説明

栓付き容器

【課題】 容器の口部に栓を確実に装着させる。
【解決手段】口部(2)の内壁面にて挿入、嵌合させる栓を備えた容器において、前記口部(2)の内壁面(2a)に、栓を挿入する向きに沿って少なくとも上下2段になる凹部(t)(t)を設ける。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、栓付きの容器に関し、該栓の容器の口部に対する確実な嵌合を実現しようとするものである。
【背景技術】
【0002】
容器本体を合成樹脂にて成形しその口部に栓を装着した容器は、マスカラやアイライナー等の化粧料容器や飲料、洗剤等を充填するボトル型の容器として様々な用途において使用されている。
【0003】
栓を容器の口部に装着するに当たっては、容器を成形するに際して予めその口部の内壁面に凹部(溝または凹み)を設け、栓の胴部に設けた凸部をその凹部に嵌合させることによって密封、固定保持するようにしている(例えば特許文献1参照)。
【特許文献1】実開平5─82842号公報
【0004】
ところで、この種の容器は、普通、成形金型の使用によるブロー成形法やインジェクション成形法が適用されて製造されており、成形にかかわる容器を金型から取り出す際には、容器の口部が押し広げられつつ金型が抜き取られる。このため口部の内壁面に形成された凹部に金型の凸部が引っ掛かって形状が変形(ダレ)してしまうこともあり、栓との適切な嵌合がなされない不具合がある。
【0005】
これに対処するため従来は、金型から抜き取った容器の全てを対象にして後加工が施されており、製造工程の簡素化を図るにも限界がある。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明の課題は、栓を装着するタイプの容器において従来生じていた上述の如き不具合を解消できる新規な容器を提案するところにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明は、口部の内壁面にて挿入、嵌合させる栓を備えた容器であって、前記口部の内壁面に、栓を挿入する向きに沿って少なくとも上下2段になる凹部を設けたことを特徴とする栓付き容器であり、凹部は、下段に位置する凹部のへこみ代が上段に位置するものに比較してより小さいものが好ましい。
【発明の効果】
【0008】
成形にかかる容器を金型から抜き取る際に、栓を嵌合させる凹部が変形をきたすことがないので、栓を容器の口部に確実に嵌合させることができる。
【0009】
また、凹部の変形を手直しする後加工が必要ないので製造工程の簡素化を図ることが可能になる。
【発明の実施の形態】
【0010】
以下、図面を用いて本発明をより具体的に説明する。
【0011】
図1は本発明に従う栓付きの容器の一部分を断面にして示した図である。図において1は容器本体、2は容器本体1と一体的に成形された口部であり、この口部2の内壁面2aには上下2段になる凹部t、tが設けられている。
【0012】
また、3は口部2より挿入されその内壁面2aにて嵌合させるノズルタイプの例で示した栓(以下、この栓を中栓という。)である。この中栓3はインジェクション成形法を適用して成形することができるものであって、中栓3の胴部には口部2の内壁面2aに設けられた凹部t、tに適合する凸部3aが一体的に設けられている。
【0013】
図2に示すような従来型の容器では、容器の製造に際してその口部から金型Kを抜き取るとき、図3に示すように金型Kの凸部にて容器の口部が押し広げられ、その際に金型の凸部が口部の内壁面に設けられた凹部に引っ掛かるためその部位における傷やダレ等の変形が避けられなかったのであるが、本発明では成形にかかわる容器の口部2と金型Kとの関係は図4に示すような状態にあるものの、該金型Kが抜き取られるとき、金型Kの下部に設けられた凸部により容器の口部2は図5に示すような状態で押し広げられ、口部2の先端に最も近い凹部tについては金型Kの上部の凸部によって変形を受けるような接触は回避されることになる。
【0014】
金型の抜き取りに際してその下側の凸部は口部2の上側の凹部tに接触はするものの、凹部tの凹み代sは図4に示すごとく凹部tの凹み代s′よりも小さいので上側の凹部tが中栓との嵌合に大きな影響を与えるような変形をきたすことはない。
【0015】
口部2の内壁に設けた凹部t、tはともにその周りにおいて連続的につながる環状凹部でもよいし、所定の間隔をおいて複数個配置される局所的なものであってもかまわず、本発明においてはとくにこの点に関して限定はされない。
【0016】
下段の凹部tの凹み代sは上段の凹部tの凹み代s′の50%よりも小さくするのが好ましい。
【産業上の利用可能性】
【0017】
容器の口部に対して栓を確実に嵌合させることができる容器が提供できる。
【図面の簡単な説明】
【0018】
【図1】本発明に従う容器の構成説明図である。
【図2】従来容器の要部の断面を示した図である。
【図3】従来容器の口部における金型の取り外し状況を示した図である。
【図4】本発明に従う容器の口部と金型の配置状況を示した図である。
【図5】金型の取り外し状態を示した図である。
【符号の説明】
【0019】
1 容器本体
2 口部
2a 内壁面
3 ノズルタイプの中栓
3a 凸部
凹部
凹部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
口部の内壁面にて挿入、嵌合させる栓を備えた容器であって、
前記口部の内壁面に、栓を挿入する向きに沿って少なくとも上下2段になる凹部を設けたことを特徴とする栓付き容器。
【請求項2】
凹部は、下段に位置する凹部のへこみ代が上段に位置するものに比較してより小さいものである、請求項1記載の容器。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公開番号】特開2006−89109(P2006−89109A)
【公開日】平成18年4月6日(2006.4.6)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2004−279594(P2004−279594)
【出願日】平成16年9月27日(2004.9.27)
【出願人】(000006909)株式会社吉野工業所 (2,913)
【Fターム(参考)】