説明

根菜類の千切り装置

【課題】 従来の千切り装置は、ケーシングの前面に、上下動する千切り刃(櫛刃と直線刃)と、分割カッターを配備し、分割カッターの上方に定寸用カッターを設け、分割カッターに向って根菜類を押圧供給する押圧ブロック体を、前後動可能に設け、分割カッターで分割した、根菜類のブロック体を形成し、千切り刃で千切りする構造である。この装置では、根菜類を竪置きする構造であり複数個の根菜類を同時に供給できない。
【解決手段】 本発明は、千切りの第二の処理をする切口と、二枚のカッターでなる第二カッター手段と、第一の処理をする第一カッター手段と、投入シュートと、供給口下方の根菜類を第一カッター手段に向って押圧する押込み手段と、押込み手段を動作する移動手段と、移動手段を駆動する第二駆動部と、第二カッター手段を操作する第一駆動部と、供給口を閉塞する扉を設け、扉を押込み手段と同期する構成とした根菜類の千切り装置である。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、大根、人参、胡瓜、牛蒡等の根菜類(処理物)の千切り装置に関する。
【背景技術】
【0002】
この種の根菜類の千切り装置としては、自動化が進んでおり、かつ文献の中に、参考となる発明があるので、以下、説明する。
【0003】
文献(1)は、特開2005−324298の「つま切り装置」であって、この発明は、ケーシングの前面に、上下動するつま切り刃(櫛刃と直線刃)を、このつま切り刃に対峙する分割カッターを配備するとともに、この分割カッターの上方に定寸用カッターを設け、前記分割カッターに向って根菜類を押圧供給する押圧ブロック体を、前後動可能に設け、この分割カッターで分割した、根菜類のブロック体を形成し、前記つま切り刃により、つま切りする構造であり、この発明は、従来の定数カッターでカットすることで、一定の寸法のつま切りを、分割カッターの寸法変更で、複数の寸法のつま切りを加工できることを特徴とする。しかし、この文献(1)は、根菜類を竪置きする構造であり、複数個の根菜類を同時に、供給することが不可能である。従って、短尺な根菜類には、不向きである。そして、また、つま切りの直下に、駆動部を要することから、仕上げつま切りの収容に、手間取ることと、安全性への配慮が欠けること等が考えられる。
【0004】
また、文献(2)は、特開2008−284627の「根菜類の千切り装置」であって、この発明は、明細書の[0002]に記載の如く、文献(1)の改良であり、構造の簡略化を図ることにある。具体的には、[0003]の問題がある。そこでこの文献(2)は、千切刃を上下二段構造として、効率的に、千切りを行なうことと、千切刃の櫛刃間に、千切りされた部分が残らないようにしたことを特徴とする。しかし、この文献(2)は、前述した文献(1)と、略同様に問題を抱えている。
【0005】
さらに、文献(3)は、特開平4−331096号の「ゴボウの自動千切り加工装置」であり、この発明は、ゴボウの搬送手段と、この搬送手段の先行先端に設けたストッパーと、このストッパーで停止されたゴボウを上方より切断する切断刃と、この切断刃の走行方向の前方に位置し、かつ往復動する櫛刃と、この櫛刃まで、ゴボウを押込む押出し部材とで構成する。その特徴は、人手に頼っていた、千切りを自動化したことを特徴とする。しかし、この発明は、単純な櫛刃構造であり、擬似千切りの感覚であって、本来の千切りとは、その仕上がり感覚が異なると考えられる。
【0006】
【特許文献1】特開2005−324298
【特許文献2】特開2008−284627
【特許文献3】特開平4−331096号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
前記文献(1)と、文献(2)は、千切りが行える特徴を有する。しかし、前述した構造では、複数本の根菜類を、連続的に千切りするには、適さないと考えられる。また、櫛刃が上下する直下に、駆動部が存在することで、安全性への配慮が欠けること等が考えられる。この文献(1)と、文献(2)は、根菜類を竪置きする構造であるので、この竪置きの姿勢が安定しないこと、また、同時に数本セットすることは困難であり、能率が悪いこと、さらに切り屑、又は不良屑の発生があり、材料の無駄と、品質の低下を招来すること、等の問題点を抱えている。
【0008】
