説明

【課題】高いストレッチ効果を容易に得ることができる枕を提案する。
【解決手段】硬質性芯部3と軟質性外周部4とを備えた長尺柱状を成す構成としたものであるから、例えば抱き枕1として適用した場合にあって、抱き付いた際に該硬質性芯部3が上肢h,hや下肢の支点30,30となって肩胛骨や骨盤を伸ばすストレッチ効果を発揮し得る。この抱き枕1は、抱き心地の良さと前記ストレッチ効果との両方を有するものであり、従来に無い高い有用性を発揮できる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、少なくとも身体の一部を支えることができる枕に関する。
【背景技術】
【0002】
例えば、横になって抱き付くことにより身体を支えることができる抱き枕としては、袋状のカバーの内部に、クッション、ビーズ、そば殻等を収容したものが良く知られている。ここで、カバー内に収容するものとしては、抱き付いた際に身体への負担が無く且つ心地良い感触を得られるものが適用される。例えば、ビーズやそば殻等を収容した構成では、その収容量を調整することにより容易に変形でき且つ反発しないようにしている。この構成では、抱き枕に抱き付いて休む際に手足を絡めて抱き付き易くかつ抱き心地が良く、高いリラックス効果を奏し得る。
【0003】
抱き枕としては、例えば特許文献1のように、抱き付き易くするために身体に合わせた外形状としたものが提案されている。この抱き枕は、手足を絡め易くするように外形状を設定したものであり、抱き心地の良さを向上できると共に、抱き付いた状態での安定性を向上している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開平11−113707号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
抱き枕は、人間が触れるものであることから、上記した抱き心地の良さが重要視されている。しかし、抱き心地は人間の感性によることから、その満足感には個人差がある。そのため、抱き心地の良さを向上することには限界がある。このようなことから、抱き枕には、抱き心地に加えて、他の新たな付加価値(効能)が求められている。
【0006】
尚、抱き枕以外の別用途の枕にあっても、身体の一部を支持した際に、触り心地(リラックス性)の良さに加えて、他の付加価値を備えているものが求められている。
【0007】
本発明は、触り心地(抱き心地)と別の効能を発揮し得る枕を提案するものである。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明は、長尺柱状の枕であって、長手方向に沿って設けられた硬質性芯部と、該硬質性芯部を覆うように設けられた軟質性外周部とを備えてなるものであることを特徴とする枕である。
【0009】
本発明の枕としては、横になった身体を支え得る抱き枕が好適に用い得る。この抱き枕に適用した場合について、本発明の特徴を以下に説明する。
硬質性芯部としては、当該抱き枕に抱き付いた際に両腕(上肢)や両足(下肢)を絡めるようにして抱き付いた際に、その抱き付いた力により局部的な変形を生じ難いもの(所謂、非変形容易性を有するもの)であり、前記抱き付いた力では局部的な変形をほとんど生じないものや、局部的な変形を生じてもその変形量(歪み量)が小さいものを含む。尚、長尺柱状という形状効果により、抱き付いた際に発生した比較的小さな変形に伴って全体的に撓むことはあり得る。このような硬質性芯部の具体例としては、例えば、プラスチック製のもの、袋状の封入体の内部にプラスチックビーズやそば殻等を充填したもの等が好適に用い得る。ここで、後者の場合には、プラスチックビーズやそば殻等を隙間無く詰め込んで充填することにより、前記非変形容易性を有するものとする。一方、軟質性外周部としては、当該抱き枕に両腕(上肢)や両足(下肢)を絡めるようにして抱き付いた際に、その抱き付いた力により局部的な変形を容易に生じ得るもの(所謂、易変形性を有するもの)である。このような軟質性外周部の具体例としては、例えば、綿、ウレタン、発泡材等を好適に用い得る。又は、プラスチックビーズやそば殻等を袋状の封入体内で移動可能とするように、該封入体に所定量を収容したものとしても良い。さらに、軟質性外周部としては、抱き心地を良くするために、低反発性材料を用いることが好適に用い得る。
