柱状体の接合構造
【課題】 キーの抜け出し防止を短時間で容易に行うことができ、たとえ鋼管と建て込み用治具の場合であっても、その建て込み用治具を何度も支障なく使用することのできる柱状体の接合構造。
【解決手段】 隣接する柱状体1,2に軸状継手部7と筒状継手部9が設けられ、筒状継手部9を軸状継手部7に外嵌して外側からキー16を差し込んで接合することで、両柱状体1,2が同一軸心L上で抜き差し不能に接合される柱状体の接合構造で、キー16の抜け出しを防止するピン17が、保持穴19に非回転状態で抜き差し可能に構成され、保持穴19がキー16の抜き差し方向に直交する状態で軸状継手部7と筒状継手部9の一方に設けられるか、キー16の抜け出しを防止する突っ張り部材が、キー16の抜き差し方向に沿った状態でキー16と筒状継手部9との間に取り外し自在に介在されている。
【解決手段】 隣接する柱状体1,2に軸状継手部7と筒状継手部9が設けられ、筒状継手部9を軸状継手部7に外嵌して外側からキー16を差し込んで接合することで、両柱状体1,2が同一軸心L上で抜き差し不能に接合される柱状体の接合構造で、キー16の抜け出しを防止するピン17が、保持穴19に非回転状態で抜き差し可能に構成され、保持穴19がキー16の抜き差し方向に直交する状態で軸状継手部7と筒状継手部9の一方に設けられるか、キー16の抜け出しを防止する突っ張り部材が、キー16の抜き差し方向に沿った状態でキー16と筒状継手部9との間に取り外し自在に介在されている。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、軸心方向で互いに隣接する一方の柱状体に軸状継手部が設けられ、他方の柱状体に前記軸状継手部に外嵌自在な筒状継手部が設けられ、その筒状継手部を前記軸状継手部に外嵌し、前記筒状継手部の外側から抜き差し自在なキーを両継手部間に差し込んで両継手部を接合することにより、両柱状体がほぼ同一軸心上に位置して互いに抜き差し不能に接合される柱状体の接合構造に関する。
【背景技術】
【0002】
このような接合構造は、杭または矢板として地中に建て込まれる鋼管(柱状体の一例)と、その鋼管を地中に建て込む際に使用する建て込み用治具(柱状体の一例)との間での接合、あるいは、地中に建て込まれる鋼管どうしの接合などに採用されるもので、従来、一方の柱状体に設けられた軸状継手部に他方の柱状体に設けられた筒状継手部を外嵌し、筒状継手部の外側から両継手部間にキーを差し込んだ後、例えば、筒状継手部に螺合するボルトを使用して、キーの抜け出しを防止するように構成したものが知られている(例えば、特許文献1参照)。
【0003】
【特許文献1】特開2004−84251号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところが、キーの抜け出し防止をボルトにより行う場合、ボルトの螺合に時間がかかってキーの抜け出し防止作業に時間を要するという問題点があり、さらに、上述した鋼管と建て込み用治具の場合であれば、建て込み用治具については何度も繰り返して使用するため、その度にキーの抜き差し作業に時間を要し、しかも、使用するボルトの雄ねじやそのボルトが螺合する雌ねじが潰れて回転操作不能になる可能性もあり、この点に改良の余地があった。
【0005】
本発明は、このような従来の問題点に着目したもので、その目的は、キーの抜け出し防止を短時間で容易に行うことができ、たとえ鋼管と建て込み用治具の場合であっても、その建て込み用治具を何度も支障なく使用することのできる柱状体の接合構造を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の第1の特徴構成は、軸心方向で互いに隣接する一方の柱状体に軸状継手部が設けられ、他方の柱状体に前記軸状継手部に外嵌自在な筒状継手部が設けられ、その筒状継手部を前記軸状継手部に外嵌し、前記筒状継手部の外側から抜き差し自在なキーを両継手部間に差し込んで両継手部を接合することにより、両柱状体がほぼ同一軸心上に位置して互いに抜き差し不能に接合される柱状体の接合構造であって、前記キーの抜け出しを防止するピンが、そのピンを保持する保持穴に対して非回転状態で抜き差し可能に構成され、前記保持穴が前記軸状継手部と筒状継手部のいずれか一方に設けられているところにある。
【0007】
本発明の第1の特徴構成によれば、一方の柱状体に設けられた軸状継手部に他方の柱状体に設けられた筒状継手部を外嵌し、筒状継手部の外側から抜き差し自在なキーを両継手部間に差し込んで両継手部を接合した後、そのキーの抜け出しを防止するピンが、ピンを保持する保持穴に対して非回転状態で抜き差し可能に構成されているので、つまり、ボルトのように螺合するものではなく、回転することなく抜き差しできるピンであるから、キーの抜け出し防止を短時間で容易に行うことができ、たとえ鋼管と建て込み用治具の場合のように、キーの抜き差しを何度も繰り返す場合であっても、キーの抜け出し防止と解除を何度も支障なく行うことができる。
そして、ピンを保持する保持穴が、軸状継手部と筒状継手部のいずれか一方に設けられているので、その保持穴にピンを差し込むことにより、ピンによるキーの抜け出し防止は確実なものとなり、キーの抜け出し防止を短時間で容易に行えるにもかかわらず、不用意なキーの抜け出しを確実に防止することができる。
【0008】
本発明の第2の特徴構成は、前記キーが前記軸状継手部の外周に設けられた軸側キー溝と前記筒状継手部の内周に設けられた筒側キー溝にわたって抜き差し自在に設けられているところにある。
【0009】
本発明の第2の特徴構成によれば、前記キーが軸状継手部の外周に設けられた軸側キー溝と筒状継手部の内周に設けられた筒側キー溝にわたって抜き差し自在に設けられているので、軸側キー溝と筒側キー溝にわたってキーを差し込むことにより、両柱状体を抜き差し不能な状態に強固に接合することができる。
【0010】
本発明の第3の特徴構成は、前記キーが左右一対のキーで構成され、左側のキーが前記筒状継手部に設けられた開口部から左側へ差し込み自在に、右側のキーが前記開口部から右側へ差し込み自在に構成され、その左右一対のキーに対応して前記保持穴とピンも左右一対ずつ設けられているところにある。
【0011】
本発明の第3の特徴構成によれば、前記キーが左右一対のキーで構成され、左側のキーが筒状継手部に設けられた開口部から左側へ差し込み自在に、右側のキーが前記開口部から右側へ差し込み自在に構成されているので、軸側キー溝と筒側キー溝にわたって2本のキーを差し込むことにより、両柱状体を一層強固に抜き差し不能に接合することができるとともに、その左右一対のキーに対応して保持穴とピンも左右一対ずつ設けられているので、各キーの抜け出し防止も確実なものとなる。
それに加えて、筒状継手部に設けられた開口部を有効に利用して、その開口部に保持穴を設け、かつ、保持穴に差し込んだピンが開口部内に収まるように構成することもでき、その場合には、ピンが筒状継手部の外周面から突出せず、したがって、上述した鋼管と建て込み用治具のように、両者を接合して回転させながら地中に建て込むような場合でも、ピンが回転の邪魔になるようなことがなく、円滑に回転させて建て込むことができる。
【0012】
本発明の第4の特徴構成は、前記左右一対のピンのそれぞれが、各ピンの軸心から側方に延出する延出片を備え、それら各ピンを各保持穴に差し込んで回動させることで、両ピンの延出片が互いに近接するように構成されているところにある。
【0013】
本発明の第4の特徴構成によれば、左右一対のピンのそれぞれが、各ピンの軸心から側方に延出する延出片を備えているので、その延出片を利用することによって、保持穴に対するピンの抜き差し作業を容易に行うことができる。
そして、それら各ピンを各保持穴に差し込んで回動させることで、両ピンの延出片が互いに近接するように構成されているので、例えば、両延出片を近接させ、かつ、互いに回動不能に連結することにより、ピンの抜け出し防止を一層確実に行うことができる。
【0014】
