説明

板状含水ゲルの載置方法ならびに載置装置

【課題】粘着性のある板状含水ゲルの切断片を折り曲れや重複なしにフラットに載置する方向ならびに装置を提供する。
【解決手段】板状含水ゲルの切断片を複数のフリーローラを介して斜下方向に移動させ、ベルトコンベヤ上に接触する時点で押圧部材またはベルトコンベヤ自体で押圧することによりフラットに載置することによる方法ならびにその装置。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、板状含水ゲルの載置方法ならびに載置装置に関するものである。詳しく述べると、ベルト重合機上で得られる(メタ)アクリル酸(塩)系水溶性重合体の板状含水ゲルをベルト基材から剥離、切断したのち、該切断片を後工程(解砕工程など)へ急傾斜ベルトで搬送する際に、切断片がベルトからずり落ちたり剥がれ落ちたりすることなく安定して搬送できるように、切断片をベルト上に折れ曲ることなしにフラットに載置する方法ならびにその装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、水溶性重合体は、凝集性や増粘性等の特性を発揮することが知られており、特に(メタ)アクリル酸(塩)系水溶性重合体は、これらの特性に優れた重合体として工業的に有用なものである。例えば、医薬分野においては、湿布薬、パップ剤等のように、粘着性や保水性の向上を目的とした添加剤や親水性軟膏基材として使用され、塗料分野においては、カーペット用コンパウンドの増粘剤、塗料の増粘剤等として使用されている。
【0003】
また、製造プロセスの分野においては、アルミナ製造時の赤泥沈降剤、ソーダ工業における塩水精製用凝集剤等として多用されている。さらに、土木および建築分野においては、掘削土処理剤、浚渫土処理剤、加泥剤として使用され、またその他の一般工業分野において、食品添加物、吸湿剤、乾燥剤、表面改質剤、各種増粘剤としても使用されている。このように、(メタ)アクリル酸(塩)系水溶性重合体は、種々の分野で多岐にわたって使用されている。
【0004】
このような(メタ)アクリル酸(塩)系水溶性重合体は、例えば、重合工程、ゲル解砕工程、乾燥、粉体化工程等を経て粉体として製品化される。通常では、重合工程では、水溶液重合法によりベルト重合機上で(メタ)アクリル酸(塩)系水溶性重合体の板状含水ゲル(以下、単に「含水ゲル」あるいは「ゲル」ともいう。)を製造する方法が採用される。(特許文献1〜4)。
【0005】
かくして得られる含水ゲルは通常、連続したシート状であり、所望の大きさに切断後、次工程のゲル解砕工程に供される。例えば、特許文献5では、シート幅が約80cmの連続シートを切断間隔(切断幅)15cmで切断し、さらにシートの幅方向に20cm間隔で切断し、得られる15cmX20cmの切断片を垂直に落下させて直接、解砕装置の投入口に投入している。また、特許文献6では、シート幅が約46cmの連続シートを切断間隔(切断幅)19cmで切断し19cmX46cmの切断片を得て次工程の解砕に供することが記載されているが、この次工程への切断片の搬送について詳しくは開示がない。
【0006】
特許文献5のように、切断片を垂直に落下させて直接、解砕装置の投入口に投入する方法もあるが、一般的には、切断片の搬送は水平方向に移動するベルトコンベヤが用いられるが、工場建屋のスペースを多く取るという欠点がある。この欠点を解消するには、切断片を斜上方向に急傾斜のベルトコンベヤにより上方のホッパーより解砕工程に搬送して、切断片の水平方向への移動距離を短縮する方法が考えられる。しかし、本発明者等の実験によると、この方法においては、切断片がベルト上に折れ曲がったり、重なった状態で載置されていると切断片がベルトからずり落ちたり剥がれ落ちたりして安定して解砕工程に搬送することが困難であることがわかった。
【0007】
