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条件等色描画による印刷された基板の磁気透かし
説明

条件等色描画による印刷された基板の磁気透かし

【課題】UVやIR1で読み取る特別なインクを用いずに、マークが埋め込まれた文書を提供する。
【解決手段】文書は、非磁性の基板と、基板上に第1画像として印刷された第1色材混合物300であって基板に関連して高い磁気コントラストの性質を有する第1色材混合物300と、印刷された第1画像に空間的に実質的に近接して基板上に第2画像として印刷された第2色材混合物301であって、第1色材混合物300に対して低い視覚的コントラストの性質を有し、最終的な印刷後の基板からは、第1画像が人間の眼には見えず、磁気画像読み取り装置を用いて検査したときに識別可能なパターンが磁気マークとして現れるようにする第2色材混合物301と、を備える。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本出願は、様々なプリンタや静電写真式(electrostatographic)印刷環境にてよく利用されているトナーの中に見出される磁性成分についての、有益な取り扱い方に関する。更に詳しくは、妨害(distraction)パターンと組み合わせた磁気マーク又はデータ要素の磁気によるコード化の少なくとも1つの実現に関する。
【背景技術】
【0002】
偽造を検出するために、様々な文書セキュリティシステムが利用可能である。例えば、ウォーターマーク(透かし)はデジタル文書のセキュリティを確保するための一般的な方法である。コスト、脆弱さ、頑強さ(ロバスト性)等におけるトレードオフ(バランスの兼ね合い)が様々に異なる多くのウォーターマーク方法が存在する。1つの従来の方法は、特別なインクを用いて通常の照明の下では不可視の画像を描画することである。これらのインクは、通常、可視領域外の光に反応して、例えば目に見えるようになる。このようなスペクトル外(extra-spectral)技術の例はUV(紫外線)及びIR(赤外線)である。この従来の方法は、コード化したデータを、通常の光の下では見えないが特別なスペクトルの照明下では強い識別性を有する特徴を持った特別なインクを用いて描画するというものである。そのようなコードが存在するか否かの判定は、例えば、適切な光源及び検出器を用いて行われる。しかし、このような特別なインク及び材料は、コスト、利用可能性、又は物理的/化学的な性質のいずれかのために、標準的な電子写真式印刷システム、又はその他の非接触式の印刷システム(固体インクプリンタなど)に組み込むことが困難な場合が多い。このことは、引き換えクーポンその他のパーソナライズ(個々人向けに個別に作成)された印刷媒体などを印刷するためのシステムのような、バリアブルデータ印刷システムにそのような特別なインクを用いる妨げとなっている。
【0003】
別の方法としては、デジタルウォーターマーキング(電子透かし)によりコピーコントロールが可能な文書がある。これは、電子的に複写可能な文書に対して、実質的に不可視なウォーターマークの形でデータをコード化する方法によるものである。この方法は、(1)文書上にグレー画像を再生するために適した第1の確率的スクリーンのパターンを生成するステップ、(2)前記第1のパターンに関係する少なくとも1つの確率的スクリーンの記述を求めるステップ、(3)前記第1の確率的スクリーンを含んだ文書を生成するステップ、(4)1以上の確率的スクリーンの組み合わせを含む第2の文書を生成するステップと、を含み、前記第1の文書と前記第2の文書と同時に見ることができるようそれら両文書を重畳関係で配置することにより、文書内の前記第1のスクリーンが用いられている場所ではどこでも各文書上の前記第1の確率的パターンの間の相関が生じ、前記求められた確率的スクリーンが生じる領域では相関が生じず、前記求められた確率的スクリーンを用いてその中に配置された画像が可視となる。
【0004】
ここでは、「備える」という用語は、「含むが、限定はされない」ことを意味する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】米国特許第5734752号明細書
【特許文献2】米国特許出願公開第2007/0017990号明細書
【特許文献3】米国特許出願公開第2008/0299333号明細書
【特許文献4】米国特許出願公開第2008/0304696号明細書
【特許文献5】米国特許出願公開第2008/0305444号明細書
【特許文献6】米国特許出願公開第2008/0302263号明細書
