説明

架空線の防鳥用細線の間隔保持材

【課題】防鳥用細線に確実に止着でき、これまでにない斬新な構造の、架空線防鳥用細線の間隔保持材を提供する。
【解決手段】通信線や電線等の架空線に所定間隔を存して取付け、防鳥用細線を張架して前記架空線に対する鳥類の留まりを防ぐようにした架空線の防鳥用細線の間隔保持材において、架空線Cに止着する第一部材1と、防鳥用細線Sに組付けて第一部材に組付ける第二部材2とで構成する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、電柱や鉄塔に架設した架空線(ケーブルの支持線や電線或いは通信線)の、該架空線に止まるカラス等の鳥類の排泄物によって生じる被害を除去するために、架空線の上方に所要の間隔を置いて配する防鳥用細線を前記架空線との間で一定間隔を保持するために用いる間隔保持材に関するものである。
【背景技術】
【0002】
架空線に巻回して取付ける螺旋状取付け杆部の一端に間隔保持杆部を立設し、該間隔保持杆部の上端に、前記螺旋状取付け杆部に対して平行する鳥害防止用細線を組付ける細線保持杆部を設け(金属線を屈曲して形成し)て成り、螺旋状取付け杆部と細線保持杆部との間に間隔保持杆部を介在させることにより、鳥害防止用細線とケーブルとの間をケーブルに鳥類が止まり(飛来し)にくい間隔に保つようにした構造のものがある(例えば、特許文献1)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開平10−179009号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
前記従来例は、金属杆を屈曲して構成するため安価という利点があるが、金属線を屈曲して細線保持杆部に設けたリングに、単に、挿通させて、鳥害防止用細線を細線保持杆部に組付けるようにしているので、風圧その他が原因で細線がリングの内側を移動し、リングを擦り、その結果、容易に切断されることになり、耐久性に問題がある。
【0005】
本発明は、このように細線保持杆部に対し緩く組付けられることから生じる欠点を回避し、防鳥用細線に確実に止着できる、これまでにない斬新な構造の、架空線防鳥用細線の間隔保持材を提供すべく創案したものである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
通信線や電線等の架空線に所定間隔を存して取付け、防鳥用細線を張架して前記架空線に対する鳥類の留まりを防ぐようにした架空線の防鳥用細線の間隔保持材において、前記架空線に止着する第一部材と、前記防鳥用細線に組付けて前記第一部材に組付ける第二部材とで成り、第一部材は、所望の長さの金属杆の中間部を屈曲形成して、先細状とした先端部とその両側の一対の脚杆部で成る組付け枠部と、該組付け枠部の両端を互いに離れる方向に屈曲して形成した一対の係止杆部と、各係止杆部の自由端を屈曲して互いに平行させて設けた、一対の間隔保持杆部および各間隔保持杆部の自由端を互いに離れる方向に屈曲して前記架空線に巻付け止着する螺旋状の一対の止着杆部とで構成すると共に、前記第二部材は、下端の中央に下方に舌状に突設して前記防鳥用細線を水平方向に係止する係止部片を備えた主体片の片面の左右両側に、第一部材の前記先端部が上端に係止する断面L形片を相対設して、前記係止部片に横方向に係止した前記防鳥用細線の両側を係合し、しかも、奥壁面間が前記組付け枠部の幅より狭い組付け溝を設け、該組付け溝の長さを、該組付け溝内に前記奥壁面側にして係合した前記防鳥用細線より外側にして前記組付け溝に係合する、第一部材の前記組付け枠部の前記脚杆部とほぼ同長にした構成とする。
【発明の効果】
【0007】
本発明によれば、架空線側に第一部材を、防鳥用細線側に第二部材をそれぞれ設け、第一部材側の組付け枠部を第二部材側の組付け溝に摺嵌させ、係止させることにより第一、第二部材はケーブルと防鳥用細線に止着された状態で確実に組付けられ、従って、風圧等が作用しても移動することなく当初の設定位置にあってケーブルに鳥類の飛来することのできない間隔をケーブルとの間でおいて保持することができる。そして、構成上、架設した状態の架空線および防鳥用細線間に取付けることができるから使用勝手も良好であり、従来にない斬新な構造の製品を提供できる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【図1】使用状態を示す正面図。
