格子状パレット用素材移し替え装置
【課題】格子状パレットに載置した素材の移し替え工程に際し、該素材の引っかかりやすり傷などのトラブルを減少して、生産ラインの安定稼動を実現することができる格子状パレット用素材移し替え装置を提供する。
【解決手段】素材を載置している格子状パレットを所定の移し変え位置に搬送したのち、該パレット上の素材を滑らせて次工程の搬送ラインに移し替える設備における素材移し変え装置であって、前記所定の移し変え位置の下方に配設され、前記格子状パレットの格子孔に下方からライナを差し込んで、該パレットの上面を平らにするライナ昇降手段と、前記素材を押し出して次工程の搬送ラインに移し替える素材押し出し手段とを具備している。
【解決手段】素材を載置している格子状パレットを所定の移し変え位置に搬送したのち、該パレット上の素材を滑らせて次工程の搬送ラインに移し替える設備における素材移し変え装置であって、前記所定の移し変え位置の下方に配設され、前記格子状パレットの格子孔に下方からライナを差し込んで、該パレットの上面を平らにするライナ昇降手段と、前記素材を押し出して次工程の搬送ラインに移し替える素材押し出し手段とを具備している。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【０００１】
本発明は格子状パレット用素材移し替え装置に関する。さらに詳しくは、格子形状を呈するパレット（格子状パレット）に載置した素材の移し替え工程に際し、該素材の引っかかりやすり傷などのトラブルを減少して、生産ラインの安定稼動を実現することができる格子状パレット用素材移し替え装置に関する。
【背景技術】
【０００２】
従来、鋳造設備において、鋳型造型機により造型された上下鋳型（砂鋳型）が形成するキャビティに注湯して鋳造品を凝固させたのち、鋳型ばらしを行い鋳型砂と鋳造品とを分離するようにしている。この鋳型ばらしの方法として、注湯後の枠付き砂鋳型を砂通し可能な格子形状にされた定盤（格子状パレット）上に移し替えたのち、砂鋳型から上下鋳枠を取り除き、そして、該パレット上の砂鋳型に対して振動付与機構により機械的な刺激を与えて砂鋳型を崩壊させるとともに、パレットの開口部（格子孔）から鋳型砂を通過させて鋳造品を分離するようにした方法がある（特許文献１参照）。この方法によれば、低強度な砂鋳型の砂落としに際し、鋳造品を傷付けるおそれがない。
【０００３】
【特許文献１】特開２００５−３３４８８９号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【０００４】
しかしながら、鋳型ばらし工程後、前記格子状パレットの上にある鋳造品を押し出して次工程の搬送ラインに移し替える場合、鋳造品の表面が凹凸形状を呈しているため、格子孔に引っかかったり、表面にすり傷などが発生して、うまく移し替えができないおそれがある。この場合、たとえば、前記パレットを１８０°反転させて、滑らせながら落下させる方法が考えられるが、この方法では、鋳造品に衝撃を与えたくない場合には不向きである。
【０００５】
そこで、本発明は、叙上の事情に鑑み、格子状パレットに載置した素材の移し替え工程に際し、該素材の引っかかりやすり傷などのトラブルを減少して、生産ラインの安定稼動を実現することができる格子状パレット用素材移し替え装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【０００６】
本発明の格子状パレット用素材移し替え装置は、素材を載置している格子状パレットを所定の移し変え位置に搬送したのち、該パレット上の素材を滑らせて次工程の搬送ラインに移し替える設備における素材移し変え装置であって、前記所定の移し変え位置の下方に配設され、前記格子状パレットの格子孔に下方からライナを差し込んで、該パレットの上面を平らにするライナ昇降手段と、前記素材を押し出して次工程の搬送ラインに移し替える素材押し出し手段とを具備してなることを特徴としている。
【発明の効果】
【０００７】
本発明によれば、格子形状をした搬送用パレットである格子状パレット上の素材を押し出して移し替える場合、格子孔に下方からライナを差し込み、該パレットの上面とライナの上面を面一（平面）にするため、該素材の引っかかりやすり傷などのトラブルを減少して、生産ラインの安定稼動を実現することができる。
