説明

板材収納枠

【課題】分解、組立が容易にできる板材収納枠を提供すること。
【解決手段】板材収納枠は、対向して配置された一対のガイドレールユニット2、3と、該ガイドレールユニット2,3の対向する両端を連結する連結材4よりなり、ガイドレールユニットは平行な支持溝6を複数有して該支持溝が内面に互いに向き合うように配置され、前記ガイドレール内面には形材が嵌め込まれており、さらに前記連結材4は前記形材の対向する両端で形材に連結され、この連結のため、連結材の両端に、一端にブロックを取り付けたシャフトの他端にピンを介して枢着されるコーナーレバー23を配設し、外周にカム面を有するコーナーレバーの揺動操作によりシャフトを引き上げた際に、形材内に挿入されたブロックを形材の内側に圧接するようスライドさせるガイド手段を形材内に設けたものである。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、各種電気・電子機器に組み込まれるプリント基板や、その他の産業分野で使用される板材を搬送や保管のため収納する板材収納枠に関する。
【背景技術】
【0002】
従来から、プリント基板のような板材の輸送や保管をするものとして、平行溝が多数形成されてなる一対の側板を枠または箱の内面に溝が互いに向き合うように配置し、相対する溝に板材の対となる縁を挿入して、プリント基板同士が互いに接触しないように所定の間隔で収納し、搬送したり、一時的に保管する収納枠や箱が多用されている。
【0003】
例えば、特許文献1(実開昭58−9000)に開示された考案は、対向して配置された一対の枠板組立体と、前記の枠板組立体の対向する両端を連結する一対の連結材よりなる板片収納枠体において、連結材は、板枠組立体を構成する形材の対向する両端で形材にネジで止めて連結されるように構成されている。また、この連結材は、2本の溝形材よりなり、連結材の長さを調節できるように考案されていた。
【0004】
一方、従来の収納枠や箱は使用していない保管時に収納枠や箱の大きさ分のスペースをとるため、省スペースの収納枠や箱が望まれていた。近年プリント基板は益々小さくなる傾向にあり、特許文献1に示したように連結材の長さを調節できるものは連結材の長さをミニマムにすることにより、多少省スペースにすることはできたが、ある程度の保管スペースを必要としたため、より省スペースの収納枠や箱が望まれていた。
【0005】
【特許文献1】実開昭58−9000
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
従来の収納枠や箱のうち、特許文献1に示したようなネジを使用して固定して組み立てたものは、不要な時にユニットに分解して、必要な時に再度組み立てることも可能ではあったが、全てのネジを外して分解したり、あるいは分解したものを再組立する場合にネジで固定する作業に時間がかかり、煩雑さが残る欠点があった。また、分解した時にネジ等の部品を紛失することがあった。
【0007】
本発明は、上記従来技術の問題点を解消することをその課題とするものであり、分解、組立が容易にできる板材収納枠を提供することをその目的とするものである。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明はこの目的を達成するため次のような構成を採用している。
【0009】
つまり、本発明の板材収納枠は、対向して配置された一対のガイドレールユニットと、前記ガイドレールユニットの対向する両端を連結する連結材よりなる板材収納枠において、ガイドレールユニットは、平行な支持溝を複数形成して内面に支持溝が互いに向き合うように配置しているガイドレールとガイドレールに嵌め込まれる形材からなり、前記連結材は前記形材の対向する両端で形材に連結され、この連結のため、連結材の両端に、一端にブロックを取り付けたシャフトの他端にピンを介して枢着されるコーナーレバーを配設し、外周にカム面を有するコーナーレバーの揺動操作によりシャフトを引き上げた際に、形材内に挿入されたブロックを形材の内側に圧接するようスライドさせるガイド手段を形材内に設けたものである。
【0010】
この構成によれば、コーナーレバーの揺動操作により、形材の内側にブロックを圧接して連結材とガイドレールユニットを固定したり、逆にその圧接を緩めて連結材とガイドレールユニットとの固定を解除したりすることができる。
【0011】
