説明

核酸サンプルを調製するための方法およびキット

本発明は、核酸サンプルを調製する方法に関する。本発明に係る方法は、実質的に全転写産物に相当するサンプルを調製するのに特に適している。本方法は、マイクロアレイによる発現解析法とともに使用するのに特に適している。本発明の一態様において、RNA転写産物に相当する核酸サンプルを調製する方法が提供される。本方法は、エキソンや選択的スプライシングなど、転写産物の特徴を検出するために使用されるサンプルを調製するのに特に適している。本方法は、そのような転写産物を定量的、半定量的、または定性的に検出するのに適している。本方法は、選択的スプライシングを受けた転写産物など、あらゆるタイプの変異配列を含む多数の転写産物を観察するために使用することができる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
(関連出願の参照)
(優先権主張)
本出願は、2003年8月13日付で出願された米国特許仮出願第60/495,232号、および2004年2月9日付で出願された米国特許仮出願第60/542,933号の利益を主張するものであり、それらの教示内容は、参照して本明細書に組み込まれる。引用された特許出願はすべて、本明細書において、その全体が参照されて本明細書に組み込まれる。
【背景技術】
【0002】
(発明の背景)
核酸サンプルを調製する方法は、分子生物学および組換えDNA技術を利用する研究室での研究を大きく変貌させ、また、数例をあげれば、診断学、法医学、核酸解析法、および遺伝子発現観察法の分野に影響を与えてきた。技術的には、実質的に全転写産物を増幅する方法に対する需要がまだ存在する。
【発明の開示】
【課題を解決するための手段】
【0003】
(発明の要旨)
本発明の一態様において、RNA転写産物に相当する核酸サンプルを調製する方法が提供される。本方法は、エキソンや選択的スプライシングなど、転写産物の特徴を検出するために使用されるサンプルを調製するのに特に適している。本方法は、そのような転写産物を定量的、半定量的、または定性的に検出するのに適している。本方法は、選択的スプライシングを受けた転写産物など、あらゆるタイプの変異配列を含む多数の転写産物を観察するために使用することができる。本方法は、例えば、1000種類、5000種類、10,000種類、50,000種類よりも多い、多数の異なった標的転写産物、または転写産物の特徴を、マイクロアレイによって平行して解析する方法に特に適している。本明細書において、「標的転写産物」または「標的核酸」という用語は、対象とする転写産物またはその他の核酸を意味するために使用される。
【0004】
好適な実施形態において、核酸サンプルを調製する方法は、プライマー混合物を、複数のRNA転写産物、または該RNA転写産物に由来する核酸にハイブリダイズさせ、該RNA転写産物に相補的な第一鎖cDNA、および該第一鎖cDNAに相補的な第二鎖cDNAを合成する工程であって、該プライマー混合物が、プロモーター領域およびランダム配列プライマー領域を有するオリゴヌクレオチドを含む工程、および、プロモーター領域からRNA転写を開始させて核酸サンプルを生成する工程を含む。プライマー領域は、ランダムな六量体(ヘキサマー)であってもよい。プロモーターは、一般的には、バクテリオファージのプロモーター、好ましくは、T7、T3またはSP6のプロモーターのような原核生物プロモーターである。
【0005】
本方法を用いて、真核生物のmRNA、またはそれ以外のRNAを解析することができる。全RNAサンプル、またはポリ(A)+で濃縮されたサンプルはすべて、本方法を用いるのに適している。
【0006】
特に好適な方法において、得られたcRNAをテンプレートとして用いて、第二鎖cDNAを合成することができる。第二鎖cDNA合成は、ランダム・ヘキサマーなどのランダムプライマーを使用して実施することが可能である。
【0007】
本発明に係る方法は応用範囲が広く、特定の検出方法に限定されないが、特に、例えば1000種類、5000種類、10,000種類、50,000種類よりも多い、多数の異なった転写産物の特徴を検出するのに適している。例えば、第二鎖cDNAは断片であって/標識した後、検出のためハイブリダイズさせることができる。標識工程は、例えばcDNA合成の過程で行うことができる。オリゴヌクレオチドプローブは、転写産物における特異的エキソンおよび/またはスプライス部位のような、転写産物の特異的な特徴を検出するのに特に適している。一般的には、5,000、10,000、50,000、100,000または500,000種類のオリゴヌクレオチドプローブをまとめて検出のため使用することも可能である。核酸プローブは、ビーズのコレクション上、または単一の基質上に固定することが可能である。
【0008】
本発明の別の態様において、核酸サンプルを調製するための試薬キットを提供する。試薬キットの具体例は、オリゴヌクレオチド混合物成分を含む容器、および、オリゴヌクレオチド混合物成分中のオリゴヌクレオチドがランダムプライマー領域およびプロモーター領域を含むものである、該オリゴヌクレオチド混合物の使用指示書を含む。オリゴヌクレオチド混合物の具体例の一つは以下の配列を有する:
(配列番号:01)5’GAATTGTAATACGACTCACTATAGGGNNNNNN3’
(NNNNNNが、ランダム・ヘキサマー領域に相当する)。
【0009】
本試薬キットは、さらに、逆転写酵素を含む容器、およびRNAポリメラーゼを含む容器を含む。キットには、ランダムプライマー領域およびプロモーター領域を有するオリゴヌクレオチド混合物以外にも、ランダムプライマー混合液(例えばランダムなヘキサマー混合液)を含ませることも可能である。付加的な成分には、標識用および断片化用の試薬やヌクレオチドなどがある。
【0010】
好適な実施形態において、本キットは、標的RNA転写産物に相当する配列を検出するよう設計された、少なくとも1000種類、5000種類、10,000種類、または50,000種類のさまざまな核酸プローブのコレクションを含む。これらの核酸プローブは、基質上に固定することも可能であり、一般的には、5000以上のさまざまなエキソンおよび/または500以上のスプライス部位に対して設計されている。
【0011】
本発明に係る方法およびキットは、生物学的研究、診断学、毒物学、創薬などの領域において広範な応用範囲を有する。
【発明を実施するための最良の形態】
【0012】
(発明の詳細な説明)
本発明の一態様において、RNA転写を解析する方法および組成物が提供される。転写物サンプルに由来する核酸サンプルを調製する方法および組成物が提供される。好適な実施形態において、核酸サンプルは転写物サンプルにおける転写物の集団に相当する。したがって、これらの好適な方法は、エキソン構造および転写におけるスプライシングのような、転写の特徴/構造を調べるのに用いられる核酸サンプルを調製するのに特に適している。本発明に係る方法は、通常、3’または5’末端に限らず、標的全域の任意の場所で転写産物をより良好に産生することができる。好適な本方法は、転写産物をテンプレートとして用い、また、ランダムなオリゴヌクレオチドをプライマーとして用いて、(例えば、逆転写反応によって)核酸を合成することを一般に含む。次いで、合成された核酸をさらに処理して、核酸サンプルを得る。本方法は、マイクロアレイによる実験に特に有効である。しかし、本サンプル調製法は、他の検出法にも使用することができる。
【0013】
本発明の別の態様において、1種類以上のプライマー(ランダム領域、およびT7プロモーターのように一定の配列内容をもつ領域を含むことができる)を含むアッセイ用キットは、逆転写酵素、RNAポリメラーゼ、標識試薬、および/または断片化試薬を選択的に含む。
【0014】
(I.概略)
本発明は多くの好適な実施形態を有し、当業者に公知の詳細に関しては、多くの特許、出願、および参考文献に依存する。したがって、特許、出願、または他の参考文献が以下に引用または繰り返されている場合、該特許、出願または参考文献は、引用された事柄のみならず、あらゆる目的で、その全体が参照されて本明細書に組み込まれる。
【0015】
本出願において使用されているように、単数形「a」、「an」および「the」は、文脈上明確に別段の記載がない限り、複数形への言及も含むものとする。例えば、「一個の因子」という用語は、複数因子の混合物など、複数の因子を含む。
【0016】
個体はヒトに限定されず、哺乳動物、植物、細菌、または上記のいずれかに由来する細胞などの有機体が含まれるが、これらに限定されるものではない。
【0017】
本開示を通して、本発明の種々の態様は、範囲表示形式(a range format)で表示されることがあるが、範囲表示形式による記載は、単に便宜と簡潔さのためのものである理解されるべきであり、本発明の範囲を不動の制約として解釈されるべきではない。したがって、範囲の記載は、可能な部分範囲のすべて、およびその範囲内にある各数値を具体的に開示したと考慮されるべきである。例えば、1から6までの範囲が記載されている場合には、1から3、1から4、1から5、2から4、2から6、3から6などという部分範囲、および、この範囲内にある各数字、例えば1、2、3、4、5、および6を具体的に開示したとみなされるべきである。このことは、範囲の幅に関係なく適用される。
【0018】
本発明の実施は、特段の記載がない限り、有機化学、高分子技術、分子生物学(組換技術など)、細胞生物学、生化学および免疫学などの従来技術および説明を使用することができ、これらは当技術分野の範囲に入る。このような従来技術は、ポリマーアレイ合成、ハイブリダイゼーション、ライゲーション、およびラベルを用いたハイブリダイゼーション検出を含む。適当な技術の具体例を、本明細書で後述する実施例を参照して得ることができる。しかし、もちろん、他の同等な常法を用いることも可能である。このような従来の技術および説明は、Genome Analysis:A Laboratory Manual Series (Vols. I−IV),Using Antibodies: A Laboratory Manual, Cells:A Laboratory Manual、PCR Primer: A Laboratory Manual,およびMolecular Cloning:A Laboratory Manual (all from Cold Spring Harbor Laboratory Press),Stryer, L. (1995) Biochemistry (4th Ed.) Freeman, New York,Gait,“Oligonucleotide Synthesys:A Practical Approach”1984, IRL Press, London, Nelson and Cox (2000), Lehninger, Principles of Biochemistry 3rd Ed., W.H. Freeman Pub., New York, NY,およびBerg et al. (2002) Biochemistry, 5th Ed., W.H. Freeman Pub., New York, NYなどの標準的な実験マニュアルの中に記載されており、これらは全て、あらゆる目的でその全体が参照されて本明細書に組み込まれる。
