説明

枚葉印刷機の天地逆刷り検知装置及び天地逆刷り検知方法

【課題】ベタマークを印刷するためのスペースを必要とせず、精度良く天地逆刷りを検出できるようにした、枚葉印刷機の天地逆刷り検知装置及び天地逆刷り検知方法を提供する。
【解決手段】枚葉紙8の片面の印刷面に印刷を行う枚葉印刷機に備えられ、印刷面と印刷面の反対側の既印刷面との絵柄の天地方向が反対向きである天地逆刷りを検知する天地逆刷り検知装置であって、枚葉印刷機に通紙される枚葉紙8の既印刷面の所定箇所を撮像する画像センサ10と、画像センサにより撮像された枚葉紙の既印刷面の撮影画像データと判定基準となる基準画像データとを比較し、撮影画像データと基準画像データとのデータ一致度が予め定められた一致閾値以下のときには撮像された枚葉紙に対して天地逆刷りと判定する判定手段22とを備えて構成する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、片面印刷を行う枚葉印刷機等に備えられ、印刷シートの両面の絵柄の天地方向が互いに反対向きとなる天地逆刷りを検知する、枚葉印刷機の天地逆刷り検知装置及び天地逆刷り検知方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、一度の通紙によって枚葉紙の片面にのみ印刷を行う片面枚葉印刷機(片面印刷機)が広く用いられている。
この片面印刷機により片面のみ印刷された印刷物はもちろん、表裏両面共に印刷された印刷物を生産することも一般的に行われている。
片面印刷機を用いて枚葉紙(印刷シート)の表裏両面共に印刷を行う場合は、まず両面共に未印刷状態の枚葉紙を片面印刷機に通紙することにより片面(以下、説明容易のために第1の印刷面ともいう)の印刷を行い、片面印刷された印刷シートを暫く放置して経時乾燥させる。印刷面が十分に乾燥した後に印刷シートを表裏反転させて再び片面印刷機に通紙することにより未印刷状態の反対側の面(以下、第2の印刷面)の印刷を行う。
【0003】
ところで、第1の印刷面の印刷絵柄と第2の印刷面の印刷絵柄との絵柄の方向は、当然ながら、製品の見本となる製品見本(印刷見本)に合わせる必要がある。
このため、第1の印刷面の印刷を行った後、第2の印刷面の印刷を行う際には第1の印刷面の印刷絵柄と第2の印刷面の印刷絵柄とが互いに天地反対向き(これを天地逆刷りという)とならないように、印刷シートを適切な方向に印刷機の給紙部にセットする必要がある。
【0004】
ところが、片面印刷機にセットする印刷シートは、枚葉紙が一枚一枚積み重ねられた積重状態のシート束となっており、このシート束には他のものとは反対向き(天地逆向き)に積重された印刷シートが混入している場合がある。
これは、第1の印刷面の印刷を行う際、印刷品質の検査等のために、オペレータが片面印刷された印刷シートのシート束から品質検査用の印刷シートを引き抜き、品質検査後に再びシート束に印刷シートを戻す際に印刷シートの載置方向を誤ってしまうこと等が原因として考えられる。
【0005】
このようにシート束の中に天地逆向きに積重された印刷シートが混入している場合には、第2の印刷面の印刷を行う際に片面印刷機の給紙部にシート束を適切な方向にセットしたとしても、天地逆刷りの不良印刷物が混入してしまうことになりこの不良印刷物が製品としての印刷物に混入すれば、印刷物の読み手側に見難さや違和感を与え、印刷物を提供する側の信用の低下も招きかねない。
【0006】
このような不都合を防止するために従来より第2の印刷面の印刷時に天地逆刷りを検知する技術が提案されている。印刷時に天地逆刷りを検知することで、天地逆刷りとなった不良印刷物が製品としての印刷物に紛れ込むことなく容易に除去することができるためである。
例えば、特許文献1の技術では印刷紙の表面(第1の印刷面に相当)にベタマークを印刷しておき、裏面(第2の印刷面に相当)を印刷する際に光電管によりベタマークを検知することにより天地逆刷りを検知する。
【0007】
また、特許文献2の技術では枚葉印刷物の既印刷面(第1の印刷面)の所定箇所の濃度をRGBの各色成分毎の濃度を検出する濃度検出センサによって検出し、検出した印刷物の濃度と他の印刷物の濃度とを比較装置により比較するとともに比較した結果を表示するように構成されており、検出された既印刷面の濃度が印刷シート毎に大きく異なる場合には天地逆刷りを検知することができる。
【特許文献1】特公昭58−51825号公報
【特許文献2】特公平5−57909号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
しかしながら、特許文献1の技術では印刷シートに天地逆刷りを検出するためのベタマークを印刷するために印刷面の他に余分なスペースが必要となり、本来、製品としては不要な損紙部分が増大する。
また、特許文献2の技術では、天地逆刷りの検知を濃度検出センサによる濃度の検出により行っており、天地逆刷りの検知精度には限界があった。
【0009】
即ち、濃度検出センサでは所定の検出範囲においての平均的な光の反射濃度を検出するものであるため測定エリアにおいての空間解像度がない。