本発明の第5の特徴構成は、軸心方向で互いに隣接する一方の柱状体に軸状継手部が設けられ、他方の柱状体に前記軸状継手部に外嵌自在な筒状継手部が設けられ、その筒状継手部を前記軸状継手部に外嵌し、前記筒状継手部の外側から抜き差し自在なキーを両継手部間に差し込んで両継手部を接合することにより、両柱状体がほぼ同一軸心上に位置して互いに抜き差し不能に接合される柱状体の接合構造であって、前記キーの抜け出しを防止する突っ張り部材が、前記キーと筒状継手部との間に取り外し自在に介在されているところにある。
【0015】
本発明の第5の特徴構成によれば、一方の柱状体に設けられた軸状継手部に他方の柱状体に設けられた筒状継手部を外嵌し、筒状継手部の外側から抜き差し自在なキーを両継手部間に差し込んで両継手部を接合した後、そのキーの抜け出しを防止する突っ張り部材が、キーと筒状継手部との間に取り外し自在に介在されているので、この場合にも、ボルトのように螺合させる必要がなく、第1の特徴構成に関連して記述したように、キーの抜け出し防止を短時間で容易に行うことができ、たとえキーの抜き差しを何度も繰り返す場合であっても、キーの抜け出し防止と解除を何度も支障なく行うことができる。
【0016】
本発明の第6の特徴構成は、前記キーが前記軸状継手部の外周に設けられた軸側キー溝と前記筒状継手部の内周に設けられた筒側キー溝にわたって抜き差し自在に構成されるとともに、そのキーが左右一対のキーで構成され、左側のキーが前記筒状継手部に設けられた開口部から左側へ差し込み自在に、右側のキーが前記開口部から右側へ差し込み自在に構成され、前記突っ張り部材がキー溝に差し込んだ左右一対のキーの間に介在されているところにある。
【0017】
本発明の第6の特徴構成によれば、前記キーが軸状継手部の外周に設けられた軸側キー溝と筒状継手部の内周に設けられた筒側キー溝にわたって抜き差し自在に構成されているので、第2の特徴構成に関連して記述したように、軸側キー溝と筒側キー溝にわたってキーを差し込むことにより、両柱状体を抜き差し不能な状態に強固に接合することができ、しかも、そのキーが左右一対のキーで構成され、左側のキーが筒状継手部に設けられた開口部から左側へ差し込み自在に、右側のキーが前記開口部から右側へ差し込み自在に構成されているので、第3の特徴構成に関連して記述したように、軸側キー溝と筒側キー溝にわたって2本のキーを差し込んで両柱状体を強固に接合することができる。
そして、突っ張り部材がキー溝に差し込んだ左右一対のキーの間に介在されているので、この場合にも、キーの抜け出しを防止する突っ張り部材を筒状継手部の開口部内に収めることが可能となり、上述した鋼管と建て込み用治具の場合であっても、円滑に地中に建て込むことができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0018】
本発明による柱状体の接合構造につき、その実施の形態を図面に基づいて説明する。
この柱状体の接合構造は、例えば、図1に示すように、杭または矢板として地中に建て込まれる柱状体の一例である円形の鋼管1と、その鋼管1を地中に建て込む際に使用する柱状体の一例である円形の建て込み用治具2とをほぼ同一の軸心L上に位置させて互いに抜き差し不能に接合するためのものである。
そのため、鋼管1の上端には、軸状継手3が溶接により接続され、建て込み用治具2の下端には、軸状継手3に外嵌自在な筒状継手4が一体的に形成され、または、別個に形成されて溶接により接続され、鋼管1の外周には、吊り下げ用の孔5aを有する吊り下げ用金具5が一対突設され、建て込み用治具2の外周には、図外の杭施工機からの回転力を受ける回転用金具6が一対突設されて、各回転用金具6にも吊り下げ用の孔6aが設けられている。
【0019】
鋼管1に接続される軸状継手3は、鋳造や鍛造により、あるいは、鋼管を機械加工することにより形成されていて、その下方部は鋼管1とほぼ同じ外径を有する円筒状に構成され、その上方部は鋼管1の外径よりも径の小さな円筒状の軸状継手部7に構成され、その軸状継手部7の外周には、図2や図3に詳細に示すように、断面形状が矩形の軸側キー溝8が、その全周にわたって連続的に設けられている。
建て込み用治具2に接続される筒状継手4も、建て込み用治具2と一体的または別個に鋳造や鍛造により、あるいは、鋼管を機械加工することにより形成され、その下端部は軸状継手部7に外嵌する筒状継手部9に構成されて、その筒状継手部9の内周には、軸状継手部7の軸側キー溝8に対応する状態で、断面形状が矩形の筒側キー溝10が設けられている。
【0020】
筒状継手部9には、筒側キー溝10とほぼ同じか多少大きな上下幅を有して継手部9の壁を内外方向に貫通する開口部11が、例えば、外周方向に等間隔に合計4つ設けられ、前記筒側キー溝10が、各開口部11の間に位置するように筒状継手部9の内周に設けられている。さらに、その筒状継手部9の外周には、各開口部11の間に位置して合計4つの回り止め用の筒側凹入部12が設けられ、軸状継手3の下方円筒部の外周にも、各筒側凹入部12に対応して、合計4つの回り止め用の軸側凹入部13が設けられている。
そして、筒状継手4側の筒側凹入部12と軸状継手3側の軸側凹入部13に跨って回り止めキー14を嵌入し、ボルト15などで固定することにより、筒状継手4と軸状継手3との相対回転が阻止されて、杭施工機からの回転力が、筒状継手4を介して軸状継手3側に伝達されるように構成されている。
【0021】
以上が概ね各実施形態に共通する構成であり、以下、第1の実施形態を図1〜図4に基づいて、第1の実施形態の改良構成を図5〜図9に基づいて、第2の実施形態を図10および図11に基づいてそれぞれ説明し、さらに、各実施形態の改変構成などについて言及する。
ただし、重複説明を避けるため、先に説明した構成や同じような作用を有する構成については、同じ符号を付すことによりその説明を省略し、主として各実施形態などにおける独特の構成について説明する。
【0022】
(第1の実施形態)
第1の実施形態では、図1および図2に示すように、筒状継手部9の各開口部11から軸状継手部7の軸側キー溝8と筒状継手部9の筒側キー溝10にわたって抜き差し自在に形成された頭付きキー16が、左右一対のキー16a,16b、つまり、左側のキー16aと右側のキー16bにより構成されている。
具体的には、筒状継手部9を軸状継手部7に外嵌した状態で、左側のキー16aは開口部11から左側へ差し込み自在に、また、右側のキー16bは開口部11から右側へ差し込み自在に構成されていて、各キー16a,16bを差し込んだ状態で、各キー16a,16bの抜け出しを防止するピン17が設けられている。
【0023】
このピン17も、左右一対のキー16a,16bに対応して、左側のピン17aと右側のピン17bにより構成され、各ピン17a,17bには、ピンの軸心からほぼ直交する方向に側方へ延出するL字状の延出片18がそれぞれ一体的に設けられ、各延出片18の先端近くには貫通孔18aが設けられている。
このピン17は、ピン17を保持する保持穴19に対して非回転状態で抜き差し可能に構成され、言い換えると、ボルトとボルト穴のように回転に伴う螺合によって抜き差しするものではなく、回転は可能であるが、回転しなくとも保持穴19に対して抜き差し可能なように構成されている。
【0024】
左右一対のピン17a,17bに対応して、保持穴19も左側の保持穴19aと右側の保持穴19bにより構成されていて、各保持穴19a,19bは、図2(イ)や図4においてAで示すキー16の抜き差し方向にほぼ直交する方向B(図3(ロ)や図4参照)に向けて筒状継手部9に設けられている。
具体的には、左側の保持穴19aは左側のキー16aの頭部に対応し、右側の保持穴19bは右側のキー16bの頭部に対応するように、筒状継手部9の開口部11における下方の面から下に向けて設けられている。
そして、筒状継手部9の外周には、各保持穴19a,19bに対応して、つまり、キー16の抜き差し方向Aに直交する方向Bに沿って、左右一対の凹入部20a,20bが、開口部11から上方へ連続する状態で設けられている。
【0025】
つぎに、鋼管1と建て込み用治具2とを互いに接合する手順について説明すると、図外のクレーンなどを使用して、例えば、建て込み用治具2を吊り下げ保持しながら、建て込み用治具2側の筒状継手部9を鋼管1側の軸状継手部7に外嵌し、回り止め用の筒側凹入部12と軸側凹入部13とが互いに対向するように位置合わせを行う。
