枝打ち装置及び昇降作業装置
【課題】枝噛みの発生を防止して枝打ち作業を効率的に行うことができる枝打ち装置を提供する。
【解決手段】
チェーンソー67は、チェーン歯72を基準として反枝打ち方向側に位置するガイドバー71の部位には枝噛み防止部材76を枝打ち方向と反枝打ち方向へ往復移動自在に支持する引張バネ75を備える。枝噛み防止部材76は、チェーン歯72が切断している枝の切断面間に挿入可能な厚みを備えた挿入部76aを備え、挿入部76aが切断中の枝の切断面間に挟まれた状態の下でチェーン歯72の切断動作及びガイドバー71の枝打ち方向への動作が可能にされている。
【解決手段】
チェーンソー67は、チェーン歯72を基準として反枝打ち方向側に位置するガイドバー71の部位には枝噛み防止部材76を枝打ち方向と反枝打ち方向へ往復移動自在に支持する引張バネ75を備える。枝噛み防止部材76は、チェーン歯72が切断している枝の切断面間に挿入可能な厚みを備えた挿入部76aを備え、挿入部76aが切断中の枝の切断面間に挟まれた状態の下でチェーン歯72の切断動作及びガイドバー71の枝打ち方向への動作が可能にされている。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、枝打ち装置及び該枝打ち装置を備えて樹幹に沿って昇降動作して、枝打ち作業を行うことができる昇降作業装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来から、樹木の枝打ち作業は、人が枝打ちを手作業で行うか、或いは、枝打ち装置で枝打ちが行われるようにしている。これらの枝打ち装置においては、枝打ち手段としてチェーンソー、リーマ(特許文献1参照)、丸鋸(特許文献2参照)、或いはレシプロソー等や、或いは一対の刃体が挟み型に設けられた枝打ち装置が使用されている。挟み型の枝打ち装置では、枝打ちの対象の枝を一対の刃体で挟むようにして切断することから、枝噛みの問題は生じない。
【特許文献1】特開2000−78934号公報
【特許文献2】特開2001−120084号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
しかし、枝に対して一方の方向から切断するタイプの枝打ち装置では、枝切りが進むと、枝ぶりにより、リーマの場合には、切断中に枝の切断面部分間で刃体を噛んだり、チェーンソの場合には、チェーン歯をガイドするガイドバーを枝の切断面部分間で噛んだりすることがある。このように刃体又は刃体を支持するガイドバーに枝噛みが生じると、刃体が動かなかったり、或いは、枝に対してガイドバーの進方向への移動ができなくなって、結果的に、切断が出来なくなるため、切断作業を中断し、枝噛み状態を作業者は直す必要がある。
【0004】
又、樹幹を昇降自在に自動的に移動する昇降作業装置に枝打ち装置を備えたものにあっては、前述のように切断動作を行っている枝打ち装置に枝噛み状態が生ずると、作業者は樹幹に上って該枝打ち装置の枝噛み状態を枝噛みしていない状態に直す必要があり、枝打ちの作業効率が著しく低下する問題がある。
【0005】
本発明の目的は、枝噛みの発生を防止して枝打ち作業を効率的に行うことができる枝打ち装置を提供することにある。
本発明の他の目的は、枝噛みの発生を防止して枝打ち作業を効率的に行うことができ、このため、一旦、枝噛み状態が生じた際にその状態を解消するために作業員が樹幹を上ることがなくなり、枝打ちの作業効率を向上することができる昇降作業装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記問題点を解決するために、請求項1に記載の発明は、少なくとも一側側に枝打ち側の側部を有する支持手段と、前記支持手段の枝打ち側の側部において該支持手段により切断動作可能に支持された刃体と、前記刃体に切断動作を付与する駆動手段を含み、枝打ち時に前記駆動手段により前記刃体が切断動作されている状態で、前記支持手段が枝打ち側の側部側へ(以下、枝打ち側の側部側への方向を枝打ち方向という)移動することにより、枝打ちをする枝打ち装置において、前記刃体を基準として反枝打ち方向側に位置する前記支持手段の部位には枝噛み防止部材を枝打ち方向と反枝打ち方向へ往復移動自在に支持する支持機構を備え、前記枝噛み防止部材は、前記刃体の刃幅よりも幅が狭い挿入部を備え、該挿入部が切断中の枝の切り口に挟まれた状態の下で前記刃体の切断動作及び前記支持手段の枝打ち方向への動作が可能にされていることを特徴とする枝打ち装置を要旨とするものである。なお、本明細書では、枝打ち側とは、枝を切断するために支持手段を移動する方向側をいう。
【0007】
請求項2の発明は、請求項1において、前記支持機構が、さらに、前記枝噛み防止部材を、枝打ち方向と反枝打ち方向に延びる軸とは直交する2軸の方向の内、少なくとも1軸の方向に移動自在に支持していることを特徴とする。
【0008】
請求項3の発明は、請求項1又は請求項2において、前記支持機構は、許容されている移動方向に前記枝噛み防止部材が移動した際に、該枝噛み防止部材をその移動した方向とは反対方向に復帰移動させる付勢手段を備えたことを特徴とする。
【0009】
請求項4の発明は、請求項1乃至請求項3のうちいずれか1項において、前記枝噛み防止部材は、前記挿入部を含めて断面くさび状に形成されていることを特徴とする。
請求項5の発明は、請求項1乃至請求項4のうちいずれか1項において、前記枝噛み防止部材の表面には、粗面が形成されていることを特徴とする。
【0010】
請求項6の発明は、請求項1乃至請求項4のうちいずれか1項において、前記枝噛み防止部材の前記挿入部の反枝打ち側に隣接した部位は、前記刃体の刃幅以上の厚みを有するように形成されていることを特徴とする。
【0011】
請求項7の発明は、請求項1乃至請求項6のうちいずれか1項において、前記支持手段が、チェーンソーのガイドバーであり、前記刃体が該ガイドバーの周部を周回するチェーン歯であることを特徴とする。
【0012】
請求項8の発明は、請求項1乃至請求項6のうちいずれか1項において、前記刃体がリーマであることを特徴とする。
請求項9の発明は、昇降機構により昇降する昇降部を備え、前記昇降部に対して請求項1乃至請求項8のうちいずれか1項に記載の枝打ち装置が設けられていることを特徴とする昇降作業装置を要旨とするものである。
【0013】
請求項10は、請求項9において、前記昇降部が、枝打ち対象の樹木を囲むように配置される軌道部を備え、前記軌道部に対して前記枝打ち装置を自走させる自走機構を備えたことを特徴とする。
【発明の効果】
【0014】
請求項1の発明によれば、刃体を支持する支持手段が枝打ち方向に移動すると、切断動作する刃体により枝が切られてゆくが、挿入部が切断中の枝の切断面間(すなわち、切り口)に挟まれた状態の下においても、刃体の切断動作及び前記支持手段の枝打ち方向への動作が可能にされている。すなわち、挿入部が枝の切り口で挟まれるため、挿入部がなかった従来技術と比較して、刃体或いは支持手段が枝の切り口に挟まれることがなくなる。この結果、刃体又は支持手段に対する枝噛みの発生が防止されて枝打ち作業を効率的に行うことができる。
【0015】
請求項2の発明によれば、枝を切るときに、枝噛み防止部材が、枝打ち方向と反枝打ち方向に延びる軸とは直交する2軸の方向の内、少なくとも1軸の方向に移動自在に支持されているため、枝を切るときに、枝噛み防止部材をこの移動自在に許容されている方向に移動させることができる。この結果、枝噛み防止部材が移動自在に移動できない場合に比して、枝打ちの進行が妨げられることがなく、枝打ち装置の枝打ちを確実に行うことができる。
【0016】
請求項3の発明によれば、枝打ち作業時に切断中の枝の切断面間(切り口)に挟まれた状態の枝噛み防止部材が支持手段に対して移動しても、切断中の枝の切断面間(切り口)に挟まれた状態が解除されると、付勢手段により、枝噛み防止部材を移動した方向とは反対方向に復帰移動させ、次の枝打ち作業に対応させることができる。
【0017】
請求項4の発明によれば、枝噛み防止部材は挿入部を含めて断面くさび状に形成されているため、刃体が切断動作中に形成された枝の切断面間に容易に挿入することができる。
請求項5の発明によれば、枝噛み防止部材の表面に粗面が形成されていることにより、枝噛み防止部材が枝の切り口に挟まれたとき、枝の切断面と枝噛み防止部材の表面との摩擦係数が大きいため、枝噛み防止部材の刃体側の枝打ち方向へ押し出されることもない。
【0018】
請求項6の発明によれば、枝噛み防止部材の挿入部の反枝打ち側に隣接した部位は、刃体の刃幅以上の厚みを有することから、この部位が枝の切り口へ挿入された際、枝の切り口の狭まりを防止し、さらには、刃体に対する枝の切り口の挟まりを軽減することができ、刃体の切断動作を良好に行わせることができる。
【0019】
請求項7の発明によれば、チェーンソーを枝打ち装置として使用する場合に、請求項1乃至請求項6のいずれか1項に記載の効果を実現することができる。
請求項8の発明によれば、リーマを刃体として採用する枝打ち装置において、請求項1乃至請求項6のいずれか1項に記載の効果を容易に実現することができる。
【0020】
請求項9の発明によれば、昇降作業装置の昇降部に請求項1乃至請求項8のいずれか1項に記載の枝打ち装置を備えることから、該枝打ち装置を備えた昇降作業装置で枝打ちを行う際、枝噛みの発生を防止して枝打ち作業を効率的に行うことができる。このため、一旦、枝噛み状態が生じた際にその状態を解消するために作業員が樹を上ることがなくなり、枝打ちの作業効率を向上することができる。
【0021】
請求項10の発明によれば、軌道部において自走する自走機構を備えた枝打ち装置において、請求項9の効果を容易に実現することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0022】
(第1実施形態)
以下、本発明を具体化した枝打ち装置としてのチェーンソー67及び自走機構60を備える昇降作業装置の一実施形態を図面に従って説明するが、まず、本実施形態における樹幹11を昇降する昇降作業装置12の原理を図1及び図2に基づいて説明する。
【0023】
この昇降作業装置12は、前記樹幹11の外周に取り外し可能に装着される環状機枠13を備えている。この環状機枠13は環状の上部フレーム13aと、その一部に下方に指向するように連結されたウエイト部13bと、ウエイト部13bの下端部に前記樹幹11に向かって一体に形成されたアーム部13cとにより構成されている。前記上部フレーム13aの一部(左側)には回転軸14により前記樹幹11の表面を転動する上部駆動輪15が装着され、前記アーム部13cの先端には回転軸16により前記樹幹11の表面を転動する下部駆動輪17が装着されている。前記上部及び下部駆動輪15,17は、図示しない駆動機構により回転駆動されるようになっている。図2に示すように前記上部フレーム13aには、支持軸18により従動輪19,20が180°隔てて装着され、前記上部及び下部駆動輪15,17と協働して昇降作業装置12が樹幹11に沿って安定して昇降することができるようにしている。
【0024】
前記環状機枠13には図示しないが、枝打ち装置としてのチェーンソー67が樹幹11の周りを旋回可能に装着されている。チェーンソー67については後述する。
次に、昇降作業装置12が樹幹11の表面に沿って昇降する原理について説明する。
【0025】
昇降作業装置12全体の重量中心Oは、前記樹幹11の外部において前記下部駆動輪17よりも外側の前記ウエイト部13bに設定されている。昇降作業装置12の重量M・g(Mは質量、gは重力加速度)が前記重量中心Oに作用すると、樹幹11と、上部及び下部駆動輪15,17との接触点で押付力の反力として、上部でF1、下部でF2が環状機枠13に作用し、これにより、上部でμ1・F1、下部でμ2・F2の摩擦力が発生する。ここで、μ1,μ2は、摩擦係数である。このとき、力とモーメントの釣り合い式は、以下のようになる。
【0026】
μ1・F1+μ2・F2=M・g
F1=F2
F1・h−μ1・FD=Mg・w
ただし、Dは樹幹11の直径、hは両駆動輪15,17の上下方向の距離、wは樹幹11と前記重量中心Oとの水平方向の距離である。説明を簡素化するために、μ1=μ2=μとすると、μ=h/(D+2w)である。このμが上部駆動輪15、下部駆動輪17と樹幹11の表面との摩擦係数より小さくなる設定としているので、昇降作業装置12は重量M・gにより滑り落ちることなく、樹幹11に沿って昇降することができる。
【0027】
次に、前述の昇降作業装置12の原理を応用した昇降作業装置12Aの概略構成を図3及び図4を参照して説明する。なお、説明の便宜上、図3及び図4においては、自走機構60及びチェーンソー67が省略されている。
【0028】
この昇降作業装置12Aは、昇降部Sと該昇降部Sを昇降させる昇降機構SKとからなる。まず、昇降機構SKについて説明する。
昇降機構SKは、図4に示すように、平面視正四角環状の環状機枠13の四隅部に対し対して装着された第1〜第4車輪位置調整機構21A〜21Dを備えている。前記第1及び第2車輪位置調整機構21A,21Bは、図3に示すように前記隅部に対して固定された第1及び第2上部固定アーム22A,22Bを有し、両アーム22A,22Bの先端部に第1及び第2上部駆動輪15A,15Bが装着されている。
【0029】
前記第3及び第4車輪位置調整機構21C,21Dには、第1及び第2下部固定アーム23A,23Bが装着され、両アーム23A,23Bの先端部に第1及び第2下部駆動輪17A,17Bが装着されている。
【0030】
前記第1及び第2車輪位置調整機構21A,21Bには、第1及び第2下部揺動アーム25A,25Bが上下方向の揺動可能に装着され、両アーム25A,25Bの先端部に第1及び第2下部従動輪20A,20Bが装着されている。前記第3及び第4車輪位置調整機構21C,21Dには、第1及び第2上部揺動アーム24A,24Bが上下方向の揺動可能に装着され、両アーム24A,24Bの先端部に第1及び第2上部従動輪19A,19Bが装着されている。
【0031】
前記第1及び第2上部揺動アーム24A,24B、第1及び第2下部揺動アーム25A,25Bは、コイルバネ26によりそれぞれ樹幹11に接近する方向に付勢されている。前記環状機枠13には、前記第1及び第2下部駆動輪17A,17Bと対応するようにウエイト部13bが設けられている。従って、前記ウエイト部13bによって前記第1及び第2上部駆動輪15A,15Bが樹幹11の表面に押し付けられるとともに、第1及び第2下部駆動輪17A,17Bが樹幹11の表面に押し付けられ、昇降作業装置12Aが樹幹11から滑り落ちないようにしている。
