説明

核酸高分子構造の検出方法

【課題】簡便にハイブリダイゼーション位置に関する情報を得て、標的核酸高分子の構造を検出する。
【解決手段】プローブ核酸高分子、あるいはプローブ核酸高分子と微粒子等の反応速度調整物質とを結合させた結合プローブ核酸高分子を標的核酸高分子の特定の位置でハイブリダイズさせ、当該ハイブリダイズの反応速度を測定することにより、簡便にハイブリダイゼーション位置に関する情報を得て、標的核酸高分子の構造を検出することができる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、標的核酸高分子の構造を検出するための核酸高分子構造の検出方法に関する。
【背景技術】
【0002】
DNA、RNA等の核酸高分子の構造を検出する方法として、プローブ核酸高分子(探索子用核酸高分子)を標的核酸高分子に特異的相補鎖対形成(以下、ハイブリダイズ(hybridize)またはハイブリダイゼーション(hybridization)という)させて付加核酸高分子を形成し、例えば、近接場光プローブ顕微鏡、走査型電子顕微鏡(SEM)、透過型電子顕微鏡(TEM)、走査型トンネル顕微鏡(STM)、原子間力顕微鏡(AFM)などを用いてプローブ核酸高分子の標的核酸高分子上へのハイブリダイゼーション位置(標的位置)を検知する手段が知られている(例えば、特許文献1〜3参照)。これらの方法では、ハイブリダイゼーション位置の検出は各種顕微鏡で直接的に立体構造を観察することにより行われる。
【0003】
【特許文献1】特開2005−102614号公報
【特許文献2】特開2005−102613号公報
【特許文献3】特開2005−516819号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、特許文献1〜3のように各種顕微鏡で直接的に立体構造を観察するには特殊な技術と装置が必要となる。
【0005】
本発明は、簡便にハイブリダイゼーション位置(標的位置)に関する情報を得て、標的核酸高分子の構造を検出することができる核酸高分子構造の検出方法である。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明は、標的核酸高分子の構造を検出するための核酸高分子構造の検出方法であって、プローブ核酸高分子を標的核酸高分子にハイブリダイズさせて付加核酸高分子を形成し、前記ハイブリダイズの反応速度を測定することにより、前記標的核酸高分子中のハイブリダイゼーション位置に関する情報を得て、標的核酸高分子の構造を検出する。
【0007】
また、本発明は、標的核酸高分子の構造を検出するための核酸高分子構造検出方法であって、プローブ核酸高分子と反応速度調整物質とを結合させて結合プローブ核酸高分子を形成し、さらに前記結合プローブ核酸高分子を標的核酸高分子にハイブリダイズさせて付加核酸高分子を形成し、前記ハイブリダイズの反応速度を測定することにより、前記標的核酸高分子中のハイブリダイゼーション位置に関する情報を得て、標的核酸高分子の構造を検出する。
【0008】
また、前記核酸高分子構造の検出方法において、前記反応速度調整物質は、かさ高い分子あるいはかさ高い微粒子であることが好ましい。
【0009】
また、前記核酸高分子構造の検出方法において、前記微粒子は、金属微粒子であることが好ましい。
【0010】
また、前記核酸高分子構造の検出方法において、前記標的核酸高分子は、DNA及びRNAのうち少なくとも1つであることが好ましい。
【0011】
また、前記核酸高分子構造の検出方法において、前記プローブ核酸高分子は、DNA、RNA及びPNAのうち少なくとも1つであることが好ましい。
【0012】
また、前記核酸高分子構造の検出方法において、前記標的核酸高分子にアクセプターまたはドナーの色素分子を付加させたもの、及び前記プローブ核酸高分子または前記結合プローブ核酸高分子にドナーまたはアクセプターの色素分子を付加させたものを使用して、前記ハイブリダイズの反応速度をFRETを利用して測定することが好ましい。
【0013】
また、前記核酸高分子構造の検出方法において、前記ハイブリダイズの反応速度をアガロースゲル電気泳動により測定することが好ましい。
【発明の効果】
【0014】
本発明では、プローブ核酸高分子、あるいはプローブ核酸高分子と微粒子等の反応速度調整物質とを結合させた結合プローブ核酸高分子を標的核酸高分子の特定の位置でハイブリダイズさせ、当該ハイブリダイズの反応速度を測定することにより、簡便にハイブリダイゼーション位置に関する情報を得て、標的核酸高分子の構造を検出することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0015】
以下、本発明の実施形態に係る核酸高分子構造の検出方法について説明する。具体的には、次の手順による。
(1)プローブ核酸高分子あるいは結合プローブ核酸高分子の作製
(2)プローブ核酸高分子、あるいは結合プローブ核酸高分子に含まれるプローブ核酸高分子への標的核酸高分子の付加(ハイブリダイゼーション)による付加核酸高分子の形成