また、文献(3)は、櫛刃が単独構造であり、擬似千切りの感覚であって、本来の千切りとは、その仕上がり感覚が異なると考えられる。
【課題を解決するための手段】
【0009】
請求項1の発明は、櫛刃と平刃でなる第二カッター手段と、割り刃でなる第一カッター手段を介して、根菜類を切断する構造であり、従来の千切り(熟練の手による千切り)と遜色がない、美麗で、形状が整った千切りを、機械的な手段で形成すること、また、短時間に、屑が発生しない千切り(形状が確保されない千切り)を製造すること、等を意図する。そして、また、請求項1の発明は、第二カッター手段を、フレームの一面に摺設する構造とするとともに、他面に、かつ第二カッター手段に対峙するように、前記第一カッター手段を設ける構造であり、仕上がり千切りを安全に取出し得ることと、作業の安全性に寄与すること、等を意図する。さらに、請求項1の発明は、供給口を閉塞する扉と、押込み手段の動作を同期する構成とし、この投入シュートに、複数個の根菜類の供給を可能とすることを意図する。
【0010】
請求項1は、フレームには、千切りの第二の処理をする切口と、二組の刃でなる第二カッター手段と、この第二カッター手段に向って第一の処理をする第一カッター手段と、この第一カッター手段の上に設けた処理物を受入れる投入シュートと、この投入シュートの供給口の下方に設けた前記処理物を第一カッター手段に向って押圧する押込み手段と、この押込み手段を動作する移動手段と、この移動手段を駆動する第二駆動部と、前記第二カッター手段を操作する第一駆動部と、前記供給口を閉塞する扉とを設け、この扉を前記押込み手段と同期する構成とした根菜類の千切り装置である。
【0011】
請求項2の発明は、請求項1に記載の意図を達成すること、この意図を達成するに最適な、摺動板と、押込み手段、並びに投入シュートの供給口を遮蔽する扉の構造を提供すること、等を意図する。そして、また、請求項2の発明は、人参、牛蒡等の如く、小径の人参、胡瓜、及び/又は細い牛蒡等の小型の根菜類は、投入シュートから、ケース内に複数本投入することから、この複数本を、連続的に千切りを行なうこと、また、効率的な千切りを可能とすること、等を意図する。
【0012】
請求項2は、フレームの前面に設けたガイド板の一面に、切口と、櫛刃及び平刃を備えた摺動板を添接し、この摺動板を、フレームに設けた第一駆動部で、前記ガイド板の長手方向に摺動可能とし、また、このガイド板の他面に、割り刃を備えた割り刃ケースを着脱自在に設け、この割り刃ケースに対峙するように押込み頭部を備えた押込み手段を設け、この押込み手段は、前記フレームの後面に設けた操作手段と、移動手段及び第二駆動部を利用し、前記割り刃ケースに向って前進後退可能とし、また、この押込み手段に設けた扉で、前記フレームに設けた投入シュートの供給口を遮蔽する構成とするとともに、この投入シュートに根菜類を順次供給する供給機構を組込みできる構成とした根菜類の千切り装置である。
【0013】
請求項3の発明は、請求項1に記載の意図を達成すること、この意図を達成するに最適な、摺動板とガイド板の構造を提供すること、等を意図する。
【0014】
請求項3は、請求項2に記載の根菜類の千切り装置であって、
前記ガイド板の一面に、切口と、櫛刃及び平刃を備えた摺動板は、このガイド板の上下に突設したガイド片をガイドとして、この摺動板が、その長手方向に摺動し、また、このガイド板には、根菜類の第一の処理が済んだ、分割された根菜類が押出される窓を開設する構成とした根菜類の千切り装置である。
【0015】
請求項4の発明は、請求項1に記載の意図を達成すること、この意図を達成するに最適な、割り刃を複数枚セットした割り刃ケースの構造を提供すること、等を意図する。
【0016】
請求項4は、請求項2に記載の根菜類の千切り装置であって、
前記割り刃ケースは、その立上壁面を、前記ガイド板の他面であって、その短手方向の上側に設けた取付けリンクで挾持、挾持開放で、取付け、取外し自在に設けられている構成とした根菜類の千切り装置である。
【0017】
請求項5の発明は、請求項1に記載の意図を達成すること、この意図を達成するに最適な、押込み手段と移動手段の連繋された関係と、この押込み手段と移動手段の個々の構造を提供すること、等を意図する。
【0018】
請求項5は、請求項2に記載の根菜類の千切り装置であって、
前記押込み手段は、割り刃進入用の切り溝を備えた樹脂製の押込みブロックと、この押込みブロックが取付け、取外し自在に設けられるブロック支持体とでなり、
