説明

核酸配列を増幅および検出する方法

本発明は、異なる態様および実施態様において、高感度かつ迅速である核酸増幅法および検出法を提供する。繰り返しサイクルの間に標的核酸の量を2倍以上に増加させる一方、さらに一本鎖生成物を生産させるように、指数関数的増幅および鎖置換を達成することができる、プライマーの異なる組み合わせを使用する増幅法が、種々の態様で開示される。検出システムおよびキットもまた提供される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、任意に配列に依存しない方法で、サンプル中の標的核酸配列を増幅および検出する方法および組成物に関する。前記方法は、標的核酸の1つの鎖を標的とする1つ以上のプライマー、前記プライマーの伸長、鎖交換、前記核酸の相補鎖の分離、そのように増幅した配列の検出に関するものであってよい。本発明はまた、増幅プライマーおよび/または検出プローブとして働くプローブおよびプライマーを使用する検出システムも提供する。
【背景技術】
【0002】
本発明は、核酸増幅および検出の分野に関する。特に、本発明は核酸配列を増幅(すなわち多数のコピーを作製する)ため、および増幅した配列を検出するための方法、組成物、およびキットを提供する。
【0003】
複数の標的増幅法が開発されており、それらの方法により、核酸検出に基づく高感度の診断アッセイを実行することが可能である。それらの方法は、
ポリメラーゼ連鎖反応(PCR) (U.S. Pat. Nos. 4,683,195 and 4,683,202)、リガーゼ連鎖反応 (LCR) (例えば、Barany, Proc. Natl. Acad. Sci. USA 88:189-193 (1991)およびU.S. Pat. No. 5,494,810参照)、自己配列複製(self-sustained sequence replication) (3SR)、および核酸配列ベース増幅(nucleic acid sequence based amplification) (NASBA) (例えば、Guatelli et al., Proc. Natl. Acad. Sci. USA 87:1874-1878 (1990)参照)、ループ介在定温増幅(Loop-mediated isothermal amplification)(LAMP) (WO 00/28082)、鎖置換増幅(strand displacement amplification)(SDA) (例えば、U.S. Pat. Nos. 5,455,166および 5,470,723参照)、国際公開WO02/16639に記載された定温キメラプライマー開始核酸増幅(Isothermal and Chimeric primer-initiated Amplification of Nucleic acids)(ICAN)法、ローリングサークル増幅(Rolling Circle Amplification)(RCA) (U.S. Pat. Nos. 5,714,320および6,235,502)など
を含む。
【0004】
リアルタイムポリメラーゼ連鎖反応(PCR)を閉鎖したチューブ内で実行し、定量結果を得るために使用することができる。標識配列特異的プローブを使用する複数の方法が、
TaqMan.RTM.プローブ(U.S. Pat. No. 5,210,015および5,487,972, ならびにLee et al., Nucleic Acids Res. 21:3761-6, 1993);分子ビーコン(molecular beacons) (U.S. Pat. Nos. 5,925,517および6,103,476, ならびにTyagi and Kramer, Nat. Biotechnol. 14:303-8, 1996);自己プローブアンプリコン(self-probing amplicons) (scorpions) (U.S. Pat. No. 6,326,145, and Whitcombe et al., Nat. Biotechnol. 17:804-7, 1999);アンプリセンサー(Amplisensor) (Chen et al., Appl. Environ. Microbiol. 64:4210-6, 1998);アンプリフルオア(Amplifluor) (U.S. Pat. No. 6,117,635およびNazarenko et al., Nucleic Acids Res. 25:2516-21, 1997およびU.S. Pat. No. 6,117,635);置換ハイブリダイゼーションプローブ(displacement hybridization probes) (Li et al., Nucleic Acids Res. 30:E5, 2002);DzyNA-PCR (Todd et al., Clin. Chem. 46:625-30, 2000);蛍光制限酵素検出(fluorescent restriction enzyme detection) (Cairns et al. Biochem. Biophys. Res. Commun. 318:684-90, 2004);ならびに隣接ハイブリダイゼーションプローブ(adjacent hybridization probes) (U.S. Pat. No. 6,174,670およびWittwer et al., Biotechniques 22:130-1, 134-8, 1997)
のようなリアルタイムPCRを実行するために現在利用可能である。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】U.S. Pat. No. 4,683,195
【特許文献2】U.S. Pat. No. 4,683,202
【特許文献3】U.S. Pat. No. 5,494,810
【特許文献4】WO 00/28082
【特許文献5】U.S. Pat. No. 5,455,166
【特許文献6】U.S. Pat. No. 5,470,723
【特許文献7】U.S. Pat. No. 5,714,320
【特許文献8】U.S. Pat. No. 6,235,502
【特許文献9】U.S. Pat. No. 5,210,015
【特許文献10】U.S. Pat. No. 5,487,972
【特許文献11】U.S. Pat. No. 5,925,517
【特許文献12】U.S. Pat. No. 6,103,476
【特許文献13】U.S. Pat. No. 6,326,145
【特許文献14】U.S. Pat. No. 6,117,635
【特許文献15】U.S. Pat. No. 6,117,635
【特許文献16】U.S. Pat. No. 6,174,670
【特許文献17】U.S. Pat. No. 6,124,120
【特許文献18】U.S. Pat. No: RE38, 960E
【特許文献19】U.S. Pat. No: RE39, 007E
【特許文献20】U.S. Pat. No. 7,112,406
【特許文献21】WO02/16639
【非特許文献】
【0006】
【非特許文献1】Barany, Proc. Natl. Acad. Sci. USA 88:189-193 (1991)
【非特許文献2】Guatelli et al., Proc. Natl. Acad. Sci. USA 87:1874-1878 (1990)
【非特許文献3】Lee et al., Nucleic Acids Res. 21:3761-6, 1993
【非特許文献4】Tyagi and Kramer, Nat. Biotechnol. 14:303-8, 1996
【非特許文献5】Whitcombe et al., Nat. Biotechnol. 17:804-7, 1999
【非特許文献6】Chen et al., Appl. Environ. Microbiol. 64:4210-6, 1998
【非特許文献7】Nazarenko et al., Nucleic Acids Res. 25:2516-21, 1997
【非特許文献8】Li et al., Nucleic Acids Res. 30:E5, 2002
【非特許文献9】Todd et al., Clin. Chem. 46:625-30, 2000
【非特許文献10】Cairns et al. Biochem. Biophys. Res. Commun. 318:684-90, 2004
【非特許文献11】Wittwer et al., Biotechniques 22:130-1, 134-8, 1997
【非特許文献12】Dean et. al., Proc. Natl. Acad. Sci. USA 99:5261-5266 (2002)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
鎖置換反応は、複数の増幅法に関わっている。その方法は、SDA、LAMP、ICAN、RCAなどを含む。RCAはさらにマルチプル置換増幅(Multiple Displacement Amplification)(MDA)と名づけられた技術において開発され、ゲノム全体を増幅する(例えば、U.S. Pat. No. 6,124,120およびDean et. al., Proc. Natl. Acad. Sci. USA 99:5261-5266 (2002)参照)。定温鎖置換核酸増幅と名づけられた別の方法が開発されている(U.S. Pat. Nos: RE38, 960E, RE39, 007E参照)。これらの方法は鎖置換、多数のプライマー、および定温条件を使用して、実質的な増幅を達成する。しかし、これらの方法は、定量の困難性、反応の遅さ、非特異的なスプリアス(spurious)生成物、感度の低さなどの、複数の欠点を有している。
【0008】
PCRは依然として最も広く使用されるDNA増幅および定量法である。ネスティド(nested)PCR、2段階PCRが、PCRの特異性および感度を増大させるために使用される(U.S. Pat. No. 4,683,195)。PCR増幅で使用されるネスティドプライマーは、リバース(reverse)プライマー標的部位とフォワード(forward)プライマー標的部位との間にある標的配列上の領域に相補的な配列を有するオリゴヌクレオチドである。しかし、一般的にPCRには複数の制限がある。PCR増幅は、各サイクルにおいて標的配列を2倍より少ない量でしか増幅できない。それはいまだ相対的に遅いものである。この方法の感度は、典型的に制限されており、一度の反応で数個の分子しか存在しない標的を検出することが困難である。
【0009】
一本鎖増幅末端生成物を作製する現在の方法は、非対称PCR(Gyllensten et al., Proc. Natl. Acad. Sci. USA 85:7652-7656, 1988)、LATE-PCR (Sanchez et al., Proc. Natl. Acad. Sci. USA 101:1933-1938, 2004)、およびTang et al.によるBioTechniques, 40:759-763, 2006に記載された方法のような、PCRベースの方法を含む。核酸の多項式増幅(polynomial amplification)と呼ばれる非PCRベースの方法が開発されている。増幅の非指数関数性質のため、多項式増幅により、持ち込みによる混入のレベルを低減することができる。しかし、これは増幅効率を犠牲にしている。概して、全ての方法は不十分であり、作製される一本鎖増幅末端生成物は、増幅過程をモニターするのに適しておらず、サンプル中に存在する標的の量をリアルタイムで検出および定量するのに適していない。
【0010】
それゆえ、これらの欠点の1つ以上を解決する新規の方法および材料は、技術常識に貢献することができるであろう。
【課題を解決するための手段】
【0011】
異なる態様および実施態様において、本発明は高感度であると同時に迅速である核酸増幅および検出方法を提供する。以下の実施態様において、指数関数的増幅および鎖置換を使用し、各サイクルで標的核酸配列の2倍より多い量を達成する増幅法が提供される。
【0012】
本発明はさらに、種々の使用、例えばリアルタイム検出、マイクロアレイやFISHなどのハイブリダイゼーションのためのプローブを作製するための使用が見出されてよい一本鎖末端生成物を効率的に作製することができる増幅システムを提供する。
【0013】
そして好ましい実施態様において、本発明は、高感度であり、選択的で、効率的な形式で一本鎖検出生成物を作製する標的を増幅する方法を提供する。
【0014】
本発明により、複数プライマー伸長、鎖置換、二本鎖核酸の分離、および上記の工程の繰り返しにより、標的核酸の増幅および検出が提供される。
ある態様では、サンプル中の目的とする標的核酸配列を増幅する方法が提供され、前記標的核酸は1つの鎖、例えば、一本鎖RNAまたは2つの分離した相補鎖、例えば変性ゲノムDNAを含み、前記方法は
(a) (ここで「第一鎖」と名づけてよい)前記標的配列の前記または1つの鎖にハイブリダイズすることができる少なくとも2つのオリゴヌクレオチドプライマー、ならびに(ここで「第二鎖」と名づけてよい)前記標的配列の相補鎖にハイブリダイズすることができる少なくとも1つのオリゴヌクレオチドプライマーでサンプルを処理する工程であり、各プライマーの伸長生成物がハイブリダイズする標的配列の鎖に相補的に合成されるように、ハイブリダイゼーションおよび伸長の条件下で前記処理が実行され、標的配列の1つの鎖に対する前記少なくとも2つのプライマーが、1つの外部プライマー、および5’から3’の順で標的配列にハイブリダイズする1つ以上の内部プライマーを含む、工程であって、ある実施態様において、1つ以上の前記プライマーは、リンカーを含むリンカー-プライマーである。リンカーは、一本鎖末端生成物が生成されるような役割を演ずる。異なる実施態様において、前記リンカーは異なる形態:
第一に、リンカーはブロッキング部分であってよく、前記リンカーのすべてまたは一部の複製がブロックされ、それによりリンカー-プライマー伸長鎖の鋳型より生成されるプライマー伸長分子は、プライマー結合部位がないためにさらなるプライマー伸長のための鋳型には適していない。ブロッキング部分は、炭化水素腕(hydrocarbon arm)、非ヌクレオチド化合物、HEG、ヌクレオチド誘導体、5’ニトロインドール、1,3-プロパンジオール、脱塩基リボース、または染色物からなる群より選択されてよい。ブロッキング部分は、リンカー-プライマーの3’末端から18ヌクレオチド未満離れて位置してよい。ブロッキング部分は、リンカー-プライマーの3’末端から6ヌクレオチド未満離れて位置することが好ましい。ブロッキング部分は、リンカー-プライマーの3’末端から3ヌクレオチド未満離れて位置することがより好ましい。ここでこの型のリンカーを、「リンカーブロッキング部分」と呼ぶ。
第二に、前記リンカー-プライマーは、前記標的配列にハイブリダイズしてプライマー伸長することができる(ここで「プライマー結合部位」と呼んでよい)3’標的相補部分、ならびに標的配列または標的由来配列の一部に相補的または実質的に相補的な配列を含む、(ヌクレオチドまたは非核酸の配列であってよい)5’に「リンカー配列」があるものを含んでよい。ここでこの型のリンカーを、「リンカー配列」と呼ぶ。標的由来配列は、リンカー-プライマー伸長生成物であってよい。
第三に、リンカー-プライマーは切断可能部分を含んでよい(切断可能リンカーとも呼ばれる)。そして、前記リンカー-プライマーは切断可能プライマーであり、切断可能部分で切断されるか、あるいは前記切断可能プライマーがその相補核酸配列とハイブリッド形成する際に酵素薬剤により完全にまたは部分的に分解され、前記酵素薬剤は、前記リンカー-プライマーがリボヌクレオチドおよび/または修飾リボヌクレオチドからなるRNA型プライマーであるときに、RNase H活性を含む。前記切断可能リンカー-プライマーは、少なくとも60%のリボヌクレオチドおよび/または修飾リボヌクレオチドを含んでよく、ここでデオキシリボヌクレオチドおよびヌクレオチドアナログからなる群より選択される他のヌクレオチドは、前記リボヌクレオチドの間に均等にまたはクラスター状に位置する。あるいは、前記切断可能リンカー-プライマーは、少なくとも30%のリボヌクレオチドおよび/または修飾リボヌクレオチドを含んでよく、ここでデオキシリボヌクレオチドおよびヌクレオチドアナログからなる群より選択される他のヌクレオチドは、前記リボヌクレオチドの間に均等にまたはクラスター状に位置する。