【0032】
次に、昇降作業装置12Aの具体的構成を図5〜図10を参照して説明する。なお、説明の便宜上、図9及び図10においては、自走機構60及びチェーンソー67が省略されている。
【0033】
前記環状機枠13は図9及び図10に示すように、ヒンジ機構27によって水平方向の開閉可能に連結された平面視コ字状の第1及び第2フレーム28,29によって、樹幹11の周囲に脱着可能に構成されている。前記第1及び第2フレーム28,29の前記ヒンジ機構27と反対側の両端部には、該両端部を互いに連結するための連結機構30が設けられている。この連結機構30は、第1フレーム28の端部に形成されたネジ孔28aに、第2フレーム29の端部に設けられた蝶ボルト30Aを螺合することにより第1フレーム28と、第2フレーム29を連結するように構成されている。
【0034】
次に、第1〜第4車輪位置調整機構21A〜21Dについて説明するが、各調整機構21A〜21Dは同様に構成されているので、図6〜図8を参照して第1車輪位置調整機構21Aについて説明する。
【0035】
図6に示すように、前記環状機枠13の隅部には、取付台座31を介して案内ロッド32が水平に支持固定され、この案内ロッド32と平行にボールねじ33が前記取付台座31に回転可能に支持されている。前記ボールねじ33の先端部は、前記案内ロッド32の先端に固定した連結板34によって回転可能に支持されている。前記案内ロッド32及びボールねじ33には、該ボールねじ33に螺合されたボールねじナットを有する可動支持体35が水平方向の往復移動可能に支持されている。前記可動支持体35には支持軸36が貫通固定され、この支持軸36に前記第1上部駆動輪15Aを装着した第1上部固定アーム22Aが連結されている。前記支持軸36には、前記第1下部従動輪20Aを装着した第1下部揺動アーム25Aが上下方向の往復揺動可能に装着され、図7示すコイルバネ26によって前記樹幹11に接近するように付勢されている。
【0036】
前記環状機枠13の隅部には、ウォーム37が回転軸38によって回転可能に支持されている。前記ボールねじ33の基端部には前記ウォーム37に噛み合わされたウォームホィール39が連結され、前記回転軸38には上下二段にプーリ40が嵌合されている。そして、前記プーリ40が回転されると、ウォーム37、ウォームホィール39及びボールねじ33が回転され、前記可動支持体35が水平方向に往復移動され、前記第1上部駆動輪15A及び第1下部従動輪20Aの水平方向の位置が調整されるようにしている。
【0037】
図8に示すように、前記ヒンジ機構27には前記プーリ40を回転するための手動操作機構41が設けられている。該機構41とヒンジ機構27に共通の回転軸42には第1及び第2タイミングプーリ43,44が嵌合され、操作ハンドル45によって回動可能になっている。前記第1タイミングプーリ43と前記第1車輪位置調整機構21Aの上部のプーリ40との間には、第1タイミングベルト46が掛装され、第1車輪位置調整機構21Aのプーリ40を回転するようになっている。又、前記第1車輪位置調整機構21Aの下部のプーリ40と、第2車輪位置調整機構21Bのプーリ40との間には、第2タイミングベルト47が掛装され、該プーリ40を回転するようになっている。同様に、前記第2タイミングプーリ44と第3車輪位置調整機構21Cの下部のプーリ40とに掛装された第3タイミングベルト48によって、該プーリ40が回転されるようになっている。さらに、第3車輪位置調整機構21Cの上部のプーリ40と、第4車輪位置調整機構21Dのプーリ40とに掛装されたタイミングベルト49によって該プーリ40が回転されるようになっている。
【0038】
従って、前記操作ハンドル45が手動により回転されると、第1〜第4車輪位置調整機構21A〜21Dのそれぞれの可動支持体35が同期して移動され、図5に示す駆動輪15A,15B、17A,17B及び従動輪19A,19B,20A,20Bの位置が調整される。
【0039】
図6に示すように、第1上部固定アーム22Aの先端部には取付台座51が設けられ、取付台座51に回転軸52が回転自在に支持されている。該回転軸52は、取付台座51に設けられたサーボモータ54により回転駆動され、その外周面にはウォーム53が嵌合固定されている。そして、前記第1上部駆動輪15Aは、前記回転軸14に嵌合固定され、かつ前記ウォーム53に噛み合わされたウォームホィール55によって回転されるようになっている。
【0040】
次に、図5を参照して、上記のように構成された昇降機構SKに搭載される昇降部Sについて説明する。
前記環状機枠13を構成する第1及び第2フレーム28,29の上面には、複数の支持ロッド61により支持された上下二段の軌道部としての環状リング62を備えている。この環状リング62は半円弧状に分割され、ヒンジ機構63により前記第1及び第2フレーム28,29の開閉動作に同期して開閉されるようになっている。本実施形態では、前記環状機枠13、軌道部としての環状リング62により昇降部Sが構成されている。
【0041】
次に、前記環状機枠13に装着された自走機構60及びチェーンソー67について説明する。
昇降部Sを構成する前記両環状リング62には、旋回支持体64が自走機構60により、環状リング62に沿って円周方向に往復旋回可能となっている。すなわち、自走機構60は、旋回支持体64に装着された旋回駆動源及び駆動手段としてのサーボモータ65と、サーボモータ65の図示しない出力軸に設けられた歯車と、環状リング62上において、環状リング62の環状形状に沿って設けられたラック(図示しない)とにより構成されている。そして、サーボモータ65の正逆の回転方向に応じて旋回支持体64が環状リング62を往復旋回可能である。
【0042】
又、サーボモータ65には枝打ち装置としてのチェーンソー67が装着されている。図5、図11に示すようにチェーンソー67は、機構部ケース70と、該機構部ケース70から突出して配置された平板状のガイドバー71と、ガイドバー71の外周部を滑走するチェーン歯72等を備えている。機構部ケース70内には前記サーボモータ65からの出力軸に作動連結された機構部(図示しない)が設けられ、サーボモータ65の出力トルクが該機構部を介してチェーン歯72に伝達されることにより該チェーン歯72をガイドバー71の外周部において滑走駆動するようになっている。
【0043】
又、機構部ケース70から露出したガイドバー71には、図11に示すように取付孔73が形成されている。本実施形態では取付孔73はガイドバー71の長手方向に沿って長孔状に形成されている。取付孔73内には、枝噛み防止部材76が設けられている。枝噛み防止部材76は、取付孔73の長手方向の両端縁に対して複数個の引張バネ75を介して支持されている。なお、図11に示すように、本実施形態では、上下の両端にそれぞれ一対の引張バネ75が設けられているが、引張バネ75個数は例示であって、一対を一組にすることに限定されるものではなく、上下に1個ずつ、或いは3個以上設けても良い。
【0044】
そして、枝噛み防止部材76に負荷がかかっていない状態では、長手方向の両端にそれぞれに配置された引張バネ75の付勢力が拮抗し、取付孔73の短手方向の長さ(すなわち、幅)及び長手方向の長さの略中央位置に位置するようにされている。この位置を以下、中立位置という。この状態では、枝噛み防止部材76は取付孔73の全内周縁とは離間し、内周縁との間に移動許容空間が形成される。又、この状態では、枝噛み防止部材76は、前記移動許容空間の範囲内で取付孔73を含む平面に含まれるとともに直交する2軸の方向(直交2軸の方向)に移動自在にされている。特に、枝打ち方向と反枝打ち方向における移動許容空間においては、枝噛み防止部材76の前記中立位置からの移動量が、このチェーンソー67が通常の枝打ちの対象としている枝で想定されている最大直径と同程度の量となるように設定されている。
【0045】
又、前記引張バネ75が許容する範囲で、ガイドバー71を含む平面に対して直交する軸方向に枝噛み防止部材76は移動可能になっている。本実施形態では引張バネ75は支持機構及び付勢手段に相当する。
【0046】
ここで、チェーンソー67において、枝打ち方向とは、ガイドバー71が枝打ちのために移動する方向である。本実施形態では、旋回支持体64が自走機構60により、環状リング62に沿った円周方向に往復旋回可能となっていることから、チェーンソー67の枝打ち方向は、旋回方向が変わる毎に変わることになる。例えば、図11において、ガイドバー71が左方向に移動する場合には、左方向が枝打ち方向となり、右方向に移動する場合は、右方向が枝打ち方向となる。そして、枝打ち方向が図11において、左方向の場合、刃体としてのチェーン歯72は、前述のように枝打ち方向の側部(すなわち、ガイドバー71の左側部)において、切断動作可能に支持されている。
【0047】
又、枝打ち方向が図11において、右方向の場合、刃体としてのチェーン歯72は、前述のように枝打ち方向の側部(すなわち、ガイドバー71の右側部)において、切断動作可能に支持されている。そして、前述したように、本実施形態では、枝噛み防止部材76は、前記移動許容空間の範囲内で取付孔73を含む平面に含まれた直交する2軸の方向(直交2軸の方向)に往復移動自在に引張バネ75により支持されている。このようにして、枝打ち方向が決定された場合においては、チェーン歯72(刃体)を基準として反枝打ち方向側に位置するガイドバー71(支持手段)の部位には枝噛み防止部材76を枝打ち方向と反枝打ち方向へ往復移動自在に支持する引張バネ75(支持機構)を備えていることになる。
【0048】
又、枝噛み防止部材76の横断面形状は、図12に示すように枝打ち方向側の側部となる部位は、断面くさび状に形成されている。このくさび状の部分において、チェーン歯72の刃幅L未満の厚みの部分が挿入部76aとなる。又、くさび状の部分において、挿入部76aに隣接した部分は、チェーン歯72の刃幅L以上の厚みを有している。
【0049】
なお、本実施形態では、チェーンソー67が枝打ちのための旋回方向を正逆転できるようにされていることから、枝打ち方向の側部はガイドバー71の幅方向における一対の側部がそれぞれなりうる。このため、枝噛み防止部材76はガイドバー71の各前記側部に対応して、互いに反対側の側部に一対の挿入部76aが設けられるとともに、くさび状の部分において、挿入部76aに隣接した部分は、チェーン歯72の刃幅L以上の厚みを有する。
【0050】
又、枝噛み防止部材76において、断面くさび状に形成された部位の表面は粗面を有するように形成されている。
図5に鎖線で示すように、前記環状機枠13の第1フレーム28には、前記サーボモータ54、65を駆動する蓄電池や制御機器を収容した制御ボックス68が設けられている。この制御ボックス68の重量は、図4に示すウエイト部13bの機能を有するものである。そして、前記旋回支持体64が図5に示すように制御ボックス68から最も離隔された状態においても図3において、両駆動輪15A,15B及び駆動輪17A,17Bが樹幹11に適度に押し付けられるようにしている。
【0051】
前述したサーボモータ54,65の起動又は停止動作は、地上から延長コードを用いて遠隔操作されるようになっているが、無線交信により遠隔操作するように構成してもよい。
【0052】
次に、前記のように構成された昇降作業装置12Aの動作について説明する。
図5に示す状態となるように、樹幹11に対して昇降作業装置12Aを取付けし、この状態でサーボモータ54を起動して、回転軸52及びウォーム53を回転する。すると、前記ウォームホィール55及び回転軸14を介して、第1及び第2上部駆動輪15A,15B、第1及び第2下部駆動輪17A,17Bがそれぞれ回転され、昇降作業装置12Aが樹幹11に沿って上方に移動される。この昇降作業装置12Aの上昇動作と同期して、サーボモータ65が作動され、チェーンソー67が作動されるとともに、旋回支持体64が環状リング62に沿って円周方向に旋回される。従って、昇降作業装置12Aの上昇の動作が行われると共に、チェーンソー67によって、樹幹11から張り出した枝が枝打ちされる。
【0053】
この枝打ち作業のとき、図12に示すように、チェーンソー67の枝打ち方向側のチェーン歯72が枝11Aに切り込まれると、枝11Aには切り口11Bが形成される。枝打ち方向側のチェーン歯72が切り進むと枝噛み防止部材76の挿入部76aが切り口11B内に挿入される。
【0054】
ここで、切り口11Bにおいてガイドバー71の両側面に対向する両切断面11Cは、枝11Aの枝ぶりにより切り口11Bの開口側が狭まる場合には挿入部76aに、或いは、切り口11Bの開口側が狭まらない場合には、挿入部76aに隣接する部分(チェーン歯72の刃幅L以上の厚みを持つ部分)を挟み込む。この両切断面11Cによって挟み込みされた状態で、ガイドバー71が枝打ち方向に移動すると、枝噛み防止部材76は引張バネ75の付勢力に抗して反枝打ち方向側に相対的に移動する。なお、実際は、枝噛み防止部材76は、前記挟み込みによりその場で押し止められるが、ガイドバー71は枝打ち方向に移動することから相対的に反枝打ち方向側に移動することになる。
【0055】
枝打ち方向と反枝打ち方向における移動許容空間においては、枝噛み防止部材76の中立位置からの移動量が、このチェーンソー67が通常の枝打ちの対象としている枝で想定されている最大直径と同程度の量となるように設定されていることから、切断が完了するまで挟み込みの状態が継続する。このため、刃体であるチェーン歯72の枝噛みが防止される。
【0056】
枝噛み防止部材76は、切断中の枝11Aの切断面間(切り口11B)に挟まれた状態が解除されると、引張バネ75により、枝噛み防止部材76を移動した方向とは反対方向に復帰移動させる。すなわち、枝噛み防止部材76は中立位置に復帰する。
【0057】
なお、枝噛み防止部材76が挟み込みされた状態で、取付孔73を含む平面内に含まれた直交する2軸の方向(直交2軸の方向)において、枝打ち方向及び反枝打ち方向以外の方向、或いは、該平面に直交する軸方向に何らかの原因で枝11Aに振動等があった場合には移動許容空間の許容範囲及び引張バネ75が許容する範囲でその振動等を吸収する。
【0058】
以後同様に、枝打ちが行われ、樹幹11の枝打ち作業が終了すると、サーボモータ65が停止されるとともに、サーボモータ54が逆方向に回転され、前記第1及び第2上部駆動輪15A,15B、第1及び第2下部駆動輪17A,17Bが逆方向に回転され、昇降作業装置12Aは、樹幹11に沿って下方に移動される。
