説明

材料切除術のためのフード法及び装置

第2の材料(例えば患者の体腔の組織)から第1の材料(例えば標的組織)を持上げる、分離する、又は除去するための装置などを使用する器具又は装置、及び方法が示されている。本方法は概ね、第1の材料に隣接する位置に装置の遠位端を配置するステップと、縫合ストランドに繋がれた第1のアンカー部材(例えばTアンカー)を第1の材料の中に配置するステップ(115)と、第1のアンカー部材から隔置された第2のアンカー部材(例えばループアンカー)を配置するステップであって、縫合ストランドが第2のアンカー部材によって摺動可能に収容されるステップと、縫合ストランドに張力を加えるステップと、第1の材料の周囲に沿って所定の深さで第1の材料を切断するステップと、第1の材料を第1のアンカー部材と共に分離又は除去するステップとを含んでいる。縫合ストランドへ加えられた張力は、第1の材料を持ち上げられた位置に維持し、及び/又はオペレータが第2の材料に対して第1の材料を操作できるようにする。


【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、概括的には、第2の材料(例えば織物、布、ポリマー、エラストマー、プラスチック、組織及びゴム)に関連のある1つの材料の分離又は移動に関する。より具体的には、本発明は、組織の内視鏡的粘膜下層剥離術(ESD)又は内視鏡的粘膜切除術(EMR)を行うなどの、組織を内視鏡的に持ち上げて操作するための器具及び方法に関する。
【背景技術】
【0002】
診断及び治療上の胃腸管内視鏡は、組織を除去する目的で消化管へのアクセスを得るために使用される通常の技術である。内視鏡的粘膜切除術(EMR)は、病理学検査のために組織を採取するのに必要な生検を行う一方法である。EMR手技は、さらに無茎性良性腫瘍及び粘膜内癌を除去するためなどの治療の目的のために使用することができる。実際、EMRは早期胃癌に対して一般に容認された治療法である。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
米国特許第5,123,914号
米国特許公開第2007/0260178A1号
米国特許公開第2008/0015574A1号
米国特許公開第2008/0058586A1号
米国特許公開第2008/0132948A1号
米国特許公開第2009/0270912A1号
同時係属米国特許公開第2007/0270897A1号
米国特許出願第12/428,226号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
粘膜病変の治癒的な除去の間、病変を単一片として除去することが望ましいということが分かった。病変が多数の断片として除去される場合、局所的な腫瘍再発の割合が増加し得ると考えられている。さらに、断片化された組織試料を用いる医学検査と評価は、組織の単一片でなされる同様の評価より遂行するのがより難しくなる可能性がある。
【0005】
EMR手技中に、病変部分を単一片として完全に除去できるようにするのを支援するために、病変を囲む組織の一部にマークを付け、続いて切除することが望ましい。粘膜組織の除去に加えて、粘膜下組織の一部もまた除去することができる。病変部分と周辺組織の間の不明瞭な描出のために、全病変が除去されたかどうか見分けるのは多くの場合困難である。しばしば、病変部分及び周辺組織の一部を含む組織のより大きな部分が除去される。EMRの1つの短所は、大きな病変部分、例えば直径約2センチメートルを越える病変部分には、この手技が通常推奨されないことである。
【0006】
最近になって、内視鏡検査法ナイフなどの切開装置を使用して、病変部分の下の粘膜下組織の切開によって粘膜病変部分が除去される内視鏡的粘膜下層剥離術(ESD)と呼ばれる手技が説明された。このESD手技は、EMRと比較する時、より大きな病変部分の切除を容易にし、病変部分の単一片としての改善した除去をもたらしている。しかしながら、この手技の1つの短所は、組織が外科的に切断されているときに病変部分の周辺の境界を確認することが困難になるということである。当業者は、ある層を他の層から分離しようとする時、材料(例えば織物、布、ポリマー、エラストマー、プラスチック及びゴム)の2つの層の間の表面の境界を識別する際に、同様の問題が存在することを認識するであろう。
【0007】
現在の技術の欠点を考慮して、粘膜又は粘膜下の病変部分を単一片として効率的に除去することができるESD及びEMR手技用の器具及び方法を開発することが望ましい。同じ器具及び方法が、他の産業において切開又は材料の分離手技を実行するときに使用できることがさらに望ましい。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明は、第2の材料(例えば患者の体腔の周囲の組織)に対して第1の材料(例えば標的組織)を持上げる、分離する、又は除去するための装置を使用する器具又は装置、並びに方法を提供している。本発明の教示に従って構築された本装置の一実施形態では、装置は概ね繊維ストランド、第1のアンカー部材、第2のアンカー部材、柔軟な送達針及びスタイレットを特徴とする。スタイレットは、オペレータが第1の材料に第1の部材を連結するために、第1の部材を針から出させることができるように第1のアンカー部材と連通している。スタイレットはさらに第2の部材を針から出させることができる。
【0009】
