杖
【課題】杖を最も伸ばした状態から杖を路面等に突いたまま最適な長さに片手で容易に調整可能とし、またロック手段を解除するための操作ボタンを意図せずに操作してしまうことを防止する。
【解決手段】大径パイプ11の下端に小径パイプ12が引出し可能に挿入され、大径パイプの上端に使用者が把持するグリップ13が取付けられる。小径パイプの大径パイプに対する任意の引出し長さで小径パイプを大径パイプに対してロック手段14が固定し、ロック解除手段16がロック手段を解除して小径パイプの大径パイプに対する引出し又は挿入を可能にする。ロック解除手段は、下端がロック手段に係合し大径パイプ内を通って上端がグリップに挿通された解除部材27を有する。解除部材の上端を上記グリップ内に押込むことによりロック手段が解除されるように構成される。
【解決手段】大径パイプ11の下端に小径パイプ12が引出し可能に挿入され、大径パイプの上端に使用者が把持するグリップ13が取付けられる。小径パイプの大径パイプに対する任意の引出し長さで小径パイプを大径パイプに対してロック手段14が固定し、ロック解除手段16がロック手段を解除して小径パイプの大径パイプに対する引出し又は挿入を可能にする。ロック解除手段は、下端がロック手段に係合し大径パイプ内を通って上端がグリップに挿通された解除部材27を有する。解除部材の上端を上記グリップ内に押込むことによりロック手段が解除されるように構成される。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、小径パイプを大径パイプから引出したり或いは大径パイプに挿入することにより全長を調整できる杖に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、この種の杖として、外パイプに内パイプが引出し可能に挿入され、外パイプの中心軸に位置するように固定された芯金が内パイプへ延びて設けられ、内パイプ端に一端が固定されるとともに他端がフリー端とされたジグザグチェーンの中心部空間に上記芯金が挿通され、内パイプ側に設けられたアンロックツマミを操作することによりアンロック部材が上下動し、更にジグザグチェーンのフリー端がアンロック部材に連結された伸縮可能な杖が開示されている(例えば、特許文献1参照。)。この伸縮可能な杖では、外パイプを上方に位置させかつ内パイプを下方に位置させて、外パイプの上端に握りが取付けられ、内パイプの下端に滑り止め及び足掛け部が取付けられる。またジグザグチェーンの上端は固定されているけれども下端はフリーな状態であるため、アンロック部材でジグザグチェーンの下端を押上げることにより、このチェーンのジグザグ度を拡大できるようになっている。このように構成された伸縮可能な杖では、ジグザグチェーンが内パイプを外パイプから引出すときにロックしないため、足掛け部に足先を置いて握りを持ち上げると、内パイプは外パイプ内をスライドして杖は長くなる。またアンロック部材を上方に移動させてジグザグチェーンのジグザグ度を拡大させた状態で握りを押下げると、内パイプが外パイプに挿入されて杖が短くなる。そして最適な長さになったところでアンロックツマミを離すと、内パイプが外パイプに対してロックされるようになっている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2000−93471号公報(請求項1及び2、段落[0013]、段落[0018]、図1及び図2)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかし、上記従来の特許文献1に示された伸縮可能な杖では、杖を最も伸ばした状態から最適な長さに調整するときに、一方の手でアンロック部材を上方に移動させてジグザグチェーンのジグザグ度を拡大させた状態で、他方の手で握りを押下げる、即ち両手を使って操作しなければならないため、作業性が悪く、最適な長さに調整するのに比較的多くの時間を要する不具合があった。
【0005】
本発明の目的は、最も伸ばした状態から杖を路面等に突いたまま最適な長さに片手で容易に調整できる、杖を提供することにある。本発明の別の目的は、ロック手段を解除するための操作ボタンを意図せずに操作してしまうことを防止できる、杖を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の第1の観点は、図1及び図2に示すように、大径パイプ11と、この大径パイプ11の下端に引出し可能に挿入された小径パイプ12と、大径パイプ11の上端に取付けられ使用者が把持するグリップ13と、小径パイプ12の大径パイプ11に対する任意の引出し長さで小径パイプ12を大径パイプ11に対して固定するロック手段14と、このロック手段14を解除して小径パイプ12の大径パイプ11に対する引出し又は挿入を可能にするロック解除手段16とを備えた杖において、ロック解除手段16は、下端がロック手段14に係合し大径パイプ11内を通って上端がグリップ13に挿通された解除部材27を有し、この解除部材27の上端をグリップ13内に押込むことによりロック手段14が解除されるように構成されたことを特徴とする杖である。
【0007】
本発明の第2の観点は、第1の観点に基づく発明であって、更に図1〜図3に示すように、解除部材27の上端にグリップ1から出没する操作ボタン28が設けられ、この操作ボタン28がキャップ31により開放可能に閉止され、操作ボタン28をキャップ31により閉止したときに操作ボタン28が操作不能になり、操作ボタン28からキャップ31を離脱させて操作ボタン28を開放したときに操作ボタン28が操作可能になるように構成されたことを特徴とする。
【0008】
本発明の第3の観点は、第2の観点に基づく発明であって、更に図1に示すように、操作ボタン28がキャップ31により閉止されたときに、操作ボタン28の周面がキャップ31に覆われかつ頂面が露出するように構成され、操作ボタン28と解除部材27の上端との間に、操作ボタン28を押上げる方向に付勢するけれどもロック手段14を解除しない弾性力を有する低弾性圧縮コイルばね29が介装され、操作ボタン28がキャップ31により閉止された状態で操作ボタン28を押したときに操作ボタン28の変位が低弾性圧縮コイルばね29により吸収されるように構成されたことを特徴とする。
【0009】
本発明の第4の観点は、第3の観点に基づく発明であって、更に図1に示すように、低弾性圧縮コイルばね29により吸収される範囲で操作ボタン28を変位させたときに、操作ボタン28からキャップ31が離脱可能となるように構成されたことを特徴とする。
【0010】
本発明の第5の観点は、第1の観点に基づく発明であって、更に図13及び図14に示すように、グリップ93が、大径パイプ11の上端に取付けられ下端から上方に延びる第1通孔93cが形成された取付部93aと、この取付部93aと一体的に前後方向に延びて設けられ前端から後方に延びる第2通孔93dが形成された把持部93bとを有し、第1通孔93cに解除部材67の上端が摺動可能に挿通されかつ第2通孔93dに操作ボタン98が摺動可能に挿通され、操作ボタン98が解除部材67の上端に係合し、操作ボタン98の前端を操作して操作ボタン98を第2通孔93dに押込んだときに解除部材67の上端が第1通孔93cに押込まれるように構成されたことを特徴とする。
【0011】
本発明の第6の観点は、第1ないし第5の観点に基づく発明であって、更に図8及び図12に示すように、大径パイプ11の下端に引出し可能に挿入されるとともにガススプリングのシリンダとしても機能する小径パイプ52と、この小径パイプ52の下部に摺動可能に収容されたフリーピストン53と、小径パイプ52の上部に摺動可能に収容されたピストン56とを有し、小径パイプ52の大径パイプ11に対する引出し又は挿入が圧縮ガス58の圧力により行われるように構成されたことを特徴とする。
【発明の効果】
【0012】
本発明の第1の観点の杖では、この杖を最も伸ばした状態から最適な長さに調整するときに、一方の手でグリップを把持し杖を路面等に突いたままの状態で、この一方の手の指でロック解除手段の解除部材をグリップに押込むことができるので、グリップを把持する一方の手だけで杖を最適長さに容易に調整できる。
【0013】
本発明の第2の観点の杖では、操作ボタンからキャップを離脱させて操作ボタンを開放した状態で、操作ボタンを操作して杖を最適な長さに調整した後、操作ボタンをキャップにより閉止し、この状態で杖として使用する。このとき杖の使用者の指が意図せずに操作ボタンに触れても、操作ボタンの操作がキャップにより阻止されるので、ロック手段を解除するための操作ボタンを意図せずに操作してしまうことを防止できる。
【0014】
本発明の第3の観点の杖では、操作ボタンがキャップにより閉止された状態で、杖の使用者が操作ボタンの露出する頂面を意図せずに押したときに、操作ボタンがグリップ内に僅かに押込まれる。このとき操作ボタンの僅かな変位が低弾性圧縮コイルばねにより吸収されて、解除部材に伝達されないので、意図しないロック手段の解除を確実に防止できる。
【0015】
本発明の第4の観点の杖では、低弾性圧縮コイルばねにより吸収される所定の範囲まで操作ボタンを押込まないと、キャップを操作ボタンから離脱させることができないので、操作ボタンを全く押さずにキャップを操作ボタンから離脱させようとしても、キャップを操作ボタンから離脱させることができない。この結果、杖の使用者が指がキャップに触れても、キャップが意図せずに操作ボタンから離脱することはない。
【0016】
本発明の第5の観点の杖では、この杖を最も伸ばした状態から最適な長さに調整するときに、一方の手でグリップを把持した状態で、一方の手の最も大きな力を加えることができる親指で操作ボタンを第2通孔に押込むことができる。この結果、グリップを把持する一方の手だけで、杖を最適長さに極めて容易に調整できる。
【0017】
