説明

架橋性ゴム混合物の製造方法および製造デバイス

本発明は、少なくとも半連続的な様式で実行可能な車両用タイヤ、プロフィール、伝導ベルトおよび他の技術的ゴム物品用の架橋性ゴム混合物を調製するための方法および装置に関する。当該技術から既知の従来の不連続的な方法を少なくとも部分的に連続的な様式で実行する試みは、ゴムマスターバッチとも呼ばれるマスターバッチと架橋剤をプロセスの間、迅速かつ均質な様式で、マスターバッチと架橋剤からなる混合された生成物を加熱し過ぎることなく混合しなければならないという問題のため、失敗に終わった。したがって、本発明の目的は、確実に均質な様式でマスターバッチを架橋剤と混合することと、混合時間を最小化することである。この目的のため、架橋剤はマスターバッチと混合する前に混合されない。架橋剤を含有する混合物は特に、まず、架橋剤をマスターバッチに供給するために使用される容器にパックされる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、少なくとも半連続的に実行可能な車両用タイヤ、チューブ、プロフィール、駆動素子用の架橋性ゴム混合物の調製方法と、その方法を実行するための装置に関する。本発明の文脈中の均質なゴム混合物は、天然ゴム(NR)、イソプレンゴム(IR)、スチレン−ブタジエンゴム(SBR)、ブタジエンゴム(BR)、イソプレン−イソブチレンゴム(IIR)、ポリクロロプレンゴム(CR)、アクリロニトリル−ブタジエンゴム(NBR)、水素化アクリロニトリル−ブタジエンゴム(HNBR)、カルボキシル化アクリロニトリル−ブタジエンゴム(XNBR)、水素化カルボキシル化アクリロニトリル−ブタジエンゴム(HXNBR)、エチレン−プロピレン−ジエンゴム(EPDM)、エチレン−プロピレンゴム(EPM)、フッ素ゴム(FKM)、ペルフッ素化フッ素ゴム(FFKM)、アクリレート−エチレンゴム(AEM)、アクリレートゴム(ACM)、塩素化ポリエチレン、クロロスルホン化ポリエチレン、エチレン−酢酸ビニルゴム(EVA)、シリコンゴム、フルロシリコーンゴム、エチレン−エピクロロヒドリンゴム(ECO)、エピクロロヒドリンゴム(CO)、ポリウレタンゴム(PU)などの架橋後に弾力性があるポリマーおよびそれらの混合物を含む。
【0002】
ゴム混合物のさらなる成分は、特に、淡色無機フィラー、例えば、マイカ、カオリン、ケイ質土、ケイ酸、チョーク、タルク、カーボンフィラー、例えば、カーボンブラック、グラファイト、カーボンナノチューブおよび/またはマグネチックフィラー、例えば、粉状カルボニル鉄、酸化鉄、架橋剤、例えば、硫黄、ペルオキシド、金属酸化物、脂肪酸、促進剤、例えば、ジチオカルバメート(例えば、FlexsysからのPERKACIT ZDMCなどの亜鉛ジメチルジチオカルバメート、例えば、FlexsysからのPERKACIT ZDECなどの亜鉛ジエチルジチオカルバメート、例えば、FlexsysからのPERKACIT ジブチル亜鉛ジチオカルバメートZDBCなどのジブチルジチオカルバメートなど)、チウラム(テトラメチルチウラムジスルフィド(TMTD)、テトラメチルチウラムモノスルフィド(TMTM)、テトラエチルチウラムジスルフィド(TETD)、ビス(ペンタメチレン)チウラムテトラスルフィドDPTTなど)、チオウレア(エチレンチオウレア(ETU)、N,N,N’N’−テトラメチルチオウレア(TMTU)、ジエチルチオウレア(DETU)、ジブチルチオウレア(DBTU)など)、メルカプト促進剤(2−メルカプトベンゾチアゾール(MBT)、メルカプトベンゾチアジルジスルフィド(MBTS)、亜鉛メルカプトベンゾチアゾール(ZMBT)、スルフェンアミド(N’−シクロヘキシルベンゾチアゾール−2−スルフェンアミド(CBS)、N−第三級−ブチル−2−ベンゾチアゾールスルフェンアミド(TBBS)、2−モルホリンベンゾチアゾールスルフェンアミド(MBS)など)、例えば、Rhein Chemie Rheinau GmbHからのRhenogran(登録商標)ZDT、ZAT、ZBOP型などの亜鉛O,O−ジ−n−ブチルジチオホスフェート(ZBDP)、亜鉛O−ブチル−O−ヘキシルジチオホスフェート、亜鉛O,O−ジイソオクチルジチオホスフェートなどのチオホスフェートおよびジチオホスフェート促進剤など(ZOPD)、ドデシルアンモニウムジイソオクチルジチオホスフェート(AOPD)、およびグアニジン(ジフェニルグアニジン(DPG)、N’N−ジ−オルト−トリルグアニジン(DOTG)など)、および/または変色および非変色老化防止剤、例えば、パラフェニレンジアミン(イソプロピルフェニルパラフェニレンジアミン(IPPD)、パラフェニレンジアミン(6PPD)、N,N−ジトリ−p−フェニレンジアミン(DTPD)など)、アミン(トリメチル−1,2−ジヒドロキノリン(TMQ)、[(フェニル)アミン]−1,4−ナフタレンジオン(PAN)、ビス(4−オクチルフェニル)アミン(ODPA)、スチレン化ジフェニルアミン(SDPA)など)、モノ−およびビスフェノール、例えば、Vulkanox型、2,2’−メチレンビス(4−メチル−6−第三級−ブチルフェノール(BPH)、2,2’−イソブチリデンビス(4,6−ジメチルフェノール)(NKF)、2,2’−ジシクロペンタジエニルビス(4−メチル−6−第三級−ブチルフェノール)(SKF)、2,2’−メチレンビス(4−メチル−6−シクロ−ヘキシルフェノール(ZKF)、2,6−ジ−第三級−ブチル−p−クレゾール(BHT)、置換フェノール(DS)、スチレン化フェノール(SPH)、メルカプトベンズイミダゾール(2−メルカプト−ベンズイミダゾール(MBI)、2−メルカプトメチルベンズイミダゾール(MMBI)、亜鉛4−および−5−メチル−2−メルカプトベンズイミダゾール(ZMMBI)など)、ならびにオレフィンおよび/またはパラフィン系および芳香族可塑剤である。
【背景技術】
【0003】
