説明

核医学イメージング装置および核医学イメージング方法

【課題】再撮影を行なうことなくPET画像の補正を行なうこと。
【解決手段】実施例の核医学イメージング装置において、ADC15は、各光検出器の出力データをデジタルデータに変換する。計数情報収集部16は、デジタルデータから計数結果を収集し、計数情報記憶部24は、計数結果をデジタルデータと対応付けて記憶する。同時計数情報生成部25は、同時計数情報を生成する。画像再構成部26は、同時計数情報に基づいて、PET画像を再構成する。時間補正データ27cは、光検出器ごとの補正時間を記憶する。システム制御部28は、補正時間を用いて、各計数情報に対応付けられたデジタルデータからガンマ線の検出時間を補正することで新たな同時計数情報を生成させる。システム制御部28は、同時計数情報生成部25が生成した新たな同時計数情報に基づいて、新たな核医学画像を再構成させる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明の実施の形態は、核医学イメージング装置および核医学イメージング方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、被検体の生体組織における機能診断を行なうことができる医用画像診断装置として、ポジトロンエミッションCT装置(PET装置、PET:Positron Emission computed Tomography)が知られている。具体的には、PET検査では、陽電子放出核種で標識された薬剤が被検体に投与される。そして、PET装置は、薬剤から放出された陽電子が電子と結合して消滅する際に、ほぼ反対方向に放出する511keVの一対のガンマ線を検出することで、薬剤を取り込んだ被検体の組織分布を示す画像(PET画像)の再構成を行なう。
【0003】
より具体的には、PET装置は、ほぼ反対方向に放出する511keVの一対のガンマ線を、被検体の周囲にリング状に配置されたフォトンカウンティング(photon counting)方式の検出器モジュールからなる検出器を用いて同時計数する。そして、PET装置は、同時計数したガンマ線のデータ(同時計数情報)を演算処理することにより、PET画像の再構成を行なう。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2007−107995号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、従来のPET装置では、ハードウェアによって構成された同時計数回路により生成された同時計数情報しか保存することができない。すなわち、従来のPET装置では、同時計数でないとされた検出器モジュールからの出力結果は、破棄されてしまうので、時間ウィンドウ幅やエネルギーウィンドウ幅などの同時計数用のパラメータを変化させた同時計数情報を作成することができない。
【0006】
このため、従来のPET装置では、PET画像を読影する読影者の要望に応じてPET画像を画像補正するためにPET画像の再撮影を行なう必要があった。
【課題を解決するための手段】
【0007】
実施の形態の核医学イメージング装置は、検出器と、変換器と、計数情報収集部と、計数情報記憶部と、同時計数情報生成部と、画像再構成部と、時間補正データ記憶部と、制御部とを有する。検出器は、被検体に投与された陽電子放出核種から放出されるガンマ線に由来する光の計数結果をアナログデータとして出力する光検出器を複数有する検出器モジュールが複数配列される。変換器は、各光検出器が出力したアナログデータをデジタルデータに変換する。計数情報収集部は、前記変換器が出力した前記光検出器ごとのデジタルデータから、前記検出器におけるガンマ線の検出位置、前記検出器にガンマ線が入射した時点における当該ガンマ線のエネルギー値および前記検出器がガンマ線を検出した検出時間を前記検出器の計数結果として収集する。計数情報記憶部は、前記計数情報収集部が収集した前記計数結果を、当該計数結果を収集するために用いられたデジタルデータと対応付けて記憶する。同時計数情報生成部は、前記計数情報記憶部が記憶する前記計数情報におけるエネルギー値および検出時間に基づいて、前記陽電子放出核種から放出された一対のガンマ線が同時に計数された計数情報の組み合わせを検索することで同時計数情報を生成する。同時計数情報記憶部は、前記同時計数情報生成部が生成した前記同時計数情報を記憶する。画像再構成部は、前記同時計数情報記憶部が記憶する前記同時計数情報に基づいて、核医学画像を再構成する。時間補正データ記憶部は、前記検出器が有する光検出器ごとのガンマ線の検出時間を補正するための時間補正データを記憶する。制御部は、前記時間補正データ記憶部が記憶する前記時間補正データを用いて、前記計数情報記憶部が記憶する各計数情報に対応付けられたデジタルデータからガンマ線の検出時間を補正することで新たな同時計数情報を生成するように前記同時計数情報生成部を制御し、前記同時計数情報生成部が生成した前記新たな同時計数情報に基づいて、新たな核医学画像を再構成するように画像再構成部を制御する。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【図1】図1は、本実施例に係るPET装置の構成を説明するための図である。
【図2】図2は、検出器モジュールを説明するための図である。
【図3】図3は、ADCを説明するための図である。
【図4】図4は、計数情報収集部を説明するための図である。
【図5】図5は、計数情報収集部による検出時間の計測を説明するための図(1)である。
【図6A】図6Aは、計数情報収集部による検出時間の計測を説明するための図(2)である。
【図6B】図6Bは、計数情報収集部による検出時間の計測を説明するための図(3)である。
【図6C】図6Cは、計数情報収集部による検出時間の計測を説明するための図(4)である。
【図6D】図6Dは、計数情報収集部による検出時間の計測を説明するための図(5)である。
【図7】図7は、計数情報記憶部を説明するための図である。
【図8A】図8Aは、同時計数情報データを説明するための図(1)である。
【図8B】図8Bは、同時計数情報データを説明するための図(2)である。
【図9】図9は、光電子増倍管の補正時間の第1の計測方法を説明するための図である。
【図10】図10は、光電子増倍管の補正時間の第2の計測方法を説明するための図である。
