説明

材料充填装置

【課題】材料を、効率よくシリンジ容器に移送充填することを可能にする材料充填装置を提供する。
【解決手段】材料充填装置1は、材料Mが収納された第1の容器10と、第1の容器に取り付けられた複数の第2の容器20と、第1の容器の内側を通る所定の回転軸線Lを中心に第1の容器を回転させることによって、材料に、第1の容器の側面14へ向かう遠心力を作用させる遠心力作用手段(モータ30、回転軸32、保持部34)と、を含む。側面には複数の貫通穴15が形成されており、複数の第2の容器は、複数の貫通穴を介して第1の容器に連通しており、遠心力作用手段で材料に遠心力を作用させることにより、材料を、貫通穴から押し出して第2の容器に充填する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、材料充填装置に関する。
【背景技術】
【0002】
医療分野や工業分野で利用される材料(ペースト状材料)において、内部に気泡を含まない材料が要求されている。そして、内部に気泡を含まない材料を製造することが可能な装置として、材料が収容された容器を自転及び公転させる装置が知られている(特許文献1参照)。この装置によると、自転及び公転の遠心力を利用して材料に内在する気泡を取り除くことができるとともに、材料を高精度に混練脱泡することが可能になる。
【0003】
また、医療分野や工業分野では、ペースト状の材料を精度よく吐出する技術が要請されており、かかる要請に応えるために高精度のディスペンサやシリンジ容器の開発が進められている(特許文献2参照)。
【0004】
ここで、上記特許文献1の攪拌脱泡装置に代表されるペースト状材料の処理装置(製造装置)の分野において、処理効率の向上及びロット間の製品のばらつきの防止を目的として、一度に大量の材料を処理することへの要請が高まっており、大型の処理槽を備えた装置の開発が進められている。
【0005】
しかしながら、一度に大量の材料を処理することができたとしても、エンドユーザがその材料を利用するためには(エンドユーザにその材料を提供するためには)、処理後の材料を、該エンドユーザにとって使いやすい容器に移し替えることが必要になる。
【特許文献1】特許第3896449号公報
【特許文献2】特開2005-13841号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
ところで、ペースト状の材料は、シリンジ容器と呼ばれる細長形状の容器に充填された状態で利用されることがあるが、一般的に、その容量はあまり大きくない。そして、処理槽の大型化が進めば、処理槽とシリンジ容器との容量差が大きくなるため、1つの処理槽に収容された材料を、同時並行に複数のシリンジ容器に充填する技術の要請が高まることが予想される。また、シリンジ容器に充填された材料を精密に吐出するためには、シリンジ容器内に空気が入らないように材料を充填することが重要である。
【0007】
本発明の目的は、処理槽に収容された材料を、効率よくシリンジ容器に移送充填することを可能にする材料充填装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
(1)本発明に係る材料充填装置は、
材料が収納された第1の容器と、
前記第1の容器に取り付けられた複数の第2の容器と、
前記第1の容器の内側を通る所定の回転軸線を中心に前記第1の容器を回転させることによって、前記材料に前記第1の容器の側面へ向かう遠心力を作用させる遠心力作用手段と、
を含み、
前記側面には複数の貫通穴が形成されており、
前記複数の第2の容器は、前記複数の貫通穴を介して前記第1の容器に連通しており、
前記遠心力作用手段で前記材料に遠心力を作用させることにより、前記材料を、前記貫通穴から押し出して前記第2の容器に充填する。
【0009】
本発明によると、1つの容器(第1の容器)から、同時並行に、複数の第2の容器に材料を充填することが可能になる。そのため、材料の充填作業を、効率よく行うことができる。
【0010】
(2)この材料充填装置において、
前記側面は、高さ方向に沿って内径が変化するように構成されていてもよい。
【0011】
これによると、材料が集まる領域を規制することができるため、材料の充填作業をさらに効率よく行うことが可能になる。
