説明

材料試験機

【課題】 軸心調整を行う軸心調整部を備えるとともに、軸心調整部がねじり負荷にも対抗することが可能な材料試験機を提供する。
【解決手段】 ロードセルを介して上つかみ具を接続した連結部61をクロスヘッド23に接続することにより、連結部61にロードセルを介して連結された上つかみ具をクロスヘッド23に固定するための薄板60と支持部材70とを備える。薄板60は、支持部材70の下端に締結部材であるネジ62により接続されるとともに、連結部61のフランジ部64にネジにより固定される。また、支持部材70は、オペレータが軸心調整用のネジ141、142、151、152等にアクセス可能な空間を形成するような間隔で4個配設されており、その上端はネジによりクロスヘッド23に固定される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、試験片に対して引張試験、圧縮試験およびねじり試験を行う材料試験機に関する。
【背景技術】
【0002】
試験片に対して引張試験等を行う材料試験機は、例えば、テーブルと、テーブル上に立設された一対の支柱と、支柱を介して連結されたクロスヘッドとにより負荷枠を構成している。クロスヘッドはアクチュエータ等により支柱に沿って昇降可能であり、試験片はクロスヘッドに配設された上つかみ具と、テーブルに配設された下つかみ具とにより、その両端を把持される。そして、上つかみ具と下つかみ具とにより両端を把持された試験片に対して、クロスヘッドを昇降させることにより負荷を与えながら、ロードセルと変位検出器によりそのときの試験力と変位とを測定し、試験片の試験力−変位特性や、S−N線図を求める構成となっている。このような材料試験機においては、上つかみ具と下つかみ具との軸心が整合していないと、正確な材料試験を実行することができない。このため、このような材料試験機においては、上つかみ具と下つかみ具との軸心を調整するための軸心調整装置が配設されている。
【0003】
図7は、従来の材料試験機における軸心調整装置113付近の概要図である。
【0004】
この軸心調整装置113は、クロスヘッド23と上つかみ具との間に介在されるものであり、クロスヘッド23と上つかみ具とを連結部111を介して連結する連結軸131と、この連結軸131の中央部に固定された枠部材139と、枠部材139の内部で連結軸131の外周部に配設され、クロスヘッド23に固定された角度調整用カラー部材134と、枠部材139の内部で連結軸131の外周部に配設され、連結部111に固定された位置調整用カラー部材135とを備える。
【0005】
連結軸131は、角度調整用カラー部材134、枠部材139および位置調整用カラー部材135を貫通するとともに、連結軸131の上端部は取付板132と螺合しており、連結軸131の下端部は連結部111と螺合している。また、取付板132は、一対のジャッキボルト133を介してクロスヘッド23と連結されている。このため、一対のジャッキボルト133を利用して取付板132をクロスヘッド23に対して上方に移動させることにより、連結部111の下端に配設された上つかみ具を所定の力でクロスヘッド23に締結することができる。
【0006】
枠部材139は、連結軸131に螺合して固定された支持部137と、連結軸131の周囲を囲う矩形状の枠部136とから構成される。支持部137の上面には、半球状の凸部138が形成されており、角度調整用カラー部材134の下面にはこの凸部138と対応する形状を有する半球状の凹部が形成されている。また、支持部137の下面は平面状となっており、平面状の位置調整用カラー部材135の上面と当接している。
【0007】
図8は、軸心調整装置113における角度調整用カラー部材134付近の平面概要図である。
【0008】
この角度調整用カラー部材134は、平面視において矩形状、あるいは円形等の形状を有し、その外周面は、枠部材139における枠部136と螺合する4本のネジ141、142、143、144の先端部と当接している。このため、4本のネジ141、142、143、144を調整することにより、枠部材139を連結軸131とともに傾斜させて上つかみ具の角度を調整することが可能となる。すなわち、4本のネジ141、142、143、144のうち、互いに対向する2本のネジの一方を緩め一方を締めた状態で、枠部材139の半球状の凸部138を角度調整用カラー部材134の半球状の凹部に沿って移動させることにより、枠部材139を連結軸131とともに傾斜させることが可能となる。そして、この連結軸131の傾斜に伴って、上つかみ具が傾斜する。
