説明

核果類の搾汁方法と該方法に用いる搾汁装置

【課題】 梅等の核果類の果肉から果汁を搾る有効な方法はなかった。
【解決手段】 ごみ等を取り除く前処理をした核果類を圧力容器の上部に充填し、その後圧力容器内を蒸気で加圧し、蒸気圧で搾った果汁を圧力容器の下部に貯留させることを特徴とする核果類の搾汁方法を実現するために、搾汁装置は、圧力容器と前記圧力容器内に収納される果実収納部とからなり、前記圧力容器は、圧力容器本体と前記圧力容器本体を密閉する蓋とからなり、果実収納部は、果実を充填する果実充填部と、搾られた果汁を貯留する果汁貯留部とからなる構成とすることができる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、梅、桃、プラム等の核果類の搾汁方法と該方法に用いる搾汁装置に係り、特に生梅の形状を潰すことなく効率よく果汁を搾ることができるとともに、搾汁後の果肉をゼリー、ジャム等の二次加工食品として用いることのできる核果類の搾汁方法と該方法に用いる搾汁装置に関する。
【背景技術】
【0002】
核果類、特に梅の実は、古来から健康食品として珍重され、生活に密着した身近な大衆食品として愛用されてきた。梅の効能は、いろいろ言われており、疲労回復、咳止め、特に抗細菌作用、抗アレルギー作用があるといわれている。このように、梅は古くから日本人に親しまれてきたが、梅の実は、主に梅干しや梅酒に利用するだけであって、二次加工食品として利用されることは少なかった。
【0003】
特に、梅果汁は、搾るのが困難であることからほとんど利用されていない。従来知られている果汁を搾る対象となる果実は、みかん、夏みかん等の柑橘系果実やりんご、ぶどうなどの果物であって、梅、プラム等の核果類の果実については有効な搾汁方法は提案されていない。
【0004】
例えば、容器内に多数の小孔を形成したプランジャを摺動自在に設け、このプランジャを蓋の内面に設けた変形可能な弾性膜に向けて移動させることにより、プランジャと弾性膜との間に配置した果物から果汁を搾りだすようにした果汁搾り装置が提案されている(特開平7―246155)。この装置によれば、弾性膜を使用して果汁を搾るようにしたため、果物の種や芯等を潰すことなく果肉から果汁のみを効率的に搾りだすことができる。
【特許文献1】特開平7−246155号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、上記果汁搾り装置では、みかん、オレンジ等の柑橘系の果物からは果汁を搾ることができるものの、柑橘系果物のように圧縮によって容易に変形しない梅、桃のような核果類の果実にあっては効率よく搾ることができない。
【0006】
また、梅の実から果汁を搾るには、果肉と種子とを一緒に粉砕して袋に詰め、これを圧縮することによって果汁を搾るか、粉砕したものを遠心分離機を使って搾ることができる。しかしながら、梅の実を粉砕した場合には、果肉を利用することができなくなる。
【0007】
さらに、梅の実は、表面に細毛が密集しているために細菌が付着し易い。そのために、加工前に念入りに洗浄し、しかも手際よく行わないと、加工後に雑菌の繁殖によって腐敗・変質を招くおそれがある。従って、梅の実の処理量には自ずと限界があり、古くから親しまれているにもかかわらず、梅干し、梅酒以外の二次加工食品として利用されることは少なかった。
【0008】
そこで、この発明は、かかる問題を解消するためになされたものであり、核果類の果実からでも簡単な方法で効率よく果汁を搾ることができるとともに、果肉もそのまま二次加工食品として利用することができる核果類の搾汁方法と該方法に用いる搾汁装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