この嵌合状態において、軸状継手部7の軸側キー溝8と筒状継手部9の筒側キー溝10とが互いに対向するように設定されているので、上述したように、左側のキー16aを開口部11から左側へ差し込み、右側のキー16bを開口部11から右側へ差し込んで、図2(イ)や図3(イ)に示すように、両キー16a,16bを両キー溝8,10にわたって差し込む。
それによって、鋼管1と建て込み用治具2とが、ほぼ同一の軸心L上に位置して互いに抜き差し不能に接合される。
【0026】
その状態で、図3(ロ)に示すように、各ピン17a,17bを対応する凹入部20a,20b内に位置させ、かつ、下方へ移動させて、図2(ロ)や図3(ハ)に示すように、各ピン17a,17bを対応する保持穴19a,19bに差し込む。その後、図3(ニ)に示すように、各ピン17a,17bを少し回動させて、各ピン17a,17bの延出片18を開口部11内において互いに近接させ、図2(ハ)や図4に示すように、両延出片18の貫通孔18a間にワイヤ21を挿入して結ぶ。
それによって、両ピン17a,17bは、各延出片18を開口部11内に位置させた状態で互いに回動が阻止されるので、各ピン17a,17bの保持穴19a,19bからの抜け出しが阻止され、その結果、各キー16a,16bのキー溝8,10からの抜け出しが防止される。
【0027】
そして、互いに対向している筒側凹入部12と軸側凹入部13にも、両凹入部12,13を跨ぐように回り止めキー14を嵌入しボルト15により固定して、筒状継手部9と軸状継手部7との相対回転、換言すると、建て込み用治具2と鋼管1との相対回転を阻止して、両者の接合作業を完了する。
その後、鋼管1の吊り下げ用金具5を使用して、クレーンなどで鋼管1と建て込み用治具2を吊り下げて所定の位置に保持し、図外の杭施工機により鋼管1を回転させながら地中に建て込むのであり、必要な場合には、同じ作業を繰り返して、複数本の鋼管1を互いに接続しながら順次建て込むのである。
【0028】
以上詳述した第1の実施形態では、図2(ハ)や図4から明らかなように、左右一対のピン17a,17bにより両キー16a,16bの抜け出しを防止した状態で、各ピン17a,17bから延出する延出片18の先端が、筒状継手部9の外周から外側へ突出することになる。
筒状継手部9外周からの延出片18の突出を回避するには、例えば、延出片18の形状を変えることで可能となるが、そのような改良構成の一例を示すのが、図5および図6に開示の実施形態である。
【0029】
この改良構成に係る実施形態でも、左右一対のピン17a,17bが、ピンの軸心からほぼ直交する方向に側方へ延出するL字状の延出片22を備えているが、第1の実施形態における延出片18とは異なり、各延出片22の先端部がピン17a,17bの軸心に沿って下方に延びており、他方、筒状継手部9の外周には、延出片22の先端部を収容する延出片用凹部23が、開口部11に連続して下方へ向けて設けられている。
したがって、この実施形態によれば、各ピン17a,17bの延出片22を互いに近接させ、両延出片22の貫通孔22a間にワイヤ21を挿入して結んだ状態で、両延出片22の先端部を延出片用凹部23内に収容することにより、各ピン17a,17bと延出片22が、筒状継手部9の外周より内側に完全に収納される。
なお、この実施形態において、延出片22の先端部をピン17a,17bの軸心に沿って上方へ延出し、延出片用凹部23を開口部11から上方に向けて設けることもでき、いずれにせよ、鋼管1と建て込み用治具2とを互いに接合する手順などについては、第1の実施形態と特に変わるところはない。
【0030】
以上詳述した第1の実施形態とその改良構成に係る実施形態は、主として鋼管1を回転させながら地中に建て込む「回転圧入工法」での使用に適した構成であり、施工中に強い衝撃力や振動が加わる「打撃・振動工法」で使用する場合には、接合構造部における耐力向上のために多少の改良を加えるのが好ましく、その改良構成の一例を図7および図8に基づいて説明する。
この改良構成に係る実施形態では、建て込み用治具2と筒状継手4が一体的に形成され、かつ、建て込み用治具2と筒状継手4の肉厚が、強い衝撃力や振動に対して十分に耐え得るように厚くされ、そのため、筒状継手部9を含む筒状継手4の外径が、軸状継手3の下方部の外径、換言すると、鋼管1の外径よりもかなり大きな外径を有するように構成されている。
【0031】
それに加えて、キー16についても、図1〜図6に示した実施形態のものと比較して、その長さCが長く、および/または、上下方向の高さDが高く、および/または、横方向の幅Eが広く、それによって上下方向および横方向における面積の大きなキー16が使用され、キー16の支圧耐力を向上させることにより、キー16の磨耗や損傷を抑制するように構成されている。
また、ピン17に関しては、強い衝撃力や振動に伴うキー16の抜け出しを確実に防止するため、大径部Fと小径部Gからなる段付きのピン17が使用される。すなわち、小径部Gが、図1〜図6に示したピン17よりも大径に構成され、その小径部Gよりも径の大きな大径部Fによりキー16の抜け出しを防止するように構成されている。
【0032】
さらに、強い衝撃力や振動による接合構造部への影響を少しでも緩和するため、建て込み用治具2の長さを長くし、または、図8に示すように、建て込み用治具2の上部に鋼管Hを溶接により接続して、建て込み用治具2の長さを実質的に長くしてある。このように建て込み用治具2を長くすることにより、施工中に加わる衝撃の力点を接合構造部から離すことができ、接合構造部への荷重の集中や熱の伝達を抑制することができる。
そして、軸状継手部7上端のほぞIに加えて、筒状継手部9の下端にもほぞJを設けることにより、横方向の振動に対しても十分に耐え得るように構成されている。
なお、この図7および図8に示した実施形態においても、図5および図6に示したような延出片22を有するピン17を使用して、その延出片22が筒状継手部9の外周から外側へ突出しないように構成することは当然のことながら可能である。
【0033】
ただし、図7および図8に示した実施形態では、地盤の条件によっては、打撃・振動工法による建て込み施工によって、軸状継手部7側の軸側キー溝8が損傷し、さらに、その損傷部分が外側へ膨出する可能性がある。ところが、この軸側キー溝8は、建て込み施工後において、その上方に接合される別の鋼管1の筒状継手部に設けられた筒側キー溝と協働して、両鋼管1の抜け止めに寄与するものであるから、軸側キー溝8が損傷すると、両鋼管1の抜け止めが不確実になり、さらに、損傷部分が外側へ膨出すると、別の鋼管1の筒状継手部を軸状継手部7に外嵌することさえむずかしくなる可能性もある。
そのような危惧を回避するために、例えば、図9に示すように、軸状継手部7に対して、建て込み用治具2における筒状継手部9の筒側キー溝10に対応する軸側キー溝8とは別に、上方に接合される別の鋼管1における筒状継手部の筒側キー溝に対応する軸側キー溝Kを軸側キー溝8よりも上方に予め設けておくこともできる。この場合には、たとえ軸側キー溝8が損傷し、かつ、外側へ膨出しても、別の鋼管1の筒状継手部を軸状継手部7に確実に外嵌することができ、かつ、上方に位置する軸側キー溝Kを使用して、両鋼管1の抜け止めを確実に行うことができる。
【0034】
(第2の実施形態)
第2の実施形態では、図10および図11に示すように、第1の実施形態と同様、筒状継手部9に開口部11が設けられ、軸側キー溝8と筒側キー溝10にわたって抜き差し自在に形成された頭付きキー16も、左右一対のキー16a,16bにより構成されている。
第1の実施形態と異なるのは、第1の実施形態が左右一対のピン17a,17bにより各キー16a,16bの抜け出しを防止していたのに対し、第2の実施形態では、ピン17a,17bに代えて突っ張り部材24が使用され、その突っ張り部材24によって各キー16a,16bの抜け出しを防止している点である。
【0035】
この突っ張り部材24は、平面視においてL字状に形成された左右一対の突っ張り部材24a,24bにより構成され、左側の突っ張り部材24aには、左側のキー16aの頭部に形成された断面半円形の縦溝25aに嵌合する断面円形の棒状体からなる回動体26が一体的に設けられ、回動体26と反対側の端部近くには貫通孔27が設けられている。
