説明

杭材埋設方法

【課題】より効率的に杭材を地中に埋設することができる杭材埋設方法を実現する。
【解決手段】杭材埋設方法において、既に地中に埋設された既設の杭材50に隣接する位置に掘削孔を掘削するようにして掘削装置1を配置した後、掘削装置1の下端部を支点にして、その掘削装置1の上端側を既設の杭材50から離間させるように掘削装置1を傾斜させるとともに、その既設の杭材50と掘削装置1の上端側との間から新たな杭材50を地中に圧入することで、その圧入される杭材50がガイドフレーム15を押すようにして掘削装置1の下端部を前方に押し出して、その掘削装置1の前方に次の掘削孔を掘削することを可能にした。そして、掘削孔の先行掘削と杭材50の圧入を一連の動作として連続的に行うことによって、より効率的に杭材50を地中に埋設することを可能にした。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、杭材埋設方法に係り、特に、地中に複数の杭材を連続的に埋設する杭材埋設方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、チェーンカッター式の掘削装置を用いて地盤に形成した掘削孔に杭材を埋入し、その埋入した杭材に並ぶ位置に次の掘削孔を形成して杭材を埋入することを繰り返して、複数の杭材を地中に連続的に埋設する技術が知られている(例えば、特許文献1参照。)。
【特許文献1】特開2007−255148号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
しかしながら、上記特許文献1の場合、埋設する杭材毎に掘削孔を形成するため、その掘削孔を掘削する度に掘削装置を地中から引き抜いて、次の掘削位置に掘削装置を移動させなければならず、その杭材の埋設作業は煩雑なものとなってしまい、その埋設作業に時間を要してしまうことがあるという問題があった。
【0004】
本発明の目的は、より効率的に杭材を地中に埋設することができる杭材埋設方法を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0005】
以上の課題を解決するため、請求項1に記載の発明は、
チェーンカッター方式掘削装置を用いて地中に複数の杭材を連続的に埋設する杭材埋設方法であって、
既に地中に埋設された既設の杭材に隣接する位置に掘削孔を掘削するように前記チェーンカッター方式掘削装置を配置し、次いで、前記チェーンカッター方式掘削装置の下端部を支点にして、そのチェーンカッター方式掘削装置の上端側を前記既設の杭材から離間させることで前記チェーンカッター方式掘削装置を傾斜させ、更に、前記既設の杭材と前記チェーンカッター方式掘削装置の上端側との間から新たな杭材を前記既設の杭材に沿って地中に埋設することで、その新たに埋設された杭材によって前記チェーンカッター方式掘削装置の下端部を押し出して、次の掘削孔を掘削することを特徴とする。
【0006】
請求項2に記載の発明は、請求項1に記載の杭材埋設方法において
前記チェーンカッター方式掘削装置は、新たな杭材を前記既設の杭材に沿って地中に案内する案内部材を備えており、
地中に埋設される新たな杭材が前記案内部材を押して、前記チェーンカッター方式掘削装置の下端部を押し出して、前記チェーンカッター方式掘削装置の配置を前記既設の杭材に並んで新たに埋設された杭材に沿わせることで、前記チェーンカッター方式掘削装置が掘削孔を掘削することを特徴とする。
【発明の効果】
【0007】
本発明によれば、既に地中に埋設された既設の杭材に隣接する位置に掘削孔を掘削するようにしてチェーンカッター方式掘削装置を配置した後、そのチェーンカッター方式掘削装置の下端部を支点にして、そのチェーンカッター方式掘削装置の上端側を既設の杭材から離間させるようにチェーンカッター方式掘削装置を傾斜させることについで、その既設の杭材とチェーンカッター方式掘削装置の上端側との間から新たな杭材を既設の杭材に沿って地中に埋設することで、その埋設される杭材がチェーンカッター方式掘削装置の下端部を前方に押し出して、そのチェーンカッター方式掘削装置の前方に次の掘削孔を掘削することができる。
