来客管理システム
【課題】複数の来客管理端末と、サーバとがネットワーク網を介して接続された来客管理システムに関し、通信不能な状態が生じた場合であっても、施設に対するセキュリティを維持しつつ、円滑な入退場管理を行い得る来客管理システムを提供する。
【解決手段】来客管理システム1は、第1受付Ra、第2受付Rbに設置されたパーソナルコンピュータ10と、データベースサーバ50を、ネットワーク網Nを介して通信可能に接続して構成される。CPU16は、データベースサーバ50との通信が不能な場合、来客の入場時に、入退場状況をローカルデータベース13Aに登録し、バーコードBを含む入場許可証Pの印刷出力を行う。退場時には、CPU16は、バーコードBを読み取ることで、来客入場時の状況に応じたメッセージを表示する。通信が復旧した場合、CPU16は、ローカルデータベース13Aの記憶内容を来客データデータベース55に統合する。
【解決手段】来客管理システム1は、第1受付Ra、第2受付Rbに設置されたパーソナルコンピュータ10と、データベースサーバ50を、ネットワーク網Nを介して通信可能に接続して構成される。CPU16は、データベースサーバ50との通信が不能な場合、来客の入場時に、入退場状況をローカルデータベース13Aに登録し、バーコードBを含む入場許可証Pの印刷出力を行う。退場時には、CPU16は、バーコードBを読み取ることで、来客入場時の状況に応じたメッセージを表示する。通信が復旧した場合、CPU16は、ローカルデータベース13Aの記憶内容を来客データデータベース55に統合する。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、施設に対する来客の入退場を管理する来客管理システムに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、来客管理システムは、施設の受付等において、当該施設に対する来客者の入退場の管理に用いられている。これらの来客管理システムは、受付担当者により操作される来客管理端末と、データベースと、を、ネットワーク網を介して接続して構成されている。このような来客管理システムに関する発明として、特許文献1記載の受付システムに係る発明が知られている。
【0003】
特許文献1記載の受付システムは、受付端末と、サーバとを通信ネットワークで接続して構成されている。そして、特許文献1記載の受付システムにおいて、当該受付端末は、来客が入場する際に、来客個人を識別可能な情報の入力に用いられ、通信ネットワークを介して、入力された情報をサーバへ出力する。サーバは、来客の訪問予定を示す予約データを記憶している。受付端末から入力された情報に対応する予約データを、通信ネットワークを介して、サーバから検索し、当該予約データがサーバに存在した場合に、認可票(即ち、入場許可証)を発行し、入場を許可する。又、特許文献1の図14においては、或る営業所における複数箇所の受付に、夫々、受付端末を設け、各受付端末とサーバを通信ネットワークで接続した構成が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2002−297836号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、特許文献1記載の受付システムでは、来客の施設に対する入場管理は行い得るものの、施設からの退場管理については記載されていない。施設に対するセキュリティを考慮すると、施設への入場だけでなく、施設からの退場についても、状況を把握し得ることが望ましい。例えば、特許文献1記載の受付システムの場合、来客の退場時においても、通信ネットワーク網を介してアクセスし、当該来客が退場したことをサーバに登録することで、施設側(訪問相手先)において、当該来客が退場したことを把握し得ることが望ましい。
【0006】
ここで、特許文献1記載の受付システムにおいては、通信ネットワークを介して、受付端末とサーバの間での通信することが前提となっており、通信ネットワークを介した通信が不能な状態である場合には、サーバ内の予約データを検索することができないため、来客者の入場は許可されない。又、この場合において、受付担当者が来客と対面して入場を許可したとしても、受付端末とサーバの間における通信が不能であるため、当該来客が入場している旨をサーバに登録することはできない。そうすると、当該来客が退場する際に、入場時と異なる受付担当者が対応する場合、退場時の受付担当者は、サーバの登録内容により、「受付を介して入場した来客であるのか、受付を介さずに入場した者であるのか」を区別することができないため、セキュリティを考慮すると、当該来客の退場に厳密な確認作業と時間を要することとなってしまい、受付における入退場が滞ってしまう。
【0007】
特に、或る営業所における複数箇所の受付に、夫々、受付端末を設け、各受付端末とサーバを通信ネットワークで接続した構成(例えば、特許文献1の図14)の場合、来客が退場する受付は、退場しようとする来客の意思に依存するため、入場時における受付と同一であるとは限らない。従って、複数の受付が存在する施設においては、ネットワークを介した通信が不能な状況が生じた場合、通信不能な状況下で入場した来客の入退場管理に関して、上述のような不具合が生じる蓋然性が非常に高くなってしまう。
【0008】
本明細書は、複数の来客管理端末と、サーバとがネットワーク網を介して接続された来客管理システムに関し、通信不能な状態が生じた場合であっても、施設に対するセキュリティを維持しつつ、円滑な入退場管理を行い得る来客管理システムを提供する。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明の請求項1記載の来客管理システムは、施設に対する来客の入退場が行われる複数の受付に設置され、各受付における来客の入退場を管理する為の複数の来客管理端末と、各来客管理端末と接続され、当該施設への入場に関する入場許可証を印刷する印刷装置と、ネットワーク網を介して、各来客管理端末と通信可能に接続され、各受付における来客の入退場の状態に基づいて、当該施設における来客の入退場の状況を管理するサーバと、を有する来客管理システムであって、前記サーバは、前記施設に訪れる来客個人を示す個人情報と、当該個人情報に係る来客の前記施設に対する入退場の状況を示す入退場状況情報と、を含む来客情報を記憶する第1記憶手段と、を有し、前記来客管理端末は、当該施設に対する来客の入退場に関する種々の操作に用いられる操作手段と、前記操作手段により、当該受付から前記施設に来客が入場する際の入場操作が行われた場合、当該来客に係る来客情報を構成する入退場状況情報の内容を、入場中を示す内容に更新し、前記操作手段により、当該受付を介して前記施設から来客が退場する際の退場操作が行われた場合、当該来客に係る来客情報を構成する入退場状況情報の内容を、退場を示す内容に更新する来客情報更新手段と、前記サーバとネットワーク網を介して通信可能であるか否かを判断する通信状況判断手段と、前記サーバとの通信が不能である場合の来客の入退場管理に用いる為に、前記来客情報を補助的に記憶する第2記憶手段と、前記通信状況判断手段により、前記サーバとの通信が可能であると判断された場合、前記来客情報更新手段による更新対象を、前記サーバの第1記憶手段に格納された来客情報に設定し、前記通信状況判断手段により、前記サーバとの通信が不能であると判断された場合、前記来客情報更新手段による更新対象を、当該来客管理端末の第2記憶手段に格納された来客情報に設定する更新対象切換手段と、前記サーバとの通信が不能な状態から、サーバとの通信が可能な状態に復帰した場合、前記第2記憶手段に格納されている来客情報の内容を、ネットワーク網を介して、前記サーバの第1記憶手段に併合する来客情報併合手段と、前記操作手段により前記入場操作が行われ、且つ、前記通信状況判断手段により前記サーバとの通信が可能であると判断された場合、前記印刷装置を制御することにより、当該来客に係る来客情報に基づく入場許可証を出力し、前記操作手段により前記入場操作が行われ、且つ、前記通信状況判断手段により前記サーバとの通信が不能であると判断された場合、前記印刷装置を制御することにより、サーバとの通信が不能な通信不能状況における来客が当該受付を介して入場したことを示すコード情報に基づくコード画像と、当該来客に係る来客情報に基づいて、前記コード画像を含む入場許可証を出力する許可証出力手段と、を有することを特徴とする。
【0010】
当該来客管理システムは、複数の受付に設置された複数の来客管理端末と、各来客管理端末に接続された印刷装置と、各来客管理端末とネットワーク網を介して通信可能に接続されたサーバを有して構成される。サーバは、第1記憶手段を有しており、各来客管理端末との通信により、来客情報を管理することで、各受付における来客の入退場を管理している。来客管理端末は、操作手段と、来客情報更新手段と、通信状況判断手段と、第2記憶手段と、更新対象切換手段と、来客情報併合手段と、許可証出力手段と、を有している。当該来客管理システムにおいて、来客管理端末は、サーバとの通信が可能である場合、前記来客情報更新手段による更新対象を、前記サーバの第1記憶手段に格納された来客情報とし、前記操作手段により入場操作が行われることを条件に、来客情報を構成する入退場状況情報の内容を、入場中を示す内容に更新すると共に、印刷装置を制御することにより、当該来客に係る来客情報に基づく入場許可証を出力する。又、サーバとの通信が可能である場合、来客管理端末は、退場操作が行われると、前記サーバの第1記憶手段に格納された来客情報を構成する入退場状況情報の内容を、退場を示す内容に更新する。一方、サーバとの通信が不能であると判断された場合、来客管理端末は、前記来客情報更新手段による更新対象を、当該来客管理端末の第2記憶手段に格納された来客情報とし、入場操作が行われることを条件に、第2記憶手段に格納された来客情報を構成する入退場状況情報の内容を、入場中を示す内容に更新すると共に、前記印刷装置を制御することにより、コード画像を含む入場許可証を出力する。又、サーバとの通信が不能であると判断された場合、来客管理端末は、当該来客管理端末の第2記憶手段に格納された来客情報を構成する入退場状況情報の内容を、退場を示す内容に更新する。従って、当該来客管理システムによれば、来客管理端末とサーバとの間の通信の可否に応じて、サーバの第1記憶手段と、当該来客管理端末における第2記憶手段の何れかにおける来客情報により、当該施設における来客の入退場管理を行い得る。つまり、当該来客管理システムによれば、来客管理端末とサーバとの通信が不能である場合であっても、第2記憶手段における来客情報を更新することで、来客の入退場を漏れなく行うことができ、当該施設に対するセキュリティを維持し得る。又、当該来客管理システムによれば、受付を担当する者(以下、受付担当者)は、入場許可証におけるコード画像に基づいて、「当該入場許可証に係る来客が、サーバとの通信が可能な状況下で入場したのか、サーバとの通信が不能な状況下で入場したのか」を特定し得る。これにより、当該来客管理システムによれば、サーバとの通信が不能な状況下で入場した来客の退場時において、当該来客管理端末とサーバの間の通信が不能である場合であっても、適切かつ円滑な退場処理を行うことができ、もって、施設のセキュリティを維持し得る。更に、当該来客管理システムにおいて、前記サーバとの通信が不能な状態から、サーバとの通信が可能な状態に復帰した場合、来客管理端末は、来客情報併合手段により、当該来客管理端末の第2記憶手段に格納されている来客情報の内容を、ネットワーク網を介して、前記サーバの第1記憶手段に併合する。つまり、当該来客管理システムによれば、複数の受付における来客の入退場を、サーバの第1記憶手段における来客情報により、総合的に管理することができる。又、複数の来客管理端末の一つにおいて、サーバとの通信が不能な状況が生じた場合であっても、サーバとの通信が復旧した時点で、来客情報の内容をサーバの第1記憶手段上で統合するので、サーバと各来客管理端末におけるデータ内容の整合性をとることができ、来客の入退場管理を正常に行い得る。
【0011】
そして、請求項2記載の来客管理システムは、請求項1に記載の来客管理システムであって、前記来客管理端末は、当該施設に対する来客の入退場に関する種々の表示を行う表示手段と、前記入場許可証に含まれるコード画像から、前記コード情報を読み取る読取手段と、前記操作手段により退場操作を行う際に、前記読取手段によって、入場許可証のコード画像からコード情報を読み取った場合、当該入場許可証に係る来客の来客情報を構成する入退場状況情報の内容に基づいて、サーバとの通信が不能な状態の受付を介して、当該来客が施設に入場したことを含む報知表示を、前記入退場状況情報に対応する態様で、前記表示手段に表示する表示制御手段と、を有することを特徴とする。
【0012】
当該来客管理システムにおいて、来客管理端末は、表示手段と、読取手段と、表示制御手段と、を有している。当該来客管理端末は、退場操作を行う際に、前記読取手段によって、入場許可証のコード画像からコード情報を読み取ることで、サーバとの通信が不能な状態の受付を介して、当該来客が施設に入場したことを含む報知表示を、前記入退場状況情報に対応する態様で、前記表示手段に表示する。コード画像は、サーバとの通信が不能な通信不能状況における来客が当該受付を介して入場したことを示すコード情報に基づいているので、来客管理端末は、前記報知表示を表示手段に表示し得る。そして、当該来客管理端末によれば、入場時に係る来客管理端末とサーバとの通信が不能な状態であって、当該来客が、入場時と異なる受付から退場する場合においても、当該来客の入場時における状況を把握することができるので、退場時に係る受付の受付担当者は、当該施設に対するセキュリティを維持しつつ。円滑かつ適切な対応をとることができる。
【0013】
又、請求項3記載の来客管理システムは、請求項1又は請求項2に記載の来客管理システムであって、前記来客情報併合手段は、前記サーバとの通信が不能な状態から、サーバとの通信が可能な状態に復帰した場合、前記サーバとの通信が不能な状態で当該施設に入場した来客に関し、前記第2記憶手段に記憶されている来客情報に含まれる入退場状況情報の内容と、前記第1記憶手段に格納されている来客情報に含まれる入退場状況情報の内容を比較する比較手段と、前記比較手段による比較結果に基づいて、前記第1記憶手段における入退場状況情報の示す状況が、前記第2記憶手段における入退場状況情報の示す状況よりも、施設に対する入退場の流れの内、退場側を示す場合、前記サーバとの通信が不能な状態で当該施設に入場した来客に係る来客情報に関して、前記第1記憶手段における来客情報の内容を維持しつつ、前記第2記憶手段に格納されている来客情報の内容を、ネットワーク網を介して、前記サーバの第1記憶手段に併合する併合制御手段と、を有することを特徴とする。