あるいは前記切断可能リンカー-プライマーは、少なくとも10%のリボヌクレオチドおよび/または修飾リボヌクレオチドを含んでよく、ここでデオキシリボヌクレオチドおよびヌクレオチドアナログからなる群より選択される他のヌクレオチドは、前記リボヌクレオチドの間に均等にまたはクラスター状に位置し;
前記プライマーのハイブリダイズおよび伸長を少なくとも1回繰り返させる工程;
(b) プライマー伸長生成物を鋳型より分離することにより、一本鎖分子を生成する工程;
(c) 工程(b)において生成する一本鎖分子を鋳型として使用してプライマー伸長生成物が合成される、工程(b)より作製される一本鎖分子をハイブリダイゼーションおよび伸長条件下で工程(a)のプライマーと処理する工程であって、前記ハイブリダイゼーション条件および伸長条件が少なくとも1回繰り返される工程;
(d) 工程(b)および(c)を少なくとも1回繰り返す工程であって、それにより、プライマー伸長生成物、特に一本鎖末端生成物を検出することにより、標的核酸配列を検出してよい、工程
を含む。
【発明の効果】
【0015】
本発明の実施態様において、標的核酸の増幅は指数関数的であり、各サイクルで2倍以上の増幅生成物の増大が達成されてよく、ここで外部プライマーはリンカー-プライマーではない(すなわち、複製可能である)。
【0016】
「第一」および「第二」の語は、ここではプライマー対の結合を示して相対的に使用されることが理解されるであろう。そして鎖の一方または両方は、本発明のために、記載されるプライマーのいずれかに対して「第一」または「第二」鎖と名づけられる。
【0017】
さらに、「5’から3’の順に」とは、鋳型鎖上におけるプライマーの相対的位置を指すことが理解されるであろう。
【0018】
そして上述された本発明の増幅法は、さらに前記一本鎖末端生成物を検出する工程を含んでよい。その相補核酸とハイブリッドを形成する、またはリンカー配列がその伸長鎖上の標的配列の一部に相補的であるときに、「リンカーブロッキング部分」がリンカー-プライマー配列の全てまたは一部の複製をブロックする、あるいは、部分的にまたは完全に切断可能リンカー-プライマーが分解されるリンカー-プライマーが使用されることが好ましいであろう。ある実施態様において、リンカー-プライマー伸長分子の鋳型上でブロッキング部分を越えてプライマーが伸長するのを「リンカーブロッキング部分」が防ぐため、あるいはリンカー-プライマー伸長分子上のリンカー-プライマー配列が切断されるために、一本鎖末端生成物が生成される。別の実施態様において、リンカー-プライマー伸長鎖に対して相補的な配列をリンカー配列が表す、リンカー-プライマーが使用されるであろう。リンカー-プライマー伸長生成物、またはその相補鎖、またはリンカー-プライマー伸長生成物の伸長相補鎖を使用して生成されるプライマー伸長生成物は、一本鎖になると、ハイブリダイゼーション条件下で折り畳まれてステムループ(stem-loop)構造を形成する。ここでステムループ構造は「一本鎖末端生成物」とも呼ばれる。プローブと一本鎖末端生成物との間のハイブリダイゼーションを、検出システムにおいて検出可能な変化を介して検出してよい。
【0019】
ある態様において、検出システムは、サンプル中における標的核酸配列を検出するために提供される。そのようなシステムはプライマーおよび検出プローブを含み、ここで前記プライマーは5’リンカー配列を含むリンカー-プライマーであり、前記リンカー配列は標的配列または標的由来配列の一部に相補的である。リンカー-プライマーは、リンカー配列に隣接する5’付加配列および/または3’付加配列を含み、前記プローブの1つまたは2つは、リンカー-プライマーの前記付加配列に相補的であり、前記プローブの1つまたは2つは、標的配列または標的由来配列の部分に相補的である。ハイブリダイゼーションの際に、リンカー配列および標的配列により形成される二本鎖構造により、プローブの検出標識の2つ以上が近くにまたは実質的に近くに近接する(図3A、B、E、F、J、K、L、MおよびN)。
【0020】
上記検出システムにおいて、前記リンカー-プライマーは単にプローブとして機能することが理解される。反応物中に過剰量あり、プライマー伸長生成物中に取り込まれない複数のリンカー-プライマーのリンカー配列は、標的配列にハイブリダイズし、検出標識を近くに近接させ、それゆえ検出シグナルを生成してよい。この場合、リンカー-プライマーの3’標的相補部分は必要ではなく、その3’末端はブロックされてよい(図3LおよびM)。
【0021】
別の態様において、リンカー部分をリンカー-プライマー伸長鎖にハイブリダイズすることにより形成される二本鎖ステム領域は、プライマー結合部位を含んでよく、それゆえ対応するプライマーアニーリングを防止または阻害してよく、ループ部分は他のプライマー結合部位を欠失していてよく、このため一本鎖リンカー-プライマー伸長生成物が蓄積されるであろうことが理解される。
【0022】
さらに、使用されるDNAポリメラーゼが鎖置換活性を有する、好ましくは5’から3’へのエキソヌクレアーゼ活性がない、例えばVent(exo-)およびTfuポリメラーゼであるDNAポリメラーゼであり、あるいは鎖置換因子が使用されるであろうことが理解されるであろう。
【0023】
上記本発明の増幅法において、リンカー-プライマーを、リンカーを有さないプライマーと置換してよい。そして別の態様において、本発明はサンプル中の目的とする標的核酸配列を増幅する方法を提供し、前記増幅は、各サイクルで前記標的核酸配列の2倍より多い量を達成し、前記方法は、
(a) 各プライマーの伸長生成物がハイブリダイズする核酸鎖に相補的であるように合成されるハイブリダイゼーション条件および伸長条件下で、標的配列の1つの鎖に対する少なくとも2つのフォワードプライマー、および標的配列の相補鎖に対する少なくとも2つのリバースプライマーでサンプルを処理する工程であり、前記ハイブリダイゼーション条件および伸長条件が少なくとも1回繰り返され、前記伸長条件によりプライマーが伸長し、鎖置換活性がもたらされる、工程;
(b) プライマー伸長生成物を分離(変性)させることにより、一本鎖分子を生成する工程;
(c) 工程(b)より作製される一本鎖分子を、ハイブリダイゼーションおよび伸長条件下で工程(a)のプライマーと処理する工程であり、工程(b)において生成する一本鎖分子を鋳型として使用してプライマー伸長生成物が合成され、前記ハイブリダイゼーション条件および伸長条件が少なくとも1回繰り返され、前記伸長条件によりプライマーが伸長し、鎖置換活性がもたらされる、工程;
(d) 工程(b)および(c)を少なくとも1回繰り返す工程
を含む。そのような増幅法はさらに、増幅標的配列の検出を含んでよい。
【0024】
別の態様において、本発明は配列に依存しない様式で、いずれかの一連の核酸を増幅する方法を提供し、前記方法は
(a) プライマーが前記核酸の多数の位置にハイブリダイズし、核酸-プライマーハイブリッドを形成させるハイブリダイゼーション条件下で、およびプライマー伸長生成物が合成される伸長条件下で(複数のランダムオリゴヌクレオチドプライマーからなっていてよい)分解プライマーとサンプルを処理する工程であり、前記分解プライマーがランダムまたは部分的ランダムプライマーを含み、前記ハイブリダイゼーション条件および伸長条件が少なくとも1回繰り返され、前記伸長条件によりプライマー伸長および鎖置換活性がもたらされる、工程;
(b) プライマー伸長生成物を分離(変性)させることにより一本鎖分子を生成する工程;
(c) 工程(b)より作製される一本鎖分子を、ハイブリダイゼーションおよび伸長条件下で工程(a)のプライマーと処理する工程であり、工程(b)において生成する一本鎖分子を鋳型として使用してプライマー伸長生成物が合成され、前記ハイブリダイゼーション条件および伸長条件が少なくとも1回繰り返され、前記伸長条件によりプライマー伸長、および鎖置換活性がもたらされる、工程;
(d) 工程(b)および(c)を少なくとも1回繰り返す工程
を含む。ある実施態様において、分解プライマーは、ランダムまたは部分的ランダムヌクレオチドの5’にある非ランダム部位を含み、増幅反応は前記分解プライマーおよびユニバーサルプライマーを含み、前記ユニバーサルプライマーは分解プライマーの前記非ランダム部位配列を含む。好ましくはこの非ランダム配列は、標的中に存在しないと思われるものであろう。
【図面の簡単な説明】
【0025】
【図1】増幅法の工程および生成物の説明である。2つの分離した相補鎖を含む標的核酸サンプルを2つのフォワードプライマー、外部プライマーF1および内部プライマーF2、ならびに2つのリバースプライマー、外部プライマーR1および内部プライマーR2と混合する。ハイブリダイゼーション条件下で、各プライマーは標的配列の各鎖にアニールする。伸長条件下で、各核酸鎖に相補的である各プライマーの伸長生成物が合成される、内部プライマー伸長生成物を、外部プライマー伸長生成物で置換する。鎖置換内部プライマー伸長生成物を再びハイブリダイゼーション条件および伸長条件におき、少なくとも1回繰り返す。プライマー伸長鎖を鋳型より分離する。これは、変性により実行してよい。変性は通常、加熱により実行される。変性一本鎖分子を、プライマー伸長生成物を合成するハイブリダイゼーションおよび伸長条件下で上記と同じプライマーで処理する。ハイブリダイゼーション条件(例えば58°C)および伸長条件(例えば72 °C)を少なくとも1回繰り返す。その後変性および繰り返すハイブリダイゼーションおよび伸長条件の工程を少なくとも1回繰り返す。
【図2A】AからEはリンカー-プライマーを使用する方法を示す。2つの分離した相補鎖を含む標的核酸サンプルを、2つのフォワードプライマー、外部プライマーF1および内部プライマーF2、ならびに1つまたは2つのリバースプライマー、R1およびR2と混合する。図2Aでは、リンカー-プライマーF2はブロッキング部分を含む。別の図で、リンカー-プライマーF2は、F2伸長鎖中の配列の一部に相補的である(図2B)、またはプライマーR1の配列に同一である(図2C、図2D)、またはプライマーR2の配列に同一である(図2E)、5’ リンカー配列を含む。ハイブリダイゼーション条件下で、各プラマーは標的配列の各鎖にアニーリングする。伸長条件下で、各核酸鎖に相補的である各プライマーの伸長生成物が合成される。リンカー-プライマーF2生成物を、プライマーF1伸長反応により置換する。図2Aの場合、F2プライマー伸長鎖は鋳型として働き、R1プライマー伸長生成物を合成する一方、F2プライマー伸長鎖の鋳型上に生成されるR1プライマー伸長生成物は、さらなるプライマー伸長の鋳型として働くことはできず、そうして一本鎖R1プライマー伸長生成物を蓄積する。図2B, 図2C, 図2Dおよび図2Eの場合、鎖置換リンカー-プライマー伸長生成物は、折りたたまれ、ステムループ構造を形成する傾向がある。なぜなら、この折りたたみが熱力学的に好ましいからである。二重鎖ステム部分は、プライマーR1のアニーリング、そして一本鎖生成物の蓄積を防ぐまたは阻害するR1に対する結合部位を含む(図2C)。しかし、リンカー-プライマーF2伸長生成物は、ブロックされない他のプライマー結合部位を含んでよく(図2B、図2D、図2E)、それによりさらなる伸長および鎖置換を行うことができる。図2Eにおいて、リンカー-プライマー伸長分子の鋳型上に生成するR1プライマー伸長分子は、折りたたまれ、ステムループ構造を形成し(ここで「第一のR1プライマー伸長分子」と呼ぶ)、第一のR1プライマー伸長分子の3’末端は自身とアニールし、伸長物のプライマーとなる。同時に、リンカー-プライマーは第一のR1プライマー伸長分子にアニーリングし、その後第一のR1プライマー伸長分子の3’末端から生成される鎖を置換する伸長をプライミングし、それによりステムループ構造を開裂する。第一のR1プライマー伸長分子のステムループ構造を開裂して、R1プライマーは、伸長した第一のR1プライマー伸長分子の3’末端にアニーリングし、リンカー-プライマー伸長鎖を置換する第二のR1プライマー伸長分子の合成を開始する。置換されたリンカー-プライマー伸長鎖は、さらなるプライマー伸長に対する鋳型として働く。第二のR1プライマー伸長分子は、変性およびハイブリダイゼーション条件にさらされると、折りたたまれて、利用可能なプライマー結合部位を含まないステムループ構造を形成し、それにより反応はこの構造を蓄積し、ループ部分は検出システムにおけるプローブ結合に適している。プライマー伸長反応により形成される二本鎖分子を変性する。プライマー伸長生成物を合成するハイブリダイゼーションおよび伸長条件下で上記と同じプライマーで変性分子を処理する。ハイブリダイゼーションおよび伸長条件を少なくとも1回繰り返す。その後、変性および繰り返されるハイブリダイゼーションおよび伸長条件の工程を少なくとも1回繰り返す。
【図2B】AからEはリンカー-プライマーを使用する方法を示す。2つの分離した相補鎖を含む標的核酸サンプルを、2つのフォワードプライマー、外部プライマーF1および内部プライマーF2、ならびに1つまたは2つのリバースプライマー、R1およびR2と混合する。図2Aでは、リンカー-プライマーF2はブロッキング部分を含む。別の図で、リンカー-プライマーF2は、F2伸長鎖中の配列の一部に相補的である(図2B)、またはプライマーR1の配列に同一である(図2C、図2D)、またはプライマーR2の配列に同一である(図2E)、5’ リンカー配列を含む。ハイブリダイゼーション条件下で、各プラマーは標的配列の各鎖にアニーリングする。伸長条件下で、各核酸鎖に相補的である各プライマーの伸長生成物が合成される。リンカー-プライマーF2生成物を、プライマーF1伸長反応により置換する。図2Aの場合、F2プライマー伸長鎖は鋳型として働き、R1プライマー伸長生成物を合成する一方、F2プライマー伸長鎖の鋳型上に生成されるR1プライマー伸長生成物は、さらなるプライマー伸長の鋳型として働くことはできず、そうして一本鎖R1プライマー伸長生成物を蓄積する。図2B, 図2C, 図2Dおよび図2Eの場合、鎖置換リンカー-プライマー伸長生成物は、折りたたまれ、ステムループ構造を形成する傾向がある。なぜなら、この折りたたみが熱力学的に好ましいからである。二重鎖ステム部分は、プライマーR1のアニーリング、そして一本鎖生成物の蓄積を防ぐまたは阻害するR1に対する結合部位を含む(図2C)。しかし、リンカー-プライマーF2伸長生成物は、ブロックされない他のプライマー結合部位を含んでよく(図2B、図2D、図2E)、それによりさらなる伸長および鎖置換を行うことができる。図2Eにおいて、リンカー-プライマー伸長分子の鋳型上に生成するR1プライマー伸長分子は、折りたたまれ、ステムループ構造を形成し(ここで「第一のR1プライマー伸長分子」と呼ぶ)、第一のR1プライマー伸長分子の3’末端は自身とアニールし、伸長物のプライマーとなる。同時に、リンカー-プライマーは第一のR1プライマー伸長分子にアニーリングし、その後第一のR1プライマー伸長分子の3’末端から生成される鎖を置換する伸長をプライミングし、それによりステムループ構造を開裂する。第一のR1プライマー伸長分子のステムループ構造を開裂して、R1プライマーは、伸長した第一のR1プライマー伸長分子の3’末端にアニーリングし、リンカー-プライマー伸長鎖を置換する第二のR1プライマー伸長分子の合成を開始する。置換されたリンカー-プライマー伸長鎖は、さらなるプライマー伸長に対する鋳型として働く。第二のR1プライマー伸長分子は、変性およびハイブリダイゼーション条件にさらされると、折りたたまれて、利用可能なプライマー結合部位を含まないステムループ構造を形成し、それにより反応はこの構造を蓄積し、ループ部分は検出システムにおけるプローブ結合に適している。プライマー伸長反応により形成される二本鎖分子を変性する。プライマー伸長生成物を合成するハイブリダイゼーションおよび伸長条件下で上記と同じプライマーで変性分子を処理する。ハイブリダイゼーションおよび伸長条件を少なくとも1回繰り返す。その後、変性および繰り返されるハイブリダイゼーションおよび伸長条件の工程を少なくとも1回繰り返す。