【0009】
図9は、軸心調整装置113における位置調整用カラー部材135付近の平面概要図である。
【0010】
この位置調整用カラー部材135は、平面視において矩形状、あるいは円形等の形状を有し、その外周面は、枠部材139における枠部136と螺合する4本のネジ151、152、153、154の先端部と当接している。このため、4本のネジ151、152、153、154を調整することにより、枠部材139を連結軸131とともに移動させて上つかみ具の位置を調整することが可能となる。すなわち、4本のネジ151、152、153、154のうち、互いに対向する2本のネジの一方を緩め一方を締めた状態で、枠部材139を位置調整用カラー部材135の上面に沿って移動させることにより、枠部材139を連結軸131とともに位置調整用カラー部材135に対して相対的に移動させることが可能となる。そして、この連結軸131の移動に伴って、上つかみ具も移動する。
【0011】
ところで、この軸心調整装置113を備える材料試験機による材料試験は、試験片に対して垂直方向にのみ負荷を与える引張試験や圧縮試験であり、試験片に対してねじり負荷を与えるねじり試験には対応していない。なお、ねじり試験に対応可能な材料試験機としては、軸心調整装置に相当する部分の側面に、曲げモーメント除去治具として回転止め板を取り付けたものが提案されている(特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0012】
【特許文献1】特開平3−82933号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0013】
上述した軸心調整装置113を備える材料試験機が、試験片に対してねじり負荷を与えるねじり試験に対応できない理由は次のとおりである。試験片に対してねじり負荷を与える試験の場合には、試験片に対して垂直方向のみに負荷を与える引張試験等の場合とは異なり、上つかみ具や軸心調整装置113等に回転方向のねじり負荷が加わることになる。このとき加えられたねじり負荷に対しては、軸心調整装置113における角度調整用カラー部材134の凹部と枠部材139の凸部138との間の摩擦力、および、位置調整用カラー部材135の上面と枠部材139の支持部137の下面との間の摩擦力により対抗することになる。
【0014】
軸心調整装置113における角度調整用カラー部材134の凹部と枠部材139の凸部138との間の摩擦力、および、位置調整用カラー部材135の上面と枠部材139の支持部137の下面との間の摩擦力は、一対のジャッキボルト133による上つかみ具を引き上げて締結する力を強くすることで大きくすることは可能である。しかし、軸心調整装置113は、角度調整用カラー部材134と位置調整用カラー部材135を枠部材139に対して相対的に移動させることで軸心調整を行っているため、角度調整用カラー部材134の凹部と枠部材139の凸部138との間の摩擦力、および、位置調整用カラー部材135の上面と枠部材139の支持部137の下面との間の摩擦力を、ねじり負荷に対抗できるほど大きくすることはできない。このため、この軸心調整装置113を備える材料試験機では、軸心調整装置113がねじり負荷に対抗できないために、試験片にねじり負荷を与えるねじり試験が行えないことになる。
【0015】
一方、ねじり負荷に対抗するため、軸心調整装置113に連結する上つかみ具がねじり負荷を受けたときに、このねじり負荷が軸心調整装置113に及ばないようにするため、例えば、クロスヘッド23に何らかの部材を介して上つかみ具を固定することが考えられる。しかし、このような部材をすべて剛性の高い材料で構成すると、例えば、先に軸心調整を行っても、上つかみ具の固定位置が部材の剛性により所定の位置に定まってしまうため、軸心調整が意味のないものになってしまうという問題を生じる。さらに、上述した軸心調整装置113では、軸心調整用のネジ141、142、143、144、151、152、153、154が、角度調整用カラー部材134および位置調整用カラー部材135の外周面に配設されている。このため、軸心調整装置113の側面には、オペレータが軸心調整用のネジ141、142、143、144、151、152、153、154に容易にアクセスできる空間が確保されなければならず、軸心調整装置113の側面の多くを覆ってしまうような部材を、上つかみ具をクロスヘッド23に固定する部材として採用することはできない。