【0019】
本発明は、いくつかの好適な実施形態において、アレイなどの固形基質を使用することができる。ポリマー(タンパク質など)のアレイ合成に応用可能な方法および技術は、米国特許出願第09/536,841号、国際公開公報第WO00/58516号、米国特許第5,143,854号、第5,242,974号、第5,252,743号、第5,324,633号、第5,384,261号、第5,405,783号、第5,424,186号、第5,451,683号、第5,482,867号、第5,491,074号、第5,527,681号、第5,550,215号、第5,571,639号、第5,578,832号、第5,593,839号、第5,599,695号、第5,624,711号、第5,631,734号、第5,795,716号、第5,831,070号、第5,837,832号、第5,856,101号、第5,858,659号、第5,936,324号、第5,968,740号、第5,974,164号、第5,981,185号、第5,981,956号、第6,025,601号、第6,033,860号、第6,040,193号、第6,090,555号、第6,136,269号、第6,269,846号、および第6,428,752号、ならびにPCT出願第PCT/US99/00730号(国際公開公報番号第WO99/36760号)および第PCT/US01/04285号に記載されており、これらはすべて、あらゆる目的のためにその全体が参照されて本明細書に組み込まれる。
【0020】
具体的な実施形態において合成技術が記載されている特許は、米国特許第5,412,087号、第6,147,205号、第6,262,216号、第6,310,189号、第5,889,165号および第5,959,098号などである。核酸アレイは、上記特許の多くに記載されているが、同一の技術がポリペプチド配列にも適用される。
【0021】
本発明において有用な核酸アレイは、Affymetrix(Santa Clara,CA)からブランド名GeneChip(R)として市販されているものを含む。アレイの見本がaffymetrix.comのウェブサイトに表示されている。
【0022】
また、本発明は、固形基質に結合したポリマーの多くの用途も想定している。これらの用途には、遺伝子発現のモニタリング、プロファイリング、ライブラリーのスクリーニング、遺伝子型決定および診断が含まれる。遺伝子発現のモニタリングおよびプロファイリングの方法は、米国特許第5,800,992号、第6,013,449号、第6,020,135号、第6,033,860号、第6,040,138号、第6,177,248号、および第6,309,822号において示されている。遺伝子型決定法およびその用途は、米国特許出願第60/319,253号、第10/013,598号、ならびに米国特許第5,856,092号、第6,300,063号、第5,858,659号、第6,284,460号、第6,361,947号、第6,368,799号、および第6,333,179号に示されている。他の用途は、米国特許第5,871,928号、第5,902,723号、第6,045,996号、第5,541,061号、および第6,197,506号において具体化されている。
【0023】
本発明はまた、特定の好適な実施形態におけるサンプル調製法も想定している。遺伝子型決定の前、またはそれと並行して、ゲノムサンプルをさまざまな手法により増幅することができ、それらの手法のいくつかではPCRを用いることができる。例えば、PCR Technology:Principles and Applications for DNA Amplification(Ed.,H.A.Erlich, Freeman Press,NY,NY,1992)、PCR Protocols:A Guide to Methods and Applications(Eds. Innis,et al.,Academic Press,San Diego,CA,1990)、Mattila,et al.,Nucleic Acids Res.19,4967(1991);Eckert et al.,PCR Methods and Applications 1,17(1991);PCR (Eds. McPherson et al.,IRL Press,Oxford)、および米国特許第4,683,202号、第4,683,195号、第4,800,159号、第4,965,188号および第5,333,675号参照。また、これらはそれぞれ、あらゆる目的のためにその全体が参照されて本明細書に組み込まれる。サンプルはアレイで増幅される。米国特許第6,300,070号および米国特許出願第09/513,300号参照。また、これらは参照されて本明細書に組み込まれる。
【0024】
他の適当な増幅法は、リガーゼ連鎖反応法(LCR)(例えば、Wu and Wallace,Genomics 4,560(1989)、Landegren et al.,Science 241,1077(1988)およびBarringer et al.,Gene 89:117(1990))、転写増幅法(Kwoh et al.,Proc.Natl.Acad.Sci.USA 86,1173(1989)およびWO88/10315)、自律的配列複製法(self−sustained sequence replication)(Guatelli et al.,Proc.Nat.Acad.Sci.USA,87,1874(1990)および国際公開公報第WO90/06995号)、標的ポリヌクレオチド配列の選択的増幅法(米国特許第6,410,276号)、コンセンサス配列開始型(consensus sequence primed)ポリメラーゼ連鎖反応法(CP‐PCR)(米国特許第4,437,975号)、任意プライマーポリメラーゼ連鎖反応法(AP‐PCR)(米国特許第5,413,909号、第5,861,245号)、および核酸による配列増幅法(NABSA)を含む。(米国特許第5,409,818号、第5,554,517号、および第6,063,603号参照。これらはそれぞれ参照されて本明細書に組み込まれる)。この他に利用できる増幅法は、米国特許第5,242,794号、第5,494,810号、第4,988,617号、および米国特許出願第09/854,317号に記載されており、これらは、それぞれ参照されて本明細書に組み込まれる。
【0025】
サンプル調製のさらに別の方法、および核酸サンプルの複雑性を軽減させる技術は、Dong et al,Genome Research 11,1418(2001)、米国特許第6,361,947号、第6,391,592号、ならびに米国特許出願第09/916,135号、第09/920,491号、第09/910,292号、および第10/013,598号に記載されている。
【0026】
ポリヌクレオチドのハイブリダイゼーションの測定を行う方法は、当技術分野において十分に開発されてきた。ハイブリダイゼーションを測定する手順および条件は用途に応じて変化し、公知の一般的な結合方法、Maniatis et a1.Molecular Cloning:A Laboratory Manual(2nd Ed. Cold Spring Harbor,N.Y,1989);Berger and Kimmel Methods in Enzymology,Vol.152,Guide to Molecular Cloning Techniques(Academic Press,Inc.,San Diego,CA,1987);Young and Davis,P.N.A.S,80:1194(1983)において参照されている方法などに応じて選択される。反復制御されたハイブリダイゼーション反応を実行する方法および装置は、米国特許第5,871,928号、第5,874,219号、第6,045,996号および第6,386,749号、第6,391,623号に記載されており、これらはそれぞれ、あらゆる目的のために、その全体が参照されて本明細書に組み込まれる。
【0027】
本発明は、一定の好適な実施形態におけるリガンド間のハイブリダイゼーションのシグナル検出も想定している。米国特許第5,143,854号、第5,578,832号、第5,631,734号、第5,834,758号、第5,936,324号、第5,981,956号、第6,025,601号、第6,141,096号、第6,185,030号、第6,201,639号、第6,218,803号、および第6,225,625号、ならびに米国特許出願第60/364,731号、ならびにPCT出願第PCT/US99/06097号(国際公開公報第WO99/47964号として公開されている)参照。これらも、そのそれぞれが、あらゆる目的のために、その全体が参照されて本明細書に組み込まれる。
【0028】
シグナル検出および強度データ処理の方法および装置は、例えば、米国特許第5,143,854号、第5,547,839号、第5,578,832号、第5,631,734号、第5,800,992号、第5,834,758号、第5,856,092号、第5,902,723号、第5,936,324号、第5,981,956号、第6,025,601号、第6,090,555号、第6,141,096号、第6,185,030号、第6,201,639号、第6,218,803号、および第6,225,625号、米国特許出願第60/364,731号ならびにPCT出願第PCT/US99/06097号(国際公開公報第WO99/47964号として公開されている)参照。これらもまた、あらゆる目的のために、その全体が参照されて本明細書に組み込まれる。
【0029】
また、本発明の実施は、従来の生物学的方法、ソフトウェアおよび装置を使用することもできる。本発明のコンピュータソフトウェア製品は、一般的に、本発明の方法の論理工程を遂行するためのコンピュータで実行可能な命令を有する、コンピュータで読み取り可能な媒体を含む。適当なコンピュータ可読性媒体は、フロッピー(登録商標)ディスク、CD‐ROM/DVD/DVD‐ROM、ハードディスク装置、フラッシュメモリ、ROM/RAM、磁気テープ等を含む。コンピュータで実行可能命令は、適当なコンピュータ言語、またはいくつかの言語の組み合わせで記述することができる。基本的なコンピュータによる生物学的方法は、例えばSetubal and Meidanis et al.,Introduction to Computational Biology Methods(PWS Publishing Company,Boston,1997)、Salzberg,Searles,Kasif,(ED.),Computational Methods in Molecular Biology,(Elsevier,Amsterdam,1998)、Rashidi and Buehler,Bioinformatics Basics:Application in Biological Science and Medicine(CRC Press,London,2000)、およびOuelette and Bzevanis Bioinformatics:A Practical Guide for Analysis for Gene and Proteins (Winley & Sons,Inc.,2nd ed.,2001)に記載されている。米国特許第6,420,108号参照。
