説明

核酸関連物質測定システム及び核酸関連物質測定方法

【課題】水産流通の生産者、市場、仲買、小売店の各現場で、水産物の鮮度指標となる核酸関連物質量の測定を可能とする核酸関連物質測定システムを提供する。
【解決手段】核酸関連物質測定システムは、純化容器、センサ6とからなっている。純化容器は、外筒、仕切り板、押し子、魚肉の配置部を有している。センサ6は、ベースプレートと、ベースプレートの一方面に支持された、作用極、参照極、及び対極と、ベースプレートと共に魚の体液を保持するための検査室を形成するカバープレートとを有している。作用極上には、魚の体液中に含まれる核酸関連物質と反応する酵素試薬が塗布されている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、魚類の核酸物質量を測定するシステム及び核酸関連物質方法に関する。
【背景技術】
【0002】
現在の水産物の品質評価方法は専門的知識と高度な機器が必要であるため、だれもが測定できる手法ではない。そのため、水産流通の現場での品質評価は、生産者、市場、仲買、小売店の段階でそれぞれの経験値(目利き)でそれぞれの基準で評価されている。すなわち、最終的な消費者への情報は生産者の情報は伝えられず、小売店での目利きでの情報がそのまま購買のための情報となっている。このことは生産者やその後の流通業者が鮮度や品質の良さにそれぞれが努力を配しても、結果として、品質情報が消費者へ伝達できないこととなり、品質に応じた適価で水産物が価格形成されていない状況となっていると思われる。これらの現状では生産者が高品質な水産物を提供しても魚価がそれ相応に向上しない原因と結びついていると考える。
【0003】
また、水産加工業者は高品質でおいしい加工品を製造するためには鮮度の良い原料を望んでいるが、鮮度の適確な測定手段がないため、一定の品質の加工品を製造できないとの問題がある。このような背景下、漁業生産者は小型で簡便・迅速・高精度の鮮度等の品質を評価するための機器開発を強く望んでいる。
【0004】
一方、消費者の水産物に対する安全・安心の意識が高まりに加え、鮮度を含めた品質情報も消費者の知りたい情報になっており、特に鮮度は衛生的観点からも重要な指標にもなっている。中央水産研究所の消費者調査では、原産地情報や出荷日等の生産者情報を付加した水産物は、多少高価であっても購買するとの意思傾向を示している。この点からも生産者から消費者まで、水産流通システムに客観的に評価できる品質評価情報が必要であると考える。それを達成するには簡便・迅速・正確に測定できる安価な品質評価機器の開発が必要である。
【0005】
これまで,品質評価としてアデノシン三リン酸(ATP)等の核酸関連物質を測定するK値が主として使用されている。この測定には水産物を破壊後、強酸にて抽出したサンプルを液体クロマトグラフィー等にて測定し、それらの測定値を基に計算によって鮮度を数値化する方法であり、正確な数値ではあるものの、測定に時間と専門的知識と器具・装置を必要とし、生産者や水産流通業者、あるいは小売店等の水産流現場で測定できる手法ではない。
【0006】
従来、水産物の鮮度指標はK値の基本となる、魚肉中のアデノシン三リン酸の測定が最も鮮度を反映すると考えられるが、アデノシン三リン酸は分解が速く魚類に含有する量が少なく、測定不可なため、イノシン酸(IMP)等のアデノシン三リン酸の分解核酸関連物質を測定し、その変化率をK値として鮮度評価指数としている。
魚肉中のアデノシン三リン酸(ATP)を代表として、核酸関連物質を、生産、市場、仲買、小売店、及び消費の現場にて、簡便・迅速・正確に測定できる安価な鮮度評価システムが強く望まれている。
【0007】
かかる問題を解決する手段として、生物発光試薬を用いたアデノシン酸エステルの定量法が提案されている(特許文献1)。この方法は、ニ価金属イオンの存在下、資料から抽出したATPにルシフェリン、及びルシフェラーゼを作用させることで発光させる。この発光は、1分子あたり1個のフォトンが検出されるので、発光時間に対する値を積分することによってATPを定量的に検出するものである。ルシフェリン−ルシフェラーゼによる生物発光法は、ATPを迅速に定量できる利点がある反面、発光が非常に短時間で消失する発光安定性が悪いという課題を有しているため、ATP再生反応系を形成することで、発光量を減衰することなく発光安定性を獲得する方法が考案されている。
【0008】
しかしながら、生物発光法によるアデノシン酸エステルの定量化は、発光検出装置が高価な上、光学経路や集光部、受光部等の光学系の空間を必要とし、小型化が困難であり、食品検査等の各現場での使用は不向きであった。
【0009】
更に生物発光法による分析方法は、牛乳や血液等、不透明な試料は、微弱な光を遮光するため、そのまま測定することが困難であった。
【0010】