本発明の教示に従って構成された方法の一実施形態は、第1の材料(例えば、標的組織)に隣接する装置(例えば内視鏡)の遠位端を配置するステップと、繊維ストランド(例えば縫合ストランド)に繋がれた第1のアンカー部材(例えばT−アンカー)を第1の材料の中に配置するステップと、第2のアンカー部材(例えばループアンカー)を配置するステップであって、繊維ストランドが第2のアンカー部材によって摺動可能に収容されるステップと、繊維ストランドに第1の材料を持ち上げるために張力を加えるステップと、第1の材料の周囲に沿って所定の深さで第1の材料を切断するステップと、第1の材料を第1のアンカー部材と共に分離又は除去するステップとを概ね含んでいる。好ましくは、第2のアンカー部材は、第2の材料(例えば標的組織の概ね向かい側の体腔の組織)に配置される。
【0010】
第1の材料に加えられた張力は他の材料に対して隆起させた位置で第1の材料を維持し、及び/又はオペレータ(例えば医師)が第1の材料を操作し、それにより分離処置の間、第1の材料をより見えるようにしている。第1の材料を切断しながら、繊維ストランドに加えられた張力の量を調節することができる。
【0011】
本発明の別の実施形態では、注入針は第1の材料(例えば、標的組織)に隣接する材料(例えば組織)の区域に選択的に挿入されてもよい。次に、第1の材料を持ち上げるために第1の材料に隣接する材料の区域の下に液体を注入することができる。
【0012】
本発明の別の態様によれば、必要であれば、第1の材料(例えば、標的組織)の周囲に沿って第2の材料(例えば粘膜組織)に切込み印を付けることができる。例えば、注入針を粘膜組織又は粘膜下組織のいずれかに挿入して液体を注入することができる。この液体は食塩水かヒアルロン酸ナトリウムを含むことが好ましい。注入された液体は、固有筋組織と粘膜下組織の間、粘膜下組織と粘膜組織の間、又は完全に粘膜下組織内に液体の小区域を形成する。
【0013】
さらに本発明の別の態様によれば、繊維ストランドに張力を加えるステップと調節するステップのうちの少なくとも1つのステップは、手によって或いは装置、道具又はロボットを使用してのどちらかで該ストランドに適用される。同様に、張力の調節は同じか同様の方法で達成することができる。
【0014】
第1の材料の周囲に沿う材料の切断は、電気を通された又は機械的な切断器を使用して行われる。所定の深さにのみ切断するのを補助するために切断器は中空の端部又はセラミックの先端を有してもよい。第1の材料の周囲が完全に切開された後、スネア又は鉗子などの回収装置を使用して第1の材料を分離及び/又は除去することができる。選択的に、第2のアンカー部材も除去することができる。
【0015】
さらなる適用分野が本明細書に提供される説明から明らかになるであろう。説明及び特定の例は例示のみの目的のために意図されたものであり、本発明の範囲を限定するものではないことを理解すべきである。
【0016】
本明細書に説明された図面は例示目的だけのためであり、何ら本発明の範囲を限定するものではない。
【図面の簡単な説明】
【0017】
【図1】本発明の一実施形態による方法の略図である。
【図2A】本発明の教示により使用することができる方法ステップの側面図である。
【図2B】本発明の教示により使用することができる任意の方法ステップの側面図である。
【図2C】本発明の教示により使用することができる別の任意の方法ステップの側面図である。
【図2D】本発明の教示により使用することができる別の方法ステップの側面図である。
【図2E】本発明の教示により使用することができる別の方法ステップの側面図である。
【図2F】本発明の教示により使用することができる別の方法ステップの側面図である。
【図2G】本発明の教示により使用することができる別の方法ステップの側面図である。
【図2H】本発明の教示により使用することができる別の任意の方法ステップの側面図である。
【図2I】本発明の教示により使用することができる任意の方法ステップの側面図である。
【図3】本発明の教示により構成された組織アンカーの一実施形態の正面図である。
【図4】図3の線4−4に沿う断面図である。
【図5A】本発明の教示により構成された医療装置の断面図である。
【図5B】第1のアンカー部材の配置をしている図5Aの装置の別の断面図である。
【図5C】さらに第2のアンカー部材を配置している図5Aの装置の別の断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0018】
以降の説明は単に本質的に典型的なものであり、本発明又はその適用若しくは用途を制限するように意図されるものではない。例えば、内視鏡検査及び内視鏡の使用が本発明を例示するために説明されているが、他のタイプの手術及び腹腔鏡検査などの関連する装置は本発明の範囲内にあることが考えられる。同様に、組織を持ち上げる又は吊り上げる必要があるESD及びEMR以外の手術もまた本発明の教示を使用することができる。説明と図面の全体にわたって、対応する参照符号が同様の又は対応する部分及び特徴を示すことを理解されたい。
【0019】
本発明に概括的に説明した方法が、体内管腔を通して組織装置を組織に配置するステップを含んでいることが当業者に認識され、これらのシステム、装置、および方法が、人又は動物の体及び体内管腔に関係する又は関係しないあらゆる材料層(例えば、織物、布、重合体、エラストマー、プラスチック、及びゴム)に使用できることが認識されるであろう。例えば、該システム、装置、および方法は、人又は動物の体への適用を見出すことができる、又は見出すことができない1つ以上の材料層を通して装置を配置するために、及び同様に身体組織でない材料層の穴又は穿孔を閉合するために、実験室と工業環境で使用することができる。
【0020】