つまり、杭材の埋設に伴い、その杭材に押されるチェーンカッター方式掘削装置が前方に移動しつつ、次の掘削孔を掘削することができるので、掘削孔の先行掘削と杭材の埋設を一連の動作として連続的に行うことができることとなって、より効率的に杭材を地中に埋設することが可能になる。
そして、掘削孔の先行掘削と杭材の埋設との一連の動作を繰り返すことによって、地中に複数の杭材を連続的に埋設することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0008】
以下、本発明の実施形態たる杭材埋設方法について、図面を参照して説明する。なお、本発明の杭材埋設方法に用いる掘削装置は、略矩形断面の掘削孔を掘削するチェーンカッター方式掘削装置である。
【0009】
チェーンカッター方式掘削装置1(以下、掘削装置1)は、図1に示すように、上下方向に延在し、テンション調整用シリンダ11aを有するフレームポスト11と、フレームポスト11の上端に配されて、図示しない駆動モータの駆動により回転する駆動スプロケット12と、フレームポスト11の下端に配される従動スプロケット13と、駆動スプロケット12と従動スプロケット13に掛け渡されてフレームポスト11の外周に沿って配されるエンドレスチェーン14aとカッタービット14bとで構成されているチェーンカッター14と、フレームポスト11の一方の端面側に配される案内部材であるガイドフレーム15等を備えて構成されている。
【0010】
次に、掘削装置1や杭材50を支えて、その掘削装置1や杭材50を地中に送り込むための杭圧入機2について説明する。
【0011】
杭圧入機2は、図2に示すように、既に圧入された杭材50の上端部を把持する複数(例えば、4つ)のクランプ装置21・・・を備えたサドル22と、サドル22に対して前後動自在なスライドベース23と、スライドベース23上で左右に旋回自在なリーダマスト24と、リーダマスト24の前面に昇降自在に取り付けられて杭材50や掘削装置1を保持するチャック装置25と、リーダマスト24に対してチャック装置25を昇降駆動するメイン油圧シリンダ26と、掘削装置1に接続する油圧ホースや電源ケーブルなどを巻回しているリール装置27等を備えている。
【0012】
この杭圧入機2におけるチャック装置25は、2つのチャック部251、252を備えている。
リーダマスト24に対して離間した配置となる一方のチャック部251(第1チャック部251)は、杭材50や掘削装置1を把持するクランプ251aを備えている。この第1チャック部251においてクランプ251aは、図2に示すように、第1チャック部251に形成されている長溝251bに沿って上下方向に摺動可能となるように備えられている。なお、第1チャック部251のクランプ251aが、長溝251bに沿って摺動可能とされることと、長溝251b内に固定されることとは、所定のロック機構のオン/オフによって切り替えられるようになっている。
また、リーダマスト24に対して近接した配置となる他方のチャック部252(第2チャック部252)は、杭材50や掘削装置1を把持するクランプ252aを備えている。
【0013】
そして、杭圧入機2は、掘削装置1を挟持したチャック装置25を下降させることと、掘削装置1を離してチャック装置25を上昇させることを繰り返すことによって、1ストローク分ずつ掘削装置1を地中に送入することを繰り返して、その掘削装置1が地盤を掘削することで、掘削孔を形成させるようになっている。
また、杭圧入機2は、杭材50を挟持したチャック装置25を下降させることと、杭50を離してチャック装置25を上昇させることを繰り返すことによって、1ストローク分ずつ杭50を地中に圧入することを繰り返して、杭50を地盤に圧入するようになっている。
なお、杭圧入機2の動作は従来公知のものと同様であるので、ここでは詳述しない。
【0014】
