説明

柔軟剤組成物

【課題】 香料の配合量を増加させることなく残香性を向上させ、且つ組成物の色調を悪化させずに香料の変調を抑制して、香調を長期間維持しつつ、処理布に高い残香を付与することができる柔軟剤組成物の提供。
【解決手段】 (a−1)エステル基、アミド基又はエーテル基で分断されていても良い総炭素数14〜26の炭化水素基を少なくとも一つ有する3級アミン又はその酸塩もしくはその4級化物を10〜30質量%及び/又は(a−2)シリコーン化合物を0.5〜20質量%含有し、更に(b)酸化防止剤及び(c)アルデヒド系香料を、(b)成分と(c)成分の質量比率が(b)成分/(c)成分=1/500〜1/2、かつ組成物中の(c)成分の含有量が0.001〜2.5質量%となる割合で含有し、組成物の25℃におけるpHが1.5〜5である柔軟剤組成物。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は柔軟剤組成物に関する。
【背景技術】
【0002】
一般に柔軟剤には商品価値を高めるため、香料が配合されている。特に近年、香りを商品特徴としたものが増えており、差別化のために様々な香りの商品が開発されている。一方、通常柔軟剤処理した衣料への残香を強くするためには、香料の総配合量を増加したり、持続性の香料成分を増量させたりする技術(特許文献1、特許文献2)がある。しかし香料の配合量の増加はコスト的に課題となり、また持続性香料成分を増量させても、香料組成のバランスが悪化し、結果として嗜好性のよい香調が得られない場合がある。特に持続性香料成分中のアルデヒド系香料成分は光や酸などによって変性を受けやすく、保存中に香りが変調してしまい、結果として設計した香調が十分維持できない場合がある。またヘリオトロピンやヘキシルシンナミックアルデヒドなどの香料は処理布に残香を付与する際に好ましい香料であるが、酸性溶液中での安定性が悪く、期待した残香性が得られない。更に配合液の色相を悪化させるといった課題があった。
【特許文献1】特表平10−507793号公報
【特許文献2】特表平11−504994号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
本発明の課題は、香料の配合量を増加させることなく残香性を向上させ、且つ組成物の色調を悪化させずに香料の変調を抑制して、香調を長期間維持しつつ、処理布に高い残香を付与することができる柔軟剤組成物を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0004】
本発明者らは、酸化防止剤と特定の香料を特定比率で配合することで上記課題を解決できることを見出した。
【0005】
即ち、本発明は、下記(a−1)成分を10〜30質量%及び/又は(a−2)成分を0.5〜20質量%含有し、更に下記(b)成分及び(c)成分を、(b)成分と(c)成分の質量比率が(b)成分/(c)成分=1/500〜1/2、かつ組成物中の(c)成分の含有量が0.001〜2.5質量%となる割合で含有し、組成物の25℃におけるpHが1.5〜5である柔軟剤組成物を提供する。
(a)成分:エステル基、アミド基又はエーテル基で分断されていても良い総炭素数14〜26の炭化水素基を少なくとも一つ有する3級アミン又はその酸塩もしくはその4級化物(a−1)及びシリコーン化合物(a−2)から選ばれる少なくとも1種
(b)成分:酸化防止剤
(c)成分:アルデヒド系香料
【発明の効果】
【0006】
本発明の柔軟剤組成物は、香料の配合量を増加させることなく残香性を向上させ、且つ組成物の色調を悪化させずに香料の変調を抑制して、香調を長期間維持しつつ、処理布に高い残香を付与することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0007】
