾燥機
30 気流式粉砕機
31 ケーシング
32 粉砕室
33 上部ファン
34 下部ファン
35 原料フィーダ
36 サイクロン
37 ロッカーバルブ
38 製品タンク
39 バグフィルタ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
1:1〜1:3の混合比でブレンドされた杉の葉原料と茶葉原料とが、微粉状に粉砕されて成ることを特徴とする杉花粉症対策茶。
【請求項2】
杉の葉原料と茶葉原料とをブレンドして混合原料を得る工程と、この混合原料を粉砕する工程とを具えて成ることを特徴とする杉花粉症対策茶の製造方法。
【請求項3】
前記杉の葉原料は、採取された杉の葉を乾燥し、その後、葉と茎とを篩い分けして得られたものであることを特徴とする請求項2記載の杉花粉症対策茶の製造方法。
【請求項4】
前記杉の葉原料と茶葉原料との混合比は1:2であることを特徴とする請求項2または3記載の杉花粉症対策茶の製造方法。

【図1】
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【図2】
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