説明

栄養補給食品

【課題】生活習慣病の予防に必要な野菜をバランスよく咀嚼可能な状態で、いつでもどこでも所要量を摂取することができる栄養補給食品を提供することを目的とする。
【解決手段】各種野菜を各別に調理し、調理された該野菜それぞれを所定サイズのブロックに成形し、成形されたそれぞれの該ブロックを容器に一緒に詰め合わせた後、該容器に注入されたゲル化剤で該ブロック全体を覆ったことを特徴とする。前記野菜には、βカロテンその他の抗酸化ビタミン、カプサンチン、又はルテインを含有する人参、パセリ、ほうれん草、かぼちゃ、小松菜、赤ピーマン及びブロッコリーが含まれることも、前記野菜には、カルシウム、カリウム、又は食物繊維を含有する小松菜、えだまめ、パセリ、ほうれん草、ブロッコリー、及びかぼちゃが含まれることも好ましい。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、生活習慣病の発症に関わる活性酸素を消去する作用がある栄養素を、一定量、咀嚼可能な状態で一度に摂取できる栄養補給食品に関するものである。
【背景技術】
【0002】
昨今、心臓病・脳卒中・糖尿病・骨粗鬆症・高脂血症・高血圧・動脈硬化などの生活習慣病には活性酸素が深く関わっていることが明らかになり、活性酸素を消去する作用がある物質(抗酸化ビタミン、食物繊維、カリウム、カルシウムなど)の宝庫である野菜の効用が改めて再認識されている。平成9年の国民栄養調査によれば、成人一日の野菜の摂取量は292g、そのうち、カルシウムに富んだ緑黄色野菜は98gとなっている。厚生労働省が推奨する栄養食生活の基本方針は、生活習慣病の予防に不可欠なビタミン、ミネラル、食物繊維などを摂取するために、成人一日の野菜の摂取量が350g以上、そのうち緑黄色野菜が120g以上となることを目標としている。ここで、緑黄色野菜は、可食部分100g中にカロテン600μg以上含有する、ほうれん草・春菊・小松菜・かぼちゃ・ちんげんさい・人参・ブロッコリー・にら・さやえんどう・サラダ菜・パセリなどのことを言うが、600μg以下であっても、日常の摂取頻度が比較的多い10種類の野菜(トマト・グリーンアスパラガス・ピーマン・さやいんげん・おくら・芽キャベツ・ししとうがらし・じゅうろくささげ・たいさん・キャッツアイ)も緑黄色野菜に含めている。
【0003】
しかしながら、今日の我が国の食生活は、外食機会の増加や過度なダイエット志向等によって、野菜が不足し勝ちである。また、豊富な菓子類が安価に入手できることなどから、間食の機会が増え、規則正しい食事が失われ勝ちになり、勢いビタミンやミネラルを含んだ野菜も敬遠される傾向にある。
そこで、何らの抵抗もなく野菜類を自然に摂取できるよう、キャベツ、白菜、ねぎ、だいこん、かぶ、きゅうり、なす、ピーマントマトなどの粉砕物を寒天素材に入れた、野菜入り寒天が提案されている(特許文献1参照)。
しかし、急速冷凍し、貯蔵すると、解凍したとき組織内の水分が一部遊離する離水現象が起こり、食感に不満が残るほか、解凍し加熱したとき、形が崩れるという課題がある。そこで、寒天とゼラチンを混合して離水を防止する方法が提案されている(特許文献2参照)。
さらに、咀嚼することや、嚥下することが困難な病人のきざみ食用に、冷凍耐性、加熱後の保形性がよく、離水のない、食感良好なゲル化食品を得るため、煮汁を含む具材入り惣菜、又はペースト状惣菜が煮上がる少し前に、ジェランガム及び澱粉を添加、分散、加熱、溶解し、ゲル化した食品が提案されている(特許文献3参照)。
【0004】