【0014】
当該来客管理システムにおいて、来客管理端末の来客情報併合手段は、比較手段と、併合制御手段とを有している。ここで、当該来客管理システムによれば、来客管理端末とサーバとの通信が不能な状態から、サーバとの通信が可能な状態に復帰し、第2記憶手段に記憶されている来客情報の内容を、前記サーバの第1記憶手段に併合する。この時、当該来客管理システムによれば、前記サーバとの通信が不能な状態で当該施設に入場した来客に関しては、前記第2記憶手段及び前記第1記憶手段に記憶されている来客情報に含まれる入退場状況情報の内容を比較し、前記第1記憶手段における入退場状況情報の示す状況が、前記第2記憶手段における入退場状況情報の示す状況よりも、施設に対する入退場の流れの内、退場側を示す場合には、前記第1記憶手段における来客情報の内容を維持して、第1記憶手段に併合する。これにより、当該来客管理システムによれば、第1記憶手段における来客情報の内容と、第2記憶手段における来客情報の内容を併合する際に、両者間の内容に関する整合性をとることができ、第1記憶手段における来客情報の内容を、より現実の状況に合致するものにし得る。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【図1】本発明の一実施形態に係る来客管理システムの構成を示す説明図である。
【図2】来客管理システムの制御系を示すブロック図である。
【図3】来客データの構成を示す説明図である。
【図4】サーバの来客データデータベースに関する説明図である。
【図5】パーソナルコンピュータのローカルデータベースに関する説明図である。
【図6】入場管理処理プログラムのフローチャートである。
【図7】入場許可証の一例を示す説明図である。
【図8】退場管理処理プログラムのフローチャートである。
【図9】入退場状況確認処理プログラムのフローチャートである。
【図10】切断時入場者メッセージ表示の一例を示す説明図である。
【図11】注意喚起メッセージ表示の一例を示す説明図である。
【図12】警告メッセージ表示の一例を示す説明図である。
【図13】データベース統合処理プログラムのフローチャートである。
【図14】データベース統合処理の一例を示す説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0016】
以下、本発明に係る来客管理システムを、来客管理システム1に具体化した一実施形態について、図面を参照しつつ詳細に説明する。
【0017】
先ず、本実施形態に係る来客管理システム1の概略構成について、図面を参照しつつ詳細に説明する。図1に示すように、来客管理システム1は、複数の受付(第1受付Ra、第2受付Rb)を有する施設に設置されており、当該施設に対する来客の入退場を管理している。そして、第1受付Ra及び第2受付Rbは、夫々、当該施設における異なる場所に配置されている。又、第1受付Ra、第2受付Rbには、夫々、来客管理端末として機能するパーソナルコンピュータ10と、プリンタ20と、バーコードリーダ30が設置されている。
【0018】
パーソナルコンピュータ10は、当該施設の受付(即ち、第1受付Ra、第2受付Rb)に設置されており、当該受付における受付担当者により操作される。当該パーソナルコンピュータ10は、当該施設内を対象に構築されたネットワーク網Nに接続されている。そして、パーソナルコンピュータ10は、プリンタ20と、バーコードリーダ30と直接的に接続されており、後述する入場許可証Pの印刷出力や、バーコードBの読取に関する制御を行う。又、パーソナルコンピュータ10は、ネットワーク網Nを介して、データベースサーバ50と接続されており、当該受付における来客の入退場管理の結果を、データベースサーバ50に登録する。
【0019】
データベースサーバ50は、ネットワーク網Nを介して、パーソナルコンピュータ10と接続されている。当該データベースサーバ50は、種々のデータを格納する。当該種々のデータは、パーソナルコンピュータ10により入力された来客データ等を含む。データベースサーバ50に格納されているデータは、来客管理システム1における来客管理に用いられる。
【0020】
尚、各パーソナルコンピュータ10及びデータベースサーバ50において、ネットワーク網Nに対する接続態様は、無線接続であっても良いし、有線接続であってもよい。
【0021】
次に、本実施形態に係る来客管理システム1の制御系について、図面を参照しつつ詳細に説明する。図2に示すように、来客管理システム1は、第1受付Ra、第2受付Rbに夫々設置されたパーソナルコンピュータ10、プリンタ20、バーコードリーダ30と、データベースサーバ50により構成される。各パーソナルコンピュータ10と、データベースサーバ50は、夫々、ネットワーク網Nを介して、相互に通信可能である。
【0022】
パーソナルコンピュータ10は、制御部15を有している。制御部15は、パーソナルコンピュータ10に対する制御の中枢を担う。上述したように、パーソナルコンピュータ10は、来客管理システム1に対する制御の中枢を担う。即ち、制御部15は、来客管理システム1全体を、統括的に制御する。
【0023】
制御部15は、CPU16、ROM17、RAM18を有している。CPU16は、パーソナルコンピュータ10の制御の中枢を担う中央演算処理装置である。ROM17は、パーソナルコンピュータ10の制御上必要な種々の制御プログラムやデータテーブルを記憶する記憶装置である。例えば、ROM17は、後述する入場管理処理プログラム(図6参照)、退場管理処理プログラム(図8参照)、入退場状況確認処理プログラム(図9参照)、データベース統合処理プログラム(図13参照)を記憶している。RAM18は、CPU16による演算処理結果等を一時的に格納する記憶装置である。
【0024】
そして、パーソナルコンピュータ10は、ディスプレイ11、操作部12、HDD13、ネットワークI/F14を有している。ディスプレイ11は、制御部15の制御に基づいて、種々の画面を表示する。具体的には、ディスプレイ11は、来客管理画面60を表示する(図10〜図12参照)。操作部12は、前記受付担当者による操作に用いられ、図1に示すように、キーボードやマウスにより構成される。
【0025】
HDD13は、アプリケーションプログラム等を格納する記憶装置であり、ウェブブラウザ、文書作成処理プログラム等の種々のアプリケーションプログラムを格納している。又、当該HDD13は、ローカルデータベース13Aを有している。当該ローカルデータベース13Aは、図5に示すように、各来客者に対応する来客データにより構成されるデータベースであり、データベースサーバ50との間で通信不能である場合に、来客データの登録・更新を行うことで、入退場管理に用いられる。
【0026】
ここで、本実施形態に係る来客データについて、図3を参照しつつ詳細に説明する。尚、来客データは、来客の訪問予定がある場合には、来客の訪問相手先であるホストが、ネットワーク網Nに接続された端末を介して、必要事項を入力することで、ローカルデータベース13Aや後述する来客データデータベース55に登録される。又、訪問予定なく訪れた来客に関しては、後述するように、パーソナルコンピュータ10を介して、ローカルデータベース13Aや後述する来客データデータベース55に登録される。
【0027】
図3に示すように、来客データは、来客者個人を特定し得る情報により構成される個人データと、当該来客者の訪問に関する種々の情報により構成される訪問内容データと、からなる。個人データは、当該来客者の氏名、当該来客者の所属する会社名を含む。従って、この個人データの内容に基づいて、受付担当者等は、当該来客者個人を特定し得る。そして、訪問内容データは、当該施設における当該来客者の訪問先、当該訪問先において来客者に対応する者(以下、「ホスト」という)の氏名、当該ホストの所属、当該来客者の入退場状況を含んでいる。
【0028】
本実施形態において、入退場状況は、「予約」「入場」「退場」の3種類により表現されている。「入退場状況:予約」は、来客データに係る来客の訪問予定があり、当該来客が未だ施設に入場していない状況を示す。又、「入退場状況:入場」は、来客データに係る来客が受付(第1受付Ra又は第2受付Rb)を介して、当該施設に入場している状況を示す。そして、「入退場状況:退場」は、来客データに係る来客が受付(第1受付Ra又は第2受付Rb)を介して、当該施設から既に退場している状況を示す。従って、施設に対する入退場の時系列的な流れは、「入退場状況:予約」「入退場状況:入場」「入退場状況:退場」の順になる。
【0029】
そして、ネットワークI/F14は、パーソナルコンピュータ10とネットワーク網Nとの間におけるデータ通信に関するインターフェイスである。パーソナルコンピュータ10は、ネットワークI/F14、ネットワーク網Nを介して、データベースサーバ50に対する制御信号やデータの送受信を行う。
【0030】
上述したように、各受付に設置されているパーソナルコンピュータ10には、夫々、プリンタ20と、バーコードリーダ30が接続されている。プリンタ20は、受付を介して、当該施設への入場が許可されていることを示す入場許可証P(図7参照)を印刷出力する際に用いられ、プリンタ制御部21と、印刷機構部22を有する。プリンタ制御部21は、プリンタ20における印刷制御の中枢を担う。印刷機構部22は、プリンタ制御部21の制御に基づいて、所望の印刷を、被記録媒体(例えば、用紙)に行う。従って、当該プリンタ20は、パーソナルコンピュータ10から送信された印刷データに基づいて、後述する入場許可証P(例えば、図7参照)を、用紙に印刷し得る。
【0031】
そして、バーコードリーダ30は、公知の構成のバーコードリーダ30であり、当該バーコードリーダ30によりバーコードBを読み取った読取結果を、パーソナルコンピュータ10に出力する。従って、パーソナルコンピュータ10は、バーコードBをデコードした読取結果を把握し得る。
【0032】
尚、第1受付Ra及び第2受付Rbにおけるパーソナルコンピュータ10、プリンタ20、バーコードリーダ30は、何れも同一の基本的構成を有している。
【0033】
そして、データベースサーバ50は、ネットワーク網Nを介して、パーソナルコンピュータ10と接続されており、当該施設における来客の入退場管理に用いられる来客データ等を格納、管理し、容易に検索・抽出等を行う。図2に示すように、当該データベースサーバ50は、サーバ制御部51と、来客データデータベース55を有している。サーバ制御部51は、データベースサーバ50における制御の中枢を担い、パーソナルコンピュータ10からの制御信号に基づいて、来客データデータベース55に対する来客データの格納、管理、検索・抽出の各処理や、パーソナルコンピュータ10と、データベースサーバ50における来客データの統合処理を行う。
【0034】
来客データデータベース55は、パーソナルコンピュータ10により登録される来客データを記憶する。来客データデータベース55は、図5に示すように、各来客者に対応する来客データにより構成されるデータベースであり、各パーソナルコンピュータ10がデータベースサーバ50との間で通信可能である場合(即ち、正常な場合)に、来客データの登録・更新を行うことで、入退場管理に用いられる。尚、来客データデータベース55における来客データの構成については、上述した図3に示す構成と同一である。
【0035】
ここで、パーソナルコンピュータ10は、通常、来客管理画面60をディスプレイ11に表示している。当該来客管理画面60は、入力ウィンドウと、リスト表示ウィンドウと、入場登録ボタンと、退場登録ボタンとを有している。入力ウィンドウは、個人データや訪問内容データを構成する各項目の内容(来客者の氏名、来客者が所属する会社名、来客者が訪れる当該施設内の訪問先や、当該訪問先で来客者を応対するホストの氏名、ホストの所属部署等)の入力欄を有している。
【0036】
そして、リスト表示ウィンドウは、ローカルデータベース13Aや来客データデータベース55の記憶内容に基づいて生成された種々のリスト(例えば、予約リスト、入場者リスト等)を表示する。予約リストは、「入退場状況:予約」に係る来客データに基づいて生成されたデータリストである。又、入場者リストは、「入退場状況:入場」に係る来客データに基づいて生成されたデータリストである。当該パーソナルコンピュータ10は、データベースサーバ50と通信可能な状況であれば、来客データデータベース55に格納されている来客データの内容に基づいて作成されたリストを表示し、データベースサーバ50と通信不能な状況であれば、当該パーソナルコンピュータ10に係るローカルデータベース13Aに格納されている来客データの内容に基づいて作成されたリストを表示する。
【0037】
そして、入場登録ボタンは、リスト表示ウィンドウに表示された予約リストから特定される来客について、当該施設への入場を許可する際に、操作部12を介して操作される。この入場登録ボタン84の操作は、当該来客者が施設に入場したことを意味し、後述する入場管理操作を構成する。又、退場登録ボタンは、リスト表示ウィンドウに表示された入場者リストから特定される来客が、当該施設から退場する際に、操作部12を介して操作される。この退場登録ボタンの操作は、当該来客者が施設から退場したことを意味し、後述する退場管理操作を構成する。
【0038】
続いて、本実施形態に係る来客管理システム1における入場管理処理プログラムについて、図6を参照しつつ詳細に説明する。当該入場管理処理プログラムは、各パーソナルコンピュータ10のCPU16により、受付(第1受付Ra、第2受付Rb)を介して、来客者が当該施設に入場する際に実行される。
【0039】
先ず、S11においては、CPU16は、入場管理操作を受け付ける。ここで、入場管理操作は、来客管理画面60の予約リストから入場を希望する来客に係る来客データを特定する操作と、当該来客の入場を許可する入場登録ボタンの操作を含む。尚、予約リスト中に当該来客に係る来客データが存在しない場合、入場管理操作には、当該来客に係る来客データを生成する操作(例えば、入力ウィンドウに対する情報入力操作)を含む。最終的に、入場登録ボタンが操作されると、CPU16は、S12に処理を移行する。
【0040】