【0012】
(3)この材料充填装置において、
前記側面は、上方に向かって内径が広くなる第1の領域を有してもよい。
【0013】
(4)この材料充填装置において、
前記側面は、前記第1の領域の上側に配置された、上方に向かって内径が狭くなる第2の領域をさらに有し、
前記貫通穴は、前記第1及び第2の領域の間に形成されていてもよい。
【0014】
(5)この材料充填装置において、
前記貫通穴は、前記第1の容器が回転しない状態で、前記材料と接触しない位置に形成されていてもよい。
【0015】
(6)この材料充填装置において、
前記第1の容器を収容する真空チャンバと、
前記真空チャンバ内を減圧する減圧手段と、
をさらに有してもよい。
【0016】
(7)この材料充填装置において、
前記第2の容器は、内部にピストンが配置されたシリンジ容器であり、前記第1の容器が回転しない状態で前記真空チャンバ内を減圧することによって、前記貫通穴を介して、前記ピストンよりも先端の領域が減圧されてもよい。
【0017】
この材料充填装置によると、第2の容器内(特に、ピストンよりも先端の領域)を減圧することができる。そのため、第2の容器に空気が入らないように、材料を第2の容器に充填することが可能になる。
【0018】
(8)この材料充填装置において、
前記側面の内壁面は、前記回転軸線と直交する平面で切断した断面が円形であってもよい。
【0019】
(9)この材料充填装置において、
前記側面の内壁面は、前記回転軸線と直交する平面で切断した断面が多角形であり、
前記貫通穴は、前記多角形の頂点に配置されていてもよい。
【0020】
(10)この材料充填装置において、
前記第1の容器は、内部空間を仕切る仕切り部材を有し、
前記複数の第2の容器は、それぞれ、前記仕切り部材によって区画される複数の領域のいずれかに連通するように取り付けられていてもよい。
【発明を実施するための最良の形態】
【0021】
以下、本発明を適用した実施の形態について図面を参照して説明する。ただし、本発明は以下の実施の形態に限定されるものではなく、以下の実施の形態で説明するすべての構成が本発明にとって必須であるとは限らない。また、本発明は、以下の内容を自由に組み合わせたものを含むものとする。
【0022】
以下、本発明を適用した実施の形態について説明する。図1(A)〜図3は、本実施の形態に係る材料充填装置1について説明するための図である。
【0023】
(1)材料充填装置1の構成
以下、材料充填装置1の構成について説明する。図1(A)及び図1(B)は、材料充填装置1について説明するための図である。
【0024】
本実施の形態に係る材料充填装置1は、図1(A)及び図1(B)に示すように、第1の容器10を含む。第1の容器10は、側面14及び底面16を含んで構成されている。本実施の形態では、側面14は、上方に向かって(第2の領域12に向かって/底面16から離れるほど)内径が広くなる第1の領域11を含む。側面14は、また、第1の領域11の上側に配置されて、上方に向かって内径が狭くなる(第1の領域11に向かって内径が広くなる)第2の領域12とを含む。すなわち本実施の形態では、第1の容器10は、第1及び第2の領域11,12の間で、内径が最も広くなるように構成されている。
【0025】
また、本実施の形態では、側面14には、複数の貫通穴15が形成されている。貫通穴15は、側面14における第1及び第2の領域11,12の間(内径が最も広くなる領域)に形成されている。第1の容器10は、図1(B)に示すように、側面14の断面(第1の容器10の回転軸線Lと直交する平面で切断したときの断面)が正方形となるように構成されている。そして、貫通穴15は、該正方形の頂点に配置されている。
【0026】
第1の容器10は、図1(A)に示すように、ストッパ17を有する。ストッパ17は、フランジを介して、側面14の外周面に取り付けられている。本実施の形態では、ストッパ17は、全体形状がコの字型(C字型・U字型)となるように構成されている。ただし、ストッパ17は、第2の容器20を気密に保持することが可能な構造(例えば有底筒状)となっていてもよい。第1の容器10は、既に公知となっているいずれかの材料で構成することができ、例えば樹脂製や金属製とすることができる。
【0027】