【0010】
上述した本発明を適用した抱き枕にあっては、腕(上肢)や足(下肢)により抱き付いた際に、硬質性芯部が局部的な変形をほとんど生じないことから、該硬質性芯部が上肢や下肢の支点となって、肩胛骨や骨盤を身体横方向へ伸ばすことができる。ここで、上肢や下肢により抱き付いた場合には、上肢や下肢が硬質性芯部により中心方向へ向かう移動が妨げられる。そのため、硬質性芯部が支点となって、上肢や下肢が該支点よりも反対側で硬質性芯部を包み込むように動くことから、上肢や下肢が身体横方向へ伸び、これに伴って肩胛骨や骨盤を伸ばすことができる。
【0011】
このように抱き枕に適用すれば、上記のように肩胛骨や骨盤を伸ばすというストレッチ効果を発揮できるものであり、該ストレッチ効果に伴って肩胛骨や骨盤の補正効果も生じ得る。また、抱き付いた際に軟質性外周部が容易に変形することにより、所望の抱き心地の良さを有し、高いリラックス効果を奏し得る。したがって、本発明を適用した抱き枕は、抱き心地の良さを有すると共に、肩胛骨や骨盤のストレッチ効果という付加価値(効能)を発揮できるものであり、従来に無い極めて高い有用性を持つ。
【0012】
尚、本発明の枕は、上記した抱き枕以外にも、頭を載せる枕、腕枕、足枕等にも適用可能であり、触り心地(リラックス性)の良さとストレッチ効果とを発揮できる。例えば、頭を載せる枕に適用した場合には、首(頸椎)のストレッチ効果を発揮することができ得る。腕枕に適用した場合には、腕(上肢)のストレッチ効果を発揮でき、また、足枕に適用した場合には、足(下肢)のストレッチ効果を発揮できる。
【0013】
上述した本発明の枕にあって、硬質性芯部が、上肢を支えるための上肢支持芯部と、下肢を支えるための下肢支持芯部とを備え、前記上肢支持芯部の横断面積を下肢支持芯部に比して大きく形成したものである構成が提案される。
【0014】
本構成は、実質的に抱き枕を想定したものである。ここで、人間の身体的特徴として、肩関節(上肢の連結部位)は股関節(下肢の連結部位)に比して身体の横方向外側に位置する。本構成にあっては、横断面積の大きい上肢支持芯部が、下肢支持芯部に比して、横方向幅を大きくできるものである。そのため、上肢支持芯部による上肢の支点が下肢支持芯部による下肢の支点に比して外側となることから、上肢支持芯部による上肢の支点と下肢支持芯部による下肢の支点とを、前記身体的特徴に応じて設定することができる。これにより、上肢支持芯部により肩胛骨を伸ばすストレッチ効果と下肢支持芯部により骨盤を伸ばすストレッチ効果とが、一層安定して発揮され得る。
【0015】
上肢支持芯部としては、その横方向幅が肩幅に比して極端に広くなったり狭くなったりしないように、その横断面積を適宜設定した構成が好適である。一方、下肢支持芯部としては、前記上肢支持芯部より横方向幅が狭く且つ抱き付いた際に股関節を開きすぎないように、その横断面積を適宜設定した構成が好適である。
【0016】
このような枕にあって、硬質性芯部が、長手方向の一側に所定長さで形成された上肢支持芯部と、長手方向の他側に所定長さで形成された下肢支持芯部とを連成してなるものである構成が提案される。
【0017】
かかる構成にあっては、所定長さの上肢支持芯部により上半身を安定的に支えることができることから、上肢により抱き付いた際に、肩胛骨のストレッチ効果が一層安定して発揮され得る。さらに、所定長さの下肢支持芯部により、下肢を絡め易く且つ抱き付いた状態を維持し易いことから、骨盤のストレッチ効果を安定して維持し易い。
【0018】
上述した本発明の枕にあって、硬質性芯部が断面円形状に形成されている構成が提案される。ここで、断面円形状としては、断面真円形状、断面略円形状、断面楕円形状を含むものである。
【0019】