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明は、UVやIR1で読み取る特別なインクを用いずに、裸眼では見えにくいマークが埋め込まれた文書を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
1つの態様では、文書(印刷物)は、例えば、非磁性の基板と、磁性インクを含んだ第1色材混合物と、印刷された第1色材混合物に対して空間的に実質的に近接して基板上に第2画像として印刷された第2色材混合物と、を含む。第2色材混合物は、例えば、基本的に1以上の非磁性インクから構成されており、第1色材混合物に対して、視覚的には低いコントラストを、磁気的には高いコントラストを呈する。これにより、最終的な印刷後の基板からは、人間の眼には第1画像が見えず、磁気画像読み取り装置には第1画像が見えるようになる。
【0008】
1つの態様では、文書上にマークを生成する方法は、例えば、非磁性の基板上にその基板に関して高い磁気コントラストの性質を有する少なくとも1つの第1色材混合物を第1画像として印刷するするステップと、印刷された第1画像に空間的に実質的に近接してその基板上に第2画像として第2色材混合物を印刷するステップであって、第2色材混合物は、基板に関して低い磁気コントラストの性質を有し、第1色材混合物との比較では低い視覚的コントラストの性質を有することを特徴とするステップと、を含む。
【0009】
1つの態様では、文書は、非磁性の基板と、基板上に第1画像として印刷された第1色材混合物であって、基板に関連して高い磁気コントラストの性質を有する第1色材混合物と、印刷された第1画像に空間的に実質的に近接して基板上に第2画像として印刷された第2色材混合物であって、第1色材混合物に対して低い視覚的コントラストの性質を有し、最終的な印刷後の基板からは、磁気画像読み取り装置を用いて検査したときに識別可能なパターンが磁気マークとして現れるようにする第2色材混合物と、を含む。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【図1】実施形態に従って、色材の異なる組み合わせ及び分布が通常の照明の下で同一の視覚的印象をもたらすという条件等色(メタメリズム)の状況を模式的に示す図である。
【図2】単一の視覚的な黒色が実施形態に従って異なる色材の組み合わせにより実現される2つの例の断面の様子を模式的に示す図である。
【図3】実施形態に従って、色材又は色材混合物を用いて、一例の英数字(アルファベット又は数字)を描画する方法を示す図である。
【図4】色材混合物妨害パターンを含んだ色材混合物パターンを利用して、一例の英数字を生成する方法を示す図である。
【図5】実施形態に従って、同一のLab値を呈するが、異なる磁気的応答特性を有する2つの色材混合物を示す図である。
【図6】実施形態に従って、「X」の形態の、MICR黒トナーを用いて形成される磁気マークの磁気的コード化を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、この出願の様々な側面、特徴、利点及び効果について、図面を参照して説明する。
【0012】
この明細書においては、以下の用語は以下に示す意味を有する。
【0013】
以下の説明では、「データ」とは、デジタル的に転送又は処理することができる数値形態の情報を意味する。
【0014】
「画像」は、物理的な光のパターン、又は物理的な光のパターンを表すデータの集まりであり、文字、単語、テキスト、あるいはグラフィックス(図形)その他のものも含み得る。その延長上で、「デジタル画像」とは、デジタルデータの集まりにより表現された画像である。画像は複数の「セグメント(断片)」に分割される場合もあり、それら各セグメントもそれ自体が画像である。画像のセグメントは、いかなるサイズであってもよく、極端な場合画像全体を含んでもよい。「画像オブジェクト」又は「オブジェクト」という用語は、この明細書では、「セグメント」という用語とほぼ等価であり、この明細書では互いに置き換え可能な形で用いる。
【0015】
物理的な光を表すデータからなるデジタル画像では、データの個々の要素は「画素(ピクセル)」と呼ばれ、これは当該分野における一般的な用法であり、画像の要素(picture element)を意味する。各画素は、それぞれ、位置と値を有する。個々の画素の値は、二値形式の1つ又は複数のビットであってもよく、グレースケール形態のグレースケール値であってもよく、色座標形態の色空間座標の組であってもよい。二値形態、グレースケール形態、及び色座標形態は、それぞれ、例えば、画像を規定する二次元配列を形成する。画像の部分に関するデータの要素に対して演算が行われる場合、その演算は「画像処理」を実行しているという。「コントラスト」は、要素同士の間、データ点同士の間などの視覚的な差異を示すために用いる。コントラストは、例えば、色差又は輝度差又はそれら両方として測定することができる。