この発明は上記目的を達成するために次のような構成とした。即ち、この発明に係る核果類の搾汁方法は、ごみ等を取り除く前処理をした核果類を圧力容器内に充填し、その後圧力容器内を蒸気で加圧し、蒸気圧で搾った果汁を圧力容器の下部に貯留させることを特徴とする。核果類を充填した圧力容器内を加圧する蒸気は、圧力容器内に注入した水を加熱することによって発生させることができる。また、核果類を充填した圧力容器内を加圧する蒸気は、圧力容器外から導入した蒸気であってもよい。前記核果類の搾汁方法は、梅の搾汁に好適である。
【0010】
また、核果類の搾汁方法に用いる搾汁装置は、圧力容器と前記圧力容器内に収納される果実収納部とからなり、前記圧力容器は、圧力容器本体と前記圧力容器本体を密閉する蓋とからなり、果実収納部は、果実を充填する果実充填部と、搾られた果汁を貯留する果汁貯留部とからなることを特徴とする。前記蓋には、調圧弁と安全弁を備えていることが好ましい。前記果実充填部と果汁貯留部は独立しており、果実充填部は果実充填容器として、果汁貯留部は果汁貯留容器として形成することができる。また、果実充填部と果汁貯留部は、一体の容器に形成されており、容器の上部を果実充填部とし、下部を果汁貯留部としてもよい。
【0011】
また、核果類の搾汁方法に用いる搾汁装置は、圧力容器と前記圧力容器内に収納される果実収納部とからなり、前記圧力容器は、圧力容器本体と前記圧力容器本体を密閉し、外部から蒸気を導入する蒸気管取付口を設けた蓋とからなる構成とすることができる。前記圧力容器には、果汁を流出させる流出口を設けることができる。そして、果汁貯留部は、果実を充填する果実充填容器と、果汁を貯留する果汁貯留容器として形成してもよいし、果実を充填する果実台板の下面に脚部を設けた構成としてもよい。
【発明の効果】
【0012】
上記のように、この発明に係る核果類の搾汁方法によれば、作業が効率的で大量の果汁を得ることができる。また、蒸気圧で全体を加圧するために核果を二次加工品として、例えば、種子を分離して梅のペーストとして利用することができる。
【0013】
また、この発明に係る核果類の搾汁装置によれば、構造が簡単であるから、安価に提供できると共に、誰でも容易に使用することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0014】
以下に、この発明の核果類の搾汁方法を図1に示す工程図に従って、梅から果汁を搾る場合の実施形態について詳細に説明する。
<前処理>
前処理として、収穫した生梅の実を準備し、選別、洗浄をする。大きな傷のあるものや、ごみ等を取り除き、必要に応じて洗浄する。従来の選別作業と同様に丁寧な取り扱いが必要であるが、熱処理をしながら果汁を搾るので軽い傷や変形果が混ざっていてもあまり問題にならない。
【0015】
尚、梅の実の収穫時期は限られており、短期間に収穫しなければならないので、収穫と同時に搾ることができるとは限らない。そこで、前処理後に必要に応じて適宜前処理した梅の実を保冷・冷凍保存(貯蔵)しておけばよい。
【0016】
<搾汁装置の準備>
また、蒸気で加圧できる搾汁装置を準備する。搾汁装置は、蒸気圧で加圧できる圧力容器と、果実を入れる果実収納部とからなり、果実収納部は、果実を充填する果実充填部と搾った果汁を貯留する果汁貯留部とを有することが好ましい。果実収納部は、圧力容器内を上下に仕切り、上部を果実充填部とし下部を果汁貯留部とすることができる。果実充填部を容器によって形成する場合には、蒸された梅の実から搾り出された果汁を下段の果汁貯留部に落下させることができるように、底面に多数の小孔が形成されているか、すのこ状に形成されているものを使用する。
【0017】
<充填する>
予め準備した上記搾汁装置内の果実収納部に前処理した梅の実を充填する。梅の実は果実収納部に直接充填するか、網袋又は布袋に入れて充填する。梅の実を充填する果実収納部を容器によって形成した場合には、容器の上面は、蓋をすることなく開口させておくか、布等を被せて置けばよい。
【0018】
<搾る>