特に、魚類の体液は魚肉に含まれているため、魚肉の体液と固形分を分離しなければ、測定は不可能である。また、魚肉の体液と固形分を分離できたとしても、魚肉の体液には、たんぱく質が多く含まれているため、試料が不透明であるため、測定は不可能である。測定セルの側面には、たんぱく質が多量に付着することが予測され、検出感度も大きく低下することが予測される。魚肉の体液で測定を可能にするためには、試料を希釈することが考えられるが、測定対象物質であるアデノシン酸エステルの濃度が低下してしまい、測定精度が低下する結果となる。
【0011】
生物発光法の問題を解決する手段として、電気化学法によるアデノシン三リン酸(ATP)測定装置が提案されている(特許文献2)。電気化学測定法は、試料が不透明であっても、試料中に阻害物質がなければ、測定が可能である。
【0012】
この方法は、特定の酵素あるいは試薬濃度が各々異なる反応層を複数有することで、低濃度から高濃度まで、幅広い範囲のアデノシン三リン酸(ATP)濃度を測定できるとしている。
【0013】
しかしながら、電気化学測定法を用いても、魚類の体液は魚肉に含まれているため、魚肉の体液と固形分を分離しなければ、測定は不可能である。
【0014】
魚肉から体液を採取する方法として、液体クロマトグラフィー等にて測定を行う場合、水産物を破壊後(手動でおろした後)、強酸にて抽出したサンプルを使用している。体液の採取には、専門的知識と器具必要とし、生産者や水産流通業者、あるいは小売店等の現場で測定できる手法ではない。
【0015】
また、魚肉の体液と固形分を分離できたとしても、魚肉の体液には、たんぱく質が多く含まれているため、電極の表面たんぱく質が多量に付着することが予測され、検出感度も大きく低下することが予測される。本実施例では、アデノシン三リン酸(ATP)、及び緩衝液は、市販の試薬を使用しており、実サンプルを用いていない。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0016】
【特許文献1】特許第3409962号公報
【特許文献2】特開2008−96163号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0017】
従来の核酸関連物質測定法は、水産物を破壊後、強酸にて抽出したサンプルを液体クロマトグラフィー等にて測定し、それらの測定値を基に計算によって鮮度を数値化する方法が採用されている。正確な数値ではあるものの、測定には、時間と専門的知識と器具・装置を必要とし、生産者や水産流通業者、あるいは小売店等の水産流現場で測定できる手法ではない。
【0018】
生物発光法は、発光検出装置が高価な上、光学経路や集光部、受光部等の光学系の空間を必要とし、小型化が困難であり、食品検査等の各現場で使用できない問題点があった。また、魚肉の体液と固形分を分離できたとしても、魚肉の体液には、たんぱく質が多く含まれているため、試料が不透明であるため、測定は不可能であった。
【0019】
電気化学測定法は、試料が不透明であっても、試料中に阻害物質がなければ、測定が可能である。しかし、魚類の体液は魚肉に含まれているため、魚肉の体液と固形分を分離しなければ、測定できない問題点があった。魚肉の体液には、たんぱく質が多く含まれているため、電極の表面たんぱく質が多量に付着し、検出感度が低下する問題点があった。
【0020】
本発明は、このような事情に鑑みてなされたものであり、水産流通の生産者、市場、仲買、小売店の各段階で、水産物の鮮度指標となる核酸関連物質量の測定を可能とする核酸関連物質測定システム、及び前記核酸関連物質測定システムを使用した核酸関連物質測定方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0021】
前記目的を達成するために、本発明は、魚肉の体液と固形分を分離するための純化容器、及び作用極、参照極、対極を有し、前記魚類の体液中に含まれる核酸関連物質と反応する酵素試薬を含むセンサが配置され、前記作用極と前記対極との間に電圧を印加したときに流れる電流値に基づいて、前記魚類の体液に含まれる核酸関連物質量を算出する測定器本体と、を備える核酸関連物質測定システムを提供する。
【0022】
さらに、本発明は、魚類の体液中に含まれる核酸関連物質と酵素試薬との反応により、電極に流れる電流値を使用して魚類の鮮度を測定する、核酸関連物質測定方法を提供する。
【0023】
さらに本発明は、核酸関連物質測定システムにより、測定された核酸関連物質量から魚類の鮮度状態を記録し、魚類の鮮度トレーサビリティ管理に適用する、核酸関連物質測定方法を提供する。
【発明の効果】
【0024】
本発明によれば、水産流通の生産者、市場、仲買、小売店の各段階で、水産物の鮮度指標となる核酸関連物質量の測定が可能となる。これにより、品質に応じた水産物の価格形成が可能となり、消費者の食の安全、安心に貢献することができる。
【図面の簡単な説明】
【0025】
【図1】(a)及び(b)は本発明の第1の実施形態に係る核酸関連物質測定システムを示すモデル写真図である。
【図2】図1に示した核酸関連物質測定システムを構成するセンサを示す斜視図である。
【図3】図1に示した核酸関連物質測定システムを構成する純化容器に連結したセンサを示す斜視図である。
【図4】センサの変形例を示すモデル写真図である。
