説明

柿飲料の製造方法

【課題】柿飲料には、ポリフェノール、ビタミン、ミネラルが十分に含まれているため非常に体によい。黒酢も発酵食品であり、玄米から作られるだけあって、通常の米酢と比べて非常に栄養価が高い。アミノ酸やミネラルが非常に多く体にいいことは周知のことである。しかし、黒酢はそのままでは非常に飲みにくいものでその点で普及するには問題があった。そこで、柿の良さと、黒酢の良さを取り入れた、且つ飲みやすい飲料を提供する。
【解決手段】容器1に柿2と黒酢を充填し、完全密閉せず、少なくとも2ヶ月をかけて変成させるもの。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、柿飲料の製造方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
ここでいう柿飲料は、柿を用いた飲料である。
柿を用いた飲料としては柿酒や柿酢が知られている。柿酒は、梅酒と同様に、酒に柿と氷砂糖を入れ2〜6ヶ月ほど放置して製造される。甘さは氷砂糖の量で調整される。これは酒であり、未成年は飲めないことは当然である。
【0003】
次に柿酢は、柿と水と酵母(イースト)で作る。即ち、柿の持つ糖分を酵母でアルコール発酵させ、それがさらに酸化されて酢酸になったものである。古くは酵母を入れずに自然発酵させて作られていた。
【0004】
これらの柿飲料には、ポリフェノール、ビタミン、ミネラルが十分に含まれているため非常に体によい。
【0005】
これらとは別に黒酢というものが知られている。これは、通常の酢が精米した米から製造されるのに対して、玄米から作られるものである。そして、その製造も、玄米、麹米、水、種酢を仕込んだ壺を一部(又はほとんど)地中に埋めて、空気を遮断せず、且つ雨が入らないように蓋をして半年から1年置き、1つの壺の中で、糖発酵、アルコール発酵、酢酸発酵を同時に行う複合発酵という方法で行われるものである。
この黒酢は、玄米から作られるだけあって、通常の米酢と比べて非常に栄養価が高い。アミノ酸やミネラルが非常に多く体にいいことは周知のことである。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかし、黒酢はそのままでは非常に飲みにくいものでその点で普及するには問題があった。そこで、柿の良さと、黒酢の良さを取り入れた、且つ飲みやすい飲料を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0007】
以上のような状況に鑑み、本発明者は鋭意研究の結果本発明柿飲料を完成したものであり、その特徴とするところは、容器に柿と黒酢を充填し、完全密閉せず、少なくとも2ヶ月を掛けて変成させる点にある。
【0008】
黒酢とは、JASの規定では、「穀物酢のうち、原材料として米(精白していないもの)もしくは大麦を、酢1リットル当たり180g以上使用し、かつ発酵や熟成によって(黒)褐色になったもの」である。
勿論、本発明ではJASに規定される黒酢でなくても、一般的に黒酢と言われるものであればよい。
【0009】
容器はどのようなものでもよく、黒酢を製造するようなものである必要はなく、単なる容器でよい。
【0010】
ここでいう柿はどのような種類のものでもよい。また、柿は通常は皮を剥いて使用するが、種類によっては皮を剥かないでも良い。種は取っても取らなくてもよい。そのままのサイズで用いても、小さく切ってもよい。
本発明では、甘い通常の柿だけでなく、渋柿もそのまま使用できる。これも本発明の大きな特徴である。渋みの原因であるタンニンを酢酸やその他の成分が不溶化するものと考えられる。
【0011】
上記容器にこれらの柿を入れ、そこに黒酢を充填する。
勿論、入れる順序は自由である。蓋を閉めれば準備完了である。蓋は完全密閉するものではなく、外気と流通があるようにする。
この状態で、約5〜30℃、好ましくは15〜25℃(特に20℃付近が好適)で保存すればよい。この程度の温度が好適な理由は、雑菌の発生抑制と変成の促進の兼ね合いからである。
【0012】
また、柿を黒酢に浸漬する前に一旦冷凍してもよい。これは、冷凍することによって、柿の細胞壁を壊し、種々の変成や浸透その他の工程が速く進むようにするためである。冷凍時間は問題ではなく、一旦冷凍すればすぐに解凍してよい。勿論、長期間冷凍保存した後であってもよい。
冷凍温度は自由であるが、−10℃以下が望ましい。
【0013】
冷凍する場合にも、皮は剥いても剥かなくてもよいが、剥いて行う方が後の処理は容易である。
【0014】
黒酢と柿の充填比は、自由であるが、黒酢100重量部に対して、果実が50〜200重量部程度が好適である。