かかる構成によれば、少なくとも身体の一部を支持する際に、身体の向きに関わらず容易に支持することができ且つその状態を維持し易い。例えば、抱き枕に適用した場合には、抱き付いた際に上肢や下肢を絡め易く且つその状態を維持し易い。したがって、本構成によれば、上述した本発明の作用効果が一層安定して発揮され得る。
【0020】
このような枕にあって、硬質性芯部は、上肢を支えるための上肢支持芯部と、下肢を支えるための下肢支持芯部とを備え、該上肢支持芯部の外径に対する下肢支持芯部の外径比が0.3以上かつ0.6以下となるように形成したものである構成が提案される。
【0021】
かかる構成にあっては、上肢支持芯部の外径に対する下肢支持芯部の外径比を上記範囲とすることにより、該上肢支持芯部による上肢の支点を、下肢支持芯部による下肢の支点に比して外側とできることから、肩胛骨と骨盤とのストレッチ効果を一層向上できる。これは、上述したように、肩関節が股関節よりも身体の横方向外側にあることに因る。
【0022】
尚、上肢支持芯部に対する下肢支持芯部の外径比としては、0.3より小さいと下肢が径方向内側に入り過ぎてしまい易く、骨盤のストレッチ効果が低減する傾向にある。一方、0.6より大きいと、下肢を絡め難くなるため、骨盤のストレッチ効果の安定性が低減する傾向にある。
【発明の効果】
【0023】
本発明の枕は、上述したように、硬質性芯部と軟質性外周部とを備えた長尺柱状を成すものであることから、抱き枕に適用した場合に、抱き付いた際に該硬質性芯部が上肢や下肢の支点となって肩胛骨や骨盤を伸ばすストレッチ効果を発揮し得る。したがって、本発明を適用した抱き枕は、抱き心地の良さに基づく高いリラックス効果と前記ストレッチ効果との両者を発揮して、従来に無い高い有用性を有するものである。
【0024】
上述した本発明の枕にあって、硬質性芯部が上肢支持芯部と下肢支持芯部とを備え、前記上肢支持芯部の横断面積を下肢支持芯部に比して大きく形成したものである構成では、例えば抱き枕とした場合に、上肢支持芯部による上肢の支点と下肢支持芯部による下肢の支点とを身体的特徴に応じて設定できることから、上肢支持芯部と下肢支持芯部とによる夫々のストレッチ効果を一層安定して発揮でき得る。
【0025】
ここで、硬質性芯部が、長手方向の一側に所定長さで形成された上肢支持芯部と、長手方向の他側に所定長さで形成された下肢支持芯部とを連成してなる構成とした場合には、上肢支持芯部により上半身を支え易いと共に、下肢を絡め易く且つその状態を維持し易い。これにより、上述したストレッチ効果を安定して維持することができ得る。
【0026】
上述した本発明の枕にあって、硬質性芯部が断面円形状に形成されている構成とした場合には、少なくとも身体の一部を容易かつ安定して支持し易い。例えば抱き枕の場合には、抱き付いた際に上肢や下肢を安定して絡め易く且つその状態を維持し易いことから、上述したストレッチ効果を一層安定して発揮できる。
【0027】
ここで、上肢支持芯部と下肢支持芯部とを備えた硬質性芯部は、該上肢支持芯部に対する下肢支持芯部の外径比が0.3以上かつ0.6以下となるように形成したものである構成とした場合には、身体的特徴に応じて上肢支持芯部による支点と下肢支持芯部による支点とを定め得ることから、上肢支持芯部と下肢支持芯部とによる夫々のストレッチ効果を一層安定して発揮でき得る。
【図面の簡単な説明】
【0028】
【図1】本実施例にかかる抱き枕1の、(A)側面図と、(B)L−L断面図と、(C)M−M断面図である。
【図2】抱き枕1に抱き付いた状態を示す説明図である。
【図3】抱き枕1に上肢を絡めた状態を示す説明図である。
【図4】抱き枕1に下肢を絡めた状態を示す説明図である。
【図5】別例の抱き枕51の縦断面図である。
【図6】さらに別例の抱き枕61の縦断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0029】
本発明の実施例を、添付図面を用いて詳述する。
本実施例の抱き枕1は、図1のように、長尺の略円柱形状に形成されており、袋状のカバー2と、該カバー2内に収容された硬質性芯部3および軟質性外周部4とを備えたものである。尚、この抱き枕1が、本発明の枕である。