【図5】(a)は仕切り板を有する純化容器を示す分解斜視図であり、(b)はこの純化容器で体液を採取している状態を示す斜視図である。
【図6】(a)はセンサのベースプレートを示す平面図であり、(b)はセンサのベースプレートを示す側面図である。
【図7】(a)はセンサのカバープレートを示す平面図であり、(b)はセンサのカバープレートを示す側面図である。
【図8】(a)は仕切り板を有する純化容器を示す分解斜視図であり、(b)はこの純化容器で体液を採取している状態を示す斜視図である。
【図9】(a)は仕切り板を有する純化容器を示す分解斜視図であり、(b)純化容器で体液を採取している状態を示す斜視図である。
【図10】(a)は仕切り板を有する純化容器の変形例を示す分解斜視図であり、(b)はこの純化容器で体液を採取している状態を示す斜視図である。純化容器の変形例を示す斜視図である。
【図11】(a)はセンサのベースプレートの変形例を示す平面図であり、(b)はこのセンサのベースプレートを示す側面図である。
【図12】(a)はセンサのカバープレートの変形例を示す平面図であり、(b)はこのセンサのカバープレートを示す側面図である。
【図13】純化容器の変形例を示す斜視図である。
【図14】アデノシン三リン酸(ATP)の、経過時間に対する電流値の関係を示すグラフ(散布図)である。
【図15】イノシン酸(IMP)の、経過時間に対する電流値の関係を示すグラフ(散布図)である。
【発明を実施するための形態】
【0026】
本発明の核酸関連物質測定システムは、簡易、かつ迅速に核酸物質量を測定できる。この核酸関連物質測定装置は、純化容器1、センサ6、及び測定器本体からなり、例えば、図1(a)(b)に示すように、携帯型として、水産流通の生産者、市場、仲買、小売店の各現場で使用することができる。
【0027】
純化容器1について説明する。魚類、特にマグロ、カツオ、タイは、鮮度が高い程、ドリップといわれる体液の漏出は少ない。このドリップの成分は、解凍の際に生じた細胞膜の破れた内容物や、溶血といわれる赤血球の殻が破れた内容物が主な成分であるため、核酸関連物質の濃度が低く、測定サンプルには適さない。また、核酸関連物質は、過度のせん断力や熱が加わると、簡単に分解してしまうため、フードプロセッサー等のミキサーにかけることができない。
【0028】
純化容器1は、魚肉に強いせん断力や熱を加えることなく、簡易に、体液、又は体液を多く含んだ固形分を得ることが可能である。図5に示すように、純化容器1は、1例として、押し子3、魚肉の配置部(外筒)4、開口部を有する仕切り板5を有する。採取した魚肉は、押し子3をセットすることで、魚肉が開口部を有する仕切り板5で圧縮、細分化され、固形分と体液、又は体液を多く含んだ固形分に分離される。図2に示すように、分離された体液、又は体液を多く含んだ固形分を、センサ6の電極部7に配置することで、電気化学測定が可能となる。
【0029】
電気化学測定において、3電極を用いると、印加する基準電位を正確に設定することができ、測定精度を高めることが可能となる。測定手順は、作用極と参照極に印加する電圧を、例えば、0.1V〜0.9Vの範囲で、検出対象に応じて電圧を設定し、その電圧における作用極と対極間に流れる電流値を測定し、核酸関連物質量として表示する。
【0030】
酵素試薬は、アデノシン三リン酸(ATP)を検出する場合、例えば、グリセロールキナーゼ(GK)とグリセロール-3-リン酸オキシダーゼ(G3PO)の2種類の酵素による2段階の酵素反応、ピルビン酸デヒドロゲナーゼをグルタルアルデヒド溶液の蒸気に曝して、グルタルアルデヒドとピルビン酸デヒトロゲナーゼの架橋を形成し、酵素を電極に固定する等の方法があげられる。
【0031】
図3に示すように、前記純化容器1に、センサ6が連結されていると、簡易性を更に高めることが可能である。
【0032】
純化容器1は、1例として、押し子3、魚肉の配置部(外筒)4、開口部を有する仕切り板5、及びセンサ6の配置部を有する。採取した魚肉は、押し込み蓋をセットすることで、魚肉が開口部を有する仕切り板5で圧縮、細分化され、固形分と体液、又は体液を多く含んだ固形分に分離される。分離された体液、又は体液を多く含んだ固形分は、配置されたセンサ6の電極部7に移動し、酵素反応による電気化学測定が可能となる。
【0033】
また、純化容器1は、例えば、端部の肉厚を薄くすることで、魚肉の採取容器の役割を持たせ、サンプル採取、魚肉の固形分と体液の分離、センサへの体液の移動を一つの純化容器1で行うことも可能である。
【0034】
前記純化容器1の内部に、固形分の濾過を行う孔径1ミクロン以上の素材、又は前記素材の孔径よりも小さい濾過を行う素材の、少なくとも2種類を配置することで、魚肉から分離した体液の純度を高めることができ、検出感度を更に高めることが可能となる。
【0035】
純化容器1に魚肉を配置し、押し子3をセットすることで、体液、又は体液を多く含んだ固形分に分離される。体液、又は体液を多く含んだ固形分には、多くのたんぱく質、脂質が含まれており、作用極の表面に付着し検出感度を低下させる懸念がある。