[(a)成分]
本発明の(a)成分は、上記(a−1)成分及び(a−2)成分から選ばれる少なくとも1種である。
【0008】
(a−1)成分としては、エステル基、アミド基又はエーテル基で分断されていても良い総炭素数14〜26の炭化水素基を1〜3個と残りが炭素数1〜3のアルキル基又はヒドロキシアルキル基である3級アミン又はその酸塩もしくはその4級化物が好適である。
【0009】
(a−1)成分は、下記一般式(1)又は(2)で表される化合物から選ばれることが好ましく、一般式(2)で表される化合物がより好ましい。
【0010】
【化1】

【0011】
〔式中、R1aは、エステル基、アミド基又はエーテル基で分断されていても良い総炭素数14〜26のアルキル基もしくはアルケニル基であり、R1bは、エステル基、アミド基又はエーテル基で分断されていても良い総炭素数14〜26のアルキル基もしくはアルケニル基であるか、又は炭素数1〜3のアルキル基もしくはヒドロキシアルキル基である。R1cは、炭素数1〜3のアルキル基もしくはヒドロキシアルキル基であり、R1dは、水素原子、炭素数1〜3のアルキル基もしくはヒドロキシアルキル基である。X-は陰イオン基を示す。〕
(a−1)成分としては、更に下記一般式(3)又は(4)で表される化合物が好ましく、一般式(4)で表される化合物がより好ましい。
【0012】
【化2】

【0013】
〔式中、R2aは、炭素数14〜24、好ましくは16〜20のアルキル基又はアルケニル基であり、R2bは、炭素数1〜3のアルキル基もしくはヒドロキシアルキル基であるか、又はR2f−[B−R2gb−で示される基である。R2cは、炭素数1〜3のアルキル基もしくはヒドロキシアルキル基であり、R2dは、水素原子、炭素数1〜3のアルキル基もしくはヒドロキシアルキル基である。R2fは、炭素数14〜24のアルキル基又はアルケニル基である。R2e及びR2gは、それぞれ独立に炭素数1〜6のアルキレン基である。A及びBは、それぞれ独立に−COO−、−OCO−、−CONH−及び−NHCO−から選ばれる基であり、a及びbは、それぞれ独立に0又は1の数である。X-は、陰イオン基を示す。〕
一般式(3)又は(4)で表される化合物において、R2aは、炭素数16〜20のアルキル基又はアルケニル基が好ましく、R2bは、R2f−[B−R2gb−で示される基が好ましく、R2fは、炭素数16〜20のアルキル基又はアルケニル基が好ましい。R2cは、メチル基又はヒドロキシエチル基が好ましく、R2dは、水素原子、メチル基又はヒドロキシエチル基が好ましく、R2e及びR2gは、それぞれ独立にエチレン基又はプロピレン基が好ましい。A及びBは、それぞれ独立に−COO−又は−CONH−が好適であり、a及びbは、少なくとも一方が1の数、好ましくは両方が1の数であることが好ましい。X-は、ハロゲンイオン、炭素数1〜3のアルキル硫酸エステルイオン、又は炭素数1〜18の脂肪酸イオンが好適である。
【0014】
(a−2)成分であるシリコーン化合物は、繊維製品に吸着した時に、柔軟性、滑らかさを付与することが可能であれば特に限定されない。一般的に繊維処理に使用されているシリコーン化合物としては、ジメチルポリシロキサン、ポリエーテル変性シリコーン、メチルフェニルシリコーン、アルキル変性シリコーン、高級脂肪酸変性シリコーン、メチルハイドロジェンシリコーン、フッ素変性シリコーン、エポキシ変性シリコーン、カルボキシ変性シリコーン、ポリグリセロール変性シリコーン、カルビノール変性シリコーン、及びアミノ変性シリコーンなどが挙げられ、これらの1種を単独で又は2種以上の混合物として使用することができる。このシリコーン化合物の分子構造は、直鎖状であっても分岐や架橋していてもよい。変性シリコーン化合物は1種類の有機官能基により変性されていても構わないし、2種以上の有機官能基により変性されていてもよい。これらのシリコーン化合物の中では、柔軟性付与の観点から、ジメチルポリシロキサン、アミノ変性シリコーンが好ましく、ジメチルポリシロキサンがより好ましい。