一方、老化による機能低下と栄養学との関係についての科学的知見から、老化制御用補助食品の提案がなされている。すなわち、老化による免疫の低下は、食事の栄養状態を改善することにより抑制できること、消化器官の老化は、脂肪摂取量が大きな要因であること、骨格組織の老化は、カルシウムの摂取と運動との組み合わせで改善できること、糖尿病・動脈硬化・高血圧・心臓病などの成人病は、エネルギー摂取量と消費量とのアンバランスに起因した肥満によって起こりやすくなることから、育児用粉乳に免疫ミルクを混合したものをベースとして、これに必須微量ミネラル、免疫賦活物質、ビフィズス因子、抗酸化物質などの老化制御物質のうちの何れかまたは全てを加えた老化制御用栄養補助食品が提案されている(特許文献4参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開昭63−49059号公報
【特許文献2】特開昭53−152950号公報
【特許文献3】特開平10−215797号公報
【特許文献4】特開2006−141315号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、野菜は、比重が軽く、容積が大きいので、目分量では、十分な野菜を食べたと勘違いし勝ちである。また、厚生労働省が推奨する一日に必要な量を摂取したかどうかをその都度把握するのは容易ではない。一方、今日、各種野菜の入ったジュースが安価に販売されており、リコピンを含有するトマトのように、液体飲料から有効に摂取できるものもある。しかしながら、その他の栄養素は、脳の働きを活性化させ、ボケや認知症を予防する観点からも咀嚼して摂取することが好ましい。
本発明は、上記事情に鑑み、生活習慣病の予防に必要な栄養素のうち、リコピンを除く栄養素をバランスよく含有する野菜が詰め合わされ、いつでもどこでも一定量を咀嚼して摂取することができる栄養補給食品を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明は、各種野菜を各別に調理し、調理された該野菜それぞれを所定サイズのブロックに成形し、成形されたそれぞれの該ブロックを容器に一緒に詰め合わせた後、該容器にゲル化剤液を注入し、該ブロック全部を一括して該ゲル化剤で覆ったことを特徴とする。
このように、各種野菜を調理して成形したブロックを容器に一緒に詰め合わせて、ブロック全体がゲル化剤で覆ってあれば、保存がきく上、必要な野菜を詰め合わせておけば、いつでもどこでも咀嚼しながら所要量を摂取できる。
ここで、前記野菜には、抗酸化物質、カルシウム、カリウム、又は食物繊維を含有する野菜が含まれることが好ましく、前記野菜には、βカロテンその他の抗酸化ビタミン、カプサンチン、又はルテインを含有する人参、パセリ、ほうれん草、かぼちゃ、小松菜、赤ピーマン及びブロッコリーが含まれることも好ましく、前記野菜には、カルシウム、カリウム、又は食物繊維を含有する小松菜、えだまめ、パセリ、ほうれん草、ブロッコリー、及びかぼちゃが含まれることも好ましい。
このような野菜を摂取すれば、生活習慣病や成人病を食生活の面から予防することができる。
また、前記容器には、調理された少なくとも人参、パセリ、ほうれん草、かぼちゃ、小松菜、赤ピーマン、ブリッコリー、及びえだまめそれぞれの前記ブロックが詰め合わされることが好ましい。
このような野菜が詰め合わされていれば、必要な栄養素の一定量を一度に摂取することができる。
【0008】
ここで、調理された赤ピーマン、ブリッコリー、パセリ、及びえだまめそれぞれの前記ブロックは、ゼラチン又は卵白で固めた後、前記サイズに裁断して成形することにしても、調理された小松菜、ほうれん草、人参、及びかぼちゃは、各別に前記所定サイズの型枠に圧入して前記ブロックに成形することにしても、調理された小松菜、ほうれん草、人参、及びかぼちゃは、各別に所定の型枠に圧入した後に冷凍し、前記ブロックを成形することにしてもよい。