本発明の第6の観点の杖では、小径パイプの大径パイプに対する引出し又は挿入を圧縮ガスの圧力により行うので、杖の使用者が足先を物に打ち当てて前によろけたときに、転倒するのを阻止するために杖の先端を路面に強く突き立てると、圧縮ガスが圧縮されて小径パイプが大径パイプ内に僅かに引込むことにより、衝撃エネルギが吸収される。この結果、上記衝撃が杖の使用者に伝達されるのを緩和できる。
【図面の簡単な説明】
【0018】
【図1】本発明第1実施形態の杖が最も伸びた状態であってキャップを閉じた状態を示す要部を破断した正面図である。
【図2】その杖のキャップを開いた状態を示す要部を破断した正面図である。
【図3】その杖の操作ボタンをグリップ内に押込んだ状態を示す要部を破断した正面図である。
【図4】その杖の小径パイプを大径パイプ内に押込んで杖を最も縮んだ状態にした後に操作ボタンの押込みを解除した状態を示す要部を破断した正面図である。
【図5】ロック手段のチェーンを四角ロッドにジグザグに嵌入した状態を示す要部斜視図である。
【図6】ロック手段のチェーンが四角ロッドに係合している状態を示す要部断面図である。が
【図7】ロック手段のチェーンの四角ロッドへの係合が解除された状態を示す養分断面図である。
【図8】本発明第2実施形態の杖が最も伸びた状態であってキャップを閉じた状態を示す要部を破断した正面図である。
【図9】その杖のキャップを開いた状態を示す要部を破断した正面図である。
【図10】その杖の操作ボタンをグリップ内に押込んだ状態を示す要部を破断した正面図である。
【図11】その杖の小径パイプを大径パイプ内に押込んで杖を最も縮んだ状態にした後に操作ボタンの押込みを解除した状態を示す要部を破断した正面図である。
【図12】ロック手段のガススプリング装置の動作を示す要部断面図である。
【図13】本発明第3実施形態の杖が最も伸びた状態を示す要部を破断した正面図である。
【図14】その杖の操作ボタンをグリップ内に押込んだ状態を示す要部を破断した正面図である。
【図15】その杖の小径パイプを大径パイプ内に押込んで杖を最も縮んだ状態にした後に操作ボタンの押込みを解除した状態を示す要部を破断した正面図である。
【発明を実施するための形態】
【0019】
次に本発明を実施するための形態を図面に基づいて説明する。
<第1の実施の形態>
図1に示すように、杖10は、大径パイプ11と、この大径パイプ11の下端に引出し可能に挿入された小径パイプ12と、大径パイプ11の上端に取付けられたグリップ13と、小径パイプ12を大径パイプ11に対して固定するロック手段14と、このロック手段14を解除するロック解除手段16とを備える。小径パイプ12は大径パイプ11より短く形成される。また小径パイプ12の外径は大径パイプ11の内径より僅かに小さく形成され、小径パイプ12は大径パイプ11内をスムーズに摺動するように構成される。小径パイプ12の下端にはゴム製の石突き20が嵌着される。グリップ13は、この実施の形態では、略フック状に形成される。具体的には、グリップ13は、大径パイプ11の上端に挿着された取付部13aと、使用者が把持する把持部13bと、取付部13aの上端と把持部13bの前端とを連結し前方に湾曲する連結部13cとを有する。上記取付部13aと把持部13bと連結部13cとはアルミ合金等の軽金属やプラスチック等により一体的に形成される。
【0020】
ロック手段14は、下端が小径パイプ12の上端に衝撃吸収手段17を介して固定され大径パイプ11の内部に遊挿された断面正方形の四角ロッド18と、下端が大径パイプ11の長手方向中央に固定され四角ロッド18にジグザグに嵌入されたチェーン19とを有する。衝撃吸収手段17は、小径パイプ12の上端に挿着された固定部材17aと、固定部材17aに挿通され両端に雄ねじが形成された六角柱部材17bと、六角柱部材17bの上端の雄ねじに螺合された可動部材17cと、固定部材17aに挿通された六角柱部材17bの下端の雄ねじに螺合されたナット17dと、固定部材17aと可動部材17cとの間に介装された高弾性圧縮コイルばね17eとからなる。固定部材17aには六角柱部材17bが挿通される六角孔17fが形成され、固定部材17aは小径パイプ12の上端に挿入した状態で接着剤により固定される。高弾性圧縮コイルばね17eは線径の比較的太い線材を用いて形成された比較的高い弾性力を有するばねである。
【0021】
また可動部材17cの上端には四角ロッド18の下端が挿着される。具体的には、可動部材17cの上端から中央まで延びる通穴17gが形成され、四角ロッド18の下部に小径部18aが形成される。次に四角ロッド18の下部を可動部材17cの通穴17gに挿入した後に、可動部材17cの外周面に四角ロッド18の小径部18aに向って一対の穴17h,17hを貫通しないように形成する。更にこれらの穴17h,17hの奧の薄肉部17i,17iを小径部18aに向って突出させる。これにより四角ロッド18の可動部材17cからの抜止め及び回り止めが施される。
【0022】
チェーン19は、図5〜図7に詳しく示すように、内プレート19aと外プレート19bとブッシュ19cとピン19dとを有する。2本のブッシュ19c,19cにて一対の内プレート19a,19aの両端をそれそれ結合することにより内リンク19fが構成される。また上記ブッシュ19cには透孔19eがそれぞれ形成される。内リンク19fの一対の内プレート19a,19aの間隔は四角ロッド18の幅より僅かに広く形成され、2本のブッシュ19c,19cの間隔は四角ロッド18の幅より僅かに広く形成される。また外プレート19bの両端にブッシュ19cの透孔19eに挿通可能な一対のピン19d,19dの一端をそれぞれ固着することにより外リンク19gが構成される。内リンク19f及び外リンク19gは、この実施の形態では、それぞれ5セットずつ設けられる(図1、図6及び図7)。上記5セットの内リンク19fを所定の間隔をあけて配置し、隣合う内リンク19f,19fのブッシュ19c,19cに外リンク19gの一対のピン19d,19dをそれぞれ挿入した後に、ブッシュ19c,19cから突出した一対のピン19d,19dの先端に別の外プレート19bを取付けることにより、チェーン19が組立てられる。
【0023】
このように組立てられたチェーン19の下端は大径パイプ11の長手方向中央に受け具21を介して固定される。具体的には、大径パイプ11の上部から中央にかけて保持パイプ22が挿入される。この保持パイプ22上部は大径パイプ11上部に2本のリベット23,23により固定され、これらのリベット23,23の頭部は大径パイプ11上部に嵌入されたカラー部材24により隠される。保持パイプ22の下端には受け具21が挿着される。この受け具21には四角孔21aが形成され、この四角孔21aには四角ロッド18が摺動可能に挿通される。チェーン19は受け具21の四角孔21aに挿通された四角ロッド18にジグザグに嵌入されることにより上記受け具21に載るように構成される。そしてチェーン19下端のブッシュ19cは受け具21に固定される。この実施の形態では、チェーン19下端のブッシュ19cは略逆J字状の固定ピン26により受け具21に固定される。チェーン19の上端は何にも固定されずに自由端である。また四角ロッド18の上端は、このロッド18のチェーン19からの抜止めのためにプレスにより扁平加工が施される。更に各ピンの頭部にはジグザグばね20(図5)が係合される。このジグザグばね20は、最上端のピン19dの頭部に係合する上側フック部20aと、最下端のピン19dの頭部に係合する下側フック部20bと、上側フック部20aと下側フック部20bとを連結しかつ中間の各ピン19dの頭部に係合するようにジグザグに曲げられたジグザグ部20cとを有する。このジグザグばね20は隣接するピン19dを互いに離す方向に付勢するように構成される。
【0024】
このように構成されたロック手段14では、小径パイプ12を大径パイプ11に押込もうとすると、チェーン19の各プレート19a,19bが立上がる方向に移動しようとするため、各内プレート19a両端の一対のブッシュ19c,19cが四角ロッド18に食い込んで、小径パイプ12の大径パイプ11への挿入が阻止される。一方、小径パイプ12を大径パイプ11から引出そうとすると、チェーン19の各プレート19a,19bが横たわる方向に移動するため、各内プレート19a両端の一対のブッシュ19c,19cが四角ロッド18から離脱して、小径パイプ12を大径パイプ11から引出すことができる。但し、ロック手段14は、チェーン19の自重に、後述する押え具25、解除部材27、低弾性圧縮コイルばね29及び操作ボタン28の各自重を加えた荷重だけでは解除されないようになっている。これは、ジグザグばね20(図5)の弾性力により、隣接するピン19dが互いに離れる方向に付勢されているため、チェーン19に、その自重や、押え具25、解除部材27、低弾性圧縮コイルばね29及び操作ボタン28の各自重が作用しても、チェーン19が四角ロッド18に食い込んだ状態(圧着した状態)に保たれているからである。これにより杖10の通常の使用状態では、小径パイプ12が大径パイプ11に対してロック手段14により任意の引出し長さで固定される。
【0025】