本発明は概括的に、第2の材料(例えば患者の体腔の周辺組織)に対して第1の材料(例えば標的組織)を持ち上げる、分離する、及び/又は除去するための装置を使用する装置及び方法を提供する。図1を参照すると、方法95は、第1の材料に隣接する位置に装置(例えば内視鏡)の遠位端を配置するステップ100と、繊維ストランド(例えば縫合糸)に繋がれた第1のアンカー部材(例えばT−アンカー)を第1の材料の中に配置するステップ115と、第2のアンカー部材(例えばループアンカー)を配置するステップ120であって、繊維ストランドが第2のアンカー部材によって摺動可能に収容されるステップ120と、繊維ストランドに張力を加えるステップ130と、第1の材料の周囲に沿って所定の深さで第2の材料を切断するステップ135と、第1の材料を第2の材料から分離又は除去するステップ145とを含んでいる。好ましくは、第1のアンカー部材(例えばループアンカー)は、第1の材料(例えば、標的組織)の概ね向かい側の第2の材料(例えば体腔の組織)に配置されるが、第1のアンカー部材は、目標から周方向にどの程度の間隔を空けて配置されてもよい。装置又は器具は単一チャンネル又は多チャンネルの内視鏡であってもよい。
【0021】
より広く適用可能であるが、本発明の当該装置を利用する器具又は装置及び方法の以下の説明は、装置と方法を十分に描き説明することができる好都合な手段として内視鏡のESD及びEMRを用いている。それにより、第1の材料(例えば、標的組織)に加えられた張力130は、標的組織に隣接する第2の材料(例えば体腔の他の組織)に対して持ち上げられた位置に標的組織を維持し、及び/又は外科手術の間に標的組織をより目に見えるようにして、オペレータ(例えば医師)が標的組織を操作できるようにしている。標的組織を切断しながら、繊維ストランド(例えば縫合糸)に加えられた張力の量を調節することができる。
【0022】
該方法は、第2の材料に隣接する第1の材料の区域(例えば、標的組織)に注入針を挿入するステップ105と、標的組織を持ち上げるために第1の材料又は標的組織に隣接する第2の材料の区域の下に液体を注入するステップ110を選択的に含むことができる。或いは、該方法は第1の材料の下にバルーンの少なくとも一部を配置するステップ155と、第1の材料を持ち上げるためにバルーンを膨張させるステップ160を選択的に含むことができる。これらの選択ステップは、医師が標的組織の周辺を確認することができるように補助することができる。
【0023】
今図2Aを参照すると、装置又は内視鏡30は、当業者には既知である一般的な内視鏡検査技術を使用して、標的組織25に向けて進められる。例えば、内視鏡30を、限定はされないが口などの患者の体腔5の中に入れ、食道、胃及び十二指腸を通過させ、標的組織25に隣接する位置まで進めることができる。標的組織25には病変部分、例えば胃癌の徴候である腫瘍が含まれてもよい。この病変部分又は腫瘍は、材料(例えば粘膜組織)の第2の層20及び/又は粘膜下層組織15の下に存在する固有筋組織10を有する粘膜下層組織15内に、完全に又は部分的に囲まれ得る。
【0024】
内視鏡30の遠位領域は、作業チャンネルと、内視鏡的粘膜下層剥離術(ESD)又は内視鏡的粘膜切除術(EMR)手術を行うために使用される針、針尖刃、アンカー、縫合糸などの様々な部品を収容できるサイズである作業チャンネルを有する補助ルーメンを備えることが好ましい。当業者は、本発明の目的を達成するために、内視鏡30がいかなる数のルーメン又はチャンネルを含んでもよいことを理解するであろう。内視鏡30はまた光学エレメントを含んでもよく、それは、手術を行う医師が見る内視鏡30の遠位側にある像を照らし捕えるための光ファイバー部品を使用している。カテーテルベースの光ファイバーシステム、蛍光透視法、超音波検査又はその他同種のものを含めて、他の視覚化技術を使用できることがさらに認識されるであろう。例えば、針又は他の内視鏡検査法の用具は蛍光透視法の下で見るために意図された印を有することができ、また、針の遠位端には、粗くされる、くぼみ又は他の不均一性を有する又は埋め込まれた粒子を有することによるなどの、超音波反射率を強化した表面を有することができる。後者の場合では、内視鏡30は、EUS誘導下の用具の配置を可能にする超音波対応の内視鏡システム(EUS)を含み、それにより、組織の層内(例えば粘膜下層内)又は層間への配置を容易にし、或いは選択された体壁の後方の他の器官又は組織の穿刺を防ぐことができる。
【0025】
一旦装置30(例えば内視鏡)が第1の材料25(例えば標的組織)に隣接して配置されると、装置に向かっているオペレータ(例えば医師)は第1の材料(例えば病変部分)を検査し、切込み印が第1の材料25の境界の画定を補助するために必要かどうか判断することができる。第1の材料25の周囲に沿って切込み印150を配置するステップは、本方法の選択的ステップであり、第2の材料(例えば周囲の粘膜組織20)と第1の材料25を容易に識別することができる場合、該ステップは省略することができる。標的組織25の周辺の境界が容易に識別できない場合、針尖刃を内視鏡30から進め、標的組織25の周辺に沿って印を設けるために粘膜組織20と係合するように使用できる。高周波電流をこれらの印を設けるために針尖刃の先端に流すことができる。印を設けるそのような方法は、内視鏡手術の当業者にはよく知られている。
【0026】