【0030】
また、本発明では、プローブ設計、データ管理、解析、および機器の操作などの多様な目的に、種々のコンピュータプログラム製品およびソフトウェアを利用することもできる。米国特許第5,593,839号、第5,795,716号、第5,733,729号、第5,974,164号、第6,066,454号、第6,090,555号、第6,185,561号、第6,188,783号、第6,223,127号、第6,229,911号、および第6,308,170号参照。
【0031】
また、本発明では、米国特許第5,545,531号および第5,874,219号に記載されているアレイおよび処理についてのいくつかの実施形態を利用することもできる。これらの特許は、あらゆる目的のために、その全体が参照されて本明細書に組み込まれる。
【0032】
さらに、本発明には、米国特許出願第10/063,559号、第60/349,546号、第60/376,003号、第60/394,574号、第60/403,381号などに示されているように、インターネットなどのネットワーク上で遺伝子情報を提供する方法を含む好適な実施形態がありうる。
【0033】
(II.定義)
「アレイ」は、意図的に生成した分子の集合体であって、化学合成または生合成により調製することができる集合体である。アレイ中の分子は、同一のものでも、または互いに異なるものでもよい。アレイは、種々のフォーマット、例えば、可溶性分子のライブラリー、樹脂ビーズ、シリカチップ、または他の固形支持体に固定した化合物などを想定することができる。
【0034】
「アレイプレートまたはプレート」とは、液体を通過させずに、ウェルと呼ばれる領域または空間を形成する物理的障壁によって、各アレイが他のアレイから分離されている複数のアレイを有する物体である。
【0035】
「核酸のライブラリーまたはアレイ」は、意図的に生成された核酸の集合体であって、化学合成によるか生合成によって調製することができ、さまざまな異なったフォーマット(可溶性分子のライブラリー、樹脂ビーズ、シリカチップ、またはその他の固形支持体に固定されたオリゴのライブラリー)における生物活性をスクリーニングすることができる集合体である。さらに、「アレイ」という用語は、本質的には任意の長さの核酸(例えば、長さ約1から約1000ヌクレオチドのモノマー)を基質上にスポットすることによって生成することができる、このような核酸ライブラリーも含む意味であるが、これらに限定されるものではない。本明細書において「核酸」という用語は、任意の長さのヌクレオチドのポリマー形状のものであって、プリン基およびピリミジン基、またはその他の天然に、化学的に、または生化学的に修飾されているヌクレオチドの塩基、または、誘導体化されているヌクレオチドの塩基のいずれかを含むリボヌクレオチド、デオキシリボヌクレオチド、または、米国特許第6,156,501号に示されているようなペプチド核酸(PNA)を意味する。ポリヌクレオチドの骨格は、一般的に、RNAまたはDNA、または置換された糖またはリン酸基に見られるように、糖およびリン酸基から構成されることがある。ポリヌクレオチドには、メチル化されたヌクレオチドおよびヌクレオチドのアナログなど、修飾されたヌクレオチドが含まれうる。ヌクレオチドの配列は、非ヌクレオチド成分によって中断されることがある。したがって、ヌクレオシド、ヌクレオチド、デオキシヌクレオシドおよびデオキシヌクレオチドという用語は、一般的には、本明細書に記載されているようなアナログも含む。これらのアナログは、天然のヌクレオシドまたはヌクレオチドに共通するいくつかの構造的特徴を有するため、核酸配列またはオリゴヌクレオチド配列に取り込まれると、溶液中に存在する天然の核酸配列とハイブリダイズすることが可能になるという分子である。一般的には、これらのアナログは、天然のヌクレオシドまたはヌクレオチドを、塩基、リボース、またはホスホジエステル部分を置換および/または修飾することによって得られる。これらの変化は、ハイブリッド形成を安定させたり不安定にさせたり、または、相補的核酸配列とのハイブリダイゼーションの特異性を亢進させたりと、必要に応じてあつらえることができる。
【0036】
「バイオポリマーまたは生体高分子」は、生物学的または化学的成分の反復単位を意味するものとする。代表的なバイオポリマーは、核酸、オリゴヌクレオチド、アミノ酸、タンパク質、ペプチド、ホルモン、オリゴ糖、脂質、糖脂質、リポ多糖、リン脂質、および前記のものの合成アナログなどがあるが、これらに限定されるものではない。また、合成アナログは、逆転ヌクレオチド、ペプチド核酸、メタDNA、および上記したものの組合せを含むが、これらに限定されない。「バイオポリマー合成」は、有機的および無機的合成によるバイオポリマーの生成を含むものとする。
【0037】
バイオポリマーに関係するのは、バイオポリマーの単一ユニット、またはバイオポリマーの一部ではない単一ユニットを意味するための「バイオモノマー」である。従って、例えば、ヌクレオチドはオリゴヌクレオチド・バイオポリマー内のバイオモノマーであり、また、アミノ酸は、タンパク質またはペプチド・バイオポリマー内のバイオモノマーであり、また、例えば、アビジン、ビオチン、抗体、抗体断片などもバイオポリマーである。
【0038】
「開始バイオモノマー」:または「イニシエーター・バイオモノマー」は、反応性求核試薬を介してポリマーの表面に共有結合によって結合している先頭のバイオモノマー、または、反応性求核試薬を介してポリマーに結合しているリンカーまたはスペーサーアームに結合している先頭のバイオモノマーである。
【0039】
「相補性」は、例えば、二本鎖DNA分子の2本の鎖の間、または、オリゴヌクレオチドプライマーと、配列決定または増幅すべき一本鎖核酸上のプライマー結合部位との間など、ヌクレオチドまたは核酸同士におけるハイブリダイゼーションまたは塩基対の形成を意味する。相補ヌクレオチドは、通常、AとT(またはAとU)、またはCとGである。2本の一本鎖RNAまたはDNA分子は、一方の鎖のヌクレオチドが、好ましくは整列されて比較され、また、適当なヌクレオチドの挿入または欠失をもって、もう一方の鎖のヌクレオチドの少なくとも約80%、通常は少なくとも約90%から95%、より好ましくは約98%から100%と対合する場合に、実質的に相補的であると言われる。あるいは、選択的なハイブリダイゼーション条件下で1本のRNAまたはDNA鎖がその相補鎖にハイブリダイズする場合、実質的な相補性が存在する。一般に、少なくとも14から25個のヌクレオチドの長さにわたって少なくとも約65%の相補性、好ましくは少なくとも約75%、より好ましくは少なくとも約90%の相補性が存在する場合に、選択的ハイブリダイゼーションが起こる。M.Kanehisa Nucleic Acids Res. 12:203(1984)参照。
【0040】
コンビナトリアル合成法:コンビナトリアル合成法は、反応基質(reactant matrix)およびスイッチ基質(switch matrix)に相当する試薬を順次添加することによって多様なポリマー配列を並行合成するための順序付けられた方法であり、この合成法の産物が生成物基質(product matrix)である。反応基質は、添加される合成断片の構成単位である1列×m行の基質である。スイッチ基質は、縦に並べられたi行からm行までの間の、好ましくは規則正しく並べられた2進数の全てまたは部分集合である。「バイナリー法」とは、少なくとも連続した2つのステップにより、基質上の目的とする領域の一部、しばしば半分を照射するという方法である。バイナリー合成法においては、一組の順番に並んだ反応試薬から形成することができると考えられるすべての化合物を形成させる。最も好適な実施形態において、バイナリー合成法は、その前の添加ステップも含む合成法を意味する。例えば、マスキング法のためのスイッチ基質が、前に照射した領域を半分に分けて、以前照射した領域の約半分を照射し、残りの半分を保護する(また、一方で、以前保護された領域の約半分を保護し、以前保護された領域の残りの約半分を照射する)。2進法的過程の間に非2進法的過程が入り込むことが可能であるため、基質の一部に対してのみ、2進法スキームを行うことができると認められる。コンビトリアルな「マスキング」法は、光または他の空間選択的な脱保護剤または活性化剤を使用して物質から保護基を除去して、アミノ酸などの別の物質を付加する合成法である。
【0041】
「有効量」とは、所望の結果を誘導するのに十分な量を意味する。
【0042】
「励起エネルギー」は、例えば蛍光性標識を発光させることのように、検出のための検出用標識に活性を与えるために利用されるエネルギーを意味する。この用途のための装置は、レーザー、紫光外線、発光ダイオード、白熱光源、またはその他の光線などのコヒーレント光または非コヒーレント光、または、励起可能標識の励起帯に波長を有する電磁エネルギー源、または検出可能な透過光、反射光または拡散光を発することができる電磁エネルギー源などである。
【0043】
「ゲノム」は、生物の染色体中の遺伝物質のすべてである。特定の生物の染色体中の遺伝物質から得られるDNAがゲノムDNAである。ゲノムライブラリーは、ある生物の全ゲノムに相当する一組のランダムに生成した重複DNA断片から生成したクローンの集合体である。
【0044】
「ハイブリダイゼーションの条件」は、一般的には、約1M未満、より通常は約500mM未満、好ましくはおよそ200mM未満の塩濃度を含む。ハイブリダイゼーション温度は、5℃まで低くすることができるが、一般的には22℃よりも高く、より一般的には約30℃よりも高く、好ましくは約37℃を超える。断片が長くなるほど、特異的ハイブリダイゼーションのために、より高いハイブリダイゼーション温度が必要となろう。塩基組成および相補鎖の長さ、有機溶剤の存在および塩基のミスマッチの程度など、他の要素がハイブリダイゼーションのストリンジェンシーに影響するため、パラメーターの組合せが、単独のパラメーターの絶対測定値より重要である。
【0045】