このようにすれば、色々な野菜のブロックを作成することができる。
また、前記容器は、前記ブロックを所定数、一列に並べて詰め合わせる容器本体と、該容器本体を密封する蓋とを有するものであって、該容器本体は、詰め合わされるブロック全体のサイズよりも、高さ、幅、長さが何れも大きい収容室を有することが好ましい。
このようなサイズの容器を用いれば、ブロック全体をゲル化剤で覆うことができる。
【発明の効果】
【0009】
本発明の栄養補給食品によれば、生活習慣病の予防に必要な栄養素のうち、リコピンを除く栄養素をバランスよく含有する各種の野菜が一括して寒天などで覆われているので保存がきく上、いつでもどこでも咀嚼しながら摂取することができる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【図1】図1は、ブロックを形成する型枠の一例を示す図である。
【図2】図2は、型枠で成形されたブロックの一例を示す図である。
【図3】図3は、ゼラチン溶液の入った容器の中に入れて固めた、ブロックに裁断される前の野菜の一例を示す図である。
【図4】図4は、野菜のブロックを詰め合わせたプラスチック容器の一例を示す図である。
【図5】図5は、ゲル化剤でブロック全体を固めたものをプラスチック容器から取り出した本実施形態の栄養補給食品の一例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下に、本発明の栄養補給食品の実施形態について説明する。
本実施形態の栄養補給食品は、抗酸化物質(リコピンを除く)、カルシウム、カリウム、又は食物繊維を含有する各種野菜を各別に調理し、調理された各野菜をそれぞれ所定サイズのブロックに成形し、それらのブロックを一つのプラスチック容器に詰め合わせた後、そのプラスチック容器に寒天溶液を注入し、それらブロック全体が一体となるように周囲をゲル化剤で固めたものである。
【0012】
[詰め合わせる野菜の選択]
「野菜の栄養」(独立行政法人農畜産業振興機構のホームページ参照)によれば、成人1日に必要な野菜の栄養成分量は、抗酸化物質のカロテンが、1800μg、ビタミンCが、100mg、カルシウムが、500〜600mg、カリウムが、2000mg、食物繊維が、20〜25gである。そのほか、ビタミンB1が、0.8〜1.1mg、ビタミンB2が、1.0〜1.2mg、鉄が、12mgである。また、野菜の可食部分100g中に抗酸化物質、カルシウム、カリウム、又は食物繊維等を多く含む野菜(トップ10)を以下の如く公表している。
【0013】
「カロテン」しそ:11000μg、モロヘイヤ10000μg、人参8200μg、パセリ7400μg、しゅんぎく4500μg、ほうれん草4200μg、かぼちゃ4000μg、にら3500μg、にら3500μg、みつば3200μg、小松菜3100μg。なお、抗酸化物質の内、カプサイシンは、赤ピーマンやとうがらしに含まれ、ルテインは、とうもろこしやブロッコリーに含まれている。
「ビタミンC」赤ピーマン170mg、黄ピーマン150mg、パセリ120mg、ブロッコリー120mg、カリフラワー81mg、ピーマン76mg、モロヘイヤ65mg、さやえんどう60mg、ししとうがらし57mg、かぼちゃ43mg。
「カルシウム」パセリ290mg、モロヘイヤ260mg、しそ230mg、小松菜170mg、つるむらさき150mg、しゅんぎく120mg、チンゲンサイ100mg、サニーレタス66mg、わけぎ59mg、えだまめ58mg。
「カリウム」パセリ1000mg、ほうれん草690mg、さといも640mg、えだまめ590mg、モロヘイヤ530mg、にんにく530mg、にら510mg、みつば500mg、小松菜500mg、しそ500mg。