また、前記ガイド手段は、連結材を構成する溝形材が嵌め込まれる溝形材部を備えたコーナージョイントに、溝形材部に垂直にシャフトが挿入される筒状部を設け、該筒状部の先端に傾斜ガイド部を設け、筒状部の先端(傾斜ガイド部)から突出したシャフトの先端に取り付けられた前記ブロックには前記傾斜ガイド部に向き合う面に傾斜ガイド部の傾斜に合わせて傾斜を形成した構成にすることが望ましい。
【0012】
この構成によれば、前記ガイド手段は、前記ブロックには前記傾斜ガイド部に向き合う面に傾斜ガイド部の傾斜に合わせて傾斜を形成しているので、コーナーレバーの揺動操作により、ブロックは前記傾斜ガイド部に沿ってスライドすることができる。
【0013】
前記シャフトの一端には、ブロックを取り付けるための雄ネジを形成し、ブロックには前記シャフトの雄ネジを取り付けるネジ部を設けることが望ましい。
【0014】
この構成によれば、ネジを回してコーナーレバーを揺動操作することにより、ブロックを傾斜ガイド部に沿ってスライドさせて、形材に圧接させたり、その圧接を緩めたりすることができるので、分解、組立が容易にできる板材収納枠を提供することができる。
【0015】
前記連結材は、前記溝形材と該溝形材に嵌合する他の溝形材よりなり、2つの溝形材を相互に動かして連結材の長さを調節することができる構成とすることが望ましい。
【発明の効果】
【0016】
この構成によれば、コーナーレバーを揺動操作することにより、形材にブロックを圧接して連結材とガイドレールユニットを固定したり、逆にその圧接を緩めて連結材とガイドレールユニットとの固定を解除したりすることができるので、分解、組立が容易にできる板材収納枠を提供することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0017】
次に本発明に係る板材収納枠の実施の形態(以下、実施例という)を図面に基づいて説明する。
【実施例1】
【0018】
図1は本発明実施例の板材収納枠の正面図であり、図2は図1の側面図であり、図3は図1の平面図であり、図4はガイドレールユニットを示す右側面図であり、図5は連結バーユニットと、ガイドレールユニットを分解して示す正面図であり、図6と図7はコーナーレバーの動作を拡大して示す正面図であり、図6はロック前を、図7はロック後を示す。
【0019】
図1,図2,図3に示したように、本発明実施例の板材収納枠1は、対向して配置された一対のガイドレールユニット(側板)2,3と、前記ガイドレールユニット(側板)2,3の対向する両端を連結する一対の連結材4よりなる。
【0020】
ガイドレールユニット(側板)2,3を構成する単位板5は、図1,図5に示すように内面に多数の平行溝6が形成されているとともに、図3に示すように平行溝6の一端に内向きに段(ストッパー)7が形成されている。また、図4に示すようにこの単位板5の外面には互いに向き合った一対の鉤形片8,9が上下にそれぞれ突設されていて略ハット形の形材10(筒状)のフランジが鉤形片8,9に嵌込むようになっている。つまり、単位板5の外面を形材10で連続して支持されている。図 ではガイドレールユニット2,3は、2枚の単位板5から構成されているが、収納する板材の枚数に応じて単位板5を増減すれば良い。
【0021】
連結材4は、溝形材11と溝形材11に嵌合する他の溝形材12よりなり、溝形材11に取付孔、溝形材12に長孔を穿設し、取付孔と長孔を貫通して表と裏から挟圧する固定手段を設けている。溝形材12上には、長孔と取付孔を貫通して取付孔の裏側にナット15をネジ止めしたテンションロッド16をレバー17の簡単な揺動操作により溝形材11側に引き寄せたり、離したりできるよう、カム面18を外周に形成したロックレバー14がテンションロッド16とピン19に結合して設けられている。
【0022】
図示実施例では、レバー17を起こした時にテンションロッド16が溝形材11から遠ざかり、ナット15が溝形材11の裏側から離れてロック解除の状態になり、レバー17を寝せた時にテンションロッド16が溝形材11に近づき、ナット15が溝形材11に強く押し当てられてロックの状態となるよう、カム面18の形状が設計されている。
【0023】
従って、溝形材11,12を相互に動かして連結材4の長さを調節することができ、ロックレバー14の揺動操作により調節した長さで固定することができる。
【0024】
連結材4の両端にはコーナージョイント21が配設されている。このコーナージョイント21内に一端に雄ネジ部25を有する雄ネジ付きシャフト22と雄ネジ付きシャフト22の雄ネジ部25と反対側の他端にピン36にて結合される(枢着される)コーナーレバー23が配設される。
【0025】