このため、例えば、図6(A)に示すように測定エリアの面積の半分が濃度100%であり残り面積の半分が濃度0%である絵柄部分と、図6(B)に示すように測定エリアの面積全体が50%の色濃度である絵柄部分とをそれぞれ濃度検出センサにより計測した場合には、いずれの計測結果も濃度50%となる。
【0010】
このように、濃度検出センサによる計測では実際には印刷絵柄が大きく異なっている場合であっても検出結果には実質的な差が生じない場合がある。したがって、天地が逆であっても、測定エリアの平均濃度に明確な差がなければ天地逆刷りであるか否かを区別できないことになる。
本発明はこのような課題に鑑み創案されたもので、ベタマークを印刷するためのスペースを必要とせず、精度良く天地逆刷りを検出できるようにした、枚葉印刷機の天地逆刷り検知装置及び天地逆刷り検知方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0011】
上述の目的を達成するために、請求項1記載の本発明の枚葉印刷機の天地逆刷り検知装置は、枚葉紙の片面の印刷面に印刷を行う枚葉印刷機に備えられ、前記印刷面と前記印刷面の反対側の既印刷面との絵柄の天地方向が反対向きである天地逆刷りを検知する天地逆刷り検知装置であって、前記枚葉印刷機に通紙される前記枚葉紙の前記既印刷面の所定箇所を撮像する画像センサと、前記画像センサにより撮像された前記枚葉紙の前記既印刷面の撮影画像データと判定基準となる基準画像データとを比較し、前記撮影画像データと前記基準画像データとのデータ一致度が予め定められた一致閾値以下のときには前記撮像された前記枚葉紙に対して前記天地逆刷りと判定する判定手段と、を備えていることを特徴としている。
【0012】
なお、ここでいう画像センサとは濃度計とは異なり、画像センサの測定エリアにおいて所定の解像度(空間解像度)を有する撮影画像データを取得可能なセンサである。このようなセンサとしてはCCDセンサやC−MOSセンサが考えられる。
また、前記枚葉印刷機は、前記枚葉紙を供給する給紙装置と、前記枚葉紙の前記印刷面に印刷を行う印刷ユニットと、前記給紙装置から供給された前記枚葉紙を前記印刷ユニットに搬送するための中間胴と、を備えており、前記画像センサは、前記中間胴の周面上にある前記枚葉紙の前記既印刷面を撮像するように配設されていることが好ましい(請求項2)。
【0013】
これにより、枚葉紙のばたつき等が少ない第1中間胴の周面において枚葉紙を撮像することで精度のよい撮影画像データを取得することができる。また、中間胴の近傍(下方)に画像センサを設置する設置スペースを十分確保することができる。
また、前記判定手段は、基準となる前記枚葉紙の前記既印刷面を前記画像センサにより撮像して得られる前記撮影画像データを前記基準画像データとして設定し、前記天地逆刷りの判定を行うことが好ましい(請求項3)。
【0014】
これにより、基準となる枚葉紙を画像センサにより撮像することにより、簡単且つ精度の高い基準画像データを得ることができる。
また、前記判定手段は、前記枚葉紙の前記既印刷面の前記撮影画像データと前記基準画像データとのデータ一致度を示す相関値を算出し、算出した前記相関値が前記一致閾値としての相関値閾値以下のときに天地逆刷りと判定することが好ましい(請求項4)。
【0015】
相関値を算出することにより、絵柄の異常を精度良く判定することができる。
また、前記判定手段により用いられる前記相関値閾値は、前記枚葉紙の前記既印刷面の前記撮影画像データと前記基準画像データとの前記相関値を、複数の前記枚葉紙について算出し、算出した複数の前記相関値の平均値に基づいて設定されることが好ましい(請求項5)。
【0016】
これにより、天地逆刷り判定のための相関値閾値を画像センサにより実際に撮像した撮影画像データから算出した相関値の平均値に基づいて設定することにより、枚葉印刷機毎の特性に応じた適切な相関値閾値を設定することができる。
また、前記画像センサに付着する紙粉等を除去するためのエアパージを備えていることも好ましい(請求項6)。これにより、撮影画像データを精度良く撮像することができる。
【0017】
また、前記判定手段により前記天地逆刷りと判定されると前記枚葉印刷機による印刷を停止する印刷停止手段を備えていることが好ましい(請求項7)。
これにより、天地逆刷りが検知されたことをオペレータに知らせることができるとともに、天地逆刷りの不良シートが製品に紛れ込んでしまうことを防止して不良シートの除去を容易に行うことができる。
【0018】
また、前記判定手段により前記天地逆刷りと判定されると前記天地逆刷りであることを報知する報知手段を備えていることが好ましい(請求項8)。
これにより、天地逆刷りが検知されたことを積極的にオペレータに知らせることができる。
また、請求項9記載の本発明の天地逆刷り検知方法は、枚葉紙の片面の印刷面に印刷を行う枚葉印刷機において前記印刷面と前記印刷面の反対側の既印刷面との絵柄の天地方向が反対向きである天地逆刷りを検知する天地逆刷り検知方法であって、前記枚葉印刷機に通紙される前記枚葉紙の前記既印刷面の所定箇所を画像センサにより撮像する撮像ステップと、前記画像センサにより撮像された前記枚葉紙の前記既印刷面の撮影画像データと判定基準となる基準画像データとを比較し、前記撮影画像データと前記基準画像データとのデータ一致度が予め定められた一致閾値以下のときには前記撮像された前記枚葉紙に対して前記天地逆刷りと判定する天地逆刷り判定ステップと、を備えていることを特徴としている。