ハイブリダイゼーション、例えば、対立遺伝子特異的プローブのハイブリダイゼーションは、通常、ストリンジェントな条件下で実施される。例えば、塩濃度が約1モル濃度(M)を超えず、温度が25℃以上であるという条件は、例えば、750mMのNaCl、50mMのリン酸ナトリウム、5mMのEDTA、pH7.4(5X SSPE、および、約25℃から約30℃の温度という条件である。
【0046】
「ハイブリダイゼーション」は、通常、ストリンジェントな条件下、例えば1Mを超えない塩濃度および25℃以上の温度で実施する。例えば、5×SSPE(NaCl 750mM、リン酸ナトリウム 50mM、EDTA 5mM、pH7.4)、および温度が25℃から30℃という条件が、対立遺伝子特異的プローブのハイブリダイゼーションに適している。ストリンジェントな条件については、例えば、Sambrook, Fritsche and Maniatis.”Molecular Cloning:A laboratory Manual”2nd Ed. Cold Spring Harbor Press(1989)参照。この文献は、あらゆる目的のために、その全体が参照して本明細書に組み込まれる。
【0047】
「ハイブリダイゼーション」という用語は、2本の一本鎖ポリヌクレオチドが非共有結合して、安定した二本鎖ポリヌクレオチドを形成することを意味するが、三本鎖のハイブリダイゼーションも理論的には可能である。その結果得られた(通常は)二本鎖ポリヌクレオチドが「ハイブリッド」である。安定したハイブリッドを形成するポリヌクレオチド集団の比率を、本明細書においては「ハイブリダイゼーション度」と呼ぶ。
【0048】
「ハイブリダイゼーション・プローブ」とは、塩基特異的な態様で、核酸の相補鎖に結合することができるオリゴヌクレオチドである。このようなプローブには、Nielsen et al.,Science 254,1497−1500(1991)に記載されているようなペプチド核酸、ならびにその他の核酸類似物質および核酸模倣物質が含まれる。米国特許第6,156,501号参照。
【0049】
「特異的にハイブリダイズする」、とは、複合混合物である(例えば、細胞中の全)DNAまたはRNAの中に特定の塩基配列が存在するとき、その塩基配列に、ストリンジェントな条件下で実質的に、またはそれに対してのみ、ある分子が結合、二本鎖形成またはハイブリダイズすることを意味する。
【0050】
「単離された核酸」とは、存在する主要な分子種が、目的とする分子種である発明である(すなわち、分子レベルでは、組成物に存在する他のどの分子種よりも豊富に存在する)。好ましくは、単離された核酸は、存在する全高分子種の少なくとも(モル濃度で)約50、80または90%を構成する。最も好ましくは、目的とする分子種を、本質的に均一になるまで精製する(通常の検出法では、混入した分子種を組成物中で検出することができない)。
【0051】
「標識」、例えば「発光性標識」、光を散乱させる標識または放射性標識。蛍光標識は、中でも、Fluoreprime(Pharmacia)、Fluoredite(Millipore)およびFAM(ABI)など、市販されているフルオレセイン・ホスホルアミダイトなどである。米国特許第6,287,778号参照。
【0052】
「リガンド」:リガンドは、特定のレセプターに認識される分子である。レセプターに結合される、またはレセプターと反応する因子を「リガンド」と呼ぶが、この用語は、その結合相手となるレセプターとの関係でのみ定義としての意味をもつ。「リガンド」という用語は、問題となっている物質が、レセプターに結合するか、さもなければレセプターと反応することができるということ以外に、何ら特定の分子量、その他構造上または組成上の特徴を意味するものではない。また、リガンドは、レセプターが結合する天然のリガンドとして、または、アゴニストまたはアンタゴニストとして作用することのできる機能的アナログとして働くことができる。本発明によって調べることができるリガンドの例には、細胞膜レセプターに対するアゴニストおよびアンタゴニスト、毒素および毒、ウイルスのエピトープ、ホルモン(例えば、麻酔剤、ステロイド剤など)、ホルモンレセプター、ペプチド、酵素、酵素基質、基質アナログ、遷移状態アナログ、補因子、薬剤、タンパク質、および抗体などがあるが、これらに限定されるものではない。
【0053】
「連鎖不平衡または対立遺伝子関連」とは、ある対立遺伝子または遺伝子マーカーが、集団中の任意の対立遺伝子と偶然に関連すると期待される頻度よりも高い頻度で、近傍に位置する特定の対立遺伝子または遺伝子マーカーと選択的に関連することを意味する。例えば、遺伝子座Xに対立遺伝子aおよびbがあって、これらが同じ頻度で存在しており、これに連鎖する遺伝子座Yには対立遺伝子cおよびdがあって、これらも同じ頻度で存在する場合、acという組み合わせが0.25という頻度で生じると予想することができる。これよりも高い頻度でacが生じれば、対立遺伝子aとcは連鎖不平衡にある。連鎖不平衡は、ある対立遺伝子の組み合わせが自然選択されることにより、または、対立遺伝子が、つい最近になって導入されたため、連鎖する対立遺伝子との平衡に達していないことが原因で生じている可能性がある。
【0054】
「マイクロタイタープレート」は、多数のサンプルの物理的、化学的または生物学的な特徴を並行して試験するために使用される標準的な構成(96、384、および1536ウェル)になっている分離されたウェルの配列である。
【0055】
「混合集団」または「複合集団」とは、所望の核酸と所望でない核酸とを含むサンプルを意味する。非限定的な例として、核酸の複合集団は、全ゲノムDNA、全ゲノムRNA、またはそれらを組み合わせたものである。さらに、核酸の複合集団は、所定の集団について濃縮されているものでもよいが、その他の所望でない集団を含んでいてもよい。例えば、核酸の複合集団は、所望のメッセンジャーRNA(mRNA)の配列が濃縮されているものでもよいが、所望でないリボゾームRNAの配列(rRNA)をいくらか含んでいてもよい。
【0056】
「モノマー」とは、一緒に結合してオリゴマーまたはポリマーを形成することができる分子セットの構成分子を意味する。本発明において有用なモノマーのセットには、例えば、(ポリ)ペプチドを合成するためのL型アミノ酸、D型アミノ酸、または合成アミノ酸のセットなどがあるが、これらに限定されるものではない。本明細書において、「モノマー」は、オリゴマーを合成するための基本セットの構成分子を意味する。例えば、L型アミノ酸のダイマーは、ポリペプチドを合成するための400種類の「モノマー」の基本セットを構成する。ポリマーの合成の連続的な工程において、さまざまなモノマーの基本セットを用いることが可能である。また、「モノマー」という用語は、さまざまな化学物質サブユニットと組み合わせて、どちらの単独サブユニットよりも大きな化合物を形成することができる化学物質サブユニットも意味する。
【0057】
「mRNAまたはmRNA転写産物」とは、本明細書において、前駆mRNA転写産物、転写産物のプロセッシングにおける中間体、翻訳することができる成熟したmRNA、および遺伝子の転写産物、またはmRNA転写産物に由来する核酸を含むが、これらに限定されるものではない。転写産物のプロセッシングには、スプライシング、エディティング、および分解などがありうる。本明細書において、mRNA転写産物に由来する核酸とは、その合成に、mRNAまたはその部分配列が最終的にテンプレートとして働く核酸を意味する。したがって、mRNAから逆転写されるcDNA、そのcDNAから転写されるRNA、cDNAから増幅されるDNA、増幅されたDNAから転写されるRNAなどはすべて、mRNA転写産物に由来するものであり、このような派生産物を検出することで、サンプル中に存在する本来の転写産物の有無が示されるのである。このように、mRNAに由来するサンプルには、遺伝子のmRNA転写産物、mRNAから逆転写されるcDNA、cDNAから転写されるcRNA、遺伝子から増幅されるDNA、増幅されたDNAから転写されるRNAなどがあるが、これらに限定されるものではない。
【0058】
「核酸のライブラリーまたはアレイ」は、意図的に生成された核酸の集合体であって、化学合成によるか生合成によって調製することができ、さまざまな異なったフォーマット(可溶性分子のライブラリー、樹脂ビーズ、シリカチップ、またはその他の固形支持体に固定されたオリゴのライブラリー)における生物活性をスクリーニングすることができる集合体である。さらに、「アレイ」という用語は、本質的には任意の長さの核酸(例えば、長さ約1から約1000ヌクレオチドのモノマー)を基質上にスポットすることによって生成することができる、このような核酸ライブラリーも含む意味であるが、これらに限定されるものではない。本明細書において「核酸」という用語は、任意の長さのヌクレオチドのポリマー形状のものであって、プリン基およびピリミジン基、またはその他の天然に、化学的に、または生化学的に修飾されているヌクレオチドの塩基、または、誘導体化されているヌクレオチドの塩基のいずれかを含むリボヌクレオチド、デオキシリボヌクレオチド、またはペプチド核酸(PNA)を意味する。ポリヌクレオチドの骨格は、一般的に、RNAまたはDNA、または置換された糖またはリン酸基に見られるように、糖およびリン酸基から構成されることがある。ポリヌクレオチドには、メチル化されたヌクレオチドおよびヌクレオチドのアナログなど、修飾されたヌクレオチドが含まれうる。ヌクレオチドの配列は、非ヌクレオチド成分によって中断されることがある。したがって、ヌクレオシド、ヌクレオチド、デオキシヌクレオシドおよびデオキシヌクレオチドという用語は、一般的には、本明細書に記載されているようなアナログも含む。これらのアナログは、天然のヌクレオシドまたはヌクレオチドに共通するいくつかの構造的特徴を有するため、核酸配列またはオリゴヌクレオチド配列に取り込まれると、溶液中に存在する天然の核酸配列とハイブリダイズすることが可能になるという分子である。一般的には、これらのアナログは、天然のヌクレオシドまたはヌクレオチドを、塩基、リボース、またはホスホジエステル部分を置換および/または修飾することによって得られる。これらの変化は、ハイブリッド形成を安定させたり不安定にさせたり、または、相補的核酸配列とのハイブリダイゼーションの特異性を亢進させたりと、必要に応じてあつらえることができる。
【0059】
本発明に係る「核酸」は、ピリミジン塩基およびプリン塩基、好ましくは、それぞれ、システイン、チミンおよびウラシル、ならびにアデニンおよびグアニンのポリマーまたはオリゴマーを含む。Albert L.Lehninger,Principles of Biochemistry,at 793−800(Worth Pub.1982)参照。実際、本発明は、デオキシリボヌクレオチド、リボヌクレオチド、またはペプチド核酸成分、および、それらの化学的変異体、すなわち、これらの塩基をメチル化、ヒドロキシメチル化、またはグリコシル化した形態などを想定している。ポリマーまたはオリゴマーは、組成において異種でも同種でもよく、天然の由来源から単離されたものでも、人工的または合成によって生成されたものでもよい。また、核酸は、DNAもしくはRNA、またはそれらの混合物でもよく、また、ホモ二本鎖、ヘテロ二本鎖、およびハイブリッドの状態など、永久的にまたは一時的に一本鎖または二本鎖の形で存在しているものでもよい。
