説明

材料送り装置

【課題】高速送り可能、小形で簡単な構造で振動と騒音を著しく低減可能な材料送り装置を提供する。
【解決手段】搬送方向に細長い基台と、基台の上流側と下流側に設けた第1,第2可動台3、4と、第1,第2可動台3、4を独立に搬送方向と平行に往復移動可能な第1,第2移動駆動機構5、6と、第1,第2移動駆動手段5、6を制御する制御ユニットと、帯状材料を夫々クランプ可能な第1,第2クランプ機構8、9と、第1,第2可動台3、4が接近移動するとき第1クランプ機構8をクランプ状態にし且つ第2クランプ機構9をクランプ解除状態にし、第1,第2可動台3、4が離隔移動するとき第1クランプ機構8をクランプ解除状態にし且つ第2クランプ機構9をクランプ状態にするように第1,第2クランプ機構8、9の作動状態を切換えるクランプ切換え機構10とを有する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、材料送り装置に関し、特にプレス機に対して帯状材料を高速で設定ストロークずつピッチ送りする材料送り装置に関する。
【背景技術】
【0002】
ロール状に巻いた帯状材料をプレス機に設定ストロークずつピッチ送りして、成形加工に供する場合、プレス機の上流側と下流側に材料送り装置を設け、この材料送り装置により帯状材料を設定ストロークずつピッチ送りする。
この種の材料送り装置として、特許文献1に記載された材料送り装置は、固定側ロールと、これの上方に配置した移動側ロールであって揺動アームに枢支された移動側ロールとで、材料を間欠送りする送り装置である。
【0003】
この移動側ロールの可動片を上方へ駆動して移動側ロールを開放させる開放用電磁石と、揺動アームの下端部を下方へ駆動して移動側ロールを固定側ロールに押圧する閉鎖用電磁石とを設け、開放用電磁石と閉鎖用電磁石とを交互に作動させることで、間欠的な材料送りを行うように構成してある。
【0004】
特許文献2に記載された材料送り装置は、帯状材料(例えば、リードフレーム)を設定ストロークずつピッチ送りする装置である。この材料送り装置は、帯状材料の両側端をチャック可能な所定長さを有する1対のガイドチャックと、それらガイドチャックに帯状材料を上方から投入する為に1対のガイドチャックを開いた開状態と、それらガイドチャックで帯状材料を挟持して搬送可能な閉状態とに切換えるエアシリンダと、1対のガイドチャック等をX方向(帯状材料の長さ方向)へ移動駆動するX軸送り機構と、1対のガイドチャック等を作動位置と待機位置とに位置切換えする為にY方向へ移動駆動するY軸送り機構とを有する。
【0005】
帯状材料を設定ストロークずつピッチ送りする場合、搬送方向上流端において1対のガイドチャックを開状態にして帯状材料を投入後、それらガイドチャックを閉状態に切換え、その状態においてX軸送り機構により設定ストロークだけ搬送方向へ搬送方向下流端まで移送させ、次に1対のガイドチャックを開状態にして、1対のガイドチャックをX軸送り機構により設定ストロークだけ復帰移送させると、1サイクルの送り動作が完了する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開2001−25833号公報
【特許文献2】特開2001−15530号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
特許文献1の材料送り装置は、基本的に数mmの厚さの鋼板のコイル材を送るのには適しているとしても、上下のロールで帯状材料を挟持して移送する構成であるため、材料送り装置の全高が大きく、装置が大型化すること、帯状材料を高速で設定ストロークずつ精度よくピッチ送りするには、ロール駆動用モータを制御する制御装置が複雑化する上、送り量に誤差が発生しやすい。
【0008】
特許文献2の材料送り装置は、1対のガイドチャックをX軸送り機構により設定ストロークだけ復帰移送させる間(稼働時間の50%)は帯状材料を搬送することができないため、送り速度を十分に高めることは困難であること、装置の構造が複雑で大型化し製作費が高価になること、慣性質量を有する1対のガイドチャックが搬送方向とその反対方向へ往復運動するので、振動と騒音が発生すること等の問題がある。
【0009】
しかも、1対のガイドチャックをエアシリンダにより開閉する構成であるため、帯状材料をクランプするクランプ機構を搬送動作と機械的に連動させてクランプ状態とクランプ解除状態とに切換えることはできないため、クランプ機構を駆動するアクチュエータと、そのアクチュエータを制御する制御部が必要であるから、高精度で高速送りする上で不利であり、構造が複雑化し、製作費も高価になる。
【0010】
本発明の目的は、高速送り可能な材料送り装置、小形で簡単な構造の材料送り装置、振動と騒音を著しく低減可能な材料送り装置、帯状材料をクランプするクランプ機構を搬送動作と機械的に連動させて切換え可能な材料送り装置等を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0011】
請求項1の材料送り装置は、帯状材料をその長さ方向に設定ストロークずつピッチ送りする材料送り装置において、前記帯状材料を送る搬送方向に細長く形成された基台と、前記基台に搬送方向に直列に上流側と下流側に設けられた第1,第2可動台と、前記第1,第2可動台を独立に搬送方向と平行に往復移動可能な第1,第2移動駆動手段と、前記第1,第2可動台が前記設定ストローク往復移動して接近・離隔するように前記第1,第2移動駆動手段を制御する数値制御式制御手段と、前記第1,第2可動台に帯状材料を夫々クランプ可能な第1,第2クランプ機構と、前記第1,第2可動台が接近移動するとき第1クランプ機構をクランプ状態にし且つ第2クランプ機構をクランプ解除状態にし、前記第1,第2可動台が離隔移動するとき第1クランプ機構をクランプ解除状態にし且つ第2クランプ機構をクランプ状態にするように前記第1,第2クランプき機構の作動状態を切換えるクランプ切換え機構とを備えたことを特徴としている。