「食物繊維」しそ7.3g、パセリ6.8g、モロヘイヤ5.9g、ごぼう5.7g、にんにく5.7g、えだまめ5.0g、ブロッコリー4.4g、ししとうがらし3.6g、かぼちゃ3.5g、生しいたけ3.5g。
「ビタミンB1」えだまめ0.31mg、にんにく0.19mg、モロヘイヤ0.18mg、さやえんどう0.15mg、スイートコーン0.15mg、アスパラガス0.14mg、ブロッコリー0.14mg、しそ0.13mg、パセリ0.12mg、かんしょ0.11mg。
「ビタミンB2」モロヘイヤ0.42mg、しそ0.34mg、パセリ0.24mg、ブロッコリー0.2mg、ほうれん草0.2mg、しゅんぎく0.16mg、えだまめ0.15mg、アスパラガス0.15mg、みつば0.14mg、にら0.13mg。
「鉄」パセリ7.5mg、小松菜2.8mg、えだまめ2.7mg、ほうれん草2.0mg、レタス1.8mg、しそ1.7mg、しゅんぎく1.7mg、ねぎ1.2mg、モロヘイヤ1.0mg、ブロッコリー1.0mg。
【0014】
本実施形態の栄養補給食品では、上記の数値を参照し、βカロテンを豊富に含有する野菜として、人参、パセリ、ほうれん草、かぼちゃ、小松菜を選択し、ビタミンCを豊富に含有する野菜として、赤ピーマン、パセリ、ブロッコリー、かぼちゃを選択し、カプサイシンを含有する野菜として、赤ピーマンを、ルテインを含有する野菜として、ブロッコリーをそれぞれ選択する。また、カルシウムを豊富に含有する野菜として、パセリ、小松菜、えだまめを、カリウムを豊富に含有する野菜として、パセリ、ほうれん草、えだまめ、小松菜を、食物繊維を含有する野菜として、パセリ、えだまめ、ブロッコリー、かぼちゃをそれぞれ選択する。なお、えだまめ、ブロッコリー、パセリは、ビタミンB1を含有し、パセリ、ブロッコリー、ほうれん草、えだまめは、ビタミンB2を含有し、パセリ、小松菜、えだまめ、ほうれん草、ブロッコリーは、鉄分を含有している。
従って、本実施形態の栄養補給食品としてプラスチック容器に詰め合わせる野菜は、人参、パセリ、ほうれん草、かぼちゃ、小松菜、赤ピーマン、ブロッコリー、えだまめの8種類とする一方、全体として成人一日の野菜摂取の目標値である350gをクリアできるように、詰め合わせる各野菜の分量(g)を設定することにより、必要な栄養成分をバランスよく摂取できるようにしている。
ちなみに、プラスチック容器に詰め合わせる各野菜の分量(g)を人参;N1、パセリ;N2、ほうれん草;N3、かぼちゃ;N4、小松菜;N5、赤ピーマン;N6、ブロッコリー:N7、えだまめ;N8とし、カロテンを「β」、ビタミンCを「C」、カルシウムを「Ca」、カリウムを「K」、食物繊維を「F」、ビタミンB1を「B1」、ビタミンB2を「B2」、鉄分を「Fe」と略記すれば、β、C、Ca、K、F、B1、B2、Feの含有量は下式によって概算することができる。
【0015】
「β」82N1+74N2+42N3+40N4+31N5
「C」1.2N2+1.7N6+1.2N7
「Ca」2.9N2+1.7N5+0.58N8
「K」10N2+6.9N3+5.0N5+5.9N8
「F」0.068N2+0.035N4+0.044N7+O.05N8
「B1」0.0012N2+0.0014N7+0.0031N8
「B2」0.0024N2+0.002N3+0.002N7+0.0018N8
「Fe」0.075N2+0.02N3+0.028N5+0.01N7+0.027N8
N1+N2+N3+N4+N5+N6+N7+N8>350
ここで、本実施形態の栄養補給食品に詰め合わされる野菜を、人参、パセリ、ほうれん草、かぼちゃ、小松菜、赤ピーマン、ブロッコリー、えだまめの8種類としているが、詰め合わされる野菜は、必ずしもそれら8種類の野菜に限定する必要はなく、必要な栄養成分を含有するものであれば、それら8種類の野菜に替えて他の野菜を詰め合わせてもよいし、それらの8種類の野菜のほかに別の野菜を付け加えてもよい。