【0016】
この発明は上記課題を解決するためになされたものであり、軸心調整を行う軸心調整部を備えるとともに、軸心調整部がねじり負荷にも対抗することが可能な材料試験機を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0017】
請求項1に記載の発明は、一対のつかみ具により把持された試験片に対して、引張・圧縮試験およびねじり試験を行う材料試験機であって、負荷枠に固定されるとともに、前記一対つかみ具の一方に連結部を介して連結されることにより、当該つかみ具の軸心を調整する軸心調整部と、前記連結部に固定されるとともに、前記軸心調整部に連結されたつかみ具と前記軸心調整部との連結方向に対してその表面が交差する方向に配置される変形可能な板部材と、前記板部材と前記負荷枠とを連結する複数の支持部材と、を備えることを特徴とする。
【0018】
請求項2に記載の発明は、請求項1に記載の発明において、前記板部材と前記複数の支持部材とは、締結部材を介して連結され、前記板部材には、前記締結部材を挿入する複数の挿入孔が設けられ、前記挿入孔は、前記締結部材の外径よりも大きい。
【0019】
請求項3に記載の発明は、請求項2に記載の発明において、前記板部材は、前記連結部が貫通する連結孔を有する金属製の1枚の薄板である。
【0020】
請求項4に記載の発明は、請求項3に記載の発明において、前記薄板は、前記連結孔の近傍に複数の切り欠け部を有する。
【0021】
請求項5に記載の発明は、請求項2に記載の発明において、前記板部材は、前記連結部を中心に等間隔に配設される複数の金属製の薄板である。
【0022】
請求項6に記載の発明は、請求項1に記載の発明において、前記連結部に、前記試験片に負荷される試験力を検出する荷重検出手段を備える。
【0023】
請求項7に記載の発明は、請求項6に記載の発明において、前記荷重検出手段は、2軸同時計測が可能なロードセルである。
【発明の効果】
【0024】
請求項1に記載の発明によれば、連結部に固定されるとともに、軸心調整部に連結されたつかみ具と軸心調整部との連結方向に対してその表面が交差する方向に配置される変形可能な板部材と、板部材と負荷枠とを連結する複数の支持部材とを備えることにより、軸心調整部による軸心調整に影響を及ぼすことなく、つかみ具をクロスヘッド等の負荷枠を構成する部材に固定できる。これにより、試験片に対してねじり負荷が加えられた場合であっても、軸心調整部およびこれに連結されたつかみ具が、試験中に回転することを防止することができる。
【0025】
請求項2に記載の発明によれば、支持部材との連結のために板部材に設けられる複数の締結部材の挿入孔は、締結部材の外径よりも大きいことから、軸心調整部により軸心が調整されたことにより定まるつかみ具の傾き方向に対して板部材の水平移動が可能となり、つかみ具の傾き方向を保ちつつ、つかみ具をクロスヘッド等の負荷枠を構成する部材に固定することができる。
【0026】
請求項3に記載の発明によれば、板部材は、連結部が貫通する連結孔を有する金属製の1枚の薄板であることから、少ない部品点数で容易にねじり負荷に対抗できる装置構成とすることができる。
【0027】
請求項4に記載の発明によれば、薄板は、連結孔に複数の切り欠け部を有することから、連結軸の外側面が連結孔の内周面に当接することによる連結孔形状の変形から薄板の全体的な歪みが生じることを防止することができる。
【0028】
請求項5に記載の発明によれば、板部材は、連結部を中心に等間隔に配設される複数の金属製の薄板であることから、取り付けを容易に行うことができる。
【0029】
請求項6に記載の発明によれば、連結部に、試験片に負荷される試験力を検出する荷重検出手段を備えることから、試験片に対して引張と圧縮を繰り返す疲労試験を行う場合に試験片が受ける試験力を正確に検出することができる。
【0030】
請求項7に記載の発明によれば、荷重検出手段は、2軸同時計測が可能なロードセルであることから、試験片に対する垂直方向の引張・圧縮による試験力と、試験片10に対する回転方向のねじりによる試験力、の両方を同時に計測することができる。このため、引張・圧縮試験にねじり試験を組み合わせた試験における試験力も検出することができる。
【図面の簡単な説明】
【0031】