果汁を搾る工程では、搾汁装置の圧力容器を加熱して蒸気を発生させるか、圧力容器に蒸気を注入して果実収納部に充填した梅の実を蒸しながら蒸気圧によって搾る。蒸気によって蒸されると、梅の実は次第に柔らかくなり、周囲からの蒸気圧によって果汁が搾り出される。搾られた果汁は、果実収納部を構成する果実充填部の底面から落下し、下方に配置した果汁貯留部に貯留される。この発明の特徴は、蒸気圧によって蒸しながら搾ることにある。
【0019】
<保存>
果汁貯留部に貯留された梅果汁は、そのまま貯蔵してもよいが、必要に応じて適宜加熱殺菌することが望ましい。貯蔵する際には、瓶やビニールパック等に入れて保冷・冷凍保存すればよい。
【0020】
果汁が搾り出されても、梅の実にはまだかなりの果汁が残されているから、二次加工品として、例えば、種子を分離してペーストとして使用することができる。種子を分離したペーストをジャム等の原料として用いる場合には、糖類、または調味料等を加えて調節すればよい。
【0021】
梅の実は種子周囲の組織が密着していて、通常では果肉のみを分離するのは困難であるが、蒸されることによって軟らかくなっているので容易に分離することができる。
【0022】
次に、上記核果類の搾汁方法に用いる搾汁装置について説明する。図2は、搾汁装置の第1実施形態を示し、搾汁装置10は、圧力容器11と前記圧力容器11内に挿入される果実収納部12とからなる。前記圧力容器11には、圧力容器本体11aと前記圧力容器本体11aを密閉する蓋11bとからなる。なお、この実施形態における圧力容器とは、容器内に蒸気を発生させた際に外部より圧力が高くなる容器であればよい。したがって、開閉できる蓋を有する容器であればよく、鍋、釜等の名称は問わない。
【0023】
圧力容器本体11aは、核果類の果実を加圧下で蒸す加圧蒸し器として使用される。蓋11bは、前記圧力容器本体11aを密閉し、圧力容器本体11a内を所定値以上の圧力に高めることができるように形成されている。前記蓋11bには、錘式の調圧弁13と安全弁14が設けられている。
【0024】
前記錘式の調圧弁13は、外部と連通する圧力調整孔13aと、前記圧力調整孔13aに上方から閉塞する錘13bで構成されており、圧力容器本体11a内の圧力が第1の所定値以上になったときに蒸気を逃がすように作用し、蓋11bの一部に取り外し自在に設けられている。
【0025】
また、前記安全弁14は、蓋11bの温度が所定値(例えば、135℃)以上になったときに溶融して蒸気を逃がすように作用し、蓋11bの一部に貫通する穴を共晶合金で塞ぐことによって形成されている。なお、前記調圧弁13及び安全弁14は、上記実施形態に限定されるものではなく、圧力容器本体11a内の圧力が所定値以上になったときに圧力を逃がす構成であれば、その他の公知の構成のものを使用することができる。
【0026】
圧力容器本体11aと前記圧力容器本体11aを密閉する蓋11bとの間には、密閉するためのパッキン15が設けられている。前記パッキン15は、弾性材からなり、加圧時は圧力容器本体11aと蓋11bが密着するように形成されている。圧力容器本体11aには把手17が設けられており、蓋11bには把手18が設けられている。
【0027】
なお、上記実施形態では、錘式の調圧弁13と安全弁14を設けた蓋11bについて説明したが、蓋11bには、調圧弁と安全弁を省略した通常の蓋を用いることができる。
【0028】
次に、果実収納部12の構成について説明する。果実収納部12は、図2に示すように、果汁貯留部21及び果実充填部22によって構成されており、支持台20に載置される。前記支持台20は、圧力容器本体11a内において果汁貯留部21を一定の高さに保持するための支持台であって、果実収納部12を圧力容器本体11a内に入れた水よりも上方に保持するように、脚部20aと載置板20bによって形成されている。
【0029】