【0015】
また、(a−2)成分としては、キシミ感が少なく良好な柔軟性と滑らかさを処理布に付与する観点から、25℃における動粘度が、10,000〜10,000,000mm2/sのものが好ましく、100,000〜6,000,000mm2/sのものがより好ましい。尚、(a−2)成分の動粘度は分子量を変化させることによって調整することができる。
【0016】
シリコーン化合物はオイル状のものをそのまま使用しても、また任意の乳化剤によって分散されたエマルジョンとして使用してもよい。乳化剤としては非イオン界面活性剤が好ましく、ポリオキシアルキレン(アルキレン基の炭素数2〜3、オキシアルキレン基の平均付加モル数1〜120)アルキル(アルキル基の炭素数10〜16)エーテルがより好ましい。エマルジョンは、安定性を向上させる観点から陰イオン界面活性剤を含有することが好ましい。陰イオン界面活性剤としては、アルキル(アルキル基の炭素数10〜16)硫酸塩、アルキル(アルキル基の炭素数10〜16)ベンゼンスルホン酸塩等が挙げられる。また、エマルジョンの粒径は、柔軟性、残香性を高める観点から、0.01〜10μmが好ましく、0.1〜5μmがより好ましく、0.2〜3μmが更に好ましい。尚、エマルジョンの粒径は、界面活性剤の種類や添加率によって調整することができる。
【0017】
[(b)成分]
本発明の(b)成分は酸化防止剤である。本発明の酸化防止剤は、一般に酸化防止効果が知られている化合物であれば、特に限定されるものではない。具体的には、ブチル化ヒドロキシトルエン(BHT)、ブチル化ヒドロキシアニソール(BHA)、β−ナフトール、フェニル−α−ナフチルアミン、テトラメチルジアミノジフェニルメタン、ビタミンE(α−トコフェロール、β−トコフェロール、γ−トコフェロール、δ−トコフェロール)、ビタミンC(L−アスコルビン酸)、クェルセチン等が挙げられる。これらの中では、特に、ブチル化ヒドロキシトルエン(BHT)、ブチル化ヒドロキシアニソール(BHA)、α−トコフェロール、γ−トコフェロール、δ−トコフェロールが好ましい。
【0018】
[(c)成分]
本発明の(c)成分はアルデヒド系香料である。アルデヒド系香料成分としては、ヘキシルアルデヒド、ノニルアルデヒド、アルデヒド C−10(デシルアルデヒド)、ウンデシルアルデヒド、ドデシルアルデヒド、トリデシルアルデヒド、2,6−ノナジエノール、シス−4−デセナール、ウンデシレンアルデヒド、シトラール、シトロネラール、ヒドロキシシトロネラール、センテナール、ボロナール、セトナール、サリチルアルデヒド、ミラックアルデヒド、リラール、リリアール、トリプラール、ベルンアルデヒド、ベンズアルデヒド、フェニルアセトアルデヒド、シンナミックアルデヒド、ヘキシルシンナミックアルデヒド、アニスアルデヒド、p−エチル−2,2−ジメチルヒドロシンナムアルデヒド、ヘリオトロピン、ヘリオナール、バニリン、エチルバニリン、メチルバニリン、マイラックアルデヒド、アミルシンナミックアルデヒド、シクラメンアルデヒド等が挙げられる。
【0019】