【発明の効果】
【0019】
本発明の枚葉印刷機の天地逆刷り検知装置及び天地逆刷り検知方法によれば、天地逆刷りを検知するために、画像センサにより撮像された撮影画像データと基準画像データとのデータ一致度に基づいて、撮像された枚葉紙が天地逆刷りであるか否かを精度良く判定することができる。また、天地逆刷りの検知にあたって枚葉紙にベタマーク等の印刷を行うためのスペースを設ける必要も無くこのスペース確保のための損紙部分の増大を防止することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0020】
以下、図面を参照しながら本発明の実施形態について説明する。
図1〜図5はいずれも本発明の一実施形態にかかる枚葉印刷機の天地逆刷り検知装置を説明するためのものであって、図1は天地逆刷り検知装置の構成を模式的に示す図、図2は天地逆刷り検知装置を備えた枚葉印刷機の概略構成を模式的に示す図、図3は天地逆刷り検知装置の制御系にかかる機能ブロック図、図4は天地逆刷り検知装置の特に制御系の制御態様を示すフローチャート、図5(A),図5(B)はいずれも相関値について説明するための図であり画像センサによる画像データを簡略化して模式的に示した図である。
【0021】
図2に示すように、本実施形態の印刷機1は片面4色刷りの枚葉印刷機であり給紙部50,印刷部52,排紙部51を有して構成されている。
印刷部52には印刷シート(枚葉紙)8の搬送経路に沿ってプロセスカラーのインキ色〔墨(k)、藍(c)、紅(m)、黄(y)〕毎に印刷ユニット2a,2b,2c,2dがタンデムに配置され、給紙部50から1枚ずつ送り出された印刷シート8が各印刷ユニット2a〜2dに通紙されることによって印刷シート8の上面である印刷面に各インキ色の絵柄が順に印刷され、印刷面に印刷が行われた印刷シート8は排紙部51に送られるようになっている。なお、本実施形態では片面4色刷りの印刷機を例に説明するが印刷機の刷色数及び刷色については適宜適用可能である。
【0022】
また、図1に示すように、本実施形態にかかる天地逆刷り検知装置は、最上流の印刷ユニット2aの近傍に画像センサとしてのCCDカメラ10,インバータ式照明灯11,エアパージ12を備えている。以下、給紙部50から印刷ユニット2aにかけての印刷機1の構成をより詳細に説明する。なお、本実施形態では画像センサとしてCCDカメラを用いているが、CCDカメラに限定せず、画像センサとしてC−MOSセンサ等その他の空間解像度を有する画像センサを用いるようにしても良い。
【0023】
給紙部50からフィーダボード7を介して供給された印刷シート8は、スインググリッパ9及び第1中間胴6を順に通過して最上流の印刷ユニット2aへと搬送されるようになっている。また、印刷ユニット2a〜2dはそれぞれ版胴3,ブランケット胴4,圧胴5を備えて構成されている。
給紙部50の載置台50Aには印刷シート8が1枚1枚積み重ねられた状態のシート束8Aがセットされており、給紙部50は載置台50Aにセットされたシート束8Aから印刷シート8を1枚ずつ供給可能に構成されている。なお、印刷シート8は既に片面(既印刷面)の印刷が行われており、それぞれの印刷シート8は既印刷面が下側になるように載置されている。また、これから印刷する印刷面の絵柄と既印刷面の絵柄との天地方向が印刷見本の反対(天地逆刷り)とならないようにシート束8Aの天地方向がセットされる。
【0024】
フィーダボード7には印刷シート8を搬送するための搬送ベルト(図示略)が設けられており、給紙部50から給紙された印刷シート8を印刷ユニット2a側に搬送可能となっている。なお、フィーダボード7の最下流側には見当部(図示省略)が設けられており、見当部において印刷シート8の見当合わせ(印刷シート8の搬送角度の調整)が行われるようになっている。
【0025】
スインググリッパ9は、フィーダボード7の下流側の見当部において見当合わせを行った印刷シート8の前端部分(咥え部分という)を把持するとともに第1中間胴6とフィーダボード7との間を揺動可能に構成されており、スインググリッパ9に把持された印刷シート8がスインググリッパ9の揺動により第1中間胴6の近傍まで搬送され、第1中間胴6の紙咥え装置6Aに咥え換えされることにより印刷シート8がスインググリッパ9から第1中間胴6へと受け渡されるようになっている。
【0026】
そして、スインググリッパ9から第1中間胴6に受け渡された印刷シート8は第1中間胴6の回転とともに第1中間胴6の周面に沿って搬送され、印刷ユニット2aの圧胴5の紙咥え装置5Aに咥え換えされることにより印刷シート8は第1中間胴6から圧胴5に受け渡される。その後印刷シート8は圧胴5の回転より周面に沿って搬送され、圧胴5とブランケット胴4とのニップ部において版胴3からブランケット胴4を介して印刷絵柄となるインキが印刷シート8の印刷面に転写され、印刷シート8の印刷が行われるようになっている。
【0027】
CCDカメラ10,インバータ式照明灯11及びエアパージ12はいずれも第1中間胴6の下方に配設されている。
