説明

板状逆Fアンテナ

【課題】給電ラインを容易に接続することが可能な板状逆Fアンテナを提供する。
【解決手段】励起導電板として機能する主導電板の開放端側から入力インピーダンスがZ(=50Ω)となる箇所まで2本のスリットを設ける。このスリット間を、マイクロストリップライン(MSL)として使用し、伝送線路の特性インピーダンスがZとなるように幅wを決定する。主導電板の放射端側からスリットを設け、主導電板の一部をMSLとして使用することで、入力インピーダンスがZとなる箇所までMSLにより給電することができる。外部からの給電ラインの接続については、特性インピーダンスZの接続線、例えば、同軸線の中心導体を使用し、これを給電ピンとしてMSLの開放端部に接続する。給電ピンの接続位置は、位置精度が要求される給電点ではなく、位置精度を考慮する必要がないので容易に接続することができる。また、給電ピンの接続端と放射端を同じ側に設けることができる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、板状逆Fアンテナに係り、例えば、携帯電話等の電子通信機器に使用されるアンテナに関する。
【背景技術】
【0002】
近年、腕時計、携帯端末、センサなどの小型の電子通信機器に内蔵できる高性能なアンテナとして板状逆Fアンテナが使用されており、特許文献1、2に示すように種々の提案がなされている。
【0003】
図25は、逆Fアンテナの基本的な構造を表したものである。
板状逆Fアンテナは、接地された接地導電板100と、波長λに対し(1/4)λ、またはその近傍の長さで接地導電板100とほぼ平行に配置される励起導電板として機能する主導電板300、主導電板300と接地導電板100とを短絡する短絡板200、及び短絡板200から所定の距離sだけ離れた位置に主導電板に接続された給電ピン410とから構成されている。
主導電板300への給電ラインは、接地導電板100に貫通孔110を形成し、接地導電板100側の下側から貫通孔110を通り給電する構成とすることでアンテナ特性への影響を極力小さくしている。
そして、同軸線400の中心導体が給電ピン410として主導電板300に接続され、一方、外部導体420が接地導電板100の貫通孔110周辺に接続される。
【0004】
このような板状逆Fアンテナでは、アンテナを接続する回路との関係から、主導電板300における給電インピーダンスを50Ωとする必要があり、そのために短絡板200から所定距離sの地点を給電点とし、この給電点に給電ピン410を接続している。
この所定距離sは、接地導電板100と主導電板300との距離や、その間の誘電率ε等の諸条件によって決まり、板状逆Fアンテナが小型化するほど小さくなる。
一般に携帯電話などで用いられる周波数では、この所定距離sは10mm以下である場合が多く、条件によっては1mm以下の場合もある。
そして、給電点に対する所定距離sは厳密に決まる値であり、僅かのずれ(例えば、0.1mmのずれ)でも給電インピーダンスが50Ωからずれてしまうことになる。この不整合により電力損失が生じ、所望のアンテナ特性が得られなくなってしまう。
【0005】
このため従来の板状逆Fアンテナでは、給電ピン410を給電点に正確に取り付ける必要があった。
そして、給電ピン410の取り付け位置について、10mm以下の狭い領域において、高い位置精度が要求されていたため、取り付け作業が大変であった。
【0006】
また、従来の板状逆Fアンテナでは、給電ピン410の接続箇所が短絡板200近傍であるのに対し、アンテナによる放射位置は短絡板200と反対の開放端側である。
このように、給電位置と放射位置とが反対側にあるため、給電位置を電子機器の端部側に配置すると、給電ピン410の接続は容易になるが、放射位置が装置内側に入り込んでしまうことになる。このため、電子回路の影響や、携帯電話の場合には把持する人の手の影響を受けて、アンテナ性能が低下する場合があった。
逆に、アンテナ性能を優先して放射位置を電子機器端部側に配置すると、給電位置が装置内側になるため、給電ピン410の接続が容易ではなくなる、という問題があった。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】特開2009−77072号公報
【特許文献2】特開2002−64322号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
本発明は、給電ラインを容易に接続することが可能な板状逆Fアンテナを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
(1)請求項1に記載の発明では、グランドに接続される接地導電板と、前記接地導電板に接続された短絡部材と、前記短絡部材が一端の側に接続された主導電板とを備え、前記主導電板は、前記短絡部材が接続された側と反対側の他端から、アンテナの入力インピーダンスがZとなる位置、まで形成された1又は複数のスリットと、前記主導電板の側端と前記1のスリットの間、又は前記複数のスリットのうち隣り合うスリットの間に、特性インピーダンスがZとなる幅wで形成され、給電ラインが接続される、マイクロストリップラインと、前記スリットの前記マイクロストリップラインが隣接しない側に形成された1又は複数の励起導電板と、を具備することを特徴とする板状逆Fアンテナを提供する。
(2)請求項2記載の発明では、前記接地導電板と前記短絡部材と前記主導電板は、互いに連続する1枚の導電板から一体形成され、前記接地導電板と前記短絡部材の接続部と、前記短絡部材と前記主導電板の接続部で同方向に折り曲げられることで形成されている、ことを特徴とする請求項1に記載の板状逆Fアンテナを提供する。
(3)請求項3記載の発明では、前記スリットは、前記主導電板の幅方向の中心から両側等距離の位置に2つ形成されることで、前記主導電板の中央にマイクロストリップラインが形成され、その両側に第1励起導電板と第2励起導電板が形成されている、ことを特徴とする請求項1又は請求項2に記載の板状逆Fアンテナを提供する。
(4)請求項4記載の発明では、前記第1励起導電板と第2励起導電板は、異なる長さに形成されている、ことを特徴とする請求項3に記載の板状逆Fアンテナを提供する。
(5)請求項5記載の発明では、前記第1励起導電板と第2励起導電板は、前記接地導電板との間隔が異なる間隔に形成されている、ことを特徴とする請求項3に記載の板状逆Fアンテナを提供する。
(6)請求項6記載の発明では、前記接地導電板には、前記マイクロストリップラインの開放端に対応する位置に給電ライン用の貫通孔が形成されている、ことを特徴とする請求項1から請求項5のうちの何れか1の請求項に記載の板状逆Fアンテナを提供する。
(7)請求項7記載の発明では、貫通孔は、前記マイクロストリップラインの長手方向にスリット状に形成され、前記マイクロストリップラインには前記貫通孔に対向する位置に、複数の貫通孔、又はスリット状の貫通孔が形成されている、ことを特徴とする請求項6に記載の板状逆Fアンテナを提供する。
(8)請求項8記載の発明では、貫通孔は、前記マイクロストリップラインの長手方向にスリット状に形成され、前記マイクロストリップラインには前記貫通孔に対向する位置に、前記長手方向と交差する方向の溝が複数形成されている、ことを特徴とする請求項6に記載の板状逆Fアンテナを提供する。
【発明の効果】
【0010】
本発明によれば、アンテナの入力インピーダンスがZになる給電点に対して、特性インピーダンスがZとなる幅wのマイクロストリップラインにより給電する構成としたので、マイクロストリップラインへの給電ラインの接続を容易に行うことができる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【図1】第1実施形態に係る板状逆Fアンテナの構成を表したものである。
【図2】板状逆Fアンテナにおける構造パラメータを表したものである。