従来技術によると、通常、最初の工程でミキサーにゴム、フィラー、可塑剤、熱的および化学的に安定している添加剤を充填する。混合される材料をミキサーで混合する。混合プロセス終了後、以下、ベース混合物として記載される、そのように調製された混合物を取り出す。取り出されたベース混合物を次いで伸ばし、そして伸ばされたベース混合物をローブまたはマットへと所望の大きさに切断する。混合物は、直接さらに加工されるか、さらに加工する前に貯蔵される。貯蔵の間、ローリングによって得られ、ローブまたはマットの形状(または他の貯蔵形状)に切断された混合物ハイド(hide)を離型剤で覆い、そして最初に積み重ねる。完成品を得るためのさらなる加工の前に、ベース混合物を促進する。促進とは、迅速にゴムを架橋することが可能となるように架橋剤および促進剤が添加されることを意味するものとして理解される。硫黄は、達成されるべきゴムの架橋を可能にする架橋剤として適切である。しかしながら、架橋は非常に長い時間、概して数日がかかる。架橋を促進するため、さらなる化学試薬または物質が添加され、これらも促進剤と呼ばれるが、これらは特に、混合物を十分高い温度、概して約120℃より高い温度、好ましくは150℃まで加熱することによって、架橋を促進することができる。しかしながら、室温で加硫される、または架橋する混合物もある。混合物が相当する温度まで加熱される場合、混合物は数分で架橋する。しかしながら、ベース混合物および架橋剤からなるそのような混合物は反応性であり、したがって、最終製品が得られるプロセス以前に非常に高い温度まで加熱されるべきではないという事実も問題である。特に、120℃、好ましくは100℃の温度を上回ることは許されない。さらに、温度は比較的長い期間、概して50℃を超えてはならない。さもなければ、混合物は早期に架橋し、したがって、使用不可能である。この理由のために、バッチ様式の方法によって調製されたベース混合物が概して最初に貯蔵および冷却され、そして、その後、架橋剤と混合される。
【0004】
混合物に基づく架橋剤の割合は、通常20重量%未満である。
【0005】
従来技術によると、今日、2本ロールミルまたはロールミル内蔵ミキサーを用いて、架橋剤をベース混合物と混合する。ベース混合物を架橋剤と共に2本ロールミル内蔵ミキサーに供給する。ロールミルからの混合された材料の個々の領域を、2本ロールで形成されたニップを通過後、切断するか、切り取り、そして架橋剤をベース混合物と混合するために、2本ロールミルのニップに再度供給する。混合された材料の供給および混合された材料の切断は手で実行する。供給のため、個々の架橋剤を個々に、そして手で計量する。それぞれの計量後、個々の架橋剤を手で互いに別々に添加する。
【0006】
2本ロールミルを用いて混合することにより、混合物が過剰に加熱されないことを確実にするために役立つ。過剰に加熱されることにより、早期架橋が導かれ得る。しかしながら、2本ロールミルは比較的大きい空間量を占める。2本ロールミルの所要空間は、数平方メートルである。このプロセスが実行される混合室で、架橋剤を計量することができるように、計量デバイスがさらに存在しなければならない。さらに、少なくとも一人の人間が妨害されず、安全に計量および混合を実行できるように、十分に大きい空間量が利用可能でなければならない。
【0007】
架橋剤に関連して問題となるのは、比較的少量の架橋剤が計量によって個々に測定されることであり、これにより測定量の比較的大きい偏差が導かれる。例えば、それぞれ100グラムの5成分が必要とされる場合、計量誤差と人的ミスにより、5つのケースでの不正確な測定が導かれ得る。このプロセスは、この理由のため、単純に誤差に影響されやすい。さらに、そのような少量を十分に正確に計量することは困難である。さらにまた、架橋剤が例えば、光、水分または異物によって汚染されることは容易に可能であり、すなわち、それらとともに調製された混合物は使用不可能であることを意味する。また、環境が架橋剤によって汚染され得るように、架橋剤は環境的に有害であり得る。
【0008】
2本ロールミルによって混合した後、そのようにして得られた混合物はシートまたはハイドの形状で存在する。これらのシートまたは混合物ハイドは、場合により、さらなる加工のためにより適切な他の加工形態(例えばストリップ)に変換される。しばしば、混合物はさらなる加工の前に一時的に再び貯蔵され、それは特に、バッチ様式で混合が実行されたという事実に関連する。しかしながら、混合物ハイドは、さらなる中間貯蔵をせずに、直ちにさらに加工することも可能である。
【0009】
従来技術によると、品質管理が通常行われる。この目的のために、例えば、コインの大きさの断片をシートから切断する。このコインの大きさの断片を、特に架橋作用に関して調査する。これはバルカメーター(vulcameter)を用いて実行される。加えて、試験される混合物から一部を切断し、架橋してシートを得ることができる。このように製造されたシートから引張試験バー(例えばS2)を打ち抜き、次いで、この引張試験バーで引張試験を実行することができる。
【0010】
調査の結果が不満足である場合、調製された混合物を出荷しない。混合物はさらに加工されず、販売されない。しかしながら、これらの品質管理の場合、100%均一な混合物を得ることは実質的に不可能であるという問題がある。この理由から、混合物が全体として品質必要条件を満たし得るというのは本当である。しかしながら、単に変差のために必要条件を満たさないカット部分で品質管理が実行される場合、全体として必要とされる品質が達成されたとしても、全ての混合物は廃棄される。したがって、通常の品質管理にも、無作為サンプルの形態のみで混合物を調査する不都合がある。
【0011】
従来技術から既知のこれらの品質管理は、調製された混合物の均質性を直接決定しない。その代わりに、混合物の様々な物理的特性が決定される。混合物の均質性は、そのように得られる結果から推論される。より迅速に、そして確実に品質管理を実行することができるように、均質性を直接、様々な指針に基づくことなく決定することができることが望ましい。
【0012】
さらに、従来技術で問題となるのは、混合物が販売可能であるかどうかは、調製プロセスの非常に後のほうで、すなわち、プロセスの終了後に決定されることである。したがって、混合物の廃棄に関連する経済的損失は特に高い。
【0013】
したがって、記載された従来技術の不都合は、費用が高いこと、ミスに対する人的必要条件と、影響の受けやすさが高いことである。したがって、そのようなゴム混合物の調製を連続的に実行し、この点で、前記の調製を自動化する試みがしばしばなされてきた。しかしながら、満足な結果を得ることはできていない。この理由のため、実際には、例えば、(特許文献1)に記載されるような、冒頭に記載のゴム混合物の調製のためのバッチ様式プロセスがほぼ例外なく使用されている。