S12においては、CPU16は、バーコード生成処理を実行する。具体的には、CPU16は、S11で特定された来客データ(入退場状況を含む)と、当該パーソナルコンピュータ10とデータベースサーバ50との通信状況(以下、通信状況という)と、パーソナルコンピュータ10が設置されている受付(例えば、第1受付Ra、第2受付Rb)を示す情報に基づいて、バーコードBを生成する。尚、通信状況は、CPU16により、ネットワーク網Nを介して、データベースサーバ50へ制御信号を送信し、当該制御信号に対する応答の有無に応じて決定され、データベースサーバ50に対するアクセスが可能であるか否かを示す。当該来客に係るバーコードBを生成した後、CPU16は、S13に処理を移行する。
【0041】
S13に移行すると、CPU16は、入場許可証出力処理を実行する。入場許可証出力処理では、CPU16は、S11で特定された来客データと、S12で生成されたバーコードBに基づいて、入場許可証Pに係る印刷データを生成し、印刷命令と共に、プリンタ20へ出力する。これにより、プリンタ20は、当該印刷データに基づく入場許可証Pを印刷出力する。入場許可証Pをプリンタ20から印刷出力した後、CPU16は、S14に処理を移行する。
【0042】
この時、受付担当者は、印刷出力された入場許可証Pを当該来客者に手渡し、当該施設に対する入場を促す。
【0043】
S14においては、CPU16は、ネットワーク網Nを介して、データベースサーバ50にアクセス可能であるか否かを判断する。具体的には、CPU16は、ネットワーク網Nを介して、データベースサーバ50へ制御信号を送信し、当該制御信号に対する応答の有無に応じて判断する。データベースサーバ50にアクセス可能である場合(S14:YES)、CPU16は、S15に処理を移行する。一方、データベースサーバ50にアクセスすることができない場合(S14:NO)、CPU16は、S16に処理を移行する。
【0044】
S15においては、CPU16は、来客データデータベース55に対する入場登録処理を実行する。即ち、CPU16は、S11で特定された来客データ(来客データデータベース55に格納されている当該来客者に係る来客データ)の入退場状況を、「入退場状況:入場」を示すように登録する。その後、CPU16は、入場管理処理プログラムを終了する。
【0045】
S16では、CPU16は、当該パーソナルコンピュータ10のローカルデータベース13Aに対する入場登録処理を実行する。即ち、CPU16は、S11で特定された来客データ(当該ローカルデータベース13Aに格納されている当該来客者に係る来客データ)の入退場状況を、「入退場状況:入場」を示すように登録する。その後、CPU16は、S17に処理を移行する。
【0046】
S17に移行すると、CPU16は、当該パーソナルコンピュータ10が、ネットワーク網Nを介して、データベースサーバ50にアクセス不能であることに基づいて、マージ処理フラグをRAM18の所定領域にセットする。当該マージ処理フラグは、後述するデータベース統合処理プログラム(図13参照)を実行する際に参照され、ローカルデータベース13Aの記憶内容を、来客データデータベース55に統合すべき旨を示す。マージ処理フラグをセットした後、CPU16は、入場管理処理プログラムを終了する。
【0047】
次に、本実施形態に係る来客管理システム1における退場管理処理プログラムについて、図8を参照しつつ詳細に説明する。当該退場管理処理プログラムは、各パーソナルコンピュータ10のCPU16により、受付(第1受付Ra、第2受付Rb)を介して、入場している来客者が当該施設から退場する際に実行される。
【0048】
図8に示すように、CPU16は、まず、バーコード内容読取処理を実行する(S21)。具体的には、受付担当者は、退場を希望する来客者から入場許可証Pを受け取り、当該入場許可証Pに付されているバーコードB(図7参照)を、バーコードリーダ30により読み取る。CPU16は、バーコードリーダ30によるバーコードBの読取結果をデコードすることで、当該来客に係る来客データ(入退場状況を含む)と、当該来客の入場時における通信状況と、当該来客が入場した受付を特定し、RAM18に格納する。バーコード内容読取処理を終了すると、CPU16は、S22に処理を移行する。
【0049】
S22では、CPU16は、ネットワーク網Nを介して、データベースサーバ50にアクセス可能であるか否かを判断する。具体的には、CPU16は、上述したS14と同様の処理を行う。データベースサーバ50にアクセス可能である場合(S22:YES)、CPU16は、S23に処理を移行する。一方、データベースサーバ50にアクセスすることができない場合(S22:NO)、CPU16は、S24に処理を移行する。
【0050】
S23においては、CPU16は、来客データデータベース55に対する検索データベース設定処理を実行する。即ち、CPU16は、S21によりバーコードBを読み取ることで特定された当該来客の来客データ(以下、該当来客データ)の検索対象を、来客データデータベース55に設定する。検索対象を来客データデータベース55に設定した後、CPU16は、S26に処理を移行する。
【0051】
S24では、CPU16は、当該パーソナルコンピュータ10のローカルデータベース13Aに対する検索データベース設定処理を実行する。即ち、CPU16は、前記該当来客データの検索対象を、当該パーソナルコンピュータ10のローカルデータベース13Aに設定する。検索対象をローカルデータベース13Aに設定した後、CPU16は、S25に処理を移行する。
【0052】
S25に移行すると、CPU16は、当該パーソナルコンピュータ10が、ネットワーク網Nを介して、データベースサーバ50にアクセス不能であることに基づいて、S17と同様に、マージ処理フラグをRAM18の所定領域にセットする。マージ処理フラグをセットした後、CPU16は、S26に処理を移行する。
【0053】
S26においては、CPU16は、該当来客データ検索処理を実行する。具体的には、データベースサーバ50にアクセス可能である場合、CPU16は、来客データデータベース55に格納されている来客データから、退場を希望する来客に係る来客データ(該当来客データ)を検索する。来客データデータベース55における該当来客データを抽出した後、CPU16は、S27に処理を移行する。又、データベースサーバ50にアクセスすることができない場合、CPU16は、ローカルデータベース13Aに格納されている来客データから、該当来客データを検索する。ローカルデータベース13Aにおける該当来客データを抽出した後、CPU16は、S27に処理を移行する。
【0054】
S27では、CPU16は、入退場状況確認処理を実行する。具体的には、CPU16は、入退場状況確認処理プログラム(図9参照)を実行することにより、該当来客データに係る入退場状況に基づいて、当該来客者の退場に関する情報を受付担当者に報知する。入退場状況確認処理(S27)の詳細については、後に図面を参照しつつ説明する。入退場状況確認処理を終了すると、CPU16は、S28に処理を移行する。
【0055】
S28に移行すると、CPU16は、退場登録処理を実行する。具体的には、データベースサーバ50にアクセス可能である場合、CPU16は、来客データデータベース55に格納されている該当来客データの入退場状況を、「入退場状況:退場」を示すように登録し、退場管理処理プログラムを終了する。又、データベースサーバ50にアクセスすることができない場合、CPU16は、ローカルデータベース13Aに格納されている該当来客データの入退場状況を、「入退場状況:退場」を示すように登録し、退場管理処理プログラムを終了する。
【0056】
続いて、入退場状況確認処理(S27)において、CPU16により実行される入退場状況確認処理プログラムについて、図9を参照しつつ詳細に説明する。入退場状況確認処理(S27)に移行すると、CPU16は、該当来客データにおける入退場状況が「入退場状況:入場」であるか否かを判断する(S31)。「入退場状況:入場」であることは、該当来客データに係る来客者が、確実に、第1受付Ra又は第2受付Rbを介して、当該施設に入場していることを示し、当該来客者が適切な入場を行っていることを意味する。従って、該当来客データにおける入退場状況が「入退場状況:入場」である場合(S31:YES)、CPU16は、そのまま入退場状況確認処理プログラムを終了し、退場管理処理プログラムのS28に処理を移行する。一方、「入退場状況:入場」でない場合(S31:NO)、CPU16は、S32に処理を移行する。
【0057】
尚、「入退場状況:入場」でない場合には、「該当来客データが検索対象であるデータベース(即ち、来客データデータベース55又はローカルデータベース13A)に存在しない場合も含まれる。
【0058】
S32においては、CPU16は、該当来客データにおける入退場状況が「入退場状況:予約」であるか否かを判断する。該当来客データの入退場状況が「入退場状況:予約」である場合(S32:YES)、CPU16は、S33に処理を移行する。一方、「入退場状況:予約」でない場合(S32:NO)、CPU16は、S33に処理を移行する。尚、「入退場状況:予約」でない場合には、「該当来客データが検索対象であるデータベース(即ち、来客データデータベース55又はローカルデータベース13A)に存在しない場合も含まれる。
【0059】
S33に移行すると、CPU16は、切断時入場者メッセージ61をディスプレイ11に表示する。図10に示すように、切断時入場者メッセージ61は、「Thomas Duncanさんは、ネットワークエラー発生中に入場しています」等のメッセージを含んでいる。切断時入場者メッセージ61をディスプレイ11に表示した後、CPU16は、そのまま入退場状況確認処理プログラムを終了し、退場管理処理プログラムのS28に処理を移行する。
【0060】
ここで、該当来客データの入退場状況が「入退場状況:予約」であることは、該当来客データをデータベース(即ち、来客データデータベース55又はローカルデータベース13A)に登録した後に、当該来客が入場した受付に係るパーソナルコンピュータ10がデータベースサーバ50と通信不能となり、当該来客の入場時を含み、退場時まで通信不能な状態が継続している状態を示す。従って、退場時における受付担当者は、該当来客データに係る来客者が、そのような状況下で入場した来客であることを把握することができ、「入退場状況:予約」と、現在状況の不整合に基づく疑念を抱くことなく、当該来客者の退場処理を行い得る。
【0061】
S34では、CPU16は、該当来客データにおける入退場状況が「入退場状況:退場」であるか否かを判断する。該当来客データの入退場状況が「入退場状況:退場」である場合(S34:YES)、CPU16は、S35に処理を移行する。一方、「入退場状況:退場」でない場合(S34:NO)、CPU16は、S38に処理を移行する。尚、「入退場状況:退場」でない場合とは、「該当来客データが検索対象であるデータベース(即ち、来客データデータベース55又はローカルデータベース13A)に存在しない場合を意味する。
【0062】
S35に移行すると、CPU16は、注意喚起メッセージ62をディスプレイ11に表示する。図11に示すように、注意喚起メッセージ62は、「十分に確認してから退場処理を行って下さい」等のメッセージを含んでいる。注意喚起メッセージ62をディスプレイ11に表示した後、CPU16は、S36に処理を移行する。
【0063】
ここで、該当来客データの入退場状況が「入退場状況:退場」であることは、該当来客データをデータベース(即ち、来客データデータベース55又はローカルデータベース13A)に登録する前に、当該来客が入場した受付に係るパーソナルコンピュータ10がデータベースサーバ50と通信不能となり、当該来客の入場時を含み、退場時まで通信不能な状態が継続している状態を示す。
【0064】
この場合、該当来客データにおける入退場状況では、「予約もなく、受付を介さずに当該施設に不法に侵入した者」と同様の状態となる。しかしながら、該当来客データの入退場状況が「入退場状況:退場」であることは、当該来客者が、以前に当該施設を適式に(来客管理システム1における手順に則って)訪問していることも示している。従って、退場時における受付担当者は、該当来客データに係る来客者が、そのような来客であることを把握することができる。従って、当該受付担当者は、「入退場状況:退場」と、現在状況の不整合に基づいて、或る程度の警戒心を抱くことができ、当該来客者の退場処理に関して、十分な確認作業(例えば、他方の受付に係る受付担当者に連絡をとり、当該来客者が不法に侵入した者であるか否かを確認する作業)を行い得る。
【0065】
S36においては、CPU16は、操作部12の操作に基づいて、退場処理を継続するか否かを判断する。具体的には、受付担当者は、注意喚起メッセージ62の表示に基づく確認作業等を行って当該来客者の退場を許容する場合に、退場処理の継続すべき旨の操作を行う。退場処理を継続する場合(S36:YES)、CPU16は、S37に処理を移行する。退場処理を継続しない場合(S36:NO)、CPU16は、そのまま入退場状況確認処理プログラム及び退場管理処理プログラムを終了する。この場合、当該受付担当者は、当該来客の退場を許容せず、当該受付に引き留めておく等の必要な措置を講じ得る。
【0066】
S37では、CPU16は、該当来客データ生成処理を実行する。具体的には、退場処理を継続することに伴い、受付担当者は、退場を希望する来客者から必要事項(例えば、来客データを構成する各項目)を聴取し、入力ウィンドウの各入力欄に入力する。これにより、CPU16は、退場を希望する来客者に関する該当来客データを生成し、生成した該当来客データをデータベース(ローカルデータベース13A又は来客データデータベース55)に登録する。その後、CPU16は、入退場状況確認処理プログラムを終了し、退場管理処理プログラムのS28に処理を移行する。
【0067】
S38においては、CPU16は、警告メッセージ63をディスプレイ11に表示する。図12に示すように、警告メッセージ63は、「不法侵入者である可能性が高いです。十分に確認してから退場処理を行ってください。」等のメッセージを含んでいる。警告メッセージ63をディスプレイ11に表示した後、CPU16は、S39に処理を移行する。
【0068】