【図2】図1の一部拡大図。
【図3】図2の一部欠截拡大図。
【図4】図3の背面図。
【図5】第一部材と第二部材を組付ける直前の一部欠截正面図。
【図6】第二部材の正面図。
【図7】図6の側面図。
【図8】図6の平面図。
【図9】図6の背面図。
【図10】第二部材の斜視図。
【図11】第二部材の他の斜視図。
【発明を実施するための形態】
【0009】
実施形態は、本発明に係る、架空線の防鳥用(鳥が飛来するのを防ぐ)細線の間隔保持材を、電柱より一般家庭に引込む、所謂引込みケーブルと、該引込みケーブルに並行させて張架した前記防鳥用細線との間隔(鳥類が引込みケーブルに止まれない程度の)を維持するために用いたものであるが、電柱間に架設したケーブルを支持した支持線(メッセンジャーワイヤー)や電線或いは通信線に対して鳥類の飛来を防ぐため用いる防鳥用細線の間隔保持にも適用して良いことは勿論である。
【0010】
そして、本発明に係る架空線の防鳥用細線の間隔保持材Aは、引込みケーブルC(支持線の場合もあることは前記の通り)に止着する第一部材1と、ケーブルCの上方に並行させて配した防鳥用細線Sを組付けて前記第一部材1に接合する第二部材2とで構成する。
【0011】
第一部材1は、所望の長さの金属杆(概し、鋼線で成るが樹脂で被覆したものでも不都合はなく、弾性変形可能で、耐候性あるものであれば合成樹脂杆でも不都合はない)を屈曲して形成したもので、前記金属杆の中間部をほぼ矢印状に屈曲形成して三角形状の先端部1a´と、該先端部1a´の両側に平行させて配した左右一対の脚杆部1a´´,1a´´とで成る組付け枠部1aと、該組付け枠部1aの脚杆部1a´´,1a´´自由端を互いに離れる方向に屈曲して該組付け枠部1aに連設した左右一対の係止杆(肩)部1b,1bと、各係止杆部1bの自由端を屈曲して互いにほぼ平行させて設けた、左右一対の間隔保持杆部1c,1cおよび各間隔保持杆部1cの自由端を互いに離れる方向に屈曲して、前記係止杆部1bと略平行線上に位置し、かつ、前記ケーブルCの外径より内径が狭く、螺旋状に屈曲した、一対の止着杆部1d,1dとで構成したものである。
【0012】
前記第二部材2は、合成樹脂体で成るものであって、下端の中央に、舌状に下方に突設した係止部片2d´を備えた主体片2aの片面の前記係止部片2d´の直上より外れる位置の左右両側に、主体片2aの前方に突出する、左右一対の、前部片2b´と側部片2b´´で成る、前記細線Sの径より広径な間隙aを存して断面L形片2bを相対設して、対向面側開口の組付け溝2c,2cを縦設したもので、断面L形片2b,2b同士を下端から上端に至るに従って次第に近接させ、該断面L形片2bで構成する、前記縦方向の組付け溝2c,2cの奥壁2c´,2c´を下端開口縁から上端開口縁に至るに従って次第に近接する傾斜状にし(要するに、テーパーにして次第に近接させ)、組付け溝2cの上端は、断面L形片2bを構成する前記側部片2b´´の上端部を切欠状にして設けたスリットbを設けて外部と連通させてある。
【0013】
なお、前記組付け溝2cの長さ(上下方向の)と第一部材1の組付け枠部1aの脚杆部1a´´の長さはほぼ同長にしてあるが、ここでいう同長とは、組付け溝2cに開口下端から相対的に摺嵌して開口上端から突出する組付け枠部1aの三角形状の先端部1a´が、素材の弾性により原状に復帰して、第二部材2と組付け済の防鳥用細線S部を介して前記スリットbに係合し、かつ、前記組付け溝2cを構成する断面L形片2bの上端に引っ掛かる(係止する)長さの程度をいい、要は、この引っ掛かり関係により第一、第二の両部材1,2が互いに離脱しない関係になるような長さ関係であれば良いのである(従って、先端部1a´は実施形態で示すような三角形状である必要はなく、組付け溝2c,2cの奥壁2c´,2c´間を通り易く、かつ、最も広い後部が断面L形片2bに係止する、円弧形や台形状などの先細状であれば良い)。また、第一部材1の組付け枠部1aの幅は、組付け溝2c,2cの奥壁2c´,2c´間の距離より狭い関係にある、すなわち、奥壁2c´側に係合した防鳥細線Sより外側にして組付け溝2cに摺嵌したときの組付け枠部1aは、常態時より弾性変形して縮径する。