ここで図2B及び2Cを参照すると、標的組織25は、除去され易くするために、固有筋組織10に対して吊り上げられてもよいし持ち上げられてもよい。選択的に、粘膜組織20及び/又は標的組織25に隣接する粘膜下組織15に挿入される針35を通して(図2B)、生理食塩水又はヒアルロン酸ナトリウムなどの液体40を注入する(図2C)ことにより、標的組織25は持ち上げることができる。2007年11月8日公開の米国特許公開第2007/0260178A1号に記載されているように、標的組織の下にバルーンの少なくとも一部を配置し、続いてバルーンを膨張させる(図示せず)ことにより、標的組織25も選択的に持ち上げることができる。針35及び針尖刃又は組織をカットするために後で使用される他の手術用具もまた、内視鏡30の同じか異なるルーメンを通して配置し進めることができることを、当業者は認識するであろう。例えば、針尖刃が内視鏡30の作業チャンネルを通って進められる間に、針35は補助ルーメン内に配置することができる。或いは、針尖刃は針35の中空の内部領域に配置されてもよく、液体40が針尖刃の周りに流れるように針35を通って注入されてもよい。
【0027】
本発明の一実施形態に従って図2Cに示されるように、粘膜下組織15に注入された液体40は、固有筋組織10と粘膜下組織15の間の小区域に液体40を満たすことにより、下層の固有筋組織10の上に標的組織25を持ち上げるか隆起させる。本発明の別の態様に従い小区域を満たした液体40はまた、粘膜下組織15内又は粘膜組織20と粘膜下組織15の間に完全に隆起を形成することができる。選択的に、バルーンを標的組織25の下に少なくとも部分的に挿入し、標的組織25を隆起させるために膨張させることができる。標的組織25の隆起は、EMR又はESD手術の間に該標的組織の除去を促進するのに役立つ。このステップは選択的であり、続くステップと連動して使用することができ、或いは続くステップが周囲の粘膜組織20の上方に標的組織25を隆起させるために使用できるとき除外することもできる。2008年3月6日公開の米国特許公開第2008/0058586A1号に記載されているように、標的組織を持ち上げるように構成された内視鏡先端のレバー部分の使用など標的組織を隆起させるその他の手段が、本発明の範囲から逸脱することなくさらに使用することができることを当業者は理解するであろう。
【0028】
ここで図2Dを参照すると、第1のアンカー部材(例えばT−アンカー)45は当業者に既知の任意の技術を使用して、標的組織25を貫通して配置される。第1のアンカー部材45は、典型的には長手方向の形状を有するアンカー棒と、該棒に取り付けられて固定され、該棒から横方向に延在するストランド(例えば縫合)ストランド50を有している。誘導針は、アンカー棒を標的組織25に貫通させ、且つアンカー棒を標的組織25の向こう側即ち下に配置するために使用できる。液体が満たされた小区域を形成しない時は、EUS、蛍光透視法、視覚的な印、又は他の深さ表示手段の使用のもとでの誘導が特に用いられてもよい。縫合ストランド50は標的組織25を貫通して延在し、標的組織25の近傍側にボルスタ(bolster)を有している。ボルスタは縫合ストランド50と共に摺動可能である。縫合ストランド50が引っ張られ、ボルスタが押し付けられるにつれて、アンカー棒は標的組織25の向こう側に押し当てて着座する。ボルスタの近位側の縫合糸に作られた結び目は、標的組織25の中の、ある操作位置にTアンカー45を保持する。
【0029】
T−アンカー45のアンカー棒は、ポリエチレンなどのプラスチック、及びステンレス鋼などの金属を含むがこれらに限定されることはなく、人体と適合性のあるあらゆる材料で作ることができる。縫合ストランド50は当業者に既知の任意の材料で構成されてもよい。2−0絹、2−0チクロン(Ti−Cron)、4−0ポリプロピレン、5−0ポリプロピレン、6−0ポリプロピレン及び7−0ポリプロピレンなどの材料が好ましい。
T−アンカーに関するさらなる詳細は1992年6月23日発行の米国特許第5,123,914号に開示されている。標的組織に固定又は締結できるアンカー、ステープル、クリップ、ホック、又は、鋲などの他のいかなるタイプの組織固定部材も使用できることを当業者は認識するであろう(例えば、2009年4月22日出願の米国特許出願第12/428,226号に開示された鋲を参照)。縫合ストランド50がループアンカー55を通り抜ける移動に耐えるように、適切なレベルの耐摩擦性を備える縫合ストランド50を選択することが好ましい。
【0030】
ここで図2Eを参照すると、別の第2のアンカー部材(例えばループアンカー)55が、当業者に既知の任意の技術を使用して、体内管腔5の組織に、好ましくは標的組織25の向かい側に配置される。概括的には、ループアンカー55は組織に挿入され、縫合ストランド50を摺動可能に収容できるループ又は少なくとも1つの空洞を画定する横木を有する。この種のアンカー及び他のタイプのアンカーのさらなる詳細は、2008年6月5日公開の米国特許公開第2008/0132948A1号に記載されている。縫合ストランド50を摺動可能に収容できる他のタイプのアンカー、ステープル、クリップ又は鋲が使用できることを当業者は認識するであろう。例えば、2009年10月29日公開の米国特許公開第2009/0270912A1に開示されたような鋲が使用されてもよい。
【0031】
現在のところ好ましい第2のアンカー部材(例えばループアンカー)220を図3−4に示す。アンカー220は、概括的には、反対側の端部226及び228を有し且つ長手方向軸線214を画定している横木224を有している。横木224は好ましくは細長いが、体内壁212に縫合糸50を連結するのに適したいかなる形態を取ってもよい。ストランド230は横木224に接続され、ループ232を形成するように構成される。図4に最も分かり易く示されている様に、横木224は、ルーメン236を画定する管状の壁234を有するカニューレで構成される。細長の開口部238は管状の壁234に形成されており、ストランド230は開口部238を通り抜けている。ストランド230の端部は接合部244によってカニューレのルーメン236内に固定されている。機械的ファスナー、接着剤或いは様々な溶接又は半田付け技術を含めて、現在既知の又は今後開発される任意の取り付け手段を使用して、ストランド230が横木224に固定できることが当業者によって認識されるであろう。