ここで、該当来客データの入退場状況が「入退場状況:予約」「入退場状況:入場」「入退場状況:退場」の何れでもなく、該当来客データが存在していないことは、該当来客データをデータベース(即ち、来客データデータベース55又はローカルデータベース13A)に登録する前に、当該来客が入場した受付に係るパーソナルコンピュータ10がデータベースサーバ50と通信不能となり、当該来客の入場時を含み、退場時まで通信不能な状態が継続している状態を示す。
【0069】
この状況は、該当来客データの入退場状況が「入退場状況:退場」である場合と同様に、「予約もなく、受付を介さずに当該施設に不法に侵入した者」と同様の状態であり、「当該来客者は、当該施設を適式に(来客管理システム1における手順に則って)訪問したことがないこと」も示している。即ち、該当来客データの入退場状況が「入退場状況:退場」である場合と比較して、この状況に係る来客者は、「不法に当該施設に進入した者」である可能性が高いことになる。従って、退場時における受付担当者は、該当来客データに係る来客者が、そのような来客であることを把握することができる。従って、当該受付担当者は、「該当来客データの不存在」と、現在状況の不整合に基づいて、強い警戒心を抱くことができ、当該来客者の退場処理に関して、より慎重且つ十分な確認作業(例えば、他方の受付に係る受付担当者に連絡をとり、当該来客者が不法に侵入した者であるか否かを確認する作業)を行い得る。
【0070】
S39においては、CPU16は、操作部12の操作に基づいて、退場処理を継続するか否かを判断する。具体的には、受付担当者は、警告メッセージ63の表示に基づく確認作業等を行って当該来客者の退場を許容する場合に、退場処理の継続すべき旨の操作を行う。退場処理を継続する場合(S39:YES)、CPU16は、S40に処理を移行する。退場処理を継続しない場合(S39:NO)、CPU16は、そのまま入退場状況確認処理プログラム及び退場管理処理プログラムを終了する。この場合、当該受付担当者は、当該来客の退場を許容せず、当該受付に引き留めておく等の必要な措置を講じ得る。
【0071】
S40では、CPU16は、該当来客データ生成処理を実行する。具体的には、CPU16は、上述したS37と同様の処理によって該当来客データを生成し、生成した該当来客データをデータベース(ローカルデータベース13A又は来客データデータベース55)に登録する。その後、CPU16は、入退場状況確認処理プログラムを終了し、退場管理処理プログラムのS28に処理を移行する。
【0072】
次に、本実施形態に係る来客管理システム1におけるデータベース統合処理プログラムについて、図13を参照しつつ詳細に説明する。当該データベース統合処理プログラムは、各パーソナルコンピュータ10のCPU16により、所定の時間間隔をもって定期的に実行される。
【0073】
先ず、S51においては、CPU16は、当該パーソナルコンピュータ10がネットワーク網Nに復帰したか否かを判断する。即ち、CPU16は、ネットワーク網Nを介して、データベースサーバ50へのアクセスが不能な状態から、アクセス可能な状態になったか否かを判断する。ネットワーク網Nに復帰した場合(S51:YES)、CPU16は、S52に処理を移行する。一方、ネットワーク網Nに復帰していない場合(S51:NO)、CPU16は、データベース統合処理プログラムを終了する。
【0074】
尚、「ネットワーク網Nに復帰していない場合」は、「当該パーソナルコンピュータ10が、ネットワーク網Nを介してデータベースサーバ50にアクセス可能であり続ける状態」と、「当該パーソナルコンピュータ10が、ネットワーク網Nを介して、データベースサーバ50にアクセス不能な状態」を含む。
【0075】
S52では、CPU16は、マージ処理フラグがRAM18にセットされているか否かを判断する。上述したように、マージ処理フラグは、ネットワーク網Nを介して、データベースサーバ50との通信が不能な状況において、来客者の入場又は退場が行われる場合にセットされる。マージ処理フラグがセットされている場合(S52:YES)、CPU16は、S53に処理を移行する。一方、マージ処理フラグがセットされていない場合(S52:NO)、CPU16は、データベース統合処理プログラムを終了する。
【0076】
S53に移行すると、CPU16は、データベース内容比較処理を実行する。具体的には、CPU16は、当該パーソナルコンピュータ10のローカルデータベース13Aにおける記憶内容と、来客データデータベース55の記憶内容を比較する。より詳細には、CPU16は、先ず、ネットワーク網Nを介して、来客データデータベース55の記憶内容を取得する。そして、CPU16は、ローカルデータベース13A及び来客データデータベース55において、同一の来客者に係る来客データを特定し、両方の来客データに係る入退場状況を比較する。データベース内容比較処理(S53)を終了すると、CPU16は、S54に処理を移行する。
【0077】
S54においては、CPU16は、データベース内容比較処理(S53)の比較結果に基づいて、入退場状況がバッティングする来客データが存在するか否かを判断する。入退場状況がバッティングする来客データが存在する場合(S54:YES)、CPU16は、S55に処理を移行する。一方、入退場状況がバッティングする来客データが存在しない場合(S54:NO)、CPU16は、S56に処理を移行する。
【0078】
ここで、「入退場状況がバッティングする」とは、来客データデータベース55における来客データの入退場状況が、ローカルデータベース13Aにおける入退場状況よりも、施設に対する入退場の流れの内、退場側を示す状態を意味する。例えば、図14に示す場合を例に挙げて説明すると、図14(A)に示す来客データデータベース55における来客データ(3)は、来客者「Saito,Sachiko」の入退場状況が「入退場状況:退場」であることを示す。そして、図14(B)に示すローカルデータベース13Aにおける来客データ(B)は、「Saito,Sachiko」の入退場状況が「入退場状況:入場」であることを示す。従って、この図14に示す状況においては、来客者「Saito,Sachiko」に係る来客データは、「入退場状況がバッティングする来客データ」に該当する。
【0079】
S55においては、CPU16は、「入退場状況がバッティングする来客データ」に対して、サーバ登録内容を優先する旨を設定する。従って、図14(A)、(B)に示す来客者「Saito,Sachiko」の来客データに関しては、CPU16は、サーバ登録内容である「入退場状況:退場」を優先する旨を設定する。「入退場状況がバッティングする来客データ」の全てについて、サーバ登録内容を優先する旨を設定した後、CPU16は、S56に処理を移行する。
【0080】
S56に移行すると、CPU16は、データベース内容統合処理を実行する。具体的には、CPU16は、ローカルデータベース13Aの記憶内容を、来客データデータベース55に統合する。データベース内容統合処理を終了すると、CPU16は、データベース統合処理プログラムを終了する。
【0081】
データベース内容統合処理(S56)において、CPU16は、サーバ登録内容を優先する旨が設定された来客データに関しては、既に来客データデータベース55に登録されている内容を維持する。従って、上述した来客者「Saito,Sachiko」の来客データの場合、データベース内容統合処理を実行した後、入退場状況は「入退場状況:退場」の状態で登録されることとなる(図14(C)参照)。
【0082】
そして、サーバ登録内容を優先する旨が設定されていない来客データに関しては、ローカルデータベース13Aに登録されている内容で、来客データデータベース55に統合される。即ち、図14に示す例では、来客者「Asai,Masao」、来客者「Sato,Shinji」に係る来客データについては、図14(B)に示すローカルデータベース13Aの登録内容をもって、来客データデータベース55に統合される(図14(C)参照)。尚、来客データデータベース55には登録されていないが、ローカルデータベース13Aには登録されている来客データに関しても、ローカルデータベース13Aの登録内容をもって登録されるので、来客データデータベース55に追加登録される(例えば、図14における来客者「Honda,Makoto」に係る来客データ)。
【0083】
従って、当該来客管理システム1によれば、第1受付Ra又は第2受付Rbにおけるパーソナルコンピュータ10と、データベースサーバ50との間の通信が不能な状態が生じた場合であっても、データベースサーバ50との通信が復旧した時点で、来客データの内容を来客データデータベース55上で統合し得る。これにより、各パーソナルコンピュータ10におけるローカルデータベース13Aと、来客データデータベース55における記憶内容の整合性をとることができるので、来客管理システム1によれば、来客データデータベース55の記憶内容を、より現実の状況に即した記憶内容とすることができ、当該施設における来客の入退場管理を正確に行い得る。
【0084】
以上、実施形態に基づき本発明を説明したが、本発明は上述した実施形態に何ら限定されるものではなく、本発明の趣旨を逸脱しない範囲内で種々の改良変更が可能である。
例えば、本実施形態に係る来客管理システム1においては、当該施設における受付を、第1受付Raと、第2受付Rbの2箇所としていたが、この態様に限定されるものではない。即ち、本発明に係る来客システムは、より多くの受付を有する施設に対して適用することも可能である。
【0085】
又、本実施形態においては、入場許可証Pに、バーコードBを付して印刷出力するように構成していたが、この態様に限定されるものではない。例えば、バーコードBに換えて、二次元コードを用いる構成であってもよい。又、本発明は、少なくとも、パーソナルコンピュータ10と、データベースサーバ50の間の通信が不能な状況で、来客の入場が行われた場合に、バーコードBを付した入場許可証Pを印刷出力すればよく、例えば、通信可能な状況であれば、バーコードBを付すことなく、入場許可証Pを出力する構成であってもよい。
【符号の説明】
【0086】
1 来客管理システム
10 パーソナルコンピュータ
11 ディスプレイ
12 操作部
13 HDD
13A ローカルデータベース
15 制御部
20 プリンタ
30 バーコードリーダ
50 データベースサーバ
55 来客データデータベース
61 切断時入場者メッセージ
62 注意喚起メッセージ
63 警告メッセージ
B バーコード
P 入場許可証
N ネットワーク網
【技術分野】
【0001】
本発明は、施設に対する来客の入退場を管理する来客管理システムに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、来客管理システムは、施設の受付等において、当該施設に対する来客者の入退場の管理に用いられている。これらの来客管理システムは、受付担当者により操作される来客管理端末と、データベースと、を、ネットワーク網を介して接続して構成されている。このような来客管理システムに関する発明として、特許文献1記載の受付システムに係る発明が知られている。
【0003】
特許文献1記載の受付システムは、受付端末と、サーバとを通信ネットワークで接続して構成されている。そして、特許文献1記載の受付システムにおいて、当該受付端末は、来客が入場する際に、来客個人を識別可能な情報の入力に用いられ、通信ネットワークを介して、入力された情報をサーバへ出力する。サーバは、来客の訪問予定を示す予約データを記憶している。受付端末から入力された情報に対応する予約データを、通信ネットワークを介して、サーバから検索し、当該予約データがサーバに存在した場合に、認可票(即ち、入場許可証)を発行し、入場を許可する。又、特許文献1の図14においては、或る営業所における複数箇所の受付に、夫々、受付端末を設け、各受付端末とサーバを通信ネットワークで接続した構成が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2002−297836号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、特許文献1記載の受付システムでは、来客の施設に対する入場管理は行い得るものの、施設からの退場管理については記載されていない。施設に対するセキュリティを考慮すると、施設への入場だけでなく、施設からの退場についても、状況を把握し得ることが望ましい。例えば、特許文献1記載の受付システムの場合、来客の退場時においても、通信ネットワーク網を介してアクセスし、当該来客が退場したことをサーバに登録することで、施設側(訪問相手先)において、当該来客が退場したことを把握し得ることが望ましい。
【0006】
ここで、特許文献1記載の受付システムにおいては、通信ネットワークを介して、受付端末とサーバの間での通信することが前提となっており、通信ネットワークを介した通信が不能な状態である場合には、サーバ内の予約データを検索することができないため、来客者の入場は許可されない。又、この場合において、受付担当者が来客と対面して入場を許可したとしても、受付端末とサーバの間における通信が不能であるため、当該来客が入場している旨をサーバに登録することはできない。そうすると、当該来客が退場する際に、入場時と異なる受付担当者が対応する場合、退場時の受付担当者は、サーバの登録内容により、「受付を介して入場した来客であるのか、受付を介さずに入場した者であるのか」を区別することができないため、セキュリティを考慮すると、当該来客の退場に厳密な確認作業と時間を要することとなってしまい、受付における入退場が滞ってしまう。
【0007】
特に、或る営業所における複数箇所の受付に、夫々、受付端末を設け、各受付端末とサーバを通信ネットワークで接続した構成(例えば、特許文献1の図14)の場合、来客が退場する受付は、退場しようとする来客の意思に依存するため、入場時における受付と同一であるとは限らない。従って、複数の受付が存在する施設においては、ネットワークを介した通信が不能な状況が生じた場合、通信不能な状況下で入場した来客の入退場管理に関して、上述のような不具合が生じる蓋然性が非常に高くなってしまう。
【0008】