【図11】図11は、時間補正データを説明するための図である。
【図12】図12は、制御部による同時計数情報生成制御を説明するための図(1)である。
【図13】図13は、制御部による同時計数情報生成制御を説明するための図(2)である。
【図14】図14は、本実施例に係るPET装置の処理を説明するためのフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、添付図面を参照して、核医学イメージング装置の実施例を詳細に説明する。なお、以下では、核医学イメージング装置であるPET(Positron Emission computed Tomography)装置を、実施例として説明する。
【実施例】
【0010】
PET装置は、被検体に投与された陽電子放出核種を取り込んだ組織から放出される一対のガンマ線を同時計数することで、陽電子放出核種を取り込んだ組織の分布を示すPET画像の再構成を行なう装置である。そして、本実施例に係るPET装置は、再撮影を行なうことなくPET画像の補正を行なう。
【0011】
以下、本実施例に係るPET装置の構成を、図1などを用いて説明する。図1は、本実施例に係るPET装置の構成を説明するための図である。図1に示すように、本実施例に係るPET装置は、架台装置10と、コンソール装置20とを有する。
【0012】
架台装置10は、被検体Pに投与され、被検体Pの生体組織に選択的に取り込まれた陽電子放出核種から放出される一対のガンマ線を所定のモニタリング期間において計数する装置であり、天板11と、寝台12と、寝台駆動部13と、検出器モジュール14と、ADC15と、計数情報収集部16とを有する。なお、架台装置10は、図1に示すように、撮影口となる空洞を有する。
【0013】
天板11は、被検体Pが横臥するベッドであり、寝台12の上に配置される。寝台駆動部13は、後述する寝台制御部23の制御のもと、天板11を移動することにより、被検体Pを架台装置10の撮影口内に移動させる。
【0014】
検出器モジュール14は、被検体Pから放出されるガンマ線を検出するフォトンカウンティング(photon counting)方式の検出器であり、架台装置10においては、複数の検出器モジュール14が、被検体Pの周囲をリング状に取り囲むように配置される。以下では、複数の検出器モジュール14をまとめて、単に検出器と記載する場合がある。なお、複数の検出器モジュール14は、リング状に配置される場合に限定されるものではない。例えば、検出器は、複数の検出器モジュール14がパーシャルリング状に配置される場合であっても良い。或いは、例えば、検出器は、平板上に配列された複数の検出器モジュール14が2組、被検体Pを挟んで、配置される場合であっても良い。図2は、検出器モジュールを説明するための図である。
【0015】
具体的には、検出器モジュール14は、図2に示すように、シンチレータ141と、光検出器としての光電子増倍管142(PMT:Photomultiplier Tube)と、ライトガイド143とを有するアンガー型の検出器である。
【0016】
シンチレータ141は、被検体Pから放出されて入射したガンマ線を可視光に変換するNaI(Sodium Iodide)やBGO(Bismuth Germanate)、LYSO(Lutetium Yttrium Oxyorthosilicate)、LSO(Lutetium Oxyorthosilicate)、LGSO(Lutetium Gadolinium Oxyorthosilicate)などが、図2に示すように、2次元に複数配列されている。また、光電子増倍管142は、シンチレータ141から出力された可視光を増倍して電気信号に変換する装置であり、図2に示すように、ライトガイド143を介して稠密に複数個配置されている。ライトガイド143は、シンチレータ141から出力された可視光を光電子増倍管142に伝達するために用いられ、光透過性に優れたプラスチック素材などからなる。
【0017】
なお、光電子増倍管142は、シンチレーション光を受光し光電子を発生させる光電陰極、発生した光電子を加速する電場を与える多段のダイノード、および電子の流れ出し口である陽極から成っている。光電効果により光電陰極から放出された電子は、ダイノードに向って加速されてダイノードの表面に衝突し、複数の電子を叩き出す。この現象が多段のダイノードに渡って繰り返されることにより、なだれ的に電子数が増倍され、陽極での電子数は、約100万にまで達する。かかる例では、光電子増倍管142の利得率は、100万倍となる。また、なだれ現象を利用した増幅のためにダイノードと陽極との間には、通常600ボルト以上の電圧が印加される。
【0018】
このように、検出器モジュール14は、ガンマ線をシンチレータ141により可視光に変換し、変換した可視光を光電子増倍管142により電気信号に変換することで、被検体Pから放出されたガンマ線の数を計数する。なお、光電子増倍管142は、時系列に沿って電気信号の強度が電圧値で表された波形のアナログデータを出力する。
【0019】
図1に戻って、ADC15は、A/D変換器(Analog/Digital Convertor)であり、各光電子増倍管142が出力したアナログデータをデジタルデータに変換する。具体的には、ADC15は、高速処理が可能なデジタルオシロスコープであり、例えば、ASCチップである。図3は、ADCを説明するための図である。
【0020】
図3の左図は、光電子増倍管142が出力するアナログデータの一例である。ADC15は、アナログデータを高速度でサンプリングすることで、図3の右図に示すように、アナログデータの信号波形が推定可能なデジタルデータを生成する。
【0021】
図1に戻って、計数情報収集部16は、ADC15が出力した光電子増倍管142ごとのデジタルデータから、検出器におけるガンマ線の検出位置、検出器にガンマ線が入射した時点における当該ガンマ線のエネルギー値および検出器がガンマ線を検出した検出時間を、検出器の計数結果として収集する。
【0022】
具体的には、計数情報収集部16は、ガンマ線の検出器モジュール14における検出位置と、ガンマ線が検出器モジュール14に入射した時点におけるエネルギー値と、ガンマ線の検出器モジュール14における検出時間とを、複数の検出器モジュール14の計数結果に基づく計数情報として収集する。
【0023】