【0030】
ここで、袋状のカバー2は、直接的に身体と接触することから、容易に変形する軟質性を有し且つ触った感触(触り心地)の良い材料により形成されたものが好適である。具体的には、皮製、布製、ビニール製のものが用いられる。そして、このカバー2は、その内部に収容した硬質性芯部3や軟質性外周部4を出し入れ可能とするように、図示しないジッパーにより開閉する収容口(図示せず)を備えた構成が好適である。
【0031】
上記のカバー2内には、硬質性芯部3が当該抱き枕1の径方向中央に配設されており、当該硬質性芯部3の外側を覆うように軟質性外周部4が配設されている。そして、硬質性芯部3および軟質性外周部4は、カバー2内で、長手方向に亘って設けられている。これら硬質性芯部3と軟質性外周部4とによって径方向で二重構造を形成している。
【0032】
この硬質性芯部3は、外径の大きい断面略円形の上肢支持芯部11と外径の小さい断面略円形の下肢支持芯部12とが、夫々の中心軸線(図示せず)を一致するように長手方向に沿って一列状に連成されてなる構成である。ここで、上肢支持芯部11と下肢支持芯部12とはそれぞれ略円柱形状に形成されており、上肢支持芯部11の外径が、下肢支持芯部12に比して太径となっている。具体的には、上肢支持芯部11の外径に対する下肢支持芯部12の外径比が0.3以上かつ0.6以下の範囲となるように設定されている。また、上肢支持芯部11と下肢支持芯部12との各長さは、カバー2の長手方向略中央部分で両者が連結するように設定されている。尚、硬質性芯部3としては、上肢支持芯部11と下肢支持芯部12とを一体的に形成したものが好適である。
【0033】
本実施例にあって、硬質性芯部3は、上記した上肢支持芯部11と下肢支持芯部12との形態を成す袋状の封入体(図示せず)と、該封入体内に詰め込まれた多数のプラスチックビーズ(図示せず)から構成されている。封入体内に多数のプラスチックビーズを詰め込んで隙間無く充填することによって、上肢支持芯部11と下肢支持芯部12とが形成される。そして、この硬質性芯部3は、プラスチックビーズが隙間無く充填して形成されていることから、局所的な外圧が作用しても、封入体内でプラスチックビーズが移動できないために、局部的な変形を生じ難い。尚仮に、プラスチックビーズの封入量を低減した構成とすれば、該プラスチックビーズが封入体内で容易に移動可能となることから、この構成は本実施例の硬質性芯部3に該当しない。
【0034】
一方、軟質性外周部4は、その径方向中央に上記した硬質性芯部3を内嵌するように形成されており、換言すると、硬質性芯部3をその径方向外側から覆うように形成されている。そして、軟質性外周部4の外周面は、略同じ外径寸法により形成された直胴形状を成し、その内周面は、上記した上肢支持芯部11を内嵌するための大内径部位と、下肢支持芯部12を内嵌するための小内径部位とが連成した形状を成している。このように軟質性外周部4は、内径の異なる二つ内周面を段状に有する円筒形状に形成されている。本実施例にあって、軟質性外周部4は、低反発性を有するウレタンにより一体的に形成されており、比較的容易に変形することができる。
【0035】
上述したように、本実施例の抱き枕1は、カバー2内に硬質性芯部3と軟質性外周部4とを収容したものである。ここで、抱き枕1は、外径が30〜40cm、長さ140〜160cmのものとして形成されている。そして、軟質性外周部4は、カバー2内にほぼ隙間無く収まる寸法として設定されている。また、硬質性芯部3は、その軟質性外周部4の外径寸法に対する上肢支持芯部11の外径寸法比が0.7〜0.8の範囲となるように設定されていると共に、軟質性外周部4の外径寸法に対する下肢支持芯部12の外径寸法比が0.3〜0.4の範囲となるように設定されている。そして、上肢支持芯部11の外径寸法に対して下肢支持芯部12の外径寸法比が0.3〜0.6の範囲となるように設定されている。これにより、上肢支持芯部11の横断面積が下肢支持芯部の横断面積に比して大きくなっている。
【0036】