CCDカメラ10は内部にCCD素子(CCDセンサ)を有しており第1中間胴6の下方から第1中間胴6の外周面を搬送される印刷シート8の既印刷面を撮像しうるように配向されている。なお、CCDカメラ10は図示省略のレール式移動装置によって第1中間胴6の軸方向(以下、シート幅方向ともいう)に移動可能に構成されており印刷シート8の任意の幅方向位置の絵柄を撮像可能となっている。このCCDカメラ10の移動はCCDカメラ制御装置20により制御されるようになっている。また、CCDカメラ10はレール式移動装置上に複数設置するようにしてもよい。
【0028】
インバータ式照明灯11は箱型に形成されCCDカメラ10と同様に第1中間胴6の外周面に向けて配向されており、第1中間胴6の下方から第1中間胴6の外周面(即ち、印刷シート8の既印刷面)を照明するようになっている。なお、CCDカメラ10を2台備える場合にはインバータ式照明灯は2台のCCDカメラ10の間に配置するようにしてもよい。
【0029】
CCDカメラ10はレンズ部付近のみ開口したブラケット12Aで覆われており、ブラケット12A内にはエアー配管(チューブ)12Bが挿入され、これらブラケット12A及びチューブ12Bによりエアパージ12が構成されている。
そして、図示しないエアー供給源からの空気がチューブ12Bから吹き出すようになっており、吹き出し空気によりブラケット12A内の気圧(エアー圧)を高めることにより、ブラケット12A外部からCCDカメラ10のレンズ部表面への紙粉等の付着を防止することが可能となっている。
【0030】
なお、エアー供給源は適宜設定可能であるが、例えば、印刷機1の図示省略のブロアあるいは専用のコンプレッサ等から供給されるように構成することが可能である。なお、供給される空気は十分に水分を除去されるように構成されることが好ましい。
【0031】
(制御系の機能構成)
次に、本実施形態の天地逆刷り検知装置の制御系について説明する。図1に示すように天地逆刷り検知装置は制御系としてCCDカメラ制御装置20,モニタ21,制御装置(判定手段)22,操作パネル23,警報ランプ(報知手段)24,警報スピーカ(報知手段)25を備えている。
【0032】
CCDカメラ制御装置20はそれぞれCCDカメラ10及び印刷機制御装置22と電気的に接続されている。CCDカメラ制御装置20は上述したようにレール式移動装置を制御してCCDカメラ10の配置位置の設定を行うとともに印刷機制御装置22から撮像トリガ信号をCCDカメラ制御装置20に送出してCCDカメラ10の撮像動作(撮像タイミング及び撮像タイミングにより調整可能な、印刷シート8の撮影位置)を制御するようになっている。また、CCDカメラ10により撮像された画像データ(撮影画像データ)をモニタ21及び印刷機制御装置22に入力するようになっている。
【0033】
操作パネル23はオペレータによる操作により印刷機1の各種設定等を印刷機制御装置22に入力するための入力端末装置として構成されている。
警報ランプ24及び警報スピーカ25はいずれも報知手段としての機能を有しており、後述するようにCCDカメラ制御装置20により天地逆刷りが検知された場合には、CCDカメラ制御装置20から印刷制御装置22に検知信号を送出し、印刷制御装置22からの信号に基づき、警報ランプ24が点灯するとともに警報スピーカ25から警報音が発生するようになっている。
【0034】
印刷機制御装置22はCCDカメラ制御装置20,モニタ21,操作パネル23,警報ランプ24,警報スピーカ25と電気的に接続されている。また、印刷機制御装置22は印刷機1の各部位の図示省略のコントローラ等とも電気的に接続されている。
モニタ21はCCDカメラ10による画像データや天地逆刷りの検知結果等を表示する機能を有している。
図3に示すように印刷機制御装置22はコンピュータ等によって構成され、その機能要素として印刷機制御部31,基準画像データ設定部32,相関値算出部33,天地逆刷り判定部34,CCDカメラ制御部35を有している。
【0035】
以下、図4に示すフローチャートを参照して印刷機制御装置22の機能構成とともに天地逆刷りの判定にかかる制御態様について説明する。
図4に示すように、天地逆刷りの検知を行うときには、まずステップS100として、操作パネル23からの入力によりCCDカメラ10による画像取込位置を設定する。なお、画像取込とはCCDカメラ10による撮像によって画像データを得ることであり、画像取込位置の設定とはCCDカメラ10による撮像領域(測定エリア)の座標位置を印刷シート8の既印刷面の印刷絵柄領域の内の所定の位置(座標)に設定することである。
【0036】
この画像取込位置の設定にあたっては、操作パネル23から画像取込位置の座標情報等を入力するようにしても良く、あるいは予め画像取込位置の座標を記憶させておき自動的に画像取込位置を設定するようにしてもよい。
また、画像取込位置は任意の複数の画像取込位置を設定可能とし、複数の画像取込位置を自動的に設定するようにしてもよい。
【0037】