第1の容器10には、材料Mが収納される。材料Mは、第1の容器10の内壁面(側面14及び底面16)によって区画される領域に収納される。本実施の形態では、材料Mは、例えばペースト状の半田,歯科用印象材料、歯科用セメント(穴埋め剤等)、接着剤、粘性の強い液状の薬剤等が含まれる。また、本実施の形態では、材料Mの液面高さが貫通穴15よりも低くなるように、材料Mが収納される。第1の容器10の形状及び材料Mの量を調整することで、材料Mと貫通穴15とを非接触に設定することができる。
【0028】
本実施の形態に係る材料充填装置1は、図1(A)及び図1(B)に示すように、第1第1の容器10に取り付けられた複数の第2の容器20を含む。第2の容器20は、細長形状のシリンジ容器22を有する。シリンジ容器22は、先端部が小口径のノズル形状となっている。第2の容器20は、シリンジ容器22内部に配置されるプランジャー25を有する。プランジャー25は、ピストン24とロッド部26と押圧部28とを含み、ピストン24の外周にはシール部材(Oリング)が備え付けられている。これにより、ピストン24を挟んで、シリンジ容器22の先端部及び基端部が気密に隔離される。
【0029】
第2の容器20は、貫通穴15を介して第1の容器10に連通するように、第1の容器10に取り付けられている。本実施の形態では、第2の容器20は、図1(A)及び図1(B)に示すように、先端が貫通穴15に嵌合するように第1の容器10に取り付けられる。なお、第2の容器20を、先端が貫通穴15に密着嵌合するように第1の容器10に取り付ければ、材料充填処理中に、貫通穴15から材料Mが漏れることを防止することができる。第2の容器20は、また、後述する材料Mに遠心力を作用させる工程で第1の容器10から外れないように、第1の容器10に取り付けられる。本実施の形態では、第2の容器20は、ストッパ17に取り付けられた固定ピン18と接触することによって、第1の容器10から外れないように取り付けられている。
【0030】
本実施の形態に係る材料充填装置1は、図1(A)に示すように、モータ30と、モータ30の駆動力によって回転する回転軸32と、回転軸32の回転に伴って回転する保持部34とを含む。なお、第1の容器10は保持部34に保持されて、保持部34の回転に伴って回転する。そして、第1の容器10が回転することによって、材料Mに、側面14(第1の容器10の内壁面)へ向かう遠心力が作用する。このことから、保持部34、及び、保持部34を回転させるモータ30と回転軸32とをあわせて、材料Mに遠心力を作用させる遠心力作用手段とみなすことができる。なお、本実施の形態では、第1の容器10は、回転軸32の中心を通る仮想の直線(回転軸線L)を中心に回転する。そして、遠心力作用手段は、回転軸線Lが、第1の容器10(底面16)の中心を通るように、かつ、底面16と直交するように構成されている。
【0031】
本実施の形態に係る材料充填装置1は、図1(A)に示すように、チャンバ40、接続具42、吸引管44、及び、真空ポンプ46を含む。チャンバ40は、フランジを介して第1の容器10に取り付けられている。なお、本実施の形態では、第1の容器10は上部開放型に構成されており、第1の容器10の上面に形成された開口を覆うように、かつ、チャンバ40と第1の容器10とが気密構造となるように、チャンバ40が取り付けられる。そして、チャンバ40には、接続具42を介して吸引管44が連通されており、真空ポンプ46によってチャンバ40内部が減圧される。また、チャンバ40と第1の容器10とが気密構造となるため、チャンバ40内部が減圧されると、第1の容器10の内部が減圧される。すなわち、チャンバ40、接続具42、吸引管44、及び、真空ポンプ46を、第1の容器10を減圧するための減圧手段と称してもよい。なお、本実施の形態では、第1の容器10の回転に伴ってチャンバ40が回転するが、接続具42として回転継手を利用することで、吸引管44を保護することができる。ただし、変形例として、チャンバ40を第1の容器10と非接触に構成することにより、接続具42の構成を簡素化することも可能である。例えば、チャンバ40を、第1及び第2の容器10,20を収容可能に構成してもよい。また、本実施の形態では、貫通穴15は、材料Mと接触しないように配置されている。そのため、第1の容器10内部が減圧されると、貫通穴15を介して、第2の容器20(シリンジ容器22)内部が減圧される。特に、シリンジ容器22におけるピストン24よりも先端の領域を減圧することができる。
