説明

枠付きパネル装置

【課題】 開きパネル取付具が前面から見え難く且つ開きパネルを枠内周と略同じか枠内周よりも広い面積とした場合にも枠と干渉せずに開閉できる枠付きパネル装置を提供する。
【解決手段】 本発明の枠付きパネル装置1において、開きパネル取付具13は、ガイド17と、スライダー19と、丁番21とを有し、ガイド17は開きパネル9の後側で且つ枠5の内周側に固定してあり、スライダー19は前後方向にスライド自在にガイド17に係合してあり、丁番21はスライダー19に固定するスライダー側取付部23と、開きパネル9の後側に固定するパネル側取付部25と、両取付部23、25を回転自在に繋ぐ回転軸27とを有し、回転軸27は開きパネル9の後側に位置しており、スライダー19をガイド17に対して前方にスライドして回転軸27を枠5から前方に引き出したときに、パネル側取付部25がスライダー取付部23に対して回転自在としてある。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、枠付きパネル装置に関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1には、枠の内周に開きパネルを配置し、枠の内周と開きパネルとの間に丁番の軸を設け、枠の内周側と開きパネルとに丁番を取付けて、枠に対して開きパネルを開閉することが開示されている。
【0003】
【特許文献1】特許第2956649号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかし、上述の従来技術は枠内周に開きパネルを設けると共に、枠と開きパネルとの間に丁番の回転軸を設けているので、丁番の回転軸が開きパネルの前面に露出して外観を損なうという問題がある。
一方、開きパネルを枠内周と略同じか枠内周より広い面積としたいという要求があるが、このように開きパネルの面積を広くとると、開きパネルが枠と干渉して開閉し難くなるという問題がある。
【0005】
そこで、本発明は、開きパネル取付具が前面から見え難く且つ開きパネルを枠内周と略同じか枠内周よりも広い面積とした場合にも枠と干渉せずに開閉できる枠付きパネル装置の提供を目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
請求項1に記載の発明は、枠と、開きパネルと、開きパネル取付具とを備え、開きパネル取付具は、ガイドと、スライダーと、丁番とを有し、ガイドは開きパネルの後側で且つ枠の内周側に固定してあり、スライダーは前後方向にスライド自在にガイドに係合してあり、丁番はスライダーに固定するスライダー側取付部と、開きパネルの後側に固定するパネル側取付部と、両取付部を回転自在に繋ぐ回転軸とを有し、回転軸は開きパネルの後側に位置しており、スライダーをガイドに対して前方にスライドして回転軸を枠から前方に引き出したときに、パネル側取付部がスライダー取付部に対して回転自在としてあることを特徴とする。
【0007】
請求項2に記載の発明は、枠と、嵌め殺しパネルと、開きパネルと、掲示板と、開きパネル取付具とを備え、枠は被カバー物の側面に取付ける取付部を有し、嵌め殺しパネルと開きパネルは隣合わせに枠に取付けてあり且つ開きパネルを閉じた状態で開きパネルと嵌め殺しパネルとは略面一であり、掲示板は開きパネルの後側で枠に固定してあり、開きパネル取付具は、開きパネルの後側と枠の内周側とを連結すると共に回転軸を開きパネルの後側に設けてあり、枠に対して開きパネルを前後方向にスライド自在にすると共に、前方向にスライドして回転軸を枠から引き出したときに開きパネルを回転自在にすることを特徴とする。
【発明の効果】
【0008】
請求項1に記載の発明によれば、開きパネル取付具を開きパネルの後側に配置しているので、開きパネル取付具が開きパネルの前方から見え難く、外観が良い。
開きパネルは、枠に固定したガイドに対してスライダーを前方にスライドして枠よりも前方に引き出して開閉する構成であるから、開きパネルを枠の内周と略同じか枠内周よりも広い面積にした場合でも、開きパネルを枠と干渉することなく開閉できる。
【0009】
請求項2に記載の発明によれば、開きパネル取付具を開きパネルの後側に配置しているので、開きパネル取付具が開きパネルの前方から見え難く、外観が良い。
開きパネルは枠に固定したガイドに対してスライダーを前方にスライドして枠よりも前方に開きパネルを引き出して開きパネルを開閉する構成であるから、開きパネルを枠の内周と略同じか枠内周よりも広い面積にした場合でも、開きパネルを枠と干渉することなく開閉できる。
開きパネルが閉じているときに開きパネルと嵌め殺しパネルとが略面一としてあるので、外観が良い。
枠を被カバー物の側面に取付けることにより、既存の柱や壁等を掲示板として容易に利用することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0010】