【図2C】AからEはリンカー-プライマーを使用する方法を示す。2つの分離した相補鎖を含む標的核酸サンプルを、2つのフォワードプライマー、外部プライマーF1および内部プライマーF2、ならびに1つまたは2つのリバースプライマー、R1およびR2と混合する。図2Aでは、リンカー-プライマーF2はブロッキング部分を含む。別の図で、リンカー-プライマーF2は、F2伸長鎖中の配列の一部に相補的である(図2B)、またはプライマーR1の配列に同一である(図2C、図2D)、またはプライマーR2の配列に同一である(図2E)、5’ リンカー配列を含む。ハイブリダイゼーション条件下で、各プラマーは標的配列の各鎖にアニーリングする。伸長条件下で、各核酸鎖に相補的である各プライマーの伸長生成物が合成される。リンカー-プライマーF2生成物を、プライマーF1伸長反応により置換する。図2Aの場合、F2プライマー伸長鎖は鋳型として働き、R1プライマー伸長生成物を合成する一方、F2プライマー伸長鎖の鋳型上に生成されるR1プライマー伸長生成物は、さらなるプライマー伸長の鋳型として働くことはできず、そうして一本鎖R1プライマー伸長生成物を蓄積する。図2B, 図2C, 図2Dおよび図2Eの場合、鎖置換リンカー-プライマー伸長生成物は、折りたたまれ、ステムループ構造を形成する傾向がある。なぜなら、この折りたたみが熱力学的に好ましいからである。二重鎖ステム部分は、プライマーR1のアニーリング、そして一本鎖生成物の蓄積を防ぐまたは阻害するR1に対する結合部位を含む(図2C)。しかし、リンカー-プライマーF2伸長生成物は、ブロックされない他のプライマー結合部位を含んでよく(図2B、図2D、図2E)、それによりさらなる伸長および鎖置換を行うことができる。図2Eにおいて、リンカー-プライマー伸長分子の鋳型上に生成するR1プライマー伸長分子は、折りたたまれ、ステムループ構造を形成し(ここで「第一のR1プライマー伸長分子」と呼ぶ)、第一のR1プライマー伸長分子の3’末端は自身とアニールし、伸長物のプライマーとなる。同時に、リンカー-プライマーは第一のR1プライマー伸長分子にアニーリングし、その後第一のR1プライマー伸長分子の3’末端から生成される鎖を置換する伸長をプライミングし、それによりステムループ構造を開裂する。第一のR1プライマー伸長分子のステムループ構造を開裂して、R1プライマーは、伸長した第一のR1プライマー伸長分子の3’末端にアニーリングし、リンカー-プライマー伸長鎖を置換する第二のR1プライマー伸長分子の合成を開始する。置換されたリンカー-プライマー伸長鎖は、さらなるプライマー伸長に対する鋳型として働く。第二のR1プライマー伸長分子は、変性およびハイブリダイゼーション条件にさらされると、折りたたまれて、利用可能なプライマー結合部位を含まないステムループ構造を形成し、それにより反応はこの構造を蓄積し、ループ部分は検出システムにおけるプローブ結合に適している。プライマー伸長反応により形成される二本鎖分子を変性する。プライマー伸長生成物を合成するハイブリダイゼーションおよび伸長条件下で上記と同じプライマーで変性分子を処理する。ハイブリダイゼーションおよび伸長条件を少なくとも1回繰り返す。その後、変性および繰り返されるハイブリダイゼーションおよび伸長条件の工程を少なくとも1回繰り返す。
【図2D】AからEはリンカー-プライマーを使用する方法を示す。2つの分離した相補鎖を含む標的核酸サンプルを、2つのフォワードプライマー、外部プライマーF1および内部プライマーF2、ならびに1つまたは2つのリバースプライマー、R1およびR2と混合する。図2Aでは、リンカー-プライマーF2はブロッキング部分を含む。別の図で、リンカー-プライマーF2は、F2伸長鎖中の配列の一部に相補的である(図2B)、またはプライマーR1の配列に同一である(図2C、図2D)、またはプライマーR2の配列に同一である(図2E)、5’ リンカー配列を含む。ハイブリダイゼーション条件下で、各プラマーは標的配列の各鎖にアニーリングする。伸長条件下で、各核酸鎖に相補的である各プライマーの伸長生成物が合成される。リンカー-プライマーF2生成物を、プライマーF1伸長反応により置換する。図2Aの場合、F2プライマー伸長鎖は鋳型として働き、R1プライマー伸長生成物を合成する一方、F2プライマー伸長鎖の鋳型上に生成されるR1プライマー伸長生成物は、さらなるプライマー伸長の鋳型として働くことはできず、そうして一本鎖R1プライマー伸長生成物を蓄積する。図2B, 図2C, 図2Dおよび図2Eの場合、鎖置換リンカー-プライマー伸長生成物は、折りたたまれ、ステムループ構造を形成する傾向がある。なぜなら、この折りたたみが熱力学的に好ましいからである。二重鎖ステム部分は、プライマーR1のアニーリング、そして一本鎖生成物の蓄積を防ぐまたは阻害するR1に対する結合部位を含む(図2C)。しかし、リンカー-プライマーF2伸長生成物は、ブロックされない他のプライマー結合部位を含んでよく(図2B、図2D、図2E)、それによりさらなる伸長および鎖置換を行うことができる。図2Eにおいて、リンカー-プライマー伸長分子の鋳型上に生成するR1プライマー伸長分子は、折りたたまれ、ステムループ構造を形成し(ここで「第一のR1プライマー伸長分子」と呼ぶ)、第一のR1プライマー伸長分子の3’末端は自身とアニールし、伸長物のプライマーとなる。同時に、リンカー-プライマーは第一のR1プライマー伸長分子にアニーリングし、その後第一のR1プライマー伸長分子の3’末端から生成される鎖を置換する伸長をプライミングし、それによりステムループ構造を開裂する。第一のR1プライマー伸長分子のステムループ構造を開裂して、R1プライマーは、伸長した第一のR1プライマー伸長分子の3’末端にアニーリングし、リンカー-プライマー伸長鎖を置換する第二のR1プライマー伸長分子の合成を開始する。置換されたリンカー-プライマー伸長鎖は、さらなるプライマー伸長に対する鋳型として働く。第二のR1プライマー伸長分子は、変性およびハイブリダイゼーション条件にさらされると、折りたたまれて、利用可能なプライマー結合部位を含まないステムループ構造を形成し、それにより反応はこの構造を蓄積し、ループ部分は検出システムにおけるプローブ結合に適している。プライマー伸長反応により形成される二本鎖分子を変性する。プライマー伸長生成物を合成するハイブリダイゼーションおよび伸長条件下で上記と同じプライマーで変性分子を処理する。ハイブリダイゼーションおよび伸長条件を少なくとも1回繰り返す。その後、変性および繰り返されるハイブリダイゼーションおよび伸長条件の工程を少なくとも1回繰り返す。
【図2E】AからEはリンカー-プライマーを使用する方法を示す。2つの分離した相補鎖を含む標的核酸サンプルを、2つのフォワードプライマー、外部プライマーF1および内部プライマーF2、ならびに1つまたは2つのリバースプライマー、R1およびR2と混合する。図2Aでは、リンカー-プライマーF2はブロッキング部分を含む。別の図で、リンカー-プライマーF2は、F2伸長鎖中の配列の一部に相補的である(図2B)、またはプライマーR1の配列に同一である(図2C、図2D)、またはプライマーR2の配列に同一である(図2E)、5’ リンカー配列を含む。ハイブリダイゼーション条件下で、各プラマーは標的配列の各鎖にアニーリングする。伸長条件下で、各核酸鎖に相補的である各プライマーの伸長生成物が合成される。リンカー-プライマーF2生成物を、プライマーF1伸長反応により置換する。図2Aの場合、F2プライマー伸長鎖は鋳型として働き、R1プライマー伸長生成物を合成する一方、F2プライマー伸長鎖の鋳型上に生成されるR1プライマー伸長生成物は、さらなるプライマー伸長の鋳型として働くことはできず、そうして一本鎖R1プライマー伸長生成物を蓄積する。図2B, 図2C, 図2Dおよび図2Eの場合、鎖置換リンカー-プライマー伸長生成物は、折りたたまれ、ステムループ構造を形成する傾向がある。なぜなら、この折りたたみが熱力学的に好ましいからである。二重鎖ステム部分は、プライマーR1のアニーリング、そして一本鎖生成物の蓄積を防ぐまたは阻害するR1に対する結合部位を含む(図2C)。しかし、リンカー-プライマーF2伸長生成物は、ブロックされない他のプライマー結合部位を含んでよく(図2B、図2D、図2E)、それによりさらなる伸長および鎖置換を行うことができる。図2Eにおいて、リンカー-プライマー伸長分子の鋳型上に生成するR1プライマー伸長分子は、折りたたまれ、ステムループ構造を形成し(ここで「第一のR1プライマー伸長分子」と呼ぶ)、第一のR1プライマー伸長分子の3’末端は自身とアニールし、伸長物のプライマーとなる。同時に、リンカー-プライマーは第一のR1プライマー伸長分子にアニーリングし、その後第一のR1プライマー伸長分子の3’末端から生成される鎖を置換する伸長をプライミングし、それによりステムループ構造を開裂する。第一のR1プライマー伸長分子のステムループ構造を開裂して、R1プライマーは、伸長した第一のR1プライマー伸長分子の3’末端にアニーリングし、リンカー-プライマー伸長鎖を置換する第二のR1プライマー伸長分子の合成を開始する。置換されたリンカー-プライマー伸長鎖は、さらなるプライマー伸長に対する鋳型として働く。第二のR1プライマー伸長分子は、変性およびハイブリダイゼーション条件にさらされると、折りたたまれて、利用可能なプライマー結合部位を含まないステムループ構造を形成し、それにより反応はこの構造を蓄積し、ループ部分は検出システムにおけるプローブ結合に適している。プライマー伸長反応により形成される二本鎖分子を変性する。プライマー伸長生成物を合成するハイブリダイゼーションおよび伸長条件下で上記と同じプライマーで変性分子を処理する。ハイブリダイゼーションおよび伸長条件を少なくとも1回繰り返す。その後、変性および繰り返されるハイブリダイゼーションおよび伸長条件の工程を少なくとも1回繰り返す。
【図2F】ブロッキング部分を有して一本鎖末端生成物を生成するリンカー-プライマーを利用するループ介在定温増幅(Loop-mediated isothermal amplification)(LAMP)を示す。
【図2G】RNA型プライマーであってよい切断可能リンカー-プライマーを使用する方法を示す。
【図3】種々のプローブ、およびそれらの一本鎖末端生成物との反応を示す。(A) 検出標識に結合した2つの別々のプローブが、一本鎖末端生成物にハイブリダイズする。二本鎖ステム構造により、前記検出標識を近くに近接させる。(B) 1つの単一プローブを、検出標識に結合させる一方、リンカー-プライマーを別の検出標識に結合させる。プローブと折りたたまれたリンカー-プライマー伸長生成物との間のハイブリダイゼーションにおいて、前記2つの標識を近くに近接させる。(C) 1つの単一プローブを検出標識に結合させ、一本鎖末端生成物にハイブリダイズさせる。(D) 分子ビーコンプローブが、一本鎖末端生成物のループ部分にハイブリダイズする。(E) リンカー-プライマーは、標的配列に相補的でなくてよい、または同一でなくてよい5’末端に付加部位を含む。5’付加部位配列は、プライマーのいずれかの全体または一部に対して類似または実質的に相補的であるものを含まなくてよい。ステムループ構造を形成して、プローブが付加部位にハイブリダイズできるように、付加部位は一本鎖のままである。二本鎖ステム部位の右側にある鎖は両方とも一本鎖であってよい。この図は、二本鎖ステム部位の右側にある鎖は両方ともプローブにハイブリダイズし、2つの標識を近くに近接させることを示す。(F) リンカー-プライマーは、リンカー配列の3’付加配列を含む。標識プローブはリンカー配列の3’付加配列にハイブリダイズする。二本鎖ステム構造により、2つの検出標識を近くに近接させる。(G) 検出標識でタグ化された2つの離れたプローブは、一本鎖末端生成物にハイブリダイズする。一本鎖ステムループ部位により、検出標識を近くに近接させる。(H) 2つの検出標識で両端をタグ化された1つのプローブは、一本鎖末端生成物にハイブリダイズする。一本鎖ステムループ部位により、検出標識を近くに近接させる。(I) 検出プローブは、リンカー-プライマー伸長鎖の近くに近接して、あるいはリンカープライマーのリンカー配列を有する隣接領域にハイブリダイズし、それにより検出シグナルを生成する。(J)および(K) プライマーおよび検出プローブを含むサンプル中の標的核酸配列を検出するための検出システムを示す。リンカー-プライマーは、リンカー配列に並ぶ5’付加配列および/または3’付加配列を含む。1つのプローブ(J)または2つのプローブ(K)は、リンカー-プライマーの付加配列に相補的な配列を含む。1つ(J)または2つ(K)のプローブは、標的配列または標的由来配列の部分に相補的な配列を含む。ハイブリダイゼーションする際に、リンカー配列および標的配列により形成される二重鎖ステム構造により、プローブの2つ以上の検出標識を近くにまたは実質的に近くに近接させる。(L)および(M)は、リンカー-プライマーが単にプローブとして機能してよいことを示す。反応物中に過剰量あり、プライマー伸長生成物中に取り込まれない複数のリンカー-プライマーのリンカー部分は、標的配列にハイブリダイズし、検出標識を近くに近接させ、それゆえ検出シグナルを生成してよい。この場合、リンカー-プライマーの3’標的相補部分は必要ではなく、その3’末端はブロックされてよい(N) リンカー-プライマー伸長生成物のリンカー配列を、二重鎖核酸に対するヌクレアーゼ活性を有するヌクレアーゼにより消化する。この消化により、検出シグナルが生成される。(O) 一本鎖末端生成物を、ヌクレアーゼ感受性部分を含むプローブにハイブリダイズさせる。二本鎖になった際、検出シグナルが生成されるように、ヌクレアーゼ感受性部分を切断する。
【図4】分解プライマー(複数のランダムオリゴヌクレオチドプライマー)を使用していずれかの一連の核酸配列を増幅する方法を示す。2つの離れた相補鎖を含む標的核酸を、分解プライマーと混合する。ハイブリダイゼーション条件下で、プライマーは標的配列の多数の場所でアニールする。伸長条件下で、各核酸鎖に相補的な各プライマーの伸長生成物を合成する。下流プライマー伸長生成物を、上流プライマー伸長生成物により置換する。鎖置換プライマー伸長生成物を再びハイブリダイゼーション条件および伸長条件におき、それを少なくとも1回繰り返す。プライマー伸長反応により形成した二重鎖分子を変性する。変性一本鎖分子を、プライマー伸長生成物を合成するハイブリダイゼーションおよび伸長条件下で上記と同じプライマーで処理する。ハイブリダイゼーションおよび伸長条件を少なくとも1回繰り返す。その後変性および繰り返すハイブリダイゼーションおよび伸長条件の工程を少なくとも1回繰り返す。
【図5】実験設計およびアガロースゲル中に検出される増幅生成物の例である。
【図6】実験設計およびアガロースゲル中に検出される増幅生成物の例である。
【発明を実施するための形態】
【0026】
本発明は、サンプル中に見いだされる1つ以上の所望の特異的核酸配列を増幅および検出する方法に関する。特定的配列の大部分はこの方法で生成されるため、本発明を標的配列を効率的に増幅および検出するために使用してよい。
【0027】
I.材料
A.標的配列
増幅および検出の目的物である標的配列は、核酸のいずれかである可能性がある。標的配列はRNA、cDNA、ゲノムDNA、疾患原因微生物またはウィルス由来のDNAである可能性がある。標的配列はまた化学反応剤、種々の酵素および物理的暴露により処理されるDNAである可能性がある。サンプル中の目的とする標的核酸配列は、cDNA、mRNA、他のRNAのような一本鎖DNAまたはRNA、あるいは分離した相補鎖として現れてよい。標的核酸の相補鎖を分離することを、物理的、化学的または酵素的手段により達成してよい。
【0028】
B.プライマー
ここで「プライマー」の語は、天然産であろうとも合成して生成されようとも、
オリゴヌクレオチドを指し、核酸鎖に相補的なプライマー伸長生成物の合成が誘導される条件下、すなわち、DNAポリメラーゼのような重合のためのヌクレオチドおよび薬剤の存在下で、ならびに適切な温度およびバッファー条件におかれた際に、合成の開始点として働くことが可能である。プライマーは好ましくは、増幅の効率が最大である一本鎖であるが、あるいは二本鎖であってもよい。プライマーは、誘導剤の存在下で伸長生成物の合成を開始できるように十分長くなければならない。プライマーの正確な長さは、温度、プライマーの由来、および方法の使用を含む多くの因子に依存するであろう。
【0029】