次に、掘削装置1と杭圧入機2を用いて、杭材50を地中に埋設する杭材埋設方法について説明する。ただし、反力杭となる仮設杭5の埋設方法については、従来公知のものと同様であるので、ここでは詳述しない
なお、本実施形態において、杭材埋設方法を説明するにあたり、掘削装置1や杭圧入機2の形態変化がわかり易いように、掘削装置1や杭圧入機2を透視した状態を図示した図面を用いている。
【0015】
まず、図3(a)に示すように、杭圧入機2が動作する際に反力を取ることが可能となる所定の仮設杭5上に杭圧入機2を設置する。なお、仮設杭5の設置方法は従来公知のものと同様であるので、ここでは詳述しない。
この杭圧入機2のクランプ装置21は、仮設杭5の上端を把持して、杭圧入機2の姿勢を安定させている(ステップS1)。
【0016】
次いで、図3(b)に示すように、杭圧入機2のスライドベース23を進行方向前方に少しスライドさせるとともにチャック装置25を上昇させた後、クレーンの主フックF2で吊り下げた掘削装置1をチャック装置25内に挿入し、第1チャック部251で掘削装置1を挟持する(ステップS2)。
この際、掘削装置1のガイドフレーム15のガイド溝を、仮設杭5の突起部分に合わせて、掘削装置1の位置合わせを行う。
【0017】
次いで、図3(c)に示すように、杭圧入機2のチャック装置25の下降と上昇を繰り返すことで、チャック装置25に保持されている掘削装置1により、1ストローク分ずつ地盤の掘削を行う(ステップS3)。
この際、掘削装置1のガイドフレーム15のガイド溝に、仮設杭5の突起部分を係入するようにして、仮設杭5に対する掘削装置1の姿勢を安定させながら掘削を行う。
また、この時、第1チャック部251におけるロック機構がオンにされた状態となっている。ロック機構がオンとは、クランプ251aが長溝251bを摺動しないように固定され、クランプ251aの回転機構もロックされた状態をいう。
【0018】
次いで、図3(d)に示すように、地中に連設する杭材50に対応する所定の深さまで掘削装置1の下端部(具体的には、従動スプロケット13側)を送り込み、既設の仮設杭5に隣接した位置に掘削孔を形成するようにして、その仮設杭5に隣接した位置に掘削装置1を配置させる(ステップS4)。なお、杭材50は、杭圧入機2によって地中に圧入することになるので、掘削装置1による先行掘削では、排土量100%となる掘削を行う必要はなく、20〜30%を残土として残す程度の掘削でよい。
この際、掘削装置1を支持していたクレーンの主フックF2を切り離す。このように、掘削装置1の下側半分以上が地中に送り込まれた状態であって、掘削装置1の上側が杭圧入機2のチャック装置25に保持されていれば、主フックF2の支持がなくても、掘削装置1が転倒してしまうことはない。
【0019】
次いで、図4(a)に示すように、第2チャック部252による仮設杭5の挟持を解除して、杭圧入機2のスライドベース23を進行方向前方にスライドさせ、チャック装置25を前方に移動させながら、第1チャック部251に挟持されている掘削装置1を進行方向に傾斜させつつ前方の地盤を掘削する(ステップS5)。
つまり、杭圧入機2のスライドベース23を進行方向前方にスライドさせてチャック装置25を前方に移動させることで、掘削装置1の下端部(従動スプロケット13側)を支点にして、掘削装置1の上端側(駆動スプロケット12側)を既設の仮設杭5から離間させることで掘削装置1を傾斜させて、その掘削装置1が進行方向に傾斜する際に、掘削装置1の前方の地盤を掘削する。
この際、第1チャック部251におけるロック機構はオフにされて、第1チャック部251のクランプ251aは回転可能な状態であって、長溝251bに沿って摺動可能な状態に切り替えられている。
【0020】
次いで、図4(b)に示すように、チャック装置25の第1チャック部251で掘削装置1を挟持した状態で、そのチャック装置25を所定量上昇させる(ステップS6)。