【0059】
上記実施形態の昇降作業装置12Aによれば、以下のような効果を得ることができる。
(1)本実施形態では、チェーンソー67は、チェーン歯72(刃体)を基準として反枝打ち方向側に位置するガイドバー71(支持手段)の部位には枝噛み防止部材76を枝打ち方向と反枝打ち方向へ往復移動自在に支持する引張バネ75(支持機構)を備えている。又、枝噛み防止部材76は、チェーン歯72が切断している枝11Aの切断面間に挿入可能な厚みを備えた挿入部76aを備え、挿入部76aが切断中の枝11Aの切断面間に挟まれた状態の下でチェーン歯72の切断動作及びガイドバー71の枝打ち方向への動作が可能にされている。この結果、ガイドバー71が枝打ち方向に移動すると、切断動作するチェーン歯72により枝が切られてゆくが、挿入部76aが切断中の枝11Aの切断面間(すなわち、切り口)に挟まれた状態の下においても、チェーン歯72の切断動作及びガイドバー71の枝打ち方向への動作が可能にされている。すなわち、挿入部76aが枝11Aの切り口11Bで挟まれるため、挿入部76aがなかった従来技術と比較して、チェーン歯72或いはガイドバー71(支持手段)が枝11Aの切り口11Bに挟まれることがなくなる。この結果、チェーン歯72又はガイドバー71に対する枝噛みの発生が防止されて枝打ち作業を効率的に行うことができる。
【0060】
(2)本実施形態では、引張バネ75が、枝噛み防止部材76を、枝打ち方向と反枝打ち方向に延びる軸とは直交する2軸の方向移動自在に支持している。このため、枝を切るときに、枝噛み防止部材76をこの移動自在に許容されている方向に移動させることができる。この結果、枝噛み防止部材76が移動自在に移動できない場合に比して、枝打ちの進行が妨げられることがなく、チェーンソー67の枝打ちを確実に行うことができる。
【0061】
(3)本実施形態では、枝噛み防止部材76を支持する引張バネ75は、許容されている移動方向、すなわち、移動許容空間、及び、前記取付孔73を含む平面に直交する軸方向に枝噛み防止部材76が移動した際に、枝噛み防止部材76をその移動した方向とは反対方向に復帰移動させる付勢手段として機能する。
【0062】
この場合、枝打ち作業時に切断中の枝の両切断面間(切り口11B)に挟まれた状態の枝噛み防止部材76がガイドバー71(支持手段)に対して移動しても、切断中の枝11Aの切断面間(切り口11B)に挟まれた状態が解除されると、付勢手段により、枝噛み防止部材76を移動した方向とは反対方向に復帰移動させる。この結果、次の枝打ち作業に対応させることができる。
【0063】
(4)本実施形態では、枝噛み防止部材76は、挿入部76aを含めて断面くさび状に形成されている部位を有するため、チェーン歯72が枝11Aを切断動作中に形成された枝の両切断面11C間に枝噛み防止部材76を容易に挿入することができる。
【0064】
(5)本実施形態では、枝噛み防止部材76の表面には、粗面が形成されているため、枝噛み防止部材76が枝11Aの切り口11Bに挟まれたとき、枝11Aの切断面11Cと枝噛み防止部材76の表面との摩擦係数が大きいため、枝噛み防止部材76のチェーン歯72側の枝打ち方向へ押し出されることもない。
【0065】
(6)本実施形態では、枝噛み防止部材76の挿入部76aの反枝打ち側に隣接した部位は、チェーン歯72の刃幅以上の厚みを有するように形成されていることから、該部位が枝11Aの切り口11Bでへ挿入された際、枝の切り口11Bの狭まりを防止できる。さらには、チェーン歯72に対する枝の切り口11Bの挟まりを軽減することができ、チェーン歯72の切断動作を良好に行わせることができる。
【0066】
(7) 本実施形態では、昇降機構SKにより昇降する昇降部Sを備え、昇降部Sに対して(1)〜(6の効果を実現する構成を備えたチェーンソー67が設けられている。
この結果、チェーンソー67(枝打ち装置)を備えた昇降作業装置で枝打ちを行う際、枝噛みの発生を防止して枝打ち作業を効率的に行うことができる。このため、一旦、枝噛み状態が生じた際にその状態を解消するために作業員が樹を上ることがなくなり、枝打ちの作業効率を向上することができる。
【0067】
(8) 本実施形態では、昇降部Sが、枝打ち対象の樹木を囲むように配置される環状リング62(軌道部)を備え、環状リング62に対してチェーンソー67を自走させる自走機構60を備える。この結果、環状リング62において自走する自走機構60を備えたチェーンソー67において、上記(7)の効果を容易に実現することができる。
【0068】
(第2実施形態)
次に第2実施形態を図13及び図14を参照して説明する。なお、第2実施形態の構成は、枝噛み防止部材80の構成、及び枝噛み防止部材80をガイドバー71に支持する構成が第1実施形態の枝噛み防止部材76と異なり、他の構成は同様であるため、異なる構成を中心に説明する。なお、昇降作業装置12A、及び自走機構60は同じであるため、図13、図14では省略している。本実施形態において、直交3軸を次のように定義する。すなわち、枝打ち方向をx軸方向とし、このx軸方向を基準に他の2軸(y軸とz軸)を直交配置する。
【0069】
なお、枝打ち方向は、ガイドバー71が枝打ちのために移動する方向であるが、第2実施形態では、旋回支持体64(図5参照)が自走機構60により、環状リング62に沿った円周方向において、一方向側へ旋回するときのみ枝打ちが可能なっている。
【0070】
第2実施形態のチェーンソー67は、取付孔73の長手方向の両端間には、互いに平行に一対のガイド軸77が架設されている。ガイド軸77には一対のスライダ78がガイド軸77の軸心方向(z軸及び反z軸方向)に沿って摺動自在に装着されている。
【0071】
各スライダ78にはガイドピン79がガイド軸77とは直交する方向(y軸及び反y軸方向)に貫通固定され、その両端がスライダ78の両側面から突出している。各スライダ78のガイドピン79には、枝噛み防止部材80が装着されている。
【0072】
図14(a)に示すように枝噛み防止部材80は、互いに平行に離間配置された一対の平行板81と、各平行板81から枝打ち方向に突出された板状の枝噛み防止板82とから構成されている。一対の平行板81は、上下に配置した複数の連結ピン83にて互いに間隔が保持されて連結されている(図14(b)参照)。なお、図14(b)では、連結ピン83が1つのみ図示されている。
【0073】
各平行板81の上下両部には、枝打ち方向に沿って延びたガイド孔84が形成されている。そして、各ガイドピン79が各ガイド孔84に摺動自在に貫通されていることにより、枝噛み防止板82が枝打ち方向及び反枝打ち方向に往復移動自在となっている。
【0074】
両枝噛み防止板82の間隔は、枝打ち方向側の先端部間がチェーン歯72の刃幅よりも短くされるとともに、基端部間がチェーン歯72の刃幅よりも長くなるように設定されている。このように両枝噛み防止板82の間隔が設定されていることにより、枝噛み防止板82の外表面は、平行板81に対して斜状に配置されている。この斜状に配置された枝噛み防止板82のうち、両枝噛み防止板82の間隔がチェーン歯72の刃幅よりも短くされる部分はチェーン歯72(刃体)が切断している枝の切断面間に挿入可能な厚みを備えた挿入部85となる。挿入部85の外表面は粗面に形成されている。このようにして、両枝噛み防止板82の挿入部85は、平行板81に対して先端がチェーン歯72の刃幅よりも短くなるように斜状に配置されていることにより、略くさび状に形成されている。
【0075】
ガイド軸77において、各スライダ78と、取付孔73の上下両端間には、それぞれ緩衝手段としてのコイルスプリング86が巻装され、各スライダ78の上下(z軸及び反z軸方向)の移動に対して緩衝する。
【0076】
各ガイドピン79において、各平行板81と各スライダ78間には、それぞれ緩衝手段としてのコイルスプリング87が巻装され、平行板81のy軸及び反y軸方向の移動に対して緩衝する。
【0077】
又、ガイドバー71において、取付孔73のx軸方向(枝打ち方向)側の内面と連結ピン83化には、付勢手段としての引張バネ88が連結され、引張バネ88により、枝噛み防止部材80がx軸方向(枝打ち方向)側へ付勢されている。 さて、上記のように構成されたチェーンソー67により、樹幹11から張り出した枝を枝打ちする場合について説明する。なお、昇降作業装置12Aの作用、チェーンソー67の旋回動作については第1実施形態と同様であるため、説明を省略する。又、第2実施形態において、チェーンソー67の枝噛み防止部材80の作用は、第1実施形態の枝噛み防止部材76の符号76を80に読替え、挿入部76aを挿入部85と、引張バネ75を引張バネ88に読み替えれば同じとなるため、説明を省略する。
【0078】
なお、第1実施形態において、枝噛み防止部材76は、切断中の枝11Aの切断面間(切り口11B)に挟まれた状態が解除されると、引張バネ75により、枝噛み防止部材76を移動した方向とは反対方向に復帰移動させるが、第2実施形態では、引張バネ88により、枝噛み防止部材80は取付孔73の枝打ち方向側に寄せられる。
【0079】
又、枝噛み防止部材80が枝により挟み込みされた状態で、z軸又は反z軸方向、又はy軸又は反y軸方向において、枝に振動等があった場合には緩衝手段としてのコイルスプリング86、87がその振動等を吸収する。又、コイルスプリング86、87は、取付孔73を含む平面に直交する軸方向(すなわち、y軸及び反y軸方向)に枝噛み防止部材76が移動した際に、枝噛み防止部材76をその移動した方向とは反対方向に復帰移動させる付勢手段に相当する。
【0080】
第2実施形態においても、第1実施形態の上記(1)〜(6)と同様の作用効果を奏する。
(第3実施形態)
次に第3実施形態を図15〜19を参照して説明する。第3実施形態は、昇降作業装置12Aに設けられた枝打ち装置163及び自走機構160の構成が異なる。なお、第3実施形態の昇降作業装置12Aは第1実施形態の構成と同じであるため、同一構成については同一符号を付す。又、図15〜19に示すように、本実施形態では、x,y,z軸の直交軸で方向を定義する。
【0081】
図18に示すように昇降作業装置12Aの上下両二段の環状リング62には、枝打ち装置163の旋回支持体164が自走機構160により、環状リング62に沿って円周方向に往復旋回可能となっている。旋回支持体164は、図18に示すように上部プレート164a,下部プレート164bと両プレートを連結する中間プレート164cとにより側面視略コ字状に構成され、環状リング62に対して脱落不能にかつ、円周方向に走行可能に装着されている。又、自走機構160は、旋回支持体164の下部プレート164bに装着された旋回駆動源としてのサーボモータ165と、サーボモータ165の出力軸166に設けられた歯車167と、環状リング62上において、環状リング62の環状形状に沿って設けられたラック168とにより構成されている。そして、サーボモータ165の正逆の回転方向に応じて前記歯車167がラック168とかみ合って回転することにより、旋回支持体164が環状リング62を往復旋回可能である。
【0082】
旋回支持体164の上部プレート164aには、平面視長方形状をなす支持板170が装着されている。支持板170は、図17に示すように上部プレート164a上面に設けられたガイドレール164dに沿って、環状リング62の径方向に沿って位置調節可能となっている。前記支持板170は、長孔171が長手方向(すなわち、y軸方向及び反y軸方向)に延出され、該長孔171を介して上部プレート164aに螺合される前記位置調節ボルト172の締付けにより確固に固定される。又、支持板170は、前記位置調節ボルト172が緩められることにより、前記長孔171が許容する範囲で前述のように位置調節可能である。
【0083】
支持板170において、環状リング62の中心側の端部上面には、回転軸174を水平にかつ回転自在に軸支する軸受173が設けられている。回転軸174の両端には支持手段としての枠体175が装着されている。回転軸174の両端に固定されて上方に延出された一対の縦枠部材176と、両縦枠部材176の上下両端部間において略中央部が固定されて横方向(すなわち、x軸方向及び反x軸方向)に延出された上下一対の横枠部材177とからなる。なお、図15では、説明の便宜上、枠体175の枠体175の構成中、一方の縦枠部材176のみ図示され、他方の縦枠部材176は省略されている。
【0084】
上下の横枠部材177の先端には、一対の軸支部材178が固定され、178間には刃体としてのリーマ179が回動自在に支持されている。ここで、横枠部材177の先端は、枠体175(支持手段)の枝打ち側の側部に相当する。本実施形態では、リーマ179の刃幅とは、リーマ179の直径である。下部の横枠部材177の先端には、ブラケット180を介して枝打ち用モータ181が装着されている。枝打ち用モータ181の出力軸182はカップリング183を介して前記リーマ179の軸に連結され、リーマ179を回転駆動する。なお、図15では、枝打ち用モータ181、及びカップリング183は説明の便宜上省略されている。
【0085】
一対の横枠部材177は、図15、図16、図18に示すように、互いに対向する内面側が凹状になるように幅方向(すなわち、y軸方向及び反y軸方向)に位置する両側壁が突出されて断面コ字状に形成されている。上下一対の横枠部材177の前記両側壁において、長手方向(すなわち、x軸方向及び反x軸方向)の両端には、それぞれ一対の軸184が互いに平行に架設されている。各横枠部材177において、前記一対の軸184には、ガイド部材185が軸184の軸心方向(すなわち、y軸方向及び反y軸方向)に沿って移動自在に装着されている。
【0086】
図16、図18、図19に示すように各前記軸184において、ガイド部材185と横枠部材177の前記両側壁間には、付勢部材としてのコイルスプリング186が巻装され、緩衝手段としてのコイルスプリング186によりガイド部材185が中立位置に位置するように付勢されている。ここでの中立位置とは、ガイド部材185が横枠部材177の両側壁と離間する距離が、それぞれ同じ距離となる位置である。この中立位置にガイド部材185が位置する際、ガイド部材185の軸心を含む平面がリーマ179の軸心を含むように配置される。
【0087】