ここでプライマーは、増幅される各特異的プライマーの異なる鎖に実質的に相補的であるように選択される。これは、それぞれの鎖にハイブリダイズするようにプライマーが十分に相補的でなければならないことを意味する。それゆえ、プライマー配列は、鋳型の正確な配列を反映する必要はない。それぞれの鎖にハイブリダイズするように十分に相補的なプライマーは、本明細書で標的配列の鎖に対するプライマーとしばしば呼ぶ。
【0030】
開示される方法における使用のためのプライマーは、標的配列に相補的である3’配列を含むオリゴヌクレオチドであり、通常伸長反応を開始するために使用される。プライマーのこの部分を3’標的相補部分または開始部分と呼ぶ。プライマーの3’標的相補部分は、プライマーと標的配列の間の特異的および安定なハイブリダイゼーションをサポートするいずれかの長さである可能性がある。一般的に、これは9から40ヌクレオチド長であるが、一般に15から25ヌクレオチド長である。
【0031】
サンプル中の目的とする標的核酸配列は、一本鎖、例えば一本鎖RNA、第一鎖cDNA、または2本の分離した相補鎖、例えば変性ゲノムDNAを含んでよい。少なくとも2つのフォワードオリゴヌクレオチドプライマーが、標的配列の一方の鎖にアニールするために必要である。指数関数的増幅のために、2つのフォワードプライマーと離れて、少なくとも1つのリバースオリゴヌクレオチドプライマーが、標的配列の相補鎖にアニールするために必要である。標的配列の同一鎖にハイブリダイズする2つのオリゴヌクレオチドプライマーをここで、5’から3’ の順に標的配列にハイブリダイズする、外部プライマーおよび内部プライマーと呼ぶ。外部プライマーがハイブリダイズする、または実質的に塩基相補性を有する配列または領域に対して3’にある標的の領域にハイブリダイズすることができる1つ以上の内部プライマーが存在してよく、それが好ましい。標的配列の相補鎖に対して、内部プライマーが存在しなくてもよいが、1つ以上の内部プライマーが供給されるのが好ましい。
【0032】
プライマーは、標的配列に相補的ではないプライマーの5’末端に付加配列を含んでよい。この配列は、5’非相補的部分と呼ばれる。プライマーの5’非相補的部分は、本発明の種々の実施態様に有用である配列要素を含む。第一に、共通制限酵素部位を、選択するプライマーの非相補的部分に導入し、増幅した核酸フラグメントを消化するために使用することができる。第二に、5’非相補的部分における独特な配列または特異的制限酵素部位は、異なるアリル、異なる遺伝子、または目的の標的のいずれかに対する検出マーカーとして働くことができる。第三に、プライマーの5’非相補的部分により、伸長、増幅および特に鎖置換反応を容易にすることができる。
【0033】
ある実施態様において、1つ以上の前記プライマーは、リンカーを含むリンカー-プライマーである。前記リンカーは、一本鎖末端生成物を生成する役割を演ずる。
【0034】
第一に、リンカーはブロッキング部分であってよく、前記リンカーのすべてまたは一部の複製がブロックされ(図2A)、それによりリンカー-プライマー伸長鎖の鋳型上で生成されるプライマー伸長分子は、プライマー結合部位がないためにさらなるプライマー伸長のための鋳型には適していない。「ブロッキング部分」は、核酸ポリメラーゼ(DNAポリメラーゼ、RNAポリメラーゼ、逆転写酵素またはレプリカーゼ)による、核酸鋳型の転写をブロックすることができる薬剤を指す。そのような薬剤は周知である。ブロッキング部分は、関連ポリメラーゼにより鋳型として認識されない核酸化合物(例えば修飾ヌクレオチド)、または非核酸化合物であってよい。ブロッキング剤は、複製を停止するよう望まれる部位で核酸鋳型の2つのヌクレオチドの間に挿入される炭水化物腕であってよい。「炭水化物腕」の表現は、ここで「実質的に炭水化物腕」を意味する。それは例えば、ジオールまたはジアミンの反応により、2つのヌクレオチドの間に挿入されてよい例えばポリメチレン腕である。そのようなポリメチレン基は、置換基を含んでよく、または1つ以上の例えば酸素、硫黄、または窒素ヘテロ原子により遮られてよい。主に、リンカー-プライマーに含まれるブロッキング部分は、ポリメラーゼにより適した鋳型として認識されないもののいずれか全体であってよい。ブロッキング部分は、オリゴヌクレオチドのin vitro合成の間、適切な前駆体(例えば亜ホスホルアミド酸塩)の取り込みによる合成オリゴヌクレオチド中へ挿入することが可能であってよい。特定のブロッキング部分は、ヘキセチレングリコール(HEG)モノマーである。アルキル基のような他の基、非核酸リンカー、ホスホロチオ酸、アルカン-ジオール残基、ペプチド核酸、核酸誘導体または染色を使用することができる。ブロッキング部分は、リンカー-プライマーの3’末端から18ヌクレオチド未満離れて位置してよい。ブロッキング部分は、リンカー-プライマーの3’末端から6ヌクレオチド未満離れて位置することが好ましい。ブロッキング部分は、リンカー-プライマーの3’末端から3ヌクレオチド未満離れて位置することがより好ましい。
【0035】
第二に、リンカー-プライマーは3’標的相補部分(開始部分)を含んでよく、その相補部分はブロッキング部分により遮断されてもよく、遮断されなくてもよく、前記標的配列および5’にそれに加えて「リンカー配列」にハイブリダイズした際に伸長を開始することができ、標的配列または標的由来配列の一部にハイブリダイズするであろう(ヌクレオチドまたは非核酸の配列であってよい)。標的由来配列は、リンカー-プライマー伸長生成物であってよい(図2B)。
【0036】
ある実施態様において、前記リンカー配列は、他のプライマーの1つの配列に同一または実質的に同一である(図2C、2D、2E)。リンカー-プライマー中のリンカー配列は、標的配列の相補鎖に対するプライマーの1つの配列に同一または実質的に同一であるのが好ましい。好ましい実施態様において、リンカー配列は、標的配列の相補鎖に対するプライマーの1つの3’標的相補部分に同一または実質的に同一である。言い換えれば、フォワードプライマーのリンカー配列は、リバースプライマーの1つと同一または類似した配列を有する。そのようなリンカー-プライマーの使用例が、図2に示されている。好ましい実施態様において、1つより多いリバースプライマーがある場合、内部フォワードプライマーのリンカー配列は、内部リバースプライマーと同一または類似した配列を有するリンカー-プライマーは、標的配列のいずれの部分とも同一ではなく、相補もしないリンカー配列に隣接する5’付加配列(部分)および/または3’付加配列を含んでよい。付加配列は、検出および/または増幅法を支持してよい。5’または3’付加配列は、検出プローブとハイブリダイズしてよい。この目的のため、リンカー配列に隣接する付加配列は、いかなるヌクレオチドも含むことができ、いかなる長さであることもできる。プローブとリンカー-プライマーの間、およびリンカーと標的の間のハイブリダイゼーションは、検出標識の検出可能変動を介して検出される。
【0037】
第三に、前記リンカー-プライマーは切断可能部分を含んでよい(切断可能リンカーとも呼ばれる)。そして、前記リンカー-プライマーは切断可能プライマーであり、切断可能部分で切断されるか、あるいは前記切断可能プライマーがその相補核酸配列とハイブリッド形成する際に酵素薬剤により完全にまたは部分的に分解される。切断可能部分は、制限酵素部位、またはニック酵素(nicking enzyme)部位を含んでよく、ここで酵素薬剤は制限酵素部位、またはニック酵素である。切断可能部分が、リボヌクレオチドであることが好ましい。この場合、リンカー-プライマーは、リボヌクレオチドを含むRNA型プライマーである。
【0038】
ここで、リボヌクレオチドは、RNaseHであってよいエンドヌクレアーゼにより認識されるか、切断される、非修飾リボヌクレオチドおよび/または修飾リボヌクレオチドであってよい。リボヌクレオチドは、上記の非修飾リボヌクレオチドおよび修飾リボヌクレオチドの両方を含む。非修飾リボヌクレオチド、修飾リボヌクレオチド、またはその混合物を、プライマーの機能を阻害しない限り、本発明の切断可能リンカー-プライマーに対して使用することができる。修飾リボヌクレオチドの例として、リン酸基に結合した酸素原子が硫黄原子に置換された(.alpha.-S)リボヌクレオチド、およびリボースの2位で水酸基がメトキシ基に置換されたリボヌクレオチドが含まれるが、それに限定されない。そのような修飾リボヌクレオチドを含むプライマーを、例えば、米国特許5,003,097号に記載される硫化反応剤(Glen Research)、または2-OMeを使用する方法により調製される(.alpha.-S)リボヌクレオチド三リン酸を使用する方法により生産することができる。リンカー-プライマーに含まれる修飾リボヌクレオチドは、メチレン2’-O, 4’-C結合を含むLNA(locked nucleic acid)であってよい。この架橋により、コンフォメーションの柔軟性が減少し、ヌクレオチドの糖部分に対するRNA様3’エンドコンフォメーションが与えられる。
【0039】
ある態様において、切断可能リンカー-プライマーは、100%のリボヌクレオチドおよび/または修飾リボヌクレオチドを含む。別の態様において、切断可能リンカー-プライマーは、少なくとも1つのリボヌクレオチドを含むキメラプライマーである。切断可能リンカー-プライマーは、少なくとも60%のリボヌクレオチドおよび/または修飾リボヌクレオチドを含んでよく、デオキシリボヌクレオチドおよびヌクレオチドアナログからなる群より選択される他のヌクレオチドは、前記リボヌクレオチドの間に均等にまたはクラスター状に位置する。あるいは、前記切断可能リンカー-プライマーは、少なくとも30%のリボヌクレオチドおよび/または修飾リボヌクレオチドを含んでよく、ここでデオキシリボヌクレオチドおよびヌクレオチドアナログからなる群より選択される他のヌクレオチドは、前記リボヌクレオチドの間に均等にまたはクラスター状に位置する。あるいは前記切断可能リンカー-プライマーは、少なくとも10%のリボヌクレオチドおよび/または修飾リボヌクレオチドを含んでよく、ここでデオキシリボヌクレオチドおよびヌクレオチドアナログからなる群より選択される他のヌクレオチドは、前記リボヌクレオチドの間に均等にまたはクラスター状に位置する。
【0040】
本発明で使用される切断可能リンカー-プライマーは、1つ以上のリボヌクレオチドのような切断可能部分を含む部位で、DNAポリメラーゼの作用によりリンカー-プライマーより伸長されるDNA鎖(プライマー伸長鎖)由来のリンカー-プライマー配列の一部または全体を、ヌクレアーゼが認識および切断する構造を有する。本発明を制限することを意図しないが、例えば、鋳型として核酸にアニールしたリンカー-プライマーからDNA鎖を伸長することにより生成される二重鎖核酸にRNaseが作用する際に、リンカー-プライマーはリボヌクレオチド部分で切断される。リンカー-プライマー配列はリンカー-プライマーの伸長により生成される二重鎖核酸より分解されるため、新しいリンカー-プライマーは以前のリンカー-プライマー結合部位にアニールし、新しいプライマー伸長および鎖置換を開始してよい。そして、プライマーの3’ 末端から核酸鎖を伸長するために使用することができ、ヌクレアーゼで切断することができ、そしてDNAポリメラーゼが鎖置換反応に影響を及ぼすことができる切断可能リンカー-プライマーを、本発明で使用することができる。
【0041】
前記リンカー-プライマーは、上記の3つのタイプのリンカーいずれかの組み合わせを含んでよいことが理解されるべきである。
【0042】
指数関数的増幅するために、外部プライマーはリンカー-プライマーでなくてもよい。2つの外部プライマー、標的配列の1つの鎖上で伸長を開始することができるものと、標的配列の二番目の鎖上で伸長を開始することができる別のものは、PCR増幅に使用されるものに類似した通常の増幅プライマーであってよい。しかし、本発明の方法はとりわけ基本的なPCRと異なる。なぜなら、核酸鋳型の1つの鎖にハイブリダイズし、同時に伸長を開始することができる1つのプライマーが存在し、外部プライマーからの伸長により内部プライマーの伸長鎖が置換されるように鎖置換が使用されるためである。一本鎖生成物の付随的な生成に加えて、2倍以上の増幅生成物が、達成されてよい。
【0043】
本発明の別の実施態様において、サンプル中のいずれかの一連の核酸を増幅する方法において、ランダムまたは部分的にランダムなヌクレオチド配列を有する分解プライマー(複数のランダムオリゴヌクレオチドプライマー)を使用する。特に、前記ランダムまたは部分的にランダムなヌクレオチド配列は、プライマーの3’結合部分である分解プライマーの3’末端に位置する。プライマーの3’末端にあるランダム塩基位置の数は、プライマーの3’末端にあるヌクレオチドの総数に対していかなるパーセンテージでもある可能性がある。一般に、10% から100%が好ましく、50%から100%が最も好ましい。ランダム配列領域は、可能性があるヌクレオチドの組み合わせ全てを有する配列を含んでよく、この配列は標的配列のランダム部位に効率よくハイブリダイズするために十分長いであろうし、そこで前記領域は典型的には3から25ヌクレオチド長であろうし、通常4から20ヌクレオチド長、より通常は5から15ヌクレオチド長であろう。分解プライマーは、ランダムまたは部分的にランダムなヌクレオチドの5’にある非ランダム部分を含んでよい。前記5’非ランダム部分配列は、いかなる配列を含んでいてよい。一般に、この領域の配列を、標的配列に顕著に類似しないように選択することができる。前記5’非ランダム部分配列の長さは、14から60の範囲、通常18から40、より通常には20から30ヌクレオチド長であろう。別の実施態様において、増幅反応は分解プライマーおよびユニバーサルプライマーを含む。分解プライマーは3’末端にランダムまたは部分的にランダムなヌクレオチドを含み、ランダムまたは部分的にランダムなヌクレオチドの5’にユニバーサル非ランダム部分配列、を含み、ユニバーサルプライマーは分解プライマーの非分解部位配列を含む。
【0044】
ここで使用される非限定的な「分解プライマー」は配列:
GTGTAGCGTGAAGACGACAGAAAGGGCGNNNNNNNNNTWTR(ここでRはGまたはA、Wは、AまたはT)
を有していてよい:。
【0045】
「ユニバーサルプライマー」は、以下の配列を有していてよい:
GTGTAGCGTGAAGACGACAGAAAGGGCG
【0046】
増幅反応を以下のように実行することができる:最初の数サイクルに対して、低いアニーリング温度により、分解プライマーはプライマー結合および伸長を開始することができ;抗アニーリング温度かで以下のサイクルに対して、ユニバーサルプライマーを持ち越し、増幅に使用される。
【0047】
ある実施態様において、プライマーは、検出またはアフィニティ分離を可能にするプライマーの3’または5’末端、あるいは内部に組み込まれた1つ以上の部分を含むことができる。
【0048】
検出プローブ
検出プローブは、標的配列、プライマー配列、またはプライマー伸長生成物に相補的な配列を含む標識オリゴヌクレオチドである。検出プローブの相補部分は、検出プローブと標的の間における特異的で安定なハイブリダイゼーションを支持するいずれかの長さである可能性がある。この目的のために、検出プローブの相補部分を有する10から40ヌクレオチド長が好ましく、16から25ヌクレオチド長が最も好ましい。検出プローブは、検出標識のいずれかを含むことができる。蛍光または消光活性を有する複数のヌクレオチドまたはヌクレオチドアナログを、検出標識、例えばグアノシンベース(guanosine base)で使用することができる。検出標識の例は、蛍光染色または非蛍光染色であってよい。蛍光染色は、プライマーまたはプローブのプライマー伸長生成物に対するハイブリダイゼーションにより消光するまたは蛍光を発するフルオロフォアであってよい。1つより多くのプローブが、増幅生成物を検出するために必要とされてよい。複数のプライマーが、プライマーおよびプローブの機能を提供してよい。プローブまたはプライマーは、標的配列またはプライマー配列、またはプライマー伸長生成物にハイブリダイズし、それにより検出シグナルを生成する(図3)。ハイブリダイゼーションにより、2つの検出標識を近接させてよい(図3A、B、E, F, G, HおよびI)。ハイブリダイゼーションにより、2つの検出標識を近接させず離れさせてもよい(図3D)。
【0049】