(3)ハイブリダイゼーションの反応速度の測定
(4)標的核酸高分子のコンフォメーションの解析、ハイブリダイゼーション位置に関する情報の取得
【0016】
(1)プローブ核酸高分子あるいは結合プローブ核酸高分子の作製
本実施形態において、標的核酸高分子(ターゲット核酸高分子)中の特定の部位に相補的に付加するプローブ(探索子)が必要となるが、プローブとして、(A)プローブ核酸高分子を微粒子等の反応速度調整物質と結合させずにそのままハイブリダイゼーションに使用する方法と、(B)プローブ核酸高分子とかさ高い分子、微粒子等の反応速度調整物質とを結合させてハイブリダイゼーション反応に使用する方法とがある。以下それぞれのプローブについて説明する。
【0017】
(1−A)プローブ核酸高分子(探索子用核酸高分子)の作製
この方法では、標的核酸高分子中の特定の部位に相補的に付加するプローブ核酸高分子を作製し、微粒子等の反応速度調整物質と結合させずに(2)のハイブリダイゼーションにそのまま使用する。プローブ核酸高分子は、DNA、RNA及びPNAのうち少なくとも1つである。プローブ核酸高分子を標的核酸高分子の検出対象となる位置と相補的に付加するように適切に設計することにより、標的核酸高分子の目的の位置への特異性を付与することができる。
【0018】
プローブ核酸高分子の長さとしては特に制限はないが、10mer〜50merのものを用いると標的核酸高分子と付加し易いので好適である。プローブ核酸高分子の長さを調節することにより、ハイブリダイゼーションの位置を検出する精度を制御することができる。
【0019】
プローブ核酸高分子としてPNAを用いるとより効果的な場合がある。PNAとは「Peptide Nucleic Acid」の略で、核酸(DNA、RNA)に替わる物質として開発された化学合成核酸アナログである。PNAは、核酸の基本骨格構造である五単糖・リン酸骨格を、グリシンを単位とするポリアミド骨格に置換したもので、核酸によく似た3次元構造を有する。PNAは以下の利点を有する。
【0020】
(a)PNAは、プローブDNAあるいはプローブRNAと比較して相補的核酸に対し、非常に特異的でかつ強力に結合する。また、核酸の二重鎖に入り込み相補部分とハイブリダイズする性質を持つ。
(b)PNAと標的核酸高分子とのハイブリダイゼーション反応が迅速に行われるため、DNAまたはRNAをプローブ核酸高分子として用いるより反応時間を大幅に短縮することができる。
(c)PNAは電荷のない中性の安定した骨格構造を有するため、溶液のpH、塩濃度等に影響されることなくハイブリダイゼーションが進行する。
(d)PNAは生体内に存在しない化学合成物質のため、核酸、タンパク分解酵素、加水分解等によりほとんど分解されることがない。
【0021】
(1−B)プローブ核酸高分子と反応速度調整物質との結合による結合プローブ核酸高分子の作製
この方法では、プローブとして、上記プローブ核酸高分子をそのまま使用する代わりに、プローブ核酸高分子とかさ高い分子、微粒子等の反応速度調整物質とを結合させた結合プローブ核酸高分子を(2)のハイブリダイゼーション反応に使用する。まず、標的核酸高分子中の特定の部位に相補的に付加するプローブ核酸高分子を作製し、そのプローブ核酸高分子と反応速度調整物質とを結合させ、結合プローブ核酸高分子を形成する。プローブ核酸高分子は、上記と同様にDNA、RNA及びPNAのうち少なくとも1つである。また、微粒子の量に対するプローブ核酸高分子の量は、特に制限はないが、1〜数十個の範囲、例えば1〜50個の範囲が好ましい。
【0022】
反応速度調整物質は、立体障害等の作用により結合プローブ核酸高分子と標的核酸高分子とのハイブリダイゼーションの反応速度を調整するために用いられるものであり、例えば、かさ高い分子、かさ高い微粒子等が挙げられる。反応速度調整物質の大きさを調節することにより、ハイブリダイゼーションの位置を検出する精度を制御することができる。反応速度調整物質の大きさ、平均粒径としては、例えば、1nm〜1000nmの範囲のものを用いることができる。
【0023】
かさ高い分子としては、例えば、デキストラン、ポリエチレングリコール、デンドリマー、タンパク質等が挙げられる。
【0024】
微粒子としては、金属微粒子、非金属微粒子、高分子微粒子等が挙げられ、プローブ核酸高分子と結合した微粒子の作製の簡便さや微粒子作製の容易さ等の点から金属微粒子であることが好ましい。さらに、プローブ核酸高分子と親和性を持たせるために微粒子の表面を修飾してもよい。
【0025】
金属微粒子としては、典型金属、遷移金属の微粒子であれば特に制限はないが、例えば、Ti、V、Cr、Mn、Fe、Co、Ni、Cu、Sc、Y、Zr、Nb、Mo、Tc、Hf、Ta、W、Au、Ag、Ru、Rh、Pd、Os、Ir、Pt、Re、ランタノイド、アクチノイド等の遷移金属、Zn、Cd、Hg、Al、Ga、In、Tl、Si、Ge、Sn、Pb、As、Sb、Bi等が挙げられる。遷移金属の中では、Au、Ag、Ru、Rh、Pd、Os、Ir、Pt、Cu、Fe、Ni、Co、Cr、Mn、Mo、W、Ta及びNbであることがより好ましく、Au、Ag及び白金族(Ru、Rh、Pd、Os、Ir、Pt)等の貴金属であることが酸化されにくいこと等の点からさらに好ましく、Au、Ptが特に好ましい。また、GaAs、GaTe、CdSe等の複合金属の微粒子であってもよい。