又、上下にそれぞれ配置されたガイド部材185には、それぞれ一対のスライダ187が該ガイド部材185の延びる方向(すなわち、x軸方向及び反x方向)に往復移動自在配置されている。すなわち、ガイド部材185の延びる方向は、横枠部材177の延びる方向と一致している。上方に位置する横枠部材177のガイド部材185に配置された一対のスライダ187と、下方位置する横枠部材177のガイド部材185に配置された一対のスライダ187間には、一対のガイド軸188がそれぞれ連結されている。
【0088】
一対のガイド軸188には、枝噛み防止部材190が上下移動自在に装着されている。枝噛み防止部材190は、ガイド軸188において、枝噛み防止部材190とスライダ187間には、緩衝手段としてのコイルスプリング191が巻装され、コイルスプリング191により防止部材190が上下方向(すなわち、z軸方向及び反z軸方向)において中立位置に位置するように付勢されている。ここでの中立位置は、枝噛み防止部材190が上下にそれぞれ位置するスライダ187と離間する距離が、それぞれ同じ距離となる位置である。このz軸方向及び反z軸方向において中立位置に防止部材190が位置する際、枝噛み防止部材190の中心を通過するxz平面がリーマ179の軸心を含むように配置される。
【0089】
このようにして、枝噛み防止部材190は、ガイド部材185及びスライダ187からなる支持機構に対してガイド軸188を介して、枝打ち方向と反枝打ち方向へ往復移動自在に支持されている。
【0090】
枝噛み防止部材190のリーマ179側の先端部190aは、リーマ179の刃幅よりも厚みが薄くされるとともに、その端面は断面半円状に形成されている。又、枝噛み防止部材190において、先端部190aからは断面くさび状に形成されて基端側へ行くほど、厚みが先端よりも厚くされた挿入部192が形成されている。挿入部192の範囲までは、その厚みがリーマ179の刃幅よりも薄くされ、挿入部192からさらに基端側(x方向側)にいくとリーマ179の刃幅よりも厚くされている。
【0091】
枝噛み防止部材190の基端両側部において上下の部位には、バネ係止ピン193が設けられている。又、両縦枠部材176において、各前記上下にそれぞれ位置するバネ係止ピン193と略同じ高さとなる部位には、バネ係止ピン194が設けられ、略同じ高さ位置にあるバネ係止ピン193,194間には付勢手段としての引張バネ195が掛け止めされている。そして、引張バネ195により、枝噛み防止部材190は、反x方向に常時付勢されていて、先端部190aをリーマ179の近傍位置まで、接近するようにされている。そして、この近傍位置から、枝噛み防止部材190が反枝打ち方向への移動量は、リーマ179が通常の枝打ちの対象としている枝で想定されている枝の最大直径と同程度の量となるように設定されている。
【0092】
図18に示すように又、支持板170において、軸受173の近傍の部位には、枠体175の一方の縦枠部材176に隣接するように回転位置調節板200が設けられている。図17に示すように回転位置調節板200の上部には、円弧状の長孔201が透設されている。長孔201の曲率中心は、回転軸174の軸心と同心となるように配置されている。長孔201には、回転位置調節ボルト202が挿通されて、回転位置調節板200に直近に位置する縦枠部材176に対して螺合されている。そして、回転位置調節ボルト202を前記枠体175は、長孔201を介して縦枠部材176に螺合される回転位置調節ボルト202の締付けにより回転位置調節板200に対して確固に固定される。又、枠体175は、前記回転位置調節ボルト202が緩められることにより、前記長孔201が許容する範囲で、回転軸174を中心に回転位置調節可能である。本実施形態では、縦枠部材176はz軸方向及び反z軸方向に沿って回転位置調節されている。
【0093】
(第3実施形態の作用)
前記のように構成された枝打ち装置163を備えた昇降作業装置12Aの動作について説明する。なお、昇降作業装置12Aの樹幹11を上昇する作用は第1実施形態と同じであるため、説明を省略し、上昇した後から説明する。
【0094】
昇降作業装置12Aの上昇動作と同期して、サーボモータ165及び枝打ち用モータ181が作動され、リーマ179が回転作動されるとともに、旋回支持体64が環状リング62に沿って円周方向に旋回される。従って、昇降作業装置12Aの上昇の動作が行われると共に、リーマ179によって、樹幹11から張り出した枝が枝打ちされる。
【0095】
この枝打ち作業のとき、リーマ179が枝に切り込まれると、枝には切り口が形成さ、リーマ179が切り進むと枝噛み防止部材190の挿入部192が切り口内に挿入される。ここで、切り口において挿入部192の両側面に対向する両切断面は、枝ぶりにより切り口の開口側が狭まる場合には挿入部192に、或いは、切り口の開口側が狭まらない場合には、挿入部192に隣接する部分(リーマ179の刃幅以上の厚みを持つ部分)を挟み込む。
【0096】
この両切断面によって挟み込みされた状態で、リーマ179が枝打ち方向(反x方向)に移動すると、枝噛み防止部材190は引張バネ195の付勢力に抗して反枝打ち方向(x方向)側に相対的に移動する。なお、実際は、枝噛み防止部材190は、前記挟み込みによりその場で押し止められるが、リーマ179は枝打ち方向に移動することから相対的に反枝打ち方向側に移動することになる。
【0097】
枝噛み防止部材190のリーマ179に対する近傍位置からの移動量が、このリーマ179が通常の枝打ちの対象としている枝で想定されている最大直径と同程度の量となるように設定されていることから、切断が完了するまで挟み込みの状態が継続する。このため、刃体であるリーマ179の枝噛みが防止される。
【0098】
枝噛み防止部材190は、切断中の枝の切断面間(切り口)に挟まれた状態が解除されると、引張バネ195により、枝噛み防止部材190を移動した方向とは反対方向に復帰移動させる。すなわち、枝噛み防止部材190は近傍位置に復帰する。
【0099】
なお、枝噛み防止部材190が前記のように挟み込みされた状態で、z軸方向及び反y軸方向、y軸方向及び反y軸方向に何らかの原因で枝に振動等があった場合には、緩衝手段としてのコイルスプリング186,191が許容する範囲でその振動等を吸収する。
【0100】
以後同様に、枝打ちが行われ、樹幹の枝打ち作業が終了すると、サーボモータ165及び枝打ち用モータ181が停止され、以下は第1実施形態と同様にサーボモータ54が逆方向に回転される等して昇降作業装置12Aは、樹幹11に沿って下方に移動される。
【0101】
第3実施形態では、第1実施形態の(2)、(3)、(4)、(6)と同様の効果を奏する他に下記の効果を奏する。
(1)本実施形態の枝打ち装置163では、枠体175(支持手段)は、一側側に枝打ち側の側部(すなわち、軸支部材178を介してリーマ179を支持する部位)を有する。そして、枠体175の枝打ち側の側部において、枠体175により切断動作可能にリーマ179(刃体)が支持されている。又、枝打ち装置163は、リーマ179に切断動作を付与する枝打ち用モータ181(駆動手段)を備えている。又、枝打ち装置163は、リーマ179(刃体)を基準として反枝打ち方向側に位置する枠体175(支持手段)の部位には、枝噛み防止部材190を枝打ち方向と反枝打ち方向へ往復移動自在に支持するガイド部材185及びスライダ187からなる支持機構を備えている。
【0102】
又、枝噛み防止部材190はリーマ179が切断している枝の切断面間に挿入可能な厚みを備えた挿入部192を備え、挿入部192が切断中の枝の切断面間に挟まれた状態の下でリーマ179の切断動作の枝打ち方向への動作が可能にされている。
【0103】
この結果、枠体175が枝打ち方向に移動すると、切断動作するリーマ179により枝が切られてゆくが、挿入部192が切断中の枝の切断面間(すなわち、切り口)に挟まれた状態の下においても、リーマ179の切断動作及び枝打ち方向への動作が可能にされている。すなわち、挿入部192が枝の切り口で挟まれるため、挿入部192がなかった従来技術と比較して、リーマ179が枝の切り口に挟まれることがなくなる。この結果、リーマ179に対する枝噛みの発生が防止されて枝打ち作業を効率的に行うことができる。
【0104】
なお、上記実施形態は以下のように変更してもよい。
○ 第1実施形態では、取付孔73を含む平面に含まれる直交2軸の方向、及び該平面と直交する軸方向に往復移動自在に、枝噛み防止部材76を、引張バネ75(支持機構)により支持したが、前記平面に含まれる直交2軸のみに往復移動自在に枝噛み防止部材76を支持してもよい。或いは、図11において、上下方向への往復移動を許容する移動許容空間を省略して、枝打ち方向と反枝打ち方向へのみ、枝噛み防止部材76を往復移動自在に支持してもよい。
【0105】
○ 第1実施形態及び第2実施形態では、昇降作業装置12Aに自走機構60を付設したチェーンソー67を設けたが、昇降作業装置12A及び自走機構60を省略し、枝打ち装置としてチェーンソー67単独で構成してもよい。この場合は、作業員が高所作業車や、リフター等に作業員が搭乗して枝打ち装置としてのチェーンソー67を持って枝打ちを行うことになるが、これでもよい。
【0106】
○ 第3実施形態の構成では、枝噛み防止部材190のz軸方向及び反z軸方向、又はy軸方向及び反y軸方向の移動を許容するようにしたが、z軸方向反z軸方向、又はy軸方向及び反y軸方向のいずれかの軸方向の移動のみを許容したり、両軸方向の移動をともに許容しないように構成することも可能である。
【0107】
○ 前記各実施形態において、付勢手段の構成を省略してもよい。この場合、枝噛み防止部材を、枝打ち方向へ復帰させる場合は、ソレノイド等を使用して、所定の位置(例えば、第1実施形態では中立位置)へ復帰させるようにしてもよい。
【0108】
○ 第1実施形態で、挿入部76aの表面を含む断面くさび状に形成された部位の表面は粗面に形成したが、粗面を省略してもよい。
【図面の簡単な説明】
【0109】
【図1】この発明の昇降作業装置の原理を示す正面図。
【図2】図1の平面図。
【図3】この発明を昇降作業装置に具体化した一実施形態を示す略体正面図。
【図4】図3の略体平面図。
【図5】枝打ち装置全体を示す斜視図。
【図6】第1車輪位置調整機構、第1上部固定アーム、第1下部揺動アーム及び第1上部駆動輪を示す正面図。
【図7】図6の右側面図。
【図8】第1〜第4車輪位置調整機構の斜視図。
【図9】樹幹に枝打ち装置を装着する動作を説明する斜視図。
【図10】樹幹に枝払い機構を省略した枝打ち装置を装着した状態を示す斜視図。
【図11】チェーンソー67の概略斜視図。
【図12】チェーンソー67の作用を示す説明図。
【図13】第2実施形態の枝打ち装置の斜視図。
【図14】(a)は第2実施形態の枝打ち装置の要部斜視図、(b)は、枝打ち装置の作用の説明図。
【図15】第3実施形態の枝打ち装置163の斜視図。
【図16】同じく枝打ち装置163の斜視図。
【図17】同じく枝打ち装置163の正面図。
【図18】同じく枝打ち装置163の側面図。
【図19】図17のA−A線断面図。
【符号の説明】
【0110】
S…昇降部、SK…昇降機構、11…樹幹、11A…枝、60…自走機構、
62…環状リング(軌道部)、65…サーボモータ(駆動手段)、
67…チェーンソー(枝打ち装置)、
71…ガイドバー(支持手段)、72…チェーン歯(刃体)、
75…引張バネ(支持機構、付勢手段)、76…枝噛み防止部材、76a…挿入部、
80…枝噛み防止部材、
85…挿入部、86,87…コイルスプリング(付勢手段、緩衝手段)、
88…引張バネ(付勢手段)、
163…枝打ち装置、179…リーマ(刃体)、
181…枝打ち用モータ(駆動手段)、190…枝噛み防止部材、
192…挿入部、195…引張バネ(付勢手段)。
【技術分野】
【0001】
本発明は、枝打ち装置及び該枝打ち装置を備えて樹幹に沿って昇降動作して、枝打ち作業を行うことができる昇降作業装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来から、樹木の枝打ち作業は、人が枝打ちを手作業で行うか、或いは、枝打ち装置で枝打ちが行われるようにしている。これらの枝打ち装置においては、枝打ち手段としてチェーンソー、リーマ(特許文献1参照)、丸鋸(特許文献2参照)、或いはレシプロソー等や、或いは一対の刃体が挟み型に設けられた枝打ち装置が使用されている。挟み型の枝打ち装置では、枝打ちの対象の枝を一対の刃体で挟むようにして切断することから、枝噛みの問題は生じない。
【特許文献1】特開2000−78934号公報
【特許文献2】特開2001−120084号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
しかし、枝に対して一方の方向から切断するタイプの枝打ち装置では、枝切りが進むと、枝ぶりにより、リーマの場合には、切断中に枝の切断面部分間で刃体を噛んだり、チェーンソの場合には、チェーン歯をガイドするガイドバーを枝の切断面部分間で噛んだりすることがある。このように刃体又は刃体を支持するガイドバーに枝噛みが生じると、刃体が動かなかったり、或いは、枝に対してガイドバーの進方向への移動ができなくなって、結果的に、切断が出来なくなるため、切断作業を中断し、枝噛み状態を作業者は直す必要がある。
【0004】
又、樹幹を昇降自在に自動的に移動する昇降作業装置に枝打ち装置を備えたものにあっては、前述のように切断動作を行っている枝打ち装置に枝噛み状態が生ずると、作業者は樹幹に上って該枝打ち装置の枝噛み状態を枝噛みしていない状態に直す必要があり、枝打ちの作業効率が著しく低下する問題がある。
【0005】
本発明の目的は、枝噛みの発生を防止して枝打ち作業を効率的に行うことができる枝打ち装置を提供することにある。
本発明の他の目的は、枝噛みの発生を防止して枝打ち作業を効率的に行うことができ、このため、一旦、枝噛み状態が生じた際にその状態を解消するために作業員が樹幹を上ることがなくなり、枝打ちの作業効率を向上することができる昇降作業装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記問題点を解決するために、請求項1に記載の発明は、少なくとも一側側に枝打ち側の側部を有する支持手段と、前記支持手段の枝打ち側の側部において該支持手段により切断動作可能に支持された刃体と、前記刃体に切断動作を付与する駆動手段を含み、枝打ち時に前記駆動手段により前記刃体が切断動作されている状態で、前記支持手段が枝打ち側の側部側へ(以下、枝打ち側の側部側への方向を枝打ち方向という)移動することにより、枝打ちをする枝打ち装置において、前記刃体を基準として反枝打ち方向側に位置する前記支持手段の部位には枝噛み防止部材を枝打ち方向と反枝打ち方向へ往復移動自在に支持する支持機構を備え、前記枝噛み防止部材は、前記刃体の刃幅よりも幅が狭い挿入部を備え、該挿入部が切断中の枝の切り口に挟まれた状態の下で前記刃体の切断動作及び前記支持手段の枝打ち方向への動作が可能にされていることを特徴とする枝打ち装置を要旨とするものである。なお、本明細書では、枝打ち側とは、枝を切断するために支持手段を移動する方向側をいう。