【0032】
ストランド230は、単一フィラメント及びマルチフィラメントのワイヤーを含めて、金属ワイヤー並びに巻き線及び編組線で形成されることが好ましいが、縫合材料、プラスチック・ストリング、ロープ及び同様のものなどの他の構成を有することもできる。
【0033】
図3に最も分かり易く示されている様に、ストランド230は旋回部を含む構造とされ、それにより縫合糸50が通り抜けるループ232を画定している。ループ232は、開口部238を通り且つ長手方向の軸線214から離れて突き出ることができるように、細長の開口部238と一致して長手方向に位置する。従って、ストランド230及びそのループ232は柔軟であり、縫合糸50の張られ方に基いて該ループの形状及び向きを調節できることが理解されるであろう。細長の開口部238のサイズ及びストランド230の柔軟性は、ループ232がストランド230の長さ部分に沿って長手方向に移動できるようにする。ループ232は、好ましくは横木224から約0.35mm又はより遠く離れて位置する頂点Aを画定する。ループ232はまた、ストランド230の端部が互いに交差する交差点CPを画定する。交差点CPは、開口部238の側壁の外側放射状を含み横木224の外側表面の外側放射状に位置することが好ましいが、横木224にできるだけ接近していることも好ましい。開口部238は約0.4mmから約3.0mmの範囲の長手方向の間隙を広げていることが好ましく、横木224は典型的には約3.0mmから約10.0mmの範囲の長さを有することが好ましい。ストランドは、横木224の約50%未満の直径を有することが好ましく、約35%未満の直径を持っていることが最も好ましい。ストランド230は、約0.20mmから約0.35mmの範囲の直径を有することが好ましく、約0.254mmが最も好ましい。横木224は約0.5mmから約1.0mmの範囲の直径を有することが好ましいが、約0.8mmが最も好ましい。ストランド230は、既知のプラスチック又は親水性被膜などの低摩擦材で覆われてもよい。
【0034】
組織アンカー224及びそのループ232のこの構成は縫合糸50がループ232を通り横木224に対して張力をかけ且つ摺動できるようにするとともに、縫合糸50が横木224又は細長の開口部238によって画定された縁部と係合するのを防止する。すなわち、方向を問わず縫合糸50の端部を横木24に対して引っ張り且つ摺動し、ワイヤー230及びそのループ232は縫合糸50とカニューレ224の間の障壁として、その間のあらゆる望まれない摩擦も防ぐために役立つ。ストランド230は長さを有し、ループ232の頂点Aの位置は、ループ232が体内壁212に埋込まれる時、体内壁212を通って突出できるサイズであるようなものであり、縫合糸50の確実な引っ張りを可能にし、組織の摩擦を防いでいる。当業者は、他のループアンカー意匠が本発明の範囲を越えることなく利用することができることを理解するであろう。
【0035】
ここで図2F参照すると、所定量の張力が医師又はオペレータによって縫合ストランド50に加えられる。縫合ストランド50への張力の付加は、周囲の粘膜組織20の上方に標的組織25を隆起させるのを補助し、それにより標的組織25の周辺をより見易くする。この張力は、装置か道具を使用し、手によって或いはロボットによって加えて操作することができる。
該張力は、当業者に既知の任意のタイプの縫合糸引張装置を使用して、調節し維持することができる。
【0036】
選択的に、T−アンカー45及びループアンカー55が配置された後、内視鏡30は縫合ストランド50に隣接する位置に、例えば縫合ストランド50に平行して、除去され再導入されてもよい。この任意のステップは、切開するために標的組織25に接近し、さらに、内視鏡30が加えられる張力に影響せず、且つ内視鏡30の付属のチャンネルをより容易にアクセス可能にすることを保証する、さらなる自由又は余裕を医師に与える。
【0037】
ここで図2Gを参照すると、標的組織25が十分に隆起され、T−アンカー45に接続された縫合ストランド50に適切な張力が加えられた後、粘膜又は粘膜下層の切開部の生成が開始される。切断器(例えば針尖刃)60、或いは、メス又はその他同種のものなどの電気が通される又は機械的な別の内視鏡的切断器が、チャンネル又は内視鏡30のルーメンを通って遠位方向に進められてもよい。図2G−2I示すように、針尖刃60を使用して標的組織25の周囲で切開することができる。切取組織を切開するのに必要な電力を供給するために、電気外科用ジェネレーター(図示せず)を針尖刃60に接続することができる。切開は、粘膜下組織15の中への又は粘膜下組織15を貫通して所定の距離で、及び固有筋組織10に対して所定の角度でなされることが好ましい。
【0038】