【0026】
非金属微粒子としては、有機色素、有機顔料等の有機化合物、無機顔料等の無機化合物等の微粒子が挙げられる。
【0027】
高分子微粒子としては、ポリスチレン、ポリエチレン、ポリプロピレン、ラテックス等の微粒子が挙げられる。
【0028】
微粒子の平均粒径は、例えば大塚電子製の光散乱測定装置(DLS−7000型)を用いて測定することができる。
【0029】
金属微粒子の製造方法としては、水等の液体中で金属プレート表面をレーザー照射またはマイクロ波照射によりアブレーションするSF−LAS法(Surfactant-free laser ablation in solution)、界面活性剤を添加した水等の液体中で金属プレート表面をレーザー照射またはマイクロ波照射によりアブレーションするSC−LAS法(Surfactant-controlled laser ablation in solution)、化学的に還元する方法、溶液中で放電する方法等が挙げられ、特に制限はない。金属微粒子に界面活性剤を添加することにより、金属微粒子を安定化させることができ、製造において操作が容易となる等のため、好ましい。
【0030】
界面活性剤としては、アニオン系、カチオン系、ノニオン系、両性の界面活性剤を使用することができる。通常は、界面活性剤の溶解度、溶媒中の金属微粒子の安定化力等の点からドデシル硫酸ナトリウム(SDS)が使用される。
【0031】
プローブ核酸高分子とかさ高い分子、微粒子等とを結合させる方法としては、例えば、溶液のpH、プローブ核酸高分子のイオン状態等を変化させる等により、プローブ核酸高分子を微粒子等の表面に選択的に吸着させる方法、あるいはプローブ核酸高分子と親和性を持つように微粒子等の表面を修飾する方法、微粒子等と親和性を持つようにプローブ核酸高分子を修飾する方法、その他適当な手法によりプローブ核酸高分子と微粒子等の表面とを化学的に結合(イオン結合、共有結合、配位結合、金属結合、水素結合、ファンデルワールス結合等)させる方法、微粒子等の表面付近にプローブ核酸高分子が入り込むように収着させる方法、また、プローブ核酸高分子の末端を化学修飾し微粒子等と結合する方法、すなわち、例えば、微粒子として金微粒子を、プローブ核酸高分子としてDNAを用いた場合については、このDNAの末端を例えばチオール標識したものを用意し、これを金微粒子の表面に結合させる方法等が挙げられる。プローブ核酸高分子の末端の化学修飾としては、このチオール標識の他にもビオチン化標識、ジコキシジエニン化等が挙げられる。
【0032】
(2)プローブ核酸高分子、あるいは結合プローブ核酸高分子に含まれるプローブ核酸高分子への標的核酸高分子の付加による付加核酸高分子の形成
次に、前記プローブ核酸高分子、あるいは結合プローブ核酸高分子に含まれるプローブ核酸高分子に標的核酸高分子を付加、すなわち標的核酸高分子の特定の位置でプローブ核酸高分子を特異的相補鎖対形成(ハイブリダイゼーション)させて、付加核酸高分子を形成する。本実施形態において構造検出の対象となる標的核酸高分子は、DNA及びRNAのうち少なくとも1つである。標的核酸高分子が核酸の場合、一本鎖核酸でも二本鎖核酸でもよい。二本鎖核酸の場合、プローブ核酸高分子としてPNAを使用すると効率よく二本鎖核酸に入り込み、相補的な部位とハイブリダイズを起こさせることができる。例えば、上記結合プローブ核酸高分子として、金微粒子にプローブDNAを結合させたものを用いた場合、プローブDNAを含む溶液と標的核酸高分子として標的DNAを含む溶液を混合し、ハイブリダイゼーションさせる。
【0033】
ハイブリダイゼーションさせるときの、反応液の温度は通常25℃〜75℃の範囲で行われるが、30℃〜40℃の範囲が好ましい。そして、反応時間は反応温度により変化するため、適宜変えればよいが、通常0時間〜48時間の範囲で行われる。プローブDNAの長さが長い場合には、反応温度を上げてプローブDNAの絡み合いを低減するとハイブリダイズしやすくなる傾向にある。例えば、プローブDNAを含む溶液と標的核酸高分子として標的DNAを含む溶液を混合し、混合溶液を30℃に保ちハイブリダイゼーションさせる。
【0034】
また効率よくハイブリダイゼーションが起こるために硫酸デキストラン等の添加物を加えてもよい。界面活性剤(SDS、NP−40(Polyoxyethylene(9)Octylphenyl Ether)等)や有機溶媒(ホルムアミド、酢酸など)の溶液中では、DNA、RNAなどの標的核酸高分子の2次構造が破壊され、プローブ核酸高分子が接近しやすくなるという利点がある。
【0035】