まず、計数情報収集部16は、検出器モジュール14の計数結果から検出位置を収集するために、デジタルデータを用いて、アンガー型位置計算処理を行なう。具体的には、計数情報収集部16は、図4に示すように、シンチレータ141のシンチレーション光を同じタイミングで電気信号に変換出力した各光電子増倍管142の位置および電気信号の強度に対応するガンマ線のエネルギー値から重心の位置を演算することで、ガンマ線が入射したシンチレータの位置を示すシンチレータ番号(P)を計測する。なお、計数情報収集部16は、光電子増倍管142が位置検出型光電子増倍管である場合、検出位置の収集を位置検出型光電子増倍管で行なう。
【0024】
また、計数情報収集部16は、各光電子増倍管142が出力した電気信号のデジタルデータを、演算処理(積分処理および微分処理)をすることで生成される波形の波高を算出する。そして、計数情報収集部16は、算出した波高を、検出器モジュール14に入射したカンマ線のエネルギー値(E)として計測する。
【0025】
また、計数情報収集部16は、検出器モジュール14がガンマ線を検出した検出時間(T)を計測する。ここで、検出時間(T)は、絶対時間(時刻)である場合であってもよいし、PET画像の撮影開始時点からの相対時間であってもよいが、計数情報収集部16は、検出時間(T)を、例えば、10−12秒(psec)単位の精度にて収集する。
【0026】
かかる処理により、計数情報収集部16は、図4に示すように、検出器モジュール14を一意に特定するための「モジュールID」に対応付けた『「P:シンチレータ番号」、「E:エネルギー値」および「T:検出時間」』を計数情報として収集する。
【0027】
ここで、上記した検出時間の計測について、図5および図6を用いて、詳細に説明する。図5、図6A、図6B、図6Cおよび図6Dは、計数情報収集部による検出時間の計測を説明するための図である。計数情報収集部16は、予め測定された検出器モジュール14ごとの補正時間を用いて、デジタルデータの時間補正を行なう。例えば、PET装置の管理者は、Ge(ゲルマニウム)が内包された点線源を用いて、検出器モジュール14ごとの検出時間差を計測する。例えば、点線源は、リング状に配置された複数の検出器モジュール14の略中心となる位置に設置される。そして、計数情報収集部16は、検出器モジュール14が点線源から放出されたガンマ線の検出時間を、デジタルデータを用いて計測する。これにより、計数情報収集部16は、複数の検出器モジュール14間の検出時間差を計測する。
【0028】
そして、計数情報収集部16は、図5に示すように、計測した検出時間差を用いて、検出器モジュール14ごとにデジタルデータの時間補正を行なう。図5に示す一例は、補正対象の検出器モジュール14の検出時間が真の検出時間より早まっている検出器モジュール14のデジタルデータに対して時間補正が行なわれた場合を示している。
【0029】
そして、計数情報収集部16は、時間補正後のデジタルデータに対して、予め設定された検出時間計測方法によりガンマ線の検出時間を計測する。例えば、計数情報収集部16は、図6Aに示すように、予め設定された電圧値の閾値(TH)となった時点をガンマ線の検出時間(T)として計測する。なお、以下では、閾値を用いる方法を「方法1」と記載する。
【0030】
あるいは、計数情報収集部16は、図6Bに示すように、時間補正後のデジタルデータの立ち上がり部分のプロットを直線で近似する。かかる近似直線は、アナログデータの立ち上がりの傾きを反映したものとなる。そして、計数情報収集部16は、図6Bに示すように、近似曲線とGND(Ground)線とが交差する時点(交点)をガンマ線の検出時間(T)として計測する。なお、以下では、傾きを用いる方法を「方法2」と記載する。
【0031】
あるいは、計数情報収集部16は、図6Cに示すように、時間補正後のデジタルデータにおける電圧値が極値となる時間をガンマ線の検出時間(T)として計測する。なお、極値を用いる場合、計数情報収集部16は、図6Dに示すように、最小二乗法などにより近似曲線を算出することで、極値となる時間を計測する。また、閾値を用いる場合も、計数情報収集部16は、デジタルデータから近似曲線を算出することでガンマ線の検出時間を計測する。なお、以下では、極値を用いる方法を「方法3」と記載する。
【0032】
ここで、アナログデータは、必ずしも滑らかな曲線とはならない。そこで、計数情報収集部16は、時間補正後のデジタルデータを波形フィルター処理することで、滑らかな波形に整形した後に、上記の3つの方法のいずれかを用いて、検出時間を計測する場合であってもよい。
【0033】
すなわち、計数情報収集部16が検出時間に用いる検出時間計測条件は、検出器モジュール14ごとの補正時間と、検出時間計測方法との組み合わせにより決定される。なお、検出時間計測方法は、上記の3つの方法のいずれの方法を、波形フィルター処理無しで行なうのか、あるいは、如何なる種類の波形フィルターにより処理した後に行なうのかにより設定される。なお、計数情報収集部16の検出時間計測方法は、PET装置にて操作者により、予め設定された情報である。このよう設定された同一の検出時間計測方法により、計数情報収集部16は、検出時間を計測する。
【0034】
そして、計数情報収集部16は、収集した計数情報を、計数情報を収集するために用いたデジタルデータとともに、コンソール装置20(後述する計数情報記憶部24)に送信する。なお、送信されるデジタルデータは、ADC15が出力した時間補正前のデータである。
【0035】
図1に戻って、コンソール装置20は、操作者によるPET装置の操作を受け付けるとともに、架台装置10によって収集された計数情報からPET画像を再構成する装置である。
【0036】
具体的には、コンソール装置20は、図1に示すように、入力部21と、表示部22と、寝台制御部23と、計数情報記憶部24と、同時計数情報生成部25と、画像再構成部26と、データ記憶部27と、システム制御部28とを有し、コンソール装置20が有する各部は、内部バスを介して接続される。
【0037】
入力部21は、PET装置の操作者が各種指示や各種設定の入力に用いるマウスやキーボードなどを有し、操作者から受け付けた指示や設定の情報を、システム制御部28に転送する。例えば、入力部21は、操作者からPET画像を再構成する際の再構成条件や、画像補正を行なうための補正条件などを受け付ける。
【0038】