【0014】
(特許文献1)で、ギアポンプを用いてゴムが供給される二軸押出機によって、ゴム混合物の連続的調製が提案されることは事実である。しかしながら、この提案もまた、現在までゴム混合物がバッチ様式で実質的に例外なく調製されるという事実を変えることができていない。
【0015】
(特許文献2)には、フィラー、油、助剤および架橋剤とゴムが二軸押出機で連続的に加工され、ゴム混合物が得られるプロセスが記載される。しかしながら、(特許文献3)に、単純に均質化が面倒な様式で実行されなければならないため、このプロセスは失敗することがすでに開示されている。(特許文献3)では、カーボンブラック部分の2段階添加によってこれらの問題を解決することと、二軸押出機によって混合物を調製することが提案されている。この教示は15年を超えて知られているが、このプロセスもまた、実際には不十分であることが判明している。
【0016】
1991年の(特許文献4)では、ゴム混合物の調製に関連する多数の非常に特殊な問題を解決することができないため、ゴム混合物は実質的に例外なく内蔵ミキサーで、したがって、バッチ様式で調製されることが確認される。(特許文献4)では、架橋剤添加後の混合物の加硫または架橋を避けるため、混合が実行される二軸押出機を冷却することが提案されることは事実である。しかしながら、冷却が外側のみから可能であるため、二軸押出機の内部を十分に冷却することは不可能である。したがって、この提案もまた、実際に調製がまだバッチ様式で実行されるという状態を変えることができなかった。
【0017】
ゴム混合物を連続的に調製するための数多くのさらなる提案と実験がある。それにもかかわらず、そのようなゴム混合物の生産者はまだ、冒頭で記載される様式で、実際には調製をバッチ様式で実行するように強制されると感じている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0018】
【特許文献1】米国特許出願公開第2004140583A1号明細書
【特許文献2】独国特許第3729237号明細書
【特許文献3】米国特許第5262111A号明細書
【特許文献4】欧州特許出願公開第0490056A1号明細書
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0019】
本発明の目的は、既知のバッチ様式プロセスより効率的である実行可能なプロセスを提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0020】
本発明は、冒頭で記述されたバッチ様式プロセスを連続的に実行するための従来技術から既知の実験の失敗は特に、極端に高い温度(T>120℃、好ましくは100℃)のためにベース混合物と架橋剤とからなる混合される材料に部分的架橋を生じさせることなく、架橋剤が迅速かつ均一に、ゴムベース混合物とも記述されるベース混合物と混合されなければならないという問題のためである、という発見に基づく。したがって、本発明によると、注意するべき点は、均一かつ連続的にベース混合物を架橋剤と確実に混合することと、混合時間を最小にすることに重点が置かれた。
【0021】
したがって、本発明は、架橋性ゴム混合物の調製のための新規プロセスであって、架橋のための架橋剤が互いに混合され、次いで互いに混合された架橋剤が、ゴムを含有するベース混合物と混合されるプロセスに関する。
【発明を実施するための形態】
【0022】
所望の目的を達成するための第1の手段は、これらのベース混合物と混合する前に、最初に架橋剤を互いに混合することである。架橋剤は、低温(T≦100℃)で互いに容易に混合可能であるため、混合の間、架橋化学薬品の反応は生じない。したがって、架橋剤の非常に均質な混合物が問題なく調製可能である。さらに、架橋剤が互いにすでに均一に混合されているため、この手段によって、ベース混合物を架橋剤と混合するのは速くなる。架橋剤が互いにすでに均一に混合されているため、したがって、ベース混合物での架橋剤の均質の分布はさらに向上した様式で確実となる。したがって、全体として、ベース混合物を架橋剤と混合することの結果として、所望の連続的な調製が実際に失敗するという危険性を低下することが可能である。
【0023】
本発明の文脈中の架橋性ゴム混合物は、天然ゴム(NR)、イソプレンゴム(IR)、スチレン−ブタジエンゴム(SBR)、ブタジエンゴム(BR)、イソプレン−イソブチレンゴム(IIR)、ポリクロロプレンゴム(CR)、アクリロニトリル−ブタジエンゴム(NBR)、水素化アクリロニトリル−ブタジエンゴム(HNBR)、カルボキシル化アクリロニトリル−ブタジエンゴム(XNBR)、水素化カルボキシル化アクリロニトリル−ブタジエンゴム(HXNBR)、エチレン−プロピレン−ジエンゴム(EPDM)、エチレン−プロピレンゴム(EPM)、フッ素ゴム(FKM)、ペルフッ素化フッ素ゴム(FFKM)、アクリレート−エチレンゴム(AEM)、アクリレートゴム(ACM)、塩素化ポリエチレン、クロロスルホン化ポリエチレン、エチレン−酢酸ビニルゴム(EVA)、シリコーンゴム、フルオロシリコーンゴム、エチレン−エピクロロヒドリンゴム(ECO)、エピクロロヒドリンゴム(CO)、ポリウレタンゴム(PU)などの架橋後に弾力性を有するポリマーとそれらの混合物を含む。
【0024】
本発明によるプロセスのさらなる実施形態において、互いに混合された架橋剤は酸化亜鉛、ベンゾチアジル−2−シクロヘキシルスルフェンアミド(CBS)および/またはメルカプトベンゾチアジルジスルフィド(MBTS)を含む。
【0025】