また、前記移動手段は、前記ブロック支持体に設けたラックギアと、このラックギアに噛合するピニオンと、このピニオンが設けられる第二駆動部の出力軸とでなる構成とした根菜類の千切り装置である。
【0019】
請求項6の発明は、請求項1に記載の意図を達成すること、この意図を達成するに最適な、投入シュートと、ケースの連繋された関係と、このケースと押込みブロックの個々の構造を提供すること、等を意図する。
【0020】
請求項6は、請求項2に記載の根菜類の千切り装置であって、
前記投入シュートの下側には、その供給口に整合する開口を備えたケースを設け、このケースに前記押込みブロックを挿入可能とするとともに、このケースに設けた切り溝と、前記押込みブロックの切り溝が合致し、前記ケースの側面に設けた突条が、前記フレームに設けたレールに嵌合する構成とした根菜類の千切り装置である。
【0021】
請求項7の発明は、請求項1に記載の意図を達成すること、この意図を達成するに最適な、摺動板と、ガイド板、並びにこの摺動板の摺動手段、並びに摺動板と、ガイド板の個々の構造を提供すること、等を意図する。
【0022】
請求項7は、請求項2に記載の根菜類の千切り装置であって、
前記ガイド板の一面に、切口と、櫛刃及び平刃、並びに排出シュートを備えた摺動板は、このガイド板の上下に突設したガイド片をガイドとして、この摺動板が、その長手方向に摺動する構成は、フレームに設けたフライホイールと、このフライホイールに動力を伝達するモータの出力軸とで構成されている根菜類の千切り装置である。
【発明の効果】
【0023】
請求項1の発明は、フレームには、千切りの第二の処理をする切口と、二組の刃でなる第二カッター手段と、第二カッター手段に向って第一の処理をする第一カッター手段と、第一カッター手段の上に設けた処理物を受入れる投入シュートと、投入シュートの供給口の下方に設けた処理物を第一カッター手段に向って押圧する押込み手段と、押込み手段を動作する移動手段と、移動手段を駆動する第二駆動部と、第二カッター手段を操作する第一駆動部と、供給口を閉塞する扉とを設け、扉を押込み手段と同期する構成とした根菜類の千切り装置である。
【0024】
従って、請求項1は、櫛刃と平刃でなる第二カッター手段と、割り刃でなる第一カッター手段を介して、根菜類を切断する構造であり、従来の千切り(熟練の手による千切り)と遜色がない、美麗で、形状が整った千切りを、機械的な手段で形成できること、また、短時間に、屑が発生しない千切り(形状が確保されない千切り)を製造できること、等の特徴を有する。そして、また、請求項1は、第二カッター手段を、フレームの一面に摺設する構造とするとともに、他面に、かつ第二カッター手段に対峙するように、前記第一カッター手段を設ける構造であり、仕上がり千切りを安全に取出しできることと、作業の安全性に寄与できること、等の実益がある。さらに、請求項1は、供給口を閉塞する扉と、押込み手段の動作を同期する構成とし、この投入シュートに、複数個の根菜類の供給が可能となる特徴がある。
【0025】
請求項2の発明は、フレームの前面に設けたガイド板の一面に、切口と、櫛刃及び平刃を備えた摺動板を添接し、摺動板を、フレームに設けた第一駆動部で、ガイド板の長手方向に摺動可能とし、また、ガイド板の他面に、割り刃を備えた割り刃ケースを着脱自在に設け、割り刃ケースに対峙するように押込み頭部を備えた押込み手段を設け、押込み手段は、フレームの後面に設けた操作手段と、移動手段及び第二駆動部を利用し、割り刃ケースに向って前進後退可能とし、また、押込み手段に設けた扉で、フレームに設けた投入シュートの供給口を遮蔽する構成とするとともに、投入シュートに根菜類を順次供給する供給機構を組込みできる構成とした根菜類の千切り装置である。
【0026】
従って、請求項2は、請求項1に記載の意図を達成できること、この意図を達成するに最適な、摺動板と、押込み手段、並びに投入シュートの供給口を遮蔽する扉の構造を提供できること、等の特徴がある。また、請求項2は、人参、牛蒡等の如く、小径の人参、胡瓜、及び/又は細い牛蒡等の小型の根菜類は、投入シュートから、ケース内に複数本投入することから、この複数本を、連続的に千切りが行えること、また、効率的な千切りが可能となること、等の実益がある。
【0027】
請求項3の発明は、請求項2に記載の根菜類の千切り装置であって、