【図1】この発明に係る材料試験機の概要図である。
【図2】軸心調整装置13付近の概要図である。
【図3】薄板60の平面図である。
【図4】他の薄板80の平面図である。
【図5】他の薄板90の平面図である。
【図6】支持部材70付近の概要図である。
【図7】従来の材料試験機における軸心調整装置113付近の概要図である。
【図8】軸心調整装置113における角度調整用カラー部材134付近の平面概要図である。
【図9】軸心調整装置113における位置調整用カラー部材135付近の平面概要図である。
【発明を実施するための形態】
【0032】
以下、この発明の実施の形態を図面に基づいて説明する。図1は、この発明に係る材料試験機の概要図である。
【0033】
この材料試験機は、テーブル16と、テーブル16上に立設された一対の支柱14と、この一対の支柱14に横架されたクロスヘッド23とにより負荷枠を構成し、クロスヘッド23に接続された一対の油圧シリンダ15と、リニアアクチュエータ25およびトルクアクチュエータ26とを備える。
【0034】
テーブル16には、試験片10の下端を把持する下つかみ具12が配設される。下つかみ具12は、テーブル16を貫通する軸27を介してリニアアクチュエータ25およびトルクアクチュエータ26に接続される。リニアアクチュエータ25は、疲労試験などで行われる引張および圧縮を繰り返す垂直方向の力を下つかみ具12に加えることで、試験片10に垂直方向の負荷を与える動力として機能する。また、トルクアクチュエータ26は、支持板28によりテーブル16の下の基枠29に支持されており、下つかみ具12に回転方向の力を加えることで、試験片10にねじり負荷を与える動力として機能する。なお、支持板28は、基枠29に対して上下動可能に配設されている。
【0035】
クロスヘッド23には、軸心調整部としての軸心調整装置13と荷重計測部としてのロードセル24とを介して、試験片10の上端を把持する上つかみ具11が配設される。クロスヘッド23は、一対の油圧シリンダ15の伸縮により、一対の支柱14に沿って昇降する。これにより、上つかみ具11と下つかみ具12により両端を把持された試験片10に対して、引張または圧縮などの垂直方向の負荷が与えられる。
【0036】
ロードセル24は、試験片10に対する垂直方向の試験力と、試験片10に対する回転方向の試験力と、の両方を同時計測可能な、いわゆる2軸ロードセルである。このため、引張試験、圧縮試験、ねじり試験のいずれかの試験のみならず、引張・圧縮試験にねじり試験を組み合わせた試験においても、試験力を検出することができる。
【0037】
図2は、軸心調整装置13付近の概要図である。
【0038】
軸心調整装置13は、クロスヘッド23と上つかみ具11との間に介在されるものであり、クロスヘッド23と上つかみ具11に接続された連結部61とを連結する連結軸131と、この連結軸131の中央部に固定された枠部材139と、枠部材139の内部で連結軸131の外周部に配設され、クロスヘッド23に固定された角度調整用カラー部材134と、枠部材139の内部で連結軸131の外周部に配設され、連結部61に固定された位置調整用カラー部材135とを備える。なお、図7から図9に示す従来の軸心調整装置113と同様の構成については、同一の符号を付し、詳細な説明は省略する。
【0039】
この材料試験機では、上つかみ具11と軸心調整装置13との間に、ロードセル24をさらに介在させているため、連結軸131の下端は、従来の軸心調整装置113とは異なり、ロードセル24との連結部61と螺合している。このように、連結部61は、直接的に上つかみ具11に連結する構成とはなっていないが、ロードセル24を下つかみ具12側に配置する場合には、従来の軸心調整装置113と同様に、連結部61は上つかみ具11に連結されることになる。
【0040】
この材料試験機は、連結部61をクロスヘッド23に接続することにより、連結部61にロードセル24を介して連結された上つかみ具11をクロスヘッド23に固定するための薄板60と支持部材70とを備える。薄板60は、支持部材70の下端に締結部材であるネジ62により接続されるとともに、連結部61にネジにより固定される。また、支持部材70は、オペレータが軸心調整用のネジ141、142、143、144、151、152、153、154にアクセス可能な空間を形成するように、4個配設されており、その上端はネジによりクロスヘッド23に固定されている。
【0041】