すなわち、前記ベルト重合機の進行方向に、かつ水平方向に搬送されてくる連続シート状ゲルを所望の形状に切断し、得られる切断片を自然落下でベルトコンベヤ上に乗せるだけの従来方法では、落下点で折重なったりするため、整然と1枚毎に配列させることは困難であり、例えば、急傾斜のベルトコンベヤによる上方への搬送はできなかった。また、従来方法は、主に水平方向への搬送を行なうのみであったので、切断片をベルトコンベヤ上に整然と1枚毎に配列させることなどについて考慮が払われることはなかった。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0008】
【特許文献1】特開2006−45357号公報
【特許文献2】特開2007−56222号公報
【特許文献3】特開2006−213773号公報
【特許文献4】特開2003−261626号公報
【特許文献5】特開2005−96448号公報
【特許文献6】特開2008−55529号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
本発明の目的は、ベルト重合機上で得られる板状含水ゲルを切断して得られる切断片を折り曲れや重複なしにフラットにベルトコンベヤ上に載置する方法ならびにその装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0010】
上記諸目的は、下記(1)〜(4)により達成される。
【0011】
(1) (a)ベルト重合機の終端部より、排出される(メタ)アクリル酸(塩)系水溶性重合体の板状含水ゲルを、該ベルト重合機のベルト基材から剥離切断したのち、
(b)該板状含水ゲルの切断片を、該剥離切断後に設けられ、かつ最初のフリーローラの軸心より最後のフリーローラの軸芯に対する平均配列仰角αが−30〜−85度であり、該切断片の当接側が平面ないし曲面を形成するよう湾曲して配列してなる複数個のフリーローラの表面を経て、斜め下方向に移動させ、次いで、
(c−1)該切断片の下端部を、押圧部材および/または
(c−2)該フリーローラの下部に設けられた、前記ベルト基材の進行方向に対して前後に水平に移動可能なベルトコンベヤ
により前記ベルト基材の進行方向と反対方向に押圧し、または前記ベルト基材の進行方向と同じ方向に押圧し
(d)該切断片ゲルの各片を切断時の形状を保った状態で水平にベルトコンベヤ上に配列させる
ことを特徴とする板状含水ゲルの載置方法。
【0012】
(2) (a)ベルト重合機と
(b)該ベルト重合機の終端部付近に設けられた(メタ)アクリル酸(塩)系水溶性重合体の板状含水ゲルを切断するための切断手段と、
(c)切断された板状片を斜下方向に移動させるための複数のフリーローラを有し、該フリーローラは、最初のフリーローラの軸芯より最後のフリーローラの軸芯に対する平均配列仰角αが−30〜−85度である複数個のフリーローラ群よりなり、該切断手段の下部に設けられてなり、かつ、該複数個のフリーローラは、該切断片の当接側が平面ないし曲面を形成するように配列してなり、
(d)該フリーローラの下部に設けられたベルトコンベヤと、
(e)該ベルトコンベヤ上でかつ前記板状含水ゲルの先端が該ベルトコンベヤに接触する部位付近に設けられた押圧部材を備えてなり、該押圧部材は、該ベルトコンベヤ表面に沿いかつ前記ベルト基材の進行方向に対して前後に水平に移動する機能を有してなるもの
よりなる板状含水ゲルの載置装置。
【0013】
(3) 該押圧部材は、該ベルトコンベヤの走行方向に直交して水平に設けられたフリーローラと、該フリーローラは該フリーローラに伸縮自在に取付けられたアームにより前記ベルトコンベヤの走行方向に反して移動可能なものである前記(2)に記載の載置装置。
【0014】
(4) 前記フリーローラの下部に設けられたベルトコンベヤは、前記ベルト基材の進行方向に対して前後に水平に移動可能なものである前記(2)または(3)に記載の載置装置。
【発明の効果】
【0015】
本発明による板状含水ゲルの載置方法は、以上のごとき構成を有するものであるから、粘着性のある切断片を斜下方向に移動させるとともに、ベルトコンベヤ上に接触する時点で、該板状含水ゲルの下端部をその進行方向とは反対方向あるいは同方向に押圧部材および/またはベルトコンベヤで押圧して該下端部を後退または前進させることにより該切断片を、載置するものであるから、前記切断片は、粘着性のある板状含水ゲルの切断片が自然落下によるベルトコンベヤ上での折り曲げを生じることなく、しかもフリーローラに粘着することなく、容易にフラットに載置できる。特に複数個のフリーローラに当接されて斜下方向に移動するので、フラット載置が容易となる。また、フリーローラの当接側を曲面を形成するように湾曲させることによりさらに円滑にフラット載置が容易となる。