【0036】
図8又は図9に示すように、純化容器1の魚肉の配置部(外筒)4と、開口部を有する仕切り板5の次に、固形分の濾過を行う孔径1ミクロン以上の濾過素材8を配置することで、たんぱく質、脂質を吸着することが可能となり、更に純度の高い体液を採取することが可能となる。
【0037】
濾過を行う素材の孔径は、1ミクロン以上の素材と、それより小さい孔径の複数種類の濾過素材9を使用することで、更に、たんぱく質、脂質を吸着することが可能となり、体液と酵素試薬を混合する場合において、迅速に溶解させることが可能となり、検出時間を短くすることができる。
【0038】
濾過、及び吸着を行う素材は、ポロプロピレン、ポリエチレン、ポリエチレンテレフタレート、ポリスチレン、ポリビニルアルコール、ポリウレタン、レーヨン、アクリル系樹脂等の高分子からなる繊維集合体、発砲体、ガラス繊維等があげられる。
【0039】
また、魚肉の体液の濡れ性を改善する方法として、コロナ放電処理、酸素プラズマ処理、蒸着法、親水性樹脂のディッピング処理等により、素材の表面を親水化してもよい。
【0040】
前記固形分の濾過を行う素材の直径Dと、厚みLとの比であるL/Dは、体液に含まれるたんぱく質、脂肪を吸着し、かつ測定に必要な体液量を確保する観点から、0.001〜5の範囲が好ましく、0.003〜1の範囲であることがより好ましい。
【0041】
また、純化容器1を使用しない他の方法として、例えば、固形分の濾過を行う孔径1ミクロン以上で縦・横5cm、厚さ0.2cmの素材、又は前記素材の孔径よりも小さい濾過を行う素材の、少なくとも2種類を有する素材の中心部に魚肉を配置し、魚肉を素材で包み、手動で魚肉に圧力を加えて濾過を行い、体液をセンサ6に滴下する方法があげられる。
【0042】
この他、例えば、固形分の濾過を行う孔径1ミクロン以上で縦・横3cm、厚さ0.2cmの素材、又は前記素材の孔径よりも小さい濾過を行う素材を使用し、魚肉に素材を押し当て、魚肉を含んだ体液を吸収させた後、手動で素材を圧縮して濾過を行い、体液をセンサ6に滴下する方法があげられる。
【0043】
この他、前記素材を綿棒のように固定し、魚肉を含んだ体液を吸収させた後、体液をセンサ6に滴下する方法があげられる。
【0044】
前記純化容器1は、図13に示すように、バネ10を有するクリップ構造とすることで、配置された魚肉を、自動的に押し潰すことで、容易に体液を採取することが可能となる。操作手順は、例えば、魚肉をクリップする2枚の板の片側にセンサ6を配置し、その上に魚肉を配置する。バネ10の力によって片側の板が魚肉を押し潰すことによって、下側に配置されたセンサ6に体液が流れ、測定が可能となる。センサ6の電極は、それぞれが同じ体液と接液していればよく、例えば、作用極のみがディスポーザブルとした場合、体液が作用極と接すると同時に、参照極、対極は、体液の近傍にある魚肉と接触することで、測定は可能となる。
【0045】
前記純化容器1は、一対の重ね合わせ構造とすることでも、容易に体液を採取することが可能となる。例えば、片側の容器で魚肉を採取し、もう片方の容器を重ね合わせ、配置された魚肉を押し潰すことによって、センサ6に体液を供給することができ、核酸関連物質量を簡易に計測することが可能となる。センサ6の電極は、それぞれが同じ体液と接液していればよく、例えば、作用極のみがディスポーザブルとした場合、体液が作用極と接すると同時に、参照極、対極は、体液の近傍にある魚肉と接触することで、測定は可能となる。
【0046】
前記センサ6の電極の種類は、作用極、対極の2種類であってもよい。
【0047】
例えば、特願2005−328962号では、アデノシン三リン酸増幅反応とアデノシン三リン酸再生反応を一対の反応系となし、その反応回数を繰り返すことによって、アデノシン三リン酸を増幅させ、酸化還元酵素を使用して、電気化学検出することが提案されている。これにより、低濃度の検体であっても、増幅して高い電流値が得られれば、2電極のセンサであっても良い。
【0048】
ただし、増幅に必要な時間は10分以上が必要であるため、研究試験用途とするなど、用途を選択することが必要である。
【0049】
前記センサ6は、作用極をディスポーザブルとし、他の電極、例えば参照極、対極を、棒状の電極として繰り返し使用しても良い。
【0050】
ディスポーザブル基板を作用極のみとするとすることで、被覆する電極が1種類となるため、小ロットの製造においても、低コストでの生産が可能である。大量生産においても、基板の面積を小さくすることができ、1枚のマスキングを施した基板に、数百個の作用極チップを製造することが可能となり、普及性を高めることが可能となる。
【0051】
作用極の電極面積は、作用極と対極の間を流れるベース電流値の値を高めることなく、反応場である作用極の面積を大きくすることでシグナル電流値を増大させる範囲として、0.005cm〜5cmの範囲が好ましく、0.05cm〜2cmの範囲であることがより好ましい。
【0052】
電極の形成方法は、蒸着法、スパッタリング法、電気メッキ、シルクスクリーン印刷等があげられる。電極の電気抵抗値は、電極の形成法によって異なるため、必要とされる感度に応じて、適宜選択することが好ましい。