この際、第1チャック部251におけるクランプ251aが長溝251bの下部に摺接移動するように、チャック装置25に対して相対的に移動することによって、第1チャック部251に挟持されている掘削装置1は移動せず、その掘削装置1の配置はほとんど変わらないようになっている。このように掘削装置1の配置を変化させることがないので、掘削孔の孔壁保護や杭材50を挿入する際の位置決めが容易となる。
【0021】
次いで、図4(c)に示すように、クレーンの主フックF2で吊り下げた杭材50をチャック装置25内に挿入し、第2チャック部252で杭材50を挟持する(ステップS7)。
この際、杭材50の突起部分を掘削装置1のガイドフレーム15のガイド溝15cに合わせて、杭材50と掘削装置1の位置合わせを行う。また、既設の仮設杭5に対しても杭材50の位置合わせを行う。
【0022】
次いで、図4(d)に示すように、チャック装置25の第2チャック部252で杭材50を挟持したまま、チャック装置25を下降させる(ステップS8)。
この際、第1チャック部251のクランプ251aは、長溝251bに沿って摺動可能な状態であるので、クランプ251aが長溝251bの上方に移動するように、チャック装置25に対して相対的に摺接移動することによって、第1チャック部251に挟持されている掘削装置1の配置はほとんど変わらないようになっている。
そして、図5(a)に示すように、更にチャック装置25を下降させることで、杭材50を既設の仮設杭5と掘削装置1の間に圧入すると、杭材50が圧入の分力によって掘削装置1のガイドフレーム15を押して、掘削装置1の下端部を進行方向前方に押し出す(ステップS9)。
つまり、杭材50に押された掘削装置1は、クランプ251a部分を軸心に回動するように、掘削装置1の下端部を前方に移動させる。
【0023】
次いで、図5(b)に示すように、チャック装置25の第1チャック部251が掘削装置1を支持した状態であって、チャック装置25の第2チャック部252が杭材50を保持した状態で、そのチャック装置25の下降と上昇を繰り返すことで、1ストローク分ずつ杭材50を地盤に圧入する(ステップS10)。なお、この際、第1チャック部251のクランプ251aが長溝251bを摺動するだけで、掘削装置1の位置は変化しない。
この圧入の分力によって、杭材50が掘削装置1のガイドフレーム15を押して、その杭材50に押された掘削装置1は、クランプ251a部分を軸心に回動するように、掘削装置1の下端部を前方に移動させつつ地盤を掘削する。そして、掘削装置1は、前方への掘削を行いつつ、その姿勢を地盤面に対して垂直に近付けていく。この際、第1チャック部251におけるロック機構はオフにされて、第1チャック部251のクランプ251aは回転可能な状態であって、長溝251bに沿って摺動可能な状態に切り替えられている。
【0024】
そして、図5(c)に示すように、杭材50が地中に半分程度圧入されて、杭材50が転倒しない支持力で支えられるようになった際に、杭圧入機2のクランプ装置21が把持した仮設杭5の上端を放し、さらに、チャック装置25が杭材50と掘削装置1を挟持したまま、チャック装置25を下降させる動作によって杭圧入機2の本体(クランプ装置21、サドル22、スライドベース23、リーダマスト24、リール装置27)を相対的に上昇させ、杭圧入機2の本体をチャック装置25側に引き付けるようにして、杭圧入機2の本体を上方に引き上げる(ステップS11)。
次いで、図6(a)に示すように、スライドベース23をスライドさせて、杭圧入機2のクランプ装置21をチャック装置25側に移動させる(ステップS12)。
次いで、図6(b)に示すように、チャック装置25が杭材50と掘削装置1を挟持した状態で、チャック装置25を上昇させる動作によって杭圧入機2の本体を相対的に下降させ、杭圧入機2を仮設杭5の上端に設置し、クランプ装置21でその仮設杭5の上端を把持する(ステップS13)。このように、杭圧入機2が前進する。
【0025】
次いで、図6(c)に示すように、チャック装置25の第1チャック部251が掘削装置1を支持した状態であって、チャック装置25の第2チャック部252が杭材50を保持した状態で、そのチャック装置25の下降と上昇を繰り返すことで、1ストローク分ずつ杭材50を地盤に圧入して、杭材50を所定の深さに埋設する(ステップS14)。