表示部22は、操作者によって参照されるモニタであり、システム制御部28による制御のもと、PET画像を操作者に表示したり、入力部21を介して操作者から各種指示や各種設定などを受け付けるためのGUI(Graphical User Interface)を表示したりする。
【0039】
寝台制御部23は、寝台駆動部13を制御することで、被検体Pを架台装置10の撮影口内に移動させる。
【0040】
計数情報記憶部24は、計数情報収集部16が収集した検出器モジュール14ごとの計数情報を、計数結果を収集するために用いられたデジタルデータと対応付けて記憶する。図7は、計数情報記憶部を説明するための図である。
【0041】
図7に示す一例では、「モジュールID」ごとに、計数情報と、計数情報を収集するために用いられたデジタルデータとが対応付けられて計数情報記憶部24に格納されている。例えば、計数情報記憶部24は、図7に示すように、「モジュールID:D1」の計数情報「P:P11、E:E11、T:T11」と、「P:P11、E:E11、T:T11」を収集するために用いられたデータ「P1a−1、・・・」とを対応付けて記憶している。また、計数情報記憶部24は、図7に示すように、「モジュールID:D2」の計数情報「P:P21、E:E21、T:T21」と、「P:P21、E:E21、T:T21」を収集するために用いられたデータ「P2c−1、・・・」とを対応付けて記憶している。なお、図中の「P」、「E」および「T」は、それぞれ「シンチレータ番号」、「エネルギー値」および「検出時間」を示す。また、例えば、「P1a−1」は、「モジュールID:D1」の検出器モジュール14が有する「ID:1a」の光電子増倍管142が「1」回目にガンマ線を計測したデータであることを示す。
【0042】
また、計数情報記憶部24は、図7に示すように、「モジュールID:D3」などの検出器モジュール14についても同様に、計数情報と当該計数情報を収集するために用いられたデジタルデータとを対応付けて記憶する。
【0043】
図1に戻って、同時計数情報生成部25は、計数情報記憶部24が記憶する計数情報におけるエネルギー値および検出時間に基づいて、陽電子放出核種から放出された一対のガンマ線が同時に計数された計数情報の組み合わせを検索することで、陽電子から放出された一対のガンマ線の入射方向を決定するための同時計数情報を生成する。
【0044】
具体的には、同時計数情報生成部25は、操作者が入力部21を介して入力した再構成条件に含まれる同時計数情報生成条件に基づいて、同時計数情報を生成する。ここで、同時計数情報生成条件には、時間ウィンドウ幅とエネルギーウィンドウ幅とが指定されている。例えば、同時計数情報生成部25は、同時計数情報生成条件として操作者が指定した「時間ウィンドウ幅:600psec、エネルギーウィンドウ幅:350keV〜550keV」を用いて同時計数情報を生成する。
【0045】
すなわち、同時計数情報生成部25は、図7に示す「モジュールID」ごとの「検出時間(T)」および「エネルギー値(E)」を参照して、検出時間の差が「時間ウィンドウ幅:600psec」以内であり、かつ、エネルギー値がともに「エネルギーウィンドウ幅:350keV〜550keV」にある計数情報の組み合わせを、モジュール間で検索する。これにより、同時計数情報生成部25は、同時計数情報を生成する。
【0046】
そして、同時計数情報生成部25は、生成した同時計数情報を、図1に示すデータ記憶部27に格納する。具体的には、同時計数情報生成部25は、生成した同時計数情報を、検出時間計測条件とともに、図1に示すデータ記憶部27の同時計数情報データ27aに格納する。ここで、検出時間計測条件は、上述したように、検出器モジュール14ごとの補正時間と、検出時間計測方法との組み合わせとなる。すなわち、同時計数情報データ27aは、同時計数情報を、当該同時計数情報の組み合わせ元の計数情報に対応付けられたデジタルデータからガンマ線の検出時間を計測する際に用いられた検出時間計測方法と対応付けてさらに記憶する。図8Aおよび図8Bは、同時計数情報データを説明するための図である。
【0047】
例えば、同時計数情報データ27aは、図8Aに示すように、「P:P11、E:E11、T:T11」と「P22、E:E22、T:T22」との組み合わせを、2つの消滅フォトンが同時計数された情報である同時計数情報として記憶する。そして、同時計数情報データ27aは、図8Aに示すように、「P:P11、E:E11、T:T11」の計数情報に対応付けられたデジタルデータからガンマ線の検出時間を計測する際に用いられた検出時間計測方法「DT1+M1」も記憶する。また、同時計数情報データ27aは、図8に示すように、「P22、E:E22、T:T22」の計数情報に対応付けられたデジタルデータからガンマ線の検出時間を計測する際に用いられた検出時間計測条件「DT2+M1」も記憶する。なお、「DT1」は、「ID:1」の検出器モジュール14の補正時間であり、「M1」は、検出時間計測方法の内容を示すデータである。例えば、「M1」は、波形フィルター処理無しの方法1に基づく検出時間計測方法である。
【0048】
なお、同時計数情報生成部25は、同時計数情報および検出時間計測条件とともに、同時計数情報の組み合わせ元の計数情報に対応付けられた光電子増倍管142のデジタルデータを同時計数情報データ27aに格納する場合であってもよい。これにより、同時計数情報データ27aは、例えば、「P:P11、E:E11、T:T11」と「P22、E:E22、T:T22」との同時計数情報を、図8Bに示すように記憶する。すなわち、同時計数情報データ27aは、図8Bに示すように、計数情報「P:P11、E:E11、T:T11」および検出時間計測方法「DT1+M1」に、デジタルデータ「P1a−1、・・・」を対応付けて記憶する。また、同時計数情報データ27aは、図8Bに示すように、計数情報「P22、E:E22、T:T22」および検出時間計測方法「DT1+M1」に、デジタルデータ「P2b−1、・・・」を対応付けて記憶する。
【0049】
図1に戻って、画像再構成部26は、同時計数情報生成部25が生成した同時計数情報を投影データとして同時計数情報データ27aから読み出して、読み出した投影データを、例えば、逐次近似法を用いることで、PET画像を再構成する。あるいは、画像再構成部26は、同時計数情報の検出時間の時間差を用いて、PET画像を再構成する。そして、画像再構成部26は、再構成したPET画像をデータ記憶部27の画像データ27bに格納する。
【0050】