【0014】
そして、架設した引込みケーブルCに、左右一対の止着杆部1d,1dのそれぞれを螺旋形を利用して巻付け、間隔保持杆部1c等の止着杆部1dを除く第一部材1部分が、引込みケーブルCに対して垂直に起立するように取付ける一方、引込みケーブルCの直上に架設した防鳥用細線S(天蚕糸やピアノ線で構成する)の中間部を主体片2aの係止部片2dの背面に当てて横方向に係止するようにして、当てた部分の、該細線Sの両側部を係止部片2a´の前面側に導出して、前記間隙aを利用して断面L形片2bで構成する組付け溝2cに係合し、組付け溝2cの開口上端であるスリットbより導出させて断面L形片2bの上端に係止するようにして防鳥用細線Sに第二部材2を組付ける。
【0015】
このようにして細線Sに組付けた第二部材の組付け溝2c,2c間に、引込みケーブルCに組付けた第一部材1の組付け枠部1aを摺嵌するようにして互いに近接させると、組付け枠部1aは素材の弾性により縮径して組付け溝2cに沿って移動し(相対的に)、ついには組付け溝2cの上端開口部のスリットbより突出して、組付け溝2cによる強制的な縮径から解放されて原状に復帰し、断面L形片2bの上端に係止することになり、第一、第二部材1,2で成る、架空線の防鳥用細線の間隔保持具Aは引込みケーブルCと防鳥用細線Sに止着して架設され、引込みケーブルCと細線S間の離開間隔を確保し、引込みケーブルCへの鳥類の飛来(止まり)を防ぐのである。
【0016】
なお、図示2eは、第二部材2と防鳥用細線Sを組合わせる際の補助部片となるもので、補助部片2eの断面L形片を利用して第二部材2を細線Sに引っ掛け、引っ掛けた細線S部の両側を、該補助部片2eのある主体片2aの片面側から前記断面L形片2bのある側の片面に折り曲げるように配することにより、第二部材2と防鳥用細線Sとの組付けが比較的容易に行われる。
【符号の説明】
【0017】
1 第一部材
1a 組付け枠部
1a´ 先端部
1a´´ 脚杆部
1b 係止杆部
1c 間隔保持杆部
1d 止着杆部
2 第二部材
2a 主体片
2d´ 係止部片
2b 断面L形片
2c 組付け溝
2c´ 奥壁面
C 架空線
S 防鳥用細線

【特許請求の範囲】
【請求項1】
通信線や電線等の架空線に所定間隔を存して取付け、防鳥用細線を張架して前記架空線に対する鳥類の留まりを防ぐようにした架空線の防鳥用細線の間隔保持材において、前記架空線に止着する第一部材と、前記防鳥用細線に組付けて前記第一部材に組付ける第二部材とで成り、第一部材は、所望の長さの金属杆の中間部を屈曲形成して、先細状とした先端部とその両側の一対の脚杆部で成る組付け枠部と、該組付け枠部の両端を互いに離れる方向に屈曲して形成した一対の係止杆部と、各係止杆部の自由端を屈曲して互いに平行させて設けた、一対の間隔保持杆部および各間隔保持杆部の自由端を互いに離れる方向に屈曲して前記架空線に巻付け止着する螺旋状の一対の止着杆部とで構成すると共に、前記第二部材は、下端の中央に下方に舌状に突設して前記防鳥用細線を水平方向に係止する係止部片を備えた主体片の片面の左右両側に、第一部材の前記先端部が上端に係止する断面L形片を相対設して、前記係止部片に横方向に係止した前記防鳥用細線の両側を係合し、しかも、奥壁面間が前記組付け枠部の幅より狭い組付け溝を設け、該組付け溝の長さを、該組付け溝内に前記奥壁面側にして係合した前記防鳥用細線より外側にして前記組付け溝に係合する、第一部材の前記組付け枠部の前記脚杆部とほぼ同長にした、架空線の防鳥用細線の間隔保持材。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【公開番号】特開2012−222871(P2012−222871A)
【公開日】平成24年11月12日(2012.11.12)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−83422(P2011−83422)
【出願日】平成23年4月5日(2011.4.5)
【出願人】(592157076)イワブチ株式会社 (80)
【Fターム(参考)】