ハイブリダイゼーションに使用される溶媒としては、プローブ核酸高分子あるいは結合プローブ核酸高分子を均一に分散、懸濁あるいは溶解させることができればよく特に制限はないが、水や一般的な有機溶媒を使用することができる。水としては、特に制限はなく、例えば、水道水、地下水、イオン交換水等の純水、超純水等が挙げられるが、反応速度の測定精度を向上させるためには不純物が少ない方がよく、通常はイオン交換水等の純水、超純水が用いられる。有機溶媒としては、メタノール、エタノール、イソプロピルアルコール等のアルコール系溶媒、ベンゼン、トルエン等の芳香族系溶媒、塩化メチレン、クロロホルム、四塩化炭素等のハロゲン系溶媒、n−ヘキサン、n−ヘプタン等の直鎖飽和炭化水素系溶媒、シクロヘキサン等の環状飽和炭化水素系溶媒、アセトニトリル等を用いることができる。この中で、適用範囲が広いことから水、アルコール系溶媒が好ましく、水がより好ましい。
【0036】
(3)ハイブリダイゼーションの反応速度の測定
次に、ハイブリダイゼーションの反応速度を測定する。本実施形態では、標的DNA、標的RNAの溶液中のコンフォメーションにより、ハイブリダイゼーション位置によってハイブリダイズの反応速度が異なることを利用して標的DNA、標的RNA中のハイブリダイゼーション位置に関する情報を得る。
【0037】
プローブ核酸高分子をかさ高い分子、微粒子等と結合させずにそのまま使用する方法では、通常の条件下では、ハイブリダイゼーションの反応が数ミリ秒から数分と考えられるので、蛍光エネルギー移動(FRET:Fluorescence Resonance Energy Transfer)などの光学的な方法を用いてハイブリダイゼーションの反応速度を測定することが好ましい。
【0038】
ここで、励起された蛍光団(Donor)は、そのエネルギーを蛍光や熱エネルギーとして放出するが、特定の条件を満たす分子(Acceptor)が存在すると、共鳴による励起エネルギーの移動(FRET)が起こる。この時、エネルギーを失ったDonorは基底状態に戻り、同時にエネルギーを受け取ったAcceptorは励起状態となる。FRETはDonor/Acceptor間の距離がある程度近くに存在するときに起こることが知られており、Donorを励起し、FRETが起こると励起状態のAcceptorを得ることができる。Acceptorが蛍光物質である場合、Donorを励起すると、(FRETが起こり)Acceptorが励起されるため、Acceptorからの蛍光を得ることが可能である。
【0039】
そこで、FRETを利用して、具体的には標的核酸高分子にアクセプターまたはドナーの色素分子を付加させたもの、及びプローブ核酸高分子または結合プローブ核酸高分子にドナーまたはアクセプターの色素分子を付加させたものを使用する。上記の通り、FRETが起こるためには、標的核酸高分子とプローブ核酸高分子または結合プローブ核酸高分子とが近くに配置される、すなわちハイブリダイズした状態になることが必要である。したがって、アクセプターの色素分子の蛍光強度によりハイブリダイズした付加核酸高分子の量を検出することができ、よってハイブリダイズの反応速度を測定することができる。
【0040】
また、プローブ核酸高分子をかさ高い分子、微粒子等と結合させて使用する方法では、ハイブリダイゼーションの反応が数分から数時間と考えられるので、ハイブリダイゼーションの反応速度は、アガロースゲル電気泳動により測定してもよい。ハイブリダイズ反応のために30℃程度の温度に保った反応溶液から決められた時間に反応液を少量採取し、これをアガロースゲル電気泳動によりハイブリダイズ反応の程度を測定することができる。微粒子として金微粒子を用いた場合、アガロースゲルには標的DNAとハイブリダイズしたプローブDNAに結合した金微粒子が深紅色のバンド状として観察される。このバンドの濃度を測定することによりハイブリダイズの反応の量を測定する。
【0041】
(4)標的核酸高分子のコンフォメーションの解析、ハイブリダイゼーション位置に関する情報の取得
最後に、標的核酸高分子のコンフォメーションを解析し、ハイブリダイゼーション位置に関する情報を得る。解析の方法は多々あるが、ここでは、標的核酸高分子を自由連結鎖とみなす方法について述べる。
【0042】
図1に、標的核酸高分子の溶液中のコンフォメーション、及びプローブ核酸高分子と金属微粒子とを結合させた結合プローブ核酸高分子を模式的に示す。このように、標的核酸高分子10の溶液中のコンフォメーションにより、標的核酸高分子10中の立体障害が大きい位置(例えば、真ん中付近)にある標的部位12aには、プローブ核酸高分子14と金属微粒子16とを結合させた結合プローブ核酸高分子18は接近しにくく、標的核酸高分子10中の立体障害が小さい末端位置にある標的部位12bには、結合プローブ核酸高分子18は接近しやすい。すなわち、標的核酸高分子10の溶液中のコンフォメーションにより、ハイブリダイゼーション位置におけるハイブリダイゼーションの反応速度が異なる。この反応速度の差を解析することにより、標的核酸高分子10における標的部位の位置、例えば、標的核酸高分子10の分子鎖の末端からどのくらいの位置に標的部位が存在するかを見積もることができる。
【0043】