ある態様において、プライマーは、プライマーおよびプローブの両方として働く二重の機能を有してよい。例えば、増幅プライマーのいずれか1つは、検出標識にハイブリダイズした際に検出シグナルを生成する検出標識を含んでよい。ある実施態様において、サンプル中の標的核酸配列を検出するための検出システムが提供される。そのようなシステムは、5’リンカー配列を含むリンカー-プライマーを含み、ここで前記リンカー配列は標的配列または標的由来配列の一部に相補的である。リンカー-プライマーは、リンカー配列に隣接する5’付加配列および/または3’付加配列を含み、プローブの1つまたは2つは、リンカー-プライマーの前記付加配列に相補的であり、プローブの1つまたは2つは、標的配列または標的由来配列の部分に相補的である。ハイブリダイゼーションの際、リンカー配列および標的配列により形成される二本鎖構造により、プローブの検出標識の2つ以上が近くにまたは実質的に近くに近接する(図3A, B, E, F, J, K, L, MおよびN)。上記検出システムにおいて、前記リンカー-プライマーは単にプローブとして機能することが理解される。反応物中に過剰量であり、プライマー伸長生成物中に取り込まれない複数のリンカー-プライマーのリンカー部分は、標的配列にハイブリダイズし、検出標識を近くに近接させ、それゆえ検出シグナルを生成してよい。この場合、リンカー-プライマーの3’標的相補部分は必要ではなく、その3’末端はブロックされてよい(図3LおよびM)。
【0050】
別の態様において、一本鎖末端生成物をヌクレアーゼ感受性部分を含むプローブにハイブリダイズさせる(図3O)。二本鎖になった際に、ヌクレアーゼ感受性部分は、検出シグナルが生成されるように切断される。プローブを繰り返し一本鎖末端生成物にハイブリダイズし、繰り返し切断することができるため、このタイプのプローブを使用することは有益である。そのようなプローブは、例えば、RNAプローブ、またはRNAおよびDNAを含むキメラプローブである可能性がある。このプローブが一本鎖末端生成物の相補配列とハイブリッドを形成する場合、リボヌクレアーゼはこのプローブのRNA領域を特異的に切断し、結果として検出シグナルを放出する。本発明を実行する際に有用であるリボヌクレアーゼの例は、RNaseHである。RNaseHは、配列非特異的に、DNA/RNAハイブリッド中に見つかるRNAを切断するRNA特異的消化酵素である。他のリボヌクレアーゼおよび酵素が、Exo IIIおよび逆転写酵素のように、RNA/DNA鎖からRNAに切れ目を入れる、またはRNAを切り出すために適していてよい。
【0051】
C.酵素
開示される方法は、増幅のためにポリメラーゼを使用する。DNAポリメラーゼが、鎖置換と呼ばれる、鋳型鎖に相補的な鎖を置換することができること、および5’から3’エキソヌクレアーゼ活性を持たないことが好ましい。鎖置換は、鋳型分子につき多数の標的配列のコピーを合成するために必要である。開示される方法において使用されるDNAポリメラーゼは、高度に前進性(processive)であることが好ましい。特に、DNAポリメラーゼが熱安定性DNAポリメラーゼであることが好ましい。好ましいDNAポリメラーゼは、Taq DNA ポリメラーゼ、Bcaポリメラーゼ(Takara)、Bst ポリメラーゼ(NEB)、Pfx50ポリメラーゼ(Invitrogen)、Vent (exo-) DNAポリメラーゼ(NEB)、およびTfu DNAポリメラーゼ(Qbiogene)である。Vent (exo-) DNAポリメラーゼ(NEB)、Tfu DNAポリメラーゼ、またはPfx50ポリメラーゼを使用することが好ましい。検出過程において、1つ以上の標識ヌクレオチドを伸長するために、熱安定性および熱非安定性DNAポリメラーゼの両方を使用することができる。
【0052】
鎖置換を、ヘリカーゼのような鎖置換因子の使用により容易にすることができる。鎖置換因子の存在下で鎖置換を実行することができるいずれかのDNAポリメラーゼは、DNAポリメラーゼがそのような因子が存在しなければ鎖置換を実行しないとはいえ、開示される方法における使用に適していると考えられる。本発明において有用な鎖置換因子は、BMRF1 ポリメラーゼ修飾サブユニット (Tsurumi et al., J. Virology 67(12):7648-7653 (1993)), アデノウィルスDNA結合タンパク質(Zijderveld and van der Vliet, J. Virology 68(2):1158-1164 (1994)), ヘルペスシンプレックス(simplex)ウィルスタンパク質 viral protein ICP8 (Boehmer and Lehman, J. Virology 67(2):711-715 (1993); Skaliter and Lehman, Proc. Natl. Acad. Sci. USA 91(22):10665-10669 (1994))、一本鎖DNA結合タンパク質 (SSB; Rigler and Romano, J. Biol. Chem. 270:8910-8919 (1995))、および子牛胸腺ヘリカーゼ (Siegel et al., J. Biol. Chem. 267:13629-13635 (1992))である。
【0053】
鋳型としての核酸にアニールした、上記の切断可能リンカー-プライマーからの伸長により生成される二本鎖核酸に作用することができ、伸長鎖から完全にまたは部分的にリンカー-プライマー配列を分解して鎖置換反応に作用する、ヌクレアーゼのいずれかを、本発明で使用してよい。すなわち、前記ヌクレアーゼは、二本鎖DNAのリンカー-プライマー部分を分解することができる酵素である。発明で使用することができるヌクレアーゼの例は、リボヌクレアーゼを含むがそれに限定されない。その中で、DNAおよびRNAからなる二本鎖核酸のRNA部分に作用するリボヌクレアーゼH (RNase H) を好ましくは使用することができる。上記活性を有するいずれかのリボヌクレアーゼを、中温性、および熱耐性のものを含めて、本発明で好ましくは使用することができる。例えば、大腸菌由来のRNase Hを、本発明の方法において約50 °Cから約70 °Cの反応に使用することができる。本発明の方法において、熱耐性リボヌクレアーゼを好ましくは使用することができる。好ましくは使用することができる熱耐性リボヌクレアーゼの例は、市販のリボヌクレアーゼ、Hybridase.TM. 熱安定性 RNase H (Epicenter Technologies)、ならびにバチルス属の好熱菌、サームス属の菌、パイロコッカス属の菌、サーモトガ属の菌、アーカエログロバス属の菌など由来のRNaseを含むが、それに限定されない。さらに、天然由来のリボヌクレアーゼとバリアントの両方を好ましくは使用することができる。
【0054】
前記RNase Hは、本発明の方法で使用することができる限り、特定のものに限定されない。例えば、前記RNase Hは、種々のウイルス、ファージ、原核生物または真核生物由来であってよい。それは、細胞性RNase HまたはウイルスRNase Hのいずれかであってよい。細胞性RNase Hは、大腸菌細胞性RNase HIにより例示され、ウイルスRNase HはHIV-1 RNase Hにより例示される。本発明の方法においてI型、II型またはIII型RNase Hを使用することができる。例えば、大腸菌由来のRNase HI、あるいはパイロコッカス属の菌またはアーカエログロバス属の菌由来のRNase HIIが好ましいが、制限はない。
【0055】
II.方法
開示される方法は、
標的配列の1つの鎖にアニールする少なくとも2つのフォワードプライマー、および
標的配列の相補鎖にアニールする少なくとも1つのリバースプライマー、
DNAポリメラーゼによる伸長および鎖置換、
置換鎖上におけるさらなる伸長、
プライマー伸長生成物が、一本鎖または部分的一本鎖分子を生成するよう合成される鋳型からのプライマー伸長生成物の分離、
鋳型として一本鎖分子のそれぞれまたは複数を使用して、プライマー伸長生成物が合成される、ハイブリダイゼーションおよび伸長条件下でフォワード、およびリバースプライマーで生成される一本鎖分子を処理する工程
を含む。開示される方法はまた、リンカー部ロッキング部分および/またはリンカー配列および/または切断可能リンカーを含む1つ以上のリンカー-プライマーも含んでよい。反応の工程は、段階的にまたは同時に実行してよく、所望の頻度で繰り返すことができる。
【0056】
本発明のある方法は、サンプル中の目的の標的配列を増幅および検出するために提供され、前記標的核酸は1つの鎖、または2つの分離相補鎖を含み、前記方法は
(a) 標的配列の第一鎖にハイブリダイズすることができる少なくとも2つのオリゴヌクレオチドプライマー、第一鎖に相補的である標的配列の第二鎖にハイブリダイズすることができる少なくとも1つのオリゴヌクレオチドプライマーでサンプルをを処理する工程であって、
標的核酸配列の各鎖に対して各オリゴヌクレオチドプライマーがハイブリダイズするようなハイブリダイゼーション条件下、および各核酸鎖に相補的である各プライマーの伸長生成物が合成されるような伸長条件下で、前記少なくとも2つのオリゴヌクレオチドプライマーは、1つの外部プライマー、および5’ から3’ の順に標的配列にハイブリダイズする1つ以上の内部プライマーを含み、前記プライマーの1つ以上がリンカーブロッキング部分および/または5’リンカー配列および/または切断可能リンカーを含む、工程、
(b) 鋳型からプライマー伸長生成物を分離し、一本鎖分子を生成する工程、
(c) 工程(b)において鋳型として一本鎖標準分子を使用するプライマー伸長生成物を合成するように、ハイブリダイゼーションおよび伸長条件下で工程(a)のプライマーで工程(b)より生成される一本鎖分子を処理する工程、
(d) 工程(b)および(c)を少なくとも1回繰り返す工程
を含む。
【0057】
標的核酸の2つの相補鎖を分離することを、物理的、化学的または酵素的手段により達成してよい。鎖置換および/または加熱により分離を達成するのが好ましい。
【0058】
指数関数的増幅のために、少なくとも2つのフォワードプライマーおよび少なくとも1つのリバースプライマーが増幅のために使用される一方、直線的増幅のために、少なくとも2つのフォワードプライマーが増幅のために使用される。前記少なくとも2つのフォワードプライマーは、1つの外部プライマーおよび1つ以上の内部プライマーを含み、標的配列の1つの鎖の別の位置にハイブリダイズする。外部プライマーはリンカー-プライマーではなく、指数関数的増幅を発生させる。外部プライマーに実質的な相補性を有する標的配列の領域は、外部プライマー標的領域または外部フォワードプライマー標的領域として知られ、同様に他のプライマーに対して、それらがアニールする標的配列の領域として知られる。外部プライマー標的領域は、内部プライマー標的領域3’である。外部プライマー標的領域と内部プライマー標的領域の間は、いずれの長さでもある可能性がある。外部プライマー標的領域と内部プライマー標的領域の重複すらあってもよい。標的に特異的にハイブリダイズして、伸長条件下で各プライマーをDNAポリメラーゼにより伸長する。内部プライマー伸長生成物を、酵素の鎖置換活性により置換する。鎖置換活性は、プライマー伸長に使用される同一のDNAポリメラーゼにより提供される。あるいは、鎖置換活性は、他の酵素により提供されてよい。
【0059】
工程(a) および(c) において、ハイブリダイゼーション条件および伸長条件は同一であってよい。ハイブリダイゼーション条件および伸長条件は、同一温度を含む、同一環境を共有してよい。あるいは、ハイブリダイゼーション条件および伸長条件は異なる条件であり、少なくとも1回繰り返され、温度、バッファー、または環境の他の特徴を、さらなる伸長および鎖置換に適するよう調製することができる。例えば、伸長温度は72°Cであることができ、一方ハイブリダイゼーション温度は50から60°Cであることができる。ハイブリダイゼーション条件と伸長条件の間の変換または変動を、必要であれば多数の回数で実行することができる。プライマー伸長と鎖置換は両方伸長条件下で発生する。鎖置換を、鎖置換活性を促進する薬剤により達成してよい。プライマー伸長活性と鎖置換活性は、DNAポリメラーゼにより提供されるのが好ましい。DNAポリメラーゼは、熱安定性DNAポリメラーゼであるのがより好ましい。好ましい熱安定性DNAポリメラーゼの例は、Vent(exo-)、Pfx50、またはTfuDNAポリメラーゼである。各標的鎖に対して利用できる内部プライマーがいくつあるかに依存して、全て、または実質的に全ての一本鎖プライマー伸長分子が二本鎖になるまで、伸長および鎖置換は継続する。
【0060】
プライマー伸長反応により形成される二本鎖分子は、分離して一本鎖分子となる。この分離を、当業者に既知である、物理的、化学的、または酵素的手段である可能性があるいずれかの手段で達成することができる。ある実施態様において、そのような分離を、伸長条件下のプライマー伸長の間に起こる鎖置換により達成する。この場合、工程(b)を工程(c)および(a)に重ねる、言い換えれば、全ての工程を重ねて発生させ、相互に区別できない。そのような反応は、例えば等温増幅である可能性がある。別の実施態様において、過熱により引き起こすことができる変性により、前記分離を達成する。適切な温度を熱変性に使用することができることは、当業者に周知である。加熱温度の例は94°Cである。さらなる実施態様において、鋳型からのプライマー伸長生成物の分離を、鎖置換および変性の組み合わせにより達成する。伸長条件下で、内部プライマー伸長鎖を外部プライマーの伸長により置換し、一本鎖とする。一本鎖内部プライマー伸長生成物を、鋳型として内部プライマー伸長生成物を使用して伸長させる他のプライマーによりハイブリダイズしてよい。二本鎖生成物をさらなる鎖置換にさらすことはできず、それゆえそれらを分離する唯一の方法は変性であり、好ましくは高温での加熱である。
【0061】
1つ以上のプライマーは、一本鎖末端生成物が生成されるように役割を演ずるリンカーを含んでよい。ある実施態様において(図2A)、リンカーは、プライマーまたはプライマーの開始部分(priming portion)に組み込まれているブロッキング部分である。内部プライマーの1つがリンカー-プライマーであるのが好ましい。内部リンカー-プライマーの全体または一部は、増幅の間、ブロッキング部分のために複製することができない。言い換えれば、鋳型としてリンカー-プライマー伸長生成物を使用するプライマー伸長は、ブロッキング部分で停止するであろう。それにより、反応は、リンカー-プライマー伸長生成物の鋳型上に生成する一本鎖プライマー伸長生成物を蓄積するであろう。
【0062】
別の実施態様において、リンカー-プライマーは切断可能リンカーを含む(図2G)。そして、リンカー-プライマーは切断可能リンカーであり、リンカー-プライマーがその相補核酸配列とハイブリッドを形成したときに、酵素薬剤によりリンカー部位で切断される、あるいは完全にまたは部分的に分解される。酵素薬剤は、前記リンカー-プライマーがリボヌクレオチドおよび/または修飾リボヌクレオチドからなるRNA型プライマーであるときには、RNase H活性を含む。切断可能リンカー-プライマーは、リボヌクレオチドおよび非リボヌクレオチドを含むキメラプライマーであってよい。図2Gに示される例において、1つの内部フォワードプライマー(F2)は、RNA型プライマーである切断可能リンカー-プライマーである。ある経路において、プライマー伸長および鎖置換の間、F2プライマー伸長鎖を置換する。置換F2プライマー伸長鎖を、鋳型としてF2プライマー伸長鎖を使用してDNAポリメラーゼにより伸長するリバースプライマーR1によりハイブリダイズさせる。R1プライマー伸長により形成される二本鎖ハイブリッドRNA/DNA上のF2プライマーのRNA部分を、RNase Hは認識して切断する。RNase Hによる分解によりF2プライマー結合部位が放出され、それにより新たなF2が、以前のF2結合部位にハイブリダイズし、新たな伸長を開始する。分解、アニール、および伸長の過程を多数回繰り返し、F2プライマー配列の一部または全体を欠く、多コピーのF2プライマー伸長生成物を生成する。別の経路において、鋳型上でF2プライマーがアニールし、伸長した後、F2プライマー配列は即座に分解され、F1プライマーの伸長に取って代わられる。そして、続く鎖置換において、F2配列の一部または全体を欠くF2プライマー伸長生成物を置換し、次のプライマー伸長に利用することができる。F2配列を欠くF2プライマー伸長生成物にアニールした1つ以上のリバースプライマーを伸長し、置換する(または鋳型より分離する)。上記過程を多数回繰り返し、それにより一本鎖末端生成物を生成する。