【0053】
鮮度測定において、参照極、対極は、作用極と同じ体液に接液に接液していれば良い。純化容器1によって分離された、体液を多く含んだ固形分をセンサ6に配置することで、作用極、参照極、対極を、体液と接液でき、鮮度測定が可能となる。
【0054】
前記センサ6は、全ての電極が繰り返し使用可能な、例えば、棒状の電極であってもよい。作用極を棒状の電極とした場合、電極面積が小さくなることにより、感度が低下することが懸念されるため、作用極の電極面積は、0.005cm〜5cmの範囲が好ましく、0.05cm〜2cmの範囲であることがより好ましい。
【0055】
作用極を棒状の電極として繰り返すためには、例えば、エポキシ樹脂、キトサンを使用した固定化用膜、多孔質構造膜、光硬化性樹脂等に酵素を包埋させる方法があげられる。
【0056】
前記センサは、作用極上に過酸化水素選択膜を被覆することで、更に、測定精度を高めることが可能となる。電気化学検出法では、例えば、核酸関連物質と酵素との反応によって、過酸化水素を発生させ、その電気分解によって得られた電流値を、核酸関連物質量として計測を行う。魚類には、ビタミン、カタラーゼ等の抗酸化物が含まれており、活性酸素の一種である過酸化水素を消失させる作用がある。
【0057】
作用極上に、分子量の大きい抗酸化物質は通さず、分子量の小さい過酸化水素のみを透過させる過酸化水素選択膜を被覆することで、核酸関連物質と酵素との反応によって発生した過酸化水素のみを電気化学検出することが可能となり、測定精度を高めることが可能となる。
【0058】
過酸化水素選択膜に使用される材料は、酢酸セルロース、アセチルセルロース膜、陰イオン交換樹脂の一種であるナフィオン、フッ素樹脂、牛血清アルブミンをグルタルアルデヒドで架橋した膜、光架橋性ポリビニルアルコール(PVA)等があげられる。
【0059】
過酸化水素選択膜は、0.05〜5ミクロンの範囲であることが好ましく、0.1〜1ミクロンの範囲であることがより好ましい。
【0060】
前記センサ6の感度を高める他の方法として、抗酸化物質であるカタラーゼの活性阻害剤が含まれていてもよい。カラターゼ活性阻害剤の添加によって、核酸関連物質と酵素との反応によって発生した過酸化水素は、消失することなく電気化学検出が可能となる。
【0061】
カラターゼ活性阻害剤は、マレイン酸、アスパラギン酸、リンゴ酸等があげられる。
【0062】
前記純化容器に配置する魚肉の用量は、0.1〜50gの範囲が好ましく、1g〜10gの範囲がより好ましい。例えば、一つのセンサ基板に作用極、参照極、対極が配置されている場合は、魚肉の用量は1g〜5g程度で十分であるのに対し、例えば、作用極のみがディスポーザブル基板で、他の電極は繰り返し使用される棒状の場合は、各電極が接液させるために、5g〜20gが必要となる。選択されるセンサ6の形式に応じて、適宜、魚肉の用量を選択することが望ましい。
【0063】
魚類の鮮度を測定する核酸関連物質は、アデノシン三リン酸(ATP)、アデノシン2リン酸(ADP)、アデノシン1リン酸(AMP)、イノシン酸(IMP)、イノシン(HxR)、ヒポキサンチン(Hx)があげられ、測定目的に応じて、適宜、選択することが望ましい。
【0064】
例えば、漁獲された直後の鮮度を測定する目的では、アデノシン三リン酸(ATP)の含量を測定することで、鮮度に応じた魚価決定の指標とすることが可能である。また、流通、小売の段階では、例えば、うまみ成分であるイノシン酸(IMP)を測定することによって、刺身のおいしさを数値化し、消費者への安全・安心への要求に答えることが可能となる。また、こうした鮮度測定は、食品の廃棄に繋げることが目的でなく、刺身、漬け、加工用といった使用用途の最適化を行うことで、適正な海産資源の利活用に貢献するものである。
【0065】
核酸関連物質は、魚類のなかでも回遊する魚種に多く含まれており、鮮度を測定する魚種は、マグロ、カツオ、タイ、ブリ、ハマチ、ヒラメが好ましく、なかでもマグロ、カツオ、タイ、ブリがより好ましい。
【0066】
魚類の体液中に含まれる核酸関連物質と酵素試薬との反応により、電極に流れる電流値を使用して魚類の鮮度(核酸関連物質)を測定する方法は、システムを小型化でき、簡易、迅速、低コスト測定が可能となるため、生産者、市場、仲買、小売店の各段階で使用することが可能である。
【0067】
水産物のトレーサビリティとは、誰が魚をいつ、どこで、どのように漁獲、水揚げしたのか、セリの後にそのような条件で消費者まで届けたのかを明らかにし、品質管理の実態を開示することである。現在、ICタグと呼ばれる小さなチップに、これらの情報を入力し、食品の安全管理に活用することが試みられている。
【0068】
核酸関連物質測定システムにより、生産者、市場、仲買、小売店の各段階における鮮度情報が入力、開示されるようになれば、食の安全を数値にて知ることができ、画期的なトレーサビリティシステムを提供することが可能となる。
【0069】