【0012】
請求項2の材料送り装置は、請求項1の発明において、前記クランプ切換え機構は、前記第1,第2クランプ機構の作動状態を、前記第1,第2可動台の搬送動作と連動して機械的に切換えることを特徴としている。
【0013】
請求項3の材料送り装置は、請求項1又は2の発明において、前記第1,第2移動駆動手段は、前記第1,第2可動台を移動自在に案内するリニアガイド機構と、第1,第2可動台を夫々往復移動する為の第1,第2ボールネジ機構及び1対のサーボモータとを有することを特徴としている。
【0014】
請求項4の材料送り装置は、請求項1又は2の発明において、前記第1,第2クランプ機構の各々は、第1可動台又は第2可動台の端部に搬送方向と平行な枢支軸を介して回動可能に枢支されたL形回動アームと、このL形回動アームの上端の横腕部に装備され且つ帯状材料の幅方向端縁近傍部を第1可動台又は第2可動台に押圧可能なクランプヘッドと、前記L形回動アームをクランプ方向へ弾性付勢するスプリング部材とを有することを特徴としている。
【0015】
請求項5の材料送り装置は、請求項4の発明において、前記クランプ切換え機構は、前記第1,第2可動台に夫々搬送方向と平行に可動に装備された第1,第2可動ロッドと、前記第1,第2可動ロッドに夫々形成されたクランプ用環状溝と、前記第1,第2クランプ機構のL形回動アームの縦腕部の下端部に夫々固定されて対応するクランプ用環状溝に係脱可能な係合片と、前記第1,第2可動台が接近限界位置に達したときに前記第1,第2可動ロッドを夫々受け止める接近端ストッパ機構と、前記第1,第2可動台が離隔限界位置に達したときに前記第1,第2可動ロッドを夫々受け止める離隔端ストッパ機構とを備えたことを特徴としている。
【0016】
請求項6の材料送り装置は、請求項5の発明において、前記接近端ストッパ機構は、前記基台の長さ方向中央部に固定されたガイド部材と、このガイド部材に搬送方向と平行に可動に挿通されたロッド部材と、このロッド部材の両端部に位置可変に夫々固定された1対の接近端ストップ部材と、前記ロッド部材の両端部分に夫々外装されて前記ガイド部材に対して接近端ストップ部材をガイド部材から離隔する方向へ弾性付勢する第1圧縮バネとを備えたことを特徴としている。
【0017】
請求項7の材料送り装置は、請求項6の発明において、前記離隔端ストッパ機構は、前記ガイド部材と前記第1,第2可動台を挿通して基台に沿って延び且つ両端部が基台に支持されたガイド用ロッド部材と、このガイド用ロッド部材の両端側部分に位置可変に夫々固定された 1対の離隔端ストップ部材と、前記ガイド用ロッド部材の両端側部分に夫々外装されて前記基台に対してガイド用ロッド部材を前記ガイド部材の方へ弾性付勢する1対の第2圧縮バネとを備えたことを特徴としている。
【0018】
請求項8の材料送り装置は、帯状材料をその長さ方向に設定ストロークずつピッチ送りする材料送り装置において、前記帯状材料を送る搬送方向に細長く形成された基台と、前記基台に搬送方向に直列に上流側と下流側に設けられた第1,第2可動台と、前記第1,第2可動台を搬送方向と平行に往復移動可能な共通移動駆動手段と、前記第1,第2可動台が前記設定ストローク往復移動して接近・離隔するように前記共通移動駆動手段を制御する数値制御式制御手段と、前記第1,第2可動台に帯状材料を夫々クランプ可能な第1,第2クランプ機構と、前記第1,第2可動台が接近移動するとき第1クランプ機構をクランプ状態にし且つ第2クランプ機構をクランプ解除状態にし、前記第1,第2可動台が離隔移動するとき第1クランプ機構をクランプ解除状態にし且つ第2クランプ機構をクランプ状態にするように前記第1,第2クランプ機構の作動状態を切換えるクランプ切換え機構とを備えたことを特徴としている。
【0019】
請求項9の材料送り装置は、請求項8の発明において、前記共通移動駆動手段は、前記第1,第2可動台を移動自在に案内するリニアガイド機構と、第1,第2可動台を夫々往復移動する為の互いに逆ネジの第1,第2ボールネジ機構及びこれら第1,第2ボールネジ機構を回転駆動する為の共通のサーボモータとを有することを特徴としている。
【発明の効果】
【0020】
請求項1の発明によれば、数値制御式制御手段により、第1,第2移動駆動手段を制御することにより、第1,第2可動台を高精度に移動させることができる。
第1,第2可動台が接近・離隔するように第1,第2移動駆動手段を制御する数値制御式制御手段を設け、第1,第2可動台が接近移動するとき、上流側の第1可動台の第1クランプ機構をクランプ状態にし、第1,第2可動台が離隔移動するとき、下流側の第2可動台の第2クランプ機構をクランプ状態にするクランプ切換え機構を設けたため、第1,第2可動台が接近移動するとき上流側の第1可動台を介して帯状材料を搬送し、第1,第2可動台が離隔移動するとき下流側の第2可動台を介して帯状材料を搬送するため、帯状材料を高速にて搬送することができる。
【0021】
第1,第2可動台が接近移動と離隔移動を行うように構成したため、第1,第2可動台に作用する慣性力がキャンセルし合うので、振動、騒音が殆ど発生しない低振動の装置となる。クランプ切換え機構により、第1,第2可動台の搬送動作と連動させて第1,第2クランプ機構を切換え可能に構成することができるため、第1,第2クランプ機構の作動状態を切換える為のアクチュエータや制御手段を省略することも可能になる。
送り装置の全高を低くし、簡単なコンパクトな構成の装置にすることができる。
【0022】
請求項2の発明によれば、前記クランプ切換え機構は、第1,第2クランプ機構の作動状態を、第1,第2可動台の搬送動作と連動して機械的に切換える構成であるため、第1,第2クランプ機構の作動状態を切換えるアクチュエータやその制御手段を省略することができる。
【0023】
請求項3の発明によれば、リニアガイド機構で第1,第2可動台を円滑にガイドし、また、第1,第2ボールネジ機構と第1,第2サーボモータにより第1,第2可動台を高精度に搬送移動させることができる。