【0032】
(2)材料充填装置1の動作
次に、本実施の形態に係る材料充填装置1の動作について説明する。図2(A)及び図2(B)は、材料充填装置1の動作を説明するための図である。
【0033】
材料充填装置1では、減圧手段によって第1の容器10の内部が減圧され、これにより、貫通穴15を介して第2の容器20(シリンジ容器22におけるピストン24よりも先端の領域)が減圧される。そして、第1の容器10及び第2の容器20が減圧された状態で、モータ30が駆動する。これにより、回転軸32及び保持部34が回転し、保持部34の回転に伴って、回転軸線Lを中心に第1の容器10が回転する。第1の容器10が回転すると、これに伴って第1の容器10に収容された材料Mが回転して遠心力が作用し、図2(A)及び図2(B)に示すように、材料Mは側面14(第1の容器10の内壁面)に押し付けられる。
【0034】
材料充填装置1では、第1の容器10の側面14が、上方に向かって内径が広くなる第1の領域11を含んで構成されている。そのため、材料Mが遠心力の作用で第1の領域11に押し付けられると、材料Mには第1の領域11の内壁面に沿って上方(第2の領域12)に向かう力が作用する。当該力の影響で材料Mの液面が上昇し、材料Mの一部は第2の領域12に至る。ここで、第2の領域12は下方に向かって内径が広くなっているため、材料Mが遠心力の作用で第2の領域12に押し付けられると、材料Mには、第2の領域12の内壁面に沿って下方(第1の領域11)に向かう力が作用する。すなわち、図2(A)に示すように、材料Mには、第1の領域11及び第2の領域12の間に向かう力が作用し、材料Mは第1及び第2の領域11,12の間に集められる。そして、本実施の形態では、第1及び第2の領域11,12の間に貫通穴15が形成されていることから、材料Mには、貫通穴15に向かう力が作用して貫通穴15に集められ、当該力によって貫通穴15から押し出され、貫通穴15に連通している第2の容器20に充填される。
【0035】
なお、材料充填装置1では、第1の容器10が、断面(回転軸線Lと直交する平面で切断した断面)が正方形となるように構成されている。そのため、第1の容器10の側面14に押し付けられた材料Mには、側面14に沿って断面の頂点方向へ向かう力が作用し、該頂点に材料が集められる。そして、貫通穴15が断面の頂点に形成されていることから、材料Mには、貫通穴15に向かう力が作用して貫通穴15に集められ、貫通穴15に連通している第2の容器20に充填される。
【0036】
すなわち、材料充填装置1では、材料Mに、第1の容器10の上下方向及び左右方向から貫通穴15に向かう力が作用する。そのため、材料Mを効率よく貫通穴15に集めることができるとともに、材料Mに、貫通穴15へ向かう大きな遠心力(押圧力)を作用させることができる。そのため、材料Mを、効率よく第2の容器20に充填させることが可能になる。また、材料Mが第1の容器10内に留まりにくくなるため、すべての材料Mを第2の容器20に充填させることができ、材料Mの無駄をなくすることができる。
【0037】
なお、材料充填装置1では、図2(A)に示すように、第2の容器20に所定量の材料Mが充填されると、プランジャー25(押圧部28)がストッパ17に接触するように構成されている。そのため、第2の容器20に、所望量の材料Mを充填することが可能になる。
【0038】
(3)効果
以下、本実施の形態に係る材料充填装置1が奏する作用効果についてまとめる。
【0039】
材料充填装置1によると、第1の容器10を回転させることにより材料Mに遠心力を作用させて、第1の容器10に収容された材料Mを第2の容器20に充填する。これによると、材料Mを側面14から押し出すことから、同時並行に、複数の第2の容器20に材料Mを充填することが可能になる。特に、第1の容器10の容量が大きくなるほど(側面14の外周が長くなる程)、取り付け可能な第2の容器20の数が多くなり、充填効率を高めることが可能になる。また、遠心力を利用することから、材料Mに大きな力を作用させることが可能になるため、粘度の高い材料であっても、効率よく第2の容器20に充填(移送)することが可能になる。