【0060】
「オリゴヌクレオチド」または「ポリヌクレオチド」は、少なくとも2ヌクレオチド、好ましくは8ヌクレオチド以上、また、より好ましくは20ヌクレオチド以上の長さの核酸、または、ポリヌクレオチドに特異的にハイブリダイズする化合物である。本発明に係るポリヌクレオチドは、デオキシリボヌクレオチド(DNA)またはリボヌクレオチド(RNA)であって、天然由来源から単離されうるもの、組換えによって作出されるか、人工的に合成されうるもの、およびそれらの模倣化合物を含む。本発明に係るポリヌクレオチドのさらなる例はペプチド核酸(PNA)である。また、本発明は、一定のtRNA分子で同定されていて、3重らせんで存在すると考えられているフーグステン型塩基対合のような従来とは異なる塩基対合があるという状況も含む。「ポリヌクレオチド」および「オリゴヌクレオチド」は、本出願において互換的に使用される。
【0061】
「プローブ」:プローブは、特定の標的によって認識されうる表面固定された分子である。本発明によって調べることができるプローブの例には、胞膜レセプターに対するアゴニストおよびアンタゴニスト、毒素および毒、ウイルスのエピトープ、ホルモン(例えば、オピオイド・ペプチド、ステロイド剤など)、ホルモンレセプター、ペプチド、酵素、酵素基質、補因子、薬剤、レクチン、糖類、オリゴヌクレオチド、核酸、オリゴ糖、タンパク質、およびモノクローナル抗体などがあるが、これらに限定されるものではない。
【0062】
「プライマー」は、4種類のヌクレオシド三リン酸、および、例えば、DNAポリメラーゼもしくはRNAポリメラーゼまたは逆転写酵素などの重合させるための薬剤が存在する中、例えば緩衝液や温度などが適切な条件下において、テンプレート特異的DNA合成の開始点として作用することができる一本鎖オリゴヌクレオチドである。プライマーの長さは、いずれの場合であっても、例えば、プライマーの使用目的に応じて決まるが、通常は、15から20、25、30ヌクレオチドの範囲である。短いプライマー分子では、通常、テンプレートと十分に安定したハイブリッド複合体を形成するのに、より低い温度を必要とする。プライマーは、テンプレートの配列を正確に反映する必要はないが、そのテンプレートにハイブリダイズするのに十分相補的でなければならない。プライマー部位とは、プライマーがハイブリダイズするテンプレートの領域である。プライマー対とは、増幅する配列の5’末端にハイブリダイズする5’側上流プライマーと、増幅する配列の3’末端の相補鎖にハイブリダイズする3’側下流プライマーとを含む、1組のプライマーである。
【0063】
「多型」とは、ある集団において、遺伝的に決定されている選択的配列または対立遺伝子が2種類以上存在することを意味する。多型のマーカーまたは部位とは、分岐が生じている遺伝子座である。好適なマーカーは、2個以上の対立遺伝子であって、その各々が、選択された集団の1%以上の頻度、また、より好ましくは、10%または20%より高い頻度で存在する対立遺伝子を有する。多型性は、1個以上の塩基の変化、挿入、反復、または欠失を含みうる。多型的遺伝子座は、1塩基対だけという短さでもよい。多型性マーカーには、制限酵素断片長多型、可変数縦列反復配列(VNTR)、超可変領域、ミニサテライト、ジヌクレオチド反復配列、トリヌクレオチド反復配列、テトラヌクレオチド反復配列、単純な配列反復、および、Aluなどの挿入因子などがある。最初に同定された対立遺伝子の型を勝手に参照型と名付け、その他の対立遺伝子型を選択的対立遺伝子または変異型対立遺伝子と名付ける。選択された集団において最も頻度が高い対立遺伝子型が野生型と呼ばれることもある。2倍体の生物は、対立遺伝子型についてホモ接合またはヘテロ接合のいずれかであろう。2対立遺伝子多型には2種類の型がある。3対立遺伝子多型には3種類の型がある。1塩基多型(SNP)は多型性に含まれる。
【0064】
読み取り装置またはプレート読み取り装置は、アレイ上の核酸プローブと蛍光標識された標的とのハイブリダイゼーションのように、アレイ上でハイブリダイゼーションが起きたことを確認するために使用される装置である。読み取り装置は、当技術分野において公知であり、Affymetrix,Santa Clara CA、およびその他の会社を通して市販されている。通常、それらは、プローブにハイブリダイズした蛍光標識された標的核酸を照射するために励起エネルギー(レーザーなど)を利用することを含む。そして、CCD、PMT、光ダイオード、または、集めた光を記録するための同様の装置(励起エネルギーとは異なった波長で)を用いて、再放出された光を検出する。米国特許第6,225,625号参照。
【0065】
「レセプター」:所定のリガンドに対して親和性を有する分子。レセプターは、天然または人工の分子である。また、それらを元の状態のままで使用したり、他の分子種との集合体として使用することもできる。レセプターは、共有的または非共有的に、直接または特異的な結合物質を介して結合部に結合することができる。本発明によって利用されうるレセプターの例は、抗体、細胞膜レセプター、特異的な抗原決定基(ウイルス、細胞、または、他の物質など)と反応するモノクローナル抗体および抗血清、薬剤、ポリヌクレオチド、核酸、ペプチド、補因子、レクチン、糖類、多糖類、細胞、細胞膜、およびオルガネラなどであるが、これらに限定されるものではない。当技術分野において、レセプターは、抗リガンドと呼ばれることもある。レセプターという用語が本明細書において複数形で使用されるとき、意味に違いを生じさせるものではない。「リガンド・レセプター対」は、2種類の高分子が分子認識によって結合して複合体を形成するときに形成される。本発明によって調べることができるレセプターのその他の例は、米国特許第5,143,854号に示されている分子などであるが、それらに限定されるものではない。本文献は、その全体が参照されて本明細書に組み込まれる。
【0066】
「固形支持体」、「支持体」および「基質」は互換的に使用され、剛体または半剛体の表面をもつ物質または物質のグループを意味する。多くの実施形態において、固形支持体の少なくとも一方の表面は実質的に平面であるが、実施形態によっては、例えば、ウェル、隆起した領域、ピン、刻み込まれた溝などによって、異なった化合物を合成するための領域を物理的に隔てることが望ましいこともある。別の実施形態では、固形支持体は、ビーズ、樹脂、ゲル、ミクロスフェア、またはその他の幾何学図形という形をとる。基質の例として、米国特許第5,744,305号参照。
【0067】
標的:所定にプローブに親和性を有する分子。標的は、天然または人工の分子である。また、それらを元の状態のままで使用したり、他の分子種との集合体として使用することもできる。標的は、共有的または非共有的に、直接または特異的な結合物質を介して結合部に結合することができる。本発明によって利用されうる標的の例は、抗体、細胞膜レセプター、特異的な抗原決定基(ウイルス、細胞、または、他の物質など)と反応するモノクローナル抗体および抗血清、薬剤、ポリヌクレオチド、核酸、ペプチド、補因子、レクチン、糖類、多糖類、細胞、細胞膜、およびオルガネラなどであるが、これらに限定されるものではない。当技術分野において、レセプターは、抗プローブと呼ばれることもある。標的という用語が本明細書において複数形で使用されるとき、意味に違いを生じさせるものではない。「プローブ・標的対」は、2種類の高分子が分子認識によって結合して複合体を形成するときに形成される。
【0068】
WGSA(全ゲノムサンプリングアッセイ法)遺伝子型決定技術:遺伝子座特異的プライマーを使用せずに、複合DNAにおいて何千ものSNPを同時に遺伝子型決定できる技術。この技術では、例えば、目的とする制限酵素でゲノムDNAを切断して、切断された断片にアダプターを連結させる。アダプター配列に対応する1種類のプライマーを用いて、所望の長さ、例えば500〜2000bpの断片を増幅する。そして、処理された標的を、SNP含有断片/プローブを含む核酸アレイにハイブリダイズさせる。WGSAは、例えば、米国仮出願番号第60/319,685号、第60/453,930号、第60/454,090号および第60/456,206号、第60/470,475号、米国特許出願第09/766,212号、第10/316,517号、第10/316,629号、第10/463,991号、第10/321,741号、第10/442,021号、および第10/264,945号に開示されており、これらはそれぞれ、あらゆる目的のために、その全体が参照されて本明細書に組み込まれる。
【0069】
ここで、本発明の例示的実施形態を詳細に説明する。例示的な実施形態とともに本発明を説明するが、当然ながら、それらは、本発明をこれらの実施形態に制限することを意図したものではない。逆に、本発明は、代替、変更および同等のものをカバーするものであり、それらは、本発明の精神と範囲に含まれうる。
【0070】
(3.全転写産物アッセイ法のためのサンプル調製法)
本発明の一態様において、転写産物のエキソンの少なくとも70%、80%、90%、または全転写産物に相当する核酸サンプルの調製に適した方法を提供する。好適な実施形態では、エキソン、選択的にはエキソン間の結合部を標的するプローブを含むことができる高密度オリゴヌクレオチドアレイなどの核酸プローブアレイとハイブリダイズさせるために、これらの方法を用いて、転写産物中の少なくとも70%、80%、90%またはすべてのエキソンから核酸サンプルを調製する。本発明に係る方法も、米国特許出願第10/815,333号に記載されているようなタイリングアレイで使用するのに適している。この文献は本明細書に組み込まれる。好適な実施形態において、アレイは、少なくとも500、1000、10,000の転写産物の少なくとも50%、70%、80%、90%またはすべてのエキソンを標的するプローブを有することが可能である。
【0071】
好適な実施形態において、RNA転写産物サンプル(図1に例示)は、cDNAを合成するための逆転写反応用のテンプレートとして使用される。cDNAを合成する方法は、当技術分野で周知されている。しかし、この好適な実施形態において、ランダムな領域および固定した配列内容領域をもつオリゴヌクレオチドプライマーを使用することが可能である。プライマーの一例は、ランダム・ヘキサマーと、後のインビトロ転写反応において有益なT7プロモーターである:
(配列番号:01)5’GAATTGTAATACGACTCACTATAGGGNNNNNN3’
(NNNNNNが、ランダム・ヘキサマー領域に相当する)。
【0072】