核酸関連物質測定システムにより、個別の魚類の鮮度状態を把握できることで、科学的な数値による魚価の決定、魚価の適正価格を実現することが可能となる。同時に、測定された核酸関連物質量に応じて、刺身、漬け、加工食品といった用途を選択することで、海産資源の有効利用が可能となる。
【実施例】
【0070】
以下に実施例を説明する。本実施例で示した核酸関連物質測定システムは一例であり、本発明はこれらの実施例に限定されるものではない。
[基準となる核酸関連物質測定方法]
【0071】
生本マグロの赤身2gを採取し、10ml水冷10%過塩素酸中でホモジナイズした後、6000rpm・10分で遠心分離を2回繰り返し、上精を集めた。次に、上精を5規定水酸化カリウム水溶液でpH7.0前後に中和し、蒸留水で25mlに定溶したものを粗抽出液とし、高速液体クロマトグラフ(島津製作所、LC10Avp、分析条件はカラム:信和化工STR−ODSII、移動相:100mMリン酸−トリメチルアンモニウム緩衝液/アセトニトリル=100/1、流速:1ml/分、カラム温度:40℃、検出波長:UV254nm、制御・データ解析ソフト:島津製作所CLASS−VP)で定量分析した。
[基準となる核酸関連物質測定結果]
【0072】
漁獲から推定2、6、12、24、36、48時間経過した、生本マグロの尾部の赤味(a、b、c、d、e、f)を採取し、クロマトグラフの各ピーク面積から、アデノシン三リン酸(ATP)、アデノシン2リン酸(ADP)、アデノシン1リン酸(AMP)、イノシン酸(IMP)、イノシン(HxR)、ヒポキサンチン(Hx)の濃度を算出した。次に、核酸関連物質の全濃度に対する、アデノシン三リン酸(ATP)、及びイノシン酸(IMP)の濃度(%)を算出した。
【0073】
アデノシン三リン酸(ATP)濃度は、a:87%、b:68%、c:45%、d:21%、e:5%、f:2%であった。イノシン酸(IMP)濃度は、a:4%、b:10%、c:37%、d:66%、e:79%、f:58%であった。
[実施例1]
[純化容器の製作と体液の採取]
【0074】
テルモ社製シリンジ(未滅菌、5ml)を使用し、内部に仕切り板5を設けた。仕切り板5は、アクリル樹脂(クラレ社製、パラペットGH−S)を使用し、射出成形法により、幅5mm、直径は外筒4の内径よりも0.8mm小さい仕切り板5を製作した。次に、生本マグロの赤身3gをシリンジ内に配置した後、押し子3を押して赤味を圧縮し、外筒4と仕切り板5の隙間から体液を通過させ、シリンジの先端から体液を得た。
[アデノシン三リン酸(ATP)センサの製作]
【0075】
図7に示すように、アクリル樹脂(クラレ社製、パラペットGH−S)を使用し、射出成形法により、長さ40mm、幅30mm、厚み1mmのベースプレート11を形成した。次に、ベースプレート11にマスキングを施し、蒸着装置〔(株)アルバック社製、型式:UEP〕を用い、作用極(白金)、参照極(銀/塩化銀)、対極(白金)を形成した。具体的に、第1電極部の直径は2mmであり、第2電極部の直径は4mmである。
【0076】
次に、作用極(金)上に、浸漬法により酵素試薬(グリセロールキナーゼ(GK)とグリセロール-3-リン酸オキシダーゼ(G3PO)を塗布して固定した。酵素試薬の厚みは、0.02μmである。
【0077】
次に、図6に示すように、アクリル樹脂(クラレ社製、パラペットGH−S)を使用し、射出成形法により、作用極、参照極、対極部が共に接液するよう試料室と試料注入口を有する、長さ33mm、幅30mm、厚み2mmのカバープレート12を形成した。
【0078】
次に、レーザー樹脂溶着機(ミヤチテクノス社製、型式:ML−5220B)を使用し、ベースプレート11とカバープレート12とを溶着し、アデノシン三リン酸(ATP)センサを得た。
[イノシン酸(IMP)センサの製作]
【0079】
作用極(菌)上に、5’−ヌクレオチダ−ゼ酵素試薬を使用する以外は、アデノシン三リン酸(ATP)測定センサと同様にして、イノシン酸(IMP)センサを得た。
[実施例2]
[純化容器の製作と体液の採取]
【0080】
孔径7ミクロンのポリエチレン繊維で、直径Dと、厚みLとの比であるL/Dが、0.1の素材が、仕切り板とシリンジトップの間に配置されている以外は、実施例1と同様にして純化容器を得て、体液を採取した。
[アデノシン三リン酸(ATP)センサの製作]
【0081】
実施例1と同様にして、アデノシン三リン酸(ATP)センサを得た。
[イノシン酸(IMP)センサの製作]
【0082】
実施例1と同様にして、イノシン酸(IMP)センサを得た。
[実施例3]
[純化容器の製作と体液の採取]
【0083】
孔径7ミクロンのポリエチレン繊維と、孔径3ミクロンのポリエチレン繊維が連結し、直径Dと、厚みLとの比であるL/Dが、0.2の素材が、仕切り板とシリンジトップの間に配置されている以外は、実施例1と同様にして純化容器を得て、体液を採取した。
[アデノシン三リン酸(ATP)センサの製作]
【0084】
実施例1と同様にして、アデノシン三リン酸(ATP)センサを得た。
[イノシン酸(IMP)センサの製作]
実施例1と同様にして、イノシン酸(IMP)センサを得た。