同様に、右側の突っ張り部材24bには、右側のキー16bの頭部に形成された断面半円形の縦溝25bに嵌合する断面円形の棒状体からなる回動体26が一体的に設けられ、かつ、貫通孔27も設けられている。
【0036】
この第2の実施形態において、鋼管1と建て込み用治具2とを互いに接合する手順は、 左右のキー16a,16bを軸状継手部7の軸側キー溝8と筒状継手部9の筒側キー溝10とにわたって差し込むところまで第1の実施形態と変わるところはない。
その後、第2の実施形態では、図11に示すように、各突っ張り部材24a,24bの回動体26を対応するキー16a,16bの縦溝25a,25b内に位置させて、突っ張り部材24a,24bの先端部が互いに近接するように回動させ、両突っ張り部材24a,24bの貫通孔27間にワイヤ21を挿入して結ぶ。
【0037】
それによって、両突っ張り部材24a,24bは、キー16の抜き差し方向Aにほぼ沿った直線状となって、左右一対のキー16a,16bの間に介在される。
したがって、例えば、左右一対のキー16a,16bのうち、いずれか一方に抜け出し方向への力が作用しても、両突っ張り部材24a,24bによる突っ張り作用によって抜け出しが阻止されるので、各キー16a,16bのキー溝8,10からの抜け出しが防止される。
この第2の実施形態によれば、突っ張り部材24を使用してキー16の抜け出しを防止するため、第1の実施形態において不可欠であった保持穴19a,19bや凹入部20a,20bなどを筒状継手部9に設ける必要はない。
【0038】
〔別実施形態〕
(1)第1と第2の実施形態では、キー16を左右一対のキー16a,16b、つまり、2本のキー16a,16bにより構成した例を示したが、1本のキー16で構成することもできる。
その場合、第1の実施形態では、キー16の抜け出しを防止するピン17は1本でよく、したがって、ピン17を保持する保持穴19もひとつだけ設ければよい。また、第2の実施形態では、1本のキー16と筒状継手部9との間に突っ張り部材24を取り外し自在に介在させることになる。
【0039】
さらに、第1と第2の実施形態では、軸状継手部7の軸側キー溝8と筒状継手部9の筒側キー溝10とにわたってキー16を抜き差しする構成を示したが、第1の実施形態では、軸状継手部7側にのみキー溝8を設けて実施することもでき、その実施形態を示したのが図12および図13である。
この別の実施形態では、筒状継手部9にキー収納用の凹部28が設けられ、その凹部28内に筒側キー溝10に代わるスリット29が穿設されている。他方、キー16の方は、凹部28に収納可能な彎曲板状のキー保持部材30に一体的に突設され、キー16がスリット29を貫通して軸側キー溝8内に差し込まれた状態で、キー保持部材30が筒状継手部9の凹部28内に収納されるように設定されている。
この別の実施形態では、キーの抜き差し方向Aが筒状継手部9の径方向となり、その抜き差し方向Aに直交する方向Bに沿って設けられた保持穴19に保持されたピン17によりキー16の抜け出しが防止される。
【0040】
また、第1の実施形態では、ピン17を保持する保持穴19を筒状継手部9側に設けた例を示したが、例えば、図14および図15に示すように、軸状継手部7側に保持穴19を設けて、その保持穴19に差し込んだピン17によりキー16の抜け出しを防止するように構成することもできる。
【0041】
(2)第2の実施形態では、突っ張り部材24を左右一対の突っ張り部材24a,24bにより構成した例を示したが、単一の突っ張り部材24により左右一対のキー16a,16bの抜け出しを防止することもできる。
例えば、図16に示すように、突っ張り部材24を単一のバネ材により形成し、バネ材の弾性力を有効に利用して両キー16a,16bの抜け出しを防止するように構成することも、図17に示すように、突っ張り部材24を単一のブロックにより形成し、両キー16a,16bの間にそのブロック状の突っ張り部材24を介在させて両キー16a,16bの抜け出しを防止するように構成することができる。
【0042】
その他、これまでの実施形態では、互いに抜き差し不能に接合する柱状体の例として、地中に建て込む鋼管1と建て込み用治具2を示したが、鋼管1どうしの接合にも適用することができる。
【図面の簡単な説明】
【0043】
【図1】第1の実施形態による柱状体の接合構造を示す分解斜視図
【図2】第1の実施形態による接合構造の要部を示す横断平面図
【図3】第1の実施形態による接合構造の要部を示す縦断側面図
【図4】第1の実施形態による接合構造の要部を示す斜視図
【図5】第1の実施形態の改良構成の要部を示す分解斜視図
【図6】第1の実施形態の改良構成の要部を示す横断平面図
【図7】第1の実施形態の改良構成の要部を示す分解斜視図
【図8】第1の実施形態の改良構成の要部を示す縦断側面図
【図9】第1の実施形態の改良構成の要部を示す縦断側面図
【図10】第2の実施形態による接合構造の要部を示す分解斜視図
【図11】第2の実施形態による接合構造の要部を示す横断平面図
【図12】別の実施形態による接合構造の要部を示す分解斜視図
【図13】別の実施形態による接合構造の要部を示す縦断側面図
【図14】別の実施形態による接合構造の要部を示す分解斜視図
【図15】別の実施形態による接合構造の要部を示す横断平面図
【図16】別の実施形態による接合構造の要部を示す横断平面図
【図17】別の実施形態による接合構造の要部を示す一部切欠き正面図
【符号の説明】
【0044】
1,2 柱状体
7 軸状継手部
8 軸側キー溝
9 筒状継手部
10 筒側キー溝
11 開口部
16 キー
16a 左側のキー
16b 右側のキー
17 ピン
17a 左側のピン
17b 右側のピン
18,22 延出片
19 保持穴
19a 左側の保持穴
19b 右側の保持穴
24 突っ張り部材
A キーの抜き差し方向
B キーの抜き差し方向に直交する方向
L 柱状体の軸心
【技術分野】
【0001】
本発明は、軸心方向で互いに隣接する一方の柱状体に軸状継手部が設けられ、他方の柱状体に前記軸状継手部に外嵌自在な筒状継手部が設けられ、その筒状継手部を前記軸状継手部に外嵌し、前記筒状継手部の外側から抜き差し自在なキーを両継手部間に差し込んで両継手部を接合することにより、両柱状体がほぼ同一軸心上に位置して互いに抜き差し不能に接合される柱状体の接合構造に関する。
【背景技術】
【0002】
このような接合構造は、杭または矢板として地中に建て込まれる鋼管(柱状体の一例)と、その鋼管を地中に建て込む際に使用する建て込み用治具(柱状体の一例)との間での接合、あるいは、地中に建て込まれる鋼管どうしの接合などに採用されるもので、従来、一方の柱状体に設けられた軸状継手部に他方の柱状体に設けられた筒状継手部を外嵌し、筒状継手部の外側から両継手部間にキーを差し込んだ後、例えば、筒状継手部に螺合するボルトを使用して、キーの抜け出しを防止するように構成したものが知られている(例えば、特許文献1参照)。
【0003】
【特許文献1】特開2004−84251号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところが、キーの抜け出し防止をボルトにより行う場合、ボルトの螺合に時間がかかってキーの抜け出し防止作業に時間を要するという問題点があり、さらに、上述した鋼管と建て込み用治具の場合であれば、建て込み用治具については何度も繰り返して使用するため、その度にキーの抜き差し作業に時間を要し、しかも、使用するボルトの雄ねじやそのボルトが螺合する雌ねじが潰れて回転操作不能になる可能性もあり、この点に改良の余地があった。
【0005】
本発明は、このような従来の問題点に着目したもので、その目的は、キーの抜け出し防止を短時間で容易に行うことができ、たとえ鋼管と建て込み用治具の場合であっても、その建て込み用治具を何度も支障なく使用することのできる柱状体の接合構造を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の第1の特徴構成は、軸心方向で互いに隣接する一方の柱状体に軸状継手部が設けられ、他方の柱状体に前記軸状継手部に外嵌自在な筒状継手部が設けられ、その筒状継手部を前記軸状継手部に外嵌し、前記筒状継手部の外側から抜き差し自在なキーを両継手部間に差し込んで両継手部を接合することにより、両柱状体がほぼ同一軸心上に位置して互いに抜き差し不能に接合される柱状体の接合構造であって、前記キーの抜け出しを防止するピンが、そのピンを保持する保持穴に対して非回転状態で抜き差し可能に構成され、前記保持穴が前記軸状継手部と筒状継手部のいずれか一方に設けられているところにある。