【0016】
また、本発明による板状含水ゲルの載置装置は、以上のごとき構成を有するものであるから、切断された粘着性ある板状片を斜下方向に移動させるための複数のフリーローラと、該フリーローラの下部にベルト重合機のベルト基材の進行方向にほぼ直交して水平に走行するように設けられたベルトコンベヤと、該ベルトコンベヤ上でかつ前記板状含水ゲルの切断片の先端が該ベルトコンベヤに接触する部位付近に設けられた押圧部材とよりなるものであるから、前記複数のフリーローラとの接触作用により該切断片が自然落下することなく、スムーズに下方へ移動することにより折り曲ることなくフラットに載置されるのである。
【0017】
また、該複数のフリーローラの平均配列仰角(勾配)αが−30〜−85度であるので、さらに切断片の移動が良好であり、特にその当接面が曲面を描くように湾曲しているとその効果が著しい。さらに、該複数個のフリーローラの数が3〜4個の場合が良好な効果を示す。すなわち、2個ではその効果が弱く、5個以上にしてもその効果は特に向上しない。
【0018】
さらに、該押圧部材はベルトコンベヤの表面に沿い移動するものであるから、該切断片の反転あるいは正転載置が容易となる。また、該押圧部材は伸縮自在に取付けられたアームにより移動するものであるから連続可動である。
【図面の簡単な説明】
【0019】
【図1】本発明により載置される板状含水ゲルの製造装量の概略断面図である。
【図2】本発明の板状含水ゲルの載置装量の断面図である。
【図3】本発明の載置装量で用いられる押圧部材の概略斜視図である。
【図4】本発明の板状含水ゲルの載置装置における押圧部材の詳細断面図である。
【図5】本発明の板状含水ゲルの載置装置の正面図である。
【発明を実施するための形態】
【0020】
以下、図面を参照しながら本発明を実施するための最良の形態について説明する。
【0021】
図1は、本発明により処理されるべき(メタ)アクリル酸(塩)系重合体板状含水ゲルを製造するためのベルト重合機の一形態の概略断面を示す図である。なお、含水ゲルシートの連続的な製造方法は、例えば、特開2008−55529号公報や特開2009−84549号公報に詳細に記載されているとおり公知であり、これら公知技術に基づいて容易に製造することができる。以下、図1を用いて概略を説明する。
単量体槽1内の単量体は、ポンプ2により混合器3に供給され、一方、触媒槽4内の触媒は、ポンプ5により混合器3に供給されて単量体混合液となる。この単量体混合液は、導管6によりベルト重合機7のベルト基材8上に供給されるとともに同時に導管9より窒素等の不活性ガスを該ベルト重合機7に供給し、水銀ランプ等の光源10から光を照射して重合に供され、(メタ)アクリル酸(塩)系重合体板状含水ゲル11を得る。
【0022】
なお、該ベルト重合機7の上部には、そのベルト基材8の両側端にエッジロープ(堰)12が設けられており、また該ベルト重合機7の上部はカバー13で覆われており、重合域は不活性ガス雰囲気に保たれ、その頂部には滅光板14、15が設けられ、必要によりその設置個所により開口率の異なるものを使用し、露光量を変えてもよい。また、ベルト基材8としては、種々の材質のものが使用できるが、例えばステンレス鋼のものが使用される。また、ベルト重合機7の下部には、重合反応熱を除去するためのスプレーノズル16が設けられている。なお、ベルト重合機7については、上記説明のものに限られず、従来公知の全てのベルト重合機が使用できる。
【0023】
(メタ)アクリル酸(塩)系単量体としては、例えば、(メタ)アクリル酸、(無水)マレイン酸などのアニオン性不飽和単量体およびその塩、(メタ)アクリルアミド、N−エチル(メタ)アクリルアミドなどのアミノ基含有不飽和単量体が挙げられる。これらは単独でも、2種以上組み合わせて使用することもできる。なかでも、アクリル酸および/またはその塩(ナトリウム、リチウム、カリウム、アンモニウム、アミン類等の塩、好ましくはナトリウム塩)、あるいはそれを主成分、例えば、全単量体の70モル%以上とするものが好適に用いられる。