ロック解除手段16は、下端がロック手段14に係合し大径パイプ11内を通って上端がグリップ13の取付部13aに挿通された解除部材27を有する。この解除部材27は、外径が保持パイプ22の内径より小さく形成されかつ内径が四角ロッド18の断面における対角線長さより大きく形成されたパイプである。解除部材27の上端には間隔をあけてグリップ13の取付部13aから出没する操作ボタン28が設けられる。この操作ボタン28の下端と解除部材27の上端との間隔には低弾性圧縮コイルばね29が介装される。この低弾性圧縮コイルばね29は、操作ボタン28を押上げる方向に付勢するけれどもロック手段14を解除しない比較的弱い弾性力を有する。解除部材27の下端は押え部材25を介してチェーン19の上面に載るように構成される。また操作ボタン28はキャップ31により開放可能に閉止される。キャップ31は支持ピン32を介してグリップ13の取付部13aに枢着される。またキャップ31には操作ボタン28に嵌入可能な嵌入孔31aが形成される。操作ボタン28がキャップ31により閉止されたとき、即ちキャップ31を支持ピン32を中心に回転させて嵌入孔31aを操作ボタン28に嵌入したときに、操作ボタン28の周面がキャップ31に覆われかつ頂面が露出するように構成される(図1)。一方、操作ボタン28からキャップ31を離脱させて操作ボタン28を開放したとき、即ちキャップ31を支持ピン32を中心に回転させて嵌入孔31aを操作ボタン28から離脱させたときに、操作ボタン28の上部周面及び頂面が露出するように構成される(図2)。また低弾性圧縮コイルばね29により吸収される範囲で操作ボタン28を変位させたときに、操作ボタン28からキャップ31を離脱可能に構成される。なお、図1中の符号33は大径パイプ11の下端の小径パイプ12の挿入部を被覆する樹脂製の被覆体であり、この被覆体33の上部は大径パイプ11の下端に嵌着される。
【0026】
このように構成された杖10の使用方法を説明する。先ず一方の手でグリップ13の把持部13bを握り、他方の手で小径パイプ12を握って、小径パイプ12を大径パイプ11から引出し、杖10を最も伸ばした状態にする(図1)。このときチェーン19の各プレート19a,19bがジグザグばね20の弾性力に抗して横たわる方向に移動するため、各内プレート19a両端の一対のブッシュ19c,19cが四角ロッド18から離脱して、小径パイプ12を大径パイプ11から引出すことができる。次いで他方の手を小径パイプ12から離し、一方の手でグリップ13を把持したまま、一方の手の指で操作ボタン28からキャップ31を離脱させて操作ボタン28を開放した後(図2)、一方の手の指で操作ボタン28をグリップ13の取付部13a内に押込む(図3)。このとき低弾性圧縮コイルばね29が最も縮んで解除部材27を押下げ、解除部材27が押え具25を図7の矢印で示すように押下げるので、チェーン19の各プレート19a,19bが横たわる方向に移動する。これにより各内プレート19a両端の一対のブッシュ19c,19cが四角ロッド18から離脱するので、ロック手段14が解除されて、チェーン19に対して四角ロッド18を相対的に上昇させることができる、即ち小径パイプ12を大径パイプ11に挿入することができる。杖10が最適な長さになったときに操作ボタン28から指を離し、操作ボタン28をキャップ31により閉止すると、杖10として使用できる。このようにグリップ13を把持する一方の手だけで杖10を最も伸ばした状態から杖10を路面に突いたまま最適長さに容易に調整できる。
【0027】
次に杖10を使用しているとき、即ち操作ボタン28がキャップ31により閉止されているときに、杖10の使用者が操作ボタン28の露出する頂面を意図せずに押すと、操作ボタン28がグリップ13内に僅かに押込まれる。このとき操作ボタン28の僅かな変位は低弾性圧縮コイルばね29により吸収されて、解除部材27に伝達されない。この結果、閉止状態の操作ボタン28を意図せずに押しても、ロック手段14が解除されることはない。また低弾性圧縮コイルばね29により吸収される所定の範囲で操作ボタン28を変位させたときに、操作ボタン28からキャップ31を離脱できるようになっている、即ち低弾性圧縮コイルばね29により吸収される所定の範囲まで操作ボタン28を押込まないと、キャップ31を操作ボタン28から離脱させることができないので、操作ボタン28を全く押さずにキャップ31を操作ボタン28から離脱させようとしても、キャップ31を操作ボタン28から離脱させることができない。この結果、杖10の使用者の指がキャップ31に触れても、キャップ31が意図せずに操作ボタン28から離脱することはない。更に杖10の使用者が足先を物に打ち当てて前によろけたときに、転倒するのを阻止するために杖10の先端を路面に強く突き立てると、ゴム製の石突き15が変形したり、或いは衝撃吸収手段17の高弾性圧縮コイルばね17eが撓むことにより、衝撃エネルギが吸収される。この結果、上記衝撃が杖10の使用者に伝達されるのを緩和できる。
【0028】
なお、上記第1の実施の形態では、チェーンの下端を大径パイプの長手方向中央に受け具を介して固定しチェーンの上端を何にも固定せずに自由端とし、ロック手段がジグザグばねの弾性力により、チェーン、押え部材、解除部材、低弾性圧縮コイルばね及び操作ボタンの自重だけでは解除されないように構成したが、チェーンの上端を解除部材に固定しチェーンの両端を互いに離間させる方向に付勢する圧縮コイルばねを設けてもよい。例えば、チェーンの下端を受け具及び保持パイプを介して大径パイプの長手方向中央に固定し、チェーンの上端を押え具を介して解除部材の下端に固定し、受け具と押え具との間に圧縮コイルばねを介装してもよい。
【0029】
<第2の実施の形態>
図8〜図12は本発明の第2の実施の形態を示す。図8〜図12において図1〜図4と同一符号は同一部品を示す。この実施の形態では、ロック手段54として、第1の実施の形態のチェーン及び四角ロッド等に替えて、ガススプリングが用いられる。このロック手段54は、大径パイプ11の下端に引出し可能に挿入されるとともにガススプリングのシリンダとしても機能する小径パイプ52と、小径パイプ52の下部に摺動可能に収容されたフリーピストン53と、小径パイプ52の上部に摺動可能に収容されたピストン56とを有する。小径パイプ52の下端にはゴム製の石突き55が取付けられ、小径パイプ52の上端は封止部材57により封止される。小径パイプ52の下部(下室52a)には圧縮されたガス58(例えば、窒素ガス)が封入され、小径パイプ52の上部(上室52b)と小径パイプ52の中央部(フリーピストン53とピストン56との間の中央室52c)にはオイル59がそれぞれ封入される。上記圧縮ガス58の圧力により、小径パイプ52の大径パイプ11に対する引出し又は挿入が行われるように構成される。なお、図12の符号61は上室52b内のオイル61が漏れるのを防止するオイルシールである。
【0030】
一方、ロック解除手段66は、下端がロック手段54のピストン56に係合し大径パイプ11内を通って上端がグリップ13の取付部13aに挿通された円柱状の解除部材67を有する。またピストン56には、下方に臨む皿状孔56aと、この皿状孔56aと上室52bとを連通する細径のオリフィス56bとが形成される。上記皿状孔56aは解除部材67の下端に設けられた弁体68により開放可能に閉止される。解除部材67は、下端がピストン56に固定され大径パイプ11に挿入され上端がグリップ13の取付部13a近傍まで延びる筒体69に摺動可能に挿通される。この筒体69上部は大径パイプ11上部に2本のリベット71,71により固定され、これらのリベット71,71の頭部は大径パイプ11上部に嵌入されたカラー部材72により隠される。また解除部材67の上端には操作ボタン28の下部を遊挿可能な円筒部材73が設けられ、この円筒部材73の上端と操作ボタン28との間に低弾性圧縮コイルばね29が介装される。上記以外は第1の実施の形態と同一に構成される。
【0031】
このように構成された杖50の使用方法を説明する。先ず杖50を最も伸ばした状態で(図8)、一方の手でグリップ13の把持部13bを握り、杖50の下端の石突き55を路面に当接させる。次に一方の手の指で操作ボタン28からキャップ31を離脱させて操作ボタン28を開放した後(図9)、一方の手の指で操作ボタン28をグリップ13の取付部13a内に押込む(図10)。このとき低弾性圧縮コイルばね29が縮んで操作ボタン28の下面が解除部材67の上端に当接してこの解除部材67を押下げ、この解除部材67の下端の弁体68が下降して皿状孔56aから離脱するので(図12(b))、上室52bと中央室52cとがオリフィス56b及び皿状孔56aを通して連通する。ピストン56の上面に作用する力は筒体69の分だけピストン56の下面に作用する力より小さいため、下室52aの圧縮ガス58の圧力によりピストン56は小径パイプ52内を上方に移動しようとするけれども、ピストン56は既に小径パイプ52上部のストッパ52dに当接しているため、これ以上上方に移動できない。この状態でグリップ13を石突き55に向って押すと、大径パイプ11が小径パイプ52に嵌入され、ピストン56が小径パイプ52内を下方に向って移動する。このとき小径パイプ52の下室52aの圧縮ガス58は更に圧縮される。この結果、杖50が次第に縮むので、杖50が最適な長さになったときに、操作ボタン28から指を離し、操作ボタン28をキャップ31により閉止すると、杖50として使用できる。このようにグリップ13を把持する一方の手だけで杖50を最も伸ばした状態から最適長さに容易に調整できる。
【0032】
次に杖50を使用しているとき、即ち操作ボタン28がキャップ31により閉止されているときに、杖50の使用者が操作ボタン28の露出する頂面を意図せずに押すと、操作ボタン28がグリップ13内に僅かに押込まれる。このとき操作ボタン28の僅かな変位は低弾性圧縮コイルばね29により吸収されて、解除部材67に伝達されない。この結果、閉止状態の操作ボタン28を意図せずに押しても、ロック手段54が解除されることはない。また低弾性圧縮コイルばね29により吸収される所定の範囲で操作ボタン28を変位させたときに、操作ボタン28からキャップ31を離脱できるようになっている、即ち低弾性圧縮コイルばね29により吸収される所定の範囲まで操作ボタン28を押込まないと、キャップ31を操作ボタン28から離脱させることができないので、操作ボタン28を全く押さずにキャップ31を操作ボタン28から離脱させようとしても、キャップ31を操作ボタン28から離脱させることができない。この結果、杖50の使用者の指がキャップ31に触れても、キャップ31が意図せずに操作ボタン28から離脱することはない。更に杖50の使用者が足先を物に打ち当てて前によろけたときに、転倒するのを阻止するために杖50の先端を路面に強く突き立てると、ゴム製の石突き55が変形したり、或いは圧縮ガス58が圧縮され小径パイプ52が大径パイプ11内に僅かに引込むことにより、衝撃エネルギが吸収される。この結果、上記衝撃が杖50の使用者に伝達されるのを緩和できる。