ガイド板の一面に、切口と、櫛刃及び平刃を備えた摺動板は、ガイド板の上下に突設したガイド片をガイドとして、摺動板が、その長手方向に摺動し、また、ガイド板には、根菜類の第一の処理が済んだ、分割された根菜類が押出される窓を開設する構成とした根菜類の千切り装置である。
【0028】
従って、請求項3は、請求項1に記載の意図を達成できること、この意図を達成するに最適な、摺動板とガイド板の構造を提供できること、等の特徴がある。
【0029】
請求項4の発明は、請求項2に記載の根菜類の千切り装置であって、
割り刃ケースは、立上壁面を、ガイド板の他面であって、短手方向の上側に設けた取付けリンクで挾持、挾持開放で、取付け、取外し自在に設けられている構成とした根菜類の千切り装置である。
【0030】
従って、請求項4は、請求項1に記載の意図を達成できること、この意図を達成するに最適な、割り刃を複数枚セットした割り刃ケースの構造を提供できること、等の特徴がある。
【0031】
請求項5の発明は、請求項2に記載の根菜類の千切り装置であって、
押込み手段は、割り刃進入用の切り溝を備えた樹脂製の押込みブロックと、押込みブロックが取付け、取外し自在に設けられるブロック支持体とでなり、
また、移動手段は、ブロック支持体に設けたラックギアと、ラックギアに噛合するピニオンと、ピニオンが設けられる第二駆動部の出力軸とでなる構成とした根菜類の千切り装置である。
【0032】
従って、請求項5は、請求項1に記載の意図を達成できること、この意図を達成するに最適な、押込み手段と移動手段の連繋された関係と、この押込み手段と移動手段の個々の構造を提供できること、等の特徴がある。
【0033】
請求項6の発明は、請求項2に記載の根菜類の千切り装置であって、
投入シュートの下側には、供給口に整合する開口を備えたケースを設け、ケースに押込みブロックを挿入可能とするとともに、ケースに設けた切り溝と、押込みブロックの切り溝が合致し、ケースの側面に設けた突条が、フレームに設けたレールに嵌合する構成とした根菜類の千切り装置である。
【0034】
従って、請求項6は、請求項1に記載の意図を達成できること、この意図を達成するに最適な、投入シュートと、ケースの連繋された関係と、このケースと押込みブロックの個々の構造を提供できること、等の特徴がある。
【0035】
請求項7は、請求項2に記載の根菜類の千切り装置であって、
ガイド板の一面に、切口と、櫛刃及び平刃、並びに排出シュートを備えた摺動板は、ガイド板の上下に突設したガイド片をガイドとして、摺動板が、長手方向に摺動する構成は、フレームに設けたフライホイールと、フライホイールに動力を伝達するモータの出力軸とで構成されている根菜類の千切り装置である。
【0036】
従って、請求項7は、請求項1に記載の意図を達成できること、この意図を達成するに最適な、摺動板と、ガイド板、並びにこの摺動板の摺動手段、並びに摺動板と、ガイド板の個々の構造を提供できること、等の特徴がある。
【図面の簡単な説明】
【0037】
【図1】本発明の第一実施例(一連)を示した一部欠載の正面視した全体の俯瞰図
【図2】図1の背面視した全体の俯瞰図
【図3】図1の平面図
【図4−1】本発明の第一実施例を示した第一カッター手段と、第二カッター手段、並びに押込み手段と、移動手段でなる要部を示した拡大俯瞰図
【図4−2】図4−1に示した第一実施例の櫛刃及び平刃を分解して示した拡大俯瞰図
【図5】図4−1の背面視した全体の俯瞰図
【図6】本発明の第一実施例を示した押込み手段と、ケース、並びに移動手段でなる要部を示した拡大俯瞰図正面視した全体の俯瞰図
【図7】本発明の第一実施例を示した押込み手段の分解俯瞰図
【図8−1】本発明の第一実施例を示した第一カッター手段と、第二カッター手段、並びにフレームのガイド板の俯瞰図
【図8−2】本発明の第一実施例を示した第一カッター手段と、第二カッター手段、並びにフレームのガイド板の背面視した分解俯瞰図
【図8−3】本発明の第一実施例を示した第一カッター手段と、第二カッター手段、並びにフレームのガイド板の正面視した分解俯瞰図
【図9−1】本発明の第一実施例において、ケース内に供給された根菜類(大根)を押込み手段で、第一カッター手段に向って押込みを図る前段を示した拡大側面模式図
【図9−2】図9−1において、押込み手段で、さらに押込みを図る状態を示した拡大側面模式図
【図9−3】図9−2において、第一カッター手段で、第一処理を行なう状態を示した拡大側面模式図