ただし、複数の画像取込位置を設定する場合には、印刷シート8が第1中間胴6の周面を搬送される僅かな時間の間にCCDカメラ10を幅方向に移動させることは現実的ではないため、画像取込位置は印刷シート8のシート幅方向の座標が同一のものを設定する必要がある。なお、CCDカメラ10を複数台数設置している場合にはCCDカメラ10の設置台数分だけ画像取込位置のシート幅方向座標を設定することが可能である。このようにして設定された座標位置は印刷機制御装置22の記憶領域に記憶される。
【0038】
また、CIP3あるいはCIP4データ等の既印刷面の印刷絵柄の製版用の画像データ等が入手可能な場合には、画像データの絵柄を180度回転した場合に最も後述する相関値が大きく異なると考えられる座標位置を画像取込位置とするように構成してもよい。
画像取込位置が設定されると、CCDカメラ制御部35からCCDカメラ制御装置20へ画像取込位置のシート幅方向の座標情報信号が入力され、CCDカメラ制御装置20は入力された位置座標に対応してCCDカメラ10をシート幅方向に変位させる。
【0039】
次にステップS105として、操作パネル23からの入力により相関値下限値SLと平均算出枚数Mとが設定される。そして、設定された相関値下限値SLと平均算出枚数Mとは印刷機制御装置22の記憶領域に記憶される。
ステップS110として印刷機1にシートを通紙して色調調整を行う。この色調調整について補足説明すると印刷機1に印刷シート8を通紙開始してから印刷シート8の印刷面が所望の色調で印刷されるまでにはある程度の枚数を通紙する必要がある。
【0040】
通紙開始から印刷面が所望の色調で印刷されるまでの間に通紙したシートは損紙となってしまうため、通常、色調調整の為の通紙には既に損紙として何らかの欠陥を有する不良シート(ヤレ紙という)が用いられる。
そして、所望の色調の印刷が行われようになると色調調整を終了し、給紙部50にセットされたシート束8Aの上にセットされた色調調整用のヤレ紙が取り除かれて製品用の印刷シート8の通紙を開始する。このように色調調整終了後に開始される製品用の印刷シート8の通紙を本刷りという。
【0041】
次に、ステップS115として、印刷機制御部31は給紙部50から本刷りとしての印刷シート8を供給して印刷機1に通紙させる。このとき供給される印刷シート8は予め確実に天地逆刷りではないと確認された印刷シート8となるようにする。
なお、印刷機制御装置22には給紙部50から印刷シート8が供給されるとシート供給信号が入力されるようになっており、CCDカメラ制御部35はこのシート供給信号と印刷シート8の搬送速度とに基づき、ステップS100において設定された画像取り込み位置に対応した撮像タイミングを算出し、撮像タイミングに合わせて撮像トリガ信号をCCDカメラ制御装置20に送出するようになっている。
【0042】
つまり、ここでは給紙部50から供給された印刷シート8が第1中間胴6の周面を通過する際に、印刷シート8の既印刷面の画像取込位置に対応する箇所をCCDカメラ10により撮像する。そして、得られた画像データは印刷機制御部22の基準画像データ設定部32に入力され、基準画像データ設定部32は入力された画像データを基準画像データに設定し記憶する。
【0043】
なお、ステップS110の色調調整の際に通紙されるヤレ紙は既に何らかの欠陥を有する損紙であり、製品印刷用の印刷シート8とは既印刷面の絵柄が異なっているため、基準画像データの設定を行うための通紙には製品用の印刷シート8を通紙する必要がある。したがって、ステップS110の色調調整が終了した後に本刷りとして製品用の印刷シート8を通紙させるのが良いが、色調調整中に製品用の印刷シート8を通紙する場合には、ステップS110とステップS115の処理は同時に行っても良い。また、ステップS110と後述するステップS120〜S130の処理を同時に行ってもよい。
【0044】
続いてステップS120として、印刷機制御部31はステップS100において設定された平均算出枚数Mだけ給紙部50から印刷シート8を通紙させる。このとき供給される印刷シート8についても予め確実に天地逆刷りではないと確認された印刷シート8となるようにする。
そして、給紙部50から供給された印刷シート8の既印刷面の画像取込位置に対応する箇所をCCDカメラ10によりそれぞれ撮像する。そして、得られた画像データは印刷機制御部22の相関値算出部33に入力され、相関値算出部33は入力された印刷シート8毎の画像データ(以下、閾値設定用画像データという)のそれぞれと、ステップS115で設定された基準画像データと、のデータ一致度を示す相関値Pを算出する。
【0045】
この相関値Pの算出についての詳細については後述する。なお、算出された相関値はパーセンテージの形で表され、基準画像データと閾値設定用画像データとが完全に一致する場合は100%と表される。
ステップS130では、相関値算出部33において算出されたM個の相関値P1〜PMに基づき、相関値閾値P0を算出する。相関値閾値P0は後述するように天地逆刷り判定部34において、天地逆刷りであるか否かを判定する際に用いられる閾値(一致閾値)である。
【0046】
この相関値閾値P0の算出手順はまず、M個の相関値P1〜PMの平均値PAVを算出し、この平均値PAVに予め設定された係数a(0<a<1)を乗算した値aPAVを算出する。
つまり、