ランダム領域は、転写産物を用いてプライマーによる無作為なプライミングを行うために有用であり、得られたcDNAが、転写産物のさまざまな領域をより代表できるようになる。好適な実施形態において、プライマーのランダム領域は、長さ5、6、7、8、9塩基である。固定した配列内容領域は、その後の反応における所望の機能を提供するために一般的に用いられる。例えば、T7プロモーターは、インビトロでの転写反応に有益である。当業者の技術において、T3やSP6などのT7以外のプロモーターもまた、インビトロでの転写に一般に利用されており、固定した内容領域への利用に好ましい。さまざまなインビトロ転写用プロモーターに対するポリメラーゼが、例えば、Ambion,Inc.(Austin,TX,USA)から市販されている。
【0073】
図1に示すように、得られたcDNA(一般的には二本鎖)をインビトロ転写反応用のテンプレートとして用いてcRNAを合成することができる。cRNA標的は、ハイブリダイゼーションおよび検出のために標識/断片化することができる(図2参照)。しかし、特に好適な実施形態において、cRNAが、例えばランダムプライマーを用いた別のcDNA合成反応のテンプレートとして使用される。その結果得られたcDNAを、ハイブリダイゼーションおよび検出のために標識し断片化することができる。この方法は、一般的には、検出感度を増加させる。
【0074】
図2は、2つの方法を比較したものである。当業者は、本発明が、特定の標識法または断片化法に限定されるものでないことを理解されよう。多くの適当な標識法および断片化法を利用することができる。ハイブリダイゼーションを促進するという用途に適した別のDNA断片化法が、例えば、米国特許仮出願第60/589,648号、第60/545,417号、第60/512,569号,第60/506,697号に記載されており、これらすべては、参照することにより本明細書に組み込まれる。
【0075】
以下は、好適な実施形態を具体的に説明する非限定的な例としての詳細なプロトコールである。このプロトコール例は、エキソン、選択的スプライシングなど、転写の特徴を検出するために、いくつかの大規模実験で用いられ、非常に良好な結果をもたらした(データは図示せず)。表1に試薬および材料の例を列挙した。
【0076】
(表1.試薬および材料)
【0077】
【表1−1】

【0078】
【表1−2】


【0079】
(cRNA増幅)
(工程1.第1鎖cDNA合成)
1.全RNAサンプルとRP−T7プライマーを、0.2μLのPCRチューブの中で十分に混合する:
全RNA(10ng−100ng) 1μL
RP−T7プライマー、2pmol/ng 1μL
O 3μL
総容量 5μL
2.サーマルサイクラーの中、65℃で5分間インキュベートしてから、4℃で2分間保温した後スピンダウンしてサンプルを回収する。
3.以下のようにRT_プレミックス_1を調製する:
DEPC処理したHO 0.5μL
5×第1鎖緩衝液 2μL
DTT、0.1M 1μL
dNTP混合液、10mM 0.5μL
Superase In、20U/μL 0.5μL
SuperScript II、200U/μL 0.5μL
総容量 5μL
4.5μLのRT_プレミックス_1を、変性したRNAとプライマー混合物に加えて、最終容量を10μLとする。
5.十分に混合し、スピンダウンし、25℃で10分間、37℃で1時間インキュベートしてから、10分以内4℃に保つ。
【0080】
(工程2.第2鎖cDNA合成)
1.以下のようにSS_プレミックス_1を調製する:
DEPC処理したHO 4.575μL
MgCl、25mM 2.8μL
Klenow Fragment(エキソ−)、5U/μL 2.5μL
RNase H、2U/μL 0.125μL
総容量 10μL
2.10μLのSS_プレミックス_1を各第1鎖反応液に加えて、最終容量を20μLとする。
3.十分に混合し、スピンダウンしてから、37℃で50分間インキュベートする。
4.Klenow Fragment(エキソ−)を70℃で10分間不活性化し、10分以内4℃に保って、次の工程に進む。
【0081】
(工程3.Ambion MEGAscriptT7キットを用いたcRNA増幅のためのIVT)
1.第2鎖合成反応液に、室温で以下の試薬を以下の順序に従って加える:
ATP、75mM 5μL
CTP、75mM 5μL
GTP、75mM 5μL
UTP、75mM 5μL
10×反応緩衝液 5μL
10×酵素混合液 5μL
総容量 50μL
2.各試薬を加えた後十分に混合して、短時間スピンする。37℃で16時間インキュベートする。
【0082】
(工程4.RNeasyカラムによるcRNAのクリーンアップ)
1.50μLのRNaseを含まない水を上記cRNA産物に加える。
2.cRNA精製用のRNeasy Miniキットに添付されているQiagen社のRNAクリーンアップのためのRNeasy Miniプロトコールに従う。
3.cRNA精製の最終工程で、50μのRNaseを含まない水で生成物を溶出する。
4.2μLのcRNAを取り出して78μLの水に加えて、260nmにおける吸光度を測定してcRNAの収量を判定する。
5.次の工程に進む前に高速真空装置を用いて、容量を7μLに減少させる。
【0083】
(cRNAの二本鎖cDNAへの変換および標識)
(工程5.cRNAの第1鎖cDNAへの変換)
1.0.2μLのPCRチューブの中でcRNAとランダムプライマーを十分に混和する:
cRNA、可変 7μL
ランダムプライマー、3μg/μL 1μL
総容量 8μL
2.短時間スピンして、70℃で5分間、25℃で5分間インキュベートする。
3.以下のようにRT_プレミックス_2を調製する:
5×第1鎖緩衝液 4μL
DTT、0.1M 2μL
dNTP混合液、10mM 1μL
Superase In、20U/μL 1μL
SuperScript II、200U/μL 4μL
総容量 12μL
4.12μLのRT_プレミックス_2を、変性したRNAとプライマー混合物に加えて、最終容量を20μLとする。
5.十分に混合し、短時間スピンする。25℃で10分間、次に37℃で1時間インキュベートしてから、10分以内4℃に保つ。
【0084】
(工程6.第2鎖cDNA合成)
1.以下のようにSS_プレミックス_2を調製する:
DEPC処理した水 9.9μL
MGCl、25mM 5.6μL
ラージフラグメント、8.4U/μLT 4μL
RNase H、2U/μL 0.5μL
総容量 20μL
2.20μLのSS_プレミックス_2を、各第1鎖反応液に加えて、最終容量を40μLとする。
5.十分に混合し、スピンダウンしてから、37℃で40分間インキュベートし、10分以内4℃に保って、次の工程に進むか、−20℃で凍結させる。
【0085】
(工程7.二本鎖cDNAのクリーンアップ)
1.QIAquick PCR精製キットのプロトコールにしたがって二本鎖cDNAをクリーンアップする。
2.二本鎖cDNA精製の最終工程で、37μLのEB緩衝液で生成物を溶出する。
3.2μLのcDNA溶出液を取り出して78μLの水に加えて、260nmにおける吸光度を測定してcDNAの収量を判定する。
【0086】
(工程8.二本鎖cDNAの断片化)
1.1U/μLのDNAse Iを、1×One−Phor−All緩衝液プラスを用いて0.2U/μLに希釈する。
2.以下の混合液を調製する:
10×One−Phor−All緩衝液プラス 3.6μL
ds cDNA 30μL
DNAse I(0.2U/μL) 3μL
総容量 36.6μL
3.短時間スピンし、37℃で10分間インキュベートして、95℃で10分間DNase Iを不活性化してから、4℃に保つ。
4.断片化されたcDNAを1μL取り出し、キットの取扱指示書にしたがって、RNAナノキットを用いてAgilent 2100バイオアナライザー上でサイズをチェックする。所望の断片サイズは、50から200bpの範囲になるはずである。必要ならば、さらなるDNase Iを加えて、所望のサイズを得ることができる。
【0087】
(工程9.断片されたcDNAの標識:)
1.標識混合液を以下のよう調製する:
5×TdT反応緩衝液 14μL
CoCl、25mM 14μL
DLR−1a、5mM 1μL
末端転移酵素、rec(400U/μL) 4.4μL
総容量 33.4μL
2.33.4μLの標識混合液を、35.6μLの断片化cDNAに加えて、最終容量を69μLとする。
3.混合して短時間スピンする。37℃で60分間インキュベートしてから、4℃に保つ。
【0088】
(工程10.ハイブリダイゼーション)
1.ハイブリダイゼーション混合液を以下のよう調製する:
2×MESハイブリダイゼーション用緩衝液 100μL
コントロールオリゴB2、3mM 3μL
20×RNAコントロール 10μL
BSA、アセチル化されたもの、50mg/μL 2μL
ニシン精子DNA、10mg/μL 2μL
DMSO,100% 14μL
総容量 131μL
2.131μLのハイブリダイゼーション混合液を、69μLの標識反応液に加えて、最終容量を200μLとし、十分に混合した後、99℃で10分間変性してから、サーマルサイクラー中、50℃で5分間放置する。
3.200μLの標識されたcDNAを、予め湿らせておいたGeneChip(R)プローブアレイ(cDNA試験用アレイ)と50℃で16時間インキュベートする。
4.GeneChip(R)発現解析記述マニュアル(Affymetrix,Santa Clara,CA、USA)に記載されている洗浄およびスキャン手順に従う。この文献は、参照することにより本明細書に組み込まれる。
【0089】
図2は、転写産物全体を解析するためのもう一つのプロトコールを示す。このWTAプロトコールは、ランダムプライマーによるcDNA合成に基づいている。詳細なプロトコールが、本明細書において、非限定的な実施例として提供されている。
【0090】
(cDNA標的の調製)
(試薬および材料)
・ランダムプライマー、3μg/μL、Invitrogen Life Technologies,P/N 48190−011
・SuperScript II逆転写酵素,Invitrogen Life Technologies、P/N 18064−071
・SUPERase・InTM、Ambion、P/N 2696
・NaOH、1N溶液、VWR Scientific Products、P/N MK469360
・HCl、1N溶液、VWR Scientific Products、P/N MK638860
・QIAquick PCR精製キット、QIAGEN、P/N 28104
・10×One−Phor−All緩衝液、Amersham Pharmacia Biotech、P/N 27−0901−02
・デオキシリボヌクレアーゼ I(DNase I)、Amersham Pharmacia Biotech、P/N 27−0514−01
・EDTA、0.5M pH8.0、Invitrogen Life Technologies、P/N 15575−020