尚、本実施例にあっては、カバー2の表面に、上肢支持芯部11と下肢支持芯部12との位置関係がわかるように所定の表示(図示せず)をしている。ここで、本実施例の抱き枕1にあって、上肢支持芯部11を内在する部位(長手方向の一側部位)が、上肢抱き付き部8であり、下肢支持芯部12を内在する部位(長手方向の他側部位)が、下肢抱き付き部9である。前記表示により、上肢抱き付き部8と下肢抱き付き部9とが容易にわかることから、後述するように、上肢抱き付き部8を両腕(上肢)h,hにより抱き付き、下肢抱き付き部9を両足(下肢)f,fにより抱き付く(図2〜4参照)。
【0037】
上述した抱き枕1は、通常、図2のように、横になって上肢(腕)h,hと下肢(足)f,fとを絡めて抱き付くようにして用いられる。ここで、上肢h,hが、図3のように、抱き枕1の上肢抱き付き部8を囲み込むように絡められると、その絡められた部位でカバー2および軟質性外周部4が径方向内方へ押し込まれて局部的に圧縮変形する。これは、カバー2および軟質性外周部4が易変形性を有していることに因る。一方、この軟質性外周部4の内部の上肢支持芯部11は、非変形容易性を有していることから、上肢h,hを絡めたことにより径方向内方への負荷が作用しても局部的な変形(圧縮変形)をほとんど生じない。そのため、上肢支持芯部11の、抱き付いている上肢h,hにより最も挟圧する両側部位が、該上肢h,hの支点30,30となることにより、上肢h,hが上肢支持芯部11の周方向に沿って反対側へ回り込むように伸びる。これにより、上肢h,hが身体横方向へ伸びて、肩胛骨を伸ばすことができるから、肩胛骨のストレッチ効果と補正効果とを発揮でき得る。
【0038】
さらに、下肢f,fが、図4のように、抱き枕1の下肢抱き付き部9を囲み込むように絡められると、その絡められた部位では、カバー2および軟質性外周部4が径方向内方へ押し込まれて局部的に圧縮変形すると共に、下肢支持芯部12がほとんど変形しない。そのため、上述した上肢h,hの場合と同様に、下肢支持芯部11の、抱き付いている下肢f,fにより最も挟圧する両側部位が、下肢f,fの支点31,31となることにより、該下肢f,fが周方向に沿って反対側へ回り込むように伸びる。これにより、骨盤を伸ばすことができるから、骨盤のストレッチ効果と補正効果とを発揮でき得る。
【0039】
尚、上肢支持芯部11は、下肢支持芯部12に比して太径であることから、上肢h,hの支点30,30が下肢f,fの支点31,31よりも径方向外側に位置する(図3,4参照)。肩幅は股関節の幅よりも広いことから、上肢h,hおよび下肢f,fをそれぞれ絡め易く、上述した上肢h,hを伸ばす効果と下肢f,fを伸ばす効果とをそれぞれ効果的に生じさせ易い。さらに、横になって抱き枕1に抱き付いたまま休む場合にあって、この抱き付いた状態を維持し易いことから、肩胛骨と骨盤とのストレッチ効果と補正効果とを安定に発揮し得る。
【0040】
特に、本実施例にあっては、軟質性外周部4を低反発性ウレタンにより形成していることから、上記した抱き付いた状態を維持する効果に優れており、ストレッチ効果と補正効果との安定性を一層向上できる。そして、抱き付いた際に抱き付き易く、抱き心地も良いことから、高いリラックス効果を奏し得る。
【0041】
上述した実施例の別例として、図5のように、直胴状の略円柱形状とした硬質性芯部53と円筒形状の軟質性外周部54とを備えた構成の抱き枕51とすることもできる。この抱き枕51にあっては、その長手方向で同じ構造を有するものであるから、上肢と下肢とを絡み付ける位置が自由である(上記の上肢抱き付き部と下肢抱き付き部とが設定されていない)。この構成の抱き枕51にあっても、上述した実施例と同様に、肩胛骨と骨盤とのストレッチ効果と補正効果とを発揮できる。尚、上述した実施例を同じ構成要素には同じ符号を記し、その説明を省略する。
【0042】