【0007】
本発明の第1の特徴構成によれば、一方の柱状体に設けられた軸状継手部に他方の柱状体に設けられた筒状継手部を外嵌し、筒状継手部の外側から抜き差し自在なキーを両継手部間に差し込んで両継手部を接合した後、そのキーの抜け出しを防止するピンが、ピンを保持する保持穴に対して非回転状態で抜き差し可能に構成されているので、つまり、ボルトのように螺合するものではなく、回転することなく抜き差しできるピンであるから、キーの抜け出し防止を短時間で容易に行うことができ、たとえ鋼管と建て込み用治具の場合のように、キーの抜き差しを何度も繰り返す場合であっても、キーの抜け出し防止と解除を何度も支障なく行うことができる。
そして、ピンを保持する保持穴が、軸状継手部と筒状継手部のいずれか一方に設けられているので、その保持穴にピンを差し込むことにより、ピンによるキーの抜け出し防止は確実なものとなり、キーの抜け出し防止を短時間で容易に行えるにもかかわらず、不用意なキーの抜け出しを確実に防止することができる。
【0008】
本発明の第2の特徴構成は、前記キーが前記軸状継手部の外周に設けられた軸側キー溝と前記筒状継手部の内周に設けられた筒側キー溝にわたって抜き差し自在に設けられているところにある。
【0009】
本発明の第2の特徴構成によれば、前記キーが軸状継手部の外周に設けられた軸側キー溝と筒状継手部の内周に設けられた筒側キー溝にわたって抜き差し自在に設けられているので、軸側キー溝と筒側キー溝にわたってキーを差し込むことにより、両柱状体を抜き差し不能な状態に強固に接合することができる。
【0010】
本発明の第3の特徴構成は、前記キーが左右一対のキーで構成され、左側のキーが前記筒状継手部に設けられた開口部から左側へ差し込み自在に、右側のキーが前記開口部から右側へ差し込み自在に構成され、その左右一対のキーに対応して前記保持穴とピンも左右一対ずつ設けられているところにある。
【0011】
本発明の第3の特徴構成によれば、前記キーが左右一対のキーで構成され、左側のキーが筒状継手部に設けられた開口部から左側へ差し込み自在に、右側のキーが前記開口部から右側へ差し込み自在に構成されているので、軸側キー溝と筒側キー溝にわたって2本のキーを差し込むことにより、両柱状体を一層強固に抜き差し不能に接合することができるとともに、その左右一対のキーに対応して保持穴とピンも左右一対ずつ設けられているので、各キーの抜け出し防止も確実なものとなる。
それに加えて、筒状継手部に設けられた開口部を有効に利用して、その開口部に保持穴を設け、かつ、保持穴に差し込んだピンが開口部内に収まるように構成することもでき、その場合には、ピンが筒状継手部の外周面から突出せず、したがって、上述した鋼管と建て込み用治具のように、両者を接合して回転させながら地中に建て込むような場合でも、ピンが回転の邪魔になるようなことがなく、円滑に回転させて建て込むことができる。
【0012】
本発明の第4の特徴構成は、前記左右一対のピンのそれぞれが、各ピンの軸心から側方に延出する延出片を備え、それら各ピンを各保持穴に差し込んで回動させることで、両ピンの延出片が互いに近接するように構成されているところにある。
【0013】
本発明の第4の特徴構成によれば、左右一対のピンのそれぞれが、各ピンの軸心から側方に延出する延出片を備えているので、その延出片を利用することによって、保持穴に対するピンの抜き差し作業を容易に行うことができる。
そして、それら各ピンを各保持穴に差し込んで回動させることで、両ピンの延出片が互いに近接するように構成されているので、例えば、両延出片を近接させ、かつ、互いに回動不能に連結することにより、ピンの抜け出し防止を一層確実に行うことができる。
【0014】
本発明の第5の特徴構成は、軸心方向で互いに隣接する一方の柱状体に軸状継手部が設けられ、他方の柱状体に前記軸状継手部に外嵌自在な筒状継手部が設けられ、その筒状継手部を前記軸状継手部に外嵌し、前記筒状継手部の外側から抜き差し自在なキーを両継手部間に差し込んで両継手部を接合することにより、両柱状体がほぼ同一軸心上に位置して互いに抜き差し不能に接合される柱状体の接合構造であって、前記キーの抜け出しを防止する突っ張り部材が、前記キーと筒状継手部との間に取り外し自在に介在されているところにある。
【0015】
本発明の第5の特徴構成によれば、一方の柱状体に設けられた軸状継手部に他方の柱状体に設けられた筒状継手部を外嵌し、筒状継手部の外側から抜き差し自在なキーを両継手部間に差し込んで両継手部を接合した後、そのキーの抜け出しを防止する突っ張り部材が、キーと筒状継手部との間に取り外し自在に介在されているので、この場合にも、ボルトのように螺合させる必要がなく、第1の特徴構成に関連して記述したように、キーの抜け出し防止を短時間で容易に行うことができ、たとえキーの抜き差しを何度も繰り返す場合であっても、キーの抜け出し防止と解除を何度も支障なく行うことができる。
【0016】
本発明の第6の特徴構成は、前記キーが前記軸状継手部の外周に設けられた軸側キー溝と前記筒状継手部の内周に設けられた筒側キー溝にわたって抜き差し自在に構成されるとともに、そのキーが左右一対のキーで構成され、左側のキーが前記筒状継手部に設けられた開口部から左側へ差し込み自在に、右側のキーが前記開口部から右側へ差し込み自在に構成され、前記突っ張り部材がキー溝に差し込んだ左右一対のキーの間に介在されているところにある。
【0017】
本発明の第6の特徴構成によれば、前記キーが軸状継手部の外周に設けられた軸側キー溝と筒状継手部の内周に設けられた筒側キー溝にわたって抜き差し自在に構成されているので、第2の特徴構成に関連して記述したように、軸側キー溝と筒側キー溝にわたってキーを差し込むことにより、両柱状体を抜き差し不能な状態に強固に接合することができ、しかも、そのキーが左右一対のキーで構成され、左側のキーが筒状継手部に設けられた開口部から左側へ差し込み自在に、右側のキーが前記開口部から右側へ差し込み自在に構成されているので、第3の特徴構成に関連して記述したように、軸側キー溝と筒側キー溝にわたって2本のキーを差し込んで両柱状体を強固に接合することができる。
そして、突っ張り部材がキー溝に差し込んだ左右一対のキーの間に介在されているので、この場合にも、キーの抜け出しを防止する突っ張り部材を筒状継手部の開口部内に収めることが可能となり、上述した鋼管と建て込み用治具の場合であっても、円滑に地中に建て込むことができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0018】
本発明による柱状体の接合構造につき、その実施の形態を図面に基づいて説明する。
この柱状体の接合構造は、例えば、図1に示すように、杭または矢板として地中に建て込まれる柱状体の一例である円形の鋼管1と、その鋼管1を地中に建て込む際に使用する柱状体の一例である円形の建て込み用治具2とをほぼ同一の軸心L上に位置させて互いに抜き差し不能に接合するためのものである。
そのため、鋼管1の上端には、軸状継手3が溶接により接続され、建て込み用治具2の下端には、軸状継手3に外嵌自在な筒状継手4が一体的に形成され、または、別個に形成されて溶接により接続され、鋼管1の外周には、吊り下げ用の孔5aを有する吊り下げ用金具5が一対突設され、建て込み用治具2の外周には、図外の杭施工機からの回転力を受ける回転用金具6が一対突設されて、各回転用金具6にも吊り下げ用の孔6aが設けられている。
【0019】
鋼管1に接続される軸状継手3は、鋳造や鍛造により、あるいは、鋼管を機械加工することにより形成されていて、その下方部は鋼管1とほぼ同じ外径を有する円筒状に構成され、その上方部は鋼管1の外径よりも径の小さな円筒状の軸状継手部7に構成され、その軸状継手部7の外周には、図2や図3に詳細に示すように、断面形状が矩形の軸側キー溝8が、その全周にわたって連続的に設けられている。