また、前記パレットとライナの上面を平面状にした状態で素材を押し出して、移し替えを行うので、素材に衝撃が発生せず、素材への圧痕などがなくなり、不良率を低減させることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【０００８】
以下、添付図面に基づいて、本発明の格子状パレット用素材移し替え装置を説明する。本発明は、素材、たとえば鋳造品などを載置している格子状パレットを所定の移し変え位置に搬送したのち、該パレット上の素材を滑らせて次工程の搬送ラインに移し替える設備に適用することができる。本発明の一実施の形態にかかわる格子状パレット用素材移し替え装置は、図１に示されるように、鋳造工場の素材搬送設備における素材移し替え装置Ａであって、ライナ昇降手段Ｂと素材押し出し手段Ｃを備えている。
【０００９】
本実施の形態における格子状パレットは、素材の搬送および素材と砂の分離を行うばらしに用いられている。すなわち、造型ラインで造型工程、注湯工程および冷却工程を経た注湯済の砂鋳型を戴置する定盤台車から、該砂鋳型を鋳型押し出し装置により鋳型ばらしラインの搬送コンベヤ（たとえばローラコンベヤ）上に待機する格子状パレットに移し替えたのち、該パレットを電動シリンダなどのプッシャー手段とクッション手段で１ピッチ毎にばらしステーションの鋳型ばらし装置に搬送する。なお、金枠付の場合は金枠から鋳型を抜き出す工程後に鋳型をパレットに載せて搬送する。そして、該パレットが前記鋳型ばらし装置に搬送されたのち、パレット昇降装置で格子状パレットに鋳型を載せた状態で該パレットをシェイクアウトマシンのアーム上に載せる。ついで、該シェイクアウトマシンが前記格子状パレットに振動を加えることにより、該パレット上の砂鋳型を崩壊させ、鋳型砂と鋳造品を分離し、砂を格子状パレットの格子孔（格子目）から落下して、下部砂回収へ流すとともに、鋳造品を格子状パレット上に残す。ついで、該パレット上に鋳造品を載せた状態で格子状パレットは搬送され、さらに鋳造品の冷却を行ったのち、本実施の形態の素材移し替え装置Ａへと格子状パレット１が搬送される。
【００１０】
図１〜３に示されるように、前記ライナ昇降手段Ｂは、格子状パレット１の格子孔１ａに下方（下部）からライナ９を差し込み、該パレット１の上面を平ら、すなわち該パレット１の上面とライナ９の上面を面一（平面）にする機能を有しており、所定の移し変え位置（搬送コンベヤ２の下部位置）に対向して立設する４本の支柱３間に配設された基台４の中央部に設けられる昇降アクチュエータ５と、該昇降アクチュエータ５のロッド先端部５ａに連結され、前記支柱３に固着されるガイドレール部６に沿って昇降自在に配される複数の車輪７を有する昇降台８と、該昇降台８の上面に前記格子状パレット１に形成される複数の格子孔１ａに対向して配置される複数のライナ９とを具備している。前記ガイドレール部６は、各支柱３の側部に固着されており、また、前記車輪７は、前記昇降台８の四隅部に設けられ、本実施の形態では、２個ずつにされている。なお、前記ライナ９の個数は、前記格子状パレット１の格子孔１ａの個数に相当し、とくに限定されるものではない。また、この格子孔１ａおよびライナ９の形状および配置は、本発明において、とくに限定されるものではなく、互いに矩形または円形などを格子状または千鳥形状にするなど適宜選定することができる。また、格子状パレット１およびライナ９の大きさや材質などについても適宜選定することができる。また、前記昇降アクチュエータ５としては、エアシリンダや、油圧シリンダ、電動シリンダなどを用いることができる。
【００１１】
前記素材押し出し手段Ｃは、対向して配置されるフレーム１１の側面に沿って設けられたレール１２の溝に回転自在に嵌合するローラ１３を有する一対のスライダ１４と、該スライダ１４を前後動（前進と後退）させるアクチュエータ１５と、前記スライダ１４の後端部（図１の紙面右側の位置）に設けられる押し出し手段１６とを具備している。
前記アクチュエータ１５としては、前記一対のスライダ１４の先端部に設けられる梁部１７に配置される連結具１８を介して連結されるエアシリンダや、油圧シリンダ、電動シリンダなどを用いることができる。このアクチュエータ１５は、前記対向するフレーム１１上に設けられる横梁部１９に支持されている。