請求項4の発明によれば、第1,第2クランプ機構の各々は、L形回動アームと、クランプヘッドと、スプリング部材とを有する簡単な構成にすることができる。
【0024】
請求項5の発明によれば、クランプ切換え機構は、第1,第2可動台が接近限界位置に達したときに、接近端ストッパ機構により第1,第2可動ロッドを受け止めて、第1,第2可動ロッドの軸方向位置を切換え、第1,第2クランプ機構のL形回動アームの係合片を第1,第2可動ロッドのクランプ用環状溝に係脱させて、第1,第2クランプ機構の作動状態を切換える。また、第1,第2可動台が離隔限界位置に達したときに、離隔端ストッパ機構により第1,第2可動ロッドを受け止めて、第1,第2可動ロッドの軸方向位置を切換え、第1,第2クランプ機構のL形回動アームの係合片を第1,第2可動ロッドのクランプ用環状溝に係脱させて、第1,第2クランプ機構の作動状態を切換える。
【0025】
請求項6の発明によれば、接近端ストッパ機構は、基台の長さ方向中央部に固定されたガイド部材と、ロッド部材と、このロッド部材の両端部に位置可変に固定された1対の接近端ストップ部材と、1対の第1圧縮バネとを備えている。1対の接近端ストップ部材の位置を変えることで、第1,第2可動台の接近限界位置を変更可能である。また、1対の第1圧縮バネを備えているため、第1,第2可動ロッドを受け止める際の衝撃を緩和できる。
【0026】
請求項7の発明によれば、1対の離隔端ストップ部材の位置を変えることで、第1,第2可動台の離隔限界位置を変更可能である。また、1対の第2圧縮バネを備えているため、第1,第2可動ロッドを受け止める際の衝撃を緩和できる。
【0027】
請求項8の発明によれば、請求項1と同様の効果が得られるうえ、1つの共通のサーボモータで第1,第2可動台を移動駆動する構成であるので、構成が簡単化し、製作費を低減できる。
請求項9の発明によれば、請求項3と同様の効果が得られる。
【図面の簡単な説明】
【0028】
【図1】本発明の実施例に係る成形ラインの正面図である。
【図2】高速フィーダーの平面図である。
【図3】図2のIII −III 線断面図である。
【図4】図2のIV−IV線断面図である。
【図5】図3のV−V線断面図である。
【図6】図5のVI矢視図である。
【図7】図6のVII −VII 線断面図である。
【図8】図2のVIIIの部分の拡大図である。
【図9】接近端ストッパ機構と離隔端ストッパ機構の拡大正面図である。
【図10】プレス機のスライドと第1,第2可動台と第1,第2クランプ機構の動作を示すタイムチャートである。
【図11】実施例2の高速フィーダーの平面図である。
【図12】図11のXII −XII 線断面図である。
【図13】実施例2の図10相当図である。
【発明を実施するための形態】
【0029】
以下、本発明を実施するための形態について、実施例に基づいて説明する。
【実施例1】
【0030】
図1に示すように、打抜き加工ラインLは、クランク式プレス機Pにより、帯状の薄い電磁鋼板M(帯状材料)(例えば、幅200〜300mm,厚さ約1mm)を高速にて打ち抜き加工して、電動モータのロータやステータの部品を製造するラインであり、この打抜き加工ラインLには2台の高速フィーダー1が組み込まれている。1台の高速フィーダー1はプレス機Pに対して搬送方向上流側に配設され、他の1台の高速フィーダー1はプレス機Pに対して搬送方向下流側に配設されている。尚、以下の説明において、「上流」、「下流」は、搬送方向における「上流」、「下流」を意味する。
【0031】
これら2台の高速フィーダー1は、プレス機Pによる打抜き動作の終了毎に帯状材料Mを設定ストロークずつピッチ送りする材料送り装置である。帯状材料Mは、材料コイルm1から引き出され、プレス機Pにより打抜き加工されてからスクラップ部分が加工済みコイルm2に巻き取られる。2台の高速フィーダー1は、同構造のもので、同期して材料送りを行うものであるので、搬送方向上流側の高速フィーダー1を例にして説明する。
【0032】
図2〜図7に示すように、高速フィーダー1は、搬送方向に細長い基台2と、この基台2の上面側に搬送方向に直列に上流側と下流側に設けられた第1,第2可動台3,4と、これら第1,第2可動台3,4を、搬送方向と平行に往復移動可能な第1,第2移動駆動機構5,6と、制御ユニット7(図1参照)と、第1,第2可動台3,4に帯状材料Mを夫々クランプ可能な第1,第2クランプ機構8,9と、クランプ切換え機構10等を備えている。
【0033】
前記第1,第2可動台3,4は、帯状材料Mの幅方向に細長い水平姿勢の鋼製矩形板で構成されている。第1,第2可動台3,4が設定ストローク往復移動して接近・離隔するように第1,第2移動駆動機構5,6を制御する数値制御式制御手段としての制御ユニット7が設けられている。この制御ユニット7には、プレス機Pのクランク軸の特定回転位相を検出する位相検出器11から特定位相信号が供給されている。プレス機Pのスライドが上死点のときのクランク角を0度として、上記の特定回転位相はクランク角240度である。制御ユニット7には、上記の特定位相信号と、第1,第2サーボモータ15,16から供給される基準位置信号及び回転位相信号に基づいて、後述する図10のタイムチャートとなるように、第1,第2サーボモータ15,16を数値制御方式で駆動制御する制御プログラムが予め格納されている。
【0034】
図2、図3に示すように、第1,第2移動駆動機構5,6は、第1,第2可動台3,4を搬送方向に移動自在に案内するリニアガイド機構12と、第1,第2可動台3,4を夫々高速で往復移動する為の第1,第2ボールネジ機構13,14及び第1,第2サーボモータ15,16を備えている。前記リニアガイド機構12は、基台2の幅方向両端寄り部位の上端部に固定された1対のガイドレール12aと、これらガイドレール12aに低摩擦で係合したベアリング部材12bであって、第1可動台3又は第2可動台4の下面にボルトにて固定されたベアリング部材12bとを備えている(図5参照)。