建て込み用治具2に接続される筒状継手4も、建て込み用治具2と一体的または別個に鋳造や鍛造により、あるいは、鋼管を機械加工することにより形成され、その下端部は軸状継手部7に外嵌する筒状継手部9に構成されて、その筒状継手部9の内周には、軸状継手部7の軸側キー溝8に対応する状態で、断面形状が矩形の筒側キー溝10が設けられている。
【0020】
筒状継手部9には、筒側キー溝10とほぼ同じか多少大きな上下幅を有して継手部9の壁を内外方向に貫通する開口部11が、例えば、外周方向に等間隔に合計4つ設けられ、前記筒側キー溝10が、各開口部11の間に位置するように筒状継手部9の内周に設けられている。さらに、その筒状継手部9の外周には、各開口部11の間に位置して合計4つの回り止め用の筒側凹入部12が設けられ、軸状継手3の下方円筒部の外周にも、各筒側凹入部12に対応して、合計4つの回り止め用の軸側凹入部13が設けられている。
そして、筒状継手4側の筒側凹入部12と軸状継手3側の軸側凹入部13に跨って回り止めキー14を嵌入し、ボルト15などで固定することにより、筒状継手4と軸状継手3との相対回転が阻止されて、杭施工機からの回転力が、筒状継手4を介して軸状継手3側に伝達されるように構成されている。
【0021】
以上が概ね各実施形態に共通する構成であり、以下、第1の実施形態を図1〜図4に基づいて、第1の実施形態の改良構成を図5〜図9に基づいて、第2の実施形態を図10および図11に基づいてそれぞれ説明し、さらに、各実施形態の改変構成などについて言及する。
ただし、重複説明を避けるため、先に説明した構成や同じような作用を有する構成については、同じ符号を付すことによりその説明を省略し、主として各実施形態などにおける独特の構成について説明する。
【0022】
(第1の実施形態)
第1の実施形態では、図1および図2に示すように、筒状継手部9の各開口部11から軸状継手部7の軸側キー溝8と筒状継手部9の筒側キー溝10にわたって抜き差し自在に形成された頭付きキー16が、左右一対のキー16a,16b、つまり、左側のキー16aと右側のキー16bにより構成されている。
具体的には、筒状継手部9を軸状継手部7に外嵌した状態で、左側のキー16aは開口部11から左側へ差し込み自在に、また、右側のキー16bは開口部11から右側へ差し込み自在に構成されていて、各キー16a,16bを差し込んだ状態で、各キー16a,16bの抜け出しを防止するピン17が設けられている。
【0023】
このピン17も、左右一対のキー16a,16bに対応して、左側のピン17aと右側のピン17bにより構成され、各ピン17a,17bには、ピンの軸心からほぼ直交する方向に側方へ延出するL字状の延出片18がそれぞれ一体的に設けられ、各延出片18の先端近くには貫通孔18aが設けられている。
このピン17は、ピン17を保持する保持穴19に対して非回転状態で抜き差し可能に構成され、言い換えると、ボルトとボルト穴のように回転に伴う螺合によって抜き差しするものではなく、回転は可能であるが、回転しなくとも保持穴19に対して抜き差し可能なように構成されている。
【0024】
左右一対のピン17a,17bに対応して、保持穴19も左側の保持穴19aと右側の保持穴19bにより構成されていて、各保持穴19a,19bは、図2(イ)や図4においてAで示すキー16の抜き差し方向にほぼ直交する方向B(図3(ロ)や図4参照)に向けて筒状継手部9に設けられている。
具体的には、左側の保持穴19aは左側のキー16aの頭部に対応し、右側の保持穴19bは右側のキー16bの頭部に対応するように、筒状継手部9の開口部11における下方の面から下に向けて設けられている。
そして、筒状継手部9の外周には、各保持穴19a,19bに対応して、つまり、キー16の抜き差し方向Aに直交する方向Bに沿って、左右一対の凹入部20a,20bが、開口部11から上方へ連続する状態で設けられている。
【0025】
つぎに、鋼管1と建て込み用治具2とを互いに接合する手順について説明すると、図外のクレーンなどを使用して、例えば、建て込み用治具2を吊り下げ保持しながら、建て込み用治具2側の筒状継手部9を鋼管1側の軸状継手部7に外嵌し、回り止め用の筒側凹入部12と軸側凹入部13とが互いに対向するように位置合わせを行う。
この嵌合状態において、軸状継手部7の軸側キー溝8と筒状継手部9の筒側キー溝10とが互いに対向するように設定されているので、上述したように、左側のキー16aを開口部11から左側へ差し込み、右側のキー16bを開口部11から右側へ差し込んで、図2(イ)や図3(イ)に示すように、両キー16a,16bを両キー溝8,10にわたって差し込む。
それによって、鋼管1と建て込み用治具2とが、ほぼ同一の軸心L上に位置して互いに抜き差し不能に接合される。
【0026】
その状態で、図3(ロ)に示すように、各ピン17a,17bを対応する凹入部20a,20b内に位置させ、かつ、下方へ移動させて、図2(ロ)や図3(ハ)に示すように、各ピン17a,17bを対応する保持穴19a,19bに差し込む。その後、図3(ニ)に示すように、各ピン17a,17bを少し回動させて、各ピン17a,17bの延出片18を開口部11内において互いに近接させ、図2(ハ)や図4に示すように、両延出片18の貫通孔18a間にワイヤ21を挿入して結ぶ。
それによって、両ピン17a,17bは、各延出片18を開口部11内に位置させた状態で互いに回動が阻止されるので、各ピン17a,17bの保持穴19a,19bからの抜け出しが阻止され、その結果、各キー16a,16bのキー溝8,10からの抜け出しが防止される。
【0027】
そして、互いに対向している筒側凹入部12と軸側凹入部13にも、両凹入部12,13を跨ぐように回り止めキー14を嵌入しボルト15により固定して、筒状継手部9と軸状継手部7との相対回転、換言すると、建て込み用治具2と鋼管1との相対回転を阻止して、両者の接合作業を完了する。
その後、鋼管1の吊り下げ用金具5を使用して、クレーンなどで鋼管1と建て込み用治具2を吊り下げて所定の位置に保持し、図外の杭施工機により鋼管1を回転させながら地中に建て込むのであり、必要な場合には、同じ作業を繰り返して、複数本の鋼管1を互いに接続しながら順次建て込むのである。
【0028】
以上詳述した第1の実施形態では、図2(ハ)や図4から明らかなように、左右一対のピン17a,17bにより両キー16a,16bの抜け出しを防止した状態で、各ピン17a,17bから延出する延出片18の先端が、筒状継手部9の外周から外側へ突出することになる。
筒状継手部9外周からの延出片18の突出を回避するには、例えば、延出片18の形状を変えることで可能となるが、そのような改良構成の一例を示すのが、図5および図6に開示の実施形態である。
【0029】
この改良構成に係る実施形態でも、左右一対のピン17a,17bが、ピンの軸心からほぼ直交する方向に側方へ延出するL字状の延出片22を備えているが、第1の実施形態における延出片18とは異なり、各延出片22の先端部がピン17a,17bの軸心に沿って下方に延びており、他方、筒状継手部9の外周には、延出片22の先端部を収容する延出片用凹部23が、開口部11に連続して下方へ向けて設けられている。
したがって、この実施形態によれば、各ピン17a,17bの延出片22を互いに近接させ、両延出片22の貫通孔22a間にワイヤ21を挿入して結んだ状態で、両延出片22の先端部を延出片用凹部23内に収容することにより、各ピン17a,17bと延出片22が、筒状継手部9の外周より内側に完全に収納される。
なお、この実施形態において、延出片22の先端部をピン17a,17bの軸心に沿って上方へ延出し、延出片用凹部23を開口部11から上方に向けて設けることもでき、いずれにせよ、鋼管1と建て込み用治具2とを互いに接合する手順などについては、第1の実施形態と特に変わるところはない。
【0030】
以上詳述した第1の実施形態とその改良構成に係る実施形態は、主として鋼管1を回転させながら地中に建て込む「回転圧入工法」での使用に適した構成であり、施工中に強い衝撃力や振動が加わる「打撃・振動工法」で使用する場合には、接合構造部における耐力向上のために多少の改良を加えるのが好ましく、その改良構成の一例を図7および図8に基づいて説明する。