【図9−4】図9−3において、第一カッター手段で、第一処理を行なった後、第二カッター手段で第二処理を行なって、千切りが製造される家庭を示した拡大側面模式図
【図10】本発明の第二実施例(二連)を示した正面視した全体の俯瞰図
【図11】図1の背面視した全体の俯瞰図
【図12】図1の平面図
【発明を実施するための形態】
【0038】
最初に、図1〜図9−4は、本発明の第一実施例(一連の千切り装置)を示しており、その構造を説明する。図中1はフレーム(ケーシング)で、このフレーム1の上面1aには、その長手方向Xに向って、ガイド板2を立設する。このガイド板2には、その上下側にガイド片200、201を突設する(フレーム1の短手方向Yに向って突設する)。そして、このガイド片200、201の間には、長手方向Xに向って前進後退(前後動とする)摺動板3を設ける。この摺動板3の一面(前面)には切口300を備えており、この切口300を長手方向Xにおいて、対峙するように櫛刃4と、平刃5を設ける。この櫛刃4は取付けケース4aを介して、前記切口300の一方開口端300aに着脱自在に取付けられる。この櫛刃4は、従来の構造と同様であり、例えば、図の如く、多数の刃物片を等間隔で、図面において、上下方向に多数枚設ける構成である。この櫛刃4は、取付けケース4aを介して、前記一方開口端300aに取付けられる。また、平刃5は、一枚刃であって、前記切口300の他方開口端300bに着脱自在に取付けられる。そして、この摺動板3は、フレーム1に設けたフライホイール7と、モータ8、並びにこのフライホイール7と摺動板3に差渡し設けたシャフト10を(第一駆動部)介して、長手方向Xに向って前後動する構造である。この櫛刃4と平刃5で第二カッター手段を構成し、千切り用の第二処理をする。そして、この櫛刃4と平刃5が、摺動板3とともに、前記ガイド板2のガイド片200、201に沿って、長手方向Xに往復動することで、千切りAが連続的に製造される。尚、前記フライホイール7と、モータ8、並びにシャフト10とで、第一駆動部を構成する。
【0039】
図中11は、摺動板3の切口300の下方に設けたシュータを示す。そして、このシュータ11から、前記切口300より排出される千切りWを、受け止め、かつ収容部100に誘導する。
【0040】
また、摺動板3の他面(後面)には、割り刃1200を複数枚備えた割り刃ケース12(第一カッター手段)を着脱自在に設ける。即ち、この割り刃ケース12は、ガイド板2の開口202に対応する位置に(短手方向Yの方向)設けられており、後述するケース内に供給された大根を第一処理する。例えば、長手方向Xに寝た状態で収容された大根を輪切りにすることにある。そして、この輪切りにされた大根片を前記第二カッター手段で、千切りにするのが、本発明である。そして、この割り刃ケース12は、後方の一方の立上壁面1201に切欠き部1202を設け、この切欠き部1202に、ガイド板2の他面に回転自在に枢着した取付けリンク13を挾持することで、この割り刃ケース12が、ガイド板2の他面に取付けられる。また、この割り刃ケース12の後方の他方の立上壁面1203を、ガイド板2の図示しない差込み片に挿入することが望ましい。尚、この取付けリンク13と他面との間には、立上壁面1201が挿入可能な隙間(図示せず)を有する。図中1300は取付けリンク13に設けた摘みを示す。尚、この取付けリンク13の挾持で、割り刃ケース12を自由に変更できることで、例えば、各種の割り刃ケース12を着脱自在に設け、割り刃1200の間隔調整を図る。即ち、大根の輪切りの厚みを自由に変更できる。そして、また、割り刃ケース12を着脱自在とすることで、洗浄と、清掃等における利便性を確保する。
【0041】
図中20は中空状のケースで、このケース20はフレーム1に設けた対のベース21間に設けられるとともに、このケース20の上面に設けた開口2000には、投入シュート22の供給口2200が連設されている。従って、投入シュート22に投入(供給)された大根は、供給口2200よりケース20内に到る構造である。そして、このケース20内には、押込みブロック24と、この押込みブロック24を支持するブロック支持体25と、このブロック支持体25の移動を司る移動手段27の一部と、このブロック支持体25の後方(短手方向Yの後方Y1)に設けた扉28(開閉板)とが収容されている。