さらに別例として、図6のように、硬質性芯部63が太径の上半身支持芯部65と細径の下肢支持芯部12とを備えており、該上半身支持芯部65に環状溝71が周成された構成の抱き枕61とすることもできる。ここで、上半身支持芯部65に設けられた環状溝71により、本発明にかかる上肢支持芯部が構成されている。上半身支持芯部65を内在する部位が、上述した上肢抱き付き部68である。この抱き枕61にあって、上肢支持芯部(環状溝)71は、上半身に支える上半身支持芯部65に設けられていることから、上肢を絡み付けた際に、上肢を安定して維持できると共に、上半身をも安定して支持することができる。特に、横になった際に下側に位置する片方の上肢が抱き枕61と床との間で挟まれてしまうことを抑制できる。この構成の抱き枕61にあっても、上述した実施例と同様に、肩胛骨と骨盤とのストレッチ効果と補正効果とを発揮できる。尚、上述した実施例を同じ構成要素には同じ符号を記し、その説明を省略する。
【0043】
上述した実施例および二つの別例にあっては、抱き枕(軟質性外周部)を略円柱形状としたものであるが、この外形状を適宜変更することも可能である。例えば、楕円柱形状、長手方向の一部で径方向外方へ湾曲状に隆起する形状、径方向内方へ湾曲状に窪む形状等とすることもできる。同様に、硬質性芯部にあっても、前記外形状に応じた形状にすることも可能である。尚、硬質性芯部にあっては、軟質性外周部の外形状と異なる形状とすることも可能である。例えば、三角柱状や四角柱状等のように多角柱状としても良いし、多角形と湾曲形とが連成する断面形状の長尺柱状とすることも可能である。
【0044】
また、抱き枕の外皮を構成するカバーとしては、メッシュ状のものとすることも可能である。さらに、カバーを備えずに、軟質性外周部と硬質性芯部とからなる構成としても良い。また、例えば、軟質性外周部を径方向に沿った複数の積層構造としても良いし、同様に、硬質性芯部を径方向に沿った複数の積層構造としても良い。
【0045】
本発明にあっては、上述した実施例に限定されるものではなく、その他の構成についても、本発明の趣旨の範囲内で適宜変更可能である。本発明は、抱き枕以外にも、頭を載せる枕、腕枕、足枕等に適用可能である。例えば、上述した抱き枕の寸法形状を適宜変更したものを足枕として用いることができる。この足枕に足首を載せて仰向けで横たわることにより、太股の裏からハムストリングスまでの伸ばすストレッチ効果を得ることができる。
【符号の説明】
【0046】
1,51,61 抱き枕(枕)
3,63 硬質性芯部
4 軟質性芯部
11 上肢支持芯部
12 下肢支持芯部
71 環状溝(上肢支持芯部)
h 上肢
f 下肢

【特許請求の範囲】
【請求項1】
長尺柱状の枕であって、
長手方向に沿って設けられた硬質性芯部と、該硬質性芯部を覆うように設けられた軟質性外周部とを備えてなるものであることを特徴とする枕。
【請求項2】
硬質性芯部が、上肢を支えるための上肢支持芯部と、下肢を支えるための下肢支持芯部とを備え、前記上肢支持芯部の横断面積を下肢支持芯部に比して大きく形成したものであることを特徴とする請求項1に記載の枕。
【請求項3】
硬質性芯部が、長手方向の一側に所定長さで形成された上肢支持芯部と、長手方向の他側に所定長さで形成された下肢支持芯部とを連成してなるものであることを特徴とする請求項2に記載の枕。
【請求項4】
硬質性芯部が、断面円形状に形成されていることを特徴とする請求項1乃至請求項3のいずれか1項に記載の枕。
【請求項5】
硬質性芯部は、上肢を支えるための上肢支持芯部と、下肢を支えるための下肢支持芯部とを備え、該上肢支持芯部の外径に対する下肢支持芯部の外径比が0.3以上かつ0.6以下となるように形成したものであることを特徴とする請求項4に記載の枕。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2012−81137(P2012−81137A)
【公開日】平成24年4月26日(2012.4.26)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−230804(P2010−230804)
【出願日】平成22年10月13日(2010.10.13)
【出願人】(500584251)株式会社エヌシィシィ (7)
【Fターム(参考)】