本明細書は、複数の来客管理端末と、サーバとがネットワーク網を介して接続された来客管理システムに関し、通信不能な状態が生じた場合であっても、施設に対するセキュリティを維持しつつ、円滑な入退場管理を行い得る来客管理システムを提供する。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明の請求項1記載の来客管理システムは、施設に対する来客の入退場が行われる複数の受付に設置され、各受付における来客の入退場を管理する為の複数の来客管理端末と、各来客管理端末と接続され、当該施設への入場に関する入場許可証を印刷する印刷装置と、ネットワーク網を介して、各来客管理端末と通信可能に接続され、各受付における来客の入退場の状態に基づいて、当該施設における来客の入退場の状況を管理するサーバと、を有する来客管理システムであって、前記サーバは、前記施設に訪れる来客個人を示す個人情報と、当該個人情報に係る来客の前記施設に対する入退場の状況を示す入退場状況情報と、を含む来客情報を記憶する第1記憶手段と、を有し、前記来客管理端末は、当該施設に対する来客の入退場に関する種々の操作に用いられる操作手段と、前記操作手段により、当該受付から前記施設に来客が入場する際の入場操作が行われた場合、当該来客に係る来客情報を構成する入退場状況情報の内容を、入場中を示す内容に更新し、前記操作手段により、当該受付を介して前記施設から来客が退場する際の退場操作が行われた場合、当該来客に係る来客情報を構成する入退場状況情報の内容を、退場を示す内容に更新する来客情報更新手段と、前記サーバとネットワーク網を介して通信可能であるか否かを判断する通信状況判断手段と、前記サーバとの通信が不能である場合の来客の入退場管理に用いる為に、前記来客情報を補助的に記憶する第2記憶手段と、前記通信状況判断手段により、前記サーバとの通信が可能であると判断された場合、前記来客情報更新手段による更新対象を、前記サーバの第1記憶手段に格納された来客情報に設定し、前記通信状況判断手段により、前記サーバとの通信が不能であると判断された場合、前記来客情報更新手段による更新対象を、当該来客管理端末の第2記憶手段に格納された来客情報に設定する更新対象切換手段と、前記サーバとの通信が不能な状態から、サーバとの通信が可能な状態に復帰した場合、前記第2記憶手段に格納されている来客情報の内容を、ネットワーク網を介して、前記サーバの第1記憶手段に併合する来客情報併合手段と、前記操作手段により前記入場操作が行われ、且つ、前記通信状況判断手段により前記サーバとの通信が可能であると判断された場合、前記印刷装置を制御することにより、当該来客に係る来客情報に基づく入場許可証を出力し、前記操作手段により前記入場操作が行われ、且つ、前記通信状況判断手段により前記サーバとの通信が不能であると判断された場合、前記印刷装置を制御することにより、サーバとの通信が不能な通信不能状況における来客が当該受付を介して入場したことを示すコード情報に基づくコード画像と、当該来客に係る来客情報に基づいて、前記コード画像を含む入場許可証を出力する許可証出力手段と、を有することを特徴とする。
【0010】
当該来客管理システムは、複数の受付に設置された複数の来客管理端末と、各来客管理端末に接続された印刷装置と、各来客管理端末とネットワーク網を介して通信可能に接続されたサーバを有して構成される。サーバは、第1記憶手段を有しており、各来客管理端末との通信により、来客情報を管理することで、各受付における来客の入退場を管理している。来客管理端末は、操作手段と、来客情報更新手段と、通信状況判断手段と、第2記憶手段と、更新対象切換手段と、来客情報併合手段と、許可証出力手段と、を有している。当該来客管理システムにおいて、来客管理端末は、サーバとの通信が可能である場合、前記来客情報更新手段による更新対象を、前記サーバの第1記憶手段に格納された来客情報とし、前記操作手段により入場操作が行われることを条件に、来客情報を構成する入退場状況情報の内容を、入場中を示す内容に更新すると共に、印刷装置を制御することにより、当該来客に係る来客情報に基づく入場許可証を出力する。又、サーバとの通信が可能である場合、来客管理端末は、退場操作が行われると、前記サーバの第1記憶手段に格納された来客情報を構成する入退場状況情報の内容を、退場を示す内容に更新する。一方、サーバとの通信が不能であると判断された場合、来客管理端末は、前記来客情報更新手段による更新対象を、当該来客管理端末の第2記憶手段に格納された来客情報とし、入場操作が行われることを条件に、第2記憶手段に格納された来客情報を構成する入退場状況情報の内容を、入場中を示す内容に更新すると共に、前記印刷装置を制御することにより、コード画像を含む入場許可証を出力する。又、サーバとの通信が不能であると判断された場合、来客管理端末は、当該来客管理端末の第2記憶手段に格納された来客情報を構成する入退場状況情報の内容を、退場を示す内容に更新する。従って、当該来客管理システムによれば、来客管理端末とサーバとの間の通信の可否に応じて、サーバの第1記憶手段と、当該来客管理端末における第2記憶手段の何れかにおける来客情報により、当該施設における来客の入退場管理を行い得る。つまり、当該来客管理システムによれば、来客管理端末とサーバとの通信が不能である場合であっても、第2記憶手段における来客情報を更新することで、来客の入退場を漏れなく行うことができ、当該施設に対するセキュリティを維持し得る。又、当該来客管理システムによれば、受付を担当する者(以下、受付担当者)は、入場許可証におけるコード画像に基づいて、「当該入場許可証に係る来客が、サーバとの通信が可能な状況下で入場したのか、サーバとの通信が不能な状況下で入場したのか」を特定し得る。これにより、当該来客管理システムによれば、サーバとの通信が不能な状況下で入場した来客の退場時において、当該来客管理端末とサーバの間の通信が不能である場合であっても、適切かつ円滑な退場処理を行うことができ、もって、施設のセキュリティを維持し得る。更に、当該来客管理システムにおいて、前記サーバとの通信が不能な状態から、サーバとの通信が可能な状態に復帰した場合、来客管理端末は、来客情報併合手段により、当該来客管理端末の第2記憶手段に格納されている来客情報の内容を、ネットワーク網を介して、前記サーバの第1記憶手段に併合する。つまり、当該来客管理システムによれば、複数の受付における来客の入退場を、サーバの第1記憶手段における来客情報により、総合的に管理することができる。又、複数の来客管理端末の一つにおいて、サーバとの通信が不能な状況が生じた場合であっても、サーバとの通信が復旧した時点で、来客情報の内容をサーバの第1記憶手段上で統合するので、サーバと各来客管理端末におけるデータ内容の整合性をとることができ、来客の入退場管理を正常に行い得る。
【0011】
そして、請求項2記載の来客管理システムは、請求項1に記載の来客管理システムであって、前記来客管理端末は、当該施設に対する来客の入退場に関する種々の表示を行う表示手段と、前記入場許可証に含まれるコード画像から、前記コード情報を読み取る読取手段と、前記操作手段により退場操作を行う際に、前記読取手段によって、入場許可証のコード画像からコード情報を読み取った場合、当該入場許可証に係る来客の来客情報を構成する入退場状況情報の内容に基づいて、サーバとの通信が不能な状態の受付を介して、当該来客が施設に入場したことを含む報知表示を、前記入退場状況情報に対応する態様で、前記表示手段に表示する表示制御手段と、を有することを特徴とする。
【0012】
当該来客管理システムにおいて、来客管理端末は、表示手段と、読取手段と、表示制御手段と、を有している。当該来客管理端末は、退場操作を行う際に、前記読取手段によって、入場許可証のコード画像からコード情報を読み取ることで、サーバとの通信が不能な状態の受付を介して、当該来客が施設に入場したことを含む報知表示を、前記入退場状況情報に対応する態様で、前記表示手段に表示する。コード画像は、サーバとの通信が不能な通信不能状況における来客が当該受付を介して入場したことを示すコード情報に基づいているので、来客管理端末は、前記報知表示を表示手段に表示し得る。そして、当該来客管理端末によれば、入場時に係る来客管理端末とサーバとの通信が不能な状態であって、当該来客が、入場時と異なる受付から退場する場合においても、当該来客の入場時における状況を把握することができるので、退場時に係る受付の受付担当者は、当該施設に対するセキュリティを維持しつつ。円滑かつ適切な対応をとることができる。
【0013】
又、請求項3記載の来客管理システムは、請求項1又は請求項2に記載の来客管理システムであって、前記来客情報併合手段は、前記サーバとの通信が不能な状態から、サーバとの通信が可能な状態に復帰した場合、前記サーバとの通信が不能な状態で当該施設に入場した来客に関し、前記第2記憶手段に記憶されている来客情報に含まれる入退場状況情報の内容と、前記第1記憶手段に格納されている来客情報に含まれる入退場状況情報の内容を比較する比較手段と、前記比較手段による比較結果に基づいて、前記第1記憶手段における入退場状況情報の示す状況が、前記第2記憶手段における入退場状況情報の示す状況よりも、施設に対する入退場の流れの内、退場側を示す場合、前記サーバとの通信が不能な状態で当該施設に入場した来客に係る来客情報に関して、前記第1記憶手段における来客情報の内容を維持しつつ、前記第2記憶手段に格納されている来客情報の内容を、ネットワーク網を介して、前記サーバの第1記憶手段に併合する併合制御手段と、を有することを特徴とする。
【0014】
当該来客管理システムにおいて、来客管理端末の来客情報併合手段は、比較手段と、併合制御手段とを有している。ここで、当該来客管理システムによれば、来客管理端末とサーバとの通信が不能な状態から、サーバとの通信が可能な状態に復帰し、第2記憶手段に記憶されている来客情報の内容を、前記サーバの第1記憶手段に併合する。この時、当該来客管理システムによれば、前記サーバとの通信が不能な状態で当該施設に入場した来客に関しては、前記第2記憶手段及び前記第1記憶手段に記憶されている来客情報に含まれる入退場状況情報の内容を比較し、前記第1記憶手段における入退場状況情報の示す状況が、前記第2記憶手段における入退場状況情報の示す状況よりも、施設に対する入退場の流れの内、退場側を示す場合には、前記第1記憶手段における来客情報の内容を維持して、第1記憶手段に併合する。これにより、当該来客管理システムによれば、第1記憶手段における来客情報の内容と、第2記憶手段における来客情報の内容を併合する際に、両者間の内容に関する整合性をとることができ、第1記憶手段における来客情報の内容を、より現実の状況に合致するものにし得る。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【図1】本発明の一実施形態に係る来客管理システムの構成を示す説明図である。
【図2】来客管理システムの制御系を示すブロック図である。
【図3】来客データの構成を示す説明図である。
【図4】サーバの来客データデータベースに関する説明図である。
【図5】パーソナルコンピュータのローカルデータベースに関する説明図である。
【図6】入場管理処理プログラムのフローチャートである。
【図7】入場許可証の一例を示す説明図である。
【図8】退場管理処理プログラムのフローチャートである。
【図9】入退場状況確認処理プログラムのフローチャートである。
【図10】切断時入場者メッセージ表示の一例を示す説明図である。
【図11】注意喚起メッセージ表示の一例を示す説明図である。
【図12】警告メッセージ表示の一例を示す説明図である。
【図13】データベース統合処理プログラムのフローチャートである。
【図14】データベース統合処理の一例を示す説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0016】
以下、本発明に係る来客管理システムを、来客管理システム1に具体化した一実施形態について、図面を参照しつつ詳細に説明する。
【0017】
先ず、本実施形態に係る来客管理システム1の概略構成について、図面を参照しつつ詳細に説明する。図1に示すように、来客管理システム1は、複数の受付(第1受付Ra、第2受付Rb)を有する施設に設置されており、当該施設に対する来客の入退場を管理している。そして、第1受付Ra及び第2受付Rbは、夫々、当該施設における異なる場所に配置されている。又、第1受付Ra、第2受付Rbには、夫々、来客管理端末として機能するパーソナルコンピュータ10と、プリンタ20と、バーコードリーダ30が設置されている。
【0018】
パーソナルコンピュータ10は、当該施設の受付(即ち、第1受付Ra、第2受付Rb)に設置されており、当該受付における受付担当者により操作される。当該パーソナルコンピュータ10は、当該施設内を対象に構築されたネットワーク網Nに接続されている。そして、パーソナルコンピュータ10は、プリンタ20と、バーコードリーダ30と直接的に接続されており、後述する入場許可証Pの印刷出力や、バーコードBの読取に関する制御を行う。又、パーソナルコンピュータ10は、ネットワーク網Nを介して、データベースサーバ50と接続されており、当該受付における来客の入退場管理の結果を、データベースサーバ50に登録する。
【0019】
データベースサーバ50は、ネットワーク網Nを介して、パーソナルコンピュータ10と接続されている。当該データベースサーバ50は、種々のデータを格納する。当該種々のデータは、パーソナルコンピュータ10により入力された来客データ等を含む。データベースサーバ50に格納されているデータは、来客管理システム1における来客管理に用いられる。
【0020】
尚、各パーソナルコンピュータ10及びデータベースサーバ50において、ネットワーク網Nに対する接続態様は、無線接続であっても良いし、有線接続であってもよい。
【0021】
次に、本実施形態に係る来客管理システム1の制御系について、図面を参照しつつ詳細に説明する。図2に示すように、来客管理システム1は、第1受付Ra、第2受付Rbに夫々設置されたパーソナルコンピュータ10、プリンタ20、バーコードリーダ30と、データベースサーバ50により構成される。各パーソナルコンピュータ10と、データベースサーバ50は、夫々、ネットワーク網Nを介して、相互に通信可能である。
【0022】
パーソナルコンピュータ10は、制御部15を有している。制御部15は、パーソナルコンピュータ10に対する制御の中枢を担う。上述したように、パーソナルコンピュータ10は、来客管理システム1に対する制御の中枢を担う。即ち、制御部15は、来客管理システム1全体を、統括的に制御する。
【0023】
制御部15は、CPU16、ROM17、RAM18を有している。CPU16は、パーソナルコンピュータ10の制御の中枢を担う中央演算処理装置である。ROM17は、パーソナルコンピュータ10の制御上必要な種々の制御プログラムやデータテーブルを記憶する記憶装置である。例えば、ROM17は、後述する入場管理処理プログラム(図6参照)、退場管理処理プログラム(図8参照)、入退場状況確認処理プログラム(図9参照)、データベース統合処理プログラム(図13参照)を記憶している。RAM18は、CPU16による演算処理結果等を一時的に格納する記憶装置である。