従って、この押込みブロック24と、ブロック支持体25、並びに扉28は、前記移動手段27の動作で、ケース20の前進方向(短手方向Yの前方Y2)への移動(前進移行)と、後退方向(短手方向Yの後方Y1)への移動(後退移行)が図れる。また、この前進移行で、ケース20内に供給されている大根を、ケース20の前方Y2に押込む構造である。そして、この際に、供給口2200を扉28で塞き、例えば、大根が誤って投入されることを防止する。尚、この押込みブロック24の端面(Y1の方向)には、前記割り刃1200が進入できる切り溝2400が、後方Y1の方向に開設されている。尚、この押込みブロック24は、ブロック支持体25に着脱自在に設けられ、例えば、切り溝2400の間隔が異なる押込みブロック24に変更可能、また、割り刃1200の枚数に対応可能、等の如く、自由な取扱いができる構造とする。前記ケース20の前方には先端開口2001を設け、この先端開口2002には、第一カッター手段(割り刃1200)が入る切り溝2002を設ける。この切り溝2001は、ケース20を清掃する際、故障時のメンテナンス等に、ケース20を前進限に移行する状態を勘案して設けられている。尚、ケース20は、その側面に設けた突条2003と、フレーム1又はベース21に設けたレール2004との嵌合を利用して、短手方向Yで、かつフレーム1の上面1aの水平方向に前進、後退する。
【0042】
尚、前記移動手段27の一例を説明すると、ベース21、又はフレーム1の上面1aに設けたラックギア2700と、このラックギア2700に噛合するピニオン(図示せず)と、このピニオンを駆動する減速機付きモータ2701(第二駆動部)とで構成されており、このモータ2701は、前記ブロック支持体25の基部に取付けられている。従って。モータ2701が回転し、ピニオンが回転されることで、このブロック支持体25、扉28、及びモータ2701、ピニオンが、ラックギア2700をガイドとして自走する構造である。尚、前記ラックギア2700、又はケース20、フレーム1等の固定部材に、近接スイッチ2702を設け、自走するブロック支持体25、扉28等にドッグ2703を設け、前記自走した、前記ブロック支持体25、扉28等が、前進限及び/又は後退限で停止する構造となっている。また、投入シュート22には、センサー2201を付設し、例えば、人手を検知した場合には、装置を停止する等して、その安全性を確保する。
【0043】
図中30は、投入シュート22に大根を投入(供給)する搬送用のコンベアで、このコンベア30は、対の歯車間に懸架されたチェーン31と、このチェーン31間に設けた多数の受け板32と、このチェーン31を駆動する図示しない、モータで構成する。そして、このコンベア30の下端には、ホッパー33(受け皿)を設け、このホッパー33に大根、又は小径の人参、胡瓜、及び/又は細い牛蒡等の小型の根菜類を投入する。この投入の際に、注意することは、ホッパー33内でブリッジ状態とならないように、順次、整然と投入する。例えば、大根の如く、太く、かつ大きい根菜類は、原則として、一本ずつ、また、人参、胡瓜、牛蒡等の小型の根菜類は、原則として、数本まとめて、ホッパー33に、順次、収容する。このホッパー33内に収容された大根は、原則として、一本ずつ、また、人参、胡瓜、牛蒡等の小型の根菜類は数本まとめて、多数の受け板32を介して、順次、投入シュート22に送るが、この投入シュート22の供給口2200が解放されているときに、例えば、大根では一本ずつ投入する。この投入された、例えば、大根が、供給口2200よりケース20内に至ると、押込みブロック24が移動手段27の動作で前進し、大根を、順次、ケース20の先端開口2001に押込んでいくとともに、供給口2200は、扉28で閉められる。この扉28が閉められた段階で、コンベア30が、作動し、次の大根が、投入シュート22の扉28に搬送されてくる。一方、押込まれて、先端開口2001に到った大根は、この押込みブロック24が移動手段27の動作で、順次、前進されることで、その前進限に到るまで、第一カッター手段と、第二カッター手段で、順次、千切りされる。そして、前進限の押込みブロック24が移動手段27の動作で後退するとともに、扉28も同時に後退することで、投入シュート22の供給口2200が解放されるので、次の大根が、投入シュート22に投入される。以下、前述の作業の繰返しである。
【0044】