なお、杭材50の埋設完了後、主フックF2を杭材50から切り離す。
【0026】
次いで、図6(d)に示すように、第2チャック部252による杭材50の挟持を解除して、杭圧入機2のスライドベース23を進行方向前方にスライドさせ、チャック装置25を前方に移動させながら、第1チャック部251に挟持されている掘削装置1を進行方向に傾斜させつつ前方の地盤を掘削する(ステップS15)。
ここで、杭材50を仮設杭5と読み替えると、ステップS5と同様になる。ゆえに、その後のステップは、ステップS5〜S13の仮設杭5を杭材50に読み替える動作を繰り返し行っていく。この動作を繰り返すことによって、複数の杭材50を地中に連続的に埋設することができる。
そして、所望する杭材50の本数分、ステップを繰り返すことにより、所定本数の杭材50を連設してなる壁構造物を構築することができる。
【0027】
以上のように、本発明に係る杭材埋設方法によれば、既に地中に埋設された既設の杭材50に隣接する位置に掘削孔を掘削するようにして掘削装置1を配置した後、掘削装置1の下端部を支点にして、その掘削装置1の上端側を既設の杭材50から離間させるように掘削装置1を傾斜させるとともに、その既設の杭材50と掘削装置1の上端側との間から新たな杭材50を地中に圧入することで、その圧入される杭材50がガイドフレーム15を押すようにして掘削装置1の下端部を前方に押し出して、その掘削装置1の前方に次の掘削孔を掘削することができる。
つまり、杭材50の圧入に伴い、その杭材50に押される掘削装置1が前方に移動しつつ、次の掘削孔を掘削することができるので、掘削孔の先行掘削と杭材50の圧入を一連の動作として連続的に行うことができることとなって、より効率的に杭材50を地中に埋設することが可能になる。
そして、掘削孔の先行掘削と杭材50の圧入との一連の動作を繰り返すことによって、地中に複数の杭材50を連続的に埋設することができ、所定本数の杭材50を連設してなる壁構造物を構築することができる。
【0028】
特に、掘削装置1は圧入される杭材50に押されて前方に移動し、その移動方向前方の地盤を掘削することができるので、この掘削装置1を移動させるための移動駆動手段は、本実施形態のように、杭材50の埋設位置において掘削装置1を支えることができる杭圧入機2のような機器であればよいため、その掘削装置1を移動させるために大型で特殊な移動駆動手段(例えば、キャタピラー駆動で移動するベースマシンなど)を備える必要がないメリットがある。
【0029】
また、この杭材埋設方法によれば、掘削装置1による掘削孔の先行掘削と杭材50の圧入を連続的に行うことができるので、その掘削孔に杭材50が圧入される直前まで、掘削孔の孔壁面を掘削装置1が押さえていることになるため、孔壁面が崩落し掘削孔が崩壊してしまうトラブルを低減することができる。
なお、杭材50は、杭圧入機2によって地中に圧入されるため、掘削装置1による先行掘削では、排土量100%となる掘削を行う必要は無いので、孔壁面が崩落しにくいように20〜30%を残土として残すような掘削を行えばよい。また、掘削装置1により形成する掘削孔の断面形状は、杭材50の断面積より小さなサイズの断面形状とするように最低限の大きさとして、その孔壁面が崩落しにくくなるようにしてもよい。
【0030】
また、この杭材埋設方法において使用する掘削装置1は、杭材50に対応する所定の深さに配置した際に、その掘削装置1の下側半分以上が地中に埋もれたような状態となり、地盤中でその姿勢が支えられることとなるので、掘削孔の掘削中に掘削装置1が転倒してしまうようなトラブルは起こり難く、その危険性を低減することができる。
また、掘削装置1は、杭材50に応じた深さの掘削孔を掘削する際に、半分以上地中に埋もれた状態で移動するため、その掘削装置1の上端位置を低くした状態で杭材埋設作業を行うことができるので、杭材埋設作業箇所の上方に高架等の障害物があるなど高さ制限があるような場合でも、好適に作業を行うことができる。