原則として、本発明による架橋剤混合物は、架橋剤、例えば、硫黄、ペルオキシド、金属酸化物、脂肪酸、促進剤、例えば、ジチオカルバメート、例えば、亜鉛ジメチルジチオカルバメート、例えば、FlexsysからのPERKACIT ZDMC、亜鉛ジエチルジチオカルバメート、例えば、FlexsysからのPERKACIT ZDEC、ジブチルジチオカルバメート、例えば、亜鉛ジブチルジチオカルバメートFlexsysからのPERKACIT ZDBCなど、チウラム、例えば、テトラメチルチウラムジスルフィド(TMTD)、テトラメチルチウラムモノスルフィド(TMTM)、テトラエチルチウラムジスルフィド(TETD)、ビス(ペンタメチレン)チウラムテトラスルフィド(DPTT)、チオウレア、例えば、エチレンチオウレア(ETU)、N,N,N’N’−テトラメチルチオウレア(TMTU)、ジエチルチオウレア(DETU)、ジブチルチオウレア(DBTU、など)、メルカプト促進剤、例えば、2−メルカプトベンゾチアゾール(MBT)、メルカプトベンゾチアジルジスルフィド(MBTS)、亜鉛メルカプトベンゾチアゾール(ZMBT)、スルフェンアミド(N’−シクロヘキシルベンゾチアゾール−2−スルフェンアミド(CBS)、N−第三級−ブチル−2−ベンゾチアゾールスルフェンアミド(TBBS)、2−モルホリン−ベンゾチアゾールスルフェンアミド(MBS)など)、チオホスフェートおよびジチオホスフェート促進剤、例えば、亜鉛O,O−ジ−n−ブチル−ジチオホスフェート(ZBDP)、亜鉛O−ブチル−O−ヘキシルジチオホスフェート、亜鉛O,O−ジイソオクチルジチオホスフェート(ZOPD)、ドデシルアンモニウムジイソオクチルジチオホスフェート(AOPD)、例えば、Rhein Chemie Rheinau GmbHからのRhenogran(登録商標)ZDT、ZAT、ZBOP型など、グアニジン、例えば、ジフェニルグアニジン(DPG)および/またはN’N−ジ−オルト−トリルグアニジン(DOTG)など、変色および非変色老化防止剤、例えば、パラフェニレンジアミンイソプロピルフェニル−パラフェニレンジアミン(IPPD)、パラフェニレンジアミン(6PPD)、N,N−ジトリ−p−フェニレンジアミン(DTPD)など、アミン(トリメチル−1,2−ジヒドロキノリン(TMQ)、[(フェニル)アミン]−1,4−ナフタレンジオン(PAN)、ビス(4−オクチルフェニル)アミン(ODPA)、スチレン化ジフェニルアミン(SDPA)など)、モノ−およびビスフェノール、例えば、2,2’−メチレンビス(4−メチル−6−第三級−ブチルフェノール(BPH)、2,2’−イソブチリデンビス(4,6−ジメチルフェノール)(NKF)、2,2’−ジシクロペンタジエニルビス(4−メチル−6−第三級−ブチルフェノール)(SKF)、2,2’−メチレンビス(4−メチル−6−シクロヘキシルフェノール)(ZKF)、2,6−ジ−第三級−ブチル−p−クレゾール(BHT)、置換フェノール(DS)、スチレン化フェノール(SPH)、メルカプトベンズイミダゾール、例えば、2−メルカプト−ベンズイミダゾール(MBI)、2−メルカプトメチルベンズイミダゾール(MMBI)、亜鉛4−および5−メチル−2−メルカプトベンズイミダゾール(ZMMBI)など)、オレフィン、パラフィン系および/または芳香族可塑剤を含む。組成物は、所望の最終製品へと調整される。
【0026】
架橋剤からなる本発明による混合物の代表的な成分は、酸化亜鉛、硫黄、CBS(シクロヘキシルベンゾチアジルスルフェンアミド)およびMBT(メチルベンゾチアジルジスルフィド)、ならびにゴムバインダーとしてのEPDM、EVA、可塑剤などである。硫黄の融点は約115℃であり、CBSの融点は約140℃であり、そしてMBTSの融点は約180℃である。
【0027】
本発明によるプロセスの好ましい実施形態において、架橋剤の混合物を使用するが、互いに混合された架橋剤が100℃未満の温度で溶解され、この融点より高く、150℃未満、好ましくは100℃未満の温度がベース混合物との混合の間に生じる。
【0028】
混合の結果として、硫黄、CBSおよびMBTSの成分は約90℃で溶解可能であることが分かった。この混合のため、通常120℃未満、好ましくは100℃である融点低下が一般に達成される。したがって、このプロセスの都合のよい構成において、ベース混合物を架橋剤と混合させると、得られる温度は混合物の融点より高く、そして混合や、それによって生じる温度により混合物が架橋する危険性のある温度より低くなる。適切な温度は、通常90〜120℃、好ましくは90〜100℃である。架橋剤がベース混合物との混合の間に溶解した場合、少なくともベース混合物と架橋剤との混合を自動的な様式で実行可能とするために、ベース混合物中で迅速かつ均一に架橋剤を分散させる目的は、それによって改善された様式で達成可能である。混合を十分迅速に実行するのであれば、50℃より高い温度は問題がない。
【0029】
本発明によるプロセスの好ましい実施形態において、架橋剤と混合させる前にベース混合物を、特に120℃未満まで、好ましくは100℃未満まで、特に好ましくは50℃未満まで冷却させる。
【0030】
本発明の実施形態において、ベース混合物と混合する前に、架橋剤をポリマーでコーティングする。特に適切なポリマーは、ベース混合物と匹敵する表面張力および/または両極性を有するものである。そのように、表面張力および/または両極性の適合が達成されるので、混合されるベース混合物と架橋剤とからなる材料を、より確実に、したがって、より均一に、そしてより迅速に、互いに混合することが可能である。
【0031】
本発明によるプロセスの好ましい実施形態において、したがって、架橋剤は、架橋のためのポリマー混合物でコーティングされ、そしてポリマーでコーティングされた架橋剤を、ゴムを含有するベース混合物と混合させる。
【0032】
有利には、混合を改善するため、すなわち、迅速に均質な混合の結果を得るために、ポリマーの、およびベース混合物の融点、結晶化度および/または表層構造が同様であるようにポリマーを選択する。
【0033】
適切なポリマーは、特に天然ゴム(NR)、イソプレンゴム(IR)、スチレン−ブタジエンゴム(SBR)、ブタジエンゴム(BR)、イソプレン−イソブチレンゴム(IIR)、ポリクロロプレンゴム(CR)、アクリロニトリル−ブタジエンゴム(NBR)、水素化アクリロニトリル−ブタジエンゴム(HNBR)、カルボキシル化アクリロニトリル−ブタジエンゴム(XNBR)、水素化カルボキシル化アクリロニトリル−ブタジエンゴム(HXNBR)、エチレン−プロピレン−ジエンゴム(EPDM)、エチレン−プロピレンゴム(EPM)、フッ素ゴム(FKM)、ペルフッ素化フッ素ゴム(FFKM)、アクリレート−エチレンゴム(AEM)、アクリレートゴム(ACM)、塩素化ポリエチレン、クロロスルホン化ポリエチレン、エチレン−酢酸ビニルゴム(EVA)、シリコーンゴム、フルオロシリコーンゴム、エチレン−エピクロロヒドリンゴム(ECO)、エピクロロヒドリンゴム(CO)、ポリウレタンゴム(PU)である。