図2Hに示すように、組織が切断されるとともに、オペレータは選択的に、標的組織25を隆起した位置に維持する、又は好ましくは標的組織25を周囲の粘膜組織20に対して操作する(例えば、隆起させる又は降下させる)ために、縫合ストランド50に加えられた張力を調節することができる。縫合ストランド50に加えられた張力を用いて標的組織25を操作することは、切開が成されている標的組織25の周囲を医師がより容易に判定できるようにするので好都合である。このステップは、医師が切開をしたい部位を容易に理解できるので、組織の切断をより安全でより速くする。標的組織25の周囲を理解する該能力は、医療手術に必要な時間を4時間強から1時間弱減らすことができる。縫合ストランド50に加えられた張力により、内科医が標的組織25を操作できるようにならない場合、切開の開始の時に液体40が満たされた小区域から(もし存在すれば)放出されるいかなる液体40も標的組織25の周囲を不明瞭にし、そのために、標的組織25の除去を複雑にする可能性がある。
【0039】
針尖刃60は、ステンレス鋼を含むがそれに限定されず、当業者に既知の任意の導電性材料を使用して作ることができる。或いは、2008年1月17日公開の米国特許公開第2008/0015574A1号に記載されているように、針尖刃はニチノールなどの形状記憶合金で作ることができる。選択的に、針尖刃60は、先端に中空又はセラミックの領域などの非導電性部分を備えてもよく、該領域は針尖刃が組織を深く切断しすぎるのを防止するのに役立つ。他のそのような安全機構の使用は当業者には明らかであろう。
【0040】
ここで図2Iを参照すると、切開された標的組織25が周囲の粘膜組織20及び粘膜下組織15から一旦実質的に分離されると、針尖刃60を回収して縫合ストランド50に加えられた張力を解放することができる。その後、埋め込まれたT−アンカー45と共に切開された標的組織25を引き続き実質的に単一片の状態で除去するために、スネア又は鉗子65などの回収装置は内視鏡30の補助又は作業ルーメンを通して進めることができる。実質的に単一片の状態での標的組織25の除去は、患者の病変部分又は腫瘍の局所的再発の可能性を低減するのに役立つ。その後、内視鏡30は手術を終えるために患者から取除くことができる。選択的に、ループアンカー55は体腔5に埋込んで残されても、又は当業者に既知の任意の技術によって除去されてもよい。
【0041】
必要に応じて、フラッシング流体をEMR又はESD手術中に標的組織25の近くにいつでも供給することができる。例えば、2007年11月22日公開の同時係属米国特許公開第2007/0270897A1号に記載されているように、フラッシング流体は、内視鏡30の補助ルーメン又は作業チャネルを通して供給されてもよく、針35及び/又は針尖刃60の周りに供給されてもよい。
【0042】
オペレータが第2の材料(20)に対して第1の材料(25)を持ち上げる、分離する、及び/又は除去するために前述の手術を行うとき、好ましい装置又は補助するために使用される器具(1)及び 材料の第1の層(25)を隣接する材料の第2の層(20)から識別するオペレータが図5Aに示されている。この装置又は器具(1)は、繊維ストランド(50)、第1のアンカー部材(45)、第2のアンカー部材(55)、柔軟な送達針(35)及びスタイレット(37)を特徴とする。
【0043】
繊維ストランド又は縫合糸(50)は遠位端及び近位端を有することにより画定される。第1のアンカー部材(45)は繊維ストランド(50)の遠位端に固定された棒材を有する。第2のアンカー部材(55)は棒材及び該棒材から離れて突き出る柔軟なループを有する。
【0044】
柔軟な送達針(35)は、繊維ストランド(50)、第1の部材(45)及び第2の部材(55)を摺動可能に収容できるサイズである少なくとも1つの通路を画定している。第1のアンカー部材(45)は針(35)内で第2のアンカー部材(55)より遠位側に配置されている。繊維ストランド(50)は針(35)内の第2のアンカー部材(55)のループを通り抜けている。最終的に、スタイレット(37)は送達針(35)に摺動可能に収容できるサイズである。
【0045】
ここで図5A−5Cを参照すると、スタイレット(37)はまた、オペレータが第1の材料(25)に第1の部材(45)を連結するために、第1の部材(45)を針(35)から出させることができるように第2のアンカー部材(55)と連通している(図5B)。スタイレットはさらに第2の部材(55)を針から出させることができる(図5C)。張力が繊維ストランド(50)に加えられるとき、繊維ストランド(50)は、第1のアンカー部材(45)を動かして第2の材料(20)に対して第1の材料(25)を持ち上げる又は隆起させるように、第2のアンカー部材(55)のループを通って摺動する。
【0046】
装置(1)は、オペレータによって操作することができるハウジング(30)をさらに含んでもよい。ハウジング(30)は、送達針(35)を摺動可能に収容できるサイズである少なくとも1つの通路を有している。そのようなハウジング(30)の一例は内視鏡である。加えて、装置(100)はまた、ハウジング(30)の通路に摺動可能に収容できるサイズであり、第2の材料(20)から第1の材料(25)をさらに分離するために第1の材料(25)を拘束することができる回収装置(65)を含むことができる。
【0047】
装置(1)もまた、針(35)又はハウジング(30)のいずれか1つの通路に摺動可能に収容できるサイズである切断器(60)を含むことができる。第2の材料(20)から第1の材料(25)を分離するために、切断器(60)をオペレータによって操作することができる。所定の深さにのみ切断するのを補助するために切断器(60)は中空の端部又はセラミックの先端を有してもよい。
【0048】