【0007】
請求項2の発明は、請求項1において、前記支持機構が、さらに、前記枝噛み防止部材を、枝打ち方向と反枝打ち方向に延びる軸とは直交する2軸の方向の内、少なくとも1軸の方向に移動自在に支持していることを特徴とする。
【0008】
請求項3の発明は、請求項1又は請求項2において、前記支持機構は、許容されている移動方向に前記枝噛み防止部材が移動した際に、該枝噛み防止部材をその移動した方向とは反対方向に復帰移動させる付勢手段を備えたことを特徴とする。
【0009】
請求項4の発明は、請求項1乃至請求項3のうちいずれか1項において、前記枝噛み防止部材は、前記挿入部を含めて断面くさび状に形成されていることを特徴とする。
請求項5の発明は、請求項1乃至請求項4のうちいずれか1項において、前記枝噛み防止部材の表面には、粗面が形成されていることを特徴とする。
【0010】
請求項6の発明は、請求項1乃至請求項4のうちいずれか1項において、前記枝噛み防止部材の前記挿入部の反枝打ち側に隣接した部位は、前記刃体の刃幅以上の厚みを有するように形成されていることを特徴とする。
【0011】
請求項7の発明は、請求項1乃至請求項6のうちいずれか1項において、前記支持手段が、チェーンソーのガイドバーであり、前記刃体が該ガイドバーの周部を周回するチェーン歯であることを特徴とする。
【0012】
請求項8の発明は、請求項1乃至請求項6のうちいずれか1項において、前記刃体がリーマであることを特徴とする。
請求項9の発明は、昇降機構により昇降する昇降部を備え、前記昇降部に対して請求項1乃至請求項8のうちいずれか1項に記載の枝打ち装置が設けられていることを特徴とする昇降作業装置を要旨とするものである。
【0013】
請求項10は、請求項9において、前記昇降部が、枝打ち対象の樹木を囲むように配置される軌道部を備え、前記軌道部に対して前記枝打ち装置を自走させる自走機構を備えたことを特徴とする。
【発明の効果】
【0014】
請求項1の発明によれば、刃体を支持する支持手段が枝打ち方向に移動すると、切断動作する刃体により枝が切られてゆくが、挿入部が切断中の枝の切断面間(すなわち、切り口)に挟まれた状態の下においても、刃体の切断動作及び前記支持手段の枝打ち方向への動作が可能にされている。すなわち、挿入部が枝の切り口で挟まれるため、挿入部がなかった従来技術と比較して、刃体或いは支持手段が枝の切り口に挟まれることがなくなる。この結果、刃体又は支持手段に対する枝噛みの発生が防止されて枝打ち作業を効率的に行うことができる。
【0015】
請求項2の発明によれば、枝を切るときに、枝噛み防止部材が、枝打ち方向と反枝打ち方向に延びる軸とは直交する2軸の方向の内、少なくとも1軸の方向に移動自在に支持されているため、枝を切るときに、枝噛み防止部材をこの移動自在に許容されている方向に移動させることができる。この結果、枝噛み防止部材が移動自在に移動できない場合に比して、枝打ちの進行が妨げられることがなく、枝打ち装置の枝打ちを確実に行うことができる。
【0016】
請求項3の発明によれば、枝打ち作業時に切断中の枝の切断面間(切り口)に挟まれた状態の枝噛み防止部材が支持手段に対して移動しても、切断中の枝の切断面間(切り口)に挟まれた状態が解除されると、付勢手段により、枝噛み防止部材を移動した方向とは反対方向に復帰移動させ、次の枝打ち作業に対応させることができる。
【0017】
請求項4の発明によれば、枝噛み防止部材は挿入部を含めて断面くさび状に形成されているため、刃体が切断動作中に形成された枝の切断面間に容易に挿入することができる。
請求項5の発明によれば、枝噛み防止部材の表面に粗面が形成されていることにより、枝噛み防止部材が枝の切り口に挟まれたとき、枝の切断面と枝噛み防止部材の表面との摩擦係数が大きいため、枝噛み防止部材の刃体側の枝打ち方向へ押し出されることもない。
【0018】
請求項6の発明によれば、枝噛み防止部材の挿入部の反枝打ち側に隣接した部位は、刃体の刃幅以上の厚みを有することから、この部位が枝の切り口へ挿入された際、枝の切り口の狭まりを防止し、さらには、刃体に対する枝の切り口の挟まりを軽減することができ、刃体の切断動作を良好に行わせることができる。
【0019】
請求項7の発明によれば、チェーンソーを枝打ち装置として使用する場合に、請求項1乃至請求項6のいずれか1項に記載の効果を実現することができる。
請求項8の発明によれば、リーマを刃体として採用する枝打ち装置において、請求項1乃至請求項6のいずれか1項に記載の効果を容易に実現することができる。
【0020】
請求項9の発明によれば、昇降作業装置の昇降部に請求項1乃至請求項8のいずれか1項に記載の枝打ち装置を備えることから、該枝打ち装置を備えた昇降作業装置で枝打ちを行う際、枝噛みの発生を防止して枝打ち作業を効率的に行うことができる。このため、一旦、枝噛み状態が生じた際にその状態を解消するために作業員が樹を上ることがなくなり、枝打ちの作業効率を向上することができる。
【0021】
請求項10の発明によれば、軌道部において自走する自走機構を備えた枝打ち装置において、請求項9の効果を容易に実現することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0022】
(第1実施形態)
以下、本発明を具体化した枝打ち装置としてのチェーンソー67及び自走機構60を備える昇降作業装置の一実施形態を図面に従って説明するが、まず、本実施形態における樹幹11を昇降する昇降作業装置12の原理を図1及び図2に基づいて説明する。
【0023】
この昇降作業装置12は、前記樹幹11の外周に取り外し可能に装着される環状機枠13を備えている。この環状機枠13は環状の上部フレーム13aと、その一部に下方に指向するように連結されたウエイト部13bと、ウエイト部13bの下端部に前記樹幹11に向かって一体に形成されたアーム部13cとにより構成されている。前記上部フレーム13aの一部(左側)には回転軸14により前記樹幹11の表面を転動する上部駆動輪15が装着され、前記アーム部13cの先端には回転軸16により前記樹幹11の表面を転動する下部駆動輪17が装着されている。前記上部及び下部駆動輪15,17は、図示しない駆動機構により回転駆動されるようになっている。図2に示すように前記上部フレーム13aには、支持軸18により従動輪19,20が180°隔てて装着され、前記上部及び下部駆動輪15,17と協働して昇降作業装置12が樹幹11に沿って安定して昇降することができるようにしている。
【0024】
前記環状機枠13には図示しないが、枝打ち装置としてのチェーンソー67が樹幹11の周りを旋回可能に装着されている。チェーンソー67については後述する。
次に、昇降作業装置12が樹幹11の表面に沿って昇降する原理について説明する。
【0025】
昇降作業装置12全体の重量中心Oは、前記樹幹11の外部において前記下部駆動輪17よりも外側の前記ウエイト部13bに設定されている。昇降作業装置12の重量M・g(Mは質量、gは重力加速度)が前記重量中心Oに作用すると、樹幹11と、上部及び下部駆動輪15,17との接触点で押付力の反力として、上部でF1、下部でF2が環状機枠13に作用し、これにより、上部でμ1・F1、下部でμ2・F2の摩擦力が発生する。ここで、μ1,μ2は、摩擦係数である。このとき、力とモーメントの釣り合い式は、以下のようになる。
【0026】
μ1・F1+μ2・F2=M・g
F1=F2
F1・h−μ1・FD=Mg・w
ただし、Dは樹幹11の直径、hは両駆動輪15,17の上下方向の距離、wは樹幹11と前記重量中心Oとの水平方向の距離である。説明を簡素化するために、μ1=μ2=μとすると、μ=h/(D+2w)である。このμが上部駆動輪15、下部駆動輪17と樹幹11の表面との摩擦係数より小さくなる設定としているので、昇降作業装置12は重量M・gにより滑り落ちることなく、樹幹11に沿って昇降することができる。
【0027】
次に、前述の昇降作業装置12の原理を応用した昇降作業装置12Aの概略構成を図3及び図4を参照して説明する。なお、説明の便宜上、図3及び図4においては、自走機構60及びチェーンソー67が省略されている。
【0028】
この昇降作業装置12Aは、昇降部Sと該昇降部Sを昇降させる昇降機構SKとからなる。まず、昇降機構SKについて説明する。
昇降機構SKは、図4に示すように、平面視正四角環状の環状機枠13の四隅部に対し対して装着された第1〜第4車輪位置調整機構21A〜21Dを備えている。前記第1及び第2車輪位置調整機構21A,21Bは、図3に示すように前記隅部に対して固定された第1及び第2上部固定アーム22A,22Bを有し、両アーム22A,22Bの先端部に第1及び第2上部駆動輪15A,15Bが装着されている。
【0029】
前記第3及び第4車輪位置調整機構21C,21Dには、第1及び第2下部固定アーム23A,23Bが装着され、両アーム23A,23Bの先端部に第1及び第2下部駆動輪17A,17Bが装着されている。
【0030】
前記第1及び第2車輪位置調整機構21A,21Bには、第1及び第2下部揺動アーム25A,25Bが上下方向の揺動可能に装着され、両アーム25A,25Bの先端部に第1及び第2下部従動輪20A,20Bが装着されている。前記第3及び第4車輪位置調整機構21C,21Dには、第1及び第2上部揺動アーム24A,24Bが上下方向の揺動可能に装着され、両アーム24A,24Bの先端部に第1及び第2上部従動輪19A,19Bが装着されている。
【0031】
前記第1及び第2上部揺動アーム24A,24B、第1及び第2下部揺動アーム25A,25Bは、コイルバネ26によりそれぞれ樹幹11に接近する方向に付勢されている。前記環状機枠13には、前記第1及び第2下部駆動輪17A,17Bと対応するようにウエイト部13bが設けられている。従って、前記ウエイト部13bによって前記第1及び第2上部駆動輪15A,15Bが樹幹11の表面に押し付けられるとともに、第1及び第2下部駆動輪17A,17Bが樹幹11の表面に押し付けられ、昇降作業装置12Aが樹幹11から滑り落ちないようにしている。
【0032】
次に、昇降作業装置12Aの具体的構成を図5〜図10を参照して説明する。なお、説明の便宜上、図9及び図10においては、自走機構60及びチェーンソー67が省略されている。
【0033】
前記環状機枠13は図9及び図10に示すように、ヒンジ機構27によって水平方向の開閉可能に連結された平面視コ字状の第1及び第2フレーム28,29によって、樹幹11の周囲に脱着可能に構成されている。前記第1及び第2フレーム28,29の前記ヒンジ機構27と反対側の両端部には、該両端部を互いに連結するための連結機構30が設けられている。この連結機構30は、第1フレーム28の端部に形成されたネジ孔28aに、第2フレーム29の端部に設けられた蝶ボルト30Aを螺合することにより第1フレーム28と、第2フレーム29を連結するように構成されている。
【0034】
次に、第1〜第4車輪位置調整機構21A〜21Dについて説明するが、各調整機構21A〜21Dは同様に構成されているので、図6〜図8を参照して第1車輪位置調整機構21Aについて説明する。
【0035】
図6に示すように、前記環状機枠13の隅部には、取付台座31を介して案内ロッド32が水平に支持固定され、この案内ロッド32と平行にボールねじ33が前記取付台座31に回転可能に支持されている。前記ボールねじ33の先端部は、前記案内ロッド32の先端に固定した連結板34によって回転可能に支持されている。前記案内ロッド32及びボールねじ33には、該ボールねじ33に螺合されたボールねじナットを有する可動支持体35が水平方向の往復移動可能に支持されている。前記可動支持体35には支持軸36が貫通固定され、この支持軸36に前記第1上部駆動輪15Aを装着した第1上部固定アーム22Aが連結されている。前記支持軸36には、前記第1下部従動輪20Aを装着した第1下部揺動アーム25Aが上下方向の往復揺動可能に装着され、図7示すコイルバネ26によって前記樹幹11に接近するように付勢されている。
【0036】
前記環状機枠13の隅部には、ウォーム37が回転軸38によって回転可能に支持されている。前記ボールねじ33の基端部には前記ウォーム37に噛み合わされたウォームホィール39が連結され、前記回転軸38には上下二段にプーリ40が嵌合されている。そして、前記プーリ40が回転されると、ウォーム37、ウォームホィール39及びボールねじ33が回転され、前記可動支持体35が水平方向に往復移動され、前記第1上部駆動輪15A及び第1下部従動輪20Aの水平方向の位置が調整されるようにしている。
【0037】
図8に示すように、前記ヒンジ機構27には前記プーリ40を回転するための手動操作機構41が設けられている。該機構41とヒンジ機構27に共通の回転軸42には第1及び第2タイミングプーリ43,44が嵌合され、操作ハンドル45によって回動可能になっている。前記第1タイミングプーリ43と前記第1車輪位置調整機構21Aの上部のプーリ40との間には、第1タイミングベルト46が掛装され、第1車輪位置調整機構21Aのプーリ40を回転するようになっている。又、前記第1車輪位置調整機構21Aの下部のプーリ40と、第2車輪位置調整機構21Bのプーリ40との間には、第2タイミングベルト47が掛装され、該プーリ40を回転するようになっている。同様に、前記第2タイミングプーリ44と第3車輪位置調整機構21Cの下部のプーリ40とに掛装された第3タイミングベルト48によって、該プーリ40が回転されるようになっている。さらに、第3車輪位置調整機構21Cの上部のプーリ40と、第4車輪位置調整機構21Dのプーリ40とに掛装されたタイミングベルト49によって該プーリ40が回転されるようになっている。
【0038】
従って、前記操作ハンドル45が手動により回転されると、第1〜第4車輪位置調整機構21A〜21Dのそれぞれの可動支持体35が同期して移動され、図5に示す駆動輪15A,15B、17A,17B及び従動輪19A,19B,20A,20Bの位置が調整される。