【0063】
標的核酸の第一鎖に対するブロッキング部分を有する第一のリンカー-プライマー、および標的核酸の第一鎖に対して相補的である標的核酸の第二鎖に対する切断可能部分を有する第二のリンカー-プライマーを、反応は含んでよいことが理解されるべきである。上記の例に続き、R1プライマーがブロッキング部分を有する第二のリンカー-プライマーであれば、F2プライマー配列を欠き、R1プライマーに対する結合部位を欠く一本鎖末端生成物としてF2プライマー伸長生成物が反応により蓄積してもよい。
【0064】
別の態様において(図2B、C、D、およびE)、リンカーは標的配列または標的由来配列の一部に相補的である5’リンカー配列である。リンカー配列は、リンカー-プライマー伸長生成物中の配列の一部にハイブリダイズしてよい。リンカー配列は、他のプライマーの1つの配列に同一または実質的に同一の配列を含んでよい。リンカー配列が、標的配列に対する相補鎖に対するプライマーの1つの配列に同一または実質的に同一であるのが好ましい。
【0065】
複数のプライマー伸長生成物は、一本鎖になりハイブリダイゼーション条件下で、折りたたまれ(自己アニーリング)、ステムループ構造を形成し、ステムループ構造は検出システム内で検出されるのが好ましい。二本鎖ステム部分は、全てまたは一部のプライマー結合部位を含み、それにより相当するプライマーのアニーリングを防止または阻害する。
ある実施態様において(図2CおよびE)、リンカープライマー伸長生成物は、一本鎖になるとステムループ構造を形成し、リンカープライマーのリンカー配列は、内部プライマーに同一または実質的に同一の配列を含み、内部プライマーの標的配列はプライマー標的配列またはその鎖上の結合部位の最も3’側であり(「最内部プライマー」)、形成した二本鎖ステム部分は、相当するプライマーのアニーリングを防止するプライマー結合部位を含み、ループ部分には他の結合部位がなく、それにより一本鎖末端生成物を蓄積する。ある実施態様において(図2BおよびE)、リンカー-プライマー伸長分子の鋳型上に生成されるR1プライマー伸長分子は、折りたたまれステムループ構造を形成し(「第一のR1プライマー伸長分子」)、第一のR1プライマー伸長分子の3’末端は自身にアニールし、伸長を開始する。同時に、リンカー-プライマーは第一のR1プライマー伸長分子にアニールし、
第一のR1プライマー伸長分子の3’末端より生成される鎖を続いて置換する伸長を開始し、それによりステムループ構造を開裂する。第一のR1プライマー伸長分子のステムループ構造を開裂して、R1プライマーは第一のR1プライマー伸長分子の3’末端にアニールし、リンカー-プライマー伸長鎖を置換する第二のR1プライマー伸長分子の合成を開始する。置換されたリンカー-プライマー伸長鎖は、さらなるプライマー伸長のための鋳型として作用する。第二のR1プライマー伸長分子は、変性およびハイブリダイゼーション条件におかれると、折りたたまれて、利用可能なプライマー結合部位を含まないステムループ構造を形成し、それにより反応物はこの構造を蓄積し、ループ部分は検出システム内のプローブ結合に適している。
【0066】
リンカー配列と、リンカー-プライマー伸長生成物上のその相補配列の間の距離が適切な範囲にあれば、形成するステムループ構造が熱力学的に好ましいものである。通常、距離が短くなればなるほど、ステムループ構造がより好ましい。一般に、300塩基より短いものが好ましく、200塩基より短いものがさらに好ましく、100塩基より短いものがさらにより好ましい。
【0067】
リンカー-プライマーは、標的配列のいずれかの鎖に同一または相補的ではないリンカー配列の5’または3’に付加配列を含んでよい。付加配列は、検出方法および/または増幅法を支持してよい。付加配列が検出プローブに相補的であるのが好ましい。リンカー配列と標的配列、検出プローブと標的配列、および検出プローブとプライマーの付加配列の間の特異的なハイブリダイゼーションは、検出システムにおける検出可能変動を介して検出される。そのようなハイブリダイゼーションにより、2つ以上の検出標識を近くまたは実質的に近くに近接させてよい。そのような近接は、検出シグナルを放出してよい(図3J,K,L,およびM)。上記検出システムにおいて、前記リンカー-プライマーは単にプローブとして機能することが理解される。反応物中に過剰量であり、プライマー伸長生成物中に取り込まれない複数のリンカー-プライマーのリンカー部分は、標的配列にハイブリダイズし、検出標識を近くに近接させ、それゆえ検出シグナルを生成してよい。この場合、リンカー-プライマーの3’標的相補部分は必要ではなく、その3’末端はブロックされてよい(図3LおよびM)。
【0068】
本発明の方法が定温条件下で実行されないならば、工程(b)および(c)を少なくとも1回繰り返す。工程(b)および(c)を10回より多く繰り返すのが好ましい。前記工程を20回より多く繰り返すのがさらに好ましい。
【0069】
ある態様において、サンプル中の目的とする核酸の標的配列を増幅および検出するために方法が提供され、目的の核酸は1つの鎖、または二本の分離相補鎖を含み、
前記方法は
(a) オリゴヌクレオチドリンカー-プライマーの存在下で増幅法により標的配列を増幅し、そのリンカー-プライマーは、ブロッキング部分および/または切断可能リンカーおよび/または5’リンカー配列であってよいリンカーを含む、工程、
(b) 一本鎖末端生成物をプローブにハイブリダイズさせることにより増幅する結果として、プライマー伸長生成物を検出する工程
を含む。
【0070】
別の実施態様において、サンプル中の目的とする核酸の標的配列を増幅および任意に検出するために方法が提供され、
目的の核酸は1つの鎖、または二本の分離相補鎖を含み、
前記方法は
(a) オリゴヌクレオチドリンカー-プライマーの存在下で増幅法により標的配列を増幅し、そのリンカー-プライマーは、
(i) 標的配列の第一鎖鋳型にハイブリダイズすることができるプライミング部分、
(ii) リンカー-プライマー伸長生成物に、および任意に標的配列の第二鎖の一部に相補的、または実質的に相補的であるプライミング部分の5’にあるリンカー配列で、第二鎖は第一鎖に相補的である配列
を含む、工程
(b) リンカー-プライマーのリンカー配列をプライマー伸長生成物にハイブリダイズすることにより、増幅の結果生じるプライマー伸長生成物を検出し、
ハイブリダイズすることにより形成される二本鎖ステム構造により、2つ以上の検出標識を近くまたは実質的に近くに接近させる、あるいは2つの検出標識の距離を増大させる、工程
を含む。
【0071】
本発明の上記の方法において、増幅法は適切な増幅法のいずれかである可能性がある。増幅法の1つの型は、定温増幅法であり、LAMP, SDA, ICAN, RCAまたはNASBAを含むがそれに限定されないものである可能性がある。図2Fに示される例において、LAMPまたはLAMP様反応においてブロッキング部分または切断可能部分を有するリンカー-プライマーは、標的核酸のいずれかの領域にハイブリダイズし、図3CおよびR3の間で増幅される。リンカー-プライマーは。F2Cおよび、F1C、またはR1およびR2の間にある標的領域の第一鎖または第二鎖ループプライマーなたはブーストプライマーである。別の増幅法は、循環温度、例えばPCRを伴う方法、または本発明で提供される増幅法である。
【0072】
本発明の方法を、単独の反応において多数の核酸配列を増幅および検出するために使用することができ、使用することが好ましい。この場合、各標的配列に対する一連のプライマーまたはプローブは、反応混合物中に含まれる。各標的配列に対するプライマーまたはプローブは、異なる標的の検出において助けになるように、別個に標識されてよく、あるいは固体支持体に固着されてよい。
【0073】
本発明の方法はさらに、反応生成物を検出する工程を含んでよい。検出工程は、リアルタイム検出工程であるのが好ましい。二本鎖増幅生成物を、便利なことにSYBRグリーンのような二本鎖特異的染色により検出することができる。リンカー-プライマーは検出標識を含んでよい。検出は、一本鎖増幅生成物を検出する工程を含んでよい。検出は、検出標識の使用を通して、例えば検出標識でタグ化されたプローブの使用を通していてよい。検出標識は、プライマーまたはプローブ中において、核酸または核酸アナログのいずれかに接着された蛍光または非蛍光染色であってよい。蛍光染色は、プライマーまたはプローブの伸長生成物に対するハイブリダイゼーションにより消光するまたは蛍光を発するフルオロフォアであってよい。プローブは、リンカー-プライマー伸長生成物に対してハイブリダイズしてよく、それにより検出シグナルを生成してよい。ハイブリダイゼーションにより2つの検出標識を近くに近接させ、例えば蛍光共鳴エネルギー移動(FRET)により特徴づけられる組み合わせた蛍光を改変してよい。1つのプローブを、アクセプターフルオロフォアで標識してよく、もう1つのプローブを蛍光共鳴エネルギー移動ペアのドナーフルオロフォアで標識してよい。2つのプローブがその相補配列とハイブリダイズし、検出シグナルが、ドナーフルオロフォアにより吸収される波長の光でサンプルを励起し、蛍光エネルギー移動ペアからの蛍光発光による生成されるように、ドナーおよびアクセプターフルオロフォアがある距離内にある。あるいは、ハイブリダイゼーションにより、2つの検出標識の間の物理的距離が増大してよい。
【0074】
本発明の別の実施態様において、リンカー配列を有するリンカー-プライマー、またはリンカー-プライマーとプローブの組み合わせを使用して、いずれかの方法により増幅された標的核酸配列を検出することができる。例えば、リンカー-プライマーの存在下でPCRを実行してよく、リンカー-プライマーの5’リンカー配列は、リンカー-プライマー伸長生成物上の配列の一部に相補的、または実質的に相補的であってよい。リンカー-プライマー伸長生成物の検出は、鋳型からリンカー-プライマー伸長生成物を分離し、リンカー-プライマー伸長生成物をリンカー配列にハイブリダイズすることにより達成することができ、ここで前記ハイブリダイズにより形成される二重鎖ステム構造により、2つ以上の検出標識を近くまたは実質的に近くに近接させる。この方法では、リンカー-プライマーがリンカー配列に隣接する5’付加配列および/または3’付加配列を含むのが好ましい。付加配列を使用して、標識検出プローブにハイブリダイズさせてよい。付加配列はユニバーサル配列であることができるので、多くの異なるプライマーまたはプローブは、このユニバーサル配列を含んでよく、この付加配列に相補的な検出プローブはを共有し、再利用することができ、それゆえ顕著なコスト削減を達成することができる。5’付加および3’付加配列の両方が存在するならば、両方が同一の配列を含んでよいこともまた望ましい。別の標的特異的プローブを使用して、標識由来配列、好ましくはプライマー伸長生成物中の特定の位置にハイブリダイズさせてよい。リンカー配列がプライマー伸長生成物にハイブリダイズするとき、リンカー配列およびその標的配列により形成される二本鎖リンカー部分により検出標識を近くに近接させるようにリンカー配列を設計する。いくつかの設計の例が図3に示される。
【0075】
開示された方法を使用して増幅した核酸の検出および増幅を助けるために、検出標識をプライマー、または増幅核酸配列に取り込むことができる。ここで、検出標識は、直接または間接的に、プライマーまたは増幅核酸配列に結合または添加することができ、直接または間接的に測定可能な検出シグナルをもたらすいずれかの分子である。核酸への取り込み、または核酸プローブへのカップリングのためのそのような多くの標識は、当業者に周知である。開示された方法における使用に適した検出標識の例は、放射性同位体、蛍光染色、非蛍光染色、リン光発光分子、酵素、抗体、およびリガンドである。
【0076】
指数関数的または非線形増幅法に加えて、本発明は線形増幅法もまた提供する。前記方法は
(a) 標的配列の1つの鎖の異なる位置にハイブリダイズする少なくとも2つのフォワードオリゴヌクレオチドプライマーでサンプルを処理し、標的配列の相補鎖に対してリバースオリゴヌクレオチドプライマーが存在せず、
各オリゴヌクレオチドプライマーがハイブリダイズする標的核酸配列の各鎖に対するようなハイブリダイゼーション条件下、
各核酸鎖に相補的である、各プライマーの伸長生成物が合成される伸長条件下であり、
前記プライマーの1つ以上がリンカー配列を含み、
前記ハイブリダイゼーション条件および伸長条件を少なくとも1回繰り返させる、工程
(b) プライマー伸長生成物を分離(変性)させることにより、一本鎖分子を生成する工程;
(c) 工程(b)より作製される一本鎖分子を、ハイブリダイゼーションおよび伸長条件下で工程(a)のプライマーと処理する
プライマー伸長生成物が、工程(b)において生成する一本鎖分子を鋳型として使用して合成され
前記ハイブリダイゼーション条件および伸長条件が少なくとも1回繰り返され、前記伸長条件によりプライマーが伸長し、鎖置換活性がもたらされる、工程;
(d) 工程(b)および(c)を少なくとも1回繰り返す工程
を含む。
【0077】
本発明の別の実施態様において、サンプル中の目的とする核酸の標的配列を増幅および検出するために方法が提供され、前記標的核酸は1つの鎖、または2つの分離相補鎖を含み、
前記方法は
(a) 標的配列の第一鎖にハイブリダイズすることができる2つのプライマー、第一鎖に相補的である標的配列の第二鎖にハイブリダイズすることができる1つのプライマーでサンプルを処理する工程であり、
標的核酸配列の各鎖に対して各プライマーがハイブリダイズするようなハイブリダイゼーション条件下、および
各核酸鎖に相補的である各プライマーの伸長生成物が合成されるような伸長条件下で
前記ハイブリダイゼーション条件および伸長条件が少なくとも1回繰り返され、前記伸長条件によりプライマーが伸長し、鎖置換活性を有することを可能とする、工程;
(b) プライマー伸長生成物を分離(変性)させることにより、一本鎖分子を生成する工程(c) 工程(b)より作製される一本鎖分子を、ハイブリダイゼーションおよび伸長条件下で工程(a)のプライマーと処理する工程であり、プライマー伸長生成物が、工程(b)において生成する一本鎖分子を鋳型として使用して合成され、前記ハイブリダイゼーション条件および伸長条件が少なくとも1回繰り返され、前記伸長条件によりプライマーが伸長し、鎖置換活性がもたらされる、工程;
(d) 工程(b)および(c)を少なくとも1回繰り返す工程
を含む。
【0078】
この実施態様において、増幅により、工程(b)および(c)を繰り返すことにより、各サイクルで標的核酸配列の2倍より多い増加量を達成する。この方法の増幅率の理論的計算は、以下のとおりである:最初の鋳型の量をN0として、サイクルnにおける集団サイズは Nn=N0(2n + n2n-1)である。
【0079】
本発明の別の実施態様において、サンプル中の目的とする核酸の標的配列を増幅および検出するために方法が提供され、前記標的核酸は1つの鎖、または2つの分離相補鎖を含み、
前記方法は
(a) 標的配列の第一鎖にハイブリダイズすることができる3つのプライマー、第一鎖に相補的である標的配列の第二鎖にハイブリダイズすることができる1つのプライマーで、あるいは標的配列の第一鎖にハイブリダイズすることができる2つのプライマー、第一鎖に相補的である標的配列の第二鎖にハイブリダイズすることができる2つのプライマーで、
サンプルを処理する工程であり、
標的核酸配列の各鎖に対して各プライマーがハイブリダイズするようなハイブリダイゼーション条件下、および
各核酸鎖に相補的である各プライマーの伸長生成物が合成されるような伸長条件下で
前記ハイブリダイゼーション条件および伸長条件が少なくとも1回繰り返され、前記伸長条件によりプライマーが伸長し、鎖置換活性を有することを可能とする、工程;
(b) プライマー伸長生成物を分離(変性)させることにより、一本鎖分子を生成する工程
(c) 工程(b)より作製される一本鎖分子を、ハイブリダイゼーションおよび伸長条件下で工程(a)のプライマーと処理する工程であり、プライマー伸長生成物が、工程(b)において生成する一本鎖分子を鋳型として使用して合成され、前記ハイブリダイゼーション条件および伸長条件が少なくとも1回繰り返され、前記伸長条件によりプライマーが伸長し、鎖置換活性がもたらされる、工程;