【0034】
本発明の実施形態において、架橋剤は最初に混合される。次いで、混合装置(例えば、ニーダー、ロールミル、押出機など)中で、互いに混合された架橋剤を1つ以上のポリマーバインダーと混合させる。各ケースで使用されるポリマーの架橋が生じないように、この手順の間、温度を制御する。
【0035】
本発明によるプロセスの好ましい実施形態において、ベース混合物はバッチ様式で調製される。
【0036】
本発明の実施形態において、架橋剤は高圧でベース混合物に導入され、そしてそれは特に相対的に圧力がない状態で運搬される。本発明の文脈中の高圧とは、特に数十バール、好ましくは少なくとも50バール、特に好ましくは少なくとも100バールである。これによって、単に供給される圧力が高いため、乱流によって架橋剤はベース混合物中に直ちに分布することが確実となる。これは均質な混合物が迅速に調製されることを確実にするために役立つ。
【0037】
本発明の好ましい実施形態において、混合物を架橋するための架橋剤を、好ましくは少なくとも50バールの高圧で、ゴムを含有するベース混合物にポンプ輸送し、次いで、ベース混合物を混合装置で架橋剤と混合する。
【0038】
好ましくは、架橋剤がベース混合物に高圧でポンプ輸送される間、ベース混合物は好ましくは1つのみのシャフトを有する押出機で輸送される。大きな圧力差のため、乱流が生ずる。したがって、押出機を用いることにより、さらなる混合の短縮が可能である。
【0039】
本発明の実施形態において、ギアポンプによって架橋剤をベース混合物にポンプ輸送する。ギアポンプを用いることで、第1に所望の高圧を生じことができ、そして第2に、適切に測定することによって供給を実行することができる。
【0040】
本発明のさらなる実施形態において、互いに混合された架橋剤を容器に導入し、容器を閉め、閉じた容器を、ベース混合物を架橋剤と混合する装置に結合させ、開放し、架橋剤を容器からベース混合物へと供給し、そして供給された架橋剤をベース混合物と混合する。
【0041】
本発明の実施形態において、架橋剤は、最初は閉じている容器中に存在する。ベース混合物の方向に架橋剤を輸送するために、この容器は測定および供給装置に結合され、そして適切な方法で開放される。架橋剤がすでに混合されている場合、この混合物を最初容器中に貯蔵し、次いで、測定および供給装置を用いて、例えば、ギアポンプで、ベース混合物に測定して供給することは問題なく可能である。本実施形態を用いることにより、混合物の汚染が防止される。さらに、環境が架橋剤による汚染から保護される。架橋剤の混合とその後のパッキングを、品質管理の実行と共に、産業的に実行可能であるため、冒頭で述べられた、個々の成分の手動での計量の結果として生じ得る誤差が防止されるか、少なくとも最小にされる。
【0042】
ベース混合物と架橋剤との連続的な混合を確実にするため、容器には、それによって空になる準位または程度が決定される検出器が備えられる。この情報は、ベース混合物と架橋剤との連続的な混合を確実にするために、ちょうど良い時に容器の交換を準備するために使用されることができる。
【0043】
したがって、供給の間、容器の準位を検出器によって監視することが好ましい。
【0044】
本発明の実施形態において、前述の検出器は、検出器信号に応じて、容器がさらに空になることを防ぐ手段を備える。したがって、残渣量が少なすぎることによる測定誤差の発生を防止することが可能である。
【0045】
本発明の実施形態において、容器には、容器の含有量に関する情報が電子的に貯蔵され、読み出し可能であるRFIDチップ(無線自動識別)などの電子メモリ手段が備えられる。したがって、例えば、架橋剤の供給の間、情報を読み出し、監視する相当する読み取りおよび監視装置を提供することによって、製造誤差をさらに防止することができる。したがって、例えば、有効期限が過ぎたかどうか、または所望の含有量が容器に存在するかどうかを監視することが可能である。したがって、製造誤差を防止することができる。本発明の実施形態において、製造誤差発生のリスクが高いことを示す情報が読み出される場合、架橋剤の供給は自動的に止められる。
【0046】
RFIDチップは、エネルギー供給と無線読み出しがなくても操作が可能であるという長所がある。しかしながら、例えば、ケーブル接続を通して読み出されるフラッシュメモリ素子などの他のメモリ素子を使用することも可能である。それには、容器に、例えば、情報の読み出し可能にするためにケーブルが接続されなければならないプラグを備える。
【0047】
メモリ素子は、例えば、前記検出器で得られた容器中のそれぞれの準位に関する情報も含み得る。したがって、複数の交換の場合、過度の範囲まで空になった容器を偶然に選択することを防止することが可能である。
【0048】
本発明によるプロセスにおいて、検出器信号に応じて、容器が閉じていることが可能であり、また好ましい。
【0049】
さらに本発明によるプロセスにおいて、容器が、データの電子貯蔵のための手段も有する、そして容器の含有量に関する情報が、そのようにして電子的に貯蔵され、そして、ベース混合物への架橋剤の供給の前に、データが読み出され、監視されることが可能であり、また好ましい。
【0050】
プロセスの構成において、同じベース混合物が常に使用される。製品変更は、単に架橋剤を変更することによってもたらされる。特に、架橋剤または架橋剤の混合物が容器にパックされて存在する場合、製品変更は非常に迅速に、そして確実に実行可能である。そうすれば、単に容器を交換することによって、製品変更を実行することができる。容器を先に空にすることや、クリーニングすることは必要とされない。
【0051】
本発明によるプロセスの間、製品変更が実行される場合、これは、この目的のために架橋剤を含む容器のみを交換し、そのようにして他の製品を調製することによる単純な方法で可能である。
【0052】
本発明によるプロセスにおいて、架橋剤をベース混合物と連続的に混合することができ、そしてこれは好ましい実施形態を表す。