0=aPAV(0<a<1)・・・・(1)
である。ここで、上式(1)による相関値閾値P0の算出について解説する。
【0047】
ステップS120において得られた閾値設定用画像データやステップS110において設定された基準画像データはいずれも予め天地逆刷りではないことが確認された印刷シート(以下、正常シートという)8の既印刷面を撮像したものであり、いずれの印刷シート8も天地逆刷りではない。しかしながら、印刷シート8の既印刷面の印刷色調のバラツキや印刷シート8の搬送によるばたつき等の影響により、各閾値設定用画像データと基準画像データとの相関値には各印刷シート8毎にバラツキがある。
【0048】
そこで、それぞれバラツキを有するM個の相関値を平均することで、既印刷面の色調のバラツキや印刷シート8のばたつき等の影響を低減した相関値の平均値PAVを得ることができる。
この平均値PAVは正常シートを撮像した場合に得られる画像データと基準画像データとの相関値の中央値であるといえ、この平均値PAVに既印刷面の色調のバラツキや印刷シート8のばたつき等の影響を考慮するための所定の係数a(0<a<1)を乗算することにより、計測誤差によりバラツキを許容しながらも正常シートであるような相関値の下限値とすることができる。なお、所定の係数aは印刷機毎に実験により予め求めておく必要がある。
【0049】
次に、ステップS140では天地逆刷り判定部34において相関値閾値P0として算出した値aPAVと印刷機制御装置22に予め入力された相関値閾値の設定下限値PLとが比較される。
即ち、ステップS130において算出した値aPAVがPLよりも大きい場合(aPAV>PL)にはステップS150として天地逆刷り判定部34は上式(1)により算出した値aPAVを相関値閾値P0として設定し、印刷機制御装置22の記憶領域に記憶する。ステップS150において相関値閾値P0が設定されると以後のステップにおいて天地逆刷り判定部34における天地逆刷りの判定(検知)が開始される。このとき、天地逆刷りの検知が開始する旨をモニタ21に表示されるようにしてもよい。
【0050】
一方、ステップS130で算出した値aPAVがPL以下の場合にはステップS100に戻り画像取込位置を改めて設定する。つまり、値aPAVが設定下限値PL以下の場合には、正常シートを通紙した場合であってもCCDカメラ10により撮像される画像データにばらつきが生じやすく天地逆刷りの判定のための撮像位置として適切でないといえる。このため、ステップS100に戻り、画像取込位置を別の位置に設定するのである。
【0051】
ステップS150において相関値閾値P0が設定されるとステップS160として、印刷機制御部31が印刷シート8を通紙して印刷物の本刷りを行うとともに、CCDカメラ制御部35からの撮像トリガ信号に応じてCCDカメラ10により各印刷シート8の既印刷面が撮像され、得られた画像データを印刷機制御装置22に入力する(撮像ステップ)。
【0052】
そして、相関値算出部33では入力された画像データと基準画像データとの相関値Pが算出される。なお、各印刷シート8毎の相関値P等の情報はモニタ21に表示される。
そして、ステップS170では、天地逆刷り判定部34において相関値Pと相関値閾値P0との大小関係が比較される(天地逆刷り判定ステップ)。
相関値Pが相関値閾値P0よりも大きい場合(P>P0)には天地逆刷り判定部34は相関値Pに対応する印刷シート8は天地逆刷りではないと判定し、ステップS190に進む。
【0053】
一方、相関値Pが相関値閾値P0以下である場合には天地逆刷り判定部34は相関値Pに対応する印刷シート8が天地逆刷りである(逆刷りシート)と判定し、ステップS180へ進む。
ステップS180では印刷機制御部31は印刷機1の運転を制御して給紙部50からの新たな印刷シート8の給紙を停止させる。つまり、印刷機制御部31が印刷停止手段として機能する。また同時に、印刷機制御装置22は警報ランプ24を点灯させるとともに警報スピーカ25により警報音を発生させ、天地逆刷りを検知した旨をオペレータ等に報知する。さらに、相関値Pに対応する印刷シート8が天地逆刷りの不良紙である旨をモニタ21に表示する。
【0054】
オペレータは報知を受けて排紙部52に排紙された逆刷りシートを不良紙として除去することができる。
そして、不良シートの除去後、オペレータによる操作パネル23の操作によって印刷再開信号が入力されると、再びステップS160として本刷りとしての印刷シート8の通紙が行われる。
【0055】
そして、ステップS190では印刷機制御装置22に予め設定された印刷数量に達したか否かが判断され、印刷数量が設定数量に達した場合は刷了となりフローを終了する。また、印刷数量が背定数量に達していない場合にはステップS160に戻り、次の印刷シート8の印刷及び天地逆刷りの判定を行う。
【0056】
(相関値の算出)
ここで、相関値算出部33における相関値Pの算出について説明する。
まず、相関値算出部33では、基準画像データ設定部32において設定された基準画像とCCDカメラ10から入力された画像データ(以下、検査画像データという)とのパターンマッチングを行う。