(d) 工程(b)および(c)を少なくとも1回繰り返す工程
を含む。
【0080】
この実施態様において、増幅により、工程(b)および(c)を繰り返すことにより、各サイクルで標的核酸配列の2倍より多い増加量を達成する。
【0081】
本発明の別の実施態様において、サンプル中の目的とする核酸の標的配列を増幅および検出するために方法が提供され、前記標的核酸は1つの鎖、または2つの分離相補鎖を含み、
前記方法は
(a) 標的配列の第一鎖にハイブリダイズすることができる少なくとも3つのプライマー、第一鎖に相補的である標的配列の第二鎖にハイブリダイズすることができる少なくとも2つのプライマーで、
サンプルを処理する工程であり、
標的核酸配列の各鎖に対して各プライマーがハイブリダイズするようなハイブリダイゼーション条件下、および
各核酸鎖に相補的である各プライマーの伸長生成物が合成されるような伸長条件下で
前記ハイブリダイゼーション条件および伸長条件が少なくとも1回繰り返され、前記伸長条件によりプライマーが伸長し、鎖置換活性を有することを可能とする、工程;
(b) プライマー伸長生成物を分離(変性)させることにより、一本鎖分子を生成する工程
(c) 工程(b)より作製される一本鎖分子を、ハイブリダイゼーションおよび伸長条件下で工程(a)のプライマーと処理する工程であり、プライマー伸長生成物が、工程(b)において生成する一本鎖分子を鋳型として使用して合成され、前記ハイブリダイゼーション条件および伸長条件が少なくとも1回繰り返され、前記伸長条件によりプライマーが伸長し、鎖置換活性がもたらされる、工程;
(d) 工程(b)および(c)を少なくとも1回繰り返す工程
を含む。
【0082】
この実施態様において、増幅により、工程(b)および(c)を繰り返すことにより、各サイクルで標的核酸配列の2倍より多い増加量を達成する。
【0083】
本発明の別の実施態様において、サンプル中の目的とする核酸配列を増幅するために方法が提供され、前記方法は
(a) プライマーが前記核酸の多数の位置にハイブリダイズし、核酸-プライマーハイブリッドを形成させるハイブリダイゼーション条件下で、および
分解プライマー(複数のランダムオリゴヌクレオチドプライマー)とサンプルを処理する工程であり、
プライマー伸長生成物が合成される伸長条件下で
前記分解プライマーがランダムまたは部分的ランダムプライマーを含み、
前記ハイブリダイゼーション条件および伸長条件が少なくとも1回繰り返され、前記伸長条件によりプライマー伸長および鎖置換活性がもたらされる、工程
(b) プライマー伸長生成物を分離(変性)させることにより、一本鎖分子を生成する工程;
(c) 工程(b)より作製される一本鎖分子を、ハイブリダイゼーションおよび伸長条件下で工程(a)のプライマーと処理する工程であり、
プライマー伸長生成物が、工程(b)において生成する一本鎖分子を鋳型として使用して合成され
前記ハイブリダイゼーション条件および伸長条件が少なくとも1回繰り返され、前記伸長条件によりプライマー伸長、および鎖置換活性がもたらされる、工程;
(d) 工程(b)および(c)を少なくとも1回繰り返す工程
を含む。
【0084】
別の態様において、分解プライマーは、ランダムまたは部分的ランダムヌクレオチドの 5’非ランダム部位を含み、増幅反応は分解プライマーおよびユニバーサルプライマーを含む。前記ユニバーサルプライマーは前記分解プライマーの前記非ランダム部位配列を含む
【0085】
キット
本発明はまた、ここに記載される標的配列を増幅する方法を実行するためのキットにも延長され、前記キットは少なくとも前記プライマー、好ましくは前記リンカー-プライマー、および1つ以上のプライマーおよびプローブを含む。キットは一般に、対象方法を実行するために必要な2つ以上の試薬を含む。前記試薬は、利便性および/または再現性を向上させるために個別のアッセイのための事前に計量された量で供給されてよい。
【0086】
ある実施態様において、主題のキットはプライマーおよびDNAポリメラーゼを含む。本発明のキットはまた、主題の方法の種々の実施態様に必要な1つ以上の付加薬剤も含んでよい。そのような付加薬剤は、プローブ、バッファー、ヌクレオチドなどを含むがそれに限定されない。好ましいキットは、ここに添付される特許請求の範囲で規定される。
【0087】
ここでサブタイトルは利便のためのみに含まれ、いかなる意味でも本開示を制限するものとしてみなされるものではない。
【0088】
本発明は、以下の非限定的な実施例を参照してさらにここで記載されるであろう。本発明の別の実施態様は、これらを参照して当業者に理解されるであろう。
【0089】
当業者が本発明を実行するために、本明細書にに参照される全ての引用文献の開示が、相互参照により本明細書に特に取り込まれる。
【0090】
実施例
実施例1
以下に続く実験で使用される全てのプライマーは、EUROGENTEC, UKにより合成された。プライマーを、遺伝子組換え地中海ミバエ系統由来の標的DNA配列K10 3’UTRを増幅するために設計した。このK10配列は、キイロショウジョウバエのfs(1)K10遺伝子に由来する。この遺伝子フラグメントの配列は、遺伝子組換え地中海ミバエに存在するように、前記配列:
【表1】

を含む。
【0091】
プライマーの位置および方向を図5Aに示す。プライマーの配列は
【表2】

である。
【0092】
別途記述されない限り、全ての核酸配列は5’から3’に記載される。
【0093】
地中海ミバエゲノムDNAを、標準抽出方法(Molecular Cloning: A Laboratory Manual (3-Volume Set): Joseph Sambrook, David W. Russell)により調製した。プライマーを最終濃度10μMに希釈した。
【0094】
以下の成分および条件:
10xPCRバッファー (ThermoPol Reaction Buffer, NEB) 2.5μl, 10 mM dNTPs 0.5μl, 加える場合、各プライマー0.5μl, Vent(exo-) ポリメラーゼ (2 U/ μl) 0.25 μl, 地中海ミバエゲノムDNA0.5μl (20ng)および水、最終容量25μl.
を使用して増幅を実行する。反応を、94°Cで1分間;94°C10秒、58°C30秒、72°C30秒を26サイクル、その後72°C6分間の最終伸長ステップ、または、94°Cで1分間;94°C10秒、58°C20秒、72°C15秒、58°C15秒、72°C15秒を26サイクル、その後72°C6分間の最終伸長ステップで実行した。反応物に添加されるプライマーおよび使用するサイクルを図5Bに示す。
【0095】
結果を図5Bに示す。レーン4の増幅は、レーン1および2の通常PCR増幅よりも強力であることを示す。
【0096】
実施例2
GGCTCATTAGGGCTCGTCATGTAACCTGAGGGTTAAATCTTCCCCATTG.の配列を有する、リバース内部リンカー-プライマーK10R4linkを設計した。K10R4linkの最初の25ヌクレオチドは、K10F2Aの配列と同一である。増幅を、図6に示されるようにプライマーを添加したことを除き、実施例1と同一の成分および条件で実行した。蓄積された一本鎖生成物を示す。プライマーアニーリングを促進し、多数のプライマーおよびアニールして鎖置換を促進するサイクルを伴う反応物は、強いバンド強度および多数の増幅バンド(レーン4)を与えられる。
【0097】
実施例3
通常BRAF遺伝子フラグメントを含むプラスミド由来の標的DNA配列BRAF遺伝子を増幅するために、プライマーを設計した。
この遺伝子フラグメントは、配列
【表3】

を含む。
【0098】
プライマーの配列は
BrafF2 GGAAAGCATCTCACCTCATCCTAACAC
BrafEndR2 GACTTTCTAGTAACTCAGCAGCATCTCA
BraFAMR2 GGACCCACTCCATCG1GATTTC2A
である。ここで「1」はdR-ビオチンであり、「2」はホスホロチオエート結合である。別途記述されない限り、全ての核酸配列は5’から3’に記載される。ここでBraFAMR2はリンカー-プライマーであり、dR-ビオチンはブロッキング部分である。
【0099】
プライマーを最終濃度10 μMに希釈した。
以下の成分および条件:
10xバッファー (NEB) 2.5μl, 10 mM dNTPs 0.5 μl, 加える場合、各プライマー0.5μl, Vent(exo-) ポリメラーゼ (5 U/ μl) 0.25μl, プラスミドDNA0.5 μl (105分子)および水、最終容量25μl
を使用して増幅を実行した。反応を、BioMetra PCRマシンで、94°Cで1分間;94°C15秒、57°C30秒、72°C30秒を40サイクル実行した。
反応物に添加したプライマーは以下のとおりである:
【表4】

【0100】
増幅DNA生成物をアガロースゲルにロードした。2番目のチューブ由来のDNAは、一本鎖末端生成物であることを示した。
【0101】
実施例4
この実施例に記載される実験は、本発明の方法および図3Eに示されるような検出システムを示す。
【0102】
GGTGGCGTTGCGGCTGGCGGAGCTCATTAGGGCTCGTCATGTAACCTGAGGGTTAAATCTTCCCCATTGの配列を有するリンカー-プライマーK10R4tlongは、標的配列に相補的または同一ではないその5’末端に5’付加配列GGTGGCGTTGCGGCTGGCGGAGを有している。配列CTCCGCCAGCCGCAACGCCACCGCCAGを5’ Fam蛍光染色と有するプローブFamプローブは、K10R4tlong中の付加配列に相補的な配列を含む。プライマーK10R4tlongはまた、標的配列に相補的であるリンカー配列CTCATTAGGGCTCGTCATGTAACも含む。配列CACAGTTTATAGACCACCGACGGCTCATTAGGGCTCGTCATGTAACを有するプライマーK10F2alongは、K10R4tlong中のリンカー配列に同一な3’末端配列を含む。DABCYLで3’末端を標識された配列GCACAGTTTATAGACCACCGACGGを有するプローブK10F2aDabは、プライマーK10F2alongの5’末端の配列に同一な配列を含む。この実験に使用される他のプライマーは、実施例1で使用されるK10F1およびK10R3a、ならびに配列GCTGACTTCAAAACGAGAAGAGTTGC
を有するプライマーK10F1.5aを含む。
【0103】
プライマーを最終濃度10μMに希釈した。以下の成分および条件:
10xバッファー (NEB) 2.5μl, 10 mM dNTPs 0.5μl, 加える場合、各プライマー0.5μl, Vent(exo-) ポリメラーゼ (5 U/ μl) 0.25 μl, ゲノムDNA0.5μlおよび水、最終容量25μl
を使用して増幅を実行した。反応を、BioRad Chromo4リアルタイムPCRマシンで、94°Cで1分間;94°C10秒、56°C15秒、72°C15秒、56°C15秒、72°C15秒を40サイクル実行した。反応物に添加したプライマーは以下のとおりである:
【表5】

【0104】
増幅生成物を含むことを示す、蛍光シグナルの減少は、チューブ1、3、5、および7で観察された。
【0105】
同等物
全ての出版物、特許出願、および本明細書で言及される発明は、本発明が有する当業者の技術レベルを示す。上記には数個の実施形態のみが記載されているが、分子生物学の当業者は、本発明からはなれることなく好ましい実施形態において多くの改変が可能であることを明確に理解するであろう。そのような変更は全て、以下の特許性求の範囲内に包含される。前に記載された明細書は、この発明に関する当業者が本発明を実行することを可能とするために十分であると考えられる。実際、分子生物学分野または関連分野の当業者に自明である、本発明を実行するための上記様式の種々の改変は、以下の特許性求の範囲内にあることが意図される。
【図1−1】

【図1−2】


【特許請求の範囲】
【請求項1】
サンプル中の目的とする核酸の標的配列を増幅および任意に検出する方法であって、
目的とする核酸は、1つの鎖または2つの分離した相補鎖を含み、
(a) 標的配列の第一鎖にハイブリダイズすることができる少なくとも2つのオリゴヌクレオチドプライマー、
第一鎖に相補的である標的配列の第二鎖にハイブリダイズすることができる少なくとも1つのオリゴヌクレオチドプライマー
でサンプルを処理する工程であって、
標的配列の第一鎖に対する少なくとも2つのプライマーは、1つの外部プライマー、および1つ以上の内部プライマーを含み、
外部プライマーの3’末端が内部プライマーの5’末端の方向に向けられるように、外部プライマーおよび内部プライマーが標的配列の第一鎖にハイブリダイズし、
存在するならばハイブリダイズする標的配列の鎖に相補的に各プライマーの伸長生成物が合成されるような、ハイブリダイゼーションおよび伸長条件下で処理を実行する工程
(b) プライマー伸長生成物を鋳型から分離することにより、一本鎖分子を生成する工程;
(c) プライマー伸長生成物が、工程(b)において生成する一本鎖分子のうちいくつか、または全てを鋳型として使用して合成されるよう、ハイブリダイゼーションおよび伸長条件下で工程(b)より作製される一本鎖分子を工程(a)のプライマーと処理する工程、ならびに
(d) 工程(b)および(c)を少なくとも1回繰り返す工程であって、
前記内部プライマーのうち1つ以上はリンカー-プライマーであり、
このリンカー-プライマーは、一本鎖末端生成物を蓄積するように、リンカーを含む工程を含む方法。
【請求項2】
前記または各外部プライマーがリンカー-プライマーではない、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
工程(b)および(c)を少なくとも2回繰り返す、請求項1に記載の方法。
【請求項4】
前記リンカーがブロッキング部分であり、前記リンカー-プライマーの全てまたは一部の複製がブロックされる、請求項1に記載の方法。
【請求項5】
前記ブロッキング部分が炭化水素腕、ヌクレオチド誘導体、非ヌクレオチド化合物、または色素である、請求項4に記載の方法。
【請求項6】
前記ブロッキング部分が、前記リンカー-プライマーの3’末端から3ヌクレオチド未満離れて位置する、請求項4に記載の方法。
【請求項7】
前記ブロッキング部分が、前記リンカー-プライマーの3’末端から6ヌクレオチド未満離れて位置する、請求項4に記載の方法。
【請求項8】
前記ブロッキング部分が、前記リンカー-プライマーの3’末端から18ヌクレオチド未満離れて位置する、請求項4に記載の方法。
【請求項9】
前記リンカー-プライマーが、
(i) 標的配列の第一鎖にハイブリダイズすることができるプライミング部分、
(ii) 標的配列の第二鎖の一部に相補的、または実質的に相補的であるプライミング部分に対して5’側にあるヌクレオチドまたは非核酸のリンカー配列
を含む、請求項1に記載の方法。
【請求項10】
リンカー-プライマーのリンカー配列が、リンカー-プライマー伸長生成物上の配列の一部に相補的、または実質的に相補的である配列を含む、請求項9に記載の方法。
【請求項11】
リンカー-プライマーのリンカー配列が、第二鎖に対するプライマーの配列と同一、または実質的に同一である配列を含む、請求項9に記載の方法。
【請求項12】
前記リンカーが切断可能部分を含み、リンカー-プライマーがその相補核酸配列とハイブリッドを形成する際に、前記リンカー-プライマーが、切断可能部分で切断される、あるいは酵素薬剤により完全にまたは部分的に分解される、切断可能プライマーである、請求項1に記載の方法。
【請求項13】
前記酵素薬剤がヌクレアーゼである、請求項12に記載の方法。
【請求項14】
前記ヌクレアーゼがリボヌクレアーゼである、請求項13に記載の方法。
【請求項15】
前記リボヌクレアーゼがRNase H活性を含む、請求項14に記載の方法。
【請求項16】
前記リンカー-プライマーが、リボヌクレオチドから作られるRNA型プライマーである、請求項12に記載の方法。
【請求項17】
前記リンカー-プライマーが、リボヌクレオチドおよび/または改変リボヌクレオチドから作られるRNA型プライマーである、請求項12に記載の方法。
【請求項18】