【0016】
以下に、本実施形態の栄養補給食品に詰め合わされる野菜の分量の例を示す。
[実施例1]
各野菜の分量(g)を、人参;50g、パセリ;5g、ほうれん草;80g、かぼちゃ;70g、小松菜;70g、赤ピーマン;10g、ブロッコリー;70g、えだまめ70gとし、野菜摂取量を425gとする。
この詰め合わせ例では、成人1日に必要な栄養量を、βカロテンは100%以上、ビタミンCは、100%、カルシウムは、30%、カリウムは、70%、食物繊維は、40%、ビタミンB1は、20%、ビタミンB2は、40%、鉄分は、50%確保できる。ちなみに、カルシウムは、乳製品又は豆類により、カリウムは、いも類その他の野菜により、食物繊維は、果実やその他の野菜類により摂取する。
【0017】
[実施例2]
各野菜の分量(g)を、人参;50g、パセリ;5g、ほうれん草;80g、小松菜;80g、赤ピーマン;10g、ブロッコリー;90g、えだまめ90gとし、野菜摂取量を405gとする。
この詰め合わせ例では、成人1日に必要な栄養量を、βカロテンは100%以上、ビタミンCは、130%、カルシウムは、40%、カリウムは、80%、食物繊維は、35%、ビタミンB1は、40%、ビタミンB2は、80%、鉄分は、60%確保できる。
【0018】
[実施例3]
各野菜の分量(g)を、パセリ;5g、ほうれん草;80g、かぼちゃ;70g、小松菜;80g、赤ピーマン;10g、ブロッコリー;90g、えだまめ90gとし、野菜摂取量を425gとする。
この詰め合わせ例では、成人1日に必要な栄養量を、βカロテンは100%以上、ビタミンCは、130%、カルシウムは、40%、カリウムは、80%、食物繊維は、45%、ビタミンB1は、40%、ビタミンB2は、80%、鉄分は、60%確保できる。
【0019】
[実施例4]
各野菜の分量(g)を、パセリ;5g、ほうれん草;80g、小松菜;80g、赤ピーマン;10g、ブロッコリー;90g、えだまめ90gとし、野菜摂取量を355gとする。
この詰め合わせ例では、成人1日に必要な栄養量を、βカロテンは100%以上、ビタミンCは、130%、カルシウムは、40%、カリウムは、80%、食物繊維は、35%、ビタミンB1は、40%、ビタミンB2は、80%、鉄分は、60%確保できる。
【0020】
[ブロックの成形]
図1は、ブロックを形成する型枠の一例を示す図であり、図2は型枠で成形されたブロックの一例を示す図である。
図1に一例を示す型枠1は、四囲を囲まれた所定サイズの枡10が複数形成されたもので、各枡10に調理された野菜を入れ、加圧部材2で野菜を押圧して成形するために使用する。この型枠1は、本実施形態では、小松菜、ホウレン草、人参、かぼちゃを成形し、ブロックを作成するとき使用する。
図2に一例を示すブロック3は、図1に示した型枠1で野菜を成形した後、その型枠1から取り外した、成形された野菜の塊である。
小松菜とホウレン草は、水で洗浄し、高温の蒸気で加熱したもの又は湯煮したものを裁断し、小松菜とホウレン草それぞれを別々の型枠1の各枡10に入れ、加圧部材2で圧力を加えて脱水し、小松菜とホウレン草それぞれのブロック3を作成する。ここで、型枠1に入れて脱水した小松菜とホウレン草それぞれは、一旦凍結した後に、型枠2から取り外してブロック3を形成することにしてもよい。
人参は、水で洗浄した後、乱切りし、調味料を加えて煮る。やわらかくなったら、型枠1の各枡10に入れ、加圧部材2で圧力を加えて押しつぶし、人参のブロック3を形成する。