以上、本発明の様々な実施形態について、例示と説明を目的に述べてきた。本明細書に前述した器具及び方法は、様々なタイプの病変部分、例えば大きな表在性腫瘍、上皮内新生物を治療するために、事実上胃、食道及び結腸などの任意の体腔に使用できることが認識されるであろう。それにより、本発明を余すところなく説明する意図も、発明されている厳密な実施形態に限定する意図もない。上記教示の観点から、数多くの修正及び変型が可能である。考察されている実施形態は、本発明の原理及びその実際の適用を最適に例示し、それにより、当業者が、考えられる特定の使用に適応させた様々な修正を施して利用することができるように、本発明を様々な実施形態で選択し記載した。全てのその様な修正及び変型は、付随の特許請求の範囲の請求項によって、それら請求項が公平、法的、且つ公正に権利を有するとされる一定の許容幅によって解釈された上に定まる本発明の範囲に含まれる。
【符号の説明】
【0049】
1 器具
5 体腔、体内管腔
10 固有筋組織
15 粘膜下組織
20 第2の材料、粘膜組織
25 第1の材料、標的組織
30 内視鏡、ハウジング
35 柔軟な送達針
37 スタイレット
40 液体
45 第1のアンカー部材、T−アンカー
50 繊維ストランド、縫合ストランド、縫合糸
55、220 第2のアンカー部材、ループアンカー
55 ループアンカー
60 切断器
65 回収装置
100 装置
212 管状の壁。体内壁
214 長手方向軸線
222 繊維ストランド
224 横木
226 第1の端部
228 第2の端部
230 ストランド
232 ループ
234 管状の壁
238 開口部
244 接合部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
オペレータが第1の材料(25)を隣接した第2の材料(20)に対して持ち上げるのを補助する装置であって、
遠位端及び近位端を有する繊維ストランド(50)と、
前記繊維ストランド(50)の前記遠位端に取付けられた棒材を有する第1のアンカー部材(45)と、
棒材及び前記棒材から離れて突き出る柔軟なループを有する第2のアンカー部材(55)と、
前記繊維ストランド(50)、前記第1の部材(45)及び前記第2の部材(55)を摺動可能に収容できるサイズである少なくとも1つの通路を画定する柔軟な送達針(35)であって、前記第1のアンカー部材(45)が前記針(35)内で前記第2のアンカー部材(55)より遠位側に配置され、前記繊維ストランド(50)が前記針(35)内の前記第2のアンカー部材(55)のループを通り抜けている、針(35)と、
前記送達針(35)に摺動可能に収容できるサイズであり、オペレータが前記第1の材料(25)に前記第1の部材(45)を連結するために、前記第1の部材(45)及び前記第2の部材(55)を前記針(35)から出させることができるように前記第2のアンカー部材(55)と連通しているスタイレット(37)とを備え、
張力が前記繊維ストランド(50)に加えられるとき、前記繊維ストランド(50)は、前記第1のアンカー部材(45)を動かして前記第1の材料(25)を持ち上げるように、前記第2のアンカー部材(55)の前記ループを通って摺動することを特徴とする、装置(1)。
【請求項2】
前記装置(1)は、オペレータによって操作することができ且つ送達針(35)を摺動可能に収容できるサイズである少なくとも1つの通路を有するハウジング(30)をさらに特徴とする、請求項1に記載の装置。
【請求項3】
前記装置(100)は前記針(35)又は前記ハウジング(30)のいずれか1つの通路に摺動可能に収容できるサイズである切断器(60)をさらに特徴とし、
前記第2の材料(20)から前記第1の材料(25)を分離するために、前記切断器(60)がオペレータによって操作することができる、請求項1又は2に記載の装置。
【請求項4】
前記第2のアンカー部材(220)は第1(226)及び第2(228)の反対側の端部を有し且つ長手方向軸線(214)を画定し、前記第1(226)及び前記第2(228)の端部の間に開口部(238)を有する管状の壁(212)によって画定されている横木(224)と、前記横木(224)の前記第1(226)及び前記第2(228)の反対側の端部にそれぞれ接続された第1及び第2の反対側の端部を有し、ループ(232)を画定するために旋回しているストランド(230)を含み、前記ストランド(230)及び前記ループ(232)は前記開口部(238)を通り且つ前記長手方向軸線(214)から離れて突き出ており、前記ループ(232)は前記繊維ストランド(222)を摺動可能に収容でき且つ前記繊維ストランド(50)が前記横木(224)に接触して摩耗しないように保護できるサイズとされている、請求項1に記載の装置。
【請求項5】
前記ストランド(230)は、前記第2のアンカー部材(220)が埋め込まれている材料の第2の層から前記ループ(232)が突き出るサイズである十分な長さを有する、請求項4に記載の装置。
【請求項6】
前記切断器(60)は所定の深さだけ切断するのを補助するために中空の端部又はセラミックの先端を有する、請求項3に記載の装置。
【請求項7】
前記ハウジング(30)の通路に摺動可能に収容できるサイズであり、前記第2の材料(20)から前記第1の材料(25)をさらに分離するために前記第1の材料(25)を拘束することができる回収装置(65)を、前記装置(100)がさらに含む、請求項2に記載の装置。
【請求項8】
第1の材料の一部を隣接する第2の材料に対して分離する方法であって、
繊維ストランドに連結された第1のアンカー部材と、ループを画定する第2のアンカー部材であって、前記繊維ストランドは前記第1の部材に隣接する前記第2の部材を位置決めするために前記ループを通って延在する第2のアンカー部材と、前記繊維ストランド、前記第1の部材及び前記第2の部材を摺動可能に収容できるサイズである少なくとも1つの通路を有する柔軟な針と、前記第2の部材と連通しているスタイレットと、