【0035】
第1ボールネジ機構13は、基台2の上流側半分の上側に配設され、第2ボールネジ機構14は、基台2の下流側半分の上側に配設されている。第1ボールネジ機構13は、第1ボールネジ軸13aと、この第1ボールネジ軸13aに外嵌状に螺合されて第1可動台3に固定された第1ボールネジナット13bとを有する。第2ボールネジ機構14は、第2ボールネジ軸14aと、この第2ボールネジ軸14aに外嵌状に螺合されて第2可動台4に固定された第2ボールネジナット14bとを有する。
【0036】
第1ボールネジ軸13aの上流端近傍部は、2列のラジアル軸受け13cで回転自在に支持されている。本実施例の場合片持ち支持になっているが、第1ボールネジ軸13aの下流端部を支持する軸受けを設けてもよい。また、第2ボールネジ軸14aの下流端近傍部は、2列のラジアル軸受け14cで回転自在に支持されている。本実施例の場合片持ち支持になっているが、第2ボールネジ軸14aの上流端部を支持する軸受けを設けてもよい。
【0037】
第1サーボモータ15の出力軸に固定されたプーリ17と、第1ボールネジ軸13aの上流側端部に固定されたプーリ18と、これらプーリ17,18に掛け回したタイミングベルト19とが設けられ、第1サーボモータ15によりタイミングベルト19を介して第1ボールネジ軸13aを回転駆動することにより、第1ボールネジナット13bと第1可動台3とを搬送方向と平行方向へ移動駆動できるように構成してある。
【0038】
同様に、第2サーボモータ16の出力軸に固定されたプーリ17と、第2ボールネジ軸14aの下流側端部に固定されたプーリ18と、これらプーリ17,18に掛け回したタイミングベルト19とが設けられ、第2サーボモータ16によりタイミングベルト19を介して第2ボールネジ軸14aを回転駆動することにより、第2ボールネジナット14bと第2可動台4とを搬送方向と平行方向へ移動駆動できるように構成してある。
【0039】
図2〜図7に示すように、第1可動台3の帯状材料Mの幅方向両端部に相対向状に1対の第1クランプ機構8が装備されている。第1クランプ機構8は、第1可動台3の端部に複数のボルトにて固定され且つ第1可動台3の一部をなすブロック状のクランプ本体22と、クランプ本体22に搬送方向と平行な枢支軸23を介して回動可能に枢支されたL形回動アーム24と、このL形回動アーム24の上端の横腕部24aに装備され且つ帯状材料Mの幅方向端縁近傍部を第1可動台3に押圧可能なクランプヘッド25と、L形回動アーム24をクランプ方向へ弾性付勢するスプリング部材26とを備えている。
【0040】
前記クランプヘッド25から上方へ延びるネジ軸部25aが横腕部24aを螺合貫通して上方に突出し、そのネジ軸部25aに座金25bを介してロックナット25cを螺合することで、帯状材料Mの厚さに応じてクランプヘッド25の高さ位置を調節可能に構成してある。
【0041】
前記枢支軸23よりも上側においてL形回動アーム24の縦腕部24bに対向するように、クランプ本体22に収容穴が形成され、この収容穴に円筒ケース26aが帯状材料Mの幅方向へ水平に移動可能に装着されて縦腕部24bに当接し、この円筒ケース26aに皿バネ積層体からなるスプリング部材26が装着され、このスプリング部材26により円筒ケース26aを介してL形回動アーム24をクランプ方向(図7にて時計回り方向)へ弾性付勢して帯状材料Mをクランプするように構成してある。
【0042】
上記と同様に、第2可動台4の帯状材料Mの幅方向両端部に相対向状に1対の第2クランプ機構9が装備されている。第2クランプ機構9は、第1クランプ機構8と同様の構成のものであるので、その説明は省略する。
【0043】
図2〜図9に示すように、第1,第2可動台3,4は、既述のごとく、搬送方向に直列状に上流側と下流側に配設されており、クランプ切換え機構10は、第1,第2可動台3,4が接近移動するとき1対の第1クランプ機構8をクランプ状態に保持し且つ1対の第2クランプ機構9をクランプ解除状態に保持し、第1,第2可動台3,4が離隔移動するとき1対の第1クランプ機構8をクランプ解除状態に保持し且つ1対の第2クランプ機構9をクランプ状態に保持するように第1,第2クランプ機構8,9の作動状態を切換えるものである。クランプ切換え機構10は、第1,第2クランプ機構8,9の作動状態を、第1,第2可動台3,4の搬送動作と連動して機械的に切換える。
【0044】
クランプ切換え機構10は、第1可動台3の両端部であるクランプ本体22に夫々搬送方向と平行に可動に装備された1対の第1可動ロッド30と、第2可動台4の両端部であるクランプ本体22に夫々搬送方向と平行に可動に装備された1対の第2可動ロッド31と、それら第1,第2可動ロッド30,31に夫々形成されたクランプ用環状溝32と、第1,第2クランプ機構8,9のL形回動アーム24の縦腕部24bの下端部に夫々固定されて対応するクランプ用環状溝32に係脱可能な係合片33と、第1,第2可動台3,4が接近限界位置に達したときに第1,第2可動ロッド30,31を夫々受け止める接近端ストッパ機構34と、第1,第2可動台3,4が離隔限界位置に達したときに第1,第2可動ロッド30,31を夫々受け止める離隔端ストッパ機構35とを備えている。
【0045】
上記クランプ切換え機構10において、係合片33はクランプ本体22の穴に可動に装着され、係合片33のテーパ状の先端部がクランプ用環状溝32に係合すると、L形回動アーム24がクランプ方向へ回動して帯状材料Mを押圧するクランプ状態になり、係合片33の先端部がクランプ用環状溝32から外れると、クランプ解除状態になる。
【0046】
第1,第2可動台3,4が接近移動するとき、第1クランプ機構8がクランプ状態に保持され、第2クランプ機構9がクランプ解除状態に保持されている。後述するように、第1可動台3の第1可動ロッド30が接近端ストッパ機構34で受け止められ、その直後に第2可動台4の第2可動ロッド31が接近端ストッパ機構34で受け止められる。