【0024】
重合に用いる重合開始剤やその他の添加剤についても特に制限はなく、上記のような(メタ)アクリル酸(塩)系単量体の重合に一般に用いられている重合開始剤やその他の添加剤を用いることができる。重合開始剤としては、例えば、過硫酸塩などの熱分解型重合開始剤やベンゾイン誘導体などの光分解型開始剤などがあり、光分解型開始剤と紫外線照射との組み合わせや、光分解型開始剤と熱分解型開始剤との組み合わせが好適に用いられる。これら重合開始剤、その他の添加剤の使用量についても同様であり、一般に知られている使用量範囲内で適宜決定することができる。
【0025】
(メタ)アクリル酸(塩)系単量体の重合時における、単量体水溶液中の(メタ)アクリル酸(塩)系単量体の濃度についても特に制限はなく、一般に知られている濃度範囲内、例えば、20〜60質量%の範囲内で適宜決定することできる。その他の重合温度、重合時間などについても従来公知の範囲で適宜決定することができる。
【0026】
本発明においては、含水ゲルシートの幅は400〜2000mm、好ましくは500〜ら1500mm、厚さは5〜100mm、好ましくは7〜30mmの範囲になるように重合を調整し、連続シートとして製造することができる。
【0027】
図2は、本発明による載置方法を行なうための装置の一実施態様を示す装置の断面図を示すものである。すなわち、同図において、ベルト重合機7の走行先端部に設けられ、該ベルト重合機7のエンドレスベルトのベルト基材8の走行先端部付近に、前記板状含水ゲル11を受領するための刃受ローラ17が設けられている。この刃受ローラ17付近には、切断手段(例えばゲルカッター)18が設けられている。このゲルカッター18は、例えばロータリーカッターのごときもので、刃受ローラ17表面上の板状含水ゲル11を所定の寸法に切断するものである。ここにおいて、上記連続シートは切断間隔(切断片の幅)が100〜1500mm、好ましくは200〜900mmの範囲になるように切断される。
【0028】
この刃受ローラ17の下部には、複数個のフリーローラ19a、19b、19c、19dが斜下方向に向って傾斜して設けられ、これらのフリーローラ自身は、通常フリーのローラであり、その直径は、縦方向の距離をあまり大きくとらないように前記刃受ローラ17の直径より小さいことが望ましい。これらのフリーローラの各回転軸の位置は、第1のフリーローラ19aは、刃受ローラ17の表面の直下付近、第2のフリーローラ19bは、これよりもベルト基材8の進行方向に向って前方下部に、第3のフリーローラ19cは、さらに前方下部に位置し、第4のフリーローラ19dは、これよりもさらに前方下部へ位置することがより優れた効果を与える。その個数は、複数個であればよいが、3〜4個であることが望ましい。
【0029】
この場合、第1のフリーローラ19aの回転軸の垂直方向に対するそれ以外の各フリーローラ19b、19c、19d等の軸(例えば最初のフリーローラ19aの軸芯より最後のフリーローラ19dの軸芯に対する)の平均配列方向の仰角αは−30〜−85度、好ましくは−45〜−80度である。何故ならば、該仰角αがこれより小さいと、板状含水ゲルの該ローラに対する粘着力にもよるが、切断後直ちに落下してフリーローラの効果が不充分であり、一方、これより大きいと、本発明で切断片の下端部を押圧部材でベルト基材進行方向と逆方向に押圧して該ゲルを裏返してベルトコンベヤ上に載置するが、この際の切断片の裏返しが困難となるからである。また、この傾斜は、直線状よりむしろ該切断片のフリーローラの当接側が下向きの曲面あるいは上向きの曲面を形成するよう湾曲した形状が望ましく、これにより切断片がフリーローラ上をより密着して流れていくことになり、スムーズに切断片を斜め下方向に移動させることができるという効果が得られる。
【0030】
前記最下部のフリーローラ19d等の下部には、ベルトコンベヤ(第1のベルトコンベヤ)21、好ましくは、前記ベルト重合機7のベルト基材8とほぼ直交し、かつ水平方向に走行可能な切断片搬送用のベルトコンベヤ(第1のベルトコンベヤ)21が設けられている。そして、このベルトコンベヤ21は、本体自体が前記ベルト基材の進行方向に対して前後に瞬時に水平に移動するような機能を有していてもよい。