前記脚部20aは、圧力容器本体11a内に蒸気を発生させるための水を入れたときに、載置板20bが水よりも上方に位置する高さに形成することが好ましい。一方、載置板20bは、圧力容器本体11a内に挿入できる大きさであって、蒸気を通すことができるように、すのこ、網目状板、あるいは多数の小孔を穿設した板によって形成されている。
【0030】
上記果汁貯留部21は、搾られた果汁を貯留するものであって、果実充填部22の下方に位置している。図2に示す実施形態では、果実収納部12を構成する果汁貯留部21及び果実充填部22はそれぞれ独立しており、果汁貯留部21は果汁貯留容器21Aとされ、果実充填部22は果実充填容器22Aとして形成されている。果汁貯留容器21Aは、図2に示す実施形態では、内側に段部21aを有し下方が窄まった逆凸状に形成されており、前記段部21aに果実充填容器22Aを載置する。
【0031】
上記果実充填容器22Aは、果実を充填するとともに、果実から絞られた果汁を下方の果汁貯留容器21Aに落下させる。従って、底部22aは、果汁を落下させることができるように、すのこ状、網目状に形成するか、1又は複数の小孔を穿設した構成とされている。また、果実充填容器22A全体を網目状又は篭目状に形成したものであってもよい。さらに、底部22aは着脱自在に構成したものであってもよい。
【0032】
図3は、果実収納部12の他の実施形態を示す説明用断面図であって、図2に示す実施形態と異なり、果汁貯留容器21Aの上に果実充填容器22Aを載置部材23を介して載置するようにしたものである。載置部材23の構造は、果汁を落下させることができる構造であればよく特に限定されるものではない。従って、載置部材23を、例えば、すのこ状又は網目状の板により形成してもよいし、棒状体を井桁状又は格子状に組んだものでもよい。
尚、図2の第1実施形態と同じ構成については同一符号を付してその説明は省略する。
【0033】
図4は、図3に示す実施形態のように、果実収納部12を構成する果汁貯留部21及び果実充填部22をそれぞれ独立させ、果汁貯留部21を果汁貯留容器21Aとし、果実充填部22を果実充填容器22Aとするとともに、果汁貯留容器21Aと支持台20とを一体に形成したものである。即ち、図示する果汁貯留容器25は、果汁貯留容器21Aの下面に脚部20a設けたものである。前記果汁貯留容器25には、上記図3に示す第2実施形態と同様に載置部材23を介して果実充填容器22Aが載置される。
【0034】
さらに、図5は、果実収納部12を構成する果実充填部22と、果汁を貯留する果汁貯留部とを一体の容器に形成した場合の実施形態を示す。即ち、果実収納部12のうち、上部を果実充填部22Bとし、下部を果汁貯留部21Bとした。前記果実充填部22Bと果汁貯留部21Bとの間には、内部に仕切板27を配設してなる。仕切板27より下方を果汁貯留部21Bとし、仕切板27より上方を果実充填部22Bとする。
【0035】
仕切板27は、果実収納部12の内部に適宜の間隔で突設した突起28に着脱自在に載置される。前記仕切板27は、搾られた果汁が落下する構造であればよく、網目状板又はスノコ状板とすることができる。
【0036】
尚、前記仕切板27は、果実収納部12を果汁貯留部21Bと果実充填部22Bとに仕切るものであればよい。従って、前記仕切板27は、図示するように突起28に載置することなく、支持台20のように、下面に直接脚部20aを突設する構成としてもよい。
【0037】
上記実施形態では、いずれも圧力容器本体11aには、説明の便宜上加熱装置を設けることなく、別途準備した加熱装置により加熱する構成としたが、圧力容器本体11aの底面に加熱装置を一体に配設する構成としてもよい。この場合、公知の加熱装置を用いることができる。
【0038】