【0047】
接近端ストッパ機構34は、基台2の長さ方向中央部の両端部に固定された1対のガイド部材40と、これらガイド部材40のガイド孔に搬送方向と平行に可動に夫々挿通された1対のロッド部材41と、これらロッド部材41の両端部に位置可変に夫々固定された2対の接近端ストップ部材42と、1対のロッド部材41の両端部分に夫々外装されてガイド部材40に対して接近端ストップ部材42が離隔する方向へ弾性付勢する2対の第1圧縮バネ43とを備えている。尚、第1圧縮バネ43は小さなバネ定数のバネである。
【0048】
接近端ストップ部材42はネジ軸部42aとストップ部42bとを有し、ネジ軸部42aをロッド部材41のネジ穴に螺合し、ストップ部42bの位置を調節してからロックナット42cでロックすることで、接近端ストップ部材42はロッド部材41に搬送方向位置可変に固定されている。ストップ部42bはレンチ等の工具で操作する為の2面カットを有する。上記ロッド部材41の端部にはバネ受け44がロックナット42cにより固定され、ガイド部材40とバネ受け44との間において、ロッド部材41の端部分には第1圧縮バネ43が外装されている。
【0049】
第1,第2可動台3,4が接近移動して、それらの第1,第2可動ロッド30,31が接近端ストッパ機構34で受け止められるとき、後述するように、第1可動ロッド30が接近端ストップ部材42で受け止められ、僅かに遅れて、第2可動ロッド31が接近端ストップ部材42で受け止められ、ロッド部材41が中立位置になったとき第1クランプ機構8がクランプ解除状態に切換わると共に第2クランプ機構9がクランプ状態に切換わる。このように、第1可動ロッド30に対応する第1圧縮バネ43が緩衝機能を発揮し、その直後に第2可動ロッド31に対応する第1圧縮バネ43が緩衝機能を発揮する。
【0050】
離隔端ストッパ機構35は、1対のガイド部材40と第1,第2可動台3,4の両端部を挿通して基台2に沿って延び且つ両端部が基台2の支持部材2aに支持された1対のガイド用ロッド部材50と、これらガイド用ロッド部材50の両端側部分に位置可変に夫々固定された2対の離隔端ストップ部材51と、1対のガイド用ロッド部材50の両端側部分に夫々外装されて基台2に対してガイド用ロッド部材50をガイド部材40の方へ弾性付勢する2対の第2圧縮バネ55とを備えている。尚、第2圧縮バネ55は小さなバネ定数のバネである。
【0051】
第1可動ロッド30の為の離隔端ストップ部材51と、第2可動ロッド31の為の離隔端ストップ部材51は同様のものであるので、第1可動ロッド30の為の離隔端ストップ部材51について説明する。離隔端ストップ部材51は、ガイド用ロッド部材50に位置可変に外嵌されたストップ部材本体52及び縮径可能なロック部材53と、複数のボルト54等を有する。ストップ部材本体52は、第1可動ロッド30の上流端を受止め可能な受止面52aを有する。ロック部材53の外周面がテーパ面に形成され、ストップ部材本体52の位置を調節してから、ストップ部材本体52に内嵌したロック部材53を複数のボルト54で圧入側へ締結することで、ストップ部材本体52をガイド用ロッド部材50に固定してある。
【0052】
上記の離隔端ストップ部材51と支持部材2aの間において、ガイド用ロッド部材50には第2圧縮バネ55が外装され、この第2圧縮バネ55によりガイド用ロッド部材50がガイド部材40の方へ付勢されている。
【0053】
第1,第2可動台3,4が離隔移動して、それらの第1,第2可動ロッド30,31が離隔端ストッパ機構35で受け止められるとき、後述するように、第2可動ロッド31が離隔端ストップ部材51で受け止められ、僅かに遅れて、第1可動ロッド30が離隔端ストップ部材51で受け止められ、ガイド用ロッド部材50が中立位置になったとき第1クランプ機構8がクランプ状態に切換わると共に第2クランプ機構9がクランプ解除状態に切換わる。このように、第2可動ロッド31に対応する第2圧縮バネ55が緩衝機能を発揮し、その直後に第1可動ロッド30に対応する第2圧縮バネ55が緩衝機能を発揮する。
【0054】
クランプ切換え機構10には、第1,第2クランプ機構8,9がクランプ解除状態のとき、そのクランプ解除状態を保持する第1,第2保持機構36,37が設けられている。 第1,第2保持機構36,37は同様の構成であるので、第1保持機構36について説明する。第1保持機構36は、クランプ用環状溝32よりも上流側において第1可動ロッド30に形成された保持用環状溝37と、クランプ本体22の穴に可動に装着されたピン部材38と、このピン部材38を付勢する圧縮バネ39とを有する。
【0055】
図8、図9に示すように、第1可動ロッド30が接近端ストッパ機構34により押動されて第1クランプ機構8がクランプ状態からクランプ解除状態に切換ったとき、第1保持機構36のピン部材38のテーパ状の先端部が保持用環状溝37に係合し、その後第1可動台3が離隔限界位置に移動して離隔端ストッパ機構35で第1可動ロッド30が受け止められるまでクランプ解除状態を保持するように構成してある。
【0056】
クランプ切換え機構10には、クランプ用環状溝32の局部摩耗を防止する為の規制機構45が設けられている。この規制機構45は、第1,第2可動ロッド30,31が接近端ストップ部材42に当接するとき、ロッド部材41の移動量を規制し且つロッド部材41を小角度だけ回動させることによって第1,第2可動ロッド30,31を小角度回動させるように構成してある。この規制機構45は、ロッド部材41の長さ方向中央部においてロッド部材41の上端部に搬送方向(ロッド部材41の長さ方向)に対して傾斜状に形成された所定長さを有する傾斜溝46と、この傾斜溝46の中央部に係合された規制ピン部材47とを有する。規制ピン部材47の頂板47aが2本のビス48でガイド部材40に固定され、規制ピン部材47が固定されている(図9参照)。
【0057】