【図3】板状逆Fアンテナにおける第2実施形態についての構造について、斜視状態と断面を線図で表したものである。
【図4】他の実施形態に係る板状逆Fアンテナの構造について、斜視状態を表したものである。
【図5】さらに他の実施形態に係る板状逆Fアンテナの構造について、斜視状態と断面を線図で表したものである。
【図6】多周波対応を可能とした板状逆Fアンテナの構造について斜視状態を表したものである。
【図7】多周波対応を可能とした他の実施形態に係る板状逆Fアンテナの構造について斜視状態を表したものである。
【図8】更に他の実施形態に係る多周波対応を可能とした板状逆Fアンテナの構造について、斜視状態と断面を線図で表したものである。
【図9】更に他の実施形態に係る多周波対応を可能とした板状逆Fアンテナの構造について、斜視状態と断面を線図で表したものである。
【図10】更に他の実施形態に係る多周波対応を可能とした板状逆Fアンテナの構造について、斜視状態を表したものである。
【図11】他の実施形態に係る板状逆Fアンテナの構造とその製作について表したものである。
【図12】折り曲げタイプの板状逆Fアンテナの基本形の構造について、その異なる方向からの斜視状態を表したものである。
【図13】折り曲げタイプの板状逆Fアンテナとその変形について、各部の断面を線図で表したものである。
【図14】他の実施形態に係る折曲板状逆Fアンテナの構造についての斜視情報及び各断面を線図で表したものである。
【図15】他の実施形態に係る折曲板状逆Fアンテナの構造についての斜視情報及び各断面を線図で表したものである。
【図16】他の実施形態に係る折曲板状逆Fアンテナの構造についての斜視情報及び各断面を線図で表したものである。
【図17】他の実施形態に係る折曲板状逆Fアンテナの構造についての斜視情報及び各断面を線図で表したものである。
【図18】他の実施形態に係る折曲板状逆Fアンテナの構造についての斜視情報及び各断面を線図で表したものである。
【図19】他の実施形態に係る折曲板状逆Fアンテナの構造についての斜視情報及び各断面を線図で表したものである。
【図20】多周波対応を可能とした折曲板状逆Fアンテナの構造についての各断面を線図で表したものである。
【図21】他の実施形態に係る多周波対応を可能とした折曲板状逆Fアンテナの構造についての斜視情報及び各断面を線図で表したものである。
【図22】他の実施形態に係る折曲板状逆Fアンテナの構造とその展開状態について線図で表したものである。
【図23】折曲板状逆Fアンテナを同様に打ち抜き加工で一体形成する場合の展開図を表したものである。
【図24】他の実施形態に係る折曲板状逆Fアンテナの構造とその展開状態について線図で表したものである。
【図25】従来の板状逆Fアンテナの構成図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
(1)実施形態の概要
本実施形態の板状逆Fアンテナでは、主導電板30の短絡点(短絡板、短絡ピン)の位置から入力インピーダンスZ(例えば、Z=50Ω)となる所定距離sの地点まで、放射端側(短絡点と反対側)から1本又は2本のスリットを設ける。すなわち、主導電板の開放端側から入力インピーダンスがZとなる箇所までスリットを設ける。
このスリットは、打ち抜きや切断等の機械加工での形成が可能であるため、入力インピーダンスZとなるラインSまで正確かつ容易にスリットを形成することができる。
【0013】
そして、主導電板の側端と1本のスリット間、又は2本のスリット間を、マイクロストリップライン(MSL)として使用し、伝送線路の特性インピーダンスがZ(例えば、Z=50Ω)となるように幅wを決定する。
このように、主導電板の放射端側からスリットを設け、主導電板の一部をMSLとして使用することで、入力インピーダンスZとなる箇所までMSLにより給電することができる。MSL以外の主導電板は、励起導電板として機能する。従って、外部からの給電ラインの接続については、MSL上に接続すればよく、接続位置についての精度は要求されないので、取り付け作業が容易になる。
外部からの給電ラインの接続については、特性インピーダンスZの接続線、例えば、同軸線の中心導体を使用し、これを給電ピンとしてMSLの開放端部に接続する。給電ピンの接続位置は、位置精度が要求される給電点ではなく、位置精度を考慮する必要がないので容易に接続することができる。
また、給電ピンの接続端と放射端を同じ側に設けることができる。
【0014】
このように構成した板状逆Fアンテナについて、MSLの長さ方向に沿って、MSLの両側又は一方の側で折り曲げることで断面コ字状又は断面L字状の板状逆Fアンテナを形成する。すなわち、断面コ字状又はL字上に曲げられた接地導電板の外側に、所定距離だけ離れて励起導電板とMSLが配設された板状逆Fアンテナが形成される。
板状逆Fアンテナを、MSLの長さ方向に沿って折り曲げることで、給電ピンの接続位置と放射端の位置関係を変更することができる。
また、MSLの両側で折り曲げた板状逆Fアンテナでは、携帯電話等の電子機器の回路基板を、折り曲げた接地導電板で挟み込むように配置することで、電子機器の両面側に配置される励起導電板からの放射が可能になる。
【0015】
(2)実施形態の詳細
図1は、第1実施形態に係る板状逆Fアンテナ1の構成を表したものである。
図1(a)は板状逆Fアンテナ1の斜視状態を、図1(b)はA−A’断面を、いずれも簡単のために線図表示したものである。
図1に示されるように、板状逆Fアンテナ1は、接地導電板10と、短絡部材として機能する短絡板20と、主導電板30と同軸線40を備えている。
接地導電板10、短絡板20、主導電板30は、何れも真鍮などの金属を用いた導電性部材によって形成されているが、導電性樹脂などを用いたり、誘電体基板上に形成することも可能である。
【0016】
接地導電板10は、主導電板30よりも大きく形成され、少なくとも主導電板30の放射端側(短絡板20の反対側)は主導電板30よりも長く形成されている。
短絡板20は、一端が接地導電板10に接続され、他端が主導電板30の端部に接続されている。短絡板20は、主導電板30を物理的に支持すると共に、主導電板30を接地導電板10に短絡させることにより接地している。
なお、図1において短絡板20は、主導電板30の幅b(後述)と同じ長さとすることで、主導電板30の幅全体にわたって接続されているが、主導電板30を接地導電板10に接続することで接地する機能を備えれば充分であるため、より狭い幅の短絡板を接続しても良く、短絡ピンを接続するようにしてもよい(以下に説明する他の実施形態や変形例においても同様である)。
【0017】
主導電板30は、端部に短絡板20が接続されることで、短絡板20の高さ分の幅で、接地導電板10とほぼ平行に形成されている。但し、主導電板30は、接地導電板10に対して電気的に接触しない範囲で短絡板20に支持されていればよく、必ずしも完全な平行状態である必要はなく、例えば、多少ずれた平行状態であってもよい。以下、同様の意味で「平行」と表現することとする。
ここで、接地導電板10と主導電板30との距離hは、板状逆Fアンテナ1に許容された物理的な制限や、板状逆Fアンテナ1が必要とする帯域幅(例えば、距離hが大きくなると使用できる帯域幅が大きくなる)、利得とのトレードオフ等を考慮して決定される。
【0018】
主導電板30は、スリット31a、31b、第1励起導電板32a、第2励起導電板32b、及びMSL33及び基部35から構成されている。
また、主導電板30は、一端側に短絡板20が接続されている。そして、主導電板30の開放端側端部(短絡板20と反対側の端部)から入力インピーダンスがZとなるラインSまで2本のスリット31a、31bが形成されている。スリット31a、31bは、主導電板30の幅方向の中央(A−A’線の位置)から左右方向に均等な位置に形成されている。そして、スリット31a、31bの主導電板30の内側端部から短絡板20が接続されている一端側までを基部35とする。