図1のように、標的DNA等の標的核酸高分子10の立体障害によりプローブDNA等のプローブ核酸高分子14は標的部位に接近できない。標的部位がある程度伸びたコンフォメーションをとったときに標的核酸高分子10の立体障害は減少し、プローブ核酸高分子14が標的部位に接近し、ハイブリダイゼーション反応が進行する。そこで、標的核酸高分子をセグメントが連結した高分子として近似し、標的部位を中心としたN個の連続するセグメントの末端間距離があるしきい長より長いときには同じ確率でハイブリダイゼーション反応が進行するものとする。また、溶媒や添加物を変えたり、標的核酸高分子の一方の端を固定表面に固定させたりすることによって標的核酸高分子のコンフォメーションを人工的に制御してハイブリダイゼーションの位置を検知することもできる。このときは標的核酸高分子コンフォメーションに関して、高分子の別の近似法を適用したり、コンピュータシミュレーション等によりコンフォメーションを予想する等の方法が必要となる。
【0044】
また、ハイブリダイゼーションの位置を検出する精度はプローブ核酸高分子の大きさやこれに結合させるかさ高い高分子や微粒子等の大きさを変えることにより制御することができる。すなわち、プローブ核酸高分子の大きさやこれに結合させるかさ高い高分子や微粒子等の大きさが大きくなると、標的核酸高分子の立体障害が大きい位置(例えば、真ん中付近)の検出精度が高くなり、プローブ核酸高分子の大きさやこれに結合させるかさ高い高分子や微粒子等の大きさが小さくなると、標的核酸高分子の立体障害が小さい位置(例えば、端部付近)の検出精度が高くなる。この精度の見積もりについてもプローブ核酸高分子または結合プローブ核酸高分子の全体の大きさを変えた場合の解析が必要となる。また、大きなプローブを用いることにより、標的核酸高分子の立体障害が大きい位置と小さい位置とのハイブリダイゼーション反応の速度差を拡大することができる。プローブ核酸高分子あるいは結合プローブ核酸高分子の大きさとしては、標的核酸高分子とのハイブリダイゼーションの反応速度を調整するためには、1nm〜1000nmの範囲であることが好ましい。
【0045】
本実施形態に係る核酸高分子構造の検出方法によれば、以下の利点がある。
(1)非常に簡便な装置のみを使用する。
(2)近接場光プローブ顕微鏡、電子顕微鏡、STM、AFMなどを用いてプローブ核酸高分子の標的核酸高分子上のハイブリダイゼーション位置を検知する手段に比べて、特殊な技術や装置を必要とせず、簡便な方法である。
(3)標的核酸高分子のコンフォメーションを利用したハイブリダイゼーションの位置(物理地図)を検知する手段であり、全く新しい原理を採用している。
(4)溶媒や添加物を変えたり、標的核酸高分子の一方の端を固定表面に固定させたりすることによって標的核酸高分子のコンフォメーションを人工的に制御し、ハイブリダイゼーションの位置を検知することもできる。
(5)プローブ核酸高分子に結合させるかさ高い分子または微粒子等の大きさにより、標的核酸高分子のハイブリダイゼーション位置の検出精度を変えることができる。
【0046】
本実施形態に係る核酸高分子構造の検出方法は、DNA、RNAの分析全般の用途、医療用途、またはDNA、RNA分子の機能調査の用途等において使用することができる。
【実施例】
【0047】
以下、実施例を挙げ、本発明をより具体的に詳細に説明するが、本発明は、以下の実施例に限定されるものではない。
【0048】
(実施例1)
<金微粒子の作製>
金微粒子はHAuClのクエン酸による還元法により作製した。1mMのHAuCl水溶液10mLを撹拌しながら加熱して還流条件下においた。これに38.8mMのクエン酸三ナトリウム1mLをすばやく加えた。溶液の色が黄色から深赤に変わったら、さらに15分間撹拌した。溶液を室温(25℃)まで下げ、径が0.45μmのフィルターに通した。このように合成した金微粒子の平均粒径については、HAuClとクエン酸の濃度を調整し、13nmになるようにした。
【0049】
<金微粒子とプローブDNAとが結合した結合プローブ核酸高分子の作製>
平均粒径13nmの金微粒子を含む水溶液に、末端をチオール化したプローブDNA−1(50mer)を5μMの濃度で混ぜ16時間放置した。さらに0.1MのNaCl、10mMのリン酸緩衝液(pH=7.0)の溶液にし、さらに40時間放置した。そしてこれを遠心分離と再分散を3回繰り返し、余分な物質を除去した。
【0050】
図2に本実施例1で使用したプローブ核酸高分子と標的DNA M13mp18ssDNA 7249b.p.の塩基配列を示す。プローブ核酸DNA−1(50mer)は標的DNAの3601番目の塩基から塩基対を組むように設計した。またプローブ核酸の5’端をチオール標識し、金微粒子と結合するようにした。
【0051】
<金微粒子とプローブDNAとが結合した結合プローブ核酸高分子と標的DNAのハイブリダイゼーションと反応速度の測定>