かぼちゃは、裁断して、種子を除去した後、水で洗浄し、調味料を加えて煮る。やわらかくなったら、型枠1の各枡10に入れ、加圧部材2で圧力を加えて押しつぶし、かぼちゃのブロック3を形成する。
【0021】
図3は、ブロックに裁断される前のゲル化された野菜の一例を示す図である。
図3に示すように、それ自体では、塊としてまとまりにくい野菜は、ゼラチンや卵白で固めたゲル化野菜4を裁断して、所定サイズのブロック3を形成する。
ブロッコリーと赤ピーマンは、水で洗浄し、裁断した後、高温の蒸気で加熱するか或は湯煮する。一方、水の入った2つのバットそれぞれにゼラチンの粉末又は顆粒を入れ、ゼラチン溶液を作成する。そして、そのゼラチン溶液それぞれに調味料を加え、加熱撹拌しながら、一方のバットにはブロッコリーを入れ、他方のバットには赤ピーマンを入れる。ゼラチン溶液のあら熱が無くなったら、容器全体を冷やし、ブロッコリーと赤ピーマンそれぞれを別々にゼラチンで固める。ゼラチンで固めたブロッコリーと赤ピーマンそれぞれのゲル化野菜4をバットから取り出して所定サイズに裁断し、ブロッコリーと赤ピーマンそれぞれのブロック3を形成する。
なおゼラチンは、ヒラメ、鮭、すずきなどの皮、サメの軟骨、鶏の手羽、軟骨又は靭帯や腱などの結合組織から抽出したものであり、ゼラチンの栄養成分は、大部分がタンパク質であり、胃や腸で分解されコラーゲンを組成する。
えだまめは、塩ゆでしたもの、あるいは圧力を加えて押しつぶしたものを、調味料を加えて加熱撹拌したゼラチン溶液に入れる。そして、ゼラチン溶液のあら熱が無くなったら、バット全体を冷やし、ゼラチンで固める。ゼラチンで固めたえだまめのゲル化野菜4をバットから取り出して所定サイズに裁断し、えだまめのブロック3を形成する。
パセリは、水で洗浄し、微塵切りにしたものを、調味料を加えて加熱撹拌したゼラチン溶液に入れる。そして、ゼラチン溶液のあら熱が無くなったら、バット全体を冷やし、ゼラチンで固める。ゼラチンで固めたパセリのゲル化野菜4をバットから取り出して所定サイズに裁断し、パセリのブロック3を形成する。
ここで、ブロッコリー、赤ピーマン、えだまめ、パセリは、ゼラチンで固めてブロックを形成しているが、卵白を水で希釈し、調味料を加えて加熱撹拌した卵白液に入れて固め、所定サイズに裁断してそれぞれのブロック3を形成することにしてもよい。
【0022】
[ブロックを詰め合わせて全体をゲル化]
図4は、野菜のブロックを詰め合わせたプラスチック容器の一例を示す図であり、図5は、ゲル化剤でブロック全体を固めたものをプラスチック容器から取り出した本実施形態の栄養補給食品の一例を示す図である。
図4に示す本実施形態の栄養補給食品が収容されるプラスチック容器5は、高さ、幅、長さが野菜のブロック3を一列に並べて収容した場合のブロック全体のサイズよりもそれぞれ大きい収容室6を有する。
【0023】
図5に示す本実施形態の栄養補給食品7を製造するには、まず、100ccの水に対して約1gの割合の粉寒天と、調味料とを入れ、撹拌・混合しながら90度前後まで加熱し、70〜80度まで冷やした寒天溶液(本発明のゲル化剤に相当する。)を作成する。そして、プラスチック容器5に、その寒天溶液を少し注入し、底が寒天溶液で覆われた状態なったら、ブロック3が形成された人参、パセリ、ほうれん草、かぼちゃ、小松菜、赤ピーマン、ブリッコリー、及びえだまめを、任意の順序で一列に密着させて詰め合わせる。次に、そのプラスチック容器5に寒天溶液を、開口面すれすれまで注入し、収容されたブロック3全体が寒天液で覆われるようにする。寒天液の温度がある程度下がったら、プラスチック容器5の開口面を、シール剤が塗布されたフィルム(図にはあらわしていないが、本発明の蓋に相当する。)で封止し、密閉する。密封された栄養補給食品7は、低温で保存される。本実施形態の栄養補給食品6は、プラスチック容器から取り出して、そのまま食べることができるので、何時でも食べることができるうえ、携行すれば、何処でも食べることができる。