【0031】
該ベルトコンベヤ21の表面には、その表面に沿って走行する回転自在な部材を備えた押圧部材(例えばゲルプッシャー)22が設けられている。該ゲルプッシャー22は、図3に示すように、その両端付近においてアーム23に軸着されており、該アーム23の他端は空気圧、油圧等のシリンダ24が連結されていて、アーム23ひいてはゲルプッジャ22は、ベルト基材の進行方向に対して前後に伸縮自在となっている。
【0032】
前記ベルトコンベヤ21は、図2に示すように、その下部にボールネジ25が設けられ、該ネジに累合されているサポートユニット26が前記第1のベルトコンベヤ21の表面に当接されてモータ27の回転によりネジ25の進行に伴って第1のベルトコンベヤ21が前記ベルト基材8の進行方向に移動するようになっている。該第1のベルトコンベヤ21は進行して図2のAの位置に達したらボールネジ25が解除されて反対方向に移動し、元の位置に復する機構となっている。
【0033】
つぎに、本発明による装置を用いて板状含水ゲルをベルトコンベヤに載置する方法について述べる。
【0034】
図1に示すベルト重合機7において得られた板状含水ゲル11は、図2に示すように、ベルト重合機7の走行先端部付近に設けられた刃受ローラ17の表面を走行させ、切断装置(ゲルカッター18、例えばロータリーカッター18)により所定の寸法に切断される。
【0035】
このようにして刃受ローラ17表面で切断された板状含水ゲルの切断片20は、フリーローラ19a、19b、19c、19d上に沿って移動し、第1のベルトコンベヤ21上に到達すると、シリンダ24が作動して、アーム23先端のベルト基材8とは進行逆方向へゲルプッシャ22が押圧するとともに、第1のベルトコンベヤ21をベルト基材8の進行方向と反対の方向へ第1のベルトコンベヤ21自体が移動するので、前記切断片20は第1のベルトコンベヤ21表面にフラットに載置される。
【0036】
該第1のベルトコンベヤ21は、前記のように、モータ26の動力によりボールネジ25の作動により前方(図面の右方)へ移動するだけでなく、モータ26の動力の伝達によりこれを直交する水平方向へ送行することによりフラットで載置される切断片20は、その方向へ搬送されて、斜上方へ送行する第2のコンベヤ34で搬送されてホッパー(図示せず)に送られる。
【0037】
ゲルプッシャー22の動作は、図2〜4に示すように、エアシリンダ、油圧シリンダ等の流体圧シリンダ24の作動によりアーム23を伸長させて、その先端部に設けられているゲルプッシャー22を回転させながら切断片20を押圧するとともに第1のベルトコンベヤ21を移動させ、さらにXの位置からYおよびZの位置まで移動させると、アーム23の取付け位置のローラ28は図4に示すように、それぞれX’’の位置からY’’およびZ’の位置に移行し、ローラガイド29および30に沿って移行する。
【0038】
このローラガイド29、30は最初は水平であり(X’位置)、これにガイドローラ28がガイドされるが、ある程度進行すると(Y’位置)、ローラガイド29、30が下降するように構成されている。一方、アーム23は、支点のローラ32が(X’位置からY’位置に)水平に移動するので、Y’位置からZ’位置においてはゲルプッシャー22は、X位置の第1のベルトコンベヤ21の表面位置からYおよびZ位置に向って必然的にZ位置のように上昇する。ついで、シリンダ24を後退させる。
【0039】
第1のベルトコンベヤ21上の切断片20は、図5に示すように、該第1のベルトコンベヤ21により、他の急傾斜している第2のベルトコンベヤ34に搬送されて、次工程である解砕工程(図示せず)に送られる。
【0040】
なお、上記では板状含水ゲルの切断片20をベルトコンベヤ21およびゲルプッシャー22の両方で押圧してベルトコンベヤ21上に載置する方法を説明したが、ベルトコンベヤ21およびゲルプッシャー22のどらか一方のみで切断片20を押圧してベルトコンベヤ21上に載置することもできる。すなわち、ベルトコンベヤ21を切断ゲルを受けられる所定の位置に固定しておき、ゲルプッシャー22のみ作動させてコンベア上に載置しても良いし、ゲルプッシャー22を作動させずにベルトコンベヤ21を移動させる際に切断片の下端部を押しながら移動させることにより、ベルト上に切断片を受けても良い。