この状態で、最低2ヶ月放置して変成させる。放置とは、そのままにしておくことであるが、適当に攪拌したりしてもよい。まや、変成がどのような反応なのかはよく分かっていない。菌による発酵か、酵素による化学変化か、又はその両方か、それともまた別の反応なのかは不明である。しかし、容器を完全密閉するといけないので、酸素が必要なのか、発生した気体を逃がすのか等が考えられる。
放置する場所はどこでもよいが、ある程度温度は一定の方がよい。例えば、冷蔵庫、地下室、倉庫、洞窟等である。
完成までの変性期間は、通常は6ヶ月〜2年程度である。この差は温度によるもので、カビ等の発生を制御しつつ高い温度で実施した方が速くできる。本発明の飲料の効果を発揮するには、最低でも2ヶ月は必要である。
【0015】
また、一旦柿を冷凍したものでは、2ヶ月でも変性が十分であり飲料が完成できた。勿論、冷凍したものでもより長く変性させてもよい。
【0016】
本発明柿飲料は、変性後も柿の固形分が残ることがあるが、それを一緒に飲んでもよいが、濾過して除去してもよい。
また、飲料はそのまま飲んでもよいが、水や炭酸水、ジュース等で薄めて飲んでもよい。薄める倍率は自由であるが、2〜5倍程度でおいしく飲むことができる。
【0017】
また、変性が所定量すすみそこで変性を止めたい場合、または商品として出荷する場合、殺菌を行うことが好ましい。特にいわゆる低温殺菌するのがよい。低温殺菌とは、60〜65℃に長時間(10〜30分)保つことによって殺菌するものである。勿論、他の殺菌方法でもよい。
【0018】
容器内の温度を維持しつつ、雑菌発生を抑制するには、容器内に殺菌ランプを設けるのがよい。殺菌ランプとは、紫外線等を発するランプであり、殺菌灯と呼ばれるもの等である。殺菌効果が高いと言われる波長200〜300nmの紫外線をよく照射するものである。
また、紫外線を照射するLEDでもよい。最近では殺菌する波長の紫外線を照射するものもあり、また300nm以上の波長でも殺菌効果があると言われている。このLEDの場合、温度がほとんど上がらないため、ランプによる昇温の問題はない。
【発明の効果】
【0019】
本発明には次のような効果がある。
(1) 柿は、ビタミンCが豊富なだけでなく、ビタミンK、B1、B2、カロチン、タンニン、ミネラルも豊富である。
(2) 黒酢も種々のアミノ酸等を豊富に含むもので非常に栄養価の高いものである。
(3) 本発明飲料では、柿と黒酢の相乗効果で、健康的には非常に優れたものとなっている。
(4) 黒酢が非常にまろやかになっており、且つ柿の甘みもあり非常に飲みやすい。
(5) 渋柿を用いたものでも、渋みがなくなる。
(6) 一旦冷凍する方法では、非常に短期間で飲料ができる。
(7) 殺菌ランプを用いる方法では、腐敗したり、カビが発生することがない。よって、費用のかかる特殊な設備や制御が不要である。
(8) 柿の需要が全国的に落ち込んでいるため、比較的安価に製造できるという利点もある。
【図面の簡単な説明】
【0020】
【図1】本発明方法の1工程を示す概略断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0021】
以下図面に示す実施例に基づいて、本発明をより詳細に説明する。
【実施例1】
【0022】
図1は、本発明果実飲料の1例の製造工程を示すもので、容器1に渋柿2を入れ、それがすべて沈む程度に黒酢を充填したところである。この容器の蓋3には、殺菌ランプ4が設けられている。この例では、容器1の容量は5リットルであり、ここに渋柿を2kg程度入れ、黒酢を2リットル導入した。これで紫外線照射ランプを点灯し蓋を閉めれば完成である。蓋3は内部を完全密閉するものではなく、外気との流通は確保されている。
【0023】
この状態で放置すればよい。殺菌ランプがあるため、腐敗したり、カビが生えたりしない。
【0024】
1 容器
2 渋柿
3 蓋
4 殺菌ランプ


【特許請求の範囲】
【請求項1】
容器に柿と黒酢を充填し、完全密閉せず、少なくとも2ヶ月をかけて変成させることを特徴とする柿飲料の製造方法。
【請求項2】
該柿は、渋柿である請求項1記載の柿飲料の製造方法。
【請求項3】
該柿は、黒酢に浸漬する前に一旦冷凍するものである請求項1又は2記載の柿飲料の製造方法。
【請求項4】
変成させた後、低温殺菌するものである請求項1乃至3のいずれか1項に記載の柿飲料の製造方法。
【請求項5】
該容器には、殺菌ランプを設けたものである請求項1乃至4のいずれか1項に記載の柿飲料の製造方法。


【図1】
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【公開番号】特開2011−36236(P2011−36236A)
【公開日】平成23年2月24日(2011.2.24)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−246334(P2009−246334)
【出願日】平成21年10月27日(2009.10.27)
【出願人】(594005968)
【Fターム(参考)】