【0016】
「デジタルカラー印刷システム」は、画像データを受け入れてその画像データを基板上に描画するための装置構成である。基板は、紙や透明シートなどと言った、印刷可能な物体のことである。
【0017】
「色材」は、基本的な減色法のC、M、Y、Kの原色(シアン、マゼンタ、イエロー、黒)のうちの1つであり、例えば、液体インク、固体インク、染料、静電写真法のトナー、又は他の印刷可能な材料などとしての調合物として実現される。
【0018】
「色材混合物」(colorant mixture)とは、C、M、Y、Kの色材のうちの1以上の組み合わせのことである。
【0019】
「トナー」は、基板上に画像又はテキストを形成するための湿式又は乾式の材料のことである。インク及びトナーという用語は、このような材料を指ものとして互換的に用いる。
【0020】
「磁性インク」とは、例えば、磁気インク文字認識(「MICR」:Magnetic Ink Character Recognition)で用いられるインクを意味する。MICRとは、文字認識技術の1つであり、この技術ではMICR文字が磁性インク又は磁性トナーを用いて印刷される。磁性インク又は磁性トナーに対する正の添加剤には、例えば酸化鉄がある。
【0021】
「非磁性インク」とは、例えば、磁場を生じない、又は磁性インクの磁場とは実質的に異なり且つ異なることが測定可能なわずかな磁場を生じるにすぎない、インクを意味する。
【0022】
「条件等色描画」すなわち「条件等色印刷」とは、3色以上の色材を用いて印刷するときに達成されるように、複数の色材の組み合わせを用いて視覚的に単一の色を描画する機能のことである。この文脈では、理想的な条件等色での色の一致はたとえば非現実的な実験室内の閲覧条件でのみ達成できるものであるが、この記載及び以下の段落では、この用語は、与えられたユーザの閲覧環境での実用的な意味での視覚的な一致を示すために用いられる。
【0023】
印刷業界においては、例えば偽造や不正コピーを防止し、銀行でのチェック処理を促進するための技術などのように、セキュリティマークのために用いられるように、磁性イングを磁気検出装置と組み合わせて利用することについてのよく定着した理解がある。しかし、特にデジタル印刷環境において、普通に用いられる消耗品を用いて、同様の利益をより簡単且つ低コストで得ることができる技術が長らく求められてきた。
【0024】
図1は、人間の観察者に対する条件等色(メタメリズム)印刷の概念化を模式的に示している。人間の観察者に対する視覚的な応答は、たいていの実用的な応用では、例えばCIE(International Commission on Illumination:国際照明委員会)により定められているように、3成分の体系を用いて十分に記述される。理想的なトナーを用いた理想的なシステムでは、図1(a),(b),(c),(d)の4つの領域は、通常の照明下では、すべて同じ視覚的応答を示すことになる。このことを、当業者は、同じLab(L*a*b*)値を持つということもある。あらかじめ定められた領域10の中に、異なった量のイエロー20、マゼンタ30、シアン40及び黒50の色材が、標準的な4色印刷システムのように、付加される。異なった色材の重なりにより、混合色である青35と赤45とが、シアン40とマゼンタ30から、又はイエロー20とマゼンタ30から、それぞれ生成される。
【0025】
図2には、概念的な断面図として、視覚的な黒色が形成される異なる方法として、基板の印刷面60上に、黒の色材50を用いて形成される場合と、これの代わりにイエロー20、マゼンタ30及びシアン40の色材を重ね合わせることにより形成される場合とが示されている。図2に示された重要な事項は、単一の色(この場合は黒)は、数多くの条件等色的な色材の組み合わせによっても実現可能であるということであり、そのうちの2つをこの例で示している。一般に、N>nの場合において(N,nは自然数)、N個の成分をn個の成分に写像(マッピング)するシステムはいずれも、この写像を実現するための方法を複数持っている。当業者ならば分かるように、その写像には特異点があり、ある視覚的な三つ組が、単一の又は少数の色材四つ組のみを用いて達成できるということも考えられる。特許請求の範囲に記載した発明では、標準的な4色より多く色材を用いることも包含され考慮されているが、この点については、当業者にとって冗長かつ不必要であるため、説明を明確にするためにここでは省略している。