システム制御部28は、架台装置10およびコンソール装置20の動作を制御することによって、PET装置の全体制御を行う。具体的には、システム制御部28は、寝台12の移動や、計数情報収集部16における計数情報の収集処理を制御する。また、システム制御部28は、入力部21を介して入力された操作者からの設定情報に基づいて、同時計数情報生成部25における同時計数情報の生成処理や画像再構成部26におけるPET画像の再構成処理を制御する。また、システム制御部28は、画像データ27bが記憶するPET画像を、表示部22に表示するように制御する。
【0051】
そして、システム制御部28は、図1に示す時間補正データ27cを用いることで、同時計数情報生成部25および画像再構成部26の制御を行なう。
【0052】
時間補正データ27cは、検出器が有する光電子増倍管142ごとのガンマ線の検出時間を補正するための補正時間を記憶する。すなわち、時間補正データ27cは、検出器モジュール14の時間補正をより正確に行なうためのデータとして、光電子増倍管142の補正時間を計測した結果を記憶する。以下、光電子増倍管142単位の補正時間の計測方法の具体例について図9および図10を用いて説明する。図9は、光電子増倍管の補正時間の第1の計測方法を説明するための図であり、図10は、光電子増倍管の補正時間の第2の計測方法を説明するための図である。
【0053】
第1の計測方法では、図9に示すように、計測対象となる光電子増倍管142の中心軸上にあるシンチレータ141の近傍に点線源30が置かれる。そして、第1の計測方法では、点線源30が置かれた絶対時間と、計測対象となる光電子増倍管142が点線源30から放出されたガンマ線の検出結果を出力した絶対時間との差が計測される。かかる計測を、すべての光電子増倍管142に対して行なう。
【0054】
これにより、例えば、図9に示すように、「ID:1」の検出器モジュール14が有する「PMTID:1a」の光電子増倍管142の補正時間が「t1a」として計測される。同様に、「ID:1」の検出器モジュール14が有する「PMTID:1b」の光電子増倍管142の補正時間が「t1b」として計測される。同様に、「ID:1」の検出器モジュール14が有する「PMTID:1c」の光電子増倍管142の補正時間が「t1c」として計測される。
【0055】
第2の計測方法では、図10に示すように、第1の計測方法と同様に、計測対象となる光電子増倍管142の中心軸上にあるシンチレータ141の近傍に点線源30が置かれる。さらに、点線源を挟み込むように、測定用基準モジュールが配置される。ここで、測定用基準モジュールは、各光電子増倍管の出力時間の誤差が略「0」となるように調整された検出器モジュール14である。そして、測定用基準モジュールの計測対象となる光電子増倍管142に対向する位置にある光電子増倍管の出力時間が計測される。また、計測対象となる光電子増倍管142の出力時間が計測される。そして、計測された出力時間の差が、例えば、図10に示すように、計測対象となる光電子増倍管142の補正時間「t1a」として計測される。
【0056】
そして、時間補正データ27cは、上述した第1の計測方法や第2の計測方法の結果を記憶する。図11は、時間補正データを説明するための図である。例えば、図11に示す一例では、時間補正データ27cは、「ID:1」の検出器モジュール14において、「PMTID:P1a」の光電子増倍管142の補正時間を「t1a」と記憶する。また、図11に示す一例では、時間補正データ27cは、「ID:2」の検出器モジュール14において、「PMTID:P2a」の光電子増倍管142の補正時間を「t2a」と記憶する。また、図11に示す一例では、時間補正データ27cは、「ID:3」の検出器モジュール14において、「PMTID:P3a」の光電子増倍管142の補正時間を「t3a」と記憶する。
【0057】
そして、図1に示すシステム制御部28は、時間補正データ27cが記憶する時間補正データを用いて、計数情報記憶部24が記憶する各計数情報に対応付けられたデジタルデータからガンマ線の検出時間を補正することで新たな同時計数情報を生成するように同時計数情報生成部25を制御する。図12および図13は、制御部による同時計数情報生成制御を説明するための図である。
【0058】
例えば、同時計数情報生成部25は、システム制御部28の制御により、図12に示すように、「PMTID:P3a」から出力されたアナログデータに由来するデジタルデータの時間補正を「t3a」により行なう。同時計数情報生成部25は、かかる処理を、計数情報記憶部24が記憶する各計数情報に対応付けられたデジタルデータすべてに対して実行する。
【0059】
そして、同時計数情報生成部25は、システム制御部28の制御により、計数情報収集部16が実行した検出時間計測方法により、光電子増倍管ごとの時間補正が行なわれたデジタルデータから、計数情報の検出時間の再計測を行なう。そして、同時計数情報生成部25は、システム制御部28の制御により、再計測された検出時間を用いて、新たな同時計数情報を生成する。例えば、図13に示すように、同時計数情報生成部25は、「P:P11、E:E11、T:T’11」と「P22、E:E22、T:T’22」との組み合わせの同時計数情報を生成し、「P:P12、E:E12、T:T’12」と「P32、E:E32、T:T’32」との組み合わせの同時計数情報を生成する。
【0060】
そして、システム制御部28は、同時計数情報生成部25が生成した新たな同時計数情報に基づいて、新たなPET画像を再構成するように画像再構成部26を制御する。画像再構成部26は、新たに生成したPET画像を画像データ27cに格納する。
【0061】
また、システム制御部28は、同時計数情報データ27aが記憶する検出時間計測方法と異なる新たな検出時間計測方法を受け付けた場合、以下の処理を行なう。例えば、検出時間計測方法「M1」を、ある種類の波形フィルター処理後のデジタルデータにて行なうと変更する場合、「M1」の閾値を変更する場合、「M1」から方法2を用いた検出時間計測方法「M2」に変更する場合などに、システム制御部28は、以下の処理を行なう。なお、新規の検出時間計測方法は、入力部21を介した操作者の入力処理により、システム制御部28に通知される。
【0062】
すなわち、システム制御部28は、時間補正データ27cが記憶する光電子増倍管142ごとの時間補正データおよび新たな検出時間計測方法を用いて、計数情報記憶部24が記憶する各計数情報に対応付けられたデジタルデータからガンマ線の検出時間を再計測することで新たな同時計数情報を生成するように同時計数情報生成部25を制御する。