この改良構成に係る実施形態では、建て込み用治具2と筒状継手4が一体的に形成され、かつ、建て込み用治具2と筒状継手4の肉厚が、強い衝撃力や振動に対して十分に耐え得るように厚くされ、そのため、筒状継手部9を含む筒状継手4の外径が、軸状継手3の下方部の外径、換言すると、鋼管1の外径よりもかなり大きな外径を有するように構成されている。
【0031】
それに加えて、キー16についても、図1〜図6に示した実施形態のものと比較して、その長さCが長く、および/または、上下方向の高さDが高く、および/または、横方向の幅Eが広く、それによって上下方向および横方向における面積の大きなキー16が使用され、キー16の支圧耐力を向上させることにより、キー16の磨耗や損傷を抑制するように構成されている。
また、ピン17に関しては、強い衝撃力や振動に伴うキー16の抜け出しを確実に防止するため、大径部Fと小径部Gからなる段付きのピン17が使用される。すなわち、小径部Gが、図1〜図6に示したピン17よりも大径に構成され、その小径部Gよりも径の大きな大径部Fによりキー16の抜け出しを防止するように構成されている。
【0032】
さらに、強い衝撃力や振動による接合構造部への影響を少しでも緩和するため、建て込み用治具2の長さを長くし、または、図8に示すように、建て込み用治具2の上部に鋼管Hを溶接により接続して、建て込み用治具2の長さを実質的に長くしてある。このように建て込み用治具2を長くすることにより、施工中に加わる衝撃の力点を接合構造部から離すことができ、接合構造部への荷重の集中や熱の伝達を抑制することができる。
そして、軸状継手部7上端のほぞIに加えて、筒状継手部9の下端にもほぞJを設けることにより、横方向の振動に対しても十分に耐え得るように構成されている。
なお、この図7および図8に示した実施形態においても、図5および図6に示したような延出片22を有するピン17を使用して、その延出片22が筒状継手部9の外周から外側へ突出しないように構成することは当然のことながら可能である。
【0033】
ただし、図7および図8に示した実施形態では、地盤の条件によっては、打撃・振動工法による建て込み施工によって、軸状継手部7側の軸側キー溝8が損傷し、さらに、その損傷部分が外側へ膨出する可能性がある。ところが、この軸側キー溝8は、建て込み施工後において、その上方に接合される別の鋼管1の筒状継手部に設けられた筒側キー溝と協働して、両鋼管1の抜け止めに寄与するものであるから、軸側キー溝8が損傷すると、両鋼管1の抜け止めが不確実になり、さらに、損傷部分が外側へ膨出すると、別の鋼管1の筒状継手部を軸状継手部7に外嵌することさえむずかしくなる可能性もある。
そのような危惧を回避するために、例えば、図9に示すように、軸状継手部7に対して、建て込み用治具2における筒状継手部9の筒側キー溝10に対応する軸側キー溝8とは別に、上方に接合される別の鋼管1における筒状継手部の筒側キー溝に対応する軸側キー溝Kを軸側キー溝8よりも上方に予め設けておくこともできる。この場合には、たとえ軸側キー溝8が損傷し、かつ、外側へ膨出しても、別の鋼管1の筒状継手部を軸状継手部7に確実に外嵌することができ、かつ、上方に位置する軸側キー溝Kを使用して、両鋼管1の抜け止めを確実に行うことができる。
【0034】
(第2の実施形態)
第2の実施形態では、図10および図11に示すように、第1の実施形態と同様、筒状継手部9に開口部11が設けられ、軸側キー溝8と筒側キー溝10にわたって抜き差し自在に形成された頭付きキー16も、左右一対のキー16a,16bにより構成されている。
第1の実施形態と異なるのは、第1の実施形態が左右一対のピン17a,17bにより各キー16a,16bの抜け出しを防止していたのに対し、第2の実施形態では、ピン17a,17bに代えて突っ張り部材24が使用され、その突っ張り部材24によって各キー16a,16bの抜け出しを防止している点である。
【0035】
この突っ張り部材24は、平面視においてL字状に形成された左右一対の突っ張り部材24a,24bにより構成され、左側の突っ張り部材24aには、左側のキー16aの頭部に形成された断面半円形の縦溝25aに嵌合する断面円形の棒状体からなる回動体26が一体的に設けられ、回動体26と反対側の端部近くには貫通孔27が設けられている。
同様に、右側の突っ張り部材24bには、右側のキー16bの頭部に形成された断面半円形の縦溝25bに嵌合する断面円形の棒状体からなる回動体26が一体的に設けられ、かつ、貫通孔27も設けられている。
【0036】
この第2の実施形態において、鋼管1と建て込み用治具2とを互いに接合する手順は、 左右のキー16a,16bを軸状継手部7の軸側キー溝8と筒状継手部9の筒側キー溝10とにわたって差し込むところまで第1の実施形態と変わるところはない。
その後、第2の実施形態では、図11に示すように、各突っ張り部材24a,24bの回動体26を対応するキー16a,16bの縦溝25a,25b内に位置させて、突っ張り部材24a,24bの先端部が互いに近接するように回動させ、両突っ張り部材24a,24bの貫通孔27間にワイヤ21を挿入して結ぶ。
【0037】
それによって、両突っ張り部材24a,24bは、キー16の抜き差し方向Aにほぼ沿った直線状となって、左右一対のキー16a,16bの間に介在される。
したがって、例えば、左右一対のキー16a,16bのうち、いずれか一方に抜け出し方向への力が作用しても、両突っ張り部材24a,24bによる突っ張り作用によって抜け出しが阻止されるので、各キー16a,16bのキー溝8,10からの抜け出しが防止される。
この第2の実施形態によれば、突っ張り部材24を使用してキー16の抜け出しを防止するため、第1の実施形態において不可欠であった保持穴19a,19bや凹入部20a,20bなどを筒状継手部9に設ける必要はない。
【0038】
〔別実施形態〕
(1)第1と第2の実施形態では、キー16を左右一対のキー16a,16b、つまり、2本のキー16a,16bにより構成した例を示したが、1本のキー16で構成することもできる。
その場合、第1の実施形態では、キー16の抜け出しを防止するピン17は1本でよく、したがって、ピン17を保持する保持穴19もひとつだけ設ければよい。また、第2の実施形態では、1本のキー16と筒状継手部9との間に突っ張り部材24を取り外し自在に介在させることになる。
【0039】
さらに、第1と第2の実施形態では、軸状継手部7の軸側キー溝8と筒状継手部9の筒側キー溝10とにわたってキー16を抜き差しする構成を示したが、第1の実施形態では、軸状継手部7側にのみキー溝8を設けて実施することもでき、その実施形態を示したのが図12および図13である。
この別の実施形態では、筒状継手部9にキー収納用の凹部28が設けられ、その凹部28内に筒側キー溝10に代わるスリット29が穿設されている。他方、キー16の方は、凹部28に収納可能な彎曲板状のキー保持部材30に一体的に突設され、キー16がスリット29を貫通して軸側キー溝8内に差し込まれた状態で、キー保持部材30が筒状継手部9の凹部28内に収納されるように設定されている。
この別の実施形態では、キーの抜き差し方向Aが筒状継手部9の径方向となり、その抜き差し方向Aに直交する方向Bに沿って設けられた保持穴19に保持されたピン17によりキー16の抜け出しが防止される。
【0040】
また、第1の実施形態では、ピン17を保持する保持穴19を筒状継手部9側に設けた例を示したが、例えば、図14および図15に示すように、軸状継手部7側に保持穴19を設けて、その保持穴19に差し込んだピン17によりキー16の抜け出しを防止するように構成することもできる。
【0041】
(2)第2の実施形態では、突っ張り部材24を左右一対の突っ張り部材24a,24bにより構成した例を示したが、単一の突っ張り部材24により左右一対のキー16a,16bの抜け出しを防止することもできる。
例えば、図16に示すように、突っ張り部材24を単一のバネ材により形成し、バネ材の弾性力を有効に利用して両キー16a,16bの抜け出しを防止するように構成することも、図17に示すように、突っ張り部材24を単一のブロックにより形成し、両キー16a,16bの間にそのブロック状の突っ張り部材24を介在させて両キー16a,16bの抜け出しを防止するように構成することができる。