【0024】
そして、パーソナルコンピュータ10は、ディスプレイ11、操作部12、HDD13、ネットワークI/F14を有している。ディスプレイ11は、制御部15の制御に基づいて、種々の画面を表示する。具体的には、ディスプレイ11は、来客管理画面60を表示する(図10〜図12参照)。操作部12は、前記受付担当者による操作に用いられ、図1に示すように、キーボードやマウスにより構成される。
【0025】
HDD13は、アプリケーションプログラム等を格納する記憶装置であり、ウェブブラウザ、文書作成処理プログラム等の種々のアプリケーションプログラムを格納している。又、当該HDD13は、ローカルデータベース13Aを有している。当該ローカルデータベース13Aは、図5に示すように、各来客者に対応する来客データにより構成されるデータベースであり、データベースサーバ50との間で通信不能である場合に、来客データの登録・更新を行うことで、入退場管理に用いられる。
【0026】
ここで、本実施形態に係る来客データについて、図3を参照しつつ詳細に説明する。尚、来客データは、来客の訪問予定がある場合には、来客の訪問相手先であるホストが、ネットワーク網Nに接続された端末を介して、必要事項を入力することで、ローカルデータベース13Aや後述する来客データデータベース55に登録される。又、訪問予定なく訪れた来客に関しては、後述するように、パーソナルコンピュータ10を介して、ローカルデータベース13Aや後述する来客データデータベース55に登録される。
【0027】
図3に示すように、来客データは、来客者個人を特定し得る情報により構成される個人データと、当該来客者の訪問に関する種々の情報により構成される訪問内容データと、からなる。個人データは、当該来客者の氏名、当該来客者の所属する会社名を含む。従って、この個人データの内容に基づいて、受付担当者等は、当該来客者個人を特定し得る。そして、訪問内容データは、当該施設における当該来客者の訪問先、当該訪問先において来客者に対応する者(以下、「ホスト」という)の氏名、当該ホストの所属、当該来客者の入退場状況を含んでいる。
【0028】
本実施形態において、入退場状況は、「予約」「入場」「退場」の3種類により表現されている。「入退場状況:予約」は、来客データに係る来客の訪問予定があり、当該来客が未だ施設に入場していない状況を示す。又、「入退場状況:入場」は、来客データに係る来客が受付(第1受付Ra又は第2受付Rb)を介して、当該施設に入場している状況を示す。そして、「入退場状況:退場」は、来客データに係る来客が受付(第1受付Ra又は第2受付Rb)を介して、当該施設から既に退場している状況を示す。従って、施設に対する入退場の時系列的な流れは、「入退場状況:予約」「入退場状況:入場」「入退場状況:退場」の順になる。
【0029】
そして、ネットワークI/F14は、パーソナルコンピュータ10とネットワーク網Nとの間におけるデータ通信に関するインターフェイスである。パーソナルコンピュータ10は、ネットワークI/F14、ネットワーク網Nを介して、データベースサーバ50に対する制御信号やデータの送受信を行う。
【0030】
上述したように、各受付に設置されているパーソナルコンピュータ10には、夫々、プリンタ20と、バーコードリーダ30が接続されている。プリンタ20は、受付を介して、当該施設への入場が許可されていることを示す入場許可証P(図7参照)を印刷出力する際に用いられ、プリンタ制御部21と、印刷機構部22を有する。プリンタ制御部21は、プリンタ20における印刷制御の中枢を担う。印刷機構部22は、プリンタ制御部21の制御に基づいて、所望の印刷を、被記録媒体(例えば、用紙)に行う。従って、当該プリンタ20は、パーソナルコンピュータ10から送信された印刷データに基づいて、後述する入場許可証P(例えば、図7参照)を、用紙に印刷し得る。
【0031】
そして、バーコードリーダ30は、公知の構成のバーコードリーダ30であり、当該バーコードリーダ30によりバーコードBを読み取った読取結果を、パーソナルコンピュータ10に出力する。従って、パーソナルコンピュータ10は、バーコードBをデコードした読取結果を把握し得る。
【0032】
尚、第1受付Ra及び第2受付Rbにおけるパーソナルコンピュータ10、プリンタ20、バーコードリーダ30は、何れも同一の基本的構成を有している。
【0033】
そして、データベースサーバ50は、ネットワーク網Nを介して、パーソナルコンピュータ10と接続されており、当該施設における来客の入退場管理に用いられる来客データ等を格納、管理し、容易に検索・抽出等を行う。図2に示すように、当該データベースサーバ50は、サーバ制御部51と、来客データデータベース55を有している。サーバ制御部51は、データベースサーバ50における制御の中枢を担い、パーソナルコンピュータ10からの制御信号に基づいて、来客データデータベース55に対する来客データの格納、管理、検索・抽出の各処理や、パーソナルコンピュータ10と、データベースサーバ50における来客データの統合処理を行う。
【0034】
来客データデータベース55は、パーソナルコンピュータ10により登録される来客データを記憶する。来客データデータベース55は、図5に示すように、各来客者に対応する来客データにより構成されるデータベースであり、各パーソナルコンピュータ10がデータベースサーバ50との間で通信可能である場合(即ち、正常な場合)に、来客データの登録・更新を行うことで、入退場管理に用いられる。尚、来客データデータベース55における来客データの構成については、上述した図3に示す構成と同一である。
【0035】
ここで、パーソナルコンピュータ10は、通常、来客管理画面60をディスプレイ11に表示している。当該来客管理画面60は、入力ウィンドウと、リスト表示ウィンドウと、入場登録ボタンと、退場登録ボタンとを有している。入力ウィンドウは、個人データや訪問内容データを構成する各項目の内容(来客者の氏名、来客者が所属する会社名、来客者が訪れる当該施設内の訪問先や、当該訪問先で来客者を応対するホストの氏名、ホストの所属部署等)の入力欄を有している。
【0036】
そして、リスト表示ウィンドウは、ローカルデータベース13Aや来客データデータベース55の記憶内容に基づいて生成された種々のリスト(例えば、予約リスト、入場者リスト等)を表示する。予約リストは、「入退場状況:予約」に係る来客データに基づいて生成されたデータリストである。又、入場者リストは、「入退場状況:入場」に係る来客データに基づいて生成されたデータリストである。当該パーソナルコンピュータ10は、データベースサーバ50と通信可能な状況であれば、来客データデータベース55に格納されている来客データの内容に基づいて作成されたリストを表示し、データベースサーバ50と通信不能な状況であれば、当該パーソナルコンピュータ10に係るローカルデータベース13Aに格納されている来客データの内容に基づいて作成されたリストを表示する。
【0037】
そして、入場登録ボタンは、リスト表示ウィンドウに表示された予約リストから特定される来客について、当該施設への入場を許可する際に、操作部12を介して操作される。この入場登録ボタン84の操作は、当該来客者が施設に入場したことを意味し、後述する入場管理操作を構成する。又、退場登録ボタンは、リスト表示ウィンドウに表示された入場者リストから特定される来客が、当該施設から退場する際に、操作部12を介して操作される。この退場登録ボタンの操作は、当該来客者が施設から退場したことを意味し、後述する退場管理操作を構成する。
【0038】
続いて、本実施形態に係る来客管理システム1における入場管理処理プログラムについて、図6を参照しつつ詳細に説明する。当該入場管理処理プログラムは、各パーソナルコンピュータ10のCPU16により、受付(第1受付Ra、第2受付Rb)を介して、来客者が当該施設に入場する際に実行される。
【0039】
先ず、S11においては、CPU16は、入場管理操作を受け付ける。ここで、入場管理操作は、来客管理画面60の予約リストから入場を希望する来客に係る来客データを特定する操作と、当該来客の入場を許可する入場登録ボタンの操作を含む。尚、予約リスト中に当該来客に係る来客データが存在しない場合、入場管理操作には、当該来客に係る来客データを生成する操作(例えば、入力ウィンドウに対する情報入力操作)を含む。最終的に、入場登録ボタンが操作されると、CPU16は、S12に処理を移行する。
【0040】
S12においては、CPU16は、バーコード生成処理を実行する。具体的には、CPU16は、S11で特定された来客データ(入退場状況を含む)と、当該パーソナルコンピュータ10とデータベースサーバ50との通信状況(以下、通信状況という)と、パーソナルコンピュータ10が設置されている受付(例えば、第1受付Ra、第2受付Rb)を示す情報に基づいて、バーコードBを生成する。尚、通信状況は、CPU16により、ネットワーク網Nを介して、データベースサーバ50へ制御信号を送信し、当該制御信号に対する応答の有無に応じて決定され、データベースサーバ50に対するアクセスが可能であるか否かを示す。当該来客に係るバーコードBを生成した後、CPU16は、S13に処理を移行する。
【0041】
S13に移行すると、CPU16は、入場許可証出力処理を実行する。入場許可証出力処理では、CPU16は、S11で特定された来客データと、S12で生成されたバーコードBに基づいて、入場許可証Pに係る印刷データを生成し、印刷命令と共に、プリンタ20へ出力する。これにより、プリンタ20は、当該印刷データに基づく入場許可証Pを印刷出力する。入場許可証Pをプリンタ20から印刷出力した後、CPU16は、S14に処理を移行する。
【0042】
この時、受付担当者は、印刷出力された入場許可証Pを当該来客者に手渡し、当該施設に対する入場を促す。
【0043】
S14においては、CPU16は、ネットワーク網Nを介して、データベースサーバ50にアクセス可能であるか否かを判断する。具体的には、CPU16は、ネットワーク網Nを介して、データベースサーバ50へ制御信号を送信し、当該制御信号に対する応答の有無に応じて判断する。データベースサーバ50にアクセス可能である場合(S14:YES)、CPU16は、S15に処理を移行する。一方、データベースサーバ50にアクセスすることができない場合(S14:NO)、CPU16は、S16に処理を移行する。
【0044】
S15においては、CPU16は、来客データデータベース55に対する入場登録処理を実行する。即ち、CPU16は、S11で特定された来客データ(来客データデータベース55に格納されている当該来客者に係る来客データ)の入退場状況を、「入退場状況:入場」を示すように登録する。その後、CPU16は、入場管理処理プログラムを終了する。
【0045】
S16では、CPU16は、当該パーソナルコンピュータ10のローカルデータベース13Aに対する入場登録処理を実行する。即ち、CPU16は、S11で特定された来客データ(当該ローカルデータベース13Aに格納されている当該来客者に係る来客データ)の入退場状況を、「入退場状況:入場」を示すように登録する。その後、CPU16は、S17に処理を移行する。
【0046】
S17に移行すると、CPU16は、当該パーソナルコンピュータ10が、ネットワーク網Nを介して、データベースサーバ50にアクセス不能であることに基づいて、マージ処理フラグをRAM18の所定領域にセットする。当該マージ処理フラグは、後述するデータベース統合処理プログラム(図13参照)を実行する際に参照され、ローカルデータベース13Aの記憶内容を、来客データデータベース55に統合すべき旨を示す。マージ処理フラグをセットした後、CPU16は、入場管理処理プログラムを終了する。
【0047】
次に、本実施形態に係る来客管理システム1における退場管理処理プログラムについて、図8を参照しつつ詳細に説明する。当該退場管理処理プログラムは、各パーソナルコンピュータ10のCPU16により、受付(第1受付Ra、第2受付Rb)を介して、入場している来客者が当該施設から退場する際に実行される。
【0048】
図8に示すように、CPU16は、まず、バーコード内容読取処理を実行する(S21)。具体的には、受付担当者は、退場を希望する来客者から入場許可証Pを受け取り、当該入場許可証Pに付されているバーコードB(図7参照)を、バーコードリーダ30により読み取る。CPU16は、バーコードリーダ30によるバーコードBの読取結果をデコードすることで、当該来客に係る来客データ(入退場状況を含む)と、当該来客の入場時における通信状況と、当該来客が入場した受付を特定し、RAM18に格納する。バーコード内容読取処理を終了すると、CPU16は、S22に処理を移行する。
【0049】
S22では、CPU16は、ネットワーク網Nを介して、データベースサーバ50にアクセス可能であるか否かを判断する。具体的には、CPU16は、上述したS14と同様の処理を行う。データベースサーバ50にアクセス可能である場合(S22:YES)、CPU16は、S23に処理を移行する。一方、データベースサーバ50にアクセスすることができない場合(S22:NO)、CPU16は、S24に処理を移行する。
【0050】
S23においては、CPU16は、来客データデータベース55に対する検索データベース設定処理を実行する。即ち、CPU16は、S21によりバーコードBを読み取ることで特定された当該来客の来客データ(以下、該当来客データ)の検索対象を、来客データデータベース55に設定する。検索対象を来客データデータベース55に設定した後、CPU16は、S26に処理を移行する。
【0051】
S24では、CPU16は、当該パーソナルコンピュータ10のローカルデータベース13Aに対する検索データベース設定処理を実行する。即ち、CPU16は、前記該当来客データの検索対象を、当該パーソナルコンピュータ10のローカルデータベース13Aに設定する。検索対象をローカルデータベース13Aに設定した後、CPU16は、S25に処理を移行する。
【0052】
S25に移行すると、CPU16は、当該パーソナルコンピュータ10が、ネットワーク網Nを介して、データベースサーバ50にアクセス不能であることに基づいて、S17と同様に、マージ処理フラグをRAM18の所定領域にセットする。マージ処理フラグをセットした後、CPU16は、S26に処理を移行する。