これらアルデヒド系香料成分の中では、柔軟処理布の残香性を向上させる観点から、ノニルアルデヒド、デシルアルデヒド、ウンデシルアルデヒド、ドデシルアルデヒド、2,6−ノナジエナール、リラール、ウンデシレンアルデヒド、シトラール、シトロネラール、ミラックアルデヒド、ベルンアルデヒド、ベンズアルデヒド、フェニルアセトアルデヒド、シンナミックアルデヒド、ヘキシルシンナミックアルデヒド、アニスアルデヒド、p−エチル−2,2−ジメチルヒドロシンナムアルデヒド、ヘリオトロピン、ヘリオナール、バニリン、エチルバニリン、マイラックアルデヒド、アミルシンナミックアルデヒド、シクラメンアルデヒド、リリアールが好ましく、ヘキシルシンナミックアルデヒド、マイラックアルデヒド、アニスアルデヒド、ヘリオナール、アミルシンナミックアルデヒド、シクラメンアルデヒド、エチルバニリン、ヘリオトロピン及びリリアールから選ばれる少なくとも1種がより好ましい。
【0020】
[柔軟剤組成物]
本発明の柔軟剤組成物は、上記(a−1)成分を10〜30質量%及び/又は(a−2)成分を0.5〜20質量%含有し、更に上記(b)成分及び(c)成分を、(b)成分と(c)成分の質量比率が(b)成分/(c)成分=1/500〜1/2、かつ組成物中の(c)成分の含有量が0.001〜2.5質量%となる割合で含有する。
【0021】
組成物中の(a−1)成分の含有量は、柔軟性付与の観点から、10〜30質量%であり、15〜25質量%が好ましい。また組成物中の(a−2)成分の含有量は、柔軟性付与の観点から、0.5〜20質量%であり、1〜10質量%が好ましい。
【0022】
本発明の組成物中の(b)成分の含有量は、(c)成分である香料成分の安定性の観点から、0.001〜2質量%が好ましく、0.01〜1質量%がより好ましく、0.01〜0.5質量%が更に好ましい。
【0023】
本発明の組成物中の(c)成分の含有量は、良好な残香性を得る観点から、0.001〜2.5質量%であり、0.005〜2質量%が好ましく、0.01〜1.5質量%がより好ましい。又、(b)成分と(c)成分の質量比率は、残香性を向上させ、また香料の変調を抑制する観点から、(b)成分/(c)成分=1/500〜1/2であり、1/250〜1/2が好ましく、1/100〜1/4がより好ましい。又、本発明の柔軟剤組成物は、柔軟性と液安定性両立の観点から、25℃におけるpHが1.5〜5であり、2〜5が好ましい。
【0024】
柔軟効果が高い(a)成分のような柔軟基剤を含有する柔軟剤組成物は、柔軟性と液安定性の両立を目的に、25℃におけるpHを1.5〜5に設定する事が好ましい。しかしながら、このようなpH中では香料成分は不安定なものが多く、特に強い香りや残香性を目的に香料を高配合率で設計された組成物では、保存中に香りの変化や香りのバランスの崩れが起こり、当初設定した香りと異なったものになってしまう。特に、アルデヒド系香料は低pHでの安定性が悪いとされており、香料成分にアルデヒド系香料を用いた場合、この現象が顕著に現れると考えられる。本発明の組成物は、(b)成分の酸化防止剤と(c)成分のアルデヒド系香料の質量比率を、上記特定範囲に設定することによって、色相の悪化等を起こさずに、低pHでのアルデヒド系香料の安定性が向上し、残香性を著しく向上させることができる。これは、(b)成分の酸化防止剤による(c)成分のアルデヒド系香料の安定化効果が増大し、アルデヒド系香料中にあると考えられる色相変化を与える微量成分への酸化防止剤の悪影響が緩和されたものと推定される。
【0025】
本発明の柔軟剤組成物には、(c)成分のアルデヒド系香料以外に炭化水素系香料成分、アルコール系香料成分、エーテル系香料成分、ケトン系香料成分、エステル系香料成分、ラクトン系香料成分、環状ケトン系香料成分、二トリル系香料成分、環状エーテル系香料成分、アミン系香料成分等を含有することができる。
【0026】
炭化水素系香料成分としては、α−ピネン、β−ピネン、カンフェン、リモネン、ターピネオール、ターピノレン、γ−ターピネン、オレンジペラ等が挙げられる。
【0027】