【0033】
なお、杖50が最も縮んだ状態で、キャップ31を操作ボタン28から離脱させて操作ボタン28をグリップ13の取付部13aに押込むと(図10)、小径パイプ52の上室52bと中央室52cとがオリフィス56b及び皿状孔56aにより連通し(図12(c))、ピストン56の上面に作用する力が筒体69の分だけピストン56の下面に作用する力より小さいため、圧縮ガス58の圧力によりピストン56は押上げられる。そして中央室52c内のオイル59が皿状孔56a及びオリフィス56bを通って上室52bに流入する。このときオリフィス56bの内径が細く、オイル59の流動抵抗が大きいため、ピストン56の上昇速度、即ち小径パイプ52の大径パイプ11から突出速度は極めて遅い。この結果、小径パイプ52が大径パイプ11から急激に突出することがなく、杖50を伸長するときの安全性は高い。
【0034】
<第3の実施の形態>
図13〜図15は本発明の第3の実施の形態を示す。図13〜図15において図8〜図12と同一符号は同一部品を示す。この実施の形態では、グリップ93が、大径パイプ11の上端に取付けられた取付部93aと、この取付部93aと一体的に前後方向に延びて設けられた把持部93bとを有する。取付部93aには下端から上方に延びる第1通孔93cが形成され、把持部93bには前端から後方に延びる第2通孔93dが形成される。また第1通孔93cには解除部材67の上端が摺動可能に挿通され、第2通孔93dには操作ボタン98が摺動可能に挿通される。更に操作ボタン98の長手方向の中央下面には後方に向うに従って深くなる傾斜孔98aが形成される。解除部材67の上端はこの傾斜孔98aに係合するように構成される。上記以外は第2の実施の形態と同一に構成される。
【0035】
このように構成された杖90の使用方法を説明する。先ず杖90を最も伸ばした状態で(図13)、一方の手でグリップ93の把持部93bを握り、杖90の下端の石突き55を路面に当接させる。次に一方の手の親指で操作ボタン98をグリップ93の把持部93b内に押込む(図14)。このとき一方の手の最も大きな力を加えることができる親指で操作ボタン98を操作するので、操作ボタン98を確実に第2通孔93dに押込むことができる。操作ボタン98を第2通孔93dに押込むと、解除部材67の上端が傾斜孔98aに沿って次第に押下げられ、この解除部材67の下端の弁体68が下降して皿状孔56aから離脱するので(第2の実施の形態の図12(b))、上室52bと中央室52cとがオリフィス56b及び皿状孔56aを通して連通する。図12(b)に示すように、ピストン56の上面に作用する力は筒体69の分だけピストン56の下面に作用する力より小さいため、下室52aの圧縮ガス58の圧力によりピストン56は小径パイプ52内を上方に移動しようとするけれども、ピストン56は既に小径パイプ52上部のストッパ52dに当接しているため、これ以上上方に移動できない。この状態でグリップ93を石突き55に向って押すと、大径パイプ11が小径パイプ52に嵌入され、ピストン56が小径パイプ52内を下方に向って移動する。このとき小径パイプ52の下室52aの圧縮ガス58は更に圧縮される。この結果、杖90が次第に縮むので、杖90が最適な長さになったときに、操作ボタン98から指を離すと、杖90として使用できる。このようにグリップを把持する一方の手だけで杖を最も伸ばした状態から最適長さに極めて容易に調整できる。なお、操作ボタン98から指を離すと、弁体68が圧縮ガス58の圧力により上昇して皿状孔56aを閉止し、同時に解除部材67も上昇して操作ボタン98の傾斜孔98aを上方に押すので、操作ボタンが右側に移動して第2通孔93dから突出する。
【0036】
次に杖90の使用者が足先を物に打ち当てて前によろけたときに、転倒するのを阻止するために杖90の先端を路面に強く突き立てると、ゴム製の石突き55が変形したり、或いは圧縮ガス58が圧縮され小径パイプ52が大径パイプ11内に僅かに引込むことにより、衝撃エネルギが吸収される。この結果、上記衝撃が杖90の使用者に伝達されるのを緩和できる。更に杖50が最も縮んだ状態で、操作ボタン98をグリップ93の把持部93bに押込むと(図14)、小径パイプ52の上室52bと中央室52cとがオリフィス56b及び皿状孔56aにより連通し(図12(c))、ピストン56の上面に作用する力が筒体69の分だけピストン56の下面に作用する力より小さいため、圧縮ガス58の圧力によりピストン56は押上げられる。そして中央室52c内のオイル59が皿状孔56a及びオリフィス56bを通って上室52bに流入する。このときオリフィス56bの内径が細く、オイル59の流動抵抗が大きいため、ピストン56の上昇速度、即ち小径パイプ52の大径パイプ11から突出速度は極めて遅い。この結果、小径パイプ52が大径パイプ11から急激に突出することがなく、杖90を伸長するときの安全性は高い。
【0037】
なお、上記第3の実施の形態では、ロック手段としてガススプリングを用いたが、第1の実施の形態のチェーン、四角ロッド等により構成されたロック手段を用いてもよい。この場合、ロック解除手段も第1の実施の形態と同様に構成される。また、上記第2及び第3の実施の形態では、杖を最も伸ばした状態で、一方の手でグリップの把持部を握り、杖の下端の石突きを路面に当接させた状態で、操作ボタンをグリップに押込み、圧縮ガスの圧力に抗して杖を次第に縮めることにより、杖を最適な長さに調整したが、杖が最も縮んだ状態で、一方の手でグリップの把持部を握り、杖の下端の石突きを路面に当接させた状態で、操作ボタンをグリップに押込み、圧縮ガスの圧力により杖を次第に伸ばすことにより、杖を最適な長さに調整してもよい。
【符号の説明】
【0038】
10,50,90 杖
11 大径パイプ
12,52 小径パイプ
13,93 グリップ
14,54 ロック手段
16,66 ロック解除手段
27,67 解除部材
28,98 操作ボタン
29 低弾性圧縮コイルばね
31 キャップ
93a 取付部
93b 把持部
93c 第1通孔
93d 第2通孔
【技術分野】
【0001】
本発明は、小径パイプを大径パイプから引出したり或いは大径パイプに挿入することにより全長を調整できる杖に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、この種の杖として、外パイプに内パイプが引出し可能に挿入され、外パイプの中心軸に位置するように固定された芯金が内パイプへ延びて設けられ、内パイプ端に一端が固定されるとともに他端がフリー端とされたジグザグチェーンの中心部空間に上記芯金が挿通され、内パイプ側に設けられたアンロックツマミを操作することによりアンロック部材が上下動し、更にジグザグチェーンのフリー端がアンロック部材に連結された伸縮可能な杖が開示されている(例えば、特許文献1参照。)。この伸縮可能な杖では、外パイプを上方に位置させかつ内パイプを下方に位置させて、外パイプの上端に握りが取付けられ、内パイプの下端に滑り止め及び足掛け部が取付けられる。またジグザグチェーンの上端は固定されているけれども下端はフリーな状態であるため、アンロック部材でジグザグチェーンの下端を押上げることにより、このチェーンのジグザグ度を拡大できるようになっている。このように構成された伸縮可能な杖では、ジグザグチェーンが内パイプを外パイプから引出すときにロックしないため、足掛け部に足先を置いて握りを持ち上げると、内パイプは外パイプ内をスライドして杖は長くなる。またアンロック部材を上方に移動させてジグザグチェーンのジグザグ度を拡大させた状態で握りを押下げると、内パイプが外パイプに挿入されて杖が短くなる。そして最適な長さになったところでアンロックツマミを離すと、内パイプが外パイプに対してロックされるようになっている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2000−93471号公報(請求項1及び2、段落[0013]、段落[0018]、図1及び図2)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかし、上記従来の特許文献1に示された伸縮可能な杖では、杖を最も伸ばした状態から最適な長さに調整するときに、一方の手でアンロック部材を上方に移動させてジグザグチェーンのジグザグ度を拡大させた状態で、他方の手で握りを押下げる、即ち両手を使って操作しなければならないため、作業性が悪く、最適な長さに調整するのに比較的多くの時間を要する不具合があった。
【0005】
本発明の目的は、最も伸ばした状態から杖を路面等に突いたまま最適な長さに片手で容易に調整できる、杖を提供することにある。本発明の別の目的は、ロック手段を解除するための操作ボタンを意図せずに操作してしまうことを防止できる、杖を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の第1の観点は、図1及び図2に示すように、大径パイプ11と、この大径パイプ11の下端に引出し可能に挿入された小径パイプ12と、大径パイプ11の上端に取付けられ使用者が把持するグリップ13と、小径パイプ12の大径パイプ11に対する任意の引出し長さで小径パイプ12を大径パイプ11に対して固定するロック手段14と、このロック手段14を解除して小径パイプ12の大径パイプ11に対する引出し又は挿入を可能にするロック解除手段16とを備えた杖において、ロック解除手段16は、下端がロック手段14に係合し大径パイプ11内を通って上端がグリップ13に挿通された解除部材27を有し、この解除部材27の上端をグリップ13内に押込むことによりロック手段14が解除されるように構成されたことを特徴とする杖である。