【0039】
図6に示すように、第1上部固定アーム22Aの先端部には取付台座51が設けられ、取付台座51に回転軸52が回転自在に支持されている。該回転軸52は、取付台座51に設けられたサーボモータ54により回転駆動され、その外周面にはウォーム53が嵌合固定されている。そして、前記第1上部駆動輪15Aは、前記回転軸14に嵌合固定され、かつ前記ウォーム53に噛み合わされたウォームホィール55によって回転されるようになっている。
【0040】
次に、図5を参照して、上記のように構成された昇降機構SKに搭載される昇降部Sについて説明する。
前記環状機枠13を構成する第1及び第2フレーム28,29の上面には、複数の支持ロッド61により支持された上下二段の軌道部としての環状リング62を備えている。この環状リング62は半円弧状に分割され、ヒンジ機構63により前記第1及び第2フレーム28,29の開閉動作に同期して開閉されるようになっている。本実施形態では、前記環状機枠13、軌道部としての環状リング62により昇降部Sが構成されている。
【0041】
次に、前記環状機枠13に装着された自走機構60及びチェーンソー67について説明する。
昇降部Sを構成する前記両環状リング62には、旋回支持体64が自走機構60により、環状リング62に沿って円周方向に往復旋回可能となっている。すなわち、自走機構60は、旋回支持体64に装着された旋回駆動源及び駆動手段としてのサーボモータ65と、サーボモータ65の図示しない出力軸に設けられた歯車と、環状リング62上において、環状リング62の環状形状に沿って設けられたラック(図示しない)とにより構成されている。そして、サーボモータ65の正逆の回転方向に応じて旋回支持体64が環状リング62を往復旋回可能である。
【0042】
又、サーボモータ65には枝打ち装置としてのチェーンソー67が装着されている。図5、図11に示すようにチェーンソー67は、機構部ケース70と、該機構部ケース70から突出して配置された平板状のガイドバー71と、ガイドバー71の外周部を滑走するチェーン歯72等を備えている。機構部ケース70内には前記サーボモータ65からの出力軸に作動連結された機構部(図示しない)が設けられ、サーボモータ65の出力トルクが該機構部を介してチェーン歯72に伝達されることにより該チェーン歯72をガイドバー71の外周部において滑走駆動するようになっている。
【0043】
又、機構部ケース70から露出したガイドバー71には、図11に示すように取付孔73が形成されている。本実施形態では取付孔73はガイドバー71の長手方向に沿って長孔状に形成されている。取付孔73内には、枝噛み防止部材76が設けられている。枝噛み防止部材76は、取付孔73の長手方向の両端縁に対して複数個の引張バネ75を介して支持されている。なお、図11に示すように、本実施形態では、上下の両端にそれぞれ一対の引張バネ75が設けられているが、引張バネ75個数は例示であって、一対を一組にすることに限定されるものではなく、上下に1個ずつ、或いは3個以上設けても良い。
【0044】
そして、枝噛み防止部材76に負荷がかかっていない状態では、長手方向の両端にそれぞれに配置された引張バネ75の付勢力が拮抗し、取付孔73の短手方向の長さ(すなわち、幅)及び長手方向の長さの略中央位置に位置するようにされている。この位置を以下、中立位置という。この状態では、枝噛み防止部材76は取付孔73の全内周縁とは離間し、内周縁との間に移動許容空間が形成される。又、この状態では、枝噛み防止部材76は、前記移動許容空間の範囲内で取付孔73を含む平面に含まれるとともに直交する2軸の方向(直交2軸の方向)に移動自在にされている。特に、枝打ち方向と反枝打ち方向における移動許容空間においては、枝噛み防止部材76の前記中立位置からの移動量が、このチェーンソー67が通常の枝打ちの対象としている枝で想定されている最大直径と同程度の量となるように設定されている。
【0045】
又、前記引張バネ75が許容する範囲で、ガイドバー71を含む平面に対して直交する軸方向に枝噛み防止部材76は移動可能になっている。本実施形態では引張バネ75は支持機構及び付勢手段に相当する。
【0046】
ここで、チェーンソー67において、枝打ち方向とは、ガイドバー71が枝打ちのために移動する方向である。本実施形態では、旋回支持体64が自走機構60により、環状リング62に沿った円周方向に往復旋回可能となっていることから、チェーンソー67の枝打ち方向は、旋回方向が変わる毎に変わることになる。例えば、図11において、ガイドバー71が左方向に移動する場合には、左方向が枝打ち方向となり、右方向に移動する場合は、右方向が枝打ち方向となる。そして、枝打ち方向が図11において、左方向の場合、刃体としてのチェーン歯72は、前述のように枝打ち方向の側部(すなわち、ガイドバー71の左側部)において、切断動作可能に支持されている。
【0047】
又、枝打ち方向が図11において、右方向の場合、刃体としてのチェーン歯72は、前述のように枝打ち方向の側部(すなわち、ガイドバー71の右側部)において、切断動作可能に支持されている。そして、前述したように、本実施形態では、枝噛み防止部材76は、前記移動許容空間の範囲内で取付孔73を含む平面に含まれた直交する2軸の方向(直交2軸の方向)に往復移動自在に引張バネ75により支持されている。このようにして、枝打ち方向が決定された場合においては、チェーン歯72(刃体)を基準として反枝打ち方向側に位置するガイドバー71(支持手段)の部位には枝噛み防止部材76を枝打ち方向と反枝打ち方向へ往復移動自在に支持する引張バネ75(支持機構)を備えていることになる。
【0048】
又、枝噛み防止部材76の横断面形状は、図12に示すように枝打ち方向側の側部となる部位は、断面くさび状に形成されている。このくさび状の部分において、チェーン歯72の刃幅L未満の厚みの部分が挿入部76aとなる。又、くさび状の部分において、挿入部76aに隣接した部分は、チェーン歯72の刃幅L以上の厚みを有している。
【0049】
なお、本実施形態では、チェーンソー67が枝打ちのための旋回方向を正逆転できるようにされていることから、枝打ち方向の側部はガイドバー71の幅方向における一対の側部がそれぞれなりうる。このため、枝噛み防止部材76はガイドバー71の各前記側部に対応して、互いに反対側の側部に一対の挿入部76aが設けられるとともに、くさび状の部分において、挿入部76aに隣接した部分は、チェーン歯72の刃幅L以上の厚みを有する。
【0050】
又、枝噛み防止部材76において、断面くさび状に形成された部位の表面は粗面を有するように形成されている。
図5に鎖線で示すように、前記環状機枠13の第1フレーム28には、前記サーボモータ54、65を駆動する蓄電池や制御機器を収容した制御ボックス68が設けられている。この制御ボックス68の重量は、図4に示すウエイト部13bの機能を有するものである。そして、前記旋回支持体64が図5に示すように制御ボックス68から最も離隔された状態においても図3において、両駆動輪15A,15B及び駆動輪17A,17Bが樹幹11に適度に押し付けられるようにしている。
【0051】
前述したサーボモータ54,65の起動又は停止動作は、地上から延長コードを用いて遠隔操作されるようになっているが、無線交信により遠隔操作するように構成してもよい。
【0052】
次に、前記のように構成された昇降作業装置12Aの動作について説明する。
図5に示す状態となるように、樹幹11に対して昇降作業装置12Aを取付けし、この状態でサーボモータ54を起動して、回転軸52及びウォーム53を回転する。すると、前記ウォームホィール55及び回転軸14を介して、第1及び第2上部駆動輪15A,15B、第1及び第2下部駆動輪17A,17Bがそれぞれ回転され、昇降作業装置12Aが樹幹11に沿って上方に移動される。この昇降作業装置12Aの上昇動作と同期して、サーボモータ65が作動され、チェーンソー67が作動されるとともに、旋回支持体64が環状リング62に沿って円周方向に旋回される。従って、昇降作業装置12Aの上昇の動作が行われると共に、チェーンソー67によって、樹幹11から張り出した枝が枝打ちされる。
【0053】
この枝打ち作業のとき、図12に示すように、チェーンソー67の枝打ち方向側のチェーン歯72が枝11Aに切り込まれると、枝11Aには切り口11Bが形成される。枝打ち方向側のチェーン歯72が切り進むと枝噛み防止部材76の挿入部76aが切り口11B内に挿入される。
【0054】
ここで、切り口11Bにおいてガイドバー71の両側面に対向する両切断面11Cは、枝11Aの枝ぶりにより切り口11Bの開口側が狭まる場合には挿入部76aに、或いは、切り口11Bの開口側が狭まらない場合には、挿入部76aに隣接する部分(チェーン歯72の刃幅L以上の厚みを持つ部分)を挟み込む。この両切断面11Cによって挟み込みされた状態で、ガイドバー71が枝打ち方向に移動すると、枝噛み防止部材76は引張バネ75の付勢力に抗して反枝打ち方向側に相対的に移動する。なお、実際は、枝噛み防止部材76は、前記挟み込みによりその場で押し止められるが、ガイドバー71は枝打ち方向に移動することから相対的に反枝打ち方向側に移動することになる。
【0055】
枝打ち方向と反枝打ち方向における移動許容空間においては、枝噛み防止部材76の中立位置からの移動量が、このチェーンソー67が通常の枝打ちの対象としている枝で想定されている最大直径と同程度の量となるように設定されていることから、切断が完了するまで挟み込みの状態が継続する。このため、刃体であるチェーン歯72の枝噛みが防止される。
【0056】
枝噛み防止部材76は、切断中の枝11Aの切断面間(切り口11B)に挟まれた状態が解除されると、引張バネ75により、枝噛み防止部材76を移動した方向とは反対方向に復帰移動させる。すなわち、枝噛み防止部材76は中立位置に復帰する。
【0057】
なお、枝噛み防止部材76が挟み込みされた状態で、取付孔73を含む平面内に含まれた直交する2軸の方向(直交2軸の方向)において、枝打ち方向及び反枝打ち方向以外の方向、或いは、該平面に直交する軸方向に何らかの原因で枝11Aに振動等があった場合には移動許容空間の許容範囲及び引張バネ75が許容する範囲でその振動等を吸収する。
【0058】
以後同様に、枝打ちが行われ、樹幹11の枝打ち作業が終了すると、サーボモータ65が停止されるとともに、サーボモータ54が逆方向に回転され、前記第1及び第2上部駆動輪15A,15B、第1及び第2下部駆動輪17A,17Bが逆方向に回転され、昇降作業装置12Aは、樹幹11に沿って下方に移動される。
【0059】
上記実施形態の昇降作業装置12Aによれば、以下のような効果を得ることができる。
(1)本実施形態では、チェーンソー67は、チェーン歯72(刃体)を基準として反枝打ち方向側に位置するガイドバー71(支持手段)の部位には枝噛み防止部材76を枝打ち方向と反枝打ち方向へ往復移動自在に支持する引張バネ75(支持機構)を備えている。又、枝噛み防止部材76は、チェーン歯72が切断している枝11Aの切断面間に挿入可能な厚みを備えた挿入部76aを備え、挿入部76aが切断中の枝11Aの切断面間に挟まれた状態の下でチェーン歯72の切断動作及びガイドバー71の枝打ち方向への動作が可能にされている。この結果、ガイドバー71が枝打ち方向に移動すると、切断動作するチェーン歯72により枝が切られてゆくが、挿入部76aが切断中の枝11Aの切断面間(すなわち、切り口)に挟まれた状態の下においても、チェーン歯72の切断動作及びガイドバー71の枝打ち方向への動作が可能にされている。すなわち、挿入部76aが枝11Aの切り口11Bで挟まれるため、挿入部76aがなかった従来技術と比較して、チェーン歯72或いはガイドバー71(支持手段)が枝11Aの切り口11Bに挟まれることがなくなる。この結果、チェーン歯72又はガイドバー71に対する枝噛みの発生が防止されて枝打ち作業を効率的に行うことができる。
【0060】
(2)本実施形態では、引張バネ75が、枝噛み防止部材76を、枝打ち方向と反枝打ち方向に延びる軸とは直交する2軸の方向移動自在に支持している。このため、枝を切るときに、枝噛み防止部材76をこの移動自在に許容されている方向に移動させることができる。この結果、枝噛み防止部材76が移動自在に移動できない場合に比して、枝打ちの進行が妨げられることがなく、チェーンソー67の枝打ちを確実に行うことができる。
【0061】
(3)本実施形態では、枝噛み防止部材76を支持する引張バネ75は、許容されている移動方向、すなわち、移動許容空間、及び、前記取付孔73を含む平面に直交する軸方向に枝噛み防止部材76が移動した際に、枝噛み防止部材76をその移動した方向とは反対方向に復帰移動させる付勢手段として機能する。
【0062】
この場合、枝打ち作業時に切断中の枝の両切断面間(切り口11B)に挟まれた状態の枝噛み防止部材76がガイドバー71(支持手段)に対して移動しても、切断中の枝11Aの切断面間(切り口11B)に挟まれた状態が解除されると、付勢手段により、枝噛み防止部材76を移動した方向とは反対方向に復帰移動させる。この結果、次の枝打ち作業に対応させることができる。
【0063】
(4)本実施形態では、枝噛み防止部材76は、挿入部76aを含めて断面くさび状に形成されている部位を有するため、チェーン歯72が枝11Aを切断動作中に形成された枝の両切断面11C間に枝噛み防止部材76を容易に挿入することができる。
【0064】
(5)本実施形態では、枝噛み防止部材76の表面には、粗面が形成されているため、枝噛み防止部材76が枝11Aの切り口11Bに挟まれたとき、枝11Aの切断面11Cと枝噛み防止部材76の表面との摩擦係数が大きいため、枝噛み防止部材76のチェーン歯72側の枝打ち方向へ押し出されることもない。
【0065】
(6)本実施形態では、枝噛み防止部材76の挿入部76aの反枝打ち側に隣接した部位は、チェーン歯72の刃幅以上の厚みを有するように形成されていることから、該部位が枝11Aの切り口11Bでへ挿入された際、枝の切り口11Bの狭まりを防止できる。さらには、チェーン歯72に対する枝の切り口11Bの挟まりを軽減することができ、チェーン歯72の切断動作を良好に行わせることができる。
【0066】
(7) 本実施形態では、昇降機構SKにより昇降する昇降部Sを備え、昇降部Sに対して(1)〜(6の効果を実現する構成を備えたチェーンソー67が設けられている。