また、前記押し出し手段１６は、前記格子状パレット１に載置される鋳造品Ｗの側面を押圧する押し出し部としての押し出し板２１を有していれば、とくに限定されるものではないが、本実施の形態では、さらに研掃機構２２と傾動機構２３を備えている。この研掃機構２２は、スクレーパ２２ａとエアブロー２２ｂとを備えており、押し出し工程時に格子状パレット１の上面に残る砂を除去する機能を有している。また、前記傾動機構２３は、この研掃機構２２を傾動させる機能を有しており、前記スライダ１４の後端部に設けられる支持部２３ａと、該支持部２３ａの二股部２３ｂに挟まれるとともに、該二股部２３ｂに挿通される軸２３ｃにより傾動自在にされる傾動体２３ｄと、該傾動体２３ｄを傾動させるアクチュエータとしてのエアシリンダ２３ｅとを備えている。本実施の形態では、前記押し出し板２１は傾動体２３ｄに固着されており、この傾動体２３ｄとともに傾動するようにされている。また、前記傾動体２３ｄは、前記支持部２３ａの二股部２３ｂに挟まれるとともに、該二股部２３ｂに挿通される軸２３ｃにより傾動自在にされているが、該支持部に対して傾動自在にされる構造であれば、とくにこれに限定されるものではない。
【００１２】
本実施の形態では、鋳造品Ｗを載置している格子状パレット１が素材移し替え装置Ａに搬送されると、位置決め装置（図示せず）で該パレット１を固定する。ついで、該パレット１の下部に配置されるライナ昇降装置Ｂにおける昇降アクチュエータ５のロッドを伸長作動させて、昇降台８に配置されるライナ９を前記パレット１の格子孔１ａに差し込み、パレット上面を凹凸のない平坦面（フラット）にする。
【００１３】
ついで、アクチュエータ１５のロッドを伸長作動させて、押し出し板２１を鋳造品Ｗの側面に押し当てるとともに、該鋳造品Ｗを該パレット１の上を滑らしながら、次工程への搬送ラインのエプロンコンベヤ３１に押し出して移し替える。押し出しと同時にスクレーパ２２aはパレット上面をスクレープし、エアブロー２２ｂが作動し、パレット上面の研掃を行う。このとき、パレット上面は平坦面であるので、鋳造品Ｗが前記パレット１に引っかかったり、鋳造品Ｗにすり傷などのトラブルは発生しない。したがって、生産ラインを安定して稼動させることができる。そして、前記エプロンコンベヤ３１に載せられた鋳造品Ｗは次工程へと搬送される。
【００１４】
ついで、前記鋳造品Ｗの移し替えが完了すると、傾動機構２３におけるエアシリンダ２３ｅを伸長作動させて傾動体２３ｄを傾動させる。かかる傾動により、スクレーパ２２ａの先端部は浮き上がり非接触状態になる。
【００１５】
ついで、アクチュエータ１５のロッドを収縮作動させて、押し出し板２１を後退させたのち、前記エアシリンダ２３ｅを収縮作動させる。そして、つぎの移し替え工程に備える。
【図面の簡単な説明】
【００１６】
【図１】本発明の一実施の形態にかかわる格子状パレット用素材移し替え装置の断面図である。
【図２】図１の格子状パレットの平面図である。
【図３】図２のＩ−Ｉ線断面図である。
【符号の説明】
【００１７】
Ａ 素材移し替え装置
Ｂ ライナ昇降手段
Ｃ 素材押し出し手段
Ｗ 素材
１ 格子状パレット
１ａ 格子孔
２ 搬送コンベヤ
３ 支柱
４ 基台
５ 昇降アクチュエータ
５ａ ロッド先端部
６ ガイドレール部
７ 車輪
８ 昇降台
９ ライナ
１１ フレーム
１２ レール
１３ ローラ
１４ スライダ
１５ アクチュエータ
１６ 押し出し手段
１７ 梁部
１８ 連結具
１９ 横梁部
２１ 押し出し板
２２ 研掃機構
２２ａ スクレーパ
２２ｂ エアブロー
２３ 傾動機構
２３ａ 支持部
２３ｂ 二股部
２３ｃ 軸
２３ｄ 傾動体
２３ｅ エアシリンダ
３１ エプロンコンベヤ
【技術分野】
【０００１】
本発明は格子状パレット用素材移し替え装置に関する。さらに詳しくは、格子形状を呈するパレット（格子状パレット）に載置した素材の移し替え工程に際し、該素材の引っかかりやすり傷などのトラブルを減少して、生産ラインの安定稼動を実現することができる格子状パレット用素材移し替え装置に関する。
【背景技術】
【０００２】