このパターンマッチングは正規化相関法等の公知の方法で行うことが可能である。つまり、「正規化相関」とは基準画像データと検査画像データの濃淡データの変化幅を合わせてから比較する各画像データの一致度を比較する手法である。
【0057】
ここでは基準画像データ及び検査画像データのそれぞれについて画素寸法を大きくする等してデータ量を間引きされたデータを用いてパターンマッチングを行うように構成されている。
つまり、データ量を間引きされた各データを重ね合わせて後述する方法で相関値を算出するとともに重ね合わせる画素を1画素ずつずらしながらそれぞれの位置において相関値の計算を行ない、算出した相関値が最大(つまり、もっとも一致する)となる基準画像データ及び検査画像データの重ね合わせ位置を見つけ、位置ずれを補正する。
【0058】
そして、位置ズレ補正を行った後に間引きを行わない画像データ及び検査画像データを用いて、再び相関値Pを算出する。
ここで、相関値(間引きデータの相関値も含む)の算出方法について説明すると、図5(A),(B)はいずれもCCDカメラ10に内蔵されたCCDセンサの検知状態を簡略化した上で模式的に示した図である。
【0059】
図5(A),(B)に示すようにCCDカメラ10にはマス目状のCCDセンサ(画素)が配置される。図5(A),(B)ではいずれも説明容易のために100画素分のマス目により表現している。
ここで、図5(A)は基準画像データを示し、全ての画素に入力1(白で表現)があるものとする。そして、図5(B)は入力された検査画像データを示し、図中の100画素の内、1つの画素のみが入力0(黒で表現)であるものとする。この場合その入力画像の基準画像に対する相関値は
相関値(%)=全画素数のうち一致する画素数/全画素数・・・・(2)
と表すことができ、この場合の相関値は99%ということになる。
【0060】
本発明の一実施形態にかかる枚葉印刷機の天地逆刷り検知装置及び天地逆刷り検知方法はこのように構成されているので、CCDカメラ10により撮像された画像データと基準画像データとから算出された相関値Pと相関値閾値P0を比較することによって撮像された印刷シート8が天地逆刷りであるか否かを精度良く判定することができる。また、天地逆刷りの検知にあたって印刷シート8にベタマーク等の印刷を行う必要も無い。
【0061】
また、最上流の印刷ユニット2aの直ぐ上流側の第1中間胴6の周面においては、第1中間胴6の紙咥え装置6Aにより印刷シート8が把持され、また、フィーダボード7上の印刷シート8の紙摩擦(フィーダボード7と印刷シート8との摩擦)により印刷シート8にテンションがかかっているので比較的印刷シート8のばたつきが少なく、CCDカメラ10により精度良く印刷シート8の既印刷面の撮像を行うことができ、天地逆刷りの検知精度を向上することができる。
【0062】
さらに、予め天地逆刷りでないことが確認された印刷シート8をCCDカメラ10により実際に撮像することにより得た画像データを基準画像データに設定することにより、基準画像データを容易に設定することができることに加えて、印刷機1及びCCDカメラ10の特性を反映した最適な基準画像データを取得することができる。
また、天地逆刷りの判定の際の閾値となる相関値閾値P0を設定する際にも、予め天地逆刷りでないことが確認された複数の印刷シート8をCCDカメラ10により実際に撮像して得た複数の画像データと基準画像データとの相関値の平均値PAVを算出することにより求めるので、印刷機1の特性に合わせた精度の良い相関値閾値を設定することができる。
【0063】
[その他]
以上、本発明の実施形態について説明したが、本発明は上述の実施形態に限定されるものではなく、本発明の趣旨を逸脱しない範囲で種々変形して実施することができる。
例えば、実施形態では最上流の印刷ユニットの直上流側に配設される第1中間胴の周面上を搬送される印刷シート既印刷面をCCDカメラによって撮像するように構成しているが、CCDカメラの設置位置及び撮像する場所については適宜変更可能である。
また、実施形態では、撮影画像データと基準画像データとのデータ一致度を示すものとして、相関値を用いているが、撮影画像データと基準画像データとのデータ一致度が比較可能なものであれば、実施形態で説明した相関値に限らず、適宜のパラメータを用いるようにしても良い。
【図面の簡単な説明】
【0064】
【図1】本発明の一実施形態にかかる枚葉印刷機の天地逆刷り検知装置を説明するためのものであって、天地逆刷り検知装置の構成を模式的に示す図である。
【図2】本発明の一実施形態にかかる枚葉印刷機の天地逆刷り検知装置を説明するためのものであって、天地逆刷り検知装置を備えた枚葉印刷機の概略構成を模式的に示す図である。
【図3】本発明の一実施形態にかかる枚葉印刷機の天地逆刷り検知装置を説明するためのものであって、天地逆刷り検知装置の制御系にかかる機能ブロック図である。
【図4】本発明の一実施形態にかかる枚葉印刷機の天地逆刷り検知装置を説明するためのものであって、天地逆刷り検知装置の特に制御系の制御態様を示すフローチャートである。
【図5】本発明の一実施形態にかかる枚葉印刷機の天地逆刷り検知装置を説明するためのものであって、(A),(B)はいずれも相関値について説明するための図であり画像センサによる画像データを簡略化して模式的に示した図である。