尚、図示しないが、このコンベア30には、大根、牛蒡等の長さを一定にする定寸カッターを備えている。また、前記人参、胡瓜、牛蒡等の小型の根菜類は数本まとめて、受け板32で掬われ、投入シュート22から供給される。また、まとめてケース20の先端開口2001に押込まれて、一本ずつ千切りされる。その他は、前述の大根等と同じである。尚、このコンベア30は、ベース35に設けられており、このベース35の移動で、千切り装置にセットされる。このセットの際に、最先端の受け板32は、投入シュート22の直上にある。また、このコンベア30の動きは、前記移動手段27に連動する構造となっている。
【0045】
また、図10〜図12は、本発明の第二実施例(二連の千切り装置)を示しており、その構造を説明する。この第二実施例は、前述した、第一実施例を二連とする構造であり、その基本は同じであり、説明は割愛する。そして、この二連は製造効率が優れている。
【0046】
図中40〜43等はカバーである。
【0047】
以下、図9−1〜図9−4に示した、千切りの製造工程を説明すると、図9−1は、投入シュート22を介して投入された大根は、その供給口2200とケース20の開口2000を経由し、ケース20の底面20aに、供給される(収容される)。この際に、横置きにセットされることで、姿勢が安定すること、材料・太さ等の大小を問わないこと、同時に数本セットできることと、効率的であること、等の特徴がある。その後、図9−2の如く、大根は、押込みブロック24が移動手段27を介して、ケース20の前方Y2に向って押込まれていくとともに、その際に、開口2000と供給口2200は、扉28で塞ぐことで、次の大根の投入及び/又は供給を停止する。そして、図9−3の如く、千切りの第一処理が始まり、割り刃1200を介して、大根の直径方向に切断し、所謂、輪切り大根片を製造する。そして、図9−4の如く、この輪切り大根片を、櫛刃4と平刃5を介して、第二処理をすることで、摺動板3の切口300と、排出シュート301を介して、千切りWが連続的に製造され、フレーム1の収容部100に溜められる。尚、図示しないが、人参、牛蒡等の如く、小径の人参、胡瓜、及び/又は細い牛蒡等の小型の根菜類は、投入シュート22から、ケース20内に複数本投入することから、移動手段27による一定のスピード、及び押込み圧力で操作することが必要となる。そして、また、この例では、小型の根菜類であっても、残り滓も少なく(切り屑、又は不良屑の発生)、品質の安定と、資源の有効利用となること、又は極めて効率的であること、等の実益がある。尚、この移動手段27による一定のスピード、及び押込み圧力で、押込みブロック24を操作することで、例えば、千切り寸法精度の一定性と、正確性が確保される。また、残り滓も少なく、極めて効率的であり、また、資源の有効利用となる。
【符号の説明】
【0048】
1 フレーム
1a 上面
100 収容部
2 ガイド板
200 ガイド片
201 ガイド片
202 開口
3 摺動板
300 切口
300a 一方開口端
300b 他方開口端
301 排出シュート
4 櫛刃
4a 取付けケース
5 平刃
7 フライホイール
8 モータ
10 シャフト
100 収容部
11 シュータ
12 割り刃ケース
1200 割り刃
1201 立上壁面
1202 切欠き部
1203 立上壁面
13 取付けリンク
20 ケース
20a 底面
2000 開口
2001 先端開口
2002 切り溝
2003 突条
2004 レール
21 ベース
22 投入シュート
2201 センサー
2200 供給口
24 押込みブロック
2400 切り溝
25 ブロック支持体
27 移動手段
2700 ラックギア
2701 モータ
2702 近接スイッチ
2703 ドッグ
28 扉
30 コンベア
31 チェーン
32 受け板
33 ホッパー
35 ベース
40 カバー
41 カバー
42 カバー
43 カバー
X 長手方向
Y 短手方向
Y1 後方
Y2 前方
W 千切り

【特許請求の範囲】
【請求項1】
フレームには、千切りの第二の処理をする切口と、二組の刃でなる第二カッター手段と、この第二カッター手段に向って第一の処理をする第一カッター手段と、この第一カッター手段の上に設けた処理物を受入れる投入シュートと、この投入シュートの供給口の下方に設けた前記処理物を第一カッター手段に向って押圧する押込み手段と、この押込み手段を動作する移動手段と、この移動手段を駆動する第二駆動部と、前記第二カッター手段を操作する第一駆動部と、前記供給口を閉塞する扉とを設け、この扉を前記押込み手段と同期する構成とした根菜類の千切り装置。