次に、以上説明した高速フィーダー1の作用、効果について説明する。
図10は、プレス機Pのスライドの昇降位置と、第1,第2可動台3,4の搬送動作と、第1,第2クランプ機構8,9の動作等を示すタイムチャートである。
最初、第1,第2可動台3,4は接近限界位置に保持された状態において、プレス機Pが作動開始し、制御ユニット7は、位相検出器11から特定位相信号が入ったとき、第1,第2移動駆動機構13,14の駆動を開始し、第1,第2可動台3,4を互いに離隔する方向へ設定ストローク移動駆動する。
【0058】
このとき、第2クランプ機構9をクランプ状態に保持して、第2可動台4がフィード(材料送り動作)を行い、第1クランプ機構8をクランプ解除状態に保持して、第1可動台3がリターン(復帰動作)を行う。フィードの速度はリターンの速度よりも高速であるため、例えばクランク角120度のとき第2可動台4が離隔限界位置に達してから、例えばクランク角170度のとき第1可動台3が離隔限界位置に達する。
図9に示すように、第2可動台4が離隔限界位置に達したとき、第2可動ロッド31の下流端が離隔端ストップ部材51に衝突して第2圧縮バネ55を収縮させ、離隔端ストップ部材51と共にガイド用ロッド部材50を下流側へ移動させることで衝撃を吸収する。
【0059】
その直後に、第1可動台3が離隔限界位置に達し、第1可動ロッド30が離隔端ストップ部材51に衝突して第2圧縮バネ55を収縮させ、離隔端ストップ部材51と共にガイド用ロッド部材50を上流側へ移動させることで衝撃を吸収する。こうして、第1,第2可動ロッド30,31が夫々離隔端ストップ部材51に衝突し、例えばクランク角170度のとき、ガイド用ロッド部材50が中立位置に切換わると、第1,第2可動ロッド30,31の位置が同時に切換わって、第1クランプ機構8がクランプ状態に切換わると共に第2クランプ機構9がクランプ解除状態に切換わる。そして、第2保持機構37のピン部材38が保持用環状溝37に嵌合して、次にクランプ状態に切換えられるまでクランプ解除状態を保持する。
【0060】
第1,第2クランプ機構8,9の何れか一方で帯状材料Mをクランプした状態において、例えばクランク角120度〜240度の間に、プレス機Pによる打ち抜き加工が実行される。次に、クランク角が240度になると、第1,第2可動台3,4が互いに接近する方向へ移動駆動される。第1クランプ機構8をクランプ状態に保持して、第1可動台3がフィード(材料送り)を行い、第2クランプ機構9をクランプ解除状態に保持して、第2可動台4がリターン(復帰動作)を行う。
【0061】
例えばクランク角120度のとき第1可動台3が接近限界位置に達してから、例えばクランク角170度のとき第2可動台4が接近限界位置に達する。図9に示すように、第1可動台3が接近限界位置に達したとき、第1可動ロッド30の下流端が接近端ストップ部材42に衝突して第1圧縮バネ43を収縮させ、接近端ストップ部材42と共にロッド部材41を下流側へ移動させることで衝撃を吸収する。
【0062】
その直後に、第2可動台4が接近限界位置に達し、第2可動ロッド31が接近端ストップ部材42に衝突して第1圧縮バネ43を収縮させ、接近端ストップ部材42と共にロッド部材41を上流側へ移動させることで衝撃を吸収する。こうして、第1,第2可動ロッド30,31が夫々接近端ストップ部材42に衝突し、例えばクランク角170度のとき、ロッド部材41が中立位置に切換わると、第1,第2可動ロッド30,31の位置が同時に切換わって、第1クランプ機構8がクランプ解除状態に切換わると共に第2クランプ機構9がクランプ状態に切換わる。そして、第1保持機構36のピン部材38が保持用環状溝37に嵌合し、次にクランプ状態に切換えられるまでクランプ解除状態を保持する。
【0063】
前記規制機構45を設けてあるため、第1可動ロッド30の下流端が接近端ストップ部材42に衝突し、ロッド部材41が下流方向へ小距離移動するとき、ロッド部材41が図8の矢印A方向へ小角度だけ回動し、摩擦力を介して第1可動ロッド30も同方向へ小角度だけ回動する。その直後に、第2可動ロッド31の上流端が接近端ストップ部材42に衝突し、ロッド部材41が上流方向へ小距離移動するとき、ロッド部材41が図8の矢印B方向へ小角度だけ回動し、摩擦力を介して第2可動ロッド31も同方向へ小角度だけ回動する。このように、第1,第2可動台3,4が接近限界位置に達する毎に、第1可動ロッド30が矢印A方向へ小角度だけ回動し、第2可動ロッド31が矢印B方向へ小角度だけ回動するため、クランプ用環状溝32が係合片33により局部摩耗するのを防止して、耐久性を高めることができる。
【0064】
第1,第2可動台3,4を第1,第2移動駆動機構13,14により、第1,第2ボールネジ軸13a,14aの境界部に対して対称に接近・離隔するように移動駆動するため、第1,第2可動台3,4に作用する逆向きの慣性力が相殺されるため、振動・騒音が著しく低減されている。しかも、第1,第2可動台3,4が接近方向へ移動する際にも、離隔方向へ移動する際にも、第1可動台3又は第2可動台4により、帯状材料Mを送るため、高速の材料送りが可能になった。第1,第2クランプ機構8,9は、部材数も少なく簡単な構成であるため、スペース的に、製作費の面で有利である。
【0065】
クランプ切換え機構10は、第1,第2クランプ機構8,9の作動状態を、第1,第2可動台3,4の搬送動作と連動して機械的に切換えるように構成したため、第1,第2クランプ機構8,9の作動状態を切換えるためのアクチュエータとそれを制御する制御部を省略することができるため、クランプ切換え機構10の構造が簡単で、スペース的に、製作費の面で有利である。フィードの速度をリターンの速度よりも高速にし、第1,第2可動台3,4が接近限界位置に到達するタイミングを僅かにずらしたので、1対の第1圧縮バネ43による緩衝作用を発揮できるうえ、規制機構45によりロッド部材41を回動させて第1,第2可動ロッド30,31を回動させることができ、クランプ用環状溝32の局部摩耗を防止できる。同様に、フィードの速度をリターンの速度よりも高速にし、第1,第2可動台3,4が離隔限界位置に到達するタイミングを僅かにずらしたので、1対の第2圧縮バネ55による緩衝作用を発揮できる。