アルコール系香料成分としては、トランス−2−ヘキセノール、シス−3−ヘキセノール、3−オクタノール、リナロール、ゲラニオール、β−フェニルエチルアルコール、ネロール、シトロネロール、ロジノール、ミルセノール、ラバンジュロール、テトラヒドロリナロール、ターピネオール、l−メントール、ボルネオール、イソプレゴール、ノポール、p−t−ブチルシクロヘキサノール、o−t−ブチルシクロヘキサノール、アンブリノール、ベンジルアルコール、フェニルエチルアルコール、フェノキシエタノール、ジメチルベンジルカルビノール、オイゲノール、ポリサントール、フェニルヘキサノール、ジヒドロミルセノール等が挙げられる。
【0028】
エーテル系香料成分としては、ネロールオキサイド、1,8−シネオール、ローズオキサイド、リメトールメントフラン、リナロールオキサイド、ブチルジメチルジヒドロピラン、セドリルメチルエーテル、メトキシシクロドデカン、1−メチル−1−メトキシシクロドデカン、アニソール、アセトアニソール、アネトール、ジヒドロアネトール、メチルオイゲノール、フェニルエチルイソアミルエーテル、β−ナフチルメチルエーテル、β−ナフチルエチルエーテル等が挙げられる。
【0029】
ケトン系香料成分としては、アセトイン、ジアセチル、メチルアミルケトン、エチルアミルケトン、メチルヘキシルケトン、メチルノニルケトン、α−イオノン、β−イオノン、メチルイオノン、α−イロン、α−ダマスコン、ジヒドロジャスモン、シス−ジャスモン、アセトフェノン、p−メチルアセトフェノン、ベンジルアセトン、カローン、ラズベリーケトン、アニシルアセトン、メチルナフチルケトン、ベンゾフェノン等が挙げられる。
【0030】
エステル系香料成分としては、ベンジルアセテート、ギ酸エチル、ギ酸リナリル、ギ酸シトロネリル、ギ酸ゲラニル、酢酸エチル、酢酸ブチル、酢酸イソアミル、酢酸ゲラニル、酢酸リナリル、酢酸ベンジル、酢酸フェニルエチル、酢酸スチラリル、酢酸シンナミル、酢酸アニシル、プロピオン酸ゲラニル、プロピオン酸リナリル、酪酸エチル、吉草酸プロピル、イソ吉草酸シトロネリル、イソ吉草酸ゲラニル、桂皮酸エチル、桂皮酸ベンジル、桂皮酸シンナミル、ジャスモン酸メチル、ジヒドロジャスモン酸メチル、フルテート、シクロヘキシルサリチレート等が挙げられる。
【0031】
二トリル系香料成分、環状エーテル系香料成分、アミン系香料成分、ラクトン系香料成分、環状ケトン系香料成分、その他香料成分としては、シトロネリルニトリル、アンブロキサン、ルボフィックス、メチルアンスラニレイト、γ−オクタラクトン、γ−ノナラクトン、γ−デカラクトン、γ−ウンデカラクトン、δ−デカラクトン、クマリン、ジャスモノラクトン、ジャスミンラクトン、ムスコン、シベトン、シクロペンタデカノン、パーライド、アンバーコア、メチルジヒドロジャスモネート等が挙げられる。
【0032】
なお、上記香料成分の名称は「香料と調香の実際知識」(中島 基貴著、産業図書(株)、1995年6月21日発行)の記載に従った。
【0033】
本発明の組成物は、pHを調節する目的で、pH調整剤として、塩酸、硫酸などの無機酸、クエン酸、乳酸、グリコール酸、p−トルエンスルホン酸などの有機酸、水酸化ナトリウムなどの無機アルカリを配合することができる。
【0034】
本発明の組成物は、粘度を調整する目的で、無機あるいは有機の電解質を配合する事ができる。無機電解質としては、塩酸、硫酸又はりん酸のアルカリ金属又はアルカリ土類金属の塩が好ましく、塩化ナトリウム、塩化マグネシウム、塩化カリウム、硫酸ナトリウム、硫酸マグネシウムがより好ましい。有機電解質としてはグリコール酸、クエン酸、安息香酸、p−トルエンスルホン酸のアルカリ金属又はアルカリ土類金属の塩が好ましく、グリコール酸ナトリウム、クエン酸ナトリウム、安息香酸ナトリウム、p−トルエンスルホン酸ナトリウムなどがより好ましい。
【0035】