【0026】
図1の例に示すとおり、視覚的に同一の色を、それぞれ利用可能な色材を異なった量及び異なった組合せで用いて実現することができる。図1の(c)及び(d)からは、(c)ではマゼンタ30とシアン40の重ね合わせがあることに注意すると、同量の色材が使用されており、両者で異なっているのは空間的な分布のみであることが明らかであろう。一方、図1の(a)及び(b)の例では、そこにある黒の色材50は、概念上、図2に示すように、色の視覚的な認識を変えることなく、イエロー20、マゼンタ30及びシアン40の3つの色材の重ね合わせにより置き換え可能である。
【0027】
標準的な照明の下では、人間の観察者は、通常の観察シナリオでは、描画された色が、可能な様々な色材の組合せからどのように生成されたのかを識別することはできない。この一般に了解されている効果は、膨大な数の可能な組合せの中からもっとも良い色材の組合せを選択するのによく用いられている。もっとも良い組合せは、使用される材料、コスト、安定性などといった二次的な要求事項にとって有利な組合せである。実際に、当業者ならばすぐに気づくように、黒の色材の使用量を増やしC、M及びYの色材の使用量を減らすことでカラーページの描画のためのコストを低減するために、下色除去が良く用いられている。
【0028】
ここに示した技術は、同一のCIE Lab値を有することで通常の光の下では互いに識別しにくい複数の色材マスクパターンを見つけることにより実行することができる。実施形態では、それら複数の色材マスクパターンは、例えばそれぞれ非類似の磁気的応答を示し、磁気読み取り装置により読み取られるときに互いに対して高い磁気的コントラストを示す。磁気センシングにおけるこの磁気的応答についての非類似性は、例えば磁気カメラなどの、画像ベースの磁気センサを用いて容易に検出することができる。1つの例では、この差異を、第1の磁気的特性を呈する黒色の色材を用いた視覚的な黒色と、異なる磁気的特性を呈するシアン、マゼンタ、イエローの色材の組合せにより生じる視覚的な黒色とを切り換えることにより用い、空間的な近傍且つ相補的な反対位置にて、各々の配置を背景領域と前景領域との間で切り換える。
【0029】
図3は、以上に列挙した表示事項の1つの応用例を示す。図3では、文書は、例えば、非磁性の基板と、第1色材混合物300と、第2色材混合物301とを含む。第1色材混合物300は、例えば、基板上に第1画像として印刷される。第1色材混合物300は、例えば磁性インクを含む。この代わりに、第1色材混合物300は、基板との間で高い磁気コントラストの特性を有していてもよい。第2色材混合物301は、例えば、印刷された第1色材混合物300に対して実質的に空間的に近接して、基板上に第2画像として印刷される。この明細書では、実質的に空間的に近接しているとは、2つの画像が、互いに境を接する境界を有すること、重なり合うこと、あるいは互いにあまりに近いために両者の境界が通常の環境での閲覧条件の下では人間に知覚できないことを意味する。第2色材混合物301は、例えば、基本的には1又は複数の非磁性インクから構成されており、第1色材混合物300に対して、低い視覚的コントラストと高い磁気的コントラストとを呈し、これにより、最終的な印刷後の基板からは、人間の眼には第1画像が見えないが、磁気画像読み取り装置には第1画像が見えるようになっている。別の例では、第2色材混合物301は、例えば、基板と間で低い磁気的コントラストの特性を有すると共に、第1色材混合物300に対して低い視覚的コントラストを有しており、これにより最終的な印刷後の基板の画像には、磁気画像読み取り装置で検査したときに磁気マークとして識別可能なパターンが現れる。ここでは、低い視覚的コントラストとは、2つの印刷された要素を視覚的に比較した場合に、知覚可能な色の変化がないことを意味する。高い磁気的コントラストとは、基板上に印刷された2つの材料を比較した場合に、一方が他方よりも著しく高い磁気的応答を示すことを意味する。
【0030】
1つの実施形態では、第1色材混合物300がある視覚的な色を呈し、第2色材混合物301が同じ視覚的な色を呈してもよい。第1色材混合物300は、例えば、主として黒色の色材を含むものでもよい。例えば、第1色材混合物はカーボンブラックのトナー又はインクであってもよい。第2色材混合物301は、例えば、イエロー、シアン、マゼンタを含む。第1色材混合物300及び第2色材混合物301は、例えば、実質的に類似のグレースケール値を呈する。第1色材混合物300及び第2色材混合物301は、更に、通常の照明の下では条件等色的に近い色であり、磁気的な検出に対する応答は互いに異なるものであってもよい。