この結果、チェーンソー67(枝打ち装置)を備えた昇降作業装置で枝打ちを行う際、枝噛みの発生を防止して枝打ち作業を効率的に行うことができる。このため、一旦、枝噛み状態が生じた際にその状態を解消するために作業員が樹を上ることがなくなり、枝打ちの作業効率を向上することができる。
【0067】
(8) 本実施形態では、昇降部Sが、枝打ち対象の樹木を囲むように配置される環状リング62(軌道部)を備え、環状リング62に対してチェーンソー67を自走させる自走機構60を備える。この結果、環状リング62において自走する自走機構60を備えたチェーンソー67において、上記(7)の効果を容易に実現することができる。
【0068】
(第2実施形態)
次に第2実施形態を図13及び図14を参照して説明する。なお、第2実施形態の構成は、枝噛み防止部材80の構成、及び枝噛み防止部材80をガイドバー71に支持する構成が第1実施形態の枝噛み防止部材76と異なり、他の構成は同様であるため、異なる構成を中心に説明する。なお、昇降作業装置12A、及び自走機構60は同じであるため、図13、図14では省略している。本実施形態において、直交3軸を次のように定義する。すなわち、枝打ち方向をx軸方向とし、このx軸方向を基準に他の2軸(y軸とz軸)を直交配置する。
【0069】
なお、枝打ち方向は、ガイドバー71が枝打ちのために移動する方向であるが、第2実施形態では、旋回支持体64(図5参照)が自走機構60により、環状リング62に沿った円周方向において、一方向側へ旋回するときのみ枝打ちが可能なっている。
【0070】
第2実施形態のチェーンソー67は、取付孔73の長手方向の両端間には、互いに平行に一対のガイド軸77が架設されている。ガイド軸77には一対のスライダ78がガイド軸77の軸心方向(z軸及び反z軸方向)に沿って摺動自在に装着されている。
【0071】
各スライダ78にはガイドピン79がガイド軸77とは直交する方向(y軸及び反y軸方向)に貫通固定され、その両端がスライダ78の両側面から突出している。各スライダ78のガイドピン79には、枝噛み防止部材80が装着されている。
【0072】
図14(a)に示すように枝噛み防止部材80は、互いに平行に離間配置された一対の平行板81と、各平行板81から枝打ち方向に突出された板状の枝噛み防止板82とから構成されている。一対の平行板81は、上下に配置した複数の連結ピン83にて互いに間隔が保持されて連結されている(図14(b)参照)。なお、図14(b)では、連結ピン83が1つのみ図示されている。
【0073】
各平行板81の上下両部には、枝打ち方向に沿って延びたガイド孔84が形成されている。そして、各ガイドピン79が各ガイド孔84に摺動自在に貫通されていることにより、枝噛み防止板82が枝打ち方向及び反枝打ち方向に往復移動自在となっている。
【0074】
両枝噛み防止板82の間隔は、枝打ち方向側の先端部間がチェーン歯72の刃幅よりも短くされるとともに、基端部間がチェーン歯72の刃幅よりも長くなるように設定されている。このように両枝噛み防止板82の間隔が設定されていることにより、枝噛み防止板82の外表面は、平行板81に対して斜状に配置されている。この斜状に配置された枝噛み防止板82のうち、両枝噛み防止板82の間隔がチェーン歯72の刃幅よりも短くされる部分はチェーン歯72(刃体)が切断している枝の切断面間に挿入可能な厚みを備えた挿入部85となる。挿入部85の外表面は粗面に形成されている。このようにして、両枝噛み防止板82の挿入部85は、平行板81に対して先端がチェーン歯72の刃幅よりも短くなるように斜状に配置されていることにより、略くさび状に形成されている。
【0075】
ガイド軸77において、各スライダ78と、取付孔73の上下両端間には、それぞれ緩衝手段としてのコイルスプリング86が巻装され、各スライダ78の上下(z軸及び反z軸方向)の移動に対して緩衝する。
【0076】
各ガイドピン79において、各平行板81と各スライダ78間には、それぞれ緩衝手段としてのコイルスプリング87が巻装され、平行板81のy軸及び反y軸方向の移動に対して緩衝する。
【0077】
又、ガイドバー71において、取付孔73のx軸方向(枝打ち方向)側の内面と連結ピン83化には、付勢手段としての引張バネ88が連結され、引張バネ88により、枝噛み防止部材80がx軸方向(枝打ち方向)側へ付勢されている。 さて、上記のように構成されたチェーンソー67により、樹幹11から張り出した枝を枝打ちする場合について説明する。なお、昇降作業装置12Aの作用、チェーンソー67の旋回動作については第1実施形態と同様であるため、説明を省略する。又、第2実施形態において、チェーンソー67の枝噛み防止部材80の作用は、第1実施形態の枝噛み防止部材76の符号76を80に読替え、挿入部76aを挿入部85と、引張バネ75を引張バネ88に読み替えれば同じとなるため、説明を省略する。
【0078】
なお、第1実施形態において、枝噛み防止部材76は、切断中の枝11Aの切断面間(切り口11B)に挟まれた状態が解除されると、引張バネ75により、枝噛み防止部材76を移動した方向とは反対方向に復帰移動させるが、第2実施形態では、引張バネ88により、枝噛み防止部材80は取付孔73の枝打ち方向側に寄せられる。
【0079】
又、枝噛み防止部材80が枝により挟み込みされた状態で、z軸又は反z軸方向、又はy軸又は反y軸方向において、枝に振動等があった場合には緩衝手段としてのコイルスプリング86、87がその振動等を吸収する。又、コイルスプリング86、87は、取付孔73を含む平面に直交する軸方向(すなわち、y軸及び反y軸方向)に枝噛み防止部材76が移動した際に、枝噛み防止部材76をその移動した方向とは反対方向に復帰移動させる付勢手段に相当する。
【0080】
第2実施形態においても、第1実施形態の上記(1)〜(6)と同様の作用効果を奏する。
(第3実施形態)
次に第3実施形態を図15〜19を参照して説明する。第3実施形態は、昇降作業装置12Aに設けられた枝打ち装置163及び自走機構160の構成が異なる。なお、第3実施形態の昇降作業装置12Aは第1実施形態の構成と同じであるため、同一構成については同一符号を付す。又、図15〜19に示すように、本実施形態では、x,y,z軸の直交軸で方向を定義する。
【0081】
図18に示すように昇降作業装置12Aの上下両二段の環状リング62には、枝打ち装置163の旋回支持体164が自走機構160により、環状リング62に沿って円周方向に往復旋回可能となっている。旋回支持体164は、図18に示すように上部プレート164a,下部プレート164bと両プレートを連結する中間プレート164cとにより側面視略コ字状に構成され、環状リング62に対して脱落不能にかつ、円周方向に走行可能に装着されている。又、自走機構160は、旋回支持体164の下部プレート164bに装着された旋回駆動源としてのサーボモータ165と、サーボモータ165の出力軸166に設けられた歯車167と、環状リング62上において、環状リング62の環状形状に沿って設けられたラック168とにより構成されている。そして、サーボモータ165の正逆の回転方向に応じて前記歯車167がラック168とかみ合って回転することにより、旋回支持体164が環状リング62を往復旋回可能である。
【0082】
旋回支持体164の上部プレート164aには、平面視長方形状をなす支持板170が装着されている。支持板170は、図17に示すように上部プレート164a上面に設けられたガイドレール164dに沿って、環状リング62の径方向に沿って位置調節可能となっている。前記支持板170は、長孔171が長手方向(すなわち、y軸方向及び反y軸方向)に延出され、該長孔171を介して上部プレート164aに螺合される前記位置調節ボルト172の締付けにより確固に固定される。又、支持板170は、前記位置調節ボルト172が緩められることにより、前記長孔171が許容する範囲で前述のように位置調節可能である。
【0083】
支持板170において、環状リング62の中心側の端部上面には、回転軸174を水平にかつ回転自在に軸支する軸受173が設けられている。回転軸174の両端には支持手段としての枠体175が装着されている。回転軸174の両端に固定されて上方に延出された一対の縦枠部材176と、両縦枠部材176の上下両端部間において略中央部が固定されて横方向(すなわち、x軸方向及び反x軸方向)に延出された上下一対の横枠部材177とからなる。なお、図15では、説明の便宜上、枠体175の枠体175の構成中、一方の縦枠部材176のみ図示され、他方の縦枠部材176は省略されている。
【0084】
上下の横枠部材177の先端には、一対の軸支部材178が固定され、178間には刃体としてのリーマ179が回動自在に支持されている。ここで、横枠部材177の先端は、枠体175(支持手段)の枝打ち側の側部に相当する。本実施形態では、リーマ179の刃幅とは、リーマ179の直径である。下部の横枠部材177の先端には、ブラケット180を介して枝打ち用モータ181が装着されている。枝打ち用モータ181の出力軸182はカップリング183を介して前記リーマ179の軸に連結され、リーマ179を回転駆動する。なお、図15では、枝打ち用モータ181、及びカップリング183は説明の便宜上省略されている。
【0085】
一対の横枠部材177は、図15、図16、図18に示すように、互いに対向する内面側が凹状になるように幅方向(すなわち、y軸方向及び反y軸方向)に位置する両側壁が突出されて断面コ字状に形成されている。上下一対の横枠部材177の前記両側壁において、長手方向(すなわち、x軸方向及び反x軸方向)の両端には、それぞれ一対の軸184が互いに平行に架設されている。各横枠部材177において、前記一対の軸184には、ガイド部材185が軸184の軸心方向(すなわち、y軸方向及び反y軸方向)に沿って移動自在に装着されている。
【0086】
図16、図18、図19に示すように各前記軸184において、ガイド部材185と横枠部材177の前記両側壁間には、付勢部材としてのコイルスプリング186が巻装され、緩衝手段としてのコイルスプリング186によりガイド部材185が中立位置に位置するように付勢されている。ここでの中立位置とは、ガイド部材185が横枠部材177の両側壁と離間する距離が、それぞれ同じ距離となる位置である。この中立位置にガイド部材185が位置する際、ガイド部材185の軸心を含む平面がリーマ179の軸心を含むように配置される。
【0087】
又、上下にそれぞれ配置されたガイド部材185には、それぞれ一対のスライダ187が該ガイド部材185の延びる方向(すなわち、x軸方向及び反x方向)に往復移動自在配置されている。すなわち、ガイド部材185の延びる方向は、横枠部材177の延びる方向と一致している。上方に位置する横枠部材177のガイド部材185に配置された一対のスライダ187と、下方位置する横枠部材177のガイド部材185に配置された一対のスライダ187間には、一対のガイド軸188がそれぞれ連結されている。
【0088】
一対のガイド軸188には、枝噛み防止部材190が上下移動自在に装着されている。枝噛み防止部材190は、ガイド軸188において、枝噛み防止部材190とスライダ187間には、緩衝手段としてのコイルスプリング191が巻装され、コイルスプリング191により防止部材190が上下方向(すなわち、z軸方向及び反z軸方向)において中立位置に位置するように付勢されている。ここでの中立位置は、枝噛み防止部材190が上下にそれぞれ位置するスライダ187と離間する距離が、それぞれ同じ距離となる位置である。このz軸方向及び反z軸方向において中立位置に防止部材190が位置する際、枝噛み防止部材190の中心を通過するxz平面がリーマ179の軸心を含むように配置される。
【0089】
このようにして、枝噛み防止部材190は、ガイド部材185及びスライダ187からなる支持機構に対してガイド軸188を介して、枝打ち方向と反枝打ち方向へ往復移動自在に支持されている。
【0090】
枝噛み防止部材190のリーマ179側の先端部190aは、リーマ179の刃幅よりも厚みが薄くされるとともに、その端面は断面半円状に形成されている。又、枝噛み防止部材190において、先端部190aからは断面くさび状に形成されて基端側へ行くほど、厚みが先端よりも厚くされた挿入部192が形成されている。挿入部192の範囲までは、その厚みがリーマ179の刃幅よりも薄くされ、挿入部192からさらに基端側(x方向側)にいくとリーマ179の刃幅よりも厚くされている。
【0091】
枝噛み防止部材190の基端両側部において上下の部位には、バネ係止ピン193が設けられている。又、両縦枠部材176において、各前記上下にそれぞれ位置するバネ係止ピン193と略同じ高さとなる部位には、バネ係止ピン194が設けられ、略同じ高さ位置にあるバネ係止ピン193,194間には付勢手段としての引張バネ195が掛け止めされている。そして、引張バネ195により、枝噛み防止部材190は、反x方向に常時付勢されていて、先端部190aをリーマ179の近傍位置まで、接近するようにされている。そして、この近傍位置から、枝噛み防止部材190が反枝打ち方向への移動量は、リーマ179が通常の枝打ちの対象としている枝で想定されている枝の最大直径と同程度の量となるように設定されている。
【0092】
図18に示すように又、支持板170において、軸受173の近傍の部位には、枠体175の一方の縦枠部材176に隣接するように回転位置調節板200が設けられている。図17に示すように回転位置調節板200の上部には、円弧状の長孔201が透設されている。長孔201の曲率中心は、回転軸174の軸心と同心となるように配置されている。長孔201には、回転位置調節ボルト202が挿通されて、回転位置調節板200に直近に位置する縦枠部材176に対して螺合されている。そして、回転位置調節ボルト202を前記枠体175は、長孔201を介して縦枠部材176に螺合される回転位置調節ボルト202の締付けにより回転位置調節板200に対して確固に固定される。又、枠体175は、前記回転位置調節ボルト202が緩められることにより、前記長孔201が許容する範囲で、回転軸174を中心に回転位置調節可能である。本実施形態では、縦枠部材176はz軸方向及び反z軸方向に沿って回転位置調節されている。
【0093】
(第3実施形態の作用)
前記のように構成された枝打ち装置163を備えた昇降作業装置12Aの動作について説明する。なお、昇降作業装置12Aの樹幹11を上昇する作用は第1実施形態と同じであるため、説明を省略し、上昇した後から説明する。