【0053】
本発明によるプロセスにおいて、プロセス実行の間、その分布が連続的に確認されるマーキング物質を架橋剤が備えていることも可能である。
【0054】
この場合、マーキング物質の割合は、互いに混合された架橋剤に基づき、好ましくは50重量%未満、好ましくは5重量%未満、特に好ましくは1重量%未満である。
【0055】
また本発明は、本発明によるプロセスを実行するための容器にも関する。
【0056】
本発明の好ましい実施形態において、本発明によるプロセスを実行するための容器は、互いに混合された架橋剤を含有し、そしてゴムを含む混合物を架橋することを目的とし、閉じている。
【0057】
互いに混合された架橋剤とは、好ましくは、本発明によるプロセスの場合に記載された意味を有する。これは、それらは、例えば、硫黄、酸化亜鉛、CBSおよび/またはMBTSの混合物であるか、あるいは少なくとも1つのポリマーでコーティングされることも可能であることを意味する。
【0058】
典型的な容器体積は、特に100kg〜数トンの重量の混合物を保持することができるように選択される。体積は100リットル〜数千リットル、または10000リットルでもある。
【0059】
特定の実施形態において、本発明による容器の含有量は少なくとも100kgである。
【0060】
容器は、典型的に金属、特にアルミニウムまたは鋼からなる。
【0061】
容器は好ましくは、容器を充填することができ、閉めることが可能なふたを含むように設計される。このふたは、好ましくは、例えば、清掃作業を実行するために、人が容器に乗り込むことができるように十分に大きい。
【0062】
本発明の好ましい実施形態において、容器は、好ましくは、容器の含有量を決定することができる検出器を備える。
【0063】
さらに、本発明による容器が、検出器の信号に応じて容器を自動閉鎖する手段を備える場合、好ましい。
【0064】
同様に、容器の含有量に関する情報が貯蔵されるRFIDチップを備える場合、好ましい。
【0065】
さらに、本発明による容器に存在し、特に光を反射することが可能なマーキング物質が、紫外線によって励起され得る場合、好ましい。マーキング物質は、それによってNMR緩和研究を実行可能であり、磁性であり、架橋剤と比較すると非常に強く光を吸収することができ、ベース混合物と比較すると相当に異なる密度を有し、そして/または架橋剤と比較すると実質的に異なる電気伝導度を有することが好ましい。
【0066】
容器を用いて、場合によっては法定の、安全必要条件を満たすことが可能である。例えば、それによって架橋剤は火災から確実に保護される。
【0067】
本発明の実施形態において、マーキング物質、例えば、電気伝導性を確立するための物質、反射性物質、磁性物質、紫外線によって励起可能な物質、NMR緩和研究を実行可能な物質、ベース混合物と比較すると相当に異なる密度を有する物質なども、架橋剤からなる混合物と置き換えられる。品質管理と含有量検査を実行するために、添加された物質を検出する。したがって、本発明の実施形態において、マーキング物質の分布は、例えば、磁気コイルを用いて磁性粒子の分布を、または光反射に基づき反射性粒子の分布を、または超音波測定に基づいて高密度を有する粒子の分布を決定する。したがって、マーキング物質がそれぞれの混合物で一様に分布しているかどうか監視することができる。このように、混合物の均質性を、特に完全に、連続的に、そして無作為標本の手段のみではなく、オンラインで監視することができる。
【0068】
特に、光を反射することができるか、または紫外線によって励起されることができ、NMR緩和研究を実行することができ、磁性であり、架橋剤と比較するとより強く相当に光を吸収することができ、ベース混合物と比較すると相当に異なる密度を有し、そして/または架橋剤と比較すると相当に異なる電気伝導度を有するマーキング物質が提供される。架橋剤と比較すると差異は相当であり、それらが非常に大きい場合、これらの差異の結果として、混合物中のマーキング物質の分布を連続的に監視することができる。
【0069】
架橋剤に基づくマーキング物質の割合は、それらには、それらの分布が調査できるという機能のみがあり、そして、最終製品がこれらのマーキング物質によって悪影響を受けてはならないため、非常に小さい。一実施形態において、容器中での割合は、したがって、容器の含有量の50重量%未満、好ましくは5重量%未満、特に好ましくは1重量%未満、非常に特に好ましくは0.5重量%未満である。
【0070】
本発明の実施形態において、ベース混合物は架橋剤と混合される前に、最初に特に50℃未満まで、好ましくは30℃未満まで冷却される。これは架橋剤をベース混合物と混合する間に供給され得、混合エネルギーを増加させる。したがって、改善された様式では迅速な混合を実行することができ、そして均質な混合物を調製することができる。
【0071】
従来技術から既知の様式でベース混合物を調製することができることは事実である。しかしながら、ベース混合物がバッチ様式で調製された場合、特に満足な品質結果が得られることが見出された。特にベース混合物が最初に冷却される場合、これはあまり不都合ではない。
【0072】
混合物に基づく架橋剤の割合は、通常20重量%未満である。
【0073】
また本発明は、保護された輸送と貯蔵のため、混合装置への適合のため、架橋剤混合物の容易な変更のため、および/または架橋剤混合物の単純な測定のための本発明による容器の使用にも関する。
【0074】
記載される混合プロセスは、特にプロフィール、チューブなどの押出成形用途のための様々な工業用ゴム物品の製造のために使用可能である。この連続的混合プロセスは、例えばタイヤトレッド混合物などの高スループットの混合物のために非常に好都合である。
【0075】
以下の実施例は、限定的な効果を有することなく本発明を例示するために有用である。
【実施例】
【0076】
実施例:
本明細書中、Phrは、「ゴム100部あたり」に相当する。
【0077】
実施例1:
100phrの天然ゴム(Standard Malaysian Rubber SMR 10)および55phrのカーボンブラックN550、5phrの可塑剤(鉱油Vivatec 500)および1phrのステアリン酸からなるベース混合物を、ギアポンプを備えた一軸押出機によって連続的に押出成形した。押出機ヘッドでの混合物の温度は約100℃であった。スループットは44kg/時間であった。43%の酸化亜鉛ZnO、18.5%の促進剤CBS、18.5%の硫黄SおよびEPDMを含むバインダー物質(19%)とマーカー物質(綿繊維)および紫外線で蛍光するマーカー物質(1%の綿繊維)からなる架橋剤混合物を、ギアポンプとコンベアスクリューからなる計量装置によってベース混合物に計った。計量装置の圧力は約80バールであり、デリバリーは約2kg/時間であった。そのような連続的計量は、8.125phrの架橋剤混合物のベース混合物への添加に相当する。約15分の予備段階の後、長さ約1mの押出機ストリップを2分の時間間隔後、サンプルとして引き抜いた。これらの押出機ストリップから、5つのサンプルを取り、種々の点で150℃での加硫曲線を決定した(RPA 2000、1Hz振動数、1%の伸長振幅によって)。加えて、DIN 53 504による引張試験(加硫プレスで10分間の160℃でのシートの加硫)用にそこから2mmのシートを製造するため、さらなる材料を2分後に押出機ストリップから採取した。
【0078】
均質性を評価するために、(RPA 2000、1Hz振動数、1%伸長振幅による)表1の加硫曲線の最大複合トルクSmaxと最小複合トルクSminとの差を使用した。加硫曲線からの値Smax−Sminの標準偏差は、サンプリングのx分後のそれぞれの押出機ストリップの全5個のサンプルの場合で低い(<1%)。種々の押出機ストリップのサンプルの加硫曲線の標準偏差は、同様に低い(<1%)。全サンプルの平均値は、0.61%の標準偏差で2.18Nmである。
【0079】
これらの測定値は、したがって、ゴム混合物中の架橋剤の優れた分布を実証する。
【0080】
サンプル2(2分後にサンプリング)の10回の引張試験の値(張力値、引張強さ、破断点伸び)を表2に示す。押出機ストリップの10回の引張試験の値の標準偏差は低い(<5%)。
【0081】
比較のために、従来のバッチ様式混合プロセスを使用し、ラボラトリーロールミルを用いて、ポリマーに結合した架橋剤(8.125phr)をNRベース混合物(161phr)中に導入した。非常に均質な混合物(混入時間>5分)と、かなり異質な混合物(混入時間約1分)が製造された。これらの混合物から上記の通りに2mmのシートを製造し、そして各ケースで、10回の引張試験を実行した。これらの混合物の引張試験のこれらの測定(張力値、引張強さ、破断点伸び)の平均値を同様に表2に示す。ここで、短い混入時間による混合物では、張力値、引張強さおよび破断点伸びの値の高い標準偏差(>>10%)があるが、一方、長い混入時間による応力−歪み曲線の標準偏差は低い(<5%)ことがわかった。
【0082】
このことは、架橋剤が均質に分布している混合物は、架橋剤のための新規混合プロセスによって調製可能であることを示している。架橋性ゴム混合物の均質性は、加硫曲線からの測定値(Smax−Smin)の非常に低い標準偏差(<1%)をもたらす。このような均質性は、引張試験の値の低い標準偏差でも反映され(<5%)、この均質性は、従来のバッチ様式の標準ロールミリングプロセス(長い混入時間)によって調製された混合物の均質性に匹敵する。
【0083】
紫外線で蛍光するマーカー物質(綿繊維)は、紫外線で光学顕微鏡によって検出可能である。繊維<<500μmが検出可能であり、これはサンプルでの均質な分布を示す。
【0084】
【表1】

【0085】
【表2】

【0086】
測定値は、10回の個々の測定の平均値である。
【0087】
実施例2:
100phrの天然ゴム(Standard Malaysian Rubber SMR 10)および55phrのカーボンブラックN550、5phrの可塑剤(Vivatec 500)および1phrのステアリン酸からなるベース混合物を、実施例1に従って一軸押出機中で押出成形した。最初の実験では、この混合物に、圧力を加えずに、粉末計量装置を用いて、48%の酸化亜鉛ZnO、20.5%のメルカプトベンゾチアジルジスルフィド(MBTS)、11%の亜鉛ジチオホスフェート(Rhein Chemie Rheinau GmbHからのRhenocure(登録商標)ZBOP/S型)および20.5%の硫黄Sからなる7.5phrの粉末化学薬品を添加した(実験A、比較実験)。第2の実験Bでは(本発明に従って)、20%のポリマーEPDM−結合剤、5%の発光マーカー(ジアルミニウム−x−ジスプロシウム−y−ユウロピウム−(1−x−y)−ストロンチウムテトロキシド)および48%の酸化亜鉛ZnO、20.5%のメルカプトベンゾチアジルジスルフィドMBTS、11%の亜鉛ジチオホスフェート(Rhein Chemie Rheinau GmbHからの商標名Rhenocure(登録商標)ZBOP/S)および20.5%の硫黄Sからなるポリマーに結合したバッチ化学薬品を調製した。これは、本発明に従って予混合された架橋剤混合物である(化学薬品のバッチ)。次いで、これを約100バールの圧力でゴム混合物に測定する。従来の標準混合プロセス(70%の充填度、50rpm、50℃、混合時間5分)で、内蔵ミキサー(1.5lチャンバー体積)中で化学薬品のバッチを調製した。一軸スクリュー押出機から出た後の混合物の温度は、両ケースで約100℃であった。
【0088】
そのように実験AおよびBから得られた2つの押出機ストリップを光学的に互いに比較した。実験A(比較実験、圧力を用いずに粉末混合物を測定した)の押出機ストリップでは、架橋剤の大部分は一様に分布したが、十分に分散しないことがわかった。容認できない数の黄白色の細粒が存在するが、そのような細粒は、予め分散された化学薬品のバッチによる本発明によるプロセスによる実験Bからのトレッドでは見つからない。
【0089】
混合物の均質性のさらなる決定のために、実験Aおよび実験Bの実験の開始の約10分後に10個の異なるサンプルを採取した(そしてα−Technologiesからのバルカメーターで160℃で測定した。両方の実験で、値Smax−Sminのごく小さい標準偏差<1%が見出された。これは均質な分布を示す。しかしながら、実験Aでは、1.3Nmでの加硫レベルSmaxは、Smax=1.5Nmでの実験Bよりもかなり低い。
【0090】