[実施例4]
[純化容器の製作と体液の採取]
【0085】
図10に示すように、アクリル樹脂(クラレ社製、パラペットGH−S)を使用し、射出成形法により、重ね合わせることで一対の容器形状となる、片側長さが30mm、幅30mm、もう一方が長さ0.5mm、幅28mmの成形品を得た。
【0086】
体液の採取では、片側長さ30mmの容器に核酸関連物質測定センサ6を配置し、次に生本マグロの赤身10g容器内に配置した後、長さ0.5cmの容器を重ね合わせ、赤味を押し潰すことで体液を抽出し、センサ6内に体液を固定した。
[アデノシン三リン酸(ATP)センサの製作]
【0087】
作用極、参照極、対極部が共に接液する開口部を有する以外は、実施例1と同様にして、アデノシン三リン酸(ATP)センサを得た。
[イノシン酸(IMP)センサの製作]
【0088】
作用極、参照極、対極部が共に接液する開口部を有する以外は、実施例1と同様にして、イノシン酸(IMP)センサを得た。
[実施例5]
[純化容器の製作と体液の採取]
【0089】
実施例3と同様にして純化容器を得て、体液を採取した。
[アデノシン三リン酸(ATP)センサの製作]
【0090】
過酸化水素選択膜として、酵素を有する作用極上に、厚さ0.2ミクロンの酢酸セルロース膜が被覆されている以外は、実施例1と同様にして、アデノシン三リン酸(ATP)センサを得た。
[イノシン酸(IMP)センサの製作]
【0091】
過酸化水素選択膜として、酵素を有する作用極上に、厚さ0.2ミクロンの酢酸セルロース膜が被覆されている以外は、実施例1と同様にして、イノシン酸(IMP)センサを得た。
[比較例1]
[体液の採取]
【0092】
フードプロセッサー(パナソニック社、MK−K60−W)を使用し、赤味150gを1分間かけて粉砕した。次に、テルモ社製シリンジ(未滅菌、5ml)を使用し、魚肉を含んだ体液を採取した。
[アデノシン三リン酸(ATP)センサの製作]
【0093】
実施例1と同様にして、アデノシン三リン酸(ATP)センサを得た。
[イノシン酸(IMP)センサの製作]
【0094】
実施例1と同様にして、イノシン酸(IMP)センサを得た。
[比較例2]
[体液の採取]
【0095】
テルモ社製シリンジ(未滅菌、5ml)を使用し、尾部の魚肉を押すことで、魚肉から染み出た体液を採取した。実施例で得た体液が赤色であったのに対し、魚肉を押すことで得た体液は白い半透明の液体であった。
[アデノシン三リン酸(ATP)センサの製作]
【0096】
実施例1と同様にして、アデノシン三リン酸(ATP)センサを得た。
[イノシン酸(IMP)センサの製作]
【0097】
実施例1と同様にして、イノシン酸(IMP)センサを得た。
[比較例3]
[純化容器の製作と体液の採取]
【0098】
実施例1と同様にして純化容器を製作し、体液を採取した。
[アデノシン三リン酸(ATP)センサの製作]
【0099】
酵素試薬を固定していない以外は、実施例1と同様にして、アデノシン三リン酸(ATP)センサを得た。
[イノシン酸(IMP)センサの製作]
【0100】
酵素試薬を固定していない以外は、実施例1と同様にして、イノシン酸(IMP)センサを得た。
[活性酸素測定センサが検出する電流値の測定]
【0101】
上述した魚肉a〜fから搾取した試料について、実施例及び比較例の拡散関連物質センサを用いて電流を検出し、その電流値を測定した。電流値の測定は、ポテンシオスタット・ガルバノスタット(北斗電工株式会社、型式:HA―151)を使用した。
【0102】
作用極と参照極に直流1Vを印加した後、作用極に0.7Vの追加電圧を印加した。作用極上で過酸化水素が発生すると同時に、過酸化水素の電気分解によって、作用極と対極との間に電流が流れた。その電流値を測定した。電流値の測定は、核酸関連物質測定センサを、37℃に設定されたプレート式のヒータ上に固定して行った。
【0103】
測定結果は、表1、及び図14、15に示す通りであった。
【0104】
【表1】

表1はアデノシン三リン酸(ATP)、イノシン酸(IMP)の、経過時間に対する電流値の関係を示す表であり、この表1から、比較例1〜3では、電流値の差がほとんどなく、アデノシン三リン酸(ATP)、及びイノシン酸(IMP)を検出することが困難であることが分かる。比較例1では、フードプロセッサーによる高いせん断力と発熱で、核酸関連物質が分解したものと推測される。比較例2では、採取された体液中に、たんぱく質と脂肪が多く含まれ、核酸関連物質の濃度が低かったものと推測する。比較例3では、酵素を固定していないため、特異性を持たず、核酸関連物質を検出することが困難であることが分かる。
【0105】
図14のグラフから、実施例1〜5では、漁獲から経過した時間が短いほど、アデノシン三リン酸(ATP)濃度を示す電流値が増大し、高速液体クロマトグラフによる測定結果との相関関係が良好であることが確認できる。実施例5では、過酸化水素選択膜を被覆した場合は、電流値が高くなることが確認できた。実施例2、3のポリエチレン繊維が純化容器に配置されている場合、作用極に付着しやすいたんぱく質を、繊維に吸着させることができ、更に、電流値が高くなることがわかる。