【0053】
S26においては、CPU16は、該当来客データ検索処理を実行する。具体的には、データベースサーバ50にアクセス可能である場合、CPU16は、来客データデータベース55に格納されている来客データから、退場を希望する来客に係る来客データ(該当来客データ)を検索する。来客データデータベース55における該当来客データを抽出した後、CPU16は、S27に処理を移行する。又、データベースサーバ50にアクセスすることができない場合、CPU16は、ローカルデータベース13Aに格納されている来客データから、該当来客データを検索する。ローカルデータベース13Aにおける該当来客データを抽出した後、CPU16は、S27に処理を移行する。
【0054】
S27では、CPU16は、入退場状況確認処理を実行する。具体的には、CPU16は、入退場状況確認処理プログラム(図9参照)を実行することにより、該当来客データに係る入退場状況に基づいて、当該来客者の退場に関する情報を受付担当者に報知する。入退場状況確認処理(S27)の詳細については、後に図面を参照しつつ説明する。入退場状況確認処理を終了すると、CPU16は、S28に処理を移行する。
【0055】
S28に移行すると、CPU16は、退場登録処理を実行する。具体的には、データベースサーバ50にアクセス可能である場合、CPU16は、来客データデータベース55に格納されている該当来客データの入退場状況を、「入退場状況:退場」を示すように登録し、退場管理処理プログラムを終了する。又、データベースサーバ50にアクセスすることができない場合、CPU16は、ローカルデータベース13Aに格納されている該当来客データの入退場状況を、「入退場状況:退場」を示すように登録し、退場管理処理プログラムを終了する。
【0056】
続いて、入退場状況確認処理(S27)において、CPU16により実行される入退場状況確認処理プログラムについて、図9を参照しつつ詳細に説明する。入退場状況確認処理(S27)に移行すると、CPU16は、該当来客データにおける入退場状況が「入退場状況:入場」であるか否かを判断する(S31)。「入退場状況:入場」であることは、該当来客データに係る来客者が、確実に、第1受付Ra又は第2受付Rbを介して、当該施設に入場していることを示し、当該来客者が適切な入場を行っていることを意味する。従って、該当来客データにおける入退場状況が「入退場状況:入場」である場合(S31:YES)、CPU16は、そのまま入退場状況確認処理プログラムを終了し、退場管理処理プログラムのS28に処理を移行する。一方、「入退場状況:入場」でない場合(S31:NO)、CPU16は、S32に処理を移行する。
【0057】
尚、「入退場状況:入場」でない場合には、「該当来客データが検索対象であるデータベース(即ち、来客データデータベース55又はローカルデータベース13A)に存在しない場合も含まれる。
【0058】
S32においては、CPU16は、該当来客データにおける入退場状況が「入退場状況:予約」であるか否かを判断する。該当来客データの入退場状況が「入退場状況:予約」である場合(S32:YES)、CPU16は、S33に処理を移行する。一方、「入退場状況:予約」でない場合(S32:NO)、CPU16は、S33に処理を移行する。尚、「入退場状況:予約」でない場合には、「該当来客データが検索対象であるデータベース(即ち、来客データデータベース55又はローカルデータベース13A)に存在しない場合も含まれる。
【0059】
S33に移行すると、CPU16は、切断時入場者メッセージ61をディスプレイ11に表示する。図10に示すように、切断時入場者メッセージ61は、「Thomas Duncanさんは、ネットワークエラー発生中に入場しています」等のメッセージを含んでいる。切断時入場者メッセージ61をディスプレイ11に表示した後、CPU16は、そのまま入退場状況確認処理プログラムを終了し、退場管理処理プログラムのS28に処理を移行する。
【0060】
ここで、該当来客データの入退場状況が「入退場状況:予約」であることは、該当来客データをデータベース(即ち、来客データデータベース55又はローカルデータベース13A)に登録した後に、当該来客が入場した受付に係るパーソナルコンピュータ10がデータベースサーバ50と通信不能となり、当該来客の入場時を含み、退場時まで通信不能な状態が継続している状態を示す。従って、退場時における受付担当者は、該当来客データに係る来客者が、そのような状況下で入場した来客であることを把握することができ、「入退場状況:予約」と、現在状況の不整合に基づく疑念を抱くことなく、当該来客者の退場処理を行い得る。
【0061】
S34では、CPU16は、該当来客データにおける入退場状況が「入退場状況:退場」であるか否かを判断する。該当来客データの入退場状況が「入退場状況:退場」である場合(S34:YES)、CPU16は、S35に処理を移行する。一方、「入退場状況:退場」でない場合(S34:NO)、CPU16は、S38に処理を移行する。尚、「入退場状況:退場」でない場合とは、「該当来客データが検索対象であるデータベース(即ち、来客データデータベース55又はローカルデータベース13A)に存在しない場合を意味する。
【0062】
S35に移行すると、CPU16は、注意喚起メッセージ62をディスプレイ11に表示する。図11に示すように、注意喚起メッセージ62は、「十分に確認してから退場処理を行って下さい」等のメッセージを含んでいる。注意喚起メッセージ62をディスプレイ11に表示した後、CPU16は、S36に処理を移行する。
【0063】
ここで、該当来客データの入退場状況が「入退場状況:退場」であることは、該当来客データをデータベース(即ち、来客データデータベース55又はローカルデータベース13A)に登録する前に、当該来客が入場した受付に係るパーソナルコンピュータ10がデータベースサーバ50と通信不能となり、当該来客の入場時を含み、退場時まで通信不能な状態が継続している状態を示す。
【0064】
この場合、該当来客データにおける入退場状況では、「予約もなく、受付を介さずに当該施設に不法に侵入した者」と同様の状態となる。しかしながら、該当来客データの入退場状況が「入退場状況:退場」であることは、当該来客者が、以前に当該施設を適式に(来客管理システム1における手順に則って)訪問していることも示している。従って、退場時における受付担当者は、該当来客データに係る来客者が、そのような来客であることを把握することができる。従って、当該受付担当者は、「入退場状況:退場」と、現在状況の不整合に基づいて、或る程度の警戒心を抱くことができ、当該来客者の退場処理に関して、十分な確認作業(例えば、他方の受付に係る受付担当者に連絡をとり、当該来客者が不法に侵入した者であるか否かを確認する作業)を行い得る。
【0065】
S36においては、CPU16は、操作部12の操作に基づいて、退場処理を継続するか否かを判断する。具体的には、受付担当者は、注意喚起メッセージ62の表示に基づく確認作業等を行って当該来客者の退場を許容する場合に、退場処理の継続すべき旨の操作を行う。退場処理を継続する場合(S36:YES)、CPU16は、S37に処理を移行する。退場処理を継続しない場合(S36:NO)、CPU16は、そのまま入退場状況確認処理プログラム及び退場管理処理プログラムを終了する。この場合、当該受付担当者は、当該来客の退場を許容せず、当該受付に引き留めておく等の必要な措置を講じ得る。
【0066】
S37では、CPU16は、該当来客データ生成処理を実行する。具体的には、退場処理を継続することに伴い、受付担当者は、退場を希望する来客者から必要事項(例えば、来客データを構成する各項目)を聴取し、入力ウィンドウの各入力欄に入力する。これにより、CPU16は、退場を希望する来客者に関する該当来客データを生成し、生成した該当来客データをデータベース(ローカルデータベース13A又は来客データデータベース55)に登録する。その後、CPU16は、入退場状況確認処理プログラムを終了し、退場管理処理プログラムのS28に処理を移行する。
【0067】
S38においては、CPU16は、警告メッセージ63をディスプレイ11に表示する。図12に示すように、警告メッセージ63は、「不法侵入者である可能性が高いです。十分に確認してから退場処理を行ってください。」等のメッセージを含んでいる。警告メッセージ63をディスプレイ11に表示した後、CPU16は、S39に処理を移行する。
【0068】
ここで、該当来客データの入退場状況が「入退場状況:予約」「入退場状況:入場」「入退場状況:退場」の何れでもなく、該当来客データが存在していないことは、該当来客データをデータベース(即ち、来客データデータベース55又はローカルデータベース13A)に登録する前に、当該来客が入場した受付に係るパーソナルコンピュータ10がデータベースサーバ50と通信不能となり、当該来客の入場時を含み、退場時まで通信不能な状態が継続している状態を示す。
【0069】
この状況は、該当来客データの入退場状況が「入退場状況:退場」である場合と同様に、「予約もなく、受付を介さずに当該施設に不法に侵入した者」と同様の状態であり、「当該来客者は、当該施設を適式に(来客管理システム1における手順に則って)訪問したことがないこと」も示している。即ち、該当来客データの入退場状況が「入退場状況:退場」である場合と比較して、この状況に係る来客者は、「不法に当該施設に進入した者」である可能性が高いことになる。従って、退場時における受付担当者は、該当来客データに係る来客者が、そのような来客であることを把握することができる。従って、当該受付担当者は、「該当来客データの不存在」と、現在状況の不整合に基づいて、強い警戒心を抱くことができ、当該来客者の退場処理に関して、より慎重且つ十分な確認作業(例えば、他方の受付に係る受付担当者に連絡をとり、当該来客者が不法に侵入した者であるか否かを確認する作業)を行い得る。
【0070】
S39においては、CPU16は、操作部12の操作に基づいて、退場処理を継続するか否かを判断する。具体的には、受付担当者は、警告メッセージ63の表示に基づく確認作業等を行って当該来客者の退場を許容する場合に、退場処理の継続すべき旨の操作を行う。退場処理を継続する場合(S39:YES)、CPU16は、S40に処理を移行する。退場処理を継続しない場合(S39:NO)、CPU16は、そのまま入退場状況確認処理プログラム及び退場管理処理プログラムを終了する。この場合、当該受付担当者は、当該来客の退場を許容せず、当該受付に引き留めておく等の必要な措置を講じ得る。
【0071】
S40では、CPU16は、該当来客データ生成処理を実行する。具体的には、CPU16は、上述したS37と同様の処理によって該当来客データを生成し、生成した該当来客データをデータベース(ローカルデータベース13A又は来客データデータベース55)に登録する。その後、CPU16は、入退場状況確認処理プログラムを終了し、退場管理処理プログラムのS28に処理を移行する。
【0072】
次に、本実施形態に係る来客管理システム1におけるデータベース統合処理プログラムについて、図13を参照しつつ詳細に説明する。当該データベース統合処理プログラムは、各パーソナルコンピュータ10のCPU16により、所定の時間間隔をもって定期的に実行される。
【0073】
先ず、S51においては、CPU16は、当該パーソナルコンピュータ10がネットワーク網Nに復帰したか否かを判断する。即ち、CPU16は、ネットワーク網Nを介して、データベースサーバ50へのアクセスが不能な状態から、アクセス可能な状態になったか否かを判断する。ネットワーク網Nに復帰した場合(S51:YES)、CPU16は、S52に処理を移行する。一方、ネットワーク網Nに復帰していない場合(S51:NO)、CPU16は、データベース統合処理プログラムを終了する。
【0074】
尚、「ネットワーク網Nに復帰していない場合」は、「当該パーソナルコンピュータ10が、ネットワーク網Nを介してデータベースサーバ50にアクセス可能であり続ける状態」と、「当該パーソナルコンピュータ10が、ネットワーク網Nを介して、データベースサーバ50にアクセス不能な状態」を含む。
【0075】
S52では、CPU16は、マージ処理フラグがRAM18にセットされているか否かを判断する。上述したように、マージ処理フラグは、ネットワーク網Nを介して、データベースサーバ50との通信が不能な状況において、来客者の入場又は退場が行われる場合にセットされる。マージ処理フラグがセットされている場合(S52:YES)、CPU16は、S53に処理を移行する。一方、マージ処理フラグがセットされていない場合(S52:NO)、CPU16は、データベース統合処理プログラムを終了する。
【0076】
S53に移行すると、CPU16は、データベース内容比較処理を実行する。具体的には、CPU16は、当該パーソナルコンピュータ10のローカルデータベース13Aにおける記憶内容と、来客データデータベース55の記憶内容を比較する。より詳細には、CPU16は、先ず、ネットワーク網Nを介して、来客データデータベース55の記憶内容を取得する。そして、CPU16は、ローカルデータベース13A及び来客データデータベース55において、同一の来客者に係る来客データを特定し、両方の来客データに係る入退場状況を比較する。データベース内容比較処理(S53)を終了すると、CPU16は、S54に処理を移行する。
【0077】
S54においては、CPU16は、データベース内容比較処理(S53)の比較結果に基づいて、入退場状況がバッティングする来客データが存在するか否かを判断する。入退場状況がバッティングする来客データが存在する場合(S54:YES)、CPU16は、S55に処理を移行する。一方、入退場状況がバッティングする来客データが存在しない場合(S54:NO)、CPU16は、S56に処理を移行する。
【0078】
ここで、「入退場状況がバッティングする」とは、来客データデータベース55における来客データの入退場状況が、ローカルデータベース13Aにおける入退場状況よりも、施設に対する入退場の流れの内、退場側を示す状態を意味する。例えば、図14に示す場合を例に挙げて説明すると、図14(A)に示す来客データデータベース55における来客データ(3)は、来客者「Saito,Sachiko」の入退場状況が「入退場状況:退場」であることを示す。そして、図14(B)に示すローカルデータベース13Aにおける来客データ(B)は、「Saito,Sachiko」の入退場状況が「入退場状況:入場」であることを示す。従って、この図14に示す状況においては、来客者「Saito,Sachiko」に係る来客データは、「入退場状況がバッティングする来客データ」に該当する。