実験Aからの粉末化学薬品は、均一に分布するが、十分に分散しないため、本発明によるポリマーに結合され、予め分散された化学薬品のバッチとは対照的に、架橋密度が低下する。
【0091】
加硫物(10分間の加硫プレスで、160℃での加硫)の応力−歪み曲線でも差が見られる。例えば100%の伸びの張力値は、実験AからのNR加硫物の場合、実験BからのNR加硫物のものよりも著しく低い。加えて、実験BからのNR加硫物のより高い張力値にもかかわらず、破断点伸びと引張強さに関するより高い値も得られる。実験Aでは、平均引張強さは約15MPaであり、平均破断点伸びは約400%であるが、実験Bからの加硫物の平均引張強さは22MPaであり、平均破断点伸びは490%である。加えて、実験Bからの値の標準偏差は、実験Aからの値よりかなり低い。
【0092】
発光マーカー物質(ジアルミニウム−x−ジスプロシウム−y−ユウロピウム−(1−x−y)−ストロンチウムテトロキシド)を紫外線で光学顕微鏡によって検出可能である。100μm未満の粒子が識別可能であり、サンプルでの均質な分布を示す。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
架橋のための架橋剤を互いに混合し、次いで、互いに混合された前記架橋剤を、ゴムを含有するベース混合物と混合させる架橋性ゴム混合物の調製方法。
【請求項2】
100℃未満の温度、およびこの融点より高く、かつ150℃未満、好ましくは120℃未満の温度で溶解された互いに混合された架橋剤が、前記ベース混合物との混合の間に生じる請求項1に記載の方法。
【請求項3】
混合物を架橋するための架橋剤がポリマーでコーティングされ、そしてポリマーでコーティングされた前記架橋剤を、ゴムを含有するベース混合物と混合させる請求項1または2のいずれか一項に記載の方法。
【請求項4】
混合物を架橋するための架橋剤が、ゴムを含有するベース混合物中に好ましくは少なくとも50バールの高圧でポンプ輸送され、次いで、混合装置で前記ベース混合物を前記架橋剤と混合させる請求項1〜3のいずれか一項に記載の方法。
【請求項5】
互いに混合された前記架橋剤を容器に導入し、前記容器を閉め、前記閉じた容器を、前記ベース混合物を前記架橋剤と混合する装置に結合させ、開放し、前記架橋剤を前記容器から前記ベース混合物へと供給し、そして供給された前記架橋剤を前記ベース混合物と混合する請求項1〜4のいずれか一項に記載の方法。
【請求項6】
前記架橋剤を前記ベース混合物と連続的に混合させる請求項1〜5のいずれか一項に記載の方法。
【請求項7】
互いに混合された前記架橋剤が、硫黄、ペルオキシド、金属酸化物、脂肪酸および/またはジチオカルバメート、テトラメチルチウラムジスルフィド(TMTD)、テトラメチルチウラムモノスルフィド(TMTM)、テトラエチルチウラムジスルフィド(TETD)、ビス(ペンタメチレン)チウラムテトラスルフィド(DPTT)、エチレンチオウレア(ETU)、N,N,N’N’−テトラメチルチオウレア(TMTU)、ジエチルチオウレア(DETU)、ジブチルチオウレア(DBTU)、2−メルカプトベンゾチアゾール(MBT)、メルカプトベンゾチアジルジスルフィド(MBTS)、亜鉛メルカプトベンゾチアゾール(ZMBT)、N’−シクロヘキシルベンゾチアゾール−2−スルフェンアミド(CBS)、N−第三級−ブチル−2−ベンゾチアゾールスルフェンアミド(TBBS)、2−モルホリンベンゾチアゾールスルフェンアミド(MBS)、ジチオホスフェート、ジフェニルグアニジン(DPG)および/またはN’N−ジ−オルト−トリルグアニジン(DOTG)、変色および非変色老化防止剤、パラフェニレンジアミン、イソプロピルフェニル−パラフェニレンジアミン(IPPD)、パラフェニレンジアミン(6PPD)、N,N−ジトリ−p−フェニレンジアミン(DTPD)、トリメチル−1,2−ジヒドロキノリン(TMQ)、[(フェニル)アミン]−1,4−ナフタレンジオン(PAN)、ビス(4−オクチルフェニル)アミン(ODPA)、スチレン化ジフェニルアミン(SDPA)、モノ−およびビスフェノール、メルカプトベンゾイミダゾール、2−メルカプトベンゾイミダゾール(MBI)、2−メルカプトメチルベンゾイミダゾール(MMBI)、亜鉛4−および−5−メチル−2−メルカプトベンゾイミダゾール(ZMMBI)、オレフィン、パラフィン系および/または芳香族可塑剤を含有する請求項1〜6のいずれか一項に記載の方法。
【請求項8】
前記架橋剤が、プロセスの実行の間、分布が連続的に調査されるマーキング物質を備えている請求項1〜7のいずれか一項に記載の方法。
【請求項9】
前記マーキング物質の割合が、互いに混合された前記架橋剤に基づき、50重量%未満、好ましくは5重量%未満である請求項1〜8のいずれか一項に記載の方法。
【請求項10】
前記ベース混合物がバッチ様式で調製された請求項1〜9のいずれか一項に記載の方法。
【請求項11】
互いに混合された架橋剤を含有し、ゴムを架橋することを目的とし、閉じていることを特徴とする、請求項1〜10のいずれか一項に記載の方法を実行するための容器。
【請求項12】
少なくとも1つのポリマーでコーティングされた架橋剤を含有することを特徴とする、請求項11に記載の容器。
【請求項13】
容器の含有量を決定することができる検出器を備えていることを特徴とする請求項11または12のいずれか一項に記載の容器。
【請求項14】
保護された輸送と貯蔵のため、前記混合装置への適合のため、前記架橋剤混合物の容易な変更のため、および前記架橋剤混合物の単純な測定のための、請求項11〜13のいずれか一項に記載の容器の使用。

【公表番号】特表2011−526632(P2011−526632A)
【公表日】平成23年10月13日(2011.10.13)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−515399(P2011−515399)
【出願日】平成21年6月26日(2009.6.26)
【国際出願番号】PCT/EP2009/058041
【国際公開番号】WO2010/000677
【国際公開日】平成22年1月7日(2010.1.7)
【出願人】(509286422)ライン・ケミー・ライノー・ゲーエムベーハー (13)
【Fターム(参考)】