本発明の組成物は、必要に応じて本発明の効果を妨げない範囲で、溶剤、キレート剤、染料、顔料、抗菌剤、蛍光増白剤、紫外線吸収剤等を含有することができる。
【実施例】
【0036】
実施例及び比較例で用いた各成分をまとめて以下に示す。
【0037】
<(a)成分>
【0038】
【化3】

【0039】
(a−2−1):高重合ジメチコンエマルジョン
25℃における動粘度が500,000mm2/sのジメチルポリシロキサン60質量%、平均エチレンオキサイド(以下EOという)付加モル数5モルのポリオキシエチレンラウリルエーテル1.5質量%、平均EO付加モル数23モルのポリオキシエチレンラウリルエーテル4.5質量%、ラウリル硫酸ナトリウム0.1質量%、水 残部のエマルジョン、分散粒子の平均粒子径500nm
(a−2−2):ジメチコンエマルジョン
25℃における動粘度が5,000mm2/sのジメチルポリシロキサン60質量%、平均EO付加モル数5モルのポリオキシエチレンラウリルエーテル1.5質量%、平均EO付加モル数23モルのポリオキシエチレンラウリルエーテル5.5質量%、ラウリル硫酸ナトリウム0.1質量%、水 残部のエマルジョン、分散粒子の平均粒子径500nm
(a−2−3):アミノ変性シリコーン
SF8457C(東レ・ダウコーニング・シリコーン(株)製アミノ変性シリコーン、25℃における粘度1200mm2/s、アミノ当量1800)
上記(a−1−1)〜(a−1−3)の化合物は公知の方法、又は特開平11−229273号公報記載の方法により製造した。
【0040】
<(b)成分>
(b−1):BHT
(b−2):BHA
(b−3):α−トコフェロール
<(c)成分を含む香料>
(c−1)〜(c−3):表1に示す組成の香料
(c−4):ヘキシルシンナミックアルデヒド50質量%、ジプロピレングリコール50質量%
(c−5):ヘリオトロピン50質量%、ジプロピレングリコール50質量%
(c−6):トリプラール50質量%、ジプロピレングリコール50質量%
<(c’)成分((c)成分の比較品)>
(c’−1):表1に示す組成の香料
【0041】
【表1】

【0042】
<その他成分>
(d−1):炭素数12の飽和アルコールにエチレンオキサイドを平均20モル付加させた非イオン界面活性剤
(d−2):炭素数12〜14の直鎖第一級アルコールに、エチレンオキサイドを平均5モル、プロピレンオキサイドを平均2モル、エチレンオキサイドを平均3モルの順に付加させた非イオン界面活性剤。
(e−1):塩化カルシウム
実施例1〜10及び比較例1〜4
表2に示す各配合成分を用いて、表2に示す柔軟剤組成物を、下記調製方法に従い調製した。得られた柔軟剤組成物の色調の変化、残香性及び香りの変化を下記の方法で評価した。結果を表2に示す。
【0043】
<柔軟剤組成物の調製方法>
300mLビーカーに、柔軟剤組成物の出来あがり質量が200gになるのに必要な量の95%相当量のイオン交換水と(d−1)及び/又は(d−2)、(e−1)を入れ、ウォーターバスで70℃に昇温した。一つの羽根の長さが2cmの攪拌羽根が3枚ついたタービン型の攪拌羽根で攪拌しながら(300r/min)、所要量の(a−1)成分を溶解させた。そのまま5分攪拌後、pH調整剤として塩酸と48%水酸化ナトリウム水溶液を用いて目標のpHに調整し、出来あがり質量にするのに必要な量の70℃のイオン交換水を添加した。その後に、該混合物に(a−2)成分、(b)成分、(c)成分を添加した。その後10分間攪拌し、5℃の水を入れたウォーターバスにビーカーを移し、攪拌しながら混合物を30℃に冷却して、柔軟剤組成物を得た。pHは0.1N塩酸水溶液又は0.1N水酸化ナトリウム水溶液により調整した。表2の柔軟剤組成物では、(a−1−1)は、ほぼすべて酸塩の状態で柔軟剤組成物中に存在する。
【0044】