標的DNAのM13mp18ssDNA(一本鎖DNA 7249b.p.)(濃度1.8×10−8M)と上記結合プローブ核酸高分子とを混合し、30℃に保温した。決められた時間ごとに溶液を採取し、アガロースゲル電気泳動によりハイブリダイゼーション反応の量を測定した。アガロースゲルには標的DNAとハイブリダイズしたプローブDNAに結合した金微粒子が深紅色のバンド状として観察された(図3のレーン8〜14)。またこのゲルにUV照射すると金微粒子のバンドと同じ位置に標的DNAにインターカレートした色素(色素は予めゲル中に存在させておいた)の蛍光がバンド状に観測された(図4のレーン8〜14)。このことにより標的DNAに金微粒子が結合したプローブDNAがハイブリダイズしていることを確認した。ここで、溶液はリン酸バッファー(0.01M)でpHを7.0に調整し、さらに0.1MのNaCl濃度になるようにNaClを添加した。ゲルの写真を図3(レーン8〜14)と図4(レーン8〜14)に示す。
【0052】
図3(レーン8〜14)からわかるように、標的DNAとハイブリダイズしたプローブDNAに結合した金微粒子はアガロース中をハイブリダイズしたまま泳動する。これが深紅色のバンドとしてアガロース中に観測される。その位置を矢印Bに示す。矢印Aは電気泳動の最前部を示す。また矢印Bの上部にはしご状に観測されたバンドは1つの金微粒子に複数の標的DNAがハイブリダイズしたものにより構成されるものと考えられる。最前部には標的DNAとハイブリダイズしなかったプローブDNAがそれに結合した金微粒子の深紅色のバンドとして観測された。レーン8、レーン9、レーン10、レーン11、レーン12、レーン13、レーン14はそれぞれハイブリダイズの保温時間が0、15、30、60、120、300、2100分の場合である。
【0053】
図4(レーン8〜14)からわかるように、図3で示した金微粒子のバンドと同じ位置に標的DNAにインターカレートした色素の蛍光のバンドが矢印Bの位置に観察された。矢印Aは電気泳動の最前部を示す。また図3と同様に矢印Bの上部にはしご状に観測されたバンドは1つの金微粒子に複数の標的DNAがハイブリダイズしたものにより構成されるものと考えられる。図3と同様に、レーン8、レーン9、レーン10、レーン11、レーン12、レーン13、レーン14はそれぞれハイブリダイズの保温時間が0、15、30、60、120、300、2100分の場合である。
【0054】
(実施例2)
<金微粒子とプローブDNAとが結合した結合プローブ核酸高分子の作製>
実施例1で作製した平均粒径13nmの金微粒子を含む水溶液に、末端をチオール化したプローブDNA−2(50mer)を5μMの濃度で混ぜ16時間放置した。さらに0.1MのNaCl、10mMのリン酸緩衝液(pH=7.0)の溶液にし、さらに40時間放置した。そしてこれを遠心分離と再分散を3回繰り返し、余分な物質を除去した。
【0055】
図2に本実施例2で使用したプローブ核酸と標的DNA M13mp18ssDNA 7249b.p.の塩基配列を示す。プローブ核酸DNA−2(50mer)は標的DNAの7199番目の塩基から塩基対を組むように設計した。またプローブ核酸の5’端をチオール標識し、金微粒子と結合するようにした。
【0056】
<金微粒子とプローブDNAとが結合した結合プローブ核酸高分子と標的DNAのハイブリダイゼーションと反応速度の測定>
実施例1と同様にして、標的DNAのM13mp18ssDNA(一本鎖DNA 7249b.p.)(濃度1.8×10−8M)と上記結合プローブ核酸高分子とを混合し、30℃に保温した。決められた時間ごとに溶液を採取し、アガロースゲル電気泳動によりハイブリダイゼーション反応の量を測定した。アガロースゲルには標的DNAとハイブリダイズしたプローブDNAに結合した金微粒子が深紅色のバンド状として観察された(図3のレーン1〜7)。またこのゲルにUV照射すると金微粒子のバンドと同じ位置に標的DNAにインターカレートした色素の蛍光がバンド状に観測された(図4のレーン1〜7)。このことにより標的DNAに金微粒子が結合したプローブDNAがハイブリダイズしていることを確認した。ゲルの写真を図3(レーン1〜7)と図4(レーン1〜7)に示す。レーン1、レーン2、レーン3、レーン4、レーン5、レーン6、レーン7はそれぞれハイブリダイズの保温時間が0、15、30、60、120、300、2100分の場合である。
【0057】
<ハイブリダイゼーションの反応速度の測定>
ハイブリダイゼーション反応はプローブ核酸高分子と標的核酸高分子との2体反応であるから、反応式は、
【数1】


と書ける。ここで、AとBはそれぞれハイブリダイズしていない標的DNAとハイブリダイズしていない金微粒子に付加したプローブDNAを、ABはそれらのハイブリッドを、kはハイブリダイゼーションの反応速度を表わす。この反応速度式は、
【数2】


と示され、これを積分すると下記式(1)、
【数3】


式(1)
となる。ここで、
【数4】


である。
【0058】