この2本のスリット31a、31bにより、スリット31aの外側に第1励起導電板32aが形成され、両スリット31a、31b間にマイクロストリップライン(MSL)33が形成され、スリット31bの外側に第2励起導電板32bが形成されている。
【0019】
ここでMSL33の幅について説明する。
MSL33の幅をw、厚さをt、接地導電板10との間の誘電体の比誘電率εr、接地導電板10との距離(誘電体の厚さ)をhとした場合に、MSL33の特性インピーダンスZ(Ω)は次の式(1)から算出される。
【0020】
Z={87/√(εr+1.41)}×ln[5.98h/(0.8w+t)] (1)
なお、上記式(1)においてlnは自然対数を表す。
【0021】
入力インピーダンスZとなるラインSは、主導電板30における短絡板20の接続位置から入力インピーダンスZ(本実施形態ではZ=50Ω)となる所定距離sの地点(給電点)を通る仮想線であり、必ずしも直線ではない。すなわち、ラインSはアンテナの入力インピーダンスがZとなる点の集合であって、この点は必ずしも直線上に分布するものではないが、本実施形態では説明の便宜上からラインSを直線で表示することする。
基部35の幅は、板状逆Fアンテナ1を設計する毎に、シミュレーションや、試作等により決定する。
【0022】
第1励起導電板32aと第2励起導電板32bは、スリット31a、31bが形成された領域だけでなく、基部35を含めて構成されている。
すなわち、主導電板30の短絡板20が接続されている端部から、その反対側の開放端までが第1励起導電板32a、第2励起導電板32bとなり、この長さが所望の波長λに対して1/4λ又はその近傍の値となるように設計される。
第1励起導電板32aと第2励起導電板32bの開放端が放射端として機能する。
【0023】
MSL33は、スリット31aとスリット31bの間だけであり、基部35を含まない。MSL33は、伝送線路の特性インピーダンスがZ(=50Ω)となる幅wに形成されている。
スリット31a、31bの幅gは、端効果(フリンジング効果、導体板と地板との間の電界のふくらみによる影響)を受けないだけの幅であることが好ましい。
すなわちスリット31a、31b幅gは、接地導電板10と主導電板30間の距離hに対して、次の簡略式(2)の条件を満たすときに、MSL33と第1励起導電板32a、第2励起導電板32bとの相互影響が無くなるので、この数式(2)の条件を満たすことが好ましい。
g>2×(2h/π)ln2=0.88h (2)
【0024】
但し、式(2)による条件はより好ましい条件ではあるが、板状逆Fアンテナ1の配置する製品等による設計条件からの制約がある場合には、実際に影響が少ない範囲であればよい。
更に簡略的なスリット31a、31bの幅として、例えば、MSL33の幅の10%程度以上とすることもできる。
【0025】
接地導電板10には、MSL33の開放端部に対向する位置に貫通孔11が形成されている。
貫通孔11には、給電ピン41として機能する同軸線40の中心導体が貫通し、MSL33の開放端と溶接等により接続される。
一方、同軸線40の外部導体42は、貫通孔11の周縁部において接地導電板10と溶接等により接続される。
なお、図1において、給電ピン41とMSL33との接続点、及び、外部導体42と接地導電板10との接続点は、黒丸で表示している(他の図面についても同じ)。
【0026】
図2は、板状逆Fアンテナ1における構造パラメータを表したものである。
図2に示されるように、板状逆Fアンテナ1の各部の構造パラメータを次の通り定義する。
aは、主導電板30(第1励起導電板32a、第2励起導電板32b)の長さで、対象とする波長λに対してa=(1/4)λ、又はその近傍の値となる。
bは、主導電板30の幅である。
dは、第1励起導電板32aと第2励起導電板32bの幅である。
gは、スリット31a、31bの幅(スリットの長さは、(a−s)となる)である。
hは、接地導電板10と主導電板30間の距離(=短絡板20の幅)である。
sは、主導電板30における短絡板20の接続位置から入力インピーダンスがZとなるラインSまでの距離である。
wは、MSL33の幅で、上述したように特性インピーダンスがZとなる幅が選択される。この幅wは、特性インピーダンスを求める上記式(1)において各パラメータを適宜選択することで求まる。
xは、接地導電板10の長さである。
yは、接地導電板10の幅である。
【0027】
例えば、1.9GHz帯の板状逆Fアンテナ1である場合、各構造パラメータの例として、次の値とすることができる。
a=39.5mm
b=21.3mm
d=6.0mm
g=1.0mm
h=1.5mm
s=6.76mm
w=7.3mm
x=60mm
y=42mm
以上の各構造パラメータの値は一例であり、受信、又は送信する周波数や、折曲板状逆Fアンテナ1を配置可能領域等に応じて適宜選択可能である。
【0028】
上記各構造パラメータを採用した板状逆Fアンテナ1は、例えば、PHS(Personal Handy−phone System)のアンテナとして使用することができる。
また、2.45GHz付近の電波を使う無線LANやブルートゥース等の装置用の板状逆Fアンテナ1としては、上記各構造パラメータのそれぞれに0.78を掛けた値、すなわち、a=30.8mm、b=16.7mm、h=1.2mm、d=4.7mm、g=0.8mm、w=5.7mm、s=5.3mm近傍とすることで同様の性能を発揮することができる。
【0029】
また、板状逆Fアンテナ1を携帯電話等の通信装置に配設する場合、MSL33の開放端側が通信装置基板の内側ではなく、通信装置の端部側となるように配設することができる。これにより、通信装置の端部側から給電ピン41、43をMSL33に接続することが容易になる。また、MSL33と同様に、第1励起導電板32aと第2励起導電板32bの開放端側も通信装置の端部側となるため、電子回路の影響や、携帯電話の場合には把持する人の手の影響を受けてアンテナ性能が低下する、ということを回避できる。
【0030】
なお、板状逆Fアンテナ1のスリット31a、31bを通信装置の縦方向(給電ピン41、43の接続点が上側、又は下側)にとった場合には垂直偏波となり、横方向にとった場合には水平偏波になる。このため、主たる受信を垂直偏波で行っている携帯電話やPHSに板状逆Fアンテナ1を使用する場合には、スリット31a、31bが縦方向となるように配設する。
【0031】
以上の各値は、一例であり、本実施形態の板状逆Fアンテナ1では接地導電板10と主導電板30間の誘電体としては空気を想定しているが、他の誘電体を配置するようにしてもよい。
この場合には、配置した誘電体の誘電率によって、構造パラメータの値も変化することになるが、何れの場合においても、距離sの位置(給電点)の入力インピーダンスがZとなり、伝送路の特性インピーダンスもZとなるようにMSL33の幅wが選択される。
【0032】
このように、主導電板30に、開放端側から2本のスリット31a、31bを設け、主導電板30の一部をマイクロストリップライン(MSL)33として使用する。
そして特性インピーダンスがZとなるようにMSL33の幅wが選択されるので、MSL33の開放端に、例えば、同軸線の中心導体を給電ピンとして接続することができ、その接続位置についての精度は要求されない。よって、容易に板状逆Fアンテナ1を製造することができる。
【0033】
図3は、第2実施形態に係る板状逆Fアンテナ1の構造について、(a)は斜視状態を、(b)、(c)はA−A’断面を線図で表したものである。
図1で説明した板状逆Fアンテナ1は、接地導電板10に設けた貫通孔11を設けることで、接地導電板10の下側から給電ラインを引く場合について説明したが、図3に示した第2実施形態では、接地導電板10の下側からではなく、MSL33の開放端の側面側(外側)から給電ラインを引くようにしたものである。