【0007】
本発明の第2の観点は、第1の観点に基づく発明であって、更に図1〜図3に示すように、解除部材27の上端にグリップ1から出没する操作ボタン28が設けられ、この操作ボタン28がキャップ31により開放可能に閉止され、操作ボタン28をキャップ31により閉止したときに操作ボタン28が操作不能になり、操作ボタン28からキャップ31を離脱させて操作ボタン28を開放したときに操作ボタン28が操作可能になるように構成されたことを特徴とする。
【0008】
本発明の第3の観点は、第2の観点に基づく発明であって、更に図1に示すように、操作ボタン28がキャップ31により閉止されたときに、操作ボタン28の周面がキャップ31に覆われかつ頂面が露出するように構成され、操作ボタン28と解除部材27の上端との間に、操作ボタン28を押上げる方向に付勢するけれどもロック手段14を解除しない弾性力を有する低弾性圧縮コイルばね29が介装され、操作ボタン28がキャップ31により閉止された状態で操作ボタン28を押したときに操作ボタン28の変位が低弾性圧縮コイルばね29により吸収されるように構成されたことを特徴とする。
【0009】
本発明の第4の観点は、第3の観点に基づく発明であって、更に図1に示すように、低弾性圧縮コイルばね29により吸収される範囲で操作ボタン28を変位させたときに、操作ボタン28からキャップ31が離脱可能となるように構成されたことを特徴とする。
【0010】
本発明の第5の観点は、第1の観点に基づく発明であって、更に図13及び図14に示すように、グリップ93が、大径パイプ11の上端に取付けられ下端から上方に延びる第1通孔93cが形成された取付部93aと、この取付部93aと一体的に前後方向に延びて設けられ前端から後方に延びる第2通孔93dが形成された把持部93bとを有し、第1通孔93cに解除部材67の上端が摺動可能に挿通されかつ第2通孔93dに操作ボタン98が摺動可能に挿通され、操作ボタン98が解除部材67の上端に係合し、操作ボタン98の前端を操作して操作ボタン98を第2通孔93dに押込んだときに解除部材67の上端が第1通孔93cに押込まれるように構成されたことを特徴とする。
【0011】
本発明の第6の観点は、第1ないし第5の観点に基づく発明であって、更に図8及び図12に示すように、大径パイプ11の下端に引出し可能に挿入されるとともにガススプリングのシリンダとしても機能する小径パイプ52と、この小径パイプ52の下部に摺動可能に収容されたフリーピストン53と、小径パイプ52の上部に摺動可能に収容されたピストン56とを有し、小径パイプ52の大径パイプ11に対する引出し又は挿入が圧縮ガス58の圧力により行われるように構成されたことを特徴とする。
【発明の効果】
【0012】
本発明の第1の観点の杖では、この杖を最も伸ばした状態から最適な長さに調整するときに、一方の手でグリップを把持し杖を路面等に突いたままの状態で、この一方の手の指でロック解除手段の解除部材をグリップに押込むことができるので、グリップを把持する一方の手だけで杖を最適長さに容易に調整できる。
【0013】
本発明の第2の観点の杖では、操作ボタンからキャップを離脱させて操作ボタンを開放した状態で、操作ボタンを操作して杖を最適な長さに調整した後、操作ボタンをキャップにより閉止し、この状態で杖として使用する。このとき杖の使用者の指が意図せずに操作ボタンに触れても、操作ボタンの操作がキャップにより阻止されるので、ロック手段を解除するための操作ボタンを意図せずに操作してしまうことを防止できる。
【0014】
本発明の第3の観点の杖では、操作ボタンがキャップにより閉止された状態で、杖の使用者が操作ボタンの露出する頂面を意図せずに押したときに、操作ボタンがグリップ内に僅かに押込まれる。このとき操作ボタンの僅かな変位が低弾性圧縮コイルばねにより吸収されて、解除部材に伝達されないので、意図しないロック手段の解除を確実に防止できる。
【0015】
本発明の第4の観点の杖では、低弾性圧縮コイルばねにより吸収される所定の範囲まで操作ボタンを押込まないと、キャップを操作ボタンから離脱させることができないので、操作ボタンを全く押さずにキャップを操作ボタンから離脱させようとしても、キャップを操作ボタンから離脱させることができない。この結果、杖の使用者が指がキャップに触れても、キャップが意図せずに操作ボタンから離脱することはない。
【0016】
本発明の第5の観点の杖では、この杖を最も伸ばした状態から最適な長さに調整するときに、一方の手でグリップを把持した状態で、一方の手の最も大きな力を加えることができる親指で操作ボタンを第2通孔に押込むことができる。この結果、グリップを把持する一方の手だけで、杖を最適長さに極めて容易に調整できる。
【0017】
本発明の第6の観点の杖では、小径パイプの大径パイプに対する引出し又は挿入を圧縮ガスの圧力により行うので、杖の使用者が足先を物に打ち当てて前によろけたときに、転倒するのを阻止するために杖の先端を路面に強く突き立てると、圧縮ガスが圧縮されて小径パイプが大径パイプ内に僅かに引込むことにより、衝撃エネルギが吸収される。この結果、上記衝撃が杖の使用者に伝達されるのを緩和できる。
【図面の簡単な説明】
【0018】
【図1】本発明第1実施形態の杖が最も伸びた状態であってキャップを閉じた状態を示す要部を破断した正面図である。
【図2】その杖のキャップを開いた状態を示す要部を破断した正面図である。
【図3】その杖の操作ボタンをグリップ内に押込んだ状態を示す要部を破断した正面図である。
【図4】その杖の小径パイプを大径パイプ内に押込んで杖を最も縮んだ状態にした後に操作ボタンの押込みを解除した状態を示す要部を破断した正面図である。
【図5】ロック手段のチェーンを四角ロッドにジグザグに嵌入した状態を示す要部斜視図である。
【図6】ロック手段のチェーンが四角ロッドに係合している状態を示す要部断面図である。が
【図7】ロック手段のチェーンの四角ロッドへの係合が解除された状態を示す養分断面図である。
【図8】本発明第2実施形態の杖が最も伸びた状態であってキャップを閉じた状態を示す要部を破断した正面図である。
【図9】その杖のキャップを開いた状態を示す要部を破断した正面図である。
【図10】その杖の操作ボタンをグリップ内に押込んだ状態を示す要部を破断した正面図である。
【図11】その杖の小径パイプを大径パイプ内に押込んで杖を最も縮んだ状態にした後に操作ボタンの押込みを解除した状態を示す要部を破断した正面図である。
【図12】ロック手段のガススプリング装置の動作を示す要部断面図である。
【図13】本発明第3実施形態の杖が最も伸びた状態を示す要部を破断した正面図である。
【図14】その杖の操作ボタンをグリップ内に押込んだ状態を示す要部を破断した正面図である。
【図15】その杖の小径パイプを大径パイプ内に押込んで杖を最も縮んだ状態にした後に操作ボタンの押込みを解除した状態を示す要部を破断した正面図である。
【発明を実施するための形態】
【0019】
次に本発明を実施するための形態を図面に基づいて説明する。
<第1の実施の形態>
図1に示すように、杖10は、大径パイプ11と、この大径パイプ11の下端に引出し可能に挿入された小径パイプ12と、大径パイプ11の上端に取付けられたグリップ13と、小径パイプ12を大径パイプ11に対して固定するロック手段14と、このロック手段14を解除するロック解除手段16とを備える。小径パイプ12は大径パイプ11より短く形成される。また小径パイプ12の外径は大径パイプ11の内径より僅かに小さく形成され、小径パイプ12は大径パイプ11内をスムーズに摺動するように構成される。小径パイプ12の下端にはゴム製の石突き20が嵌着される。グリップ13は、この実施の形態では、略フック状に形成される。具体的には、グリップ13は、大径パイプ11の上端に挿着された取付部13aと、使用者が把持する把持部13bと、取付部13aの上端と把持部13bの前端とを連結し前方に湾曲する連結部13cとを有する。上記取付部13aと把持部13bと連結部13cとはアルミ合金等の軽金属やプラスチック等により一体的に形成される。
【0020】
ロック手段14は、下端が小径パイプ12の上端に衝撃吸収手段17を介して固定され大径パイプ11の内部に遊挿された断面正方形の四角ロッド18と、下端が大径パイプ11の長手方向中央に固定され四角ロッド18にジグザグに嵌入されたチェーン19とを有する。衝撃吸収手段17は、小径パイプ12の上端に挿着された固定部材17aと、固定部材17aに挿通され両端に雄ねじが形成された六角柱部材17bと、六角柱部材17bの上端の雄ねじに螺合された可動部材17cと、固定部材17aに挿通された六角柱部材17bの下端の雄ねじに螺合されたナット17dと、固定部材17aと可動部材17cとの間に介装された高弾性圧縮コイルばね17eとからなる。固定部材17aには六角柱部材17bが挿通される六角孔17fが形成され、固定部材17aは小径パイプ12の上端に挿入した状態で接着剤により固定される。高弾性圧縮コイルばね17eは線径の比較的太い線材を用いて形成された比較的高い弾性力を有するばねである。
【0021】
また可動部材17cの上端には四角ロッド18の下端が挿着される。具体的には、可動部材17cの上端から中央まで延びる通穴17gが形成され、四角ロッド18の下部に小径部18aが形成される。次に四角ロッド18の下部を可動部材17cの通穴17gに挿入した後に、可動部材17cの外周面に四角ロッド18の小径部18aに向って一対の穴17h,17hを貫通しないように形成する。更にこれらの穴17h,17hの奧の薄肉部17i,17iを小径部18aに向って突出させる。これにより四角ロッド18の可動部材17cからの抜止め及び回り止めが施される。
【0022】