なお、A(t)とB(t)はそれぞれハイブリダイズしていない標的DNAとハイブリダイズしていない金微粒子に付加したプローブDNAの時間tにおける濃度を、AとBはそれぞれハイブリダイズしていない標的DNAとハイブリダイズしていない金微粒子に付加したプローブDNAの初期濃度を表わす。式(1)を実施例1及び2で求めたデータにフィッティングすることによりkを求めた。図5には、ハイブリダイゼーションの時間依存性とハイブリダイズの反応速度を示す。横軸にハイブリダイゼーションの時間を、縦軸に実施例1及び2のアガロースゲル電気泳動のゲル写真をデジタル情報として取り込み、バンド部分のピクセルの強度を積分して求めたバンド(図3の矢印Bの部分とCの部分の2ヶ所)の濃度で示されるハイブリダイゼーション反応の生成物の量を示す。○はプローブDNAとしてDNA−2を、□はプローブDNAとしてDNA−1を用いたときを示す。実線はそれぞれを式(1)でフィッティングした結果を示す。これより計算すると、プローブDNA−2を用いた場合のkは(1.66±0.26)×10/mol・sec、プローブDNA−1を用いた場合のkは(3.92±0.53)×10/mol・secと求められた。
【0059】
<標的DNAの溶液中のコンフォメーションによる標的DNAのある特定の位置におけるハイブリダイゼーションの反応速度についての理論的考察>
まずいくつかの仮定を設定する。
(1)本実施例で使用した一本鎖DNAはセグメント長1.5nmの自由連結鎖とみなす。
(2)標的核酸高分子の立体障害により微粒子に結合したプローブDNAは標的部位に接近できない。標的部位が伸びたコンフォメーションをとったときは標的核酸高分子の立体障害は減少し、プローブ核酸高分子が標的部位に接近でき、ハイブリダイゼーション反応が進行する。そこで、標的部位を中心としたN個の連続するセグメントの末端間距離があるしきい長より長いときには同じ確率でハイブリダイゼーション反応が進行するとする。
【0060】
まずセグメント数Nの自由連結鎖の慣性半径Rは、
【数5】


である。ここで、aはセグメント長を表わす。50merのプローブDNAではその慣性半径は2.8nmとなる。本実施例で用いた金微粒子の直径(平均粒径)は13nmなので、微粒子に結合したプローブ核酸高分子の直径は24.2nmと見積もられる(図6参照)。
【0061】
N個のセグメントからなる一本鎖DNAの末端間距離rの確率分布は、
【数6】


である。ここでプローブ核酸高分子としてDNA−1を用いた場合はN個のセグメントについて末端間距離が24.2nm以上の確率、DNA−2を用いた場合はN/2個のセグメントについて末端間距離が12.1nm以上の確率を算出し、この比がハイブリダイゼーションの反応速度の比k/k=1/42.4になるようなNを算出した。その結果、N=48となった。N=48の長さは72nmで、24.2nm/72nm=約1/3となるので、全長の1/3程度以上伸長したコンフォメーションを標的DNAがとった場合にハイブリダイゼーションが進行すると考えられる(図7及び図8参照)。
【0062】
図7において、(a),(b),(c)はDNA−1を用いた場合で、太線の部分は標的部位を中心としたセグメント数N=48のコンフォメーションを示す。(b)に示すコンフォメーションより伸長したコンフォメーションの時にハイブリダイゼーション反応が進行する。(d),(e),(f)はDNA−2を用いた場合で、太線の部分は標的部位を端としたセグメント数N=24のコンフォメーションを示す。(e)に示すコンフォメーションより伸長したコンフォメーションの時にハイブリダイゼーション反応が進行する。
【0063】
図8には、セグメント数N=24とN=48の場合の末端間距離の出現確率を示す。網掛けの部分は微粒子に結合したプローブDNAが標的DNAの立体障害を避けてハイブリダイズ反応が可能な場合の標的DNAの末端間距離を示す。
【0064】
このコンフォメーションとハイブリダイゼーション反応の関係を微粒子に結合していないプローブ核酸高分子を用いた場合に適用する。すると、DNA−1を用いた場合は11個のセグメント、DNA−2を用いた場合は5.5個のセグメントがその全長の1/3より伸びたコンフォメーションをとったときにハイブリダイゼーション反応が進行すると算出される。このときの反応速度はDNA−1の場合は1.12×10/mol・sec、DNA−2の場合は2.29×10/mol・secとなる(図9参照)。
【0065】
図9には、セグメント数N=5.5とN=11の場合の末端間距離の出現確率を示す。これは、微粒子に結合していないプローブDNAを用いた場合のハイブリダイズ反応可能な標的DNAの末端間距離を示す。網掛けの部分は微粒子に結合したプローブDNAが標的DNAの立体障害を避けてハイブリダイズ可能な標的DNAの末端間距離を示す。微粒子に結合していないプローブ核酸高分子の場合、DNA−2とDNA−1を用いた場合のハイブリダイゼーション反応の速度比は2.0倍であるのに対して、微粒子に結合したプローブ核酸高分子の場合、DNA−2とDNA−1の場合のハイブリダイゼーション反応の速度比は42.4倍である。このようにかさ高い微粒子にプローブ核酸高分子を結合させることにより、プローブ核酸高分子をそのまま使用する場合に比べて、標的部位によるハイブリダイゼーション反応速度の差を拡大することができることがわかった。
【0066】