【0031】
1つの実施形態では、基板は例えば紙である。この代わりに、基板は、透明シート、包装材、プラスチック、又はトナーが印刷可能な他の媒体であってもよい。
【0032】
各色材混合物300及び301は、CMYKいずれかの単一の色材であってもよいし、CMYKの色材のいかなる混合物であってもよい。しかし、それら色材混合物は、色材混合物301の磁気的応答が色材混合物300の磁気的応答よりも高くなるように選択される(あるいはその逆)という点で互いに異なっている。しかし、いくつかの例では、色材混合物300及び301は、通常の光の下で互いの平均的な色が極めて近くなると同時に、互いの平均的な磁気的応答が異なるように選択されてもよい。したがって、通常の照明の下では、領域302は、人間の観察者には一定又は準一定(ほぼ一定)の色又はパターンに見えるが、磁気検知ツールの下では、領域302は、色材混合物300及び301により表現された、磁気カメラやMICR読み取り装置などの磁気検知装置に対して明確なコントラストを示す2つの別個の領域へと分離される。したがって、磁気検出装置により、磁気インクが強調表示された画像303を見ることができ、磁気インクにより形成された画像があらわになる。
【0033】
1つの例では、文書は更に基板上に第3画像305として印刷された第3色材混合物304を含んでいてもよい。第3色材混合物304は、第1色材混合物300及び/又は第2色材混合物301の視覚色及び/又は磁場強度とは異なる視覚色及び/又は磁場強度を呈するものであってもよい。
【0034】
更なる例として、グレースケール値約50%のグレーの色材混合物を、黒色の色材のみのハーフトーンを用いて実現してもよい。これは、多くの量のイエローを十分なシアン及びマゼンタと混合することで形成された類似のグレースケール値約50%のグレーの色材混合物と突き合わせて(共に使用して)もよい。単一色材のハーフトーンの場合は黒色の色材を多く含んでいるので、色材混合物と比べて磁性インクの吸収がはるかに多い。したがって、通常の見るための照明の下ではかなり近いところまで一致して見えつつも、磁気的な検出条件の下では適切な装置にはかなり異なって見える2つの色材混合率を実現することができる。
【0035】
更に、当業者ならば分かるように、これは、2つの異なる色材混合物から通常の閲覧用の照明の下での同じ色応答を再現するために、条件等色を意図的に利用するものとして行ってもよい。平均的な磁気的応答が十分に異なり、通常の室内の光の状況下で条件等色的によく一致する複数の色材混合物である。
【0036】
文書上にマークを生成する方法は、非磁性の基板上に少なくとも1つの第1色材混合物300を第1画像として印刷する処理と、その基板上の、印刷された第1色材混合物300に対する空間的な近傍に少なくとも1つの第2色材混合物301を第2画像として印刷する処理とを含む。第1色材混合物300は、基板に対して高い磁性コントラストの性質を有するものでもよく、第2色材混合物301は、基板に対して低い磁性コントラストの性質を有し且つ第1色材混合物300に対して低い視覚的コントラストの性質を有するものでもよい。1つの例では、この方法は、基板上に第3画像を印刷するする処理を含んでもよい。第3画像は、空間的に互いに近接して配置された第1色材混合物及び第2色材混合物を少なくとも含んでいてもよい。それら少なくとも2つの色材混合物の空間的な画像配置は、適切な磁気画像読み取り装置に対して磁気的マークを示すものであってもよい。またこの代わりに、この方法は、第3色材混合物304を第3画像305として基板上に印刷する処理を含んでいてもよい。第3色材混合物304は、第1色材混合物300とは異なる磁場強度を示すものであってもよい。この第3色材混合物の印刷は、好適には、その前に堆積済みの色材混合物群の代わりに印刷するのではなく、その堆積済みの色材混合物群に対して重ねて印刷(すなわち付加)することにより行われる。図3については、このことは、色材混合物304が、結果として、その前に堆積済みの色材混合物300又は301のどちらの位置かに応じて、2つの色材混合物304/300及び304/301となることを意味する。
【0037】