ここで、本実施形態の栄養補給食品7は、詰め合わせる野菜を人参、パセリ、ほうれん草、かぼちゃ、小松菜、赤ピーマン、ブリッコリー、及びえだまめとしているが、必ずしもこれらの8種類に限定する必要はなく、これら以外の野菜を付け加えてもよいし、これらの野菜の何れかを別の野菜に替えてもよい。
【符号の説明】
【0024】
1 型枠
2 押圧部材
3 ブロック
4 ゲル化野菜
5 プラスチック容器
6 収容室
7 栄養補給食品
【産業上の利用可能性】
【0025】
保存食、非常食、機内食、病人食として活用することができるほか、おかずやおやつにも好適である。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
各種野菜を各別に調理し、調理された該野菜それぞれを所定サイズのブロックに成形し、成形されたそれぞれの該ブロックを容器に一緒に詰め合わせた後、該容器に注入されたゲル化剤で該ブロック全体を覆ったことを特徴とする栄養補給食品。
【請求項2】
前記野菜には、抗酸化物質、カルシウム、カリウム、又は食物繊維を含有する野菜が含まれることを特徴とする請求項1記載の栄養補給食品。
【請求項3】
前記野菜には、βカロテンその他の抗酸化ビタミン、カプサンチン、又はルテインを含有する人参、パセリ、ほうれん草、かぼちゃ、小松菜、赤ピーマン及びブロッコリーが含まれることを特徴とする請求項2記載の栄養補給食品。
【請求項4】
前記野菜には、カルシウム、カリウム、又は食物繊維を含有する小松菜、えだまめ、パセリ、ほうれん草、ブロッコリー、及びかぼちゃが含まれることを特徴とする請求項2記載の栄養補給食品。
【請求項5】
前記容器には、調理された少なくとも人参、パセリ、ほうれん草、かぼちゃ、小松菜、赤ピーマン、ブリッコリー、及びえだまめそれぞれの前記ブロックが詰め合わされることを特徴とする請求項1記載の栄養補給食品。
【請求項6】
調理された赤ピーマン、ブリッコリー、パセリ、及びえだまめそれぞれの前記ブロックは、ゼラチン又は卵白で固めた後、前記サイズに裁断して成形することを特徴とする請求項5記載の栄養補給食品。
【請求項7】
調理された小松菜、ほうれん草、人参、及びかぼちゃは、各別に前記所定サイズの型枠に圧入して前記ブロックに成形することを特徴とする請求項5記載の栄養補給食品。
【請求項8】
調理された小松菜、ほうれん草、人参、及びかぼちゃは、各別に所定の型枠に圧入した後に冷凍し、前記ブロックを成形することを特徴とする請求項5記載の栄養補給食品。
【請求項9】
前記容器は、前記ブロックを所定数、一列に並べて詰め合わせる容器本体と、該容器本体を密封する蓋とを有するものであって、該容器本体は、詰め合わされるブロック全体のサイズよりも、高さ、幅、長さが何れも大きい収容室を有することを特徴とする請求項1から8のうちの何れか1項記載の栄養補給食品。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公開番号】特開2013−94142(P2013−94142A)
【公開日】平成25年5月20日(2013.5.20)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−241851(P2011−241851)
【出願日】平成23年11月4日(2011.11.4)
【特許番号】特許第5073852号(P5073852)
【特許公報発行日】平成24年11月14日(2012.11.14)
【出願人】(511123555)株式会社 片岡 (2)
【Fターム(参考)】