・末端転移酵素(緩衝液およびCoClを含む)、400 U/μL、組換え体、Roche Applied Science、P/N 3 333 574
・DLR−1a、5mM、Affymetrix、P/N 900430
(cDNA合成)
以下のプロトコールの出発物質は、5μgの全RNAである。インキュベーションは、サーマルサイクラー中で行われる。
【0091】
(工程1:cDNA合成)
1.プライマーをアニーリングするために以下の混合液を調製する。
ランダムプライマーを3μg/μLから750ng/μLに希釈する(1:4希釈)。
【0092】
(RNA/プライマーアニーリング用混合液)
【0093】
【表2】

2.RNA/プライマー混合液を以下の温度でインキュベートする。
・70℃で10分間
・25℃で10分間
・4℃に冷却する。
3.cDNA合成のために反応混合液を調製する。反応液を短時間遠心分離して、サンプルを底に集めて、RNA/プライマーアニーリング用混合液に、以下の表からcDNA合成用混合液を加える。
【0094】
(cDNA合成成分)
【0095】
【表3】

4.反応液を以下の温度でインキュベートする。
・25℃で10分間
・37℃で60分間
・42℃で60分間
・70℃で10分間、SuperScript IIを不活性化する。
・4℃に冷却する。
【0096】
(工程2:RNAの除去)
1.20μLの1N NaOHを加えて、65℃で30分間インキュベートする。
2.20μLの1N HClを加えて中和する。
【0097】
(工程3:cDNA合成生成物の精製および定量)
1.QIAquickカラムを用いて、cDNA合成生成物をクリーンアップする(詳細なプロトコールについては、供給業者から提供されるQIAquick PCR 精製キットプロトコールを参照)。生成物を、40μLのEB緩衝液(QIAquickキットとともに供給される)によって溶出する。
2.上記溶出液から2μLを取り出して、精製されたcDNA生成物を260nmにおける吸光度によって定量する(1.0A260ユニット=33μg/mLの一本鎖DNA)
(cDNAの断片化)
1.以下の反応混合液を調製する。
【0098】
(断片化反応混合液)
【0099】
【表4】

2.この反応液を37℃で10分間インキュベートする。
3.DNase Iを98℃で10分間不活性化させる。
4.断片化されたcDNAを直接末端標識反応に適用する。あるいは、後で使用するため、材料を−20℃で保存することもできる。
【0100】
(末端標識)
DLR−1a(Affymetrix,Santa Clara,CA,USA)との組換え体であるRoche末端転移酵素を用いて、断片生成物の3’末端を標識する。
1.以下の反応混合液を調製する。
【0101】
(末端標識反応液)
【0102】
【表5】

2.この反応液を37℃で60分間インキュベートする。
3.2μLの0.5M EDTA(pH8.0)を加えて反応を停止させる。
4.標的を、プローブアレイ上でハイブリダイズさせることができる。あるいは、後で使用するため、材料を−20℃で保存することもできる。
【0103】
(標的のハイブリダイゼーション)
(試薬および材料)
・2×MESハイブリダイゼーション用緩衝液(調製のためのGeneChip(R)発現解析技術マニュアル参照)
・アセチル化ウシ血清アルブミン(BSA)溶液、50mg/mL、Invitrogen Life Technologies,P/N 15561−020
・ニシン精子DNA、10mg/μL、Promega Corporation、P/N D1811
・GeneChip真核生物用ハイブリダイゼーションコントロールキット、Affymetrix、P/N900299
・コントロールオリゴB2、3nM、Affymetrix、P/N900301(別々に順序正しく並べることができる。)
・100%DMSO、Sigma、P/N D−4818
(標的のハイブリダイゼーション)
1.以下のものを標的毎に混合し、多数のプローブアレイに対してハイブリダイゼーションを行うためには、ハイブリダイゼーションの容量をスケールアップする。
【0104】
(1つのミディプローブアレイに対するハイブリダイゼーション用混合液)
【0105】
【表6】

2.使用直前に、プローブアレイを室温に平衡させる。
3.ハイブリダイゼーション用混合液を99℃で5分間加熱してから、50℃に保つ。
4.一方で、アレイを1×ハイブリダイゼーション用緩衝液で満たして湿らせる。プローブを50℃で10分間、回転させながらインキュベートする。
5.ハイブリダイゼーション用混合液を最高速度でスピンさせて、あらゆる不溶性物質を取り除く。
6.プローブアレイから緩衝液溶液を取り除き、ハイブリダイゼーションカクテルで充填する
7.50℃オーブン内のローティッセリーボックスにプローブアレイを置いて、60rpmで回転させて16時間ハイブリダイズさせる。
【0106】
(プローブアレイの洗浄および染色)
(試薬および材料)
・2×MESステイン緩衝液(調製のためのGeneChip(R)発現解析技術マニュアル参照)
・アセチル化ウシ血清アルブミン(BSA)溶液、50mg/mL、Invitrogen Life Technologies,P/N 15561−020
・R−フィコエリトリン・ストレプトアビジン、Molecular Probe、P/N S−886
・ヤギIgG、試薬等級、Sigma−Aldrich P/N I 5256
・抗ストレプトアビジン抗体(ヤギ)、ビオチン化抗体、Vector Laboratories、P/N BA−0500
(染色試薬の調製)
(第1回目および第3回目の染色のためのSAPE溶液混合物)
【0107】
【表7】

(第2回目の染色のための抗体溶液混合物)
【0108】
【表8】

(プローブアレイを洗浄および染色する)
真核生物標的に対する洗浄および染色の工程に関するGeneChip(R)発現解析技術マニュアルに記載されている指示にしたがう。
【0109】
図4は、ランダム・ヘキサマーcDNAプロトコール(WTA)とsWTA(ランダム/T7プライマー、cDNAサンプル)の間のプローブ強度の比較結果を示している。sWTAプロトコールは、WTAプロトコールと良好な相関関係を示す(R=0.961±0.004)。2つのプロトコールを用いて転写の検出を行う実験において、検出コールが一致するのはおよそ90%であった。
【0110】
図5は、転写産物を全長にわたって検索するように設計されたプローブによって、例示的な転写産物を検出するためのWTAプロトコールとsWTAプロトコールの比較結果を示している。これら2つのプロトコールが、転写産物の全長に相当する核酸サンプルを産生できることが分かる。
【0111】
本発明の一態様において、RNA転写産物に相当する核酸サンプルを調製する方法が提供される。これらの方法は、エキソンや選択的スプライシングなど、転写産物の特徴を検出するために使用されるサンプルを調製するのに特に適している。これらの方法は、転写産物の特徴を定量的、半定量的、または定性的に検出するのに適している。これらの方法を用いて、選択的にスプライシングされた転写産物など、すべてのタイプの転写産物を含む、多数の転写産物を観察することができる。これらの方法は、例えば、1000種類、5000種類、10,000種類、50,000種類よりも多い、多数の異なった標的転写産物、または転写産物の特徴を、マイクロアレイによって平行して解析する方法に特に適している。本明細書において、「標的転写産物」または「標的核酸」という用語は、対象とする転写産物または核酸を意味するために使用される。
【0112】
好適な実施形態において、核酸サンプルを調製する方法は、プライマー混合物を、複数のRNA転写産物、または該RNA転写産物に由来する核酸にハイブリダイズさせ、該RNA転写産物に相補的な第一鎖cDNA、および該第一鎖cDNAに相補的な第二鎖cDNAを合成する工程であって、該プライマー混合物が、プロモーター領域およびランダム配列プライマー領域を有するオリゴヌクレオチドを含む工程、および、プロモーター領域からRNA転写を開始させて核酸サンプルを生成する工程を含む。プライマー領域は、ランダムな六量体(ヘキサマー)であってもよい。プロモーターは、一般的には、バクテリオファージのプロモーター、好ましくは、T7、T3またはSP6のプロモーターのような原核生物プロモーターである。
【0113】
本方法を用いて、真核生物のmRNA、またはそれ以外のRNAを解析することができる。全RNAサンプル、またはポリ(A)+で濃縮されたサンプルはすべて、本方法を用いるのに適している。
【0114】
特に好適な方法において、得られたcRNAをテンプレートとして用いて、第二鎖cDNAを合成することができる。第二鎖cDNA合成は、ランダム・ヘキサマーなどのランダムプライマーを使用して実施することが可能である。
【0115】
本発明に係る方法は応用範囲が広く、特定の検出方法に限定されないが、特に、例えば1000種類、5000種類、10,000種類、50,000種類よりも多い、多数の異なった転写産物の特徴を検出するのに適している。例えば、第二鎖cDNAは断片であって/標識した後、検出のためハイブリダイズさせることができる。オリゴヌクレオチドプローブは、転写産物における特異的エキソンおよび/またはスプライス部位のような、転写産物の特異的な特徴を検出するのに特に適している。一般的には、5,000、10,000、50,000、100,000または500,000種類のオリゴヌクレオチドプローブをまとめて検出のため使用することも可能である。核酸プローブは、ビーズのコレクション上、または単一の基質上に固定することが可能である。
【0116】
別の態様において、核酸サンプルを調製するための試薬キットを提供する。試薬キットの具体例は、オリゴヌクレオチド混合物成分を含む容器、および、オリゴヌクレオチド混合物成分中のオリゴヌクレオチドがランダムプライマー領域およびプロモーター領域を含むものである、該オリゴヌクレオチド混合物の使用指示書を含む。オリゴヌクレオチド混合物の具体例の一つは以下の配列を有する。
(配列番号:01)5’GAATTGTAATACGACTCACTATAGGGNNNNNN3’
(NNNNNNが、ランダム・ヘキサマー領域に相当する)。
【0117】
本試薬キットは、さらに、逆転写酵素を含む容器、およびRNAポリメラーゼを含む容器を含む。キットには、ランダムプライマー領域およびプロモーター領域を有するオリゴヌクレオチド混合物以外にも、ランダムプライマー混合液(例えばランダムなヘキサマー混合液)を含ませることも可能である。付加的な成分には、標識用および断片化用の試薬やヌクレオチドなどがある。
【0118】
好適な実施形態において、本キットは、標的RNA転写産物に相当する配列を検出するよう設計された、1000種類、5000種類、10,000種類、または50,000種類のさまざまな核酸プローブのコレクションを含む。これらの核酸プローブは、基質上に固定することも可能であり、一般的には、5000以上のさまざまなエキソンおよび/または500以上のスプライス部位に対して設計されている。