なお、上記実施例1及び実施例2では、標的DNAの末端部分及び中央部分にハイブリダイゼーションするプローブ核酸高分子を用いて反応速度を求めたが、標的DNAの末端部分と中央部分との間の領域でハイブリダイゼーションするプローブ核酸高分子を用いた場合は、上記(段落0061)に述べたように末端部分の場合の解析で「N/2個のセグメント」としたところを、「m×N個のセグメント」(m>1/2)として反応速度を算出する必要がある。
【図面の簡単な説明】
【0067】
【図1】本発明の実施形態に係る標的核酸高分子の溶液中のコンフォメーション及び結合プローブ核酸高分子を模式的に示す図である。
【図2】本発明の実施例1で使用したプローブDNAと標的DNAの配列を示す図である。
【図3】本発明の実施例1及び実施例2におけるハイブリダイゼーション後の反応液のアガロースゲル電気泳動を示す写真である。
【図4】本発明の実施例1及び実施例2におけるハイブリダイゼーション後の反応液のアガロースゲル電気泳動において、ゲルにUVを照射したときの様子を示す写真である。
【図5】本発明の実施例におけるハイブリダイゼーションの時間依存性とハイブリダイズの反応速度を示すグラフである。
【図6】微粒子とプローブ核酸高分子とが結合した結合プローブ核酸高分子の直径を説明する図である。
【図7】ハイブリダイゼーションの反応速度を説明する図である。
【図8】セグメント数N=24とN=48の場合の自由連結鎖の末端間距離の出現確率を示す図である。
【図9】セグメント数N=5.5とN=11の場合の自由連結鎖の末端間距離の出現確率を示す図である。
【符号の説明】
【0068】
10 標的核酸高分子、12a,12b 標的部位、14 プローブ核酸高分子、16 金属微粒子、18 結合プローブ核酸高分子。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
標的核酸高分子の構造を検出するための核酸高分子構造の検出方法であって、
プローブ核酸高分子を標的核酸高分子にハイブリダイズさせて付加核酸高分子を形成し、前記ハイブリダイズの反応速度を測定することにより、前記標的核酸高分子中のハイブリダイゼーション位置に関する情報を得て、標的核酸高分子の構造を検出することを特徴とする核酸高分子構造の検出方法。
【請求項2】
標的核酸高分子の構造を検出するための核酸高分子構造検出方法であって、
プローブ核酸高分子と反応速度調整物質とを結合させて結合プローブ核酸高分子を形成し、さらに前記結合プローブ核酸高分子を標的核酸高分子にハイブリダイズさせて付加核酸高分子を形成し、前記ハイブリダイズの反応速度を測定することにより、前記標的核酸高分子中のハイブリダイゼーション位置に関する情報を得て、標的核酸高分子の構造を検出することを特徴とする核酸高分子構造の検出方法。
【請求項3】
請求項2に記載の核酸高分子構造の検出方法であって、
前記反応速度調整物質は、かさ高い分子あるいはかさ高い微粒子であることを特徴とする核酸高分子構造の検出方法。
【請求項4】
請求項3に記載の核酸高分子構造の検出方法であって、
前記微粒子は、金属微粒子であることを特徴とする核酸高分子構造の検出方法。
【請求項5】
請求項1〜4のいずれか1項に記載の核酸高分子構造の検出方法であって、
前記標的核酸高分子は、DNA及びRNAのうち少なくとも1つであることを特徴とする核酸高分子構造の検出方法。
【請求項6】
請求項1〜5のいずれか1項に記載の核酸高分子構造の検出方法であって、
前記プローブ核酸高分子は、DNA、RNA及びPNAのうち少なくとも1つであることを特徴とする核酸高分子構造の検出方法。
【請求項7】
請求項1〜6のいずれか1項に記載の核酸高分子構造の検出方法であって、
前記標的核酸高分子にアクセプターまたはドナーの色素分子を付加させたもの、及び前記プローブ核酸高分子または前記結合プローブ核酸高分子にドナーまたはアクセプターの色素分子を付加させたものを使用して、前記ハイブリダイズの反応速度をFRETを利用して測定することを特徴とする核酸高分子構造の検出方法。
【請求項8】
請求項1〜6のいずれか1項に記載の核酸高分子構造の検出方法であって、
前記ハイブリダイズの反応速度をアガロースゲル電気泳動により測定することを特徴とする核酸高分子構造の検出方法。

【図1】
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【図2】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図3】
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【図4】
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【公開番号】特開2007−159432(P2007−159432A)
【公開日】平成19年6月28日(2007.6.28)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−357129(P2005−357129)
【出願日】平成17年12月12日(2005.12.12)
【出願人】(000003207)トヨタ自動車株式会社 (59,920)
【出願人】(598014814)株式会社コンポン研究所 (24)
【Fターム(参考)】