【0094】
昇降作業装置12Aの上昇動作と同期して、サーボモータ165及び枝打ち用モータ181が作動され、リーマ179が回転作動されるとともに、旋回支持体64が環状リング62に沿って円周方向に旋回される。従って、昇降作業装置12Aの上昇の動作が行われると共に、リーマ179によって、樹幹11から張り出した枝が枝打ちされる。
【0095】
この枝打ち作業のとき、リーマ179が枝に切り込まれると、枝には切り口が形成さ、リーマ179が切り進むと枝噛み防止部材190の挿入部192が切り口内に挿入される。ここで、切り口において挿入部192の両側面に対向する両切断面は、枝ぶりにより切り口の開口側が狭まる場合には挿入部192に、或いは、切り口の開口側が狭まらない場合には、挿入部192に隣接する部分(リーマ179の刃幅以上の厚みを持つ部分)を挟み込む。
【0096】
この両切断面によって挟み込みされた状態で、リーマ179が枝打ち方向(反x方向)に移動すると、枝噛み防止部材190は引張バネ195の付勢力に抗して反枝打ち方向(x方向)側に相対的に移動する。なお、実際は、枝噛み防止部材190は、前記挟み込みによりその場で押し止められるが、リーマ179は枝打ち方向に移動することから相対的に反枝打ち方向側に移動することになる。
【0097】
枝噛み防止部材190のリーマ179に対する近傍位置からの移動量が、このリーマ179が通常の枝打ちの対象としている枝で想定されている最大直径と同程度の量となるように設定されていることから、切断が完了するまで挟み込みの状態が継続する。このため、刃体であるリーマ179の枝噛みが防止される。
【0098】
枝噛み防止部材190は、切断中の枝の切断面間(切り口)に挟まれた状態が解除されると、引張バネ195により、枝噛み防止部材190を移動した方向とは反対方向に復帰移動させる。すなわち、枝噛み防止部材190は近傍位置に復帰する。
【0099】
なお、枝噛み防止部材190が前記のように挟み込みされた状態で、z軸方向及び反y軸方向、y軸方向及び反y軸方向に何らかの原因で枝に振動等があった場合には、緩衝手段としてのコイルスプリング186,191が許容する範囲でその振動等を吸収する。
【0100】
以後同様に、枝打ちが行われ、樹幹の枝打ち作業が終了すると、サーボモータ165及び枝打ち用モータ181が停止され、以下は第1実施形態と同様にサーボモータ54が逆方向に回転される等して昇降作業装置12Aは、樹幹11に沿って下方に移動される。
【0101】
第3実施形態では、第1実施形態の(2)、(3)、(4)、(6)と同様の効果を奏する他に下記の効果を奏する。
(1)本実施形態の枝打ち装置163では、枠体175(支持手段)は、一側側に枝打ち側の側部(すなわち、軸支部材178を介してリーマ179を支持する部位)を有する。そして、枠体175の枝打ち側の側部において、枠体175により切断動作可能にリーマ179(刃体)が支持されている。又、枝打ち装置163は、リーマ179に切断動作を付与する枝打ち用モータ181(駆動手段)を備えている。又、枝打ち装置163は、リーマ179(刃体)を基準として反枝打ち方向側に位置する枠体175(支持手段)の部位には、枝噛み防止部材190を枝打ち方向と反枝打ち方向へ往復移動自在に支持するガイド部材185及びスライダ187からなる支持機構を備えている。
【0102】
又、枝噛み防止部材190はリーマ179が切断している枝の切断面間に挿入可能な厚みを備えた挿入部192を備え、挿入部192が切断中の枝の切断面間に挟まれた状態の下でリーマ179の切断動作の枝打ち方向への動作が可能にされている。
【0103】
この結果、枠体175が枝打ち方向に移動すると、切断動作するリーマ179により枝が切られてゆくが、挿入部192が切断中の枝の切断面間(すなわち、切り口)に挟まれた状態の下においても、リーマ179の切断動作及び枝打ち方向への動作が可能にされている。すなわち、挿入部192が枝の切り口で挟まれるため、挿入部192がなかった従来技術と比較して、リーマ179が枝の切り口に挟まれることがなくなる。この結果、リーマ179に対する枝噛みの発生が防止されて枝打ち作業を効率的に行うことができる。
【0104】
なお、上記実施形態は以下のように変更してもよい。
○ 第1実施形態では、取付孔73を含む平面に含まれる直交2軸の方向、及び該平面と直交する軸方向に往復移動自在に、枝噛み防止部材76を、引張バネ75(支持機構)により支持したが、前記平面に含まれる直交2軸のみに往復移動自在に枝噛み防止部材76を支持してもよい。或いは、図11において、上下方向への往復移動を許容する移動許容空間を省略して、枝打ち方向と反枝打ち方向へのみ、枝噛み防止部材76を往復移動自在に支持してもよい。
【0105】
○ 第1実施形態及び第2実施形態では、昇降作業装置12Aに自走機構60を付設したチェーンソー67を設けたが、昇降作業装置12A及び自走機構60を省略し、枝打ち装置としてチェーンソー67単独で構成してもよい。この場合は、作業員が高所作業車や、リフター等に作業員が搭乗して枝打ち装置としてのチェーンソー67を持って枝打ちを行うことになるが、これでもよい。
【0106】
○ 第3実施形態の構成では、枝噛み防止部材190のz軸方向及び反z軸方向、又はy軸方向及び反y軸方向の移動を許容するようにしたが、z軸方向反z軸方向、又はy軸方向及び反y軸方向のいずれかの軸方向の移動のみを許容したり、両軸方向の移動をともに許容しないように構成することも可能である。
【0107】
○ 前記各実施形態において、付勢手段の構成を省略してもよい。この場合、枝噛み防止部材を、枝打ち方向へ復帰させる場合は、ソレノイド等を使用して、所定の位置(例えば、第1実施形態では中立位置)へ復帰させるようにしてもよい。
【0108】
○ 第1実施形態で、挿入部76aの表面を含む断面くさび状に形成された部位の表面は粗面に形成したが、粗面を省略してもよい。
【図面の簡単な説明】
【0109】
【図1】この発明の昇降作業装置の原理を示す正面図。
【図2】図1の平面図。
【図3】この発明を昇降作業装置に具体化した一実施形態を示す略体正面図。
【図4】図3の略体平面図。
【図5】枝打ち装置全体を示す斜視図。
【図6】第1車輪位置調整機構、第1上部固定アーム、第1下部揺動アーム及び第1上部駆動輪を示す正面図。
【図7】図6の右側面図。
【図8】第1〜第4車輪位置調整機構の斜視図。
【図9】樹幹に枝打ち装置を装着する動作を説明する斜視図。
【図10】樹幹に枝払い機構を省略した枝打ち装置を装着した状態を示す斜視図。
【図11】チェーンソー67の概略斜視図。
【図12】チェーンソー67の作用を示す説明図。
【図13】第2実施形態の枝打ち装置の斜視図。
【図14】(a)は第2実施形態の枝打ち装置の要部斜視図、(b)は、枝打ち装置の作用の説明図。
【図15】第3実施形態の枝打ち装置163の斜視図。
【図16】同じく枝打ち装置163の斜視図。
【図17】同じく枝打ち装置163の正面図。
【図18】同じく枝打ち装置163の側面図。
【図19】図17のA−A線断面図。
【符号の説明】
【0110】
S…昇降部、SK…昇降機構、11…樹幹、11A…枝、60…自走機構、
62…環状リング(軌道部)、65…サーボモータ(駆動手段)、
67…チェーンソー(枝打ち装置)、
71…ガイドバー(支持手段)、72…チェーン歯(刃体)、
75…引張バネ(支持機構、付勢手段)、76…枝噛み防止部材、76a…挿入部、
80…枝噛み防止部材、
85…挿入部、86,87…コイルスプリング(付勢手段、緩衝手段)、
88…引張バネ(付勢手段)、
163…枝打ち装置、179…リーマ(刃体)、
181…枝打ち用モータ(駆動手段)、190…枝噛み防止部材、
192…挿入部、195…引張バネ(付勢手段)。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
少なくとも一側側に枝打ち側の側部を有する支持手段と、
前記支持手段の枝打ち側の側部において該支持手段により切断動作可能に支持された刃体と、
前記刃体に切断動作を付与する駆動手段を含み、
枝打ち時に前記駆動手段により前記刃体が切断動作されている状態で、前記支持手段が枝打ち側の側部側へ(以下、枝打ち側の側部側への方向を枝打ち方向という)移動することにより、枝打ちをする枝打ち装置において、
前記刃体を基準として反枝打ち方向側に位置する前記支持手段の部位には枝噛み防止部材を枝打ち方向と反枝打ち方向へ往復移動自在に支持する支持機構を備え、
前記枝噛み防止部材は、前記刃体の刃幅よりも幅が狭い挿入部を備え、
該挿入部が切断中の枝の切り口に挟まれた状態の下で前記刃体の切断動作及び前記支持手段の枝打ち方向への動作が可能にされていることを特徴とする枝打ち装置。
【請求項2】
前記支持機構が、さらに、前記枝噛み防止部材を、枝打ち方向と反枝打ち方向に延びる軸とは直交する2軸の方向の内、少なくとも1軸の方向に移動自在に支持していることを特徴とする請求項1に記載の枝打ち装置。
【請求項3】
前記支持機構は、許容されている移動方向に前記枝噛み防止部材が移動した際に、該枝噛み防止部材をその移動した方向とは反対方向に復帰移動させる付勢手段を備えたことを特徴とする請求項1又は請求項2に記載の枝打ち装置。
【請求項4】
前記枝噛み防止部材は、前記挿入部を含めて断面くさび状に形成されていることを特徴とする請求項1乃至請求項3のうちいずれか1項に記載の枝打ち装置。
【請求項5】
前記枝噛み防止部材の表面には、粗面が形成されていることを特徴とする請求項1乃至請求項4のうちいずれか1項に記載の枝打ち装置。
【請求項6】
前記枝噛み防止部材の前記挿入部の反枝打ち側に隣接した部位は、前記刃体の刃幅以上の厚みを有するように形成されていることを特徴とする請求項1乃至請求項4のうちいずれか1項に記載の枝打ち装置。
【請求項7】
前記支持手段が、チェーンソーのガイドバーであり、前記刃体が該ガイドバーの周部を周回するチェーン歯であることを特徴とする請求項1乃至請求項6のうちいずれか1項に記載の枝打ち装置。
【請求項8】
前記刃体がリーマであることを特徴とする請求項1乃至請求項6のうちいずれか1項に記載の枝打ち装置。
【請求項9】
昇降機構により昇降する昇降部を備え、前記昇降部に対して請求項1乃至請求項8のうちいずれか1項に記載の枝打ち装置が設けられていることを特徴とする昇降作業装置。
【請求項10】
前記昇降部が、枝打ち対象の樹木を囲むように配置される軌道部を備え、前記軌道部に対して前記枝打ち装置を自走させる自走機構を備えたことを特徴とする請求項9に記載の昇降作業装置。
【請求項1】
少なくとも一側側に枝打ち側の側部を有する支持手段と、
前記支持手段の枝打ち側の側部において該支持手段により切断動作可能に支持された刃体と、
前記刃体に切断動作を付与する駆動手段を含み、
枝打ち時に前記駆動手段により前記刃体が切断動作されている状態で、前記支持手段が枝打ち側の側部側へ(以下、枝打ち側の側部側への方向を枝打ち方向という)移動することにより、枝打ちをする枝打ち装置において、
前記刃体を基準として反枝打ち方向側に位置する前記支持手段の部位には枝噛み防止部材を枝打ち方向と反枝打ち方向へ往復移動自在に支持する支持機構を備え、
前記枝噛み防止部材は、前記刃体の刃幅よりも幅が狭い挿入部を備え、
該挿入部が切断中の枝の切り口に挟まれた状態の下で前記刃体の切断動作及び前記支持手段の枝打ち方向への動作が可能にされていることを特徴とする枝打ち装置。
【請求項2】
前記支持機構が、さらに、前記枝噛み防止部材を、枝打ち方向と反枝打ち方向に延びる軸とは直交する2軸の方向の内、少なくとも1軸の方向に移動自在に支持していることを特徴とする請求項1に記載の枝打ち装置。
【請求項3】
前記支持機構は、許容されている移動方向に前記枝噛み防止部材が移動した際に、該枝噛み防止部材をその移動した方向とは反対方向に復帰移動させる付勢手段を備えたことを特徴とする請求項1又は請求項2に記載の枝打ち装置。
【請求項4】
前記枝噛み防止部材は、前記挿入部を含めて断面くさび状に形成されていることを特徴とする請求項1乃至請求項3のうちいずれか1項に記載の枝打ち装置。
【請求項5】
前記枝噛み防止部材の表面には、粗面が形成されていることを特徴とする請求項1乃至請求項4のうちいずれか1項に記載の枝打ち装置。
【請求項6】
前記枝噛み防止部材の前記挿入部の反枝打ち側に隣接した部位は、前記刃体の刃幅以上の厚みを有するように形成されていることを特徴とする請求項1乃至請求項4のうちいずれか1項に記載の枝打ち装置。
【請求項7】
前記支持手段が、チェーンソーのガイドバーであり、前記刃体が該ガイドバーの周部を周回するチェーン歯であることを特徴とする請求項1乃至請求項6のうちいずれか1項に記載の枝打ち装置。
【請求項8】
前記刃体がリーマであることを特徴とする請求項1乃至請求項6のうちいずれか1項に記載の枝打ち装置。
【請求項9】
昇降機構により昇降する昇降部を備え、前記昇降部に対して請求項1乃至請求項8のうちいずれか1項に記載の枝打ち装置が設けられていることを特徴とする昇降作業装置。
【請求項10】
前記昇降部が、枝打ち対象の樹木を囲むように配置される軌道部を備え、前記軌道部に対して前記枝打ち装置を自走させる自走機構を備えたことを特徴とする請求項9に記載の昇降作業装置。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【図18】
【図19】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【図18】
【図19】
【公開番号】特開2009−261375(P2009−261375A)
【公開日】平成21年11月12日(2009.11.12)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−118298(P2008−118298)
【出願日】平成20年4月30日(2008.4.30)
【出願人】(396024901)
【出願人】(507106272)株式会社 生物資源研究所 (4)
【出願人】(504331392)株式会社丸富精工 (11)
【公開日】平成21年11月12日(2009.11.12)
【国際特許分類】
【出願日】平成20年4月30日(2008.4.30)
【出願人】(396024901)
【出願人】(507106272)株式会社 生物資源研究所 (4)
【出願人】(504331392)株式会社丸富精工 (11)
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