以下に、添付図面を参照して本発明の実施の形態を説明する。図1は図4のA部を拡大して示す断面図であり、図2は図5に示すC−C断面を図1と対応する位置で示す断面図であり、図3は図5のE−E断面であり、図4は図5のB−B断面図であり、図5は本発明の実施の形態にかかる枠付きパネル装置の正面図であり、図6は本発明の実施の形態にかかる枠付きパネル装置において、開きパネルを開いた状態を示す斜視図である。尚、図1において抜き出して示しているのは、ガイド17とスライダーとの係合を示す斜視図である。
本実施の形態にかかる枠付きパネル装置1は、駅構内の四角柱状の被カバー物(柱)3に設けてあり、枠5と、嵌め殺しパネル7と、開きパネル9と、掲示板11と、開きパネル取付具13とを備えている。
被カバー物3には、側面に枠5の取付部15をねじで取り付けて、被カバー物3の四周の各側面に枠付きパネル装置1を固定してある。
枠5には、嵌め殺しパネル7と開きパネル9とが取付けてあり、下から上に嵌め殺しパネル7、開きパネル9、嵌め殺しパネル7の順序で上下に設けてある。
嵌め殺しパネル7と開きパネル9は枠5の内周と略同じ寸法の面積を有している。尚、開きパネル9はガラスであり、嵌め殺しパネルはアルミニウム製のパネルである。また、開きパネル9を閉じた状態において、上下の各嵌め殺しパネル7、7と開きパネル9とは、表面が略面一になっている。
開きパネル取付具13は、開きパネル9の左右の一側において、開きパネルの後側に取付けてあり、ガイド17と、スライダー19と、丁番21とを備えている。
ガイド17は開きパネル9の後側で且つ枠5の内周側に固定してある。ガイド17は四角筒形状であり、前後方向に長く設けている。
スライダー19は前後方向にスライド自在にガイド17に係合してあり、断面略コ字状を成してガイド17の外面をスライドするようになっている。
丁番21は開きパネル9の後側に設けてあり、スライダー19に固定するスライダー側取付部23と、開きパネル9に固定するパネル側取付部25と、両取付部23、25を回転自在に繋ぐ回転軸27とから構成されている。スライダー側取り付け部23には、ガイド17の中空内に係止する係止部29が設けてあり、係止部29がガイド17にねじ31により固定してある。パネル側取付部25は開きパネル9のパネル枠9aを兼ねている。
開きパネル9の他側(戸先側)には、枠5にガイド33が取付けてあり、開きパネル9の戸先側に設けたスライダー35がガイド33の外周に係合してガイド33に対して前後方向にスライド自在になっている。スライダー35の前側には開きパネル9の戸先枠9bが当る戸当り34が設けてある。ガイド33及びスライダー35は上述したガイド17及びスライダー19と略同じ構成であり、開きパネル9の戸先側枠9bはスライダー35にねじ37で止められている。ガイド33の中空内には戸先側枠9bに設けてある係止部材36が挿入され、ねじ38によりガイド33に固定されている。
掲示板11は、開きパネル9の後側に設けてあり、開きパネル9を開いてポスター等を張り替えできるようにしてある。掲示板11は枠5の内周側にねじで固定されている。
被カバー物3のコーナおいて、隣合う枠5間には枠5の外側にコーナカバ−41が取付けてある。
【0011】
次に、本実施の形態にかかる枠付きパネル装置1の施工、作用及び効果について説明する。枠付きパネル装置1の施工は、被カバー物3に補助材39を取り付け、補助材39に枠5の取付部15をねじで止める。枠5は被カバー物15の四面にそれぞれ固定する。尚、枠5には予めガイド17、33が固定してある。次に、枠5の上部と下部とにそれぞれ嵌め殺しパネル7、7を取り付け、嵌め殺しパネル7、7間には、掲示板11を枠5に固定する。一方、開きパネル9には一側に丁番21を固定しておき、丁番21に固定したスライダー19をガイド17に係合してガイド17に沿ってスライダー19をスライド挿入する。また、開きパネル9の戸先枠9bに固定してあるスライダー35をガイド33に係合して、ガイド33に沿ってスライダー19をスライド挿入する。
そして、隣合う枠5、5間のコーナにコーナカバー41を取付けて、ねじ31で丁番の係止部29をガイド17に固定すると共に、開きパネルの戸先側においてもねじ38で開きパネル9の戸先枠9bに設けてある係止部材36をガイド33に固定する。
開きパネル9を開くときには、コーナカバー41に固定してあるねじ31、38を外し、開きパネル9をガイド17に沿って前方にスライドし、丁番21が枠5よりも外側に位置したところで、戸先枠9bとスライダー35とを固定してあるねじ37を外して、丁番の回転軸27を中心にして開きパネル9を回転させて開く。