【0119】
本発明に係る方法およびキットは、生物学的研究、診断学、毒物学、創薬などの領域において広範な応用範囲を有する。例示的な実施形態において、薬剤候補物質で処理したサンプルにおける各エキソンおよびスプライス部位構造の転写を観察する。選択的スプライシングなど、薬剤処理に対する転写特性の反応を解析して、薬剤候補物質を評価することができる。本発明に係る方法およびキットは、得られる核酸が、転写産物の3’末端領域または5’末端領域に限定されず、全転写産物に相当するものが多いため、このような用途に特に適している。
【0120】
別の用途例において、本方法およびキットを用いて組織サンプルを処理し、核酸サンプルを得ることができる。このサンプルを、選択的にスプライシングされた転写産物について解析する。選択的スプライシングは、しばしば一定の病気の発病に関係していることが知られている。組織サンプルにおける選択的スプライシングの発生を解析することによって、診断に関する情報を得ることができる。
【0121】
当然ながら、上記の説明は、例示のためのものであって、限定のためのものではない。上記説明を検討すれば、当業者にとって、本発明を変化させたものが数多く明らかになろう。特許文献および非特許文献を含む、引用された文献のすべてが、あらゆる目的のために、それら全部が参照されて本明細書に組み込まれる。
【図面の簡単な説明】
【0122】
本明細書に組み込まれてその一部を構成する添付の図面は、本発明の実施形態を例示するものであり、明細書とともに、本発明の原理を説明する助けとなる。
【図1】図1は、ランダムなヘキサマー(RH)領域およびT7プロモーター領域を含むオリゴヌクレオチドプライマーを使用する好適な実施形態(小さなサンプルWTAないしはsWTA)を示す概略図である。本方法には、2段階のcDNA合成工程がある。cDNAは、5’もしくは3’末端を標識するか、または内部標識することも可能である。
【図2】図2は、cRNAサンプルを調製するためのcDNA合成を1段階で行うプロトコールと、cDNAサンプルを調製するために2段階でcDNA合成を行うプロトコールという2つのプロトコールを比較する概略図である。cRNAは、ハイブリダイゼーションのために断片化/標識することが可能である。
【図3】図3は、cDNAサンプル(WTA)を調製するためのランダム・ヘキサマーによるcDNAプロトコールを示す概略図である。選択的には、第二鎖cDNAを合成することも可能である。
【図4】図4は、sWTAとWTAの効率を比較する。
【図5】図5は、RP−T7−CDNA増幅(sWTA)プロトコールが、典型的な全長転写産物全体を検出するのに有用であることを示す。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
核酸サンプルを調製する方法であって、
プライマー混合物を複数のRNA転写産物または該RNA転写産物に由来する核酸とハイブリダイズさせて、該RNA転写産物に相補的な第1鎖cDNA、および該第1鎖cDNAに相補的な第2鎖cDNAを合成する工程であって、該プライマー混合物が、プロモーター領域およびランダムな配列プライマー領域をもつオリゴヌクレオチドを含む、工程、ならびに、
該プロモーター領域から開始されるRNAを転写して核酸サンプルを生成する工程
を包含する、方法。
【請求項2】
前記ランダムな配列プライマー領域が、ランダムなヘキサマーである、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記プロモーター領域が、原核生物のプロモーターである、請求項2に記載の方法。
【請求項4】
前記プロモーター領域が、バクテリオファージのプロモーターである、請求項2に記載の方法。
【請求項5】
前記プロモーター領域が、T7プロモーターを含む、請求項4に記載の方法。
【請求項6】
前記プロモーター領域が、T3プロモーターを含む、請求項4に記載の方法。
【請求項7】
前記プロモーター領域が、SP6プロモーターを含む、請求項4に記載の方法。
【請求項8】
前記RNA転写産物が、真核生物のmRNAである、請求項1に記載の方法。
【請求項9】
核酸サンプルを調製する方法であって、
プライマー混合物を複数のRNA転写産物または該RNA転写産物に由来する核酸とハイブリダイズさせて、該RNA転写産物に相補的な第1鎖cDNA、および該第1鎖cDNAに相補的な第2鎖cDNAを合成して第1のcDNAを生成する工程であって、該プライマー混合物が、プロモーター領域およびランダムな配列プライマー領域をもつオリゴヌクレオチドを含む、工程、
該プロモーター領域から開始されるRNAを転写してcRNAを生成する工程、
ランダムプライマーの混合物を該cRNAにハイブリダイズさせる工程、ならびに
該ランダムプライマーから第2のcDNAを合成する工程
を包含する、方法。
【請求項10】
前記ランダムな配列プライマー領域が、ランダムなヘキサマーである、請求項9に記載の方法。
【請求項11】
前記プロモーター領域が、原核生物のプロモーターを含む、請求項10に記載の方法。
【請求項12】
前記プロモーター領域が、バクテリオファージのプロモーターを含む、請求項10に記載の方法。
【請求項13】
前記プロモーター領域が、T7プロモーターを含む、請求項12に記載の方法。
【請求項14】
前記プロモーター領域が、T3プロモーターを含む、請求項12に記載の方法。
【請求項15】
前記プロモーター領域が、SP6プロモーターを含む、請求項12に記載の方法。
【請求項16】
前記RNA転写産物が、真核生物のmRNAである、請求項9に記載の方法。
【請求項17】
前記ランダムプライマーが、ランダムなヘキサマーである、請求項9に記載の方法。
【請求項18】
複数の転写産物を解析する方法であって、
プライマー混合物を該複数のRNA転写産物または該RNA転写産物に由来する核酸とハイブリダイズさせて、該RNA転写産物に相補的な第1鎖cDNA、および該第1鎖cDNAに相補的な第2鎖cDNAを合成して第1のcDNAを生成する工程であって、該プライマー混合物が、プロモーター領域およびランダムな配列プライマー領域をもつオリゴヌクレオチドを含む、工程、
該プロモーター領域から開始されるRNAを転写してcRNAを生成する工程、
ランダムプライマーの混合物を該cRNAにハイブリダイズさせる工程、
該ランダムプライマーから第2のcDNAを合成する工程、
該第2のcDNAを断片化して断片化されたcDNAを生成する工程、
断片化されたcDNAを複数の核酸プローブにハイブリダイズさせて、標的転写産物に相当する核酸を検出する工程
を包含する、方法。
【請求項19】
前記ランダムな配列プライマー領域が、ランダムなヘキサマーである、請求項18に記載の方法。
【請求項20】
前記プロモーター領域が、原核生物のプロモーターを含む、請求項18に記載の方法。
【請求項21】
前記プロモーター領域が、バクテリオファージのプロモーターを含む、請求項21に記載の方法。
【請求項22】
前記プロモーター領域が、T7プロモーターを含む、請求項21に記載の方法。
【請求項23】
前記プロモーター領域が、T3プロモーターを含む、請求項21に記載の方法。
【請求項24】
前記プロモーター領域が、SP6プロモーターを含む、請求項21に記載の方法。
【請求項25】
前記RNA転写産物が、真核生物のmRNAである、請求項18に記載の方法
【請求項26】
前記ランダムプライマーが、前記ランダムなヘキサマーである、請求項18に記載の方法。
【請求項27】
前記複数の核酸プローブが固定されている、請求項18に記載の方法。
【請求項28】
前記複数の核酸プローブが、少なくとも50,000プローブを含む、請求項27に記載の方法。
【請求項29】
前記複数の核酸プローブが、ビーズの集合体上に固定されており、各ビーズが、特有のプローブまたはプローブ混合物を含む、請求項28に記載の方法。
【請求項30】
前記複数の核酸プローブが、基質上に固定されている、請求項28に記載の方法。
【請求項31】
前記核酸プローブが、オリゴヌクレオチドプローブである、請求項28に記載の方法。
【請求項32】
ハイブリダイゼーションの前に前記第2のcDNA断片を標識する工程をさらに包含する、請求項31に記載の方法。
【請求項33】
断片化の前に前記第2のcDNAを標識する工程をさらに包含する、請求項32に記載の方法。
【請求項34】
前記標的転写産物が、少なくとも5000の異なるエキソンを含む、請求項32に記載の方法。
【請求項35】
エキソン標的転写産物が、少なくとも500の異なるスプライス部位を含む、請求項32に記載の方法。
【請求項36】
核酸サンプルを調製する試薬キットであって、オリゴヌクレオチド混合成分、および該オリゴヌクレオチド混合物を使用するための指示書を含む容器を備え、該オリゴヌクレオチド混合成分中のオリゴヌクレオチドが、ランダムプライマー領域とプロモーター領域とを含む、キット。
【請求項37】
逆転写酵素を含む容器とRNAポリメラーゼを含む容器とをさらに備える、請求項36に記載の試薬キット。
【請求項38】
ランダムプライマーの混合物をさらに含む、請求項37に記載の試薬キット。
【請求項39】
ランダムプライマーの混合物が、ランダムなヘキサマー混合物である、請求項38に記載の試薬キット。
【請求項40】
標識試薬をさらに含む、請求項39に記載の試薬キット。
【請求項41】
標的RNA転写産物に相当する配列を検出するために設計された核酸プローブの集合体をさらに含む、請求項40に記載の試薬キット。
【請求項42】
前記核酸プローブの集合体が、基質上に固定されている、請求項42に記載の試薬キット。
【請求項43】
前記核酸プローブが、オリゴヌクレオチドプローブである、請求項42に記載の試薬キット。
【請求項44】
前記オリゴヌクレオチドプローブが、少なくとも5000の異なるエキソンを標的する、請求項43に記載の試薬キット。
【請求項45】
オリゴヌクレオチドプローブが、少なくとも500の異なるスプライス部位を標的する、請求項43に記載の試薬キット。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公表番号】特表2007−502116(P2007−502116A)
【公表日】平成19年2月8日(2007.2.8)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−523395(P2006−523395)
【出願日】平成16年8月13日(2004.8.13)
【国際出願番号】PCT/US2004/026281
【国際公開番号】WO2005/017206
【国際公開日】平成17年2月24日(2005.2.24)
【出願人】(399125757)アフィメトリックス インコーポレイテッド (17)
【Fターム(参考)】