【0041】
なお、板状含水ゲルの切断片20をベルトコンベヤ21およびゲルプッシャー22で押圧する方向は、前記ベルト基材の進行方向と反対方向であっても、または前記ベルト基材の進行方向と同じ方向であってもいずれでも良い。ベルト重合機とベルトコンベヤ21およびゲルプッシャー22との配置空間を考慮すれば、前記ベルト基材の進行方向と反対方向に押圧するように配置するほうが機器類配置がコンパクトになり好ましい。
【実施例】
【0042】
(実施例1)
図1に示すベルト重合装置(重合セクションの幅:1300mm、長さ:11000mm)を用い、水溶性ポリアクリル酸ナトリウムを主成分とする含水ゲルシート(重合体の重量平均分子量400万、重合体固形分36質量%、厚み14mm)を連続的に製造した。このときのベルトスピードは300mm/minであった。
【0043】
このようにして得られた板状含水ゲル11は、図2〜6に示すようにベルト重合機7の走行先端部付近に設けらた刃受ローラ17の表面を走行させ、ゲルカッター18(例えばロータリーカッター18)により、長さ500mmの寸法に切断された。
【0044】
このようにして刃受ローラ17の表面で切断された板状含有ゲルの切断片20は、傾斜ローラ19a、19b、19c、19d上に沿って移動し、第1のベルトコンベヤ21上に、到達すると、シリンダ24が作動して、アーム23先端のベルト基材8とは進行逆方向へゲルプッシャ22が押圧されるとともに、第1のベルトコンベヤ21をベルト基材8の進行方向同一の方向へ第1のベルトコンベヤ21が移行するので、前記切断片20は第1のベルトコンベヤ21表面にフラットに戴置された。
【0045】
このときの傾斜ローラ(フリーローラ)19a,19b,19c,19dは、最初の傾斜ローラ19aの軸芯より最後の傾斜ローラ19dの軸芯に対する平均配列方向の仰角αは−57度であった。
【0046】
該第1のベルトコンベヤ21は、前記のように、モータ26の動力によりボールネジ25の作動により前方(図面の右方)へ移動するだけでなく、モータ26の動力の伝達によりこれと直交する水平方向へ送行することによりフラットに戴置される切断片20は、その方向へ搬送されて、斜上方へ送行する第2のコンベヤ34で搬送されてホッパー(図示せず)に送られた。
【0047】
ゲルプッシャー22の動作は、図2〜4に示すように、エアシリンダ、油圧シリンダ等の流体圧シリンダ24の作動によりアーム23を伸長させて、その先端部に設けられているゲルプッシャー22を回転させながら切断片20を押圧するとともに第1のベルトコンベヤ21を移動させ、さらにXの位置からYおよびZの位置まで移動させると、アーム23の取付け位置のローラ28は図4に示すように、それぞれX’の位置からY’およびZ’の位置に移行し、ローラガイド29および30に沿って移行した。
【0048】
このローラガイド29,30は最初は水平であり(X’位置)、これにガイドローラ28がガイドされるが、ある程度近行すると(Y’位置)、ローラガイド29,30が下降するように構成されている。一方、アーム23は、支点のローラ32が(X’位置からY’位置に)水平に移動するので、Y’’位置からZ’’位置においてはプッシャー22は、X位置のベルトコンベヤ21の表面位置からYおよびZ位置に向って必然的にZ位置のように上昇する。ついで、シリンダ24を後退させた。
【0049】
ベルトコンベヤ21上の切断片20は、折れ重なることなく、フラットに載置された。図5に示すように該ベルトコンベヤ21により、他の急傾斜(仰角+43度)の第2ベルトコンベヤ34に搬送されて、次工程である粉砕工程(図示せず)に送られて粉砕に供された。
【0050】
(比較例1)
実施例1で得られた幅1300mm、長さ500mm、厚さ15mmの板状含水ゲルをゲルカッター18で切断後、フリーローラ19a無しで第1のベルトコンベヤ21に180mmの距離を自然落下させた。その結果、得られた板状含水ゲルは二つ折りになってしまった。