本実施の形態によれば、被カバー物3に枠5を取付けて、嵌め殺しパネル7、7と開きパネル9とを開きパネル取付け具13と共に装着することにより、枠付きパネル装置1の施工が容易にできる。したがって、駅の構内に設けてある既存の柱や壁等(被カバー物)を掲示板として利用することが容易にできる。
開きパネル取付具13を開きパネル9の後側に配置しているので、開きパネル取付具13が開きパネル9の前方から見え難く、外観が良い。
開きパネル9は枠5に固定したガイド17に対してスライダー19を前方にスライドして枠5よりも前方に引き出して開閉する構成であるから、開きパネル9を枠5の内周と略同じ寸法の広い面積にしても、開きパネル9を枠5と干渉することなく開閉できる。
開きパネル9が閉じているときに開きパネル9と嵌め殺しパネル7、7とが略面一としてあるので、外観が良い。
【0012】
本発明は、上述した実施の形態に限らず、本発明の要旨を逸脱しない範囲で種々変形可能である。
例えば、パネル取付具13、ガイド17及びスライダー19を開きパネル9の上側又は下側に設けて、開きパネル9の下側又は上側を開く構成としてもよい。
図7に示すように、丁番21のパネル側取付部25に鍵43を設けて、開きパネル9を閉じた状態のときにコーナカバー41に開きパネル9をロックするようにしてもよい。
図8に示すように、開きパネル9は枠5の内周よりも広い面積としてもよい。
枠付きパネル装置1は、駅構内に限らず、ホテル等の建物の柱や壁(被カバー物)に設けるものであってもよく、設置場所は限定されない。また、枠付きパネル装置1は、例えば、自立型の掲示板に使用してもよく、被カバー物を被覆するものに限定されない。
スライダー19はガイド17の中空内に係合してスライドするものであってもよい。
掲示板11は設けないで、開きパネル9にアルミニウム製パネル等の透明でないものを用いてもよい。また、枠5には、嵌め殺しパネル7を設けないで、開きパネル9のみとしてもよい。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【図1】図4のA部を拡大して示す断面図である。
【図2】図5に示すC−C断面を図1と対応する位置で示す断面図である。
【図3】図5のE−E断面である。
【図4】図5のB−B断面図である。
【図5】本発明の実施の形態にかかる枠付きパネル装置の正面図である。
【図6】本発明の実施の形態にかかる枠付きパネル装置において、開きパネルを開いた状態を示す斜視図である。
【図7】他の実施の形態にかかる枠付きパネル装置の図であり、図1と同じ位置で切断した断面図である。
【図8】他の実施の形態にかかる枠付きパネル装置の図であり、図1と同じ位置で切断した断面図である。
【符号の説明】
【0014】
1 枠付きパネル装置
3 被カバー物
5 枠
7 嵌め殺しパネル
9 開きパネル
11 掲示板
13 開きパネル取付具
15 取付部
17 ガイド
19 スライダー
21 丁番
23 スライダー側取付部
25 パネル側取付部
27 回転軸

【特許請求の範囲】
【請求項1】
枠と、開きパネルと、開きパネル取付具とを備え、開きパネル取付具は、ガイドと、スライダーと、丁番とを有し、ガイドは開きパネルの後側で且つ枠の内周側に固定してあり、スライダーは前後方向にスライド自在にガイドに係合してあり、丁番はスライダーに固定するスライダー側取付部と、開きパネルの後側に固定するパネル側取付部と、両取付部を回転自在に繋ぐ回転軸とを有し、回転軸は開きパネルの後側に位置しており、スライダーをガイドに対して前方にスライドして回転軸を枠から前方に引き出したときに、パネル側取付部がスライダー取付部に対して回転自在としてあることを特徴とする枠付きパネル装置。
【請求項2】
枠と、嵌め殺しパネルと、開きパネルと、掲示板と、開きパネル取付具とを備え、枠は被カバー物の側面に取付ける取付部を有し、嵌め殺しパネルと開きパネルは隣合わせに枠に取付けてあり且つ開きパネルを閉じた状態で開きパネルと嵌め殺しパネルとは略面一であり、掲示板は開きパネルの後側で枠に固定してあり、開きパネル取付具は、開きパネルの後側と枠の内周側とを連結すると共に回転軸を開きパネルの後側に設けてあり、枠に対して開きパネルを前後方向にスライド自在にすると共に、前方向にスライドして回転軸を枠から引き出したときに開きパネルを回転自在にすることを特徴とする枠付きパネル装置。


【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【公開番号】特開2006−2515(P2006−2515A)
【公開日】平成18年1月5日(2006.1.5)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2004−182066(P2004−182066)
【出願日】平成16年6月21日(2004.6.21)
【出願人】(000175560)三協アルミニウム工業株式会社 (529)
【Fターム(参考)】