【図6】(A),(B)はいずれも従来技術を説明するためのものであって、濃度計を用いる場合の濃度検出の特性を説明するための図である。
【符号の説明】
【0065】
1 枚葉印刷機
2a〜2d 印刷ユニット
3 版胴
4 ブランケット胴
5 圧胴
6 第1中間胴(中間胴)
7 フィーダボード
8 印刷シート
8A シート束
9 スインググリッパ
10 CCDカメラ(画像センサ)
11 インバータ式照明装置
12 エアパージ
12A ブラケット
12B エアー配管(チューブ)
20 CCDカメラ制御装置
21 モニタ
22 印刷機制御装置(判定手段)
23 操作パネル
24 警報ランプ(報知装置)
25 警報スピーカ(報知装置)
31 印刷機制御部(印刷停止手段)
32 基準画像データ設定部
33 相関値算出部
34 天地逆刷り判定部
35 CCDカメラ制御部
50 給紙部
50A 載置台
51 排紙部
52 印刷部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
枚葉紙の片面の印刷面に印刷を行う枚葉印刷機に備えられ、前記印刷面と前記印刷面の反対側の既印刷面との絵柄の天地方向が反対向きである天地逆刷りを検知する天地逆刷り検知装置であって、
前記枚葉印刷機に通紙される前記枚葉紙の前記既印刷面の所定箇所を撮像する画像センサと、
前記画像センサにより撮像された前記枚葉紙の前記既印刷面の撮影画像データと判定基準となる基準画像データとを比較し、前記撮影画像データと前記基準画像データとのデータ一致度が予め定められた一致閾値以下のときには前記撮像された前記枚葉紙に対して前記天地逆刷りと判定する判定手段と、を備えている
ことを特徴とする、枚葉印刷機の天地逆刷り検知装置。
【請求項2】
前記枚葉印刷機は、前記枚葉紙を供給する給紙装置と、前記枚葉紙の前記印刷面に印刷を行う印刷ユニットと、前記給紙装置から供給された前記枚葉紙を前記印刷ユニットに搬送するための中間胴と、を備えており、
前記画像センサは、前記中間胴の周面上にある前記枚葉紙の前記既印刷面を撮像するように配設されている
ことを特徴とする、請求項1記載の枚葉印刷機の天地逆刷り検知装置。
【請求項3】
前記判定手段は、基準となる前記枚葉紙の前記既印刷面を前記画像センサにより撮像して得られる前記撮影画像データを前記基準画像データとして設定し、前記天地逆刷りの判定を行う
ことを特徴とする、請求項1又は2記載の枚葉印刷機の天地逆刷り検知装置。
【請求項4】
前記判定手段は、前記枚葉紙の前記既印刷面の前記撮影画像データと前記基準画像データとのデータ一致度を示す相関値を算出し、算出した前記相関値が前記一致閾値としての相関値閾値以下のときに天地逆刷りと判定する
ことを特徴とする、請求項1〜3のいずれか1項に記載の枚葉印刷機の天地逆刷り検知装置。
【請求項5】
前記判定手段により用いられる前記相関値閾値は、前記枚葉紙の前記既印刷面の前記撮影画像データと前記基準画像データとの前記相関値を、複数の前記枚葉紙について算出し、算出した複数の前記相関値の平均値に基づいて設定される
ことを特徴とする、請求項4記載の枚葉印刷機の天地逆刷り検知装置。
【請求項6】
前記画像センサに付着する紙粉等を除去するためのエアパージを備えている
ことを特徴とする、請求項1〜5のいずれか1項に記載の枚葉印刷機の天地逆刷り検知装置。
【請求項7】
前記判定手段により前記天地逆刷りと判定されると前記枚葉印刷機による印刷を停止する印刷停止手段を備えている
ことを特徴とする、請求項1〜6のいずれか1項に記載の枚葉印刷機の天地逆刷り検知装置。
【請求項8】
前記判定手段により前記天地逆刷りと判定されると前記天地逆刷りであることを報知する報知手段を備えている
ことを特徴とする、請求項1〜7のいずれか1項に記載の枚葉印刷機の天地逆刷り検知装置。
【請求項9】
枚葉紙の片面の印刷面に印刷を行う枚葉印刷機において前記印刷面と前記印刷面の反対側の既印刷面との絵柄の天地方向が反対向きである天地逆刷りを検知する天地逆刷り検知方法であって、
前記枚葉印刷機に通紙される前記枚葉紙の前記既印刷面の所定箇所を画像センサにより撮像する撮像ステップと、
前記画像センサにより撮像された前記枚葉紙の前記既印刷面の撮影画像データと判定基準となる基準画像データとを比較し、前記撮影画像データと前記基準画像データとのデータ一致度が予め定められた一致閾値以下のときには前記撮像された前記枚葉紙に対して前記天地逆刷りと判定する天地逆刷り判定ステップと、を備えている
ことを特徴とする、枚葉印刷機の天地逆刷り検知方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2008−119964(P2008−119964A)
【公開日】平成20年5月29日(2008.5.29)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−306995(P2006−306995)
【出願日】平成18年11月13日(2006.11.13)
【出願人】(000175250)三浦印刷株式会社 (7)
【出願人】(000006208)三菱重工業株式会社 (10,378)
【Fターム(参考)】