【0063】
なお、計数情報収集部16が収集した計数情報に基づいて再構成されたPET画像と、新たに再構成されたPET画像とは、システム制御部28の制御により、両方とも表示部22にて表示される場合であっても、新たに再構成されたPET画像のみが表示部22にて表示される場合であってもよい。
【0064】
また、同時計数情報データ27aは、新たに生成された同時計数情報と、デジタルデータの補正に用いた補正時間と、新たな検出時間計測方法とを対応付けて記憶する。なお、同時計数情報データ27aは、新たに生成された同時計数情報と、デジタルデータの補正に用いた補正時間と、新たな検出時間計測方法とともに、さらに、同時計数情報の組み合わせ元の計数情報に対応付けられた光電子増倍管142のデジタルデータを対応付けて記憶してもよい。
【0065】
次に、図14を用いて、本実施例に係るPET装置の処理の流れについて説明する。図14は、本実施例に係るPET装置の処理を説明するためのフローチャートである。
【0066】
図14に示すように、実施例1に係るPET装置は、入力部21を介して、PET画像の撮影要求を受け付けたか否かを判定する(ステップS101)。ここで、PET画像の撮影要求を受け付けない場合(ステップS101否定)、PET装置は、待機状態となる。一方、PET画像の撮影要求を受け付けた場合(ステップS101肯定)、検出器は、被検体Pから放出されたガンマ線を検出する。そして、複数の光電子増倍管142は、時系列に沿って電気信号の強度が電圧値で表された波形のアナログデータを出力する。
【0067】
そして、ADC15は、光電子増倍管142のアナログデータをデジタルデータに変換し(ステップS102)、計数情報収集部16は、計数情報を収集する(ステップS103)。
【0068】
その後、計数情報収集部16は、計数情報記憶部24に、収集した計数情報を光電子増倍管142のデジタルデータに対応付けて格納し(ステップS104)、同時計数情報生成部25は、計数情報記憶部24が記憶する計数情報から、同時計数情報を生成する(ステップS105)。
【0069】
続いて、同時計数情報生成部25は、同時計測データ27aに、生成した同時計数情報を検出時間計測条件に対応付けて格納し(ステップS106)、画像再構成部26は、同時計測データ27aが記憶する同時計数情報からPET画像を再構成する(ステップS107)。
【0070】
そして、システム制御部28は、入力部21を介して操作者から新たな検出時間計測方法を受け付けたか否かを判定する(ステップS108)。
【0071】
ここで、新たな検出時間計測方法を受け付けた場合(ステップS108肯定)、同時計数情報生成部25は、システム制御部28の制御により、PMT(光電子増倍管142)ごとの時間補正データおよび新規の検出時間計測方法を用いて、計数情報に対応付けられたデジタルデータから同時計数情報を再生成する(ステップS109)。そして、画像再構成部26は、システム制御部28の制御により、ステップS109にて再生成された同時計数情報を用いて、PET画像を再構成し(ステップS110)、処理を終了する。
【0072】
一方、新たな検出時間計測方法を受け付けなかった場合(ステップS108否定)、同時計数情報生成部25は、システム制御部28の制御により、PMT(光電子増倍管142)ごとの時間補正データを用いて、計数情報に対応付けられたデジタルデータから同時計数情報を再生成する(ステップS111)。そして、画像再構成部26は、システム制御部28の制御により、ステップS111にて再生成された同時計数情報を用いて、PET画像を再構成し(ステップS112)、処理を終了する。
【0073】
上述してきたように、本実施例によれば、検出器は、被検体Pに投与された陽電子放出核種から放出されるガンマ線に由来する光の計数結果をアナログデータとして出力する光電子増倍管142を複数有する検出器モジュール14がリング状に複数配列されることで構成される。ADC15は、各光電子増倍管142が出力したアナログデータをデジタルデータに変換する。
【0074】
そして、計数情報収集部16は、ADC15が出力した光電子増倍管142ごとのデジタルデータから、検出器におけるガンマ線の検出位置、検出器にガンマ線が入射した時点における当該ガンマ線のエネルギー値および検出器がガンマ線を検出した検出時間を検出器の計数結果として収集する。計数情報記憶部24は、計数情報収集部16が収集した計数結果を、当該計数結果を収集するために用いられたデジタルデータと対応付けて記憶する。
【0075】
そして、同時計数情報生成部25は、計数情報記憶部24が記憶する計数情報におけるエネルギー値および検出時間に基づいて、陽電子放出核種から放出された一対のガンマ線が同時に計数された計数情報の組み合わせを検索することで同時計数情報を生成する。同時計数情報データ27aは、同時計数情報生成部25が生成した同時計数情報を記憶する。画像再構成部26は、同時計数情報データ27aが記憶する同時計数情報に基づいて、核医学画像(PET画像)を再構成する。
【0076】
時間補正データ27cは、検出器が有する光電子増倍管142ごとのガンマ線の検出時間を補正するための時間補正データを記憶する。システム制御部28は、時間補正データを用いて、計数情報記憶部24が記憶する各計数情報に対応付けられたデジタルデータからガンマ線の検出時間を補正することで新たな同時計数情報を生成するように同時計数情報生成部25を制御する。そして、システム制御部28は、同時計数情報生成部25が生成した新たな同時計数情報に基づいて、新たな核医学画像(PET画像)を再構成するように画像再構成部26を制御する。
【0077】
従来のPET装置では架台装置10の内部でハードウェア構成の同時計数回路にて生成された同時計数情報しか保存することができなかった。これに対して、本実施例のPET装置では、各検出器モジュール14における計数情報をすべてコンソール装置20内部に保存し、同時計数情報をコンソール装置20内部で、例えば、ソフトウェアにより生成することができる。すなわち、実施例1によれば、操作者が異なる同時計数情報生成条件にて再構成されたPET画像を参照したい場合、同時計数情報生成部25は、新たな同時計数情報生成条件に基づいてただちに同時計数情報を生成することができる。