このように側面側から給電ピン43をMSL33の開放端に接続する構成とすることで、接地導電板10の貫通孔11が不要になる。
【0034】
一方、図1に示した板状逆Fアンテナ1では、同軸線40の外部導体42を貫通孔11の周縁に接続することで接地導電板10をグランドに接続しているのに対し、図3に示した第2実施形態では、接地導電板10の任意の位置に導体44を接続することで、グランドに接続することができる。
【0035】
なお、図3(c)に示した例では、MSL33の開放端側を、接地導電板10の端部とほぼ同じ位置となるように、第1励起導電板32a、第2励起導電板32bよりも長く形成した板状逆Fアンテナ1のA−A’断面図である。
マイクロストリップラインは、接地導電板10間の誘電率や距離h、幅wが同じであれば長さに影響されずに同じ特性インピーダンスである。そこで、MSL33を接地導電板10の端部まで延ばすことにより、接地導電板10に貫通孔11を設けることなく、同軸線40の給電ピン41を使用して、接地導電板10の下側から、かつ、側面側から接続することができる。また、同軸線40の外部導体42を接地導電板10の端面に接続することもできる。
【0036】
以上説明したように、板状逆Fアンテナ1のMSL33に給電ピンを接続する方法として、第1実施形態で説明したように接地導電板10に設けた貫通孔11を介して給電ピン41を接続する貫通タイプによる方法、及び、第2実施形態で説明したように接地導電板10における開放端の外側から給電ピン43を接続する外付けタイプによる方法の何れも採用することが可能である。
以下に説明する各実施形態においても、いずれかの給電タイプに限定されることを言及している場合を除き、貫通タイプ、外付けタイプの何れも選択可能であるが、図示の都合上何れか一方の給電タイプについてのみ表示することとする。
【0037】
図4は、他の実施形態に係る板状逆Fアンテナ1の構造についての斜視状態を表したものである。
図1に示した第1実施形態では、主導電板30の中央にMSL33が形成されるように、その両側にスリット31a、31bを形成したのに対し、この第3実施形態では、主導電板30の一方の側端部から幅wとなる位置にスリット31cを1本形成したものである。
【0038】
このスリット31cの一方の側(図面左側)にMSL33が形成され、他方の側に励起導電板32dが形成される。
スリット31cの長さは、第1実施形態と同様に入力インピーダンスがZとなるラインSまで形成される。
また幅wについても実施形態と同様に、MSL33の特性インピーダンスがZとなる値が選択される。
この実施形態では、励起導電板32dの幅は、第1実施形態における第1励起導電板32aのほぼ2倍としているが、それ以上、又はそれ以下とすることも可能である。
この実施形態によれば、スリットの本数を1本にすることができるので、板状逆Fアンテナ1の幅を狭くすることができ、板状逆Fアンテナ1を小型化することが可能になる。
また励起導電板32dの幅を、第1実施形態における第1励起導電板32aとほぼ同じ幅とすることで更に板状逆Fアンテナ1を小型化することができる。
【0039】
図5は、さらに他の実施形態に係る板状逆Fアンテナ1の構造について、(a)は斜視状態を、(b)はA−A’断面を線図で表したものである。
なお、図5に示した板状逆Fアンテナ1の給電タイプは、基本的に貫通タイプに限定される。但し、貫通孔を使用せずに外付けタイプの給電を行うことは可能であることは、全ての貫通タイプに形成した板状逆Fアンテナ1に共通する。
この実施形態では、図5に示されるように、接地導電板10に配設する貫通孔11bを、円形ではなく、MSL33の長さ方向の細長いスリット状に形成したものである。
このように貫通孔11bを細長く形成することで、MSL33に接続する給電ピン41の位置を、貫通孔11bの長さの範囲で自由に選択することができ、給電ライン配置の自由度を上げることができる。
なお、図5(a)、(b)では、給電ピン41を開放端側一番端に接続した場合について表している。
そして、図5の例よりも給電ピン41を内側(短絡板20側)に接続する場合、貫通孔11bに対応するMSL33の複数箇所に従来と同様に給電ピン41を通す貫通孔を設けて置き、当該貫通孔に給電ピン41を通し、上部から溶接するようにしてもよい。
また、給電ピン41を通すことが可能な幅のスリットをMSL33にも設けておくことで、給電ピン41を任意の位置に接続することが可能となる。
更に、MSL33に貫通孔やスリットを設けるのではなく、MSL33に幅方向の溝を複数本形成しておき、給電ピン41の接続位置でMSL33を溝に沿って折ることで長さを調節するようにしてもよい。このようにMSL33の長さを可変とすることができるのは、マイクロトリップラインはその長さが特性インピーダンスのパラメータとなっていないためである。
【0040】
次に、他の実施形態により、多周波対応を可能とした板状逆Fアンテナ1について図6から図10を参照して説明する。
図6は、多周波対応を可能とした板状逆Fアンテナ1の構造について斜視状態を表したものである。
この実施形態の板状逆Fアンテナ1では、MSL33の両側に形成されている第1励起導電板32aと第2励起導電板32bの長さを変えることで、多周波対応を可能にしたものである。
図6の例では、第1励起導電板32aの長さを第2励起導電板32bよりも短くすることで多周波対応としたが、何れを長くするかは任意である。
【0041】
図7は、多周波対応を可能とした他の実施形態に係る板状逆Fアンテナ1の構造について斜視状態を表したものである。
この実施形態では、MSL33の長さを基準として、第1励起導電板32aを長く形成し、第2励起導電板32bを短く形成したものである。このように、図6の例を含め、第1励起導電板32aと第2励起導電板32bの長さに大きく差を設けることも可能である。
但し、MSL33よりも長く形成した第1励起導電板32aについては、接地導電板10の開放側端面よりも長くない範囲とすることが必要である。
【0042】
図8は、更に他の実施形態に係る多周波対応を可能とした板状逆Fアンテナ1の構造について、(a)は斜視状態を、(b)はA2−A2’断面を線図で表したものである。
図6、7に示した実施形態では、第1励起導電板32aと第2励起導電板32bの長さを変えることで多周波対応を可能にしたのに対し、この図8に示した実施形態では、第1励起導電板32aと第2励起導電板32bの長さは同じ長さとし、接地導電板10からの距離を変えることで多周波対応を可能にしている。
【0043】
図8(b)に示すように、接地導電板10からの高さをhとした場合、図示しない第1励起導電板32aは全長にわたって同じ高さhである。
これに対し、第2励起導電板32bは、スリット31bに対応するいずれかの箇所において、下方(接地導電板10側)に2度折り曲げることにより、折曲げ箇所から開放端までの部分の高さがh1(h1<h)に形成されている。
なお、第2励起導電板32bを下方に折り曲げるのではなく、上方に折り曲げるようにしてもよい。また、第1励起導電板32aと第2励起導電板32bの一方を下方に折り曲げ、他方を上方に折り曲げるようにしてもよい。
【0044】
図9は、更に他の実施形態に係る多周波対応を可能とした板状逆Fアンテナ1の構造について、(a)は斜視状態を、(b)はC−C’断面を線図で表したものである。
図8に示した実施形態では、第1励起導電板32a、第2励起導電板32bの一方、又は双方を、下側又は上側に折り曲げて接地導電板10b間の距離を変えることで多周波対応を可能にしたのに対し、この実施形態では、第1励起導電板32a、第2励起導電板32bについては第1実施形態と同様であるが、接地導電板10bをMSL33の長手方向の仮想線に沿って下側に2度折り曲げることで、多周波対応を可能にしたものである。
【0045】