また、図7に示す従来の軸心調整装置113と同様に、連結軸131は、角度調整用カラー部材134、枠部材139および位置調整用カラー部材135を貫通するとともに、連結軸131の上端部は取付板132と螺合しており、連結軸131の下端部は連結部61と螺合している。そして、取付板132は、一対のジャッキボルト133を介してクロスヘッド23と連結されている。このため、一対のジャッキボルト133を利用して取付板132をクロスヘッド23に対して上方に移動させることにより、連結部61の下端にロードセル24を介して配設された上つかみ具11を所定の力でクロスヘッド23に締結することができる。
【0042】
図3は、薄板60の平面図である。
【0043】
この薄板60は、上つかみ具11の傾き方向についてほとんど剛性を持っていない円盤状の1枚の金属板から形成されている。すなわち、この薄板60は、薄板60の表面に向かう曲げ力に対しては、上つかみ具11の傾きに対応して柔軟に変形可能である。薄板60には、中央に連結部61を挿入するための連結孔65が設けられ、この連結孔65に沿って、薄板60を連結部61のフランジ部64にネジで固定するための複数のネジ孔66が設けられている。連結孔65には、連結部61の外周面の一部が連結孔65に当接することで生じる変形を、連結孔65の全体および薄板60の全体に及ぼさないための複数の切り欠き部67が形成されている。なお、連結孔65の切り欠き部67および連結孔65に沿って形成されるネジ孔66の数は、図3に示すものに限定されるものではなく、互いに対象かつ等間隔に形成されていればよい。
【0044】
また、薄板60には、薄板60と支持部材70の下端とを接続するための複数の挿入孔68が円盤の外周に沿って設けられている。この材料試験機においては、後述するように、その下端を2本のネジ62で固定する支持部材70を、4個配設することから、挿入孔68は、支持部材70の下端に形成された薄板60との接続用のネジ孔に対応する数、すなわち8個形成されている。そして、挿入孔68の径は、その挿入孔68に挿入されるネジ62の外径よりも大きく、ネジ62の頭部径よりも小さくなっている。このように挿入孔68を、そこに挿入されるネジ62の外径より大きくすることで、上つかみ具11の傾きにあわせた薄板60の水平方向の移動を可能としている。なお、この薄板60は、円盤の外周に沿って切り欠き部69を設けているが、薄板60の外周部が他の部材と当接する配置とはしていないため、この切り欠き部69はなくてもよい。
【0045】
図4および図5は、他の薄板80、90の平面図である。なお、先に説明した薄板60と同一の構成については、同一の符号を付し、詳細な説明は省略する。
【0046】
図4に示す薄板80は、先に説明した薄板60と同様の一枚の金属板で形成されているが、薄板60とは異なり、切り欠き部は、連結孔85および円盤の外周のいずれにも形成されていない。他の部材との当接による連結孔85の全体および薄板80の全体に及ぶ変形等の問題が生じない場合には、この薄板80のように、切り欠き部を省略してもよい。
【0047】
図5に示す薄板90は、先に説明した薄板60とは異なり、略扇形状の4枚の柔軟性を有する金属板で形成されている。この材料試験機では、4個の支持部材70を配設することから、この支持部材70ごとに1枚の薄板90を配設している。なお、薄板の数は、支持部材70の数に対応する枚数に限定されるものではなく、例えば、2個の支持部材70に対して略半円状の薄板を配設してもよい。また、薄板90の形状は、略扇形状に限定されるものではなく、例えば、台形状であってもよい。
【0048】
図6は、支持部材70付近の概要図である。
【0049】
支持部材70は、正面視において略I字状の形状を有し、剛性の大きい金属製の柱状部材である。支持部材70の上端はクロスヘッド23に、2本のネジ72により固定されている。また、支持部材70の下端には、2本のネジ62に対応したネジ孔が設けられ、ネジ62を締結することにより薄板60を支持部材70に固定している。
【0050】
再度図2を参照して、この材料試験機における軸心調整について説明する。まず、試験片10を上つかみ具11および下つかみ具12に把持させた状態で、薄板60と複数の支持部材70を接続する各ネジ62を脱落しない程度に緩める。このとき薄板60は、挿入孔68の径がネジ62の外径より大きいことから、挿入孔68の大きさの分だけ、水平移動が可能となっている。その状態で、オペレータは、軸心調整装置13における角度調整用のネジ141、142、143、144、位置調整用のネジ151、152、153、154、を操作することにより、軸心調整を行う。