【0078】
また、近年、一対の消滅ガンマ線の検出時間差を利用して、ガンマ線が放出された位置を正確に特定するTOF(time of flight)−PET装置の開発が進められている。しかし、TOF−PETにて要求される時間ウィンドウ幅は、数百psecのオーダであり、従来のPET装置では、検出器モジュール14から同時計数回路への信号伝達が光速を超えられないためTOF−PETによるPET画像を再構成することが困難であった。
【0079】
しかし、本実施例のPET装置は、psec単位の精度にて検出時間が収集された計数情報から、同時計数情報をコンソール装置20内部で生成することができるので、TOF−PETによるPET画像を再構成することができる。
【0080】
さらに、本実施例では、光電子増倍管142が出力したアナログデータをデジタルデータとしてコンソール装置20内部に記憶するので、コンソール装置20内部で、光電子増倍管142ごとの補正時間を用いて各デジタルデータの出力時間を補正することができるすなわち、計数情報のみでは、時間ウィンドウ幅やエネルギーウィンドウ幅を変更することしかできないが、本実施例では、デジタルデータを計数情報とともに記憶し、さらに、光電子増倍管142ごとの補正時間を記憶することで、検出時間差が高精度で再計測された同時計数情報を再生成することができる。すなわち、本実施例では、TOF−PETによるPET画像を、例えば、400psecより細かい検出時間差を用いて、再構成することができる。
【0081】
このように、本実施例では、再撮影を行なうことなく、画質が向上した核医学画像を再構成することが可能となる。
【0082】
また、本実施例によれば、同時計数情報データ27aは、同時計数情報生成部25が生成した同時計数情報を、当該同時計数情報の組み合わせ元の計数情報に対応付けられたデジタルデータからガンマ線の検出時間を計測する際に用いられた検出時間計測方法と対応付けてさらに記憶する。そして、システム制御部28は、同時計数情報生成部25が記憶する検出時間計測方法と異なる新たな検出時間計測方法を受け付けた場合、時間補正データおよび新たな検出時間計測方法を用いて、各計数情報に対応付けられたデジタルデータからガンマ線の検出時間を再計測することで新たな同時計数情報を生成するように同時計数情報生成部25を制御する。したがって、本実施例によれば、再撮影を行なうことなく、検出時間計測方法が変更された核医学画像を再構成することが可能となる。なお、上記の実施例では、検出器モジュール14が、光検出器として複数の光電子増倍管142を有する場合について説明した。しかし、上記の実施例は、検出器モジュール14が、光電子増倍管142の代わりに、半導体素子を用いた光検出器を有する場合であっても適用可能である。かかる光検出器としては、例えば、半導体素子アレイとしてアバランシェフォトダイオード(APD:Avalanche Photodiode)を用いたシリコンフォトマルチプライアー(SiPM:Silicon Photomultiplier)が挙げられる。
【0083】
以上、説明したとおり、本実施例によれば、再撮影を行なうことなくPET画像の補正を行なうことが可能となる。
【0084】
本発明のいくつかの実施形態を説明したが、これらの実施形態は、例として提示したものであり、発明の範囲を限定することは意図していない。これら実施形態は、その他の様々な形態で実施されることが可能であり、発明の要旨を逸脱しない範囲で、種々の省略、置き換え、変更を行うことができる。これら実施形態やその変形は、発明の範囲や要旨に含まれると同様に、特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲に含まれるものである。
【符号の説明】
【0085】
10 架台装置
11 天板
12 寝台
13 寝台駆動部
14 検出器モジュール
141 シンチレータ
142 光電子増倍管
143 ライトガイド
15 ADC
16 計数情報収集部
20 コンソール装置
21 入力部
22 表示部
23 寝台制御部
24 計数情報記憶部
25 同時計数情報生成部
26 画像再構成部
27 データ記憶部
27a 同時計数情報データ
27b 画像データ
27c 時間補正データ
28 システム制御部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
被検体に投与された陽電子放出核種から放出されるガンマ線に由来する光の計数結果をアナログデータとして出力する光検出器を複数有する検出器モジュールが複数配列された検出器と、
各光検出器が出力したアナログデータをデジタルデータに変換する変換器と、
前記変換器が出力した前記光検出器ごとのデジタルデータから、前記検出器におけるガンマ線の検出位置、前記検出器にガンマ線が入射した時点における当該ガンマ線のエネルギー値および前記検出器がガンマ線を検出した検出時間を前記検出器の計数結果として収集する計数情報収集部と、
前記計数情報収集部が収集した前記計数結果を、当該計数結果を収集するために用いられたデジタルデータと対応付けて記憶する計数情報記憶部と、
前記計数情報記憶部が記憶する前記計数情報におけるエネルギー値および検出時間に基づいて、前記陽電子放出核種から放出された一対のガンマ線が同時に計数された計数情報の組み合わせを検索することで同時計数情報を生成する同時計数情報生成部と、
前記同時計数情報生成部が生成した前記同時計数情報を記憶する同時計数情報記憶部と、
前記同時計数情報記憶部が記憶する前記同時計数情報に基づいて、核医学画像を再構成する画像再構成部と、
前記検出器が有する光検出器ごとのガンマ線の検出時間を補正するための時間補正データを記憶する時間補正データ記憶部と、
前記時間補正データ記憶部が記憶する前記時間補正データを用いて、前記計数情報記憶部が記憶する各計数情報に対応付けられたデジタルデータからガンマ線の検出時間を補正することで新たな同時計数情報を生成するように前記同時計数情報生成部を制御し、前記同時計数情報生成部が生成した前記新たな同時計数情報に基づいて、新たな核医学画像を再構成するように前記画像再構成部を制御する制御部と、
を備える、核医学イメージング装置。
【請求項2】
前記同時計数情報記憶部は、前記同時計数情報生成部が生成した前記同時計数情報を、当該同時計数情報の組み合わせ元の計数情報に対応付けられたデジタルデータからガンマ線の検出時間を計測する際に用いられた検出時間計測条件と対応付けてさらに記憶し、