チェーン19は、図5〜図7に詳しく示すように、内プレート19aと外プレート19bとブッシュ19cとピン19dとを有する。2本のブッシュ19c,19cにて一対の内プレート19a,19aの両端をそれそれ結合することにより内リンク19fが構成される。また上記ブッシュ19cには透孔19eがそれぞれ形成される。内リンク19fの一対の内プレート19a,19aの間隔は四角ロッド18の幅より僅かに広く形成され、2本のブッシュ19c,19cの間隔は四角ロッド18の幅より僅かに広く形成される。また外プレート19bの両端にブッシュ19cの透孔19eに挿通可能な一対のピン19d,19dの一端をそれぞれ固着することにより外リンク19gが構成される。内リンク19f及び外リンク19gは、この実施の形態では、それぞれ5セットずつ設けられる(図1、図6及び図7)。上記5セットの内リンク19fを所定の間隔をあけて配置し、隣合う内リンク19f,19fのブッシュ19c,19cに外リンク19gの一対のピン19d,19dをそれぞれ挿入した後に、ブッシュ19c,19cから突出した一対のピン19d,19dの先端に別の外プレート19bを取付けることにより、チェーン19が組立てられる。
【0023】
このように組立てられたチェーン19の下端は大径パイプ11の長手方向中央に受け具21を介して固定される。具体的には、大径パイプ11の上部から中央にかけて保持パイプ22が挿入される。この保持パイプ22上部は大径パイプ11上部に2本のリベット23,23により固定され、これらのリベット23,23の頭部は大径パイプ11上部に嵌入されたカラー部材24により隠される。保持パイプ22の下端には受け具21が挿着される。この受け具21には四角孔21aが形成され、この四角孔21aには四角ロッド18が摺動可能に挿通される。チェーン19は受け具21の四角孔21aに挿通された四角ロッド18にジグザグに嵌入されることにより上記受け具21に載るように構成される。そしてチェーン19下端のブッシュ19cは受け具21に固定される。この実施の形態では、チェーン19下端のブッシュ19cは略逆J字状の固定ピン26により受け具21に固定される。チェーン19の上端は何にも固定されずに自由端である。また四角ロッド18の上端は、このロッド18のチェーン19からの抜止めのためにプレスにより扁平加工が施される。更に各ピンの頭部にはジグザグばね20(図5)が係合される。このジグザグばね20は、最上端のピン19dの頭部に係合する上側フック部20aと、最下端のピン19dの頭部に係合する下側フック部20bと、上側フック部20aと下側フック部20bとを連結しかつ中間の各ピン19dの頭部に係合するようにジグザグに曲げられたジグザグ部20cとを有する。このジグザグばね20は隣接するピン19dを互いに離す方向に付勢するように構成される。
【0024】
このように構成されたロック手段14では、小径パイプ12を大径パイプ11に押込もうとすると、チェーン19の各プレート19a,19bが立上がる方向に移動しようとするため、各内プレート19a両端の一対のブッシュ19c,19cが四角ロッド18に食い込んで、小径パイプ12の大径パイプ11への挿入が阻止される。一方、小径パイプ12を大径パイプ11から引出そうとすると、チェーン19の各プレート19a,19bが横たわる方向に移動するため、各内プレート19a両端の一対のブッシュ19c,19cが四角ロッド18から離脱して、小径パイプ12を大径パイプ11から引出すことができる。但し、ロック手段14は、チェーン19の自重に、後述する押え具25、解除部材27、低弾性圧縮コイルばね29及び操作ボタン28の各自重を加えた荷重だけでは解除されないようになっている。これは、ジグザグばね20(図5)の弾性力により、隣接するピン19dが互いに離れる方向に付勢されているため、チェーン19に、その自重や、押え具25、解除部材27、低弾性圧縮コイルばね29及び操作ボタン28の各自重が作用しても、チェーン19が四角ロッド18に食い込んだ状態(圧着した状態)に保たれているからである。これにより杖10の通常の使用状態では、小径パイプ12が大径パイプ11に対してロック手段14により任意の引出し長さで固定される。
【0025】
ロック解除手段16は、下端がロック手段14に係合し大径パイプ11内を通って上端がグリップ13の取付部13aに挿通された解除部材27を有する。この解除部材27は、外径が保持パイプ22の内径より小さく形成されかつ内径が四角ロッド18の断面における対角線長さより大きく形成されたパイプである。解除部材27の上端には間隔をあけてグリップ13の取付部13aから出没する操作ボタン28が設けられる。この操作ボタン28の下端と解除部材27の上端との間隔には低弾性圧縮コイルばね29が介装される。この低弾性圧縮コイルばね29は、操作ボタン28を押上げる方向に付勢するけれどもロック手段14を解除しない比較的弱い弾性力を有する。解除部材27の下端は押え部材25を介してチェーン19の上面に載るように構成される。また操作ボタン28はキャップ31により開放可能に閉止される。キャップ31は支持ピン32を介してグリップ13の取付部13aに枢着される。またキャップ31には操作ボタン28に嵌入可能な嵌入孔31aが形成される。操作ボタン28がキャップ31により閉止されたとき、即ちキャップ31を支持ピン32を中心に回転させて嵌入孔31aを操作ボタン28に嵌入したときに、操作ボタン28の周面がキャップ31に覆われかつ頂面が露出するように構成される(図1)。一方、操作ボタン28からキャップ31を離脱させて操作ボタン28を開放したとき、即ちキャップ31を支持ピン32を中心に回転させて嵌入孔31aを操作ボタン28から離脱させたときに、操作ボタン28の上部周面及び頂面が露出するように構成される(図2)。また低弾性圧縮コイルばね29により吸収される範囲で操作ボタン28を変位させたときに、操作ボタン28からキャップ31を離脱可能に構成される。なお、図1中の符号33は大径パイプ11の下端の小径パイプ12の挿入部を被覆する樹脂製の被覆体であり、この被覆体33の上部は大径パイプ11の下端に嵌着される。
【0026】
このように構成された杖10の使用方法を説明する。先ず一方の手でグリップ13の把持部13bを握り、他方の手で小径パイプ12を握って、小径パイプ12を大径パイプ11から引出し、杖10を最も伸ばした状態にする(図1)。このときチェーン19の各プレート19a,19bがジグザグばね20の弾性力に抗して横たわる方向に移動するため、各内プレート19a両端の一対のブッシュ19c,19cが四角ロッド18から離脱して、小径パイプ12を大径パイプ11から引出すことができる。次いで他方の手を小径パイプ12から離し、一方の手でグリップ13を把持したまま、一方の手の指で操作ボタン28からキャップ31を離脱させて操作ボタン28を開放した後(図2)、一方の手の指で操作ボタン28をグリップ13の取付部13a内に押込む(図3)。このとき低弾性圧縮コイルばね29が最も縮んで解除部材27を押下げ、解除部材27が押え具25を図7の矢印で示すように押下げるので、チェーン19の各プレート19a,19bが横たわる方向に移動する。これにより各内プレート19a両端の一対のブッシュ19c,19cが四角ロッド18から離脱するので、ロック手段14が解除されて、チェーン19に対して四角ロッド18を相対的に上昇させることができる、即ち小径パイプ12を大径パイプ11に挿入することができる。杖10が最適な長さになったときに操作ボタン28から指を離し、操作ボタン28をキャップ31により閉止すると、杖10として使用できる。このようにグリップ13を把持する一方の手だけで杖10を最も伸ばした状態から杖10を路面に突いたまま最適長さに容易に調整できる。
【0027】
次に杖10を使用しているとき、即ち操作ボタン28がキャップ31により閉止されているときに、杖10の使用者が操作ボタン28の露出する頂面を意図せずに押すと、操作ボタン28がグリップ13内に僅かに押込まれる。このとき操作ボタン28の僅かな変位は低弾性圧縮コイルばね29により吸収されて、解除部材27に伝達されない。この結果、閉止状態の操作ボタン28を意図せずに押しても、ロック手段14が解除されることはない。また低弾性圧縮コイルばね29により吸収される所定の範囲で操作ボタン28を変位させたときに、操作ボタン28からキャップ31を離脱できるようになっている、即ち低弾性圧縮コイルばね29により吸収される所定の範囲まで操作ボタン28を押込まないと、キャップ31を操作ボタン28から離脱させることができないので、操作ボタン28を全く押さずにキャップ31を操作ボタン28から離脱させようとしても、キャップ31を操作ボタン28から離脱させることができない。この結果、杖10の使用者の指がキャップ31に触れても、キャップ31が意図せずに操作ボタン28から離脱することはない。更に杖10の使用者が足先を物に打ち当てて前によろけたときに、転倒するのを阻止するために杖10の先端を路面に強く突き立てると、ゴム製の石突き15が変形したり、或いは衝撃吸収手段17の高弾性圧縮コイルばね17eが撓むことにより、衝撃エネルギが吸収される。この結果、上記衝撃が杖10の使用者に伝達されるのを緩和できる。
【0028】
なお、上記第1の実施の形態では、チェーンの下端を大径パイプの長手方向中央に受け具を介して固定しチェーンの上端を何にも固定せずに自由端とし、ロック手段がジグザグばねの弾性力により、チェーン、押え部材、解除部材、低弾性圧縮コイルばね及び操作ボタンの自重だけでは解除されないように構成したが、チェーンの上端を解除部材に固定しチェーンの両端を互いに離間させる方向に付勢する圧縮コイルばねを設けてもよい。例えば、チェーンの下端を受け具及び保持パイプを介して大径パイプの長手方向中央に固定し、チェーンの上端を押え具を介して解除部材の下端に固定し、受け具と押え具との間に圧縮コイルばねを介装してもよい。
【0029】
<第2の実施の形態>