【0042】
その他、これまでの実施形態では、互いに抜き差し不能に接合する柱状体の例として、地中に建て込む鋼管1と建て込み用治具2を示したが、鋼管1どうしの接合にも適用することができる。
【図面の簡単な説明】
【0043】
【図1】第1の実施形態による柱状体の接合構造を示す分解斜視図
【図2】第1の実施形態による接合構造の要部を示す横断平面図
【図3】第1の実施形態による接合構造の要部を示す縦断側面図
【図4】第1の実施形態による接合構造の要部を示す斜視図
【図5】第1の実施形態の改良構成の要部を示す分解斜視図
【図6】第1の実施形態の改良構成の要部を示す横断平面図
【図7】第1の実施形態の改良構成の要部を示す分解斜視図
【図8】第1の実施形態の改良構成の要部を示す縦断側面図
【図9】第1の実施形態の改良構成の要部を示す縦断側面図
【図10】第2の実施形態による接合構造の要部を示す分解斜視図
【図11】第2の実施形態による接合構造の要部を示す横断平面図
【図12】別の実施形態による接合構造の要部を示す分解斜視図
【図13】別の実施形態による接合構造の要部を示す縦断側面図
【図14】別の実施形態による接合構造の要部を示す分解斜視図
【図15】別の実施形態による接合構造の要部を示す横断平面図
【図16】別の実施形態による接合構造の要部を示す横断平面図
【図17】別の実施形態による接合構造の要部を示す一部切欠き正面図
【符号の説明】
【0044】
1,2 柱状体
7 軸状継手部
8 軸側キー溝
9 筒状継手部
10 筒側キー溝
11 開口部
16 キー
16a 左側のキー
16b 右側のキー
17 ピン
17a 左側のピン
17b 右側のピン
18,22 延出片
19 保持穴
19a 左側の保持穴
19b 右側の保持穴
24 突っ張り部材
A キーの抜き差し方向
B キーの抜き差し方向に直交する方向
L 柱状体の軸心
【特許請求の範囲】
【請求項1】
軸心方向で互いに隣接する一方の柱状体に軸状継手部が設けられ、他方の柱状体に前記軸状継手部に外嵌自在な筒状継手部が設けられ、その筒状継手部を前記軸状継手部に外嵌し、前記筒状継手部の外側から抜き差し自在なキーを両継手部間に差し込んで両継手部を接合することにより、両柱状体がほぼ同一軸心上に位置して互いに抜き差し不能に接合される柱状体の接合構造であって、
前記キーの抜け出しを防止するピンが、そのピンを保持する保持穴に対して非回転状態で抜き差し可能に構成され、前記保持穴が前記軸状継手部と筒状継手部のいずれか一方に設けられている柱状体の接合構造。
【請求項2】
前記キーが前記軸状継手部の外周に設けられた軸側キー溝と前記筒状継手部の内周に設けられた筒側キー溝にわたって抜き差し自在に設けられている請求項1に記載の柱状体の接合構造。
【請求項3】
前記キーが左右一対のキーで構成され、左側のキーが前記筒状継手部に設けられた開口部から左側へ差し込み自在に、右側のキーが前記開口部から右側へ差し込み自在に構成され、その左右一対のキーに対応して前記保持穴とピンも左右一対ずつ設けられている請求項2に記載の柱状体の接合構造。
【請求項4】
前記左右一対のピンのそれぞれが、各ピンの軸心から側方に延出する延出片を備え、それら各ピンを各保持穴に差し込んで回動させることで、両ピンの延出片が互いに近接するように構成されている請求項3に記載の柱状体の接合構造。
【請求項5】
軸心方向で互いに隣接する一方の柱状体に軸状継手部が設けられ、他方の柱状体に前記軸状継手部に外嵌自在な筒状継手部が設けられ、その筒状継手部を前記軸状継手部に外嵌し、前記筒状継手部の外側から抜き差し自在なキーを両継手部間に差し込んで両継手部を接合することにより、両柱状体がほぼ同一軸心上に位置して互いに抜き差し不能に接合される柱状体の接合構造であって、
前記キーの抜け出しを防止する突っ張り部材が、前記キーと筒状継手部との間に取り外し自在に介在されている柱状体の接合構造。
【請求項6】
前記キーが前記軸状継手部の外周に設けられた軸側キー溝と前記筒状継手部の内周に設けられた筒側キー溝にわたって抜き差し自在に構成されるとともに、そのキーが左右一対のキーで構成され、左側のキーが前記筒状継手部に設けられた開口部から左側へ差し込み自在に、右側のキーが前記開口部から右側へ差し込み自在に構成され、前記突っ張り部材がキー溝に差し込んだ左右一対のキーの間に介在されている請求項5に記載の柱状体の接合構造。
【請求項1】
軸心方向で互いに隣接する一方の柱状体に軸状継手部が設けられ、他方の柱状体に前記軸状継手部に外嵌自在な筒状継手部が設けられ、その筒状継手部を前記軸状継手部に外嵌し、前記筒状継手部の外側から抜き差し自在なキーを両継手部間に差し込んで両継手部を接合することにより、両柱状体がほぼ同一軸心上に位置して互いに抜き差し不能に接合される柱状体の接合構造であって、
前記キーの抜け出しを防止するピンが、そのピンを保持する保持穴に対して非回転状態で抜き差し可能に構成され、前記保持穴が前記軸状継手部と筒状継手部のいずれか一方に設けられている柱状体の接合構造。
【請求項2】
前記キーが前記軸状継手部の外周に設けられた軸側キー溝と前記筒状継手部の内周に設けられた筒側キー溝にわたって抜き差し自在に設けられている請求項1に記載の柱状体の接合構造。
【請求項3】
前記キーが左右一対のキーで構成され、左側のキーが前記筒状継手部に設けられた開口部から左側へ差し込み自在に、右側のキーが前記開口部から右側へ差し込み自在に構成され、その左右一対のキーに対応して前記保持穴とピンも左右一対ずつ設けられている請求項2に記載の柱状体の接合構造。
【請求項4】
前記左右一対のピンのそれぞれが、各ピンの軸心から側方に延出する延出片を備え、それら各ピンを各保持穴に差し込んで回動させることで、両ピンの延出片が互いに近接するように構成されている請求項3に記載の柱状体の接合構造。
【請求項5】
軸心方向で互いに隣接する一方の柱状体に軸状継手部が設けられ、他方の柱状体に前記軸状継手部に外嵌自在な筒状継手部が設けられ、その筒状継手部を前記軸状継手部に外嵌し、前記筒状継手部の外側から抜き差し自在なキーを両継手部間に差し込んで両継手部を接合することにより、両柱状体がほぼ同一軸心上に位置して互いに抜き差し不能に接合される柱状体の接合構造であって、
前記キーの抜け出しを防止する突っ張り部材が、前記キーと筒状継手部との間に取り外し自在に介在されている柱状体の接合構造。
【請求項6】
前記キーが前記軸状継手部の外周に設けられた軸側キー溝と前記筒状継手部の内周に設けられた筒側キー溝にわたって抜き差し自在に構成されるとともに、そのキーが左右一対のキーで構成され、左側のキーが前記筒状継手部に設けられた開口部から左側へ差し込み自在に、右側のキーが前記開口部から右側へ差し込み自在に構成され、前記突っ張り部材がキー溝に差し込んだ左右一対のキーの間に介在されている請求項5に記載の柱状体の接合構造。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【公開番号】特開2006−112225(P2006−112225A)
【公開日】平成18年4月27日(2006.4.27)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−270613(P2005−270613)
【出願日】平成17年9月16日(2005.9.16)
【出願人】(000001052)株式会社クボタ (4,415)
【出願人】(000006655)新日本製鐵株式会社 (6,474)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成18年4月27日(2006.4.27)
【国際特許分類】
【出願日】平成17年9月16日(2005.9.16)
【出願人】(000001052)株式会社クボタ (4,415)
【出願人】(000006655)新日本製鐵株式会社 (6,474)
【Fターム(参考)】
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