<評価法>
1)評価用タオルの調製方法
市販木綿タオル(綿100%)2kgを全自動洗濯機(ナショナルNA-F70Eに入れ、市販の弱アルカリ性洗剤(花王(株)製アタックで洗濯後、2回目の濯ぎ時に表2の各柔軟剤組成物を用いて柔軟剤処理を行った(標準コース、洗剤濃度0.00667質量%、柔軟剤量10ml、水道水40L使用、水温20℃)。その後、タオルを25℃、40%RH条件下で自然乾燥した。
【0045】
2)色調変化の評価方法
上記調製法にて各成分を配合した柔軟剤組成物を常温にて50日間保存後、目視により以下の基準で色調変化を評価した。
・色調変化の評価基準
○‥配合直後から色調変化無し
△‥やや色調が変化
×‥著しく色調が変化
3)残香性評価方法
上記処理したタオルの乾燥後の残香性を、10人のパネラー(30代男性10人)により下記の基準で判定し、平均点を求めた。
・残香性の評価基準
3‥残香がある
2‥やや残香がある
1‥僅かに残香がある
0‥残香がない
残香性評価点において、2.2点以上は良い状態であり、2.6点以上は非常に良好である。
【0046】
4)香りの変化の評価法
上記調製法にて各成分を配合した柔軟剤組成物を常温にて50日間保存後、香りの変化を10人のパネラー(30代男性10人)により下記の基準で判定し、平均点を求めた。
・香りの変化評価基準
3‥配合直後と香りが同等
2‥配合直後と比較して若干香りの変化はあるが許容範囲内
1‥配合直後と比較して香りが変化している
0‥配合直後と比較して香りが著しく変化している
香りの変化評価において、2.2点以上は良い状態であり、2.6点以上は非常に良好である。
【0047】
【表2】

【0048】
実施例11〜13及び比較例5〜7
表3に示す各配合成分を用いて、表3に示す柔軟剤組成物を、実施例1と同様に調製した。得られた柔軟剤組成物の色調の変化、残香性及び香りの変化を実施例1と同様の方法で評価した。結果を表3に示す。
【0049】
【表3】


【特許請求の範囲】
【請求項1】
下記(a−1)成分を10〜30質量%及び/又は(a−2)成分を0.5〜20質量%含有し、更に下記(b)成分及び(c)成分を、(b)成分と(c)成分の質量比率が(b)成分/(c)成分=1/500〜1/2、かつ組成物中の(c)成分の含有量が0.001〜2.5質量%となる割合で含有し、組成物の25℃におけるpHが1.5〜5である柔軟剤組成物。
(a)成分:エステル基、アミド基又はエーテル基で分断されていても良い総炭素数14〜26の炭化水素基を少なくとも一つ有する3級アミン又はその酸塩もしくはその4級化物(a−1)及びシリコーン化合物(a−2)から選ばれる少なくとも1種
(b)成分:酸化防止剤
(c)成分:アルデヒド系香料
【請求項2】
(b)成分が、ブチル化ヒドロキシトルエン(BHT)、ブチル化ヒドロキシアニソール(BHA)、α−トコフェロール、γ−トコフェロール及びδ−トコフェロールから選ばれる少なくとも1種である請求項1記載の柔軟剤組成物。
【請求項3】
(c)成分のアルデヒド系香料が、ヘキシルシンナミックアルデヒド、マイラックアルデヒド、アニスアルデヒド、ヘリオナール、アミルシンナミックアルデヒド、シクラメンアルデヒド、エチルバニリン、ヘリオトロピン及びリリアールから選ばれる少なくとも1種である請求項1又は2記載の柔軟剤組成物。

【公開番号】特開2010−37691(P2010−37691A)
【公開日】平成22年2月18日(2010.2.18)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−203866(P2008−203866)
【出願日】平成20年8月7日(2008.8.7)
【出願人】(000000918)花王株式会社 (8,290)
【Fターム(参考)】