詳しくは、コーナージョイント21は、溝形材11または溝形材12が嵌め込まれる溝形材部28と、溝形材部28に垂直形成される筒状部30とからなり、溝形材部28に設けた取付孔を通してネジ止めにより溝形材11または溝形材12に固定される(図6、図7参照)。この固定時に溝形材11または溝形材12に設けた挿通穴と筒状部30の内側(空間部)が合うように形成される。
【0026】
筒状部30はフレーム10内側に嵌合する形状であって、筒状部30内に雄ネジ付きシャフト22を雄ネジ部25から挿入した時に雄ネジ部25が筒状部30の先端(後述する傾斜ガイド部31)から外に突出するように形成される。また、筒状部30の先端には傾斜ガイド部31が設けられている。
【0027】
溝形材11または12に設けた挿通孔と筒状部30内に雄ネジ部25側から挿入した雄ネジ付きシャフト22の雄ネジ部25には、ネジ止めされるナット26を内包したブロック24が取り付けられる。ナット26をブロック24に内包させるにはブロック24の側面に穴を設けて角ナットを嵌め込めばよい。なお、ナット26に代えてブロック24に雌ネジ部を直接形成しても良い。
【0028】
また、コーナージョイント21の筒状部30の傾斜ガイド部31に向き合うブロック24の面は、傾斜ガイド部31の傾斜に合わせて傾斜部32を形成している。
【0029】
コーナージョイント21を固定した連結材11または連結材12にコーナーレバー23等を組込むには、連結材11または連結材12の挿入穴とコーナージョイント21の筒状部30内にコーナーレバー23を枢着した雄ネジ付きシャフト22を雄ネジ部25から挿入してから、筒状部30先端から突出した雄ネジ部25をブロック24のナット26にねじ込むと、組立が完成する。コーナーレバー23は、レバー33の簡単な揺動操作によりブロック24を溝形材11または12側に引き寄せたり、離したりできるよう、カム面34を外周に形成しているとともに、雄ネジ付きシャフト22とピン36で結合して設けられている。
【0030】
図示実施例では、レバー33を起こした時に雄ネジ付きシャフト22が溝形材11または12から遠ざかり、ブロック24が筒状部30の先端から離れてロック解除の状態になり、レバー33を寝せた時に雄ネジ付きシャフト22が溝形材11または12に近づき、ブロック24が筒状部30の先端に強く押し当てられて、傾斜ガイド部31に沿ってブロック24と筒状部30は相対的に逆方向に移動して形材10内で押し広げる力を発生してロックの状態となるよう、カム面34の形状が設計されている。
【0031】
また、コーナーレバー23を立てた状態で回転させることによりブロック24は引き上げらたり、引き下げられたりする。
【0032】
本願の板材収納枠1の組立はまず、単位板5を並べてその外面にある鉤形11,12に夫々ハット形材10を差し込むと夫々一枚板のような同形で剛性のガイドレールユニット2,3ができる。形材10を取り付けたガイドレールユニット2,3はその内側の溝6を向合わせて形材10の向合った両端を連結材4の両端に取り付けることができるように配置する。
【0033】
続いて、図5に示したようにあらかじめ連結材4にコーナージョイント21、コーナーレバー23、雄ネジ付きシャフト22、ブロック24を組み込んだ連結材ユニット20を、前述のガイドレールユニット2,3と位置を合わせてから、コーナージョイント20の筒状部30を形材10の内側に嵌合するように挿入する。図6に示したよう挿入後、コーナーレバー23を立てた状態で回転してネジによりブロック24を引き上げておく。引き上げられたブロック24は傾斜ガイド部31の傾斜に沿いスライドし形材10の内面に押しつけられる。さらに、レバー33を倒すことによりピン36を介してブロック24がさらに引き上げられる。図7に示したようにコーナージョイント21の筒状部30とブロック24は相対的に逆方向にスライドして形材10内で押し広げる力を発生させ、連結材ユニット20すなわち連結材4の端部が固定される。同様に各端部を固定して組立が完了する。
【0034】
以上により組み立てられた板材収納枠1には、相対する溝6に板材の平行両辺縁を差し込むと、板材の挿入縁が段7に当たって板材は板材収納枠1から落脱することを阻止できる。更にロックレバー19を緩めて溝形材11,12を相互に動かして連結材4の長さを調節できるので、巾の異なった板材に即応することができる。
【0035】