【0106】
また、図15のグラフから、実施例1〜5では、漁獲から経過した時間が長くなるにつれて、イノシン酸(IMP)を示す電流値が増大し、高速液体クロマトグラフによる測定結果との相関関係が良好であることが確認できる。
【符号の説明】
【0107】
1 純化容器
6 センサ
10 バネ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
魚類の鮮度を測定する目的であって、魚肉の体液と固形分を分離するための純化容器、及び、作用極、参照極、対極を有し、前記魚類の体液中に含まれる核酸関連物質と反応する酵素試薬を含むセンサと、
前記作用極と前記対極との間に電圧を印加したときに流れる電流値に基づいて、前記魚類の体液に含まれる核酸関連物質量を算出する測定器本体と、
を備えることを特徴とする核酸関連物質測定システム。
【請求項2】
前記純化容器と前記センサが連結されている請求項1に記載の核酸関連物質測定システム。
【請求項3】
前記純化容器の内部に、固形分の濾過を行う孔径1ミクロン以上の素材、又は前記素材の孔径よりも小さい濾過を行う素材の、少なくとも2種類を配置する請求項1又は2に記載の核酸関連物質測定システム。
【請求項4】
前記固形分の濾過を行う素材の直径Dと、厚みLとの比であるL/Dが、0.001〜5の範囲にある請求項1〜3のいずれか1項に記載の核酸関連物質測定システム。
【請求項5】
前記純化容器は、バネを有するクリップ構造を有し、魚肉の配置部、魚肉の押し潰し板を有する請求項1〜4のいずれか1項に記載の核酸関連物質測定システム。
【請求項6】
前記純化容器は、一対の重ね合わせ構造を有し、魚肉の配置部、魚肉の押し潰し板を有する請求項1〜4のいずれか1項に記載の核酸関連物質測定システム。
【請求項7】
前記センサの電極が、作用極、対極の2種類である請求項1〜6のいずれか1項に記載の核酸関連物質測定システム。
【請求項8】
前記センサにおいて、作用極がディスポーザブルであり、他の電極は繰り返し使用される電極である請求項1〜6のいずれか1項に記載の核酸関連物質測定システム。
【請求項9】
前記センサにおいて、全ての電極が繰り返し使用される電極である請求項1〜6のいずれか1項に記載の核酸関連物質測定システム。
【請求項10】
前記センサにおいて、作用極上に、厚さ0.05〜5μmの過酸化水素選択膜が被覆されている請求項1〜9のいずれか1項に記載の核酸関連物質測定システム。
【請求項11】
前記センサにおいて、カタラーゼ活性阻害剤が含まれている請求項1〜10のいずれか1項に記載の核酸関連物質測定システム。
【請求項12】
前記純化容器に配置する魚肉の用量は、0.1〜50gである請求項1〜11のいずれか1項に記載の核酸関連物質測定システム。
【請求項13】
魚類の鮮度を測定する核酸関連物質が、アデノシン三リン酸(ATP)、アデノシン2リン酸(ADP)、アデノシン1リン酸(AMP)、イノシン酸(IMP)、イノシン(HxR)、ヒポキサンチン(Hx)である請求項1〜12のいずれか1項に記載の核酸関連物質測定システム。
【請求項14】
魚類の鮮度を測定する魚種が、マグロ、カツオ、タイ、ブリ、ハマチ、ヒラメである請求項1〜13のいずれか1項に記載の核酸関連物質測定システム。
【請求項15】
魚類の体液中に含まれる核酸関連物質と酵素試薬との反応により、電極に流れる電流値を使用して魚類の鮮度を測定する請求項1〜14のいずれか1項に記載の核酸関連物質測定方法。
【請求項16】
請求項1〜14のいずれか1項に記載の核酸関連物質測定システムにより、測定された核酸関連物質量から魚類の鮮度状態を記録し、魚類の鮮度トレーサビリティ管理に適用することを特徴とする核酸関連物質測定方法。
【請求項17】
請求項1〜14のいずれか1項に記載の核酸関連物質測定システムにより、測定された核酸関連物質量から魚類の鮮度状態を記録し、この核酸関連物質量から、魚価、及び用途を決定することを特徴とする核酸関連物質測定方法。

【図2】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図1】
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【図3】
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【図4】
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【公開番号】特開2012−47606(P2012−47606A)
【公開日】平成24年3月8日(2012.3.8)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−190230(P2010−190230)
【出願日】平成22年8月27日(2010.8.27)
【出願人】(399110306)フジデノロ株式会社 (9)
【出願人】(501168814)独立行政法人水産総合研究センター (103)