【0040】
また、材料充填装置1によると、第2の容器20に材料Mを充填する前に、第2の容器20を減圧することができる。すなわち、第2の容器20が減圧された後に、第2の容器20に材料Mを充填させることができるため、第2の容器20内に気泡が混入しないように、材料Mを充填することができる。特に、第2の容器20としてピストン24が設けられたシリンジ容器22を利用する場合であっても、ピストン24よりも先の領域に気泡が混入しないように、材料Mを充填することができる。
【0041】
(4)充填方法
次に、本実施の形態に係る材料充填装置1を利用した材料Mの充填方法について説明する。図3は、材料Mの充填方法を説明するためのフローチャート図である。
【0042】
はじめに、減圧手段によって第1の容器10内及び第2の容器20内を減圧する(ステップS10)。次に、モータ30を利用して保持部34を回転させて第1の容器10を回転させ、材料Mに遠心力を作用させる(ステップS12)。以上の各工程によって、第1の容器10に収容された材料Mを、第2の容器20に充填することができる。なお、第1の容器10及び第2の容器20内を減圧する工程の前に、第1の容器10に材料Mを収納させる工程や、第1の容器10に第2の容器20を取り付ける工程、及び、第1の容器10を保持部34に設置する工程が行われる。
【0043】
(5)変形例
次に、本発明を適用した実施の形態の変形例について説明する。
【0044】
(第1の変形例)
図4は、第1の変形例について説明するための図である。本変形例では、材料充填装置は、第1の容器10に変えて、図4に示す第1の容器50を含む。第1の容器50の側面54には、複数の貫通穴55が形成されている。なお、貫通穴55は、第1の容器50の高さ方向にずれた複数の位置(複数の高さ位置)に形成されている。貫通穴55は、格子状に配列されていてもよく、千鳥状に(互い違いに)配列されていてもよい。そして、それぞれの貫通穴55に、第2の容器20が取り付けられる。この材料充填装置によると、1つの第1の容器50に取り付けることが可能な第2の容器20の量が多くなる。そのため、一度の処理で多くの第2の容器20に材料Mを充填させることが可能になることから、材料Mの充填処理を効率よく行うことができる。
【0045】
(第2の変形例)
図5は、第2の変形例について説明するための図である。本変形例では、材料充填装置は、第1の容器10に変えて、図5に示す第1の容器60を含む。第1の容器60では、図5に示すように、その断面が円形となっている。そして、第1の容器60の側面64には、複数の貫通穴65が形成されている。第1の容器60を利用した場合でも、材料Mを第2の容器20に充填させることが可能になる。
【0046】
なお、第1の容器60を利用する場合、材料Mに遠心力を作用させる工程で、材料Mを、側面64に沿って横方向に流動させる処理を行ってもよい。例えば、第1の容器60の回転速度を変えること(加速と減速とを繰り返す等)により、材料Mを横方向に流動させることができる。これによって、材料Mを、すべて、第2の容器20に充填させることが可能になる。
【0047】
(第3の変形例)
図6は、第3の変形例について説明するための図である。本変形例では、材料充填装置は、第1の容器10に変えて、図6に示す第1の容器70を含む。第1の容器70は、図6に示すように、内部空間(詳しくは、内部空間のうち、少なくとも材料Mが収納される空間)を仕切る仕切り部材72を有する。なお、第1の容器70の内部空間における、仕切り部材72(第1の容器70及び仕切り部材72)によって区画される複数の領域を、それぞれ、領域Aと呼ぶ。そして本実施の形態では、第1の容器70の側面74には、複数の貫通穴75が、それぞれ、いずれかの領域Aに連通するように形成されている。そして、それぞれの貫通穴75に、第2の容器20が取り付けられる。
【0048】
この充填装置によると、それぞれの領域Aに収納された材料Mが、いずれかの第2の容器20に充填される。そのため、領域Aに材料Mを同量ずつ収納することにより、複数の第2の容器20に、同量の材料Mを充填することが可能になる。
【0049】
(その他の変形例)