固定して組み立てた板材収納枠1を、不要な時にユニットに分解する場合には、コーナーレバー23を立ててネジ付きシャフト22を溝形材11,12から遠ざかる方向に移動させることにより、傾斜ガイド部31の斜面に沿ってコーナージョイント21の筒状部とブロック24が移動して形材10の内面を押しつける力が弱まり、さらにコーナーレバー23を立てて半回転させるとブロック24が筒状部30からさらに遠ざかり形材10の内面に押しつける力がなくなるので、抵抗無くコ−ナーレバーユニット20ごと引き上げることができる。同様に各端部の結合を解除することにより、連結材4をガイドレールユニット2,3から分離することができる。
【0036】
このように、コーナーレバー23を起こしてネジを少し回すことにより、形材10とブロック24の固定が外れて、分解、組立が容易にできる板材収納枠を提供することができる。
【0037】
なお、本発明は上記実施例に限定されるわけではなく、例えば、上記実施例において、連結材4は、溝形材11と溝形材11に嵌合する他の溝形材12よりなり、ロックレバー19の揺動操作により、長さ調節が可能なものを示したが、長さ調節が必要ない場合には、図8の平面図に示したように一本の溝形材40からなるものでも良い。
【0038】
また、上記実施例において、ガイドレールユニット2,3を構成する単位板5の平行溝6の一端に内向きに段(ストッパー)7が形成されているものを示したが、単位板5は平行溝6の一端に段(ストッパー)7が形成れていないものでも良い。
【図面の簡単な説明】
【0039】
【図1】本発明実施例の正面図である。
【図2】図1の左側面図である。
【図3】図1の平面図である。
【図4】側板ユニットを示す右側面図である。
【図5】連結バーユニットと、側板ユニットを分解して示した正面図である。
【図6】コーナーレバーの動作を拡大して示すロック前の正面図である。
【図7】コーナーレバーの動作を拡大して示すロック時の正面図である。
【図8】連結バーユニットの別の例を示す平面図である。
【符号の説明】
【0040】
1 板材収納枠
2 ガイドレールユニット(側板)
3 ガイドレールユニット(側板)
4 連結材
6 平行溝
10 形材
11 溝形材
12 溝形材
19 ロックレバー
20 連結材ユニット
21 コーナージョイント
22 雄ネジ付きシャフト
23 コーナーレバー
24 ブロック
25 雄ネジ
26 ナット(ネジ部)
30 筒状部
31 傾斜ガイド部
32 傾斜
34 カム面
36 ピン
40 溝形材

【特許請求の範囲】
【請求項1】
対向して配置された一対のガイドレールユニットと、前記ガイドレールユニットの対向する両端を連結する連結材よりなる板材収納枠において、ガイドレールユニットは、平行な支持溝を複数形成して内面に支持溝が互いに向き合うように配置しているガイドレールとガイドレールの外面を支持する形材からなり、前記連結材は前記形材の対向する両端で形材に連結され、この連結のため、連結材の両端に、一端にブロックを取り付けたシャフトの他端にピンを介して枢着されるコーナーレバーを配設し、外周にカム面を有するコーナーレバーの揺動操作によりシャフトを引き上げた際に、形材内に挿入されたブロックを形材の内側に圧接するようスライドさせるガイド手段を形材内に設けた板材収納枠。
【請求項2】
前記ガイド手段は、連結材を構成する溝形材が嵌め込まれる溝形材部を備えたコーナージョイントに、溝形材部に垂直にシャフトが挿入される筒状部を設け、該筒状部の先端に傾斜ガイド部を設け、筒状部の先端(傾斜ガイド部)から突出したシャフトの先端に取り付けられた前記ブロックには前記傾斜ガイド部に向き合う面に傾斜ガイド部の傾斜に合わせて傾斜を形成した請求項1記載の板材収納枠。
【請求項3】
前記シャフトの一端には、ブロックを取り付けるための雄ネジを形成し、ブロックには前記シャフトの雄ネジを取り付けるネジ部を設けた請求項1または請求項2に記載の板材収納枠。
【請求項4】
前記連結材は、前記溝形材と該溝形材に嵌合する他の溝形材よりなり、2つの溝形材を相互に動かして連結材の長さを調節することができる請求項1ないし請求項3のいずれか一項に記載の板材収納枠。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【公開番号】特開2007−182239(P2007−182239A)
【公開日】平成19年7月19日(2007.7.19)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−1240(P2006−1240)
【出願日】平成18年1月6日(2006.1.6)
【出願人】(000226507)株式会社ニックス (96)
【Fターム(参考)】