接地導電板10bは、図9(b)に示すように、スリット31bに対応する位置で下方に折り曲げることで、第1励起導電板32aとの間の高さをhとした場合、第2励起導電板32bとの間は、高さh2(h<h2)に形成される。
接地導電板10bの折り曲げる位置は、スリットの下側であればどこでもよいが、スリット31の幅方向ほぼ中央の位置が好ましい。
なお、図示しないが、接地導電板10をスリット31aに対向する位置で上側に折り曲げ、更に、スリット31bに対向する位置で下側に折り曲げることで、第1励起導電板32aとの間の距離と、第2励起導電板32bとの間の距離の差を大きくするようにしてもよい。
【0046】
以上図8、図9で説明した実施形態にかかる板状逆Fアンテナ1では、接地導電板10に対する、第1励起導電板32aの距離と、第2励起導電板32bの距離とに差を設けることで多周波対応としたものである。
これに対し、第1励起導電板32a、第2励起導電板32bとの間の距離を同じにし、第1励起導電板32aと接地導電板10間の誘電率と、第2励起導電板32bと接地導電板10間の誘電率を変えることで多周波対応を可能にすることも可能である。
すなわち、第1励起導電板32a、第1励起導電板32aの何れか一方に空気以外の誘電体、例えば、ガラス基板(εr≒4.7)等を配置する。
【0047】
図10は、更に他の実施形態に係る多周波対応を可能とした板状逆Fアンテナ1の構造について、斜視状態を表したものである。
図6〜図9までの多周波対応の板状逆Fアンテナ1は、第1励起導電板32aと第2励起導電板32bの長さ、又は高さhを異なる値にすることで、2周波に対応したものである。
これに対して、図10に示すように、第2励起導電板32bの外側に、スリット31cを介して第3励起導電板32cを設け、第1励起導電板32a、第2励起導電板32b、第3励起導電板32cそれぞれの長さを異なる値にすることで3周波に対応するようにしたものである。なお、更に多周波対応を可能にするために、第1励起導電板32a〜第n励起導電板32(n≧4)を設けるようにしてもよい。
【0048】
この実施例及び変形例では、MSL33の両側に形成するスリット31a、31bは、第1実施形態と同様に形成する。
一方、励起導電板32bと励起導電板32cとの間に形成するスリット31cは、開放端から入力インピーダンスがZとなるラインSまで形成してもよいが、スリット31cは、MSL33を形成するためのスリットではないので、必ずしもその限りではない。なお、スリット31cをラインSまでよりも短く、又は長く形成した場合、励起導電板32cに対応する基部35は、スリット31cの内側端部から短絡板20までとなる。
スリット31cの幅については、励起導電板32相互の干渉防止という観点から決定される。
【0049】
図11は、他の実施形態に係る板状逆Fアンテナ1の構造とその製作について表したものである。
図1から図10で説明した板状逆Fアンテナ1では、短絡板20を接地導電板10の端面から所定距離u(u<x−a:x、aは図2参照)に接続している。この場合の接続は溶接等による。
これに対し、図11で示した板状逆Fアンテナ1では、短絡板20を接地導電板10の端部と接続するようにしている。
【0050】
この場合の短絡板20と接地導電板10の接続も、別々に形成し両者を溶接により接続するようにしてもよいが、図11(c)に示されるように、真鍮などの金属を用いた導電性部材50を打ち抜き加工や切断加工することで、接地導電板10、短絡板20、主導電板30を一体形成するようにしてもよい。
そして、図11(c)の点線で示すように、接地導電板10と主導電板30とが平行になるまで、接地導電板10と短絡板20の接続箇所、短絡板20と主導電板30の接続箇所で約90度ずつ折り曲げ(谷折り)ることで板状逆Fアンテナ1が形成される。この板状逆Fアンテナ1に、その後貫通孔11から給電ピン41をMSL33の開放端に溶接すると共に、外部導体42を貫通孔11の周縁に接続することで図11(a)に示す板状逆Fアンテナ1が形成される。
なお、図11では、給電ラインとして貫通タイプの板状逆Fアンテナ1を説明したが、外付けタイプの板状逆Fアンテナ1を形成する場合には、貫通孔11は不要である。
【0051】
図1から図10までに説明した各実施形態の板状逆Fアンテナ1についても、短絡板20が接地導電板10の端部に接続したタイプに変形した板状逆Fアンテナ1として、同様に打ち抜き加工することで、接地導電板10、短絡板20、主導電板30を一体形成、及び曲げ加工により形成するようにしてもよい。
【0052】
但し、図9で説明した接地導電板10を折り曲げることで多周波対応を可能にした板状逆Fアンテナ1の場合には、距離(高さ)が長い接地導電板10と第2励起導電板32b間で一体となるように打ち抜き加工等をする。
この場合、短絡板20は第2励起導電板32b部分だけに設けられるようにしてもよいが、MSL33や第1励起導電板32a部分にも設けることも可能である。この場合には当該部分の高さに相当する短絡板20を接地導電板10側と基部35側の何れか一方の側に連続して一体形成し、折り曲げた後に他方の側と溶接する。
【0053】
図1から図11までに説明した板状逆Fアンテナ1では、第1励起導電板32a、第1励起導電板32aとMSL33が同一平面上、又は、平行な平面上に配置される場合について説明した。
これに対して、図12以降で説明する板状逆Fアンテナ1では、MSL33の長さ方向に沿って、1箇所又は2箇所を折り曲げることで、断面コ字状又は断面L字状に形成したものである。
【0054】
図12は、折り曲げタイプの板状逆Fアンテナ1の基本形の構造について、その異なる方向からの斜視状態を表したものである。
図13は、図12に示した折り曲げタイプの板状逆Fアンテナ1とその変形について、各部の断面を線図で表したものである。
図12、図13に示した実施形態の板状逆Fアンテナ1では、図1に示した第1実施形態における板状逆Fアンテナ1を断面コ字状に折り曲げたものである。但し、短絡板20については第1励起導電板32a、MSL33、第2励起導電板32bに対応する面毎に分割して形成されている。
【0055】
図12、図13に示されるように、板状逆Fアンテナ1は、接地導電板10を断面コ字に折り曲げることで、第1接地導電板10a、第3接地導電板10p、第2接地導電板10bが形成されている。
一方、スリット31aの略中央部と、スリット31bの略中央部の2箇所を折り曲げることで、基部35の断面もコの字状に形成する。
そして、第1接地導電板10aと第1励起導電板32aとを第1短絡板20aで短絡(接続)し、第3接地導電板10pとMSL33とを第3短絡板20pで短絡し、第2接地導電板10bと第2励起導電板32bとを第2短絡板20bで短絡する。
【0056】
なお、図12以降の斜視状態を表す図では、給電ラインについての表示は省略する。
但し、何れの実施形態においても、第1実施形態、第2実施形態で説明したように、貫通タイプ(長孔タイプを含む)、外付けタイプの何れの給電ラインを採用することも可能である。そして、その場合のA−A’断面については、図12の場合、貫通タイプであれば図13(a)に示すように、外付けタイプであれば図13(b)に示す用になる。
図13以降説明する各実施形態では、斜視図には給電ラインを省略表示し、A−A’断面には両タイプのうち外付けタイプについて表示する。但し、外付けタイプの場合、図3(b)、(c)で示すように接地導電板10の任意の箇所でグランドに接続するが、図13(b)を含め、A−A’断面図ではグランドへの接続状態の表示も省略することとする。
そして、図13図以降で示す外付けタイプの給電ラインについては、図13(b)に示すように給電ピン43と黒丸で表した接続点間を点線で接続した状態を表示するが、これは、図3(b)、(c)の両タイプの何れも可能なことを表している。
【0057】
図13(c)は、図12で示した板状逆Fアンテナ1におけるB−B’断面を表したものである。