次に、図2に示す第1実施形態の搾汁装置の使用方法について説明する。まず、圧力容器本体11aに水を注入し、支持台20を挿入する。好ましくは、支持台20の載置板20bが潜らない程度に水を注入する。その後、果汁貯留容器21Aを支持台20に載置し、果汁貯留容器21Aに果実充填容器22Aを嵌合して果実充填容器22Aに梅の実を充填すればよい。梅の実は果実充填容器22Aに直接充填してもよいが、網袋又は布袋に入れて充填してもよい。
【0039】
梅の実の充填が終了したら、蓋11bにより圧力容器本体11aを密閉し、圧力容器本体11aを密閉した状態で加熱する。圧力容器本体11aが加熱されると、内部の水が沸騰して水蒸気を発生させる。水蒸気の発生によって梅の実は蒸されるとともに、圧力容器本体11aは密閉されているから、梅の実は全体的に加圧されて果汁が自然と搾られることになる。搾られた果汁は、果汁貯留容器21Aに落下して貯留される。
【0040】
蓋11bには、調圧弁13と安全弁14が設けられているから、内部の圧力が所定値以上になっても安全に使用することができる。一定時間加熱して果汁を搾った後に、加熱を中止して果実充填容器22Aと果汁貯留容器21Aを取り出せばよい。果汁は容器に移し替えて冷蔵庫等に入れて保存する。
【0041】
蒸された梅の実は、大きく型崩れすることなく柔らかくなっているとともに、果汁も残っているから、二次加工品として利用することができる。二次加工品として、例えば、種子と果肉とを分離し、梅ジャムを作ることができる。蒸された生梅は煮た場合と同じように柔らかくなっているから、種子と果肉とを容易に分離することができる。分離した果肉を煮詰めれば梅ジャムを作ることができる。
【0042】
また、二次加工品としては、上記蒸された梅の実は、梅肉エキスや梅酒に利用することができる。
【0043】
図6は、搾汁装置の第2実施形態を示す断面図である。搾汁装置30は、圧力容器40と果実収納部50からなる。前記圧力容器40は、容器本体40aと蓋40bによって構成される。前記容器本体40aは、核果類の果実を加圧下で蒸す加圧蒸し器として使用される。蓋40bは、容器本体40a内を所定値以上の圧力に高めることができるように、前記容器本体40aを密閉する。
【0044】
前記蓋40bには、外部で発生させた蒸気を導入するために、蒸気管を取り付ける蒸気管取付口42が設けられている。また、容器本体40aには、搾られた果汁を流出させる流出口43が設けられている。前記流出口43は、図示する実施形態では、ドレンコックによって形成されている。このように、流出口43を設けた場合には、搾られた果汁を順次流出させることによって蒸気圧が調節されるとともに、果汁の搾り具合を観察することができる。なお、前記流出口43は省略することが可能である。
【0045】
図6に示す果実収納部50は、果汁の流出口43を設けた容器本体40aに使用するのに好適な果実収納部であって、支持台51の上方を果実収納部50とするものである。支持台51は、果実を充填する果実台板51aの下面に脚部51bを設けることによって形成されている。図示する実施形態では、果実充填容器51cによって前記果実収納部50を構成している。前記果実収納部50は、果実充填容器51cを省略して果実台板51aの上に核果類を直接充填する構成としてもよい。即ち、容器本体40aの果実台板51aより上方を果実収納部50とし、果実台板51aより下方を果汁貯留部51dとしてもよい。
【0046】
果実収納部50を果実充填容器51cを用いて形成する場合には、果実充填容器51cは、図2,3に示す果実充填容器22Aと同様に、少なくとも底部に果汁を落下させることができる小孔を穿設した容器を用いるか、網目状又は篭目状の容器を用いることが好ましい。また、前記支持台51の果実台板51aは、果汁を落下させるように、すのこ状又は網目状の板により形成することが好ましい。
【0047】
上記第2実施形態における搾汁装置の使用方法について説明すると、果実収納部50に果実を充填した後、蓋を閉める。蒸気管取付口42に蒸気管を取り付けて容器本体40a内に蒸気を注入する。注入された蒸気によって果実が蒸されるとともに、一定の加圧が加えられることにより果汁が搾られることになる。搾られた果汁は、支持台51の下方に貯留される。