その他の変形例として、断面が、楕円形や、長方形やひし形などの四角形、正三角形などの三角形、五角形以上の多角形(正多角形)である第1の容器を利用することができる。そして、第1の容器は、1つの断面(回転軸線Lと直交する断面)上に配置される複数の貫通穴が、回転軸線Lから等距離の位置に配置されるように構成することができる。この第1の容器を利用した場合でも、材料Mの充填処理を効率よく行うことが可能になる。
【図面の簡単な説明】
【0050】
【図1】材料充填装置の構成を説明するための図。
【図2】材料充填装置の動作を説明するための図。
【図3】材料充填方法を説明するためのフローチャート図。
【図4】第1の変形例に係る材料充填装置の構成を説明するための図。
【図5】第2の変形例に係る材料充填装置の構成を説明するための図。
【図6】第3の変形例に係る材料充填装置の構成を説明するための図。
【符号の説明】
【0051】
1…材料充填装置、 10…第1の容器、 11…第1の領域、 12…第2の領域、 14…側面、 15…貫通穴、 16…底面、 17…ストッパ、 18…固定ピン、 20…第2の容器、 22…シリンジ容器、 24…ピストン、 25…プランジャー、 26…ロッド部、 28…押圧部、 30…モータ、 32…回転軸、 34…保持部、 40…チャンバ、 42…接続具、 44…吸引管、 46…真空ポンプ、 50…第1の容器、 54…側面、 55…貫通穴、 60…第1の容器、 64…側面、 70…第1の容器、 72…仕切り部材、 74…側面、 75…貫通穴、 A…領域、 L…回転軸線 M…材料

【特許請求の範囲】
【請求項1】
材料が収納された第1の容器と、
前記第1の容器に取り付けられた複数の第2の容器と、
前記第1の容器の内側を通る所定の回転軸線を中心に前記第1の容器を回転させることによって、前記材料に前記第1の容器の側面へ向かう遠心力を作用させる遠心力作用手段と、
を含み、
前記側面には複数の貫通穴が形成されており、
前記複数の第2の容器は、前記複数の貫通穴を介して前記第1の容器に連通しており、
前記遠心力作用手段で前記材料に遠心力を作用させることにより、前記材料を、前記貫通穴から押し出して前記第2の容器に充填する材料充填装置。
【請求項2】
請求項1に記載の材料充填装置において、
前記側面は、高さ方向に沿って内径が変化するように構成されている材料充填装置。
【請求項3】
請求項2に記載の材料充填装置において、
前記側面は、上方に向かって内径が広くなる第1の領域を有する材料充填装置。
【請求項4】
請求項3に記載の材料充填装置において、
前記側面は、前記第1の領域の上側に配置された、上方に向かって内径が狭くなる第2の領域をさらに有し、
前記貫通穴は、前記第1及び第2の領域の間に形成されている材料充填装置。
【請求項5】
請求項3又は請求項4に記載の材料充填装置において、
前記貫通穴は、前記第1の容器が回転しない状態で、前記材料と接触しない位置に形成されている材料充填装置。
【請求項6】
請求項1から請求項5のいずれかに記載の材料充填装置において、
前記第1の容器内を減圧する減圧手段をさらに有する材料充填装置。
【請求項7】
請求項5を引用する請求項6に記載の材料充填装置において、
前記第2の容器は、内部にピストンが配置されたシリンジ容器であり、前記第1の容器が回転しない状態で前記第1の容器内が減圧されることによって、前記貫通穴を介して、前記ピストンよりも先端の領域が減圧される材料充填装置。
【請求項8】
請求項1から請求項7のいずれかに記載の材料充填装置において、
前記側面の内壁面は、前記回転軸線と直交する平面で切断した断面が円形である材料充填装置。
【請求項9】
請求項1から請求項7のいずれかに記載の材料充填装置において、
前記側面の内壁面は、前記回転軸線と直交する平面で切断した断面が多角形であり、
前記貫通穴は、前記多角形の頂点に配置されている材料充填装置。
【請求項10】
請求項1から請求項9のいずれかに記載の材料充填装置において、
前記第1の容器は、内部空間を仕切る仕切り部材を有し、
前記複数の第2の容器は、それぞれ、前記仕切り部材によって区画される複数の領域のいずれかに連通するように取り付けられる材料充填装置。


【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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