図8〜図12は本発明の第2の実施の形態を示す。図8〜図12において図1〜図4と同一符号は同一部品を示す。この実施の形態では、ロック手段54として、第1の実施の形態のチェーン及び四角ロッド等に替えて、ガススプリングが用いられる。このロック手段54は、大径パイプ11の下端に引出し可能に挿入されるとともにガススプリングのシリンダとしても機能する小径パイプ52と、小径パイプ52の下部に摺動可能に収容されたフリーピストン53と、小径パイプ52の上部に摺動可能に収容されたピストン56とを有する。小径パイプ52の下端にはゴム製の石突き55が取付けられ、小径パイプ52の上端は封止部材57により封止される。小径パイプ52の下部(下室52a)には圧縮されたガス58(例えば、窒素ガス)が封入され、小径パイプ52の上部(上室52b)と小径パイプ52の中央部(フリーピストン53とピストン56との間の中央室52c)にはオイル59がそれぞれ封入される。上記圧縮ガス58の圧力により、小径パイプ52の大径パイプ11に対する引出し又は挿入が行われるように構成される。なお、図12の符号61は上室52b内のオイル61が漏れるのを防止するオイルシールである。
【0030】
一方、ロック解除手段66は、下端がロック手段54のピストン56に係合し大径パイプ11内を通って上端がグリップ13の取付部13aに挿通された円柱状の解除部材67を有する。またピストン56には、下方に臨む皿状孔56aと、この皿状孔56aと上室52bとを連通する細径のオリフィス56bとが形成される。上記皿状孔56aは解除部材67の下端に設けられた弁体68により開放可能に閉止される。解除部材67は、下端がピストン56に固定され大径パイプ11に挿入され上端がグリップ13の取付部13a近傍まで延びる筒体69に摺動可能に挿通される。この筒体69上部は大径パイプ11上部に2本のリベット71,71により固定され、これらのリベット71,71の頭部は大径パイプ11上部に嵌入されたカラー部材72により隠される。また解除部材67の上端には操作ボタン28の下部を遊挿可能な円筒部材73が設けられ、この円筒部材73の上端と操作ボタン28との間に低弾性圧縮コイルばね29が介装される。上記以外は第1の実施の形態と同一に構成される。
【0031】
このように構成された杖50の使用方法を説明する。先ず杖50を最も伸ばした状態で(図8)、一方の手でグリップ13の把持部13bを握り、杖50の下端の石突き55を路面に当接させる。次に一方の手の指で操作ボタン28からキャップ31を離脱させて操作ボタン28を開放した後(図9)、一方の手の指で操作ボタン28をグリップ13の取付部13a内に押込む(図10)。このとき低弾性圧縮コイルばね29が縮んで操作ボタン28の下面が解除部材67の上端に当接してこの解除部材67を押下げ、この解除部材67の下端の弁体68が下降して皿状孔56aから離脱するので(図12(b))、上室52bと中央室52cとがオリフィス56b及び皿状孔56aを通して連通する。ピストン56の上面に作用する力は筒体69の分だけピストン56の下面に作用する力より小さいため、下室52aの圧縮ガス58の圧力によりピストン56は小径パイプ52内を上方に移動しようとするけれども、ピストン56は既に小径パイプ52上部のストッパ52dに当接しているため、これ以上上方に移動できない。この状態でグリップ13を石突き55に向って押すと、大径パイプ11が小径パイプ52に嵌入され、ピストン56が小径パイプ52内を下方に向って移動する。このとき小径パイプ52の下室52aの圧縮ガス58は更に圧縮される。この結果、杖50が次第に縮むので、杖50が最適な長さになったときに、操作ボタン28から指を離し、操作ボタン28をキャップ31により閉止すると、杖50として使用できる。このようにグリップ13を把持する一方の手だけで杖50を最も伸ばした状態から最適長さに容易に調整できる。
【0032】
次に杖50を使用しているとき、即ち操作ボタン28がキャップ31により閉止されているときに、杖50の使用者が操作ボタン28の露出する頂面を意図せずに押すと、操作ボタン28がグリップ13内に僅かに押込まれる。このとき操作ボタン28の僅かな変位は低弾性圧縮コイルばね29により吸収されて、解除部材67に伝達されない。この結果、閉止状態の操作ボタン28を意図せずに押しても、ロック手段54が解除されることはない。また低弾性圧縮コイルばね29により吸収される所定の範囲で操作ボタン28を変位させたときに、操作ボタン28からキャップ31を離脱できるようになっている、即ち低弾性圧縮コイルばね29により吸収される所定の範囲まで操作ボタン28を押込まないと、キャップ31を操作ボタン28から離脱させることができないので、操作ボタン28を全く押さずにキャップ31を操作ボタン28から離脱させようとしても、キャップ31を操作ボタン28から離脱させることができない。この結果、杖50の使用者の指がキャップ31に触れても、キャップ31が意図せずに操作ボタン28から離脱することはない。更に杖50の使用者が足先を物に打ち当てて前によろけたときに、転倒するのを阻止するために杖50の先端を路面に強く突き立てると、ゴム製の石突き55が変形したり、或いは圧縮ガス58が圧縮され小径パイプ52が大径パイプ11内に僅かに引込むことにより、衝撃エネルギが吸収される。この結果、上記衝撃が杖50の使用者に伝達されるのを緩和できる。
【0033】
なお、杖50が最も縮んだ状態で、キャップ31を操作ボタン28から離脱させて操作ボタン28をグリップ13の取付部13aに押込むと(図10)、小径パイプ52の上室52bと中央室52cとがオリフィス56b及び皿状孔56aにより連通し(図12(c))、ピストン56の上面に作用する力が筒体69の分だけピストン56の下面に作用する力より小さいため、圧縮ガス58の圧力によりピストン56は押上げられる。そして中央室52c内のオイル59が皿状孔56a及びオリフィス56bを通って上室52bに流入する。このときオリフィス56bの内径が細く、オイル59の流動抵抗が大きいため、ピストン56の上昇速度、即ち小径パイプ52の大径パイプ11から突出速度は極めて遅い。この結果、小径パイプ52が大径パイプ11から急激に突出することがなく、杖50を伸長するときの安全性は高い。
【0034】
<第3の実施の形態>
図13〜図15は本発明の第3の実施の形態を示す。図13〜図15において図8〜図12と同一符号は同一部品を示す。この実施の形態では、グリップ93が、大径パイプ11の上端に取付けられた取付部93aと、この取付部93aと一体的に前後方向に延びて設けられた把持部93bとを有する。取付部93aには下端から上方に延びる第1通孔93cが形成され、把持部93bには前端から後方に延びる第2通孔93dが形成される。また第1通孔93cには解除部材67の上端が摺動可能に挿通され、第2通孔93dには操作ボタン98が摺動可能に挿通される。更に操作ボタン98の長手方向の中央下面には後方に向うに従って深くなる傾斜孔98aが形成される。解除部材67の上端はこの傾斜孔98aに係合するように構成される。上記以外は第2の実施の形態と同一に構成される。
【0035】
このように構成された杖90の使用方法を説明する。先ず杖90を最も伸ばした状態で(図13)、一方の手でグリップ93の把持部93bを握り、杖90の下端の石突き55を路面に当接させる。次に一方の手の親指で操作ボタン98をグリップ93の把持部93b内に押込む(図14)。このとき一方の手の最も大きな力を加えることができる親指で操作ボタン98を操作するので、操作ボタン98を確実に第2通孔93dに押込むことができる。操作ボタン98を第2通孔93dに押込むと、解除部材67の上端が傾斜孔98aに沿って次第に押下げられ、この解除部材67の下端の弁体68が下降して皿状孔56aから離脱するので(第2の実施の形態の図12(b))、上室52bと中央室52cとがオリフィス56b及び皿状孔56aを通して連通する。図12(b)に示すように、ピストン56の上面に作用する力は筒体69の分だけピストン56の下面に作用する力より小さいため、下室52aの圧縮ガス58の圧力によりピストン56は小径パイプ52内を上方に移動しようとするけれども、ピストン56は既に小径パイプ52上部のストッパ52dに当接しているため、これ以上上方に移動できない。この状態でグリップ93を石突き55に向って押すと、大径パイプ11が小径パイプ52に嵌入され、ピストン56が小径パイプ52内を下方に向って移動する。このとき小径パイプ52の下室52aの圧縮ガス58は更に圧縮される。この結果、杖90が次第に縮むので、杖90が最適な長さになったときに、操作ボタン98から指を離すと、杖90として使用できる。このようにグリップを把持する一方の手だけで杖を最も伸ばした状態から最適長さに極めて容易に調整できる。なお、操作ボタン98から指を離すと、弁体68が圧縮ガス58の圧力により上昇して皿状孔56aを閉止し、同時に解除部材67も上昇して操作ボタン98の傾斜孔98aを上方に押すので、操作ボタンが右側に移動して第2通孔93dから突出する。
【0036】
次に杖90の使用者が足先を物に打ち当てて前によろけたときに、転倒するのを阻止するために杖90の先端を路面に強く突き立てると、ゴム製の石突き55が変形したり、或いは圧縮ガス58が圧縮され小径パイプ52が大径パイプ11内に僅かに引込むことにより、衝撃エネルギが吸収される。この結果、上記衝撃が杖90の使用者に伝達されるのを緩和できる。更に杖50が最も縮んだ状態で、操作ボタン98をグリップ93の把持部93bに押込むと(図14)、小径パイプ52の上室52bと中央室52cとがオリフィス56b及び皿状孔56aにより連通し(図12(c))、ピストン56の上面に作用する力が筒体69の分だけピストン56の下面に作用する力より小さいため、圧縮ガス58の圧力によりピストン56は押上げられる。そして中央室52c内のオイル59が皿状孔56a及びオリフィス56bを通って上室52bに流入する。このときオリフィス56bの内径が細く、オイル59の流動抵抗が大きいため、ピストン56の上昇速度、即ち小径パイプ52の大径パイプ11から突出速度は極めて遅い。この結果、小径パイプ52が大径パイプ11から急激に突出することがなく、杖90を伸長するときの安全性は高い。