上述の方法は、有効ではあるが、めざとい人や、条件等色的な描画に基づく磁気マークを探していたり、想定していたりする人には、通常の照明の下でも認識できる場合があるかも知れない。このことは、例えば、プリンタの不正確さ又は変動に起因する誤ったマッチング、及び/又は本来的な較正の限界に起因する誤ったマッチングにより引き起こされるか、又は、光沢などのような色材の他の属性の差に基づいて引き起こされる場合がある。以下に示すのは、妨害パターン(distraction pattern)を組み込むことにより、必要な磁気検出がなしでは磁気マークを裸眼で認識することをますます困難に、あるいは不可能にさえする更なる技術である。
【0038】
1つの例では、2つの色材混合物が基板上に妨害パターンの形で印刷されるようにしてもよい。図4はこのような実施形態の一例を示す。素人の観察者が磁気マークを偶然に見つけてしまうことを更に困難にするために、上述のような異なった色材混合物の領域に対して、空間的な妨害パターンを導入してもよい。結果として得られる空間的な色パターンは、通常の光の下で観察した場合には、平均的にはある見かけ上の色を持ち、また磁気的検出の下で観察したときには、平均的には、ある磁気応答レベルを呈する。
【0039】
図4は、1つの単純な磁気マークが単に英数字からなる文字列である例を示している。図4の例で選ばれた英数字に該当する文字403は”O”であり、これは2状態の画像である。すなわち、一方の状態は文字画像の形状であり、もう一方の状態は背景である。この2状態画像を構築するために、2つの空間的な色パターン401及び402を用いている。これらパターンは、それぞれ、それら2状態のうちの一方に対応する。これら2つの空間的色材パターン(spatial colorant pattern)は、通常の光の下での平均的な色は互いに類似しているが。磁気的応答は互いに異なっている。それら2つの空間的な色材パターン401及び402は、例えば1つ又は複数の色の空間的な繰り返しパターンのモザイク的な組合せであり、ここで、単一色材の場合もCMYK色材混合物の場合も各色が順に並んでいる。
【0040】
図4に示した実施例では、CMYK1、CMYK2、CMYK3、CMYK4と示されるよく考えられた4つの色材混合物を用いている。用いる色材の数は後述するようにそれより少なくてもよいし、また当業者ならば分かるようにそれより多くてもよい。CMYK1及びCMYK2は第1空間的色材パターン401を構成するのに用いられる。一方。CMYK3及びCMYK4は。第2空間的色材パターン402を構成するのに用いられる。この実施形態で実際に用いられる妨害パターンは、ダイヤ形のチェッカーボード模様(市松模様)であるが、当業者ならば分かるように、単純な縦横のチェッカーボード模様や水玉模様などのような様々な他のパターンから選択してもよい。このパターンは、眼に対して妨害(気を散らすもの)として作用し、テキスト/画像と背景との間の切り替わりをより認識しづらくする。実際の妨害パターンの粒のサイズは、ある程度、可変であり、柔軟であり、経験的なものである。最適な結果は、所望のフォント又は画像のサイズ、描画に用いると想定される印刷システム、又は想定する観察者の視覚の鋭敏さ、などに依存する。例示した結果は、空間色材パターン401及び402の両方について、使用した空間パターンが同じ又はかなり似ている場合に実現される。
【0041】
図4に示す例に戻ると、第2空間的色材パターン402はパッチエリア403を満たすように選択され、適用される。パッチエリア403は、この例では、英数字記号”O”を示す画像である。更に、この例ではパッチエリア403に対して空間的に近接して配置されているパッチエリア402に対して、第1の空間的色材パターン401が選択され適用され、これによりパッチエリア403の周囲の背景パターンを形成する。この例では、空間的色材パターン401及び402は、パターンがパッチ402と403との間でほぼ連続しているように見えるように配置されている。しかし、それら2つの空間的色材パターンは、通常の光の下ではほぼ似ている平均色を有しつつも異なる平均的磁気応答を有するように設計されているので、それらパターンは少なくとも1つのCMYK色材混合物を共通に有していてもよい。例えば、図4では、CMYK2はCMYK4と同一であってもよい。これは、CMYK1とCMYK3とが、通常の光の下で実質的に類似した平均的な色レベルを有し、実質的に異なった磁気的応答を有することを意味する。
【0042】
上述の説明は、それら色材が磁性的なものである場合にも通用する。なぜなら、そのような場合には、強磁性コード化(strong magnetic coding)を観察できるからである。しかし、色材自体が磁性的である場合には、色材を付加する(堆積させる)順序が重要となり、用いる順序が所望の特性を変えてしまわないように注意しなければならない。いくつかの例では、共通の磁性的な黒い色材が、非磁性の色のある各色材に対して、空間的に非常に近接して適用される。