【0066】
2対の接近端ストップ部材42の位置を変更可能であり、2対の離隔端ストップ部材51の位置を変更可能であるため、第1,第2可動台3,4の接近限界位置と離隔限界位置を変更可能であるから、材料送りの設定ストロークを変更可能であり、高速フィーダーの汎用性を高めることができる。
【実施例2】
【0067】
この高速フィーダー1Aは、前記高速フィーダー1を部分的に変更したものであるので、異なる構成についてのみ説明し、前記高速フィーダー1と同様の構成要素に同一符号を付して説明を省略する。図11、図12に示すように、第1,第2可動台3,4を搬送方向と平行に高速で往復移動可能な共通移動駆動機構60として、互いに逆ネジの第1,第2ボールネジ機構13A,14A及び第1,第2ボールネジ機構13A,14Aを回転駆動する為の共通のサーボモータ16Aが設けられている。
【0068】
第1,第2ボールネジ機構13A,14Aの第1,第2ボールネジ軸13a’,14a’は、互いに逆ネジに形成され、同心状に配置されている。第1ボールネジ軸13a’の上流端近傍部は、2列のラジアル軸受け13cで回転自在に支持され、第2ボールネジ軸14a’の下流端近傍部は、2列のラジアル軸受け14cで回転自在に支持されている。第2ボールネジ軸14a’の上流端部分が、第1ボールネジ軸13a’の下流端部分に一体的に連結されている。本実施例では、例えば、第2ボールネジ軸14a’の上流端部分にネジ軸部61が形成され、第1ボールネジ軸13a’の下流端部分にネジ穴62が形成され、ネジ軸部61をネジ穴62に強固に螺合し且つそれらを強力な接着剤で接着することで、第1,第2ボールネジ軸13a’,14a’が一体的に連結されている。尚、上記のネジ軸部61とネジ穴62で連結する代わりに、第1,第2ボールネジ軸13a’,14a’の端部同士をカップリングでもって一体的に連結してもよい。
【0069】
上記の第2ボールネジ軸14a’の下方において基台2にはサーボモータ16Aが配設され、第2ボールネジ軸14a’の下流端部に固定されたプーリ18Aとサーボモータ16Aの出力軸に固定されたプーリ17Aとにタイミングベルト19Aが掛け回され、サーボモータ16Aにより第1,第2ボールネジ軸13a’,14a’を回転駆動可能になっている。第1,第2ボールネジ軸13a’,14a’には夫々ボールネジナット13b’,14b’が装着され、これらボールネジナット13b’,14b’が第1,第2可動台3,4に複数のボルトで固定されている。
【0070】
図13は、プレス機Pのスライドの昇降位置と、第1,第2可動台3,4の搬送動作と、第1,第2クランプ機構8,9の動作等を示すタイムチャートである。このタイムチャートでは、第1,第2可動台3,4のフィードの速度と、リターンの速度が等しく設定され、第1,第2可動台3,4が同時に接近端ストッパ機構34で受け止められ、それと同時に第1,第2クランプ機構8,9の作動状態が切換えられる。同様に、第1,第2可動台3,4が同時に離隔端ストッパ機構35で受け止められ、それと同時に第1,第2クランプ機構8,9の作動状態が切換えられる。
【0071】
この高速フィーダー1Aの作用、効果は、基本的には、実施例1の高速フィーダー1の作用、効果と同様であるので、異なる作用、効果についてのみ説明する。
第1,第2ボールネジ軸13a’,14a’を一体的に連結して1個のサーボモータ16Aで駆動するため、共通移動駆動機構60の構成が簡単化し、製作費を低減できる。
【0072】
そして、第1,第2可動台3,4の第1,第2可動ロッド30,31が接近端ストッパ機構34により同時に受け止められ、また、第1,第2可動ロッド30,31が離隔端ストッパ機構35により同時に受け止められため、接近限界位置と離隔限界位置において、第1,第2クランプ機構8,9の作動状態が同時に切換えられるため、第1,第2クランプ機構8,9を切換える動作の安定性、信頼性が向上する。尚、この高速フィーダー1Aでは、第1,第2圧縮バネ43,52が殆ど機能しないのでそれらを省略してもよい。
【0073】
前記実施例1,2を部分的に変更する例について説明する。
1]実施例1に関して、第1,第2可動台3,4のフィードの速度とリターンの速度を等しく設定し、実施例2の図13のタイムチャートと同様のタイムチャートとなるように構成してもよい。その場合、第1,第2圧縮バネ43,52は省略してもよい。
【0074】
2] 実施例1の第1,第2移動駆動機構5,6又は実施例2の共通移動駆動機構60の代わりに、リニアモータ式の移動駆動機構を採用してもよい。
3]前記クランプ切換え機構10は一例を示すものであり、1又は複数のソレノイドアクチュエータ等により、第1,第2クランプ機構8,9の作動状態を切換えるように構成してもよい。
4]その他、当業者であれば本発明の趣旨を逸脱することなく、前記実施例に種々の変更を付加して実施可能である。
【産業上の利用可能性】
【0075】
本発明は、種々の金属製又は非金属製の帯状材料を設定ストロークずつプレス機にピッチ送りしてプレス機により打抜き加工や成形加工を行う為の高速フィーダー(材料送り装置)に適用することができる。
【符号の説明】
【0076】
1 高速フィーダー
2 基台
3,4 第1,第2可動台
5,6 第1,第2移動駆動機構
7 制御ユニット
8,9 第1,第2クランプ機構
10 クランプ切換え機構
12 リニアガイド機構
13,14 第1,第2ボールネジ機構
13A,14A 第1,第2ボールネジ機構
13a,14a 第1,第2ボールネジ軸
13a’,14a’ 第1,第2ボールネジ軸
13b,14b 第1,第2ボールネジナット
15,16 第1,第2サーボモータ
16A 共通のサーボモータ
24 L形回動アーム
24a 横腕部
24b 縦腕部
25 クランプヘッド