前記針を摺動可能に収容できる少なくとも1つの通路を有するハウジングと、前記針又は前記ハウジングのいずれかの通路に摺動可能に収容できる切断器とを含む、装置(1)の遠位端を前記第1の材料に隣接する位置に配置するステップと、
前記繊維ストランドに繋がれた前記第1のアンカー部材を前記第1の材料の中に配置するステップ(115)と、
前記繊維ストランドを摺動可能に収容したままである前記第2のアンカー部材を配置するステップ(120)と、
前記繊維ストランドに張力を加えるステップ(130)と、
前記第1の材料の周囲に沿って所定の深さで前記第1の材料を切断するステップ(135)と、
前記第1の材料を前記第1のアンカー部材と共に前記第2の材料との接触から分離するステップ(145)とを特徴とし、
張力が前記繊維ストランドに加えられるとき、前記繊維ストランドは、前記第1のアンカー部材を動かすように、前記第2のアンカー部材の前記ループを通って摺動することを特徴とする、方法。
【請求項9】
注入針を前記第1の材料の区域に挿入するステップ(105)と、
液体を前記第1の材料の前記区域の下部に注入するステップ(110)、又は、
バルーンの少なくとも一部を前記第1の材料の下部に配置するステップ(155)と
前記バルーンを膨張させるステップ(160)、のいずれかのステップをさらに含み、
前記液体を注入するステップ又は前記バルーンを膨張させるステップにより、材料の前記第1の層を隆起させる、請求項8に記載の方法。
【請求項10】
前記第2のアンカー部材を配置するステップ(120)の間に、前記第2のアンカー部材は、前記第1の材料から離れて又は概ね向かい側に位置する前記第2の材料に配置される、請求項8に記載の方法。
【請求項11】
前記第1の材料が切断されるとともに、前記繊維ストランドに加えられた前記張力を調節するステップ(140)をさらに含む、請求項8に記載の方法。
【請求項12】
材料の前記第1の層の周囲に沿って材料の前記第2の層に切込み印を置くステップ(150)をさらに含む、請求項8に記載の方法。
【請求項13】
前記繊維ストランドに前記張力を加えるステップ(130)及び前記繊維ストランドの前記張力を調節するステップ(140)の少なくとも1つは、手、装置、道具及びロボットの群から選ばれたものを使用して遂行される、請求項11に記載の方法。
【請求項14】
前記第1の材料の周囲に沿って切断するステップ(135)は、前記所定の深さだけ切断するのを補助するために、中空の端部又はセラミックの先端を備えた切断器を使用する、請求項8に記載の方法。
【請求項15】
前記第1の材料を分離するステップ(145)は、前記第1の材料を拘束するためにスネア又は鉗子などの回収装置を使用するステップを含む、請求項8に記載の方法。

【図1】
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【図2A】
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【図2B】
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【図2C】
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【図2D】
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【図2E】
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【図2F】
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【図2G】
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【図2H】
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【図2I】
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【図3】
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【図4】
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【図5A】
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【図5B】
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【図5C】
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【公表番号】特表2012−510872(P2012−510872A)
【公表日】平成24年5月17日(2012.5.17)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−539725(P2011−539725)
【出願日】平成21年12月4日(2009.12.4)
【国際出願番号】PCT/US2009/066732
【国際公開番号】WO2010/065829
【国際公開日】平成22年6月10日(2010.6.10)
【出願人】(511152957)クック メディカル テクノロジーズ エルエルシー (76)
【氏名又は名称原語表記】COOK MEDICAL TECHNOLOGIES LLC
【Fターム(参考)】