【0051】
軸心調整が終わると、オペレータは、ネジ62を締め、薄板60を支持部材70に固定する。このとき、挿入孔68の径がネジ62の外径より大きい分、先に軸心調整を行ったことによる上つかみ具11の傾きにあわせて、ネジ62の軸と挿入孔68の中心とがずれた状態でも、ネジ62を締めることができる。また、上つかみ具11が傾いていることにより、支持部材70の下端面と薄板60の表面との間の隙間が均一でない場合も、薄板60はその表面に与えられる力に対しては柔軟性を有していることから、薄板60がネジ62による締結時に変形する。これにより、ネジ62による締結時に、軸心調整装置13に対して軸心調整装置13における各部材間の摩擦力を大きくする力を与えることなく、上つかみ具11をクロスヘッド23に固定することができる。
【0052】
このように、上つかみ具11をクロスヘッド23に固定すると、試験片10にねじり負荷を与えたときに、上つかみ具11がねじり負荷の回転方向に回転することがなく、連結軸131が上つかみ具11とともに回転することもない。したがって、軸心調整装置13が回転することも防止できる。
【0053】
なお、上述した実施形態では、負荷枠を構成するクロスヘッド23と上つかみ具11との間に軸心調整装置13とロードセル24を介在させているため、連結部61は、軸心調整装置13とロードセル24との間を連結しているが、この発明の連結部は、負荷枠と一対のつかみ具の一方を連結する何らかの部材であればよい。
【符号の説明】
【0054】
10 試験片
11 上つかみ具
12 下つかみ具
13 軸心調整装置
14 支柱
15 油圧シリンダ
16 テーブル
23 クロスヘッド
24 ロードセル
25 リニアアクチュエータ
26 トルクアクチュエータ
27 軸
28 支持板
29 基枠
60 薄板
61 連結部
62 ネジ
64 フランジ部
65 連結孔
66 ネジ孔
67 切り欠き部
68 挿入孔
70 支持部材
80 薄板
90 薄板
111 連結部
131 連結軸
132 取付板
133 ジャッキボルト
134 角度調整用カラー部材
135 位置調整用カラー部材
136 枠部
137 支持部
138 凸部
139 枠部材
141 ネジ
142 ネジ
143 ネジ
144 ネジ
151 ネジ
152 ネジ
153 ネジ
154 ネジ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
一対のつかみ具により把持された試験片に対して、引張・圧縮試験およびねじり試験を行う材料試験機であって、
負荷枠に固定されるとともに、前記一対つかみ具の一方に連結部を介して連結されることにより、当該つかみ具の軸心を調整する軸心調整部と、
前記連結部に固定されるとともに、前記軸心調整部に連結されたつかみ具と前記軸心調整部との連結方向に対してその表面が交差する方向に配置される変形可能な板部材と、
前記板部材と前記負荷枠とを連結する複数の支持部材と、
を備えることを特徴とする材料試験機。
【請求項2】
請求項1に記載の材料試験機において、
前記板部材と前記複数の支持部材とは、締結部材を介して連結され、
前記板部材には、前記締結部材を挿入する複数の挿入孔が設けられ、
前記挿入孔は、前記締結部材の外径よりも大きい材料試験機。
【請求項3】
請求項2に記載の材料試験機において、
前記板部材は、前記連結部が貫通する連結孔を有する金属製の1枚の薄板である材料試験機。
【請求項4】
請求項3に記載の材料試験機において、
前記薄板は、前記連結孔の近傍に複数の切り欠け部を有する材料試験機。
【請求項5】
請求項2に記載の材料試験機において、
前記板部材は、前記連結部を中心に等間隔に配設される複数の金属製の薄板である材料試験機。
【請求項6】
請求項1に記載の材料試験機において、
前記連結部に、前記試験片に負荷される試験力を検出する荷重検出手段を備える材料試験機。
【請求項7】
請求項6に記載の材料試験機において、
前記荷重検出手段は、2軸同時計測が可能なロードセルである材料試験機。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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