【0043】
このように、以上に説明したのは、画像に対して埋め込まれた、通常の光の下では裸眼にはほぼ解読できないが磁気を検知する装置によれば容易に検知することができる性質を持つウォーターマーク(透かし)である。この磁気的マークは、磁気的に読み取り可能な基板と、その基板上に画像として印刷される第1空間的色材混合物パターンとを含む。第1空間的色材混合物パターンは、磁気的に読み取りにくい特性を持つと共に、通常の照明の下では第2空間的色材混合物パターンに対して低い色コントラストの性質を持つ。第2空間的色材混合物パターンは、磁気的に読み取りやすく、第1空間的色材混合物パターンに対して空間的に極めて近傍に印刷され、これにより、その結果得られた画像が磁気読み取り装置に提示されると、その適切な磁気検知装置に対して磁気マークとしての認識可能な明白なパターンを生成する。
【0044】
図5は、同一の視覚的応答すなわち同一のLab値を呈するが、大きく異なった磁気的応答を呈する2つの色材混合物501及び502を示す。これら2つの色材混合物のうちの一方は非磁性インクを用いたものであり、他方はMICR黒トナーを用いたものである。図5に示すように、2つの色材混合物501及び502は、同一の視覚的応答すなわちLab値を生み出すCMYKの四つ組からなるものであってよい。しかし、これら2つのCMYKの四つ組は、大きく異なる磁性応答を生み出す。これは、例えば、非磁性のCMYトナー503とMICR黒トナー504とを用いることによりもたらされる。
【0045】
図6は、”X”の形の磁気マーク601を表している。この磁気マーク601は、実施形態に従ってMICR黒トナー504を用いて形成されている。例えば、”X”の形のマーク601は、磁気的応答では検出可能であるが、通常の閲覧条件では不可視になるようにコード化されている。他の例では、磁気デコーダにより読み取ることができる任意の磁気コード化を実行してもよい。この明細書に記載した範囲内で、付加的な、あるいは代替的な磁気コード化を用いてもよい。
【符号の説明】
【0046】
300 第1色材混合物、301 第2色材混合物、302 領域、303 画像、304 第3色材混合物。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
非磁性の基板と、
前記基板上に第1画像として印刷された第1色材混合物であって、前記基板に関連して高い磁気コントラストの性質を有する第1色材混合物と、
印刷された前記第1画像に空間的に実質的に近接して前記基板上に第2画像として印刷された第2色材混合物であって、前記第1色材混合物に対して低い視覚的コントラストの性質を有し、最終的な印刷後の基板からは、前記第1画像が人間の眼には見えず、磁気画像読み取り装置を用いて検査したときに識別可能なパターンが磁気マークとして現れるようにする第2色材混合物と、
を備える文書。
【請求項2】
請求項1に記載の文書であって、
前記第2色材混合物は、前記基板に関して、又は前記第1色材混合物に対して、低い磁気コントラストの性質を有し、
前記第1色材混合物は主として黒色の色材から構成されており、前記第2色材混合物はイエロー、シアン及びマゼンタの色材から構成されており、前記第1色材混合物及び前記第2色材混合物は実質的に類似したグレースケール値を呈する、
ことを特徴とする文書。
【請求項3】
請求項1に記載の文書であって、
前記第1色材混合物と前記第2色材混合物は、妨害パターンの形態で前記基板上に印刷され、
前記第1色材混合物と前記第2色材混合物とは、通常の照明の下では条件等色的に非常に近い色であるが、磁気的な検出に対する応答は互いに異なる、
ことを特徴とする文書。
【請求項4】
請求項1に記載の文書であって、前記基板上に第3画像として印刷される第3色材混合物を更に有し、前記第3色材混合物は前記第1色材混合物の磁場強度とは異なる磁場強度を呈する、ことを特徴とする文書。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2011−50055(P2011−50055A)
【公開日】平成23年3月10日(2011.3.10)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−182871(P2010−182871)
【出願日】平成22年8月18日(2010.8.18)
【出願人】(596170170)ゼロックス コーポレイション (1,961)
【氏名又は名称原語表記】XEROX CORPORATION
【Fターム(参考)】