【0037】
なお、上記第3の実施の形態では、ロック手段としてガススプリングを用いたが、第1の実施の形態のチェーン、四角ロッド等により構成されたロック手段を用いてもよい。この場合、ロック解除手段も第1の実施の形態と同様に構成される。また、上記第2及び第3の実施の形態では、杖を最も伸ばした状態で、一方の手でグリップの把持部を握り、杖の下端の石突きを路面に当接させた状態で、操作ボタンをグリップに押込み、圧縮ガスの圧力に抗して杖を次第に縮めることにより、杖を最適な長さに調整したが、杖が最も縮んだ状態で、一方の手でグリップの把持部を握り、杖の下端の石突きを路面に当接させた状態で、操作ボタンをグリップに押込み、圧縮ガスの圧力により杖を次第に伸ばすことにより、杖を最適な長さに調整してもよい。
【符号の説明】
【0038】
10,50,90 杖
11 大径パイプ
12,52 小径パイプ
13,93 グリップ
14,54 ロック手段
16,66 ロック解除手段
27,67 解除部材
28,98 操作ボタン
29 低弾性圧縮コイルばね
31 キャップ
93a 取付部
93b 把持部
93c 第1通孔
93d 第2通孔
【特許請求の範囲】
【請求項1】
大径パイプ(11)と、この大径パイプ(11)の下端に引出し可能に挿入された小径パイプ(12,52)と、前記大径パイプ(11)の上端に取付けられ使用者が把持するグリップ(13,93)と、前記小径パイプ(12,52)の前記大径パイプ(11)に対する任意の引出し長さで前記小径パイプ(12,52)を前記大径パイプ(11)に対して固定するロック手段(14,54)と、このロック手段(14,54)を解除して前記小径パイプ(12,52)の前記大径パイプ(11)に対する引出し又は挿入を可能にするロック解除手段(16,66)とを備えた杖において、
前記ロック解除手段(16,66)は、下端が前記ロック手段(14,54)に係合し前記大径パイプ(11)内を通って上端が前記グリップ(13,93)に挿通された解除部材(27,67)を有し、
前記解除部材(27,67)の上端を前記グリップ(13,93)内に押込むことにより前記ロック手段(14,54)が解除されるように構成された
ことを特徴とする杖。
【請求項2】
解除部材(27,67)の上端にグリップ(13)から出没する操作ボタン(28)が設けられ、前記操作ボタン(28)がキャップ(31)により開放可能に閉止され、前記操作ボタン(28)を前記キャップ(31)により閉止したときに前記操作ボタン(28)が操作不能になり、前記操作ボタン(28)から前記キャップ(31)を離脱させて前記操作ボタン(28)を開放したときに前記操作ボタン(28)が操作可能になるように構成された請求項1記載の杖。
【請求項3】
操作ボタン(28)がキャップ(31)により閉止されたときに、前記操作ボタン(28)の周面が前記キャップ(31)に覆われかつ頂面が露出するように構成され、前記操作ボタン(28)と解除部材(27,67)の上端との間に、前記操作ボタン(28)を押上げる方向に付勢するけれどもロック手段(14,54)を解除しない弾性力を有する低弾性圧縮コイルばね(29)が介装され、前記操作ボタン(28)が前記キャップ(31)により閉止された状態で前記操作ボタン(28)を押したときに前記操作ボタン(28)の変位が前記低弾性圧縮コイルばね(29)により吸収されるように構成された請求項2記載の杖。
【請求項4】
低弾性圧縮コイルばね(29)により吸収される範囲で操作ボタン(28)を変位させたときに、前記操作ボタン(28)からキャップ(31)が離脱可能となるように構成された請求項3記載の杖。
【請求項5】
グリップ(93)が、大径パイプ(11)の上端に取付けられ下端から上方に延びる第1通孔(93c)が形成された取付部(93a)と、この取付部(93a)と一体的に前後方向に延びて設けられ前端から後方に延びる第2通孔(93d)が形成された把持部(93b)とを有し、前記第1通孔(93c)に解除部材(67)の上端が摺動可能に挿通されかつ前記第2通孔(93d)に操作ボタン(98)が摺動可能に挿通され、前記操作ボタン(98)が前記解除部材(67)の上端に係合し、前記操作ボタン(98)の前端を操作して前記操作ボタン(98)を前記第2通孔(93d)に押込んだときに前記解除部材(67)の上端が前記第1通孔(93c)に押込まれるように構成された請求項1記載の杖。
【請求項6】
大径パイプ(11)の下端に引出し可能に挿入されるとともにガススプリングのシリンダとしても機能する小径パイプ(52)と、この小径パイプ(52)の下部に摺動可能に収容されたフリーピストン(53)と、前記小径パイプ(52)の上部に摺動可能に収容されたピストン(56)とを有し、前記小径パイプ(52)の前記大径パイプ(11)に対する引出し又は挿入が圧縮ガス(58)の圧力により行われるように構成された請求項1ないし5いずれか1項に記載の杖。
【請求項1】
大径パイプ(11)と、この大径パイプ(11)の下端に引出し可能に挿入された小径パイプ(12,52)と、前記大径パイプ(11)の上端に取付けられ使用者が把持するグリップ(13,93)と、前記小径パイプ(12,52)の前記大径パイプ(11)に対する任意の引出し長さで前記小径パイプ(12,52)を前記大径パイプ(11)に対して固定するロック手段(14,54)と、このロック手段(14,54)を解除して前記小径パイプ(12,52)の前記大径パイプ(11)に対する引出し又は挿入を可能にするロック解除手段(16,66)とを備えた杖において、
前記ロック解除手段(16,66)は、下端が前記ロック手段(14,54)に係合し前記大径パイプ(11)内を通って上端が前記グリップ(13,93)に挿通された解除部材(27,67)を有し、
前記解除部材(27,67)の上端を前記グリップ(13,93)内に押込むことにより前記ロック手段(14,54)が解除されるように構成された
ことを特徴とする杖。
【請求項2】
解除部材(27,67)の上端にグリップ(13)から出没する操作ボタン(28)が設けられ、前記操作ボタン(28)がキャップ(31)により開放可能に閉止され、前記操作ボタン(28)を前記キャップ(31)により閉止したときに前記操作ボタン(28)が操作不能になり、前記操作ボタン(28)から前記キャップ(31)を離脱させて前記操作ボタン(28)を開放したときに前記操作ボタン(28)が操作可能になるように構成された請求項1記載の杖。
【請求項3】
操作ボタン(28)がキャップ(31)により閉止されたときに、前記操作ボタン(28)の周面が前記キャップ(31)に覆われかつ頂面が露出するように構成され、前記操作ボタン(28)と解除部材(27,67)の上端との間に、前記操作ボタン(28)を押上げる方向に付勢するけれどもロック手段(14,54)を解除しない弾性力を有する低弾性圧縮コイルばね(29)が介装され、前記操作ボタン(28)が前記キャップ(31)により閉止された状態で前記操作ボタン(28)を押したときに前記操作ボタン(28)の変位が前記低弾性圧縮コイルばね(29)により吸収されるように構成された請求項2記載の杖。
【請求項4】
低弾性圧縮コイルばね(29)により吸収される範囲で操作ボタン(28)を変位させたときに、前記操作ボタン(28)からキャップ(31)が離脱可能となるように構成された請求項3記載の杖。
【請求項5】
グリップ(93)が、大径パイプ(11)の上端に取付けられ下端から上方に延びる第1通孔(93c)が形成された取付部(93a)と、この取付部(93a)と一体的に前後方向に延びて設けられ前端から後方に延びる第2通孔(93d)が形成された把持部(93b)とを有し、前記第1通孔(93c)に解除部材(67)の上端が摺動可能に挿通されかつ前記第2通孔(93d)に操作ボタン(98)が摺動可能に挿通され、前記操作ボタン(98)が前記解除部材(67)の上端に係合し、前記操作ボタン(98)の前端を操作して前記操作ボタン(98)を前記第2通孔(93d)に押込んだときに前記解除部材(67)の上端が前記第1通孔(93c)に押込まれるように構成された請求項1記載の杖。
【請求項6】
大径パイプ(11)の下端に引出し可能に挿入されるとともにガススプリングのシリンダとしても機能する小径パイプ(52)と、この小径パイプ(52)の下部に摺動可能に収容されたフリーピストン(53)と、前記小径パイプ(52)の上部に摺動可能に収容されたピストン(56)とを有し、前記小径パイプ(52)の前記大径パイプ(11)に対する引出し又は挿入が圧縮ガス(58)の圧力により行われるように構成された請求項1ないし5いずれか1項に記載の杖。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
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【図10】
【図11】
【図12】
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【図14】
【図15】
【公開番号】特開2011−55888(P2011−55888A)
【公開日】平成23年3月24日(2011.3.24)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−205877(P2009−205877)
【出願日】平成21年9月7日(2009.9.7)
【出願人】(000109923)トーソー株式会社 (84)
【公開日】平成23年3月24日(2011.3.24)
【国際特許分類】
【出願日】平成21年9月7日(2009.9.7)
【出願人】(000109923)トーソー株式会社 (84)
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