説明

根固めブロック

【課題】ブロック内に貫通状態で埋設した筒体ユニットにて光や水の流れを好まない小魚や水生昆虫が生息できるようにした根固めブロックを提供する。
【解決手段】軸方向に貫通する筒体5内に粗朶6を充填してなる筒体ユニット4を、貫通状態となるようにしてブロック内に埋設した。そして上記筒体ユニットの粗朶部分に寒天を流し込む。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、水辺や水中に設置して用いる根固めブロックで、詳しくはブロック内に、これの横方向に貫通する筒体を配置し、この筒体内に小魚が生息できるようにした根固めブロックに関するものである。
【背景技術】
【0002】
この種の根固めブロックとしては、ブロック内に節部が貫通加工された竹材を1または複数箇所に横方向に貫通状態で配置されたものが知られている(例えば、特許文献1参照)。
【0003】
【特許文献1】特開2005−88221号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上記従来のブロックにあっては、これの横方向に竹筒による貫通孔が設けられていることにより、この貫通孔は水中において小魚の住処となるが、この貫通孔は中空状態となっているのでこの貫通孔には光が入り、及び水の流れが生じてしまい折角小魚の住処となるべき貫通孔ありながら、光や水の流れを好まない小さな魚類、一般的には底生魚等の小魚が生息しにくかった。また、同様にこの貫通孔には稚子魚や水生昆虫も生息しにくい。
【0005】
本発明は上記のことに鑑みなされたもので、ブロックの横方向に筒体を配置することにより形成する貫通孔を利用して、光や水の流れを好まない小さな底生魚類や、稚子魚や水生昆虫が生息できるようにした根固めブロックを提供することを目的とするものである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記目的を達成するために、本発明に係る根固めブロックは、軸方向に貫通する筒体内に粗朶を充填してなる筒体ユニットを、貫通状態となるようにしてブロック内に埋設した構成になっている。そしてこの構成の根固めブロックにおいて、筒体ユニットの粗朶部分に寒天を流し込んだ。
【発明の効果】
【0007】
本発明に係る根固めブロックを水辺や水中に設置して、この根固めブロックに埋設した筒体ユニットが水中に浸漬されることにより、この筒体ユニットの粗朶部分にて構成される微細空間を小魚、特に光や水の流れを嫌う底生小魚や稚魚、さらに水中昆虫の住処とすることができる。
【0008】
なお、筒体ユニットの粗朶部分には寒天が流し込まれているので、水に浸漬の当初の粗朶部分の微細空間は寒天にて塞がれているが、この寒天は壊れたり水に溶け、及び小魚に食べられることにより徐々になくなって粗朶部分は微細空間となり、上記したような小魚や水生昆虫の住処となる。そして、このときの寒天は稚魚の餌となる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0009】
図1は本発明の実施の形態を示す根固めブロック1を示すもので、この根固めブロック1は平面形状が四角形の基部2と、この基部2の上側に膨出された膨出部3とからなる形状に、普通コンクリートにて形成されている。なお、この形状は特に特徴を有するものではなく、根固めブロック1として任意の形状になり得るものである。
【0010】
そしてこの根固めブロック1には、これの膨出部3を横方向に貫通して、これの両端部を外部に露出させた筒体ユニット4が複数本埋設されている。この筒体ユニット4は図2に示すように、軸方向に貫通した筒体5と、この筒体5内に充填された粗朶6とからなっている。上記筒体5は、その一例として節抜き加工された竹筒を用いた。
【0011】
上記筒体ユニット4の粗朶6の部分には寒天が流し込み固化されている。
【0012】
上記筒体ユニット4は、根固めブロック1の成形時にこれを成形するモルタル内に埋設する。
【0013】
図3は上記した根固めブロック1を成形するための鋼製の型枠7を示すもので、これの内側で膨出部3を形成する部分に、上記筒体ユニット4をセットしてからモルタルを流し込む。このとき筒体ユニット4の両端を型枠7の内面で塞いで、この中にモルタルが流入しないようにする。
【0014】
しかして上記のように構成された根固めブロック1を水辺または水中に設置し、これの筒体ユニット4が水中に浸漬されると、粗朶6の部分の寒天は壊れたり徐々に水に溶けてなくなり、この中に水が侵入する。このとき筒体ユニット4内の寒天は、小魚、特に稚魚の餌となり、これに誘われて小魚や稚魚が筒体ユニット4の粗朶6の部分(微細空間)に入り込み、ここを住処とする。水生昆虫も同様にここを住処とする。
【0015】
また、この筒体ユニット4は筒体5内に粗朶6が充填されているので、筒体5内は光が入らず、また水の流れも生じないから、この筒体ユニット4内は光や水の流れを嫌う小魚や稚魚、さらには水生昆虫の格好の住処となる。
【0016】
上記した実施の形態では、筒体ユニット4の筒体5に竹筒を用いた例を示したが、これは他の材料、、例えば紙筒、陶管、塩化ビニールパイプを用いてもよい。また、粗朶6としては柳の木の細枝が用いられるが、その他一般的な樹木の木枝も用いられる。なお竹の小枝を用いてもよい。
【図面の簡単な説明】
【0017】
【図1】本発明に係る根固めブロックの一例を示す斜視図である。
【図2】筒体ユニットを一部破断して示す斜視図である。
【図3】根固めブロックを成形する型枠に筒体ユニットをセットした状態を示す斜視図である。
【符号の説明】
【0018】
1…根固めブロック、2…基部、3…膨出部、4…筒体ユニット、5…筒体、6…粗朶、7…型枠。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
軸方向に貫通する筒体内に粗朶を充填してなる筒体ユニットを、貫通状態となるようにしてブロック内に埋設したことを特徴とする根固めブロック。
【請求項2】
筒体ユニットの粗朶部分に寒天を流し込むことを特徴とする請求項1記載の根固めブロック。


【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate


【公開番号】特開2007−209210(P2007−209210A)
【公開日】平成19年8月23日(2007.8.23)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−29647(P2006−29647)
【出願日】平成18年2月7日(2006.2.7)
【出願人】(000162216)共和コンクリート工業株式会社 (44)
【Fターム(参考)】