26 スプリング部材
30,31 第1,第2可動ロッド
32 クランプ用環状溝
33 係合片
34 接近端ストッパ機構
35 離隔端ストッパ機構
40 ガイド部材
41 ロッド部材
42 接近端ストップ部材
43 第1圧縮バネ
50 ガイド用ロッド部材
51 離隔端ストップ部材
55 第2圧縮バネ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
帯状材料をその長さ方向に設定ストロークずつピッチ送りする材料送り装置において、 前記帯状材料を送る搬送方向に細長く形成された基台と、
前記基台に搬送方向に直列に上流側と下流側に設けられた第1,第2可動台と、
前記第1,第2可動台を独立に搬送方向と平行に往復移動可能な第1,第2移動駆動手段と、
前記第1,第2可動台が前記設定ストローク往復移動して接近・離隔するように前記第1,第2移動駆動手段を制御する数値制御式制御手段と、
前記第1,第2可動台に帯状材料を夫々クランプ可能な第1,第2クランプ機構と、
前記第1,第2可動台が接近移動するとき第1クランプ機構をクランプ状態にし且つ第2クランプ機構をクランプ解除状態にし、前記第1,第2可動台が離隔移動するとき第1クランプ機構をクランプ解除状態にし且つ第2クランプ機構をクランプ状態にするように前記第1,第2クランプ機構の作動状態を切換えるクランプ切換え機構と、
を備えたことを特徴とする材料送り装置。
【請求項2】
前記クランプ切換え機構は、前記第1,第2クランプ機構の作動状態を、前記第1,第2可動台の搬送動作と連動して機械的に切換えることを特徴とする請求項1に記載の材料送り装置。
【請求項3】
前記第1,第2移動駆動手段は、前記第1,第2可動台を移動自在に案内するリニアガイド機構と、第1,第2可動台を夫々往復移動する為の第1,第2ボールネジ機構及び第1,第2サーボモータとを有することを特徴とする請求項1又は2に記載の材料送り装置。
【請求項4】
前記第1,第2クランプ機構の各々は、第1可動台又は第2可動台の端部に搬送方向と平行な枢支軸を介して回動可能に枢支されたL形回動アームと、このL形回動アームの上端の横腕部に装備され且つ帯状材料の幅方向端縁近傍部を第1可動台又は第2可動台に押圧可能なクランプヘッドと、前記L形回動アームをクランプ方向へ弾性付勢するスプリング部材とを有することを特徴とする請求項1又は2に記載の材料送り装置。
【請求項5】
前記クランプ切換え機構は、
前記第1,第2可動台に夫々搬送方向と平行に可動に装備された第1,第2可動ロッドと、
前記第1,第2可動ロッドに夫々形成されたクランプ用環状溝と、
前記第1,第2クランプ機構のL形回動アームの縦腕部の下端部に夫々固定されて対応するクランプ用環状溝に係脱可能な係合片と、
前記第1,第2可動台が接近限界位置に達したときに前記第1,第2可動ロッドを夫々受け止める接近端ストッパ機構と、
前記第1,第2可動台が離隔限界位置に達したときに前記第1,第2可動ロッドを夫々受け止める離隔端ストッパ機構とを備えたことを特徴とする請求項4に記載の材料送り装置。
【請求項6】
前記接近端ストッパ機構は、前記基台の長さ方向中央部に固定されたガイド部材と、このガイド部材に搬送方向と平行に可動に挿通されたロッド部材と、このロッド部材の両端部に位置可変に夫々固定された1対の接近端ストップ部材と、前記ロッド部材の両端部分に夫々外装されて前記ガイド部材に対して接近端ストップ部材をガイド部材から離隔する方向へ弾性付勢する1対の第1圧縮バネとを備えたことを特徴とする請求項5に記載の材料送り装置。
【請求項7】
前記離隔端ストッパ機構は、前記ガイド部材と前記第1,第2可動台を挿通して基台に沿って延び且つ両端部が基台に支持されたガイド用ロッド部材と、このガイド用ロッド部材の両端側部分に位置可変に夫々固定された1対の離隔端ストップ部材と、前記ガイド用ロッド部材の両端側部分に夫々外装されて前記基台に対してガイド用ロッド部材を前記ガイド部材の方へ弾性付勢する1対の第2圧縮バネとを備えたことを特徴とする請求項6に記載の材料送り装置。
【請求項8】
帯状材料をその長さ方向に設定ストロークずつピッチ送りする材料送り装置において、 前記帯状材料を送る搬送方向に細長く形成された基台と、
前記基台に搬送方向に直列に上流側と下流側に設けられた第1,第2可動台と、
前記第1,第2可動台を搬送方向と平行に往復移動可能な共通移動駆動手段と、
前記第1,第2可動台が前記設定ストローク往復移動して接近・離隔するように前記共通移動駆動手段を制御する数値制御式制御手段と、
前記第1,第2可動台に帯状材料を夫々クランプ可能な第1,第2クランプ機構と、
前記第1,第2可動台が接近移動するとき第1クランプ機構をクランプ状態にし且つ第2クランプ機構をクランプ解除状態にし、前記第1,第2可動台が離隔移動するとき第1クランプ機構をクランプ解除状態にし且つ第2クランプ機構をクランプ状態にするように前記第1,第2クランプ機構の作動状態を切換えるクランプ切換え機構と、
を備えたことを特徴とする材料送り装置。
【請求項9】
前記共通移動駆動手段は、前記第1,第2可動台を移動自在に案内するリニアガイド機構と、第1,第2可動台を夫々往復移動する為の互いに逆ネジの第1,第2ボールネジ機構及びこれら第1,第2ボールネジ機構を回転駆動する為の共通のサーボモータとを有することを特徴とする請求項8に記載の材料送り装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【公開番号】特開2011−102187(P2011−102187A)
【公開日】平成23年5月26日(2011.5.26)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−258749(P2009−258749)
【出願日】平成21年11月12日(2009.11.12)
【出願人】(596037194)パスカルエンジニアリング株式会社 (106)
【Fターム(参考)】