【0079】
S55においては、CPU16は、「入退場状況がバッティングする来客データ」に対して、サーバ登録内容を優先する旨を設定する。従って、図14(A)、(B)に示す来客者「Saito,Sachiko」の来客データに関しては、CPU16は、サーバ登録内容である「入退場状況:退場」を優先する旨を設定する。「入退場状況がバッティングする来客データ」の全てについて、サーバ登録内容を優先する旨を設定した後、CPU16は、S56に処理を移行する。
【0080】
S56に移行すると、CPU16は、データベース内容統合処理を実行する。具体的には、CPU16は、ローカルデータベース13Aの記憶内容を、来客データデータベース55に統合する。データベース内容統合処理を終了すると、CPU16は、データベース統合処理プログラムを終了する。
【0081】
データベース内容統合処理(S56)において、CPU16は、サーバ登録内容を優先する旨が設定された来客データに関しては、既に来客データデータベース55に登録されている内容を維持する。従って、上述した来客者「Saito,Sachiko」の来客データの場合、データベース内容統合処理を実行した後、入退場状況は「入退場状況:退場」の状態で登録されることとなる(図14(C)参照)。
【0082】
そして、サーバ登録内容を優先する旨が設定されていない来客データに関しては、ローカルデータベース13Aに登録されている内容で、来客データデータベース55に統合される。即ち、図14に示す例では、来客者「Asai,Masao」、来客者「Sato,Shinji」に係る来客データについては、図14(B)に示すローカルデータベース13Aの登録内容をもって、来客データデータベース55に統合される(図14(C)参照)。尚、来客データデータベース55には登録されていないが、ローカルデータベース13Aには登録されている来客データに関しても、ローカルデータベース13Aの登録内容をもって登録されるので、来客データデータベース55に追加登録される(例えば、図14における来客者「Honda,Makoto」に係る来客データ)。
【0083】
従って、当該来客管理システム1によれば、第1受付Ra又は第2受付Rbにおけるパーソナルコンピュータ10と、データベースサーバ50との間の通信が不能な状態が生じた場合であっても、データベースサーバ50との通信が復旧した時点で、来客データの内容を来客データデータベース55上で統合し得る。これにより、各パーソナルコンピュータ10におけるローカルデータベース13Aと、来客データデータベース55における記憶内容の整合性をとることができるので、来客管理システム1によれば、来客データデータベース55の記憶内容を、より現実の状況に即した記憶内容とすることができ、当該施設における来客の入退場管理を正確に行い得る。
【0084】
以上、実施形態に基づき本発明を説明したが、本発明は上述した実施形態に何ら限定されるものではなく、本発明の趣旨を逸脱しない範囲内で種々の改良変更が可能である。
例えば、本実施形態に係る来客管理システム1においては、当該施設における受付を、第1受付Raと、第2受付Rbの2箇所としていたが、この態様に限定されるものではない。即ち、本発明に係る来客システムは、より多くの受付を有する施設に対して適用することも可能である。
【0085】
又、本実施形態においては、入場許可証Pに、バーコードBを付して印刷出力するように構成していたが、この態様に限定されるものではない。例えば、バーコードBに換えて、二次元コードを用いる構成であってもよい。又、本発明は、少なくとも、パーソナルコンピュータ10と、データベースサーバ50の間の通信が不能な状況で、来客の入場が行われた場合に、バーコードBを付した入場許可証Pを印刷出力すればよく、例えば、通信可能な状況であれば、バーコードBを付すことなく、入場許可証Pを出力する構成であってもよい。
【符号の説明】
【0086】
1 来客管理システム
10 パーソナルコンピュータ
11 ディスプレイ
12 操作部
13 HDD
13A ローカルデータベース
15 制御部
20 プリンタ
30 バーコードリーダ
50 データベースサーバ
55 来客データデータベース
61 切断時入場者メッセージ
62 注意喚起メッセージ
63 警告メッセージ
B バーコード
P 入場許可証
N ネットワーク網
【特許請求の範囲】
【請求項1】
施設に対する来客の入退場が行われる複数の受付に設置され、各受付における来客の入退場を管理する為の複数の来客管理端末と、
各来客管理端末と接続され、当該施設への入場に関する入場許可証を印刷する印刷装置と、
ネットワーク網を介して、各来客管理端末と通信可能に接続され、各受付における来客の入退場の状態に基づいて、当該施設における来客の入退場の状況を管理するサーバと、を有する来客管理システムであって、
前記サーバは、
前記施設に訪れる来客個人を示す個人情報と、当該個人情報に係る来客の前記施設に対する入退場の状況を示す入退場状況情報と、を含む来客情報を記憶する第1記憶手段と、を有し、
前記来客管理端末は、
当該施設に対する来客の入退場に関する種々の操作に用いられる操作手段と、
前記操作手段により、当該受付から前記施設に来客が入場する際の入場操作が行われた場合、当該来客に係る来客情報を構成する入退場状況情報の内容を、入場中を示す内容に更新し、前記操作手段により、当該受付を介して前記施設から来客が退場する際の退場操作が行われた場合、当該来客に係る来客情報を構成する入退場状況情報の内容を、退場を示す内容に更新する来客情報更新手段と、
前記サーバとネットワーク網を介して通信可能であるか否かを判断する通信状況判断手段と、
前記サーバとの通信が不能である場合の来客の入退場管理に用いる為に、前記来客情報を補助的に記憶する第2記憶手段と、
前記通信状況判断手段により、前記サーバとの通信が可能であると判断された場合、前記来客情報更新手段による更新対象を、前記サーバの第1記憶手段に格納された来客情報に設定し、前記通信状況判断手段により、前記サーバとの通信が不能であると判断された場合、前記来客情報更新手段による更新対象を、当該来客管理端末の第2記憶手段に格納された来客情報に設定する更新対象切換手段と、
前記サーバとの通信が不能な状態から、サーバとの通信が可能な状態に復帰した場合、前記第2記憶手段に格納されている来客情報の内容を、ネットワーク網を介して、前記サーバの第1記憶手段に併合する来客情報併合手段と、
前記操作手段により前記入場操作が行われ、且つ、前記通信状況判断手段により前記サーバとの通信が可能であると判断された場合、前記印刷装置を制御することにより、当該来客に係る来客情報に基づく入場許可証を出力し、
前記操作手段により前記入場操作が行われ、且つ、前記通信状況判断手段により前記サーバとの通信が不能であると判断された場合、前記印刷装置を制御することにより、サーバとの通信が不能な通信不能状況における来客が当該受付を介して入場したことを示すコード情報に基づくコード画像と、当該来客に係る来客情報に基づいて、前記コード画像を含む入場許可証を出力する許可証出力手段と、を有する
ことを特徴とする来客管理システム。
【請求項2】
請求項1に記載の来客管理システムであって、
前記来客管理端末は、
当該施設に対する来客の入退場に関する種々の表示を行う表示手段と、
前記入場許可証に含まれるコード画像から、前記コード情報を読み取る読取手段と、
前記操作手段により退場操作を行う際に、前記読取手段によって、入場許可証のコード画像からコード情報を読み取った場合、当該入場許可証に係る来客の来客情報を構成する入退場状況情報の内容に基づいて、サーバとの通信が不能な状態の受付を介して、当該来客が施設に入場したことを含む報知表示を、前記入退場状況情報に対応する態様で、前記表示手段に表示する表示制御手段と、を有する
ことを特徴とする受付管理システム。
【請求項3】
請求項1又は請求項2に記載の来客管理システムであって、
前記来客情報併合手段は、
前記サーバとの通信が不能な状態から、サーバとの通信が可能な状態に復帰した場合、前記サーバとの通信が不能な状態で当該施設に入場した来客に関し、前記第2記憶手段に記憶されている来客情報に含まれる入退場状況情報の内容と、前記第1記憶手段に格納されている来客情報に含まれる入退場状況情報の内容を比較する比較手段と、
前記比較手段による比較結果に基づいて、前記第1記憶手段における入退場状況情報の示す状況が、前記第2記憶手段における入退場状況情報の示す状況よりも、施設に対する入退場の流れの内、退場側を示す場合、前記サーバとの通信が不能な状態で当該施設に入場した来客に係る来客情報に関して、前記第1記憶手段における来客情報の内容を維持しつつ、前記第2記憶手段に格納されている来客情報の内容を、ネットワーク網を介して、前記サーバの第1記憶手段に併合する併合制御手段と、を有する
ことを特徴とする来客管理システム。
【請求項1】
施設に対する来客の入退場が行われる複数の受付に設置され、各受付における来客の入退場を管理する為の複数の来客管理端末と、
各来客管理端末と接続され、当該施設への入場に関する入場許可証を印刷する印刷装置と、
ネットワーク網を介して、各来客管理端末と通信可能に接続され、各受付における来客の入退場の状態に基づいて、当該施設における来客の入退場の状況を管理するサーバと、を有する来客管理システムであって、
前記サーバは、
前記施設に訪れる来客個人を示す個人情報と、当該個人情報に係る来客の前記施設に対する入退場の状況を示す入退場状況情報と、を含む来客情報を記憶する第1記憶手段と、を有し、
前記来客管理端末は、
当該施設に対する来客の入退場に関する種々の操作に用いられる操作手段と、
前記操作手段により、当該受付から前記施設に来客が入場する際の入場操作が行われた場合、当該来客に係る来客情報を構成する入退場状況情報の内容を、入場中を示す内容に更新し、前記操作手段により、当該受付を介して前記施設から来客が退場する際の退場操作が行われた場合、当該来客に係る来客情報を構成する入退場状況情報の内容を、退場を示す内容に更新する来客情報更新手段と、
前記サーバとネットワーク網を介して通信可能であるか否かを判断する通信状況判断手段と、
前記サーバとの通信が不能である場合の来客の入退場管理に用いる為に、前記来客情報を補助的に記憶する第2記憶手段と、
前記通信状況判断手段により、前記サーバとの通信が可能であると判断された場合、前記来客情報更新手段による更新対象を、前記サーバの第1記憶手段に格納された来客情報に設定し、前記通信状況判断手段により、前記サーバとの通信が不能であると判断された場合、前記来客情報更新手段による更新対象を、当該来客管理端末の第2記憶手段に格納された来客情報に設定する更新対象切換手段と、
前記サーバとの通信が不能な状態から、サーバとの通信が可能な状態に復帰した場合、前記第2記憶手段に格納されている来客情報の内容を、ネットワーク網を介して、前記サーバの第1記憶手段に併合する来客情報併合手段と、
前記操作手段により前記入場操作が行われ、且つ、前記通信状況判断手段により前記サーバとの通信が可能であると判断された場合、前記印刷装置を制御することにより、当該来客に係る来客情報に基づく入場許可証を出力し、
前記操作手段により前記入場操作が行われ、且つ、前記通信状況判断手段により前記サーバとの通信が不能であると判断された場合、前記印刷装置を制御することにより、サーバとの通信が不能な通信不能状況における来客が当該受付を介して入場したことを示すコード情報に基づくコード画像と、当該来客に係る来客情報に基づいて、前記コード画像を含む入場許可証を出力する許可証出力手段と、を有する
ことを特徴とする来客管理システム。
【請求項2】
請求項1に記載の来客管理システムであって、
前記来客管理端末は、
当該施設に対する来客の入退場に関する種々の表示を行う表示手段と、
前記入場許可証に含まれるコード画像から、前記コード情報を読み取る読取手段と、
前記操作手段により退場操作を行う際に、前記読取手段によって、入場許可証のコード画像からコード情報を読み取った場合、当該入場許可証に係る来客の来客情報を構成する入退場状況情報の内容に基づいて、サーバとの通信が不能な状態の受付を介して、当該来客が施設に入場したことを含む報知表示を、前記入退場状況情報に対応する態様で、前記表示手段に表示する表示制御手段と、を有する
ことを特徴とする受付管理システム。
【請求項3】
請求項1又は請求項2に記載の来客管理システムであって、
前記来客情報併合手段は、
前記サーバとの通信が不能な状態から、サーバとの通信が可能な状態に復帰した場合、前記サーバとの通信が不能な状態で当該施設に入場した来客に関し、前記第2記憶手段に記憶されている来客情報に含まれる入退場状況情報の内容と、前記第1記憶手段に格納されている来客情報に含まれる入退場状況情報の内容を比較する比較手段と、
前記比較手段による比較結果に基づいて、前記第1記憶手段における入退場状況情報の示す状況が、前記第2記憶手段における入退場状況情報の示す状況よりも、施設に対する入退場の流れの内、退場側を示す場合、前記サーバとの通信が不能な状態で当該施設に入場した来客に係る来客情報に関して、前記第1記憶手段における来客情報の内容を維持しつつ、前記第2記憶手段に格納されている来客情報の内容を、ネットワーク網を介して、前記サーバの第1記憶手段に併合する併合制御手段と、を有する
ことを特徴とする来客管理システム。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【公開番号】特開2012−181570(P2012−181570A)
【公開日】平成24年9月20日(2012.9.20)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−42115(P2011−42115)
【出願日】平成23年2月28日(2011.2.28)
【出願人】(000005267)ブラザー工業株式会社 (13,856)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成24年9月20日(2012.9.20)
【国際特許分類】
【出願日】平成23年2月28日(2011.2.28)
【出願人】(000005267)ブラザー工業株式会社 (13,856)
【Fターム(参考)】
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