また、図13(d)は、図12で示した板状逆Fアンテナ1におけるC−C’断面を表したものである。また、図13(e)は、同D−D’断面を表したものである。
【0058】
一方、図13(f)、(g)は、図12で示した板状逆Fアンテナ1の変形例に対するC−C’断面を表したものである。
図12で示した板状逆Fアンテナ1の場合、コ字状に折り曲げることでできる3つの平面のうち、中央の平面の幅が一番狭くなっている。このため、アンテナの設計条件によっては、中央の平面の幅Wが、MSL33の特性インピーダンスがZ=50Ωに必要な幅wよりも狭くなる場合が発生し得る。このような場合に対応するのが図13(f)、(g)に示した変形例である。
図13(f)の変形例では、スリット31a、31b部分で曲げるのではなく、MSL33部分の2箇所で折り曲げたものである。
また図13(g)の変形例では、MSL33部分の一箇所とスリット31b部分の2箇所で折り曲げたものである。
何れの場合においても、MSL33から第1接地導電板10a、第2接地導電板10b、第3接地導電板10pまでの距離は一定であることが必要である。但し、MSL33の特性インピーダンスがZであれば、距離は必ずしも一定でなくてもよい。
【0059】
このように、折り曲げタイプの板状逆Fアンテナ1により、接地導電板10の断面コ字状又はL字状に形成された内側に、携帯電話等の電子機器における回路基板を配置することで、より狭い領域に板状逆Fアンテナ1を配置することが可能になる。
また、本実施形態の板状逆Fアンテナ1によれば、断面コ字形状とし、互いに平行な面に第1励起導電板32aと第2励起導電板32bが配置されている。このため、電子機器の回路や構造物を断面コ字状の接地導電板10内に収容した場合であっても、電子機器の裏表の両面側にアンテナの放射面(第1励起導電板32aと第2励起導電板32b)を配置することができる。その結果、電子機器の裏表両面からの放射が可能になり、放射特性が向上する。
【0060】
図14は、他の実施形態に係る折曲板状逆Fアンテナ1の構造についての斜視情報及び各断面を線図で表したものである。
図12で説明した折曲板状逆Fアンテナ1では、第1励起導電板32a、MSL33、及び第2励起導電板32bの全てが、それぞれ第1短絡板20a、第3短絡板20p、第2短絡板20bにより接地導電板10に接続されている。
これに対して本実施形態では、図14(a)に示すように、主導電板30と接地導電板10とは、第1励起導電板32aと第1接地導電板10aを第1短絡板20aで接続しているだけである。
なお、図14の実施形態に限らず、接地導電板10と主導電板30との接続(短絡)は、第1短絡板20a、第2短絡板20b、第3短絡板20pのうちの何れか1つ又は任意の2つにより、1箇所又は2箇所で接続するようにしてもよく、更に、全箇所接続するようにしてもよい。
【0061】
図15は、他の実施形態に係る折曲板状逆Fアンテナ1の構造についての斜視状態及び各断面を線図で表したものである。
この実施形態では、主導電板30をコ字状に曲げ、第1励起導電板32aと第2励起導電板32bの間に1枚の第4接地導電板10dを平行に配設したものである。
図15(a)、(c)に示すように、この実施形態では、第1励起導電板32aと第4接地導電板10dを第1短絡板20aで接続しているが、第2励起導電板32bと第4接地導電板10dを第1短絡板20aで接続しても良く、両者を接続するようにしてもよい。
この実施形態によれば、折曲板状逆Fアンテナ1を薄くすることができる。
但し、MSL33の幅wを確保する為に、折曲板状逆Fアンテナ1の設計条件によっては、図13(f)、(g)で説明したように、主導電板30をMSL33の1箇所又は2箇所で折り曲げるようにしてもよい。
【0062】
図16は、他の実施形態に係る折曲板状逆Fアンテナ1の構造についての斜視情報及び各断面を線図で表したものである。
この実施形態では、励起導電板を第1励起導電板32aの1枚とし、MSL33と第1励起導電板32aとが平行になるように形成したものである。
すなわち、図16に示されるように、コ字状に曲げた接地導電板10を、順番に第1接地導電板10a、第5接地導電板10e、第3接地導電板10pとする。
一方、主導電板30は、中央部に幅広のスリットを1箇所設け、その一方の側を第1励起導電板32aとし、他方の側をMSL33として、基部35のスリットが形成されている部分で2箇所折り曲げている。
そして、第1励起導電板32aと第1接地導電板10aとを第1短絡板20aで接続し、スリット部に対応する基部35と第5接地導電板10eとを第5短絡板20eで接続し、MSL33と第3接地導電板10pとを第3短絡板20pで接続する。
本実施形態の折曲板状逆Fアンテナ1によれば、MSL33を第1励起導電板32aと平行に配置しているので、第5接地導電板10eの幅を狭くして薄型化を実現することができる。
なお、第1接地導電板10aと第3接地導電板10pを共通化して1枚の接地導電板10としてもよい。この場合の1枚の接地導電板10は、図15で説明した第4接地導電板10dと同様になり、第5短絡板20eは不要になる。
また、本実施形態及び変形例において、主導電板30と接地導電板10との接続(短絡)は何れか一箇所で短絡する構成にしてもよい。
【0063】
図17は、他の実施形態に係る折曲板状逆Fアンテナ1の構造についての斜視情報及び各断面を線図で表したものである。
この実施形態では、図16で説明した折曲板状逆Fアンテナ1における接地導電板10の向きを逆にしたものである。
すなわち、断面コ字状に形成した接地導電板10の開放側から、同じく断面コ字状に形成した主導電板30の開放側を挿入したものである。この折曲板状逆Fアンテナ1は、MSL33を基部35の中央部分ではなく端に形成し、第1励起導電板32aと平行に配置したために可能な構成である。
この実施形態も、第1短絡板20aと第3短絡板20pの何れか一方を省略することが可能である。
【0064】
図18、19は、他の実施形態に係る折曲板状逆Fアンテナ1の構造についての斜視状態及び各断面を線図で表したものである。
図18、図19に示す折曲板状逆Fアンテナ1は、主導電板30を1箇所だけ曲げることで断面L字状に形成したものである。
図18の折曲板状逆Fアンテナ1は、図14で示した折曲板状逆Fアンテナ1において、スリット31b部分で第2励起導電板32bを切り取った状態と同じ構成になっている。
この実施形態の折曲板状逆Fアンテナ1によれば、第2励起導電板32bが無い分だけ薄型化することが可能になる。
【0065】
図18(b)、(c)は、図18(a)におけるC−C’断面、D−D’断面を線図で表したものである。
一方、図18(d)、(e)は、本実施形態の変形例における折曲板状逆Fアンテナ1のC−C’断面、D−D’断面(図18(a)と同じ箇所の断面)を線図で表したものである。
この変形例では、折曲板状逆Fアンテナ1の接地導電板10も同様に、第2接地導電板10b部分を切り取った状態と同じ構成にしたものである。すなわち、接地導電板10についても、主導電板30と同様に断面L字形に構成したものである。
この変形例によれば、第1接地導電板10aと対向する部分が開放されているため、電子機器の厚さが厚い場合であっても、外周面に沿って配置することが可能になる。すなわち、配置箇所の自由度が高くなるという効果がある。
【0066】
図19は、他の実施形態に係る折曲板状逆Fアンテナ1の構造についての斜視状態及び各断面を線図で表したものである。
この実施形態では、第1実施形態で説明したのと同様に、MSL33の両側にスリット31a、31bを形成した主導電板30を使用し、スリット31b部分1箇所で折り曲げたものである。
本実施形態では、第1励起導電板32aと第2励起導電板32bとを直交する面に配置することができる。
なお、本実施形態においても、図18(e)、(f)に示した変形例と同様に、接地導電板10を断面L字状に形成することで、折曲板状逆Fアンテナ1の配置箇所の自由度を高くすることも可能である。