【0048】
貯留された果汁は、搾られた果実を果実収納部50から取り出し、さらに支持台51を取り出して移し変えるか、容器本体40aに果汁の流出口43を設けてなる場合には、前記流出口43を開けて移し変えればよい。
【図面の簡単な説明】
【0049】
【図1】この発明の核果類の搾汁方法を示す工程図である。
【図2】この発明の核果類の搾汁装置の第1実施形態を示す説明用断面図である。
【図3】果実収納部の第2実施形態を示す説明用断面図である。
【図4】果実収納部における果汁貯留部の第3実施形態を示す説明用断面図である。
【図5】果実収納部を構成する果実重点部と果汁貯留部を一体の容器に形成した実施形態を示す説明用断面図である。
【図6】この発明の核果類の搾汁装置の第2実施形態を示す説明用断面図である。
【符号の説明】
【0050】
10:搾汁装置
11:圧力容器
11a:圧力容器本体
11b:蓋
12:果実収納部
13:調圧弁
14:安全弁
15:パッキン
17:把手
18:把手
20:支持台
21:果汁貯留部
21A:果汁貯留容器
22:果実充填部
22A:果実充填容器
23:載置部材
25:果汁貯留容器
27:載置板
28:突起

【特許請求の範囲】
【請求項1】
ごみ等を取り除く前処理をした核果類を圧力容器の上部に充填し、その後圧力容器内を蒸気で加圧し、蒸気圧で搾った果汁を圧力容器の下部に貯留させることを特徴とする核果類の搾汁方法。
【請求項2】
核果類を充填した圧力容器内を加圧する蒸気は、圧力容器内に注入した水を加熱することによって発生であることを特徴とする請求項1に記載の核果類の搾汁方法。
【請求項3】
核果類を充填した圧力容器内を加圧する蒸気は、圧力容器外から導入した蒸気であることを特徴とする請求項1に記載の核果類の搾汁方法。
【請求項4】
核果類が梅であることを特徴とする請求項1〜3のいずれか1項に記載の核果類の搾汁方法。
【請求項5】
圧力容器と前記圧力容器内に収納される果実収納部とからなり、前記圧力容器は、圧力容器本体と前記圧力容器本体を密閉する蓋とからなり、果実収納部は、果実を充填する果実充填部と、搾られた果汁を貯留する果汁貯留部とからなることを特徴とする核果類の搾汁装置。
【請求項6】
蓋には、調圧弁と安全弁を備えていることを特徴とする請求項5に記載の核果類の搾汁装置。
【請求項7】
果実充填部と果汁貯留部は独立しており、果実充填部は果実充填容器として、果汁貯留部は果汁貯留容器として形成されていることを特徴とする請求項5に記載の核果類の搾汁装置。
【請求項8】
果実充填部と果汁貯留部は一体の容器に形成されており、容器の上部を果実充填部とし、下部を果汁貯留部としたことを特徴とする請求項4に記載の核果類の搾汁装置。
【請求項9】
圧力容器と前記圧力容器内に収納される果実収納部とからなり、前記圧力容器は、圧力容器本体と前記圧力容器本体を密閉し、外部から蒸気を導入する蒸気管取付口を設けた蓋とからなることを特徴とする核果類の搾汁装置。
【請求項10】
圧力容器には、果汁を流出させる流出口を設けたことを特徴とする請求項9に記載の核果類の搾汁装置
【請求項11】
果実収納部は、果実を充填する果実充填容器と、果汁を貯留する果汁貯留容器として形成されていることを特徴とする請求項9又は10に記載の核果類の搾汁装置。
【請求項12】
果実収納部は、果実を充填する果実台板の下面に脚部を設けてなる支持台を圧力容器内に挿入することにより、果実台板より上方を果実充填部とし、果実台板より下方を果汁貯留部としたことを特徴とする請求項9又は10に記載の核果類の搾汁装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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