【請求項2】
フレームの前面に設けたガイド板の一面に、切口と、櫛刃及び平刃を備えた摺動板を添接し、この摺動板を、フレームに設けた第一駆動部で、前記ガイド板の長手方向に摺動可能とし、また、このガイド板の他面に、割り刃を備えた割り刃ケースを着脱自在に設け、この割り刃ケースに対峙するように押込み頭部を備えた押込み手段を設け、この押込み手段は、前記フレームの後面に設けた操作手段と、移動手段及び第二駆動部を利用し、前記割り刃ケースに向って前進後退可能とし、また、この押込み手段に設けた扉で、前記フレームに設けた投入シュートの供給口を遮蔽する構成とするとともに、この投入シュートに根菜類を順次供給する供給機構を組込みできる構成とした根菜類の千切り装置。
【請求項3】
請求項2に記載の根菜類の千切り装置であって、
前記ガイド板の一面に、切口と、櫛刃及び平刃を備えた摺動板は、このガイド板の上下に突設したガイド片をガイドとして、この摺動板が、その長手方向に摺動し、また、このガイド板には、根菜類の第一の処理が済んだ、分割された根菜類が押出される窓を開設する構成とした根菜類の千切り装置。
【請求項4】
請求項2に記載の根菜類の千切り装置であって、
前記割り刃ケースは、その立上壁面を、前記ガイド板の他面であって、その短手方向の上側に設けた取付けリンクで挾持、挾持開放で、取付け、取外し自在に設けられている構成とした根菜類の千切り装置。
【請求項5】
請求項2に記載の根菜類の千切り装置であって、
前記押込み手段は、割り刃進入用の切り溝を備えた樹脂製の押込みブロックと、この押込みブロックが取付け、取外し自在に設けられるブロック支持体とでなり、
また、前記移動手段は、前記ブロック支持体に設けたラックギアと、このラックギアに噛合するピニオンと、このピニオンが設けられる第二駆動部の出力軸とでなる構成とした根菜類の千切り装置。
【請求項6】
請求項2に記載の根菜類の千切り装置であって、
前記投入シュートの下側には、その供給口に整合する開口を備えたケースを設け、このケースに前記押込みブロックを挿入可能とするとともに、このケースに設けた切り溝と、前記押込みブロックの切り溝が合致し、前記ケースの側面に設けた突条が、前記フレームに設けたレールに嵌合する構成とした根菜類の千切り装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4−1】
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【図4−2】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8−1】
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【図8−2】
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【図8−3】
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【図9−1】
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【図9−2】
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【図9−3】
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【図9−4】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【公開番号】特開2011−31367(P2011−31367A)
【公開日】平成23年2月17日(2011.2.17)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−182727(P2009−182727)
【出願日】平成21年8月5日(2009.8.5)
【新規性喪失の例外の表示】特許法第30条第3項適用申請有り 博覧会の名称は、「2009 国際食品工業展」 開催日は、「平成21年6月9日から12日までの4日間」 主催者の名称は、「社団法人 日本食品機械工業会」である。
【出願人】(505368346)株式会社イナモク (5)