この実施形態においても、接地導電板10と主導電板30との接続箇所を他の位置にすることが可能である。
【0067】
次に、折曲板状逆Fアンテナ1において、多周波対応を可能とした折曲板状逆Fアンテナ1について説明する。
図20は、多周波対応を可能とした折曲板状逆Fアンテナ1の構造についての斜視状態及び各断面を線図で表したものである。
この実施形態では、それぞれ図12、図14、図15で説明した折曲板状逆Fアンテナ1において、第1励起導電板32aと第2励起導電板32bの長さを変えることで、多周波対応を可能にしている。
図20(a)、(b)、(c)は、それぞれ図13(c)、図14(c)、及び図15(c)の各B−B’断面に対応している。
なお、図20(b)、(c)では、長さを長く形成した第1励起導電板32a側にだけ第1短絡板20aが接続されているが、短く形成した第2励起導電板32b側に第2短絡板20bを接続するようにしてもよい。
【0068】
図21は、他の実施形態に係る多周波対応を可能とした折曲板状逆Fアンテナ1の構造についての斜視状態及び各断面を線図で表したものである。
この実施形態は、コ字状に曲げた主導電板30に対する接地導電板10の配置位置を厚さ方向にずらすことにより、図8、図9で示した実施形態と同様に、接地導電板10に対する第1励起導電板32aの距離と、第2励起導電板32bの距離に差を設けることで多周波対応を可能にしたものである。
【0069】
なお、図12に示した折曲板状逆Fアンテナ1に対して、図8に示したように、第1励起導電板32a、又は第1励起導電板32aを入力インピーダンスがZとなるラインS部分において、接地導電板10に近づく方向又は離れる方向に折り曲げることで多周波対応可能な折曲板状逆Fアンテナ1を構成してもよい。
また、図8で説明したように、図12に示した折曲板状逆Fアンテナ1に対して、第1励起導電板32aと第1励起導電板32aの一方を接地導電板10に近づく方向に折曲げ、他方を離れる方向に折り曲げるようにしてもよい。
【0070】
図22は、他の実施形態に係る折曲板状逆Fアンテナ1の構造とその展開状態について線図で表したものである。
図12から図21で説明した折曲板状逆Fアンテナ1では、各短絡板20を接地導電板10の端面から所定距離u(u<x−a:x、aは図2参照)に溶接等により接続している。
これに対し、本実施形態の折曲板状逆Fアンテナ1では、各短絡板20(図22では第3短絡板20p)を接地導電板10(図22では第3接地導電板10p)の端部と接続するようにしている。
図22の場合の第3短絡板20pと第3接地導電板10pの接続も、別々に形成して両者を溶接により接続するようにしてもよいが、図22(a)に示されるように、真鍮などの金属を用いた導電性部材50を打ち抜き加工や切断加工することで、接地導電板10、短絡板20、主導電板30を一体形成してもよい。
【0071】
そして、図22(a)に示す展開状態から、第3接地導電板10pの両側を一点鎖線部分で山折りにし、第3短絡板20pの両側を点線部分で谷折にする。
更に、基部35のスリット31a、31bに対応する点線部分を谷折りにすることで、図22(b)に示す折曲板状逆Fアンテナ1が形成される。
【0072】
なお、図22では、給電ラインとして外付けタイプの折曲板状逆Fアンテナ1を前提として第3接地導電板10pに貫通孔を設けない状態について説明したが、貫通タイプの折曲板状逆Fアンテナ1を形成する場合には、貫通孔11を第3接地導電板10pの対応箇所に形成する。
【0073】
図12から図21までに説明した各実施形態の折曲板状逆Fアンテナ1についても、短絡板20が接地導電板10の端部に接続したタイプに変形した板状逆Fアンテナ1として、同様に打ち抜き加工等することで、接地導電板10、短絡板20、主導電板30を一体形成、及び曲げ加工により形成するようにしてもよい。
【0074】
図23(a)、(b)は、それぞれ図14、図12で説明した折曲板状逆Fアンテナ1を同様に打ち抜き加工で一体形成する場合の展開図表したものである。
図22や図23(a)で示した折曲板状逆Fアンテナ1の場合、接地導電板10と主導電板30との接続は、コ字状の何れか1箇所で接続(図22では第3短絡板20p、図23(a)では第2短絡板20b)されるが、3箇所のうちの任意の2箇所や、3箇所で接続する構成としても良い。
【0075】
図23(b)はコ字状の3箇所で短絡板20が接続されている場合の例である。
図23(b)で示すように、折曲げタイプの板状逆Fアンテナ1を打ち抜き加工等で一体形成する場合において、接地導電板10と主導電板30とをコ字状の2箇所以上で短絡板20を接続する場合、何れか1つの短絡板20の両側を接地導電板10、主導電板30と連続する一体に加工する。一方、残りの短絡板20については、接地導電板10と主導電板30の何れか一方側のみ連続する一体加工とし、他方の側は切断する。
【0076】
図23(b)の例では、第3短絡板20pが第3接地導電板10pとMSL33に一体形成され、第1短絡板20aが第1励起導電板32aに一体形成され、第2短絡板20bが第2励起導電板32bに一体形成されている。
一方、第1短絡板20aと第1接地導電板10aとは切り離され、第2短絡板20bと第2接地導電板10bとは切り離されている。この、互いに切り離されている、第1短絡板20aと第1接地導電板10a間と、第2短絡板20bと第2接地導電板10b間については、他方の側を点線部分で谷折りした後に溶接等により接続する。
【0077】
図24は、他の実施形態に係る折曲板状逆Fアンテナ1の構造とその展開状態について線図で表したものである。
この実施形態の折曲板状逆Fアンテナ1も打ち抜き加工等により一体形成したものであるが、図3(c)で説明した外付けタイプの給電ラインとする構成である。すなわち、給電ラインとして同軸線40を使用し、貫通孔11を設けることなくMSL33の開放端部に給電ピン41を接続し、外部導体42を接地導電板10に接続する構造である。
具体的には、図24(a)に示すように、MSL33の長さを第1接地導電板10a(第2接地導電板10b)と同じ長さに形成すると共に、第3接地導電板10pの開放端側(図面左側)に切欠き部10gを形成したものである。この切欠きの深さ(MSL33の長さ方向)は、接続する同軸線40の半径程度とするのが好ましい。
但し、切欠き部10gを設けず、MSL33と第1接地導電板10a(第2接地導電板10b)の長さを同じにして両者の開放端の位置を同じにすることも可能である。この場合、給電ピン41と接地導電板10とが接触しない程度の所定間隔が空く位置に同軸線40の外部導体42を接地導電板10に接続し、給電ピン41の先端を僅かに曲げてMSL33に溶接する。
【0078】
なお、以上説明した折曲板状逆Fアンテナ1では、スリットの長手方向に沿って、1箇所又は2箇所を折り曲げる場合について説明したが、3箇所以上で折り曲げるようにしてもよい。
例えば、全てスリットの長手方向に沿って3箇所を同方向に折り曲げる場合には断面方形になり、隣り会う2箇所を同方向に残り1箇所を反対方向に折り曲げることで断面柄杓形状になる。
また、1又は複数箇所をスリットの長手方向に折り曲げ、他の1又は複数箇所をスリットの長手方向と交差する方向(例えば、直交する方向)に折り曲げるようにしてもよい。
さらに、折り曲げる角度として90度に折り曲げた場合について説明したが、折曲板状逆Fアンテナ1に対する、通信機器の配置領域の形状によっては、90度以上に折曲げることも可能であり、また90度以下に折り曲げることも可能である。
【0079】
以上、本実施形態について説明したが、次の構成を採用するようにしてもよい。
(1)構成1