前記制御部は、前記同時計数情報記憶部が記憶する前記検出時間計測条件と異なる新たな検出時間計測条件を受け付けた場合、前記時間補正データ記憶部が記憶する前記時間補正データおよび前記新たな検出時間計測条件を用いて、前記計数情報記憶部が記憶する各計数情報に対応付けられたデジタルデータから前記ガンマ線の検出時間を補正することで新たな同時計数情報を生成するように前記同時計数情報生成部を制御する、請求項1に記載の核医学イメージング装置。
【請求項3】
前記計数情報収集部は、前記デジタルデータの出力値、または、波形フィルター処理後の前記デジタルデータの出力値が所定の閾値となった時点をガンマ線の検出時間として計測する方法を用いる、請求項1または2に記載の核医学イメージング装置。
【請求項4】
前記計数情報収集部は、前記デジタルデータを近似した近似曲線の出力値、または、前記波形フィルター処理後の前記デジタルデータを近似した近似曲線の出力値を、前記所定の閾値との比較対象とする、請求項3に記載の核医学イメージング装置。
【請求項5】
前記計数情報収集部は、前記デジタルデータの立ち上がり部分の傾きを近似した近似直線と基準線とが交差する時点、または、波形フィルター処理後の前記デジタルデータの立ち上がり部分の傾きを近似した近似直線と基準線とが交差する時点をガンマ線の検出時間として計測する方法を用いる、請求項1または2に記載の核医学イメージング装置。
【請求項6】
前記計数情報収集部は、前記デジタルデータにおける出力値が極値となった時点、または、波形フィルター処理後の前記デジタルデータの出力値が極値となった時点をガンマ線の検出時間として計測する方法を用いる、請求項1または2に記載の核医学イメージング装置。
【請求項7】
前記計数情報収集部は、前記デジタルデータを近似した近似曲線、または、前記波形フィルター処理後の前記デジタルデータを近似した近似曲線を用いて極値となる時点を計測する、請求項6に記載の核医学イメージング装置。
【請求項8】
被検体に投与された陽電子放出核種から放出されるガンマ線を検出する検出器モジュールが複数配列された検出器にて、前記検出器モジュールが複数有する光検出器それぞれが、前記ガンマ線に由来する光の計数結果をアナログデータとして出力し、
変換器が、各光検出器が出力したアナログデータをデジタルデータに変換し、
計数情報収集部が、前記変換器が出力した前記光検出器ごとのデジタルデータから、前記検出器におけるガンマ線の検出位置、前記検出器にガンマ線が入射した時点における当該ガンマ線のエネルギー値および前記検出器がガンマ線を検出した検出時間を前記検出器の計数結果として収集し、収集した前記計数結果を、当該計数結果を収集するために用いられたデジタルデータと対応付けて計数情報記憶部に格納し、
同時計数情報生成部が、前記計数情報記憶部が記憶する前記計数情報におけるエネルギー値および検出時間に基づいて、前記陽電子放出核種から放出された一対のガンマ線が同時に計数された計数情報の組み合わせを検索することで同時計数情報を生成し、生成した前記同時計数情報を同時計数情報記憶部に格納し、
画像再構成部が、前記同時計数情報記憶部が記憶する前記同時計数情報に基づいて、核医学画像を再構成し、
制御部が、時間補正データ記憶部に格納された前記検出器が有する光検出器ごとのガンマ線の検出時間を補正するための時間補正データを用いて、前記計数情報記憶部が記憶する各計数情報に対応付けられたデジタルデータからガンマ線の検出時間を補正することで新たな同時計数情報を生成するように前記同時計数情報生成部を制御し、前記同時計数情報生成部が生成した前記新たな同時計数情報に基づいて、新たな核医学画像を再構成するように前記画像再構成部を制御する、
ことを含む、核医学イメージング方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図6A】
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【図6B】
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【図6C】
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【図6D】
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【図7】
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【図8A】
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【図8B】
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【図9】
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【図10】
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【図13】
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【図14】
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【図4】
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【図5】
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【図11】
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【図12】
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【公開番号】特開2012−58231(P2012−58231A)
【公開日】平成24年3月22日(2012.3.22)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−169815(P2011−169815)
【出願日】平成23年8月3日(2011.8.3)
【出願人】(000003078)株式会社東芝 (54,554)
【出願人】(594164542)東芝メディカルシステムズ株式会社 (4,066)
【Fターム(参考)】