【0031】
また、掘削装置1は、チェーンカッター14を循環駆動して地盤の掘削を行うチェーンカッター方式の掘削装置であり、地上部分に表出するチェーンカッター14を視認することができるので、そのチェーンカッター14におけるカッタービット14c(掘削爪)の磨耗や異常などの確認を行いやすい。つまり、掘削爪(オーガビット)が地中の下端部に配置されているオーガ装置などの掘削機器に比べて、チェーンカッター方式の掘削装置1は、カッタービット14c(掘削爪)の交換などのメンテナンスを行いやすく、カッタービット14cを交換する場合にも掘削装置1を地中から引き抜く必要が無いので、掘削作業を継続して行いやすい。
【0032】
なお、以上の実施の形態においては、杭材50を鉄筋コンクリート製の杭材としたが、本発明はこれに限定されるものではなく、例えば、各種鋼材製の杭材や、鋼材と鉄筋コンクリートとのように複数の異なる材質の部材を組み合わせた複合材からなる杭材であってもよい。
【0033】
また、その他、具体的な細部構造等についても適宜に変更可能であることは勿論である。
【図面の簡単な説明】
【0034】
【図1】本発明に係る杭材埋設方法に用いる掘削装置を示す側面図である。
【図2】本発明に係る杭材埋設方法に用いる杭圧入機を示す側面図であり、チャック装置下降時(a)と、チャック装置上昇時(b)を示している。
【図3】本発明に係る杭材埋設方法に関する説明図であり、第1段階(a)、第2段階(b)、第3段階(c)、第4段階(d)を示している。
【図4】本発明に係る杭材埋設方法に関する説明図であり、第5段階(a)、第6段階(b)、第7段階(c)、第8段階(d)を示している。
【図5】本発明に係る杭材埋設方法に関する説明図であり、第9段階(a)、第10段階(b)、第11段階(c)を示している。
【図6】本発明に係る杭材埋設方法に関する説明図であり、第12段階(a)、第13段階(b)、第14段階(c)、第15段階(d)を示している。
【符号の説明】
【0035】
1 掘削装置(チェーンカッター方式掘削装置)
11 フレームポスト
12 駆動スプロケット
13 従動スプロケット
14 チェーンカッター
15 ガイドフレーム(案内部材)
2 杭圧入機
21 クランプ装置
22 サドル
23 スライドベース
24 リーダマスト
25 チャック装置
26 メイン油圧シリンダ
27 リール装置
251 第1チャック部
251a クランプ
251b 長溝
252 第2チャック部
252a クランプ
50 杭材
5 仮設杭

【特許請求の範囲】
【請求項1】
チェーンカッター方式掘削装置を用いて地中に複数の杭材を連続的に埋設する杭材埋設方法であって、
既に地中に埋設された既設の杭材に隣接する位置に掘削孔を掘削するように前記チェーンカッター方式掘削装置を配置し、次いで、前記チェーンカッター方式掘削装置の下端部を支点にして、そのチェーンカッター方式掘削装置の上端側を前記既設の杭材から離間させることで前記チェーンカッター方式掘削装置を傾斜させ、更に、前記既設の杭材と前記チェーンカッター方式掘削装置との間から新たな杭材を前記既設の杭材に沿って地中に埋設することで、その新たに埋設された杭材によって前記チェーンカッター方式掘削装置の下端部を押し出して、次の掘削孔を掘削することを特徴とする杭材埋設方法。
【請求項2】
前記チェーンカッター方式掘削装置は、新たな杭材を前記既設の杭材に沿って地中に案内する案内部材を備えており、
地中に埋設される新たな杭材が前記案内部材を押して、前記チェーンカッター方式掘削装置の下端部を押し出して、前記チェーンカッター方式掘削装置の配置をその新たに埋設された杭材に沿わせることで、前記チェーンカッター方式掘削装置が掘削孔を掘削することを特徴とする請求項1に記載の杭材埋設方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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