所定の方向に沿って1又は複数箇所で折り曲げられており、グランドに接続される接地導電板と、前記所定の方向と同一方向に、1又は複数箇所で折り曲げられた主導電板と、前記所定の方向における一方の側において、前記接地導電板と前記主導電板とを1又は複数箇所で接続する短絡部材と、を備え、前記主導電板は、前記短絡部材が接続された側と反対側の他端から、アンテナの入力インピーダンスがZとなる位置、まで形成された1又は複数のスリットと、前記主導電板の側端と前記1のスリットの間、又は前記複数のスリットのうち隣り合うスリットの間に、特性インピーダンスがZとなる幅wで形成され、給電ラインが接続される、マイクロストリップラインと、前記スリットの前記マイクロストリップラインが隣接しない側に形成された1又は複数の励起導電板と、を具備することを特徴とする板状逆Fアンテナ。
(2)構成2
前記接地導電板は、2箇所折り曲げられることで断面コ字形状に形成され、前記主導電板は、前記接地導電板の外側に、2箇所折り曲げられることで断面コ字形状に形成される、ことを特徴とする構成1に記載の板状逆Fアンテナ。
(3)構成3
前記接地導電板は、1箇所折り曲げられることで断面L字形状に形成され、前記主導電板は、前記接地導電板の外側に、1箇所折り曲げられることで断面L字形状に形成される、ことを特徴とする構成1に記載の板状逆Fアンテナ。
(4)構成4
前記主導電板は、前記スリット部分で折り曲げられている、ことを特徴とする構成1、構成2、又は構成3に記載の板状逆Fアンテナ。
(5)構成5
前記接地導電板と前記短絡部材と前記主導電板は、互いに連続する1枚の導電板から一体形成され、前記接地導電板と前記短絡部材の接続部と、前記短絡部材と前記主導電板の接続部で同方向に折り曲げられることで形成されている、ことを特徴とする構成1から構成4のうちのいずれか1の構成に記載の板状逆Fアンテナ。
(6)構成6
前記主導電板は、前記スリットが、前記主導電板の幅方向の中心から両側等距離の位置に2つ形成されることで、前記主導電板の中央にマイクロストリップラインが形成され、その両側に第1励起導電板と第2励起導電板が形成され、前記両スリット部分で同方向に折り曲げられている、ことを特徴とする構成1から構成5のうちのいずれか1の構成に記載の板状逆Fアンテナ。
(7)構成7
前記第1励起導電板と第2励起導電板は、異なる長さに形成されている、ことを特徴とする構成6に記載の板状逆Fアンテナ。
(8)構成8
前記第1励起導電板と第2励起導電板は、前記接地導電板との間隔が異なる間隔に形成されている、ことを特徴とする構成6に記載の板状逆Fアンテナ。
(9)構成9
前記接地導電板には、前記マイクロストリップラインの開放端に対応する位置に給電ライン用の貫通孔が形成されている、ことを特徴とする構成1から構成8のうちの何れか1の構成に記載の板状逆Fアンテナ。
(10)構成10
貫通孔は、前記マイクロストリップラインの長手方向にスリット状に形成され、前記マイクロストリップラインには前記貫通孔に対向する位置に、複数の貫通孔、又はスリット状の貫通孔が形成されている、ことを特徴とする構成9に記載の板状逆Fアンテナ。
(11)構成11
貫通孔は、前記マイクロストリップラインの長手方向にスリット状に形成され、前記マイクロストリップラインには前記貫通孔に対向する位置に、前記長手方向と交差する方向の溝が複数形成されている、ことを特徴とする構成9に記載の板状逆Fアンテナ。
【符号の説明】
【0080】
1 板状逆Fアンテナ、折曲板状逆Fアンテナ
【0081】
10 接地導電板
10a 第1接地導電板
10b 第2接地導電板
10p 第3接地導電板
20 短絡板
20a 第1短絡板
20b 第2短絡板
20p 第3短絡板
30 主導電板
31a、31b スリット
32a 第1励起導電板
32b 第2励起導電板
33 マイクロストリップライン(MSL)
40 同軸線
41 給電ピン(中心導体)
42 外部導体
43 給電ピン

【特許請求の範囲】
【請求項1】
グランドに接続される接地導電板と、
前記接地導電板に接続された短絡部材と、
前記短絡部材が一端の側に接続された主導電板とを備え、
前記主導電板は、
前記短絡部材が接続された側と反対側の他端から、アンテナの入力インピーダンスがZとなる位置、まで形成された1又は複数のスリットと、
前記主導電板の側端と前記1のスリットの間、又は前記複数のスリットのうち隣り合うスリットの間に、特性インピーダンスがZとなる幅wで形成され、給電ラインが接続される、マイクロストリップラインと、
前記スリットの前記マイクロストリップラインが隣接しない側に形成された1又は複数の励起導電板と、
を具備することを特徴とする板状逆Fアンテナ。
【請求項2】
前記接地導電板と前記短絡部材と前記主導電板は、互いに連続する1枚の導電板から一体形成され、前記接地導電板と前記短絡部材の接続部と、前記短絡部材と前記主導電板の接続部で同方向に折り曲げられることで形成されている、
ことを特徴とする請求項1に記載の板状逆Fアンテナ。
【請求項3】
前記スリットは、前記主導電板の幅方向の中心から両側等距離の位置に2つ形成されることで、前記主導電板の中央にマイクロストリップラインが形成され、その両側に第1励起導電板と第2励起導電板が形成されている、
ことを特徴とする請求項1又は請求項2に記載の板状逆Fアンテナ。
【請求項4】
前記第1励起導電板と第2励起導電板は、異なる長さに形成されている、
ことを特徴とする請求項3に記載の板状逆Fアンテナ。
【請求項5】
前記第1励起導電板と第2励起導電板は、前記接地導電板との間隔が異なる間隔に形成されている、
ことを特徴とする請求項3に記載の板状逆Fアンテナ。
【請求項6】
前記接地導電板には、前記マイクロストリップラインの開放端に対応する位置に給電ライン用の貫通孔が形成されている、
ことを特徴とする請求項1から請求項5のうちの何れか1の請求項に記載の板状逆Fアンテナ。
【請求項7】
貫通孔は、前記マイクロストリップラインの長手方向にスリット状に形成され、
前記マイクロストリップラインには前記貫通孔に対向する位置に、複数の貫通孔、又はスリット状の貫通孔が形成されている、
ことを特徴とする請求項6に記載の板状逆Fアンテナ。
【請求項8】
貫通孔は、前記マイクロストリップラインの長手方向にスリット状に形成され、
前記マイクロストリップラインには前記貫通孔に対向する位置に、前記長手方向と交差する方向の溝が複数形成されている、
ことを特徴とする請求項6に記載の板状逆Fアンテナ。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【図19】
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【図20】
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【図21】
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【図22】
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【図23】
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【図24】
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【図25】
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【公開番号】特開2013−46401(P2013−46401A)
【公開日】平成25年3月4日(2013.3.4)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−185316(P2011−185316)
【出願日】平成23年8月26日(2011.8.26)
【出願人】(502152126)学校法人智香寺学園 (10)
【出願人】(510233828)
【出願人】(500353222)エスアイアイ移動通信株式会社 (46)
【Fターム(参考)】