前記リンカー-プライマーが、少なくとも60%のリボヌクレオチドおよび/または改変リボヌクレオチドを含み、デオキシリボヌクレオチドおよびヌクレオチドアナログからなる群より選択される他のヌクレオチドが、リボヌクレオチドの間に均等に、またはクラスター状に位置する、請求項12に記載の方法。
【請求項19】
前記リンカー-プライマーが、少なくとも30%のリボヌクレオチドおよび/または改変リボヌクレオチドを含み、デオキシリボヌクレオチドおよびヌクレオチドアナログからなる群より選択される他のヌクレオチドが、前記リボヌクレオチドの間に均等に、またはクラスター状に位置する、請求項12に記載の方法。
【請求項20】
前記リンカー-プライマーが、少なくとも10%のリボヌクレオチドおよび/または改変リボヌクレオチドを含み、デオキシリボヌクレオチドおよびヌクレオチドアナログからなる群より選択される他のヌクレオチドが、前記リボヌクレオチドの間に均等に、またはクラスター状に位置する、請求項12に記載の方法。
【請求項21】
第二鎖にハイブリダイズすることができる少なくとも2つのプライマーでサンプルをを処理し、第二鎖に対する少なくとも2つのプライマーが、1つの外部プライマーおよび1つ以上の内部プライマーを含み、各内部プライマーが、第二鎖に関して外部プライマーの5’側にある第二鎖にハイブリダイズする、請求項1から20のいずれか一項に記載の方法。
【請求項22】
リンカー-プライマーのリンカー配列が、第二鎖に対する前記または1つの内部プライマーの配列に同一または実質的に同一である配列を含む、請求項11に記載の方法。
【請求項23】
リンカー-プライマーのリンカー配列が、第二鎖に対する前記または1つの外部プライマーの配列に同一または実質的に同一である配列を含む、請求項11に記載の方法。
【請求項24】
ハイブリダイゼーション条件と伸長条件が同じ条件である、請求項1から23のいずれか一項に記載の方法。
【請求項25】
ハイブリダイゼーション条件と伸長条件が異なる条件であり、少なくとも1回繰り返される、請求項1から23のいずれか一項に記載の方法。
【請求項26】
異なる条件が異なる温度である、請求項25に記載の方法。
【請求項27】
伸長条件が、内部プライマーのプライマー伸長生成物が外部プライマーのプライマー伸長生成物に置換されるような条件である、請求項1から26のいずれか一項に記載の方法。
【請求項28】
鎖置換活性を促進する薬剤により置換を達成または促進する、請求項27に記載の方法。
【請求項29】
DNAポリメラーゼによりプライマー伸長活性および鎖置換活性が提供される、請求項27または28に記載の方法。
【請求項30】
DNAポリメラーゼが熱安定性DNAポリメラーゼである、請求項29に記載の方法。
【請求項31】
熱安定性DNAポリメラーゼがVent (エキソ-) DNAポリメラーゼである、請求項30に記載の方法。
【請求項32】
鋳型からのプライマー伸長生成物の分離を、伸長条件下でプライマーを伸長する間の鎖置換により達成する、請求項1に記載の方法。
【請求項33】
鋳型からのプライマー伸長生成物の分離を、変性により達成する、請求項1に記載の方法。
【請求項34】
鋳型からのプライマー伸長生成物の分離を、鎖置換と変性の組み合わせにより達成する、請求項1に記載の方法。
【請求項35】
リンカープライマー伸長生成物が、一本鎖にされ、ハイブリダイゼーション条件下に置かれると、折り畳まれてステムループ構造を形成する、請求項9に記載の方法。
【請求項36】
リンカー-プライマー伸長生成物の鋳型上に作製されるプライマー伸長生成物、またはリンカー-プライマー伸長生成物の伸長相補鎖が、一本鎖にされ、ハイブリダイゼーション条件下に置かれると、折り畳まれてステムループ構造を形成する、請求項9に記載の方法。
【請求項37】
リンカー-プライマーが、1つ以上の検出標識を含む、請求項1から36のいずれか一項に記載の方法。
【請求項38】
反応生成物を検出する工程をさらに含む、請求項1から37のいずれか一項に記載の方法。
【請求項39】
検出がリアルタイム検出である、請求項38に記載の方法。
【請求項40】
検出が、プライマー伸長生成物により形成されるステムループ構造を含む一本鎖末端生成物を検出する工程を含む、請求項38または39に記載の方法。
【請求項41】
検出が検出標識を通してのものである、請求項38から40のいずれか一項に記載の方法。
【請求項42】
検出が、検出標識に結合した検出プローブを通してのものである、請求項41に記載の方法。
【請求項43】
検出標識が、プライマーまたはプローブ中のいずれかのヌクレオチドに結合した、蛍光または非蛍光色素である、請求項41または42に記載の方法。
【請求項44】
蛍光色素が、プライマーまたはプローブがプライマー伸長生成物にハイブリダイズすると、消光する、または蛍光を発するフルオロフォアである、請求項43に記載の方法。
【請求項45】
検出プローブがプライマー伸長生成物にハイブリダイズする、請求項42に記載の方法。
【請求項46】
リンカー-プライマーが、リンカー配列の5’および/または3’に1つ以上の付加配列を含み、その付加配列が標的配列に同一または実質的に同一、あるいは相補的、または実質的に相補的ではなく、前記付加配列が検出および/または増幅工程の補助となる、請求項9に記載の方法。
【請求項47】
検出プローブが、リンカー-プライマーの前記または1つの付加配列にハイブリダイズする、請求項46に記載の方法。
【請求項48】
リンカー-プライマーのリンカー配列がプライマー伸長生成物にハイブリダイズし、1つ以上の検出プローブもまたプライマー伸長生成物にハイブリダイズし、1つ以上の検出プローブがリンカー-プライマーの付加配列にハイブリダイズする、請求項47に記載の方法。
【請求項49】
ハイブリダイゼーションにより、2つ以上の検出標識が近接する、請求項45、47、または48に記載の方法。
【請求項50】
2つ以上の検出標識がもはや近接しないように、2つ以上の検出標識の間の距離をハイブリダイゼーションにより増大させる、請求項45、47、または48に記載の方法。
【請求項51】
サンプル中の目的とする核酸の標的配列を増幅および任意に検出する方法であって、目的とする核酸は、1つの鎖または2つの分離した相補鎖を含み、
(a) 標的配列の第一鎖にハイブリダイズすることができる2つのオリゴヌクレオチドプライマー、および第一鎖に相補的である標的配列の第二鎖にハイブリダイズすることができる1つのオリゴヌクレオチドプライマー、あるいは
標的配列の第一鎖にハイブリダイズすることができる3つのオリゴヌクレオチドプライマー、および第一鎖に相補的である標的配列の第二鎖にハイブリダイズすることができる1つのオリゴヌクレオチドプライマー、あるいは
標的配列の第一鎖にハイブリダイズすることができる2つのオリゴヌクレオチドプライマー、および第一鎖に相補的である標的配列の第二鎖にハイブリダイズすることができる2つのオリゴヌクレオチドプライマー、あるいは
標的配列の第一鎖にハイブリダイズすることができる少なくとも3つのオリゴヌクレオチドプライマー、および第一鎖に相補的である標的配列の第二鎖にハイブリダイズすることができる少なくとも2つのオリゴヌクレオチドプライマー、
でサンプルを処理する工程であって、
存在するならばハイブリダイズする標的配列の鎖に相補的に各プライマーの伸長生成物が合成されるような、ハイブリダイゼーションおよび伸長条件下で処理を実行し、
ハイブリダイゼーション条件および伸長条件が少なくとも1回繰り返され、前記伸長条件によりプライマーが伸長し、鎖置換活性がもたらされる、工程;
(b) プライマー伸長生成物を変性させることにより、一本鎖分子を生成する工程;
(c) 工程(b)において生成する複数または全ての一本鎖分子を鋳型として使用して、プライマー伸長生成物が合成されるような、ハイブリダイゼーションおよび伸長条件下で工程(b)より作製される一本鎖分子を工程(a)のプライマーと処理する工程であって、ハイブリダイゼーション条件および伸長条件が少なくとも1回繰り返され、伸長条件によりプライマーが伸長し、鎖置換活性がもたらされる、工程;
(d) 工程(b)および(c)を少なくとも1回繰り返す工程であって、増幅により、工程(b)および(c)を繰り返す各サイクルで標的核酸配列の2倍より多い量を達成する工程
を含む方法。
【請求項52】
サンプル中の目的とする核酸を増幅する方法であって、
目的とする核酸の配列は、任意に未知であり、
(a) それぞれがランダムまたは部分的ランダムヌクレオチドのプライミング部分を含む、複数のランダムオリゴヌクレオチドプライマーを提供する工程、
(b) プライマーが核酸の複数の位置にハイブリダイズして、核酸-プライマーハイブリッドの形成を可能にするようなハイブリダイゼーション条件下、およびプライマー伸長生成物が合成される伸長条件下で、複数のプライマーとサンプルを処理する工程であって、ハイブリダイゼーション条件および伸長条件が少なくとも1回繰り返され、伸長条件によりプライマーが伸長し、鎖置換活性がもたらされる、工程;
(c) プライマー伸長生成物を変性させることにより、一本鎖分子を生成する工程;
(d) 工程(c)より作製される一本鎖分子を、ハイブリダイゼーションおよび伸長条件下で工程(a)の複数のプライマーと処理する工程であり、工程(c)において生成される一本鎖分子を鋳型として使用してプライマー伸長生成物が合成され、ハイブリダイゼーション条件および伸長条件が少なくとも1回繰り返され、伸長条件によりプライマーが伸長し、鎖置換活性がもたらされる、工程;
(e) 工程(c)および(d)を少なくとも1回繰り返す工程
を含む、方法。
【請求項53】
工程(b)における増幅反応を、複数のプライマーおよびユニバーサルプライマーで実行し、複数のランダムプライマーのそれぞれがプライミング部分の5’にある非ランダム部分を含み、ユニバーサルプライマーが前記非ランダム部分と同一または実質的に同一である配列を含む、請求項52に記載の方法。
【請求項54】
サンプル中の目的とする核酸の標的配列を増幅および任意に検出する方法であって、
目的とする核酸は、1つの鎖または2つの分離した相補鎖を含み、
(a) オリゴヌクレオチドリンカー-プライマーの存在下で増幅法により標的配列を増幅する工程であって、そのリンカー-プライマーは、リンカーブロッキング部分および/または切断可能リンカーを含み、それにより一本鎖末端生成物を作成する、工程、
(b) 一本鎖末端生成物をプローブにハイブリダイズさせることにより増幅する結果として、プライマー伸長生成物を検出する工程
を含む方法
【請求項55】
サンプル中の目的とする核酸の標的配列を増幅および任意に検出する方法であって、
目的とする核酸は、1つの鎖または2つの分離した相補鎖を含み、
(a) オリゴヌクレオチドリンカー-プライマーの存在下で増幅法により標的配列を増幅し、そのリンカー-プライマーは、
(i) 標的配列の第一鎖鋳型にハイブリダイズすることができるプライミング部分、
(ii) リンカー-プライマー伸長生成物に、および任意に標的配列の第二鎖の一部に相補的、または実質的に相補的であるプライミング部分の5’にあるリンカー配列で、第二鎖は第一鎖に相補的である配列
を含む、工程
(b) リンカー-プライマーのリンカー配列をプライマー伸長生成物にハイブリダイズすることにより、増幅の結果生じるプライマー伸長生成物を検出する工程であって、ハイブリダイゼーションにより形成される二本鎖ステム構造により、2つ以上の検出標識を近くまたは実質的に近くに接近させる、あるいは2つの検出標識の距離を増大させる、工程
を含む方法。
【請求項56】
(i) リンカー-プライマーが、リンカー配列の5’および/または3’にある1つ以上の付加配列を含み
(ii) 検出標識を有する検出プローブの存在下で増幅を実行し、プローブの1つまたは2つが、それにハイブリダイズするリンカー-プライマーの付加配列に相補的な配列を含み、プローブの1つまたは2つが、それにハイブリダイズするリンカー-プライマー伸長生成物上の配列の一部に相補的な配列を含み
(iii) リンカー-プライマー伸長生成物にリンカー配列がハイブリダイズすると、形成される二本鎖ステム構造により、2つ以上のプローブの検出標識が近くにまたは実質的に近くに近接するようになる、請求項55に記載の方法。
【請求項57】
前記増幅法が定温増幅法である、請求項54または55に記載の方法。
【請求項58】
前記定温増幅法がLAMP、SDA、ICAN、RCA、またはNASBAである、請求項57に記載の方法。
【請求項59】
前記増幅法が、温度のサイクリングを伴う増幅法である、請求項54または55に記載の方法。
【請求項60】
前記温度のサイクリングを伴う増幅法がPCRである、請求項59に記載の方法。
【請求項61】
サンプル中の標的核酸配列を検出するための検出システムであって、
(a)(i) 任意に標的配列の第一鎖にハイブリダイズすることができる3’プライミング部分
(ii) 標的配列の第二鎖の一部に相補的または実質的に相補的であるプライミング部位の5’にあるリンカー配列(第二鎖は第一鎖に相補的である)
(iii) リンカー配列の5’および/または3’にある1つ以上の付加配列
を含むオリゴヌクレオチドリンカー-プライマー、ならびに
(b) プローブの1つまたは2つが、リンカー-プライマーの付加配列に相補的な配列を含み、
使用時に、プライマー伸長生成物にリンカー配列がハイブリダイズした際に、ハイブリダイゼーションにより形成される二本鎖リンカー配列により、2つ以上のプローブの検出標識が近くにまたは実質的に近くに近接するように、
プローブの1つまたは2つが、標的配列または標的由来配列の一部に相補的な配列を含む、
検出プローブ
を含む、検出システム。
【請求項62】
標的由来配列がプライマー伸長生成物である、請求項61に記載の方法。
【請求項63】
サンプル中の目的とする核酸の増幅および/または検出反応を実行するためのキットであって、目的とする核酸が1つの鎖または2つの分離した相補鎖を含み、
a) リンカーブロッキング部分および/または切断可能リンカー、ならびに/あるいは
(i) 標的配列の第一鎖にハイブリダイズすることができるプライミング部分、
(ii) リンカー-プライマー伸長生成物上の配列の一部に相補的または実質的に相補的であるプライミング部位の5’にあるリンカー配列
を含むリンカー-プライマー、
b) 標的配列の第一鎖および第二鎖にハイブリダイズすることができる1つ以上のプライマー
を含むキット。
【請求項64】
リンカー-プライマーが請求項1から53のいずれか一項により規定される、請求項63に記載のキット。

【図2A】
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【図2B】
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【図2C】
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【図2D】
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【図2E】
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【図2F】
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【図2G】
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【図3−1】
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【図3−2】
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【図3−3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公表番号】特表2010−505438(P2010−505438A)
【公表日】平成22年2月25日(2010.2.25)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−531897(P2009−531897)
【出願日】平成19年10月5日(2007.10.5)
【国際出願番号】PCT/GB2007/003793
【国際公開番号】WO2008/043987
【国際公開日】平成20年4月17日(2008.4.17)
【出願人】(509099936)オキシテック・リミテッド (3)
【Fターム(参考)】