【0051】
(比較例2)
実施例1で得られた幅1300mm、長さ500mm、厚さ15mmの板状含水ゲルを、ゲルカッター18で切断後、フリーローラ19a2個を垂直に配置して第2のベルトコンベヤ21に180mmの距離を落下させたところ、得られた板状含水ゲルは二つ折りになってしまった。
(実施例2)
実施例1と同様な方法において、傾斜ローラ(フリーローラ)19a,19b,19c,19dの平均配列方向の仰角αを−85度とし、かつその傾斜を第2のベルトコンベヤ2の走行方に向って後方にやや湾曲させた以外は、同様な方法を行ったところ、折れ重なることなく、フラットに載置された。
【産業上の利用可能性】
【0052】
本発明では、上記ごとき構成を有しているので、粘着性のある板状含水ゲルを、ずり落ちたり、剥がれ落ちることなく、切断片をベルト上に折れ曲がることなしにフラットに載置することを可能にする。
【符号の説明】
【0053】
1・・・単量体槽、
3・・・混合器、
4・・・触媒槽、
7・・・ベルト重合機、
8・・・ベルト基材、
10・・・光源、
11・・・板状含水ゲル、
17・・・刃受ローラ、
18・・・ゲルカッター、
19a,19b,19c,19d・・・フリーローラ、
21・・・ベルトコンベヤ、
22・・・押圧部材、
23・・・アーム、
29,30・・・ローラガイド。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
(a)ベルト重合機の終端部より、排出される(メタ)アクリル酸(塩)系水溶性重合体の板状含水ゲルを、該ベルト重合機のベルト基材から剥離切断したのち、
(b)該板状含水ゲルの切断片を、該剥離切断後に設けられ、かつ最初のフリーローラの軸心より最後のフリーローラの軸芯に対する平均配列仰角αが−30〜−85度であり、該切断片の当接側が平面ないし曲面を形成するよう湾曲して配列してなる複数個のフリーローラの表面を経て、斜め下方向に移動させ、次いで、
(c−1)該切断片の下端部を、押圧部材および/または
(c−2)該フリーローラの下部に設けられた、前記ベルト基材の進行方向に対して前後に水平に移動可能なベルトコンベヤ
により前記ベルト基材の進行方向と反対方向に押圧し、または前記ベルト基材の進行方向と同じ方向に押圧し
(d)該切断片ゲルの各片を切断時の形状を保った状態で水平にベルトコンベヤ上に配列させる
ことを特徴とする板状含水ゲルの載置方法。
【請求項2】
(a)ベルト重合機と
(b)該ベルト重合機の終端部付近に設けられた(メタ)アクリル酸(塩)系水溶性重合体の板状含水ゲルを切断するための切断手段と、
(c)切断された板状片を斜下方向に移動させるための複数のフリーローラを有し、該フリーローラは、最初のフリーローラの軸芯より最後のフリーローラの軸芯に対する平均配列仰角αが−30〜−85度である複数個のフリーローラ群よりなり、該切断手段の下部に設けられてなり、かつ、該複数個のフリーローラは、該切断片の当接側が平面ないし曲面を形成するように配列してなり、
(d)該フリーローラの下部に設けられたベルトコンベヤと、
(e)該ベルトコンベヤ上でかつ前記板状含水ゲルの先端が該ベルトコンベヤに接触する部位付近に設けられた押圧部材を備えてなり、該押圧部材は、該ベルトコンベヤ表面に沿いかつ前記ベルト基材の進行方向に対して前後に水平に移動する機能を有してなるもの
よりなる板状含水ゲルの載置装置。
【請求項3】
該押圧部材は、該ベルトコンベヤの走行方向に直交して水平に設けられたフリーローラと、該フリーローラは該フリーローラに伸縮自在に取付けられたアームにより前記ベルトコンベヤの走行方向に反して移動可能なものである請求項2に記載の載置装置。
【請求項4】
前記フリーローラの下部に設けられたベルトコンベヤは、前記ベルト基材の進行方向に対して前後に水平に移動可能なものである請求項2または3に記載の載置装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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