従来、鋳造設備において、鋳型造型機により造型された上下鋳型（砂鋳型）が形成するキャビティに注湯して鋳造品を凝固させたのち、鋳型ばらしを行い鋳型砂と鋳造品とを分離するようにしている。この鋳型ばらしの方法として、注湯後の枠付き砂鋳型を砂通し可能な格子形状にされた定盤（格子状パレット）上に移し替えたのち、砂鋳型から上下鋳枠を取り除き、そして、該パレット上の砂鋳型に対して振動付与機構により機械的な刺激を与えて砂鋳型を崩壊させるとともに、パレットの開口部（格子孔）から鋳型砂を通過させて鋳造品を分離するようにした方法がある（特許文献１参照）。この方法によれば、低強度な砂鋳型の砂落としに際し、鋳造品を傷付けるおそれがない。
【０００３】
【特許文献１】特開２００５−３３４８８９号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【０００４】
しかしながら、鋳型ばらし工程後、前記格子状パレットの上にある鋳造品を押し出して次工程の搬送ラインに移し替える場合、鋳造品の表面が凹凸形状を呈しているため、格子孔に引っかかったり、表面にすり傷などが発生して、うまく移し替えができないおそれがある。この場合、たとえば、前記パレットを１８０°反転させて、滑らせながら落下させる方法が考えられるが、この方法では、鋳造品に衝撃を与えたくない場合には不向きである。
【０００５】
そこで、本発明は、叙上の事情に鑑み、格子状パレットに載置した素材の移し替え工程に際し、該素材の引っかかりやすり傷などのトラブルを減少して、生産ラインの安定稼動を実現することができる格子状パレット用素材移し替え装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【０００６】
本発明の格子状パレット用素材移し替え装置は、素材を載置している格子状パレットを所定の移し変え位置に搬送したのち、該パレット上の素材を滑らせて次工程の搬送ラインに移し替える設備における素材移し変え装置であって、前記所定の移し変え位置の下方に配設され、前記格子状パレットの格子孔に下方からライナを差し込んで、該パレットの上面を平らにするライナ昇降手段と、前記素材を押し出して次工程の搬送ラインに移し替える素材押し出し手段とを具備してなることを特徴としている。
【発明の効果】
【０００７】
本発明によれば、格子形状をした搬送用パレットである格子状パレット上の素材を押し出して移し替える場合、格子孔に下方からライナを差し込み、該パレットの上面とライナの上面を面一（平面）にするため、該素材の引っかかりやすり傷などのトラブルを減少して、生産ラインの安定稼動を実現することができる。
また、前記パレットとライナの上面を平面状にした状態で素材を押し出して、移し替えを行うので、素材に衝撃が発生せず、素材への圧痕などがなくなり、不良率を低減させることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【０００８】
以下、添付図面に基づいて、本発明の格子状パレット用素材移し替え装置を説明する。本発明は、素材、たとえば鋳造品などを載置している格子状パレットを所定の移し変え位置に搬送したのち、該パレット上の素材を滑らせて次工程の搬送ラインに移し替える設備に適用することができる。本発明の一実施の形態にかかわる格子状パレット用素材移し替え装置は、図１に示されるように、鋳造工場の素材搬送設備における素材移し替え装置Ａであって、ライナ昇降手段Ｂと素材押し出し手段Ｃを備えている。
【０００９】
本実施の形態における格子状パレットは、素材の搬送および素材と砂の分離を行うばらしに用いられている。すなわち、造型ラインで造型工程、注湯工程および冷却工程を経た注湯済の砂鋳型を戴置する定盤台車から、該砂鋳型を鋳型押し出し装置により鋳型ばらしラインの搬送コンベヤ（たとえばローラコンベヤ）上に待機する格子状パレットに移し替えたのち、該パレットを電動シリンダなどのプッシャー手段とクッション手段で１ピッチ毎にばらしステーションの鋳型ばらし装置に搬送する。なお、金枠付の場合は金枠から鋳型を抜き出す工程後に鋳型をパレットに載せて搬送する。そして、該パレットが前記鋳型ばらし装置に搬送されたのち、パレット昇降装置で格子状パレットに鋳型を載せた状態で該パレットをシェイクアウトマシンのアーム上に載せる。ついで、該シェイクアウトマシンが前記格子状パレットに振動を加えることにより、該パレット上の砂鋳型を崩壊させ、鋳型砂と鋳造品を分離し、砂を格子状パレットの格子孔（格子目）から落下して、下部砂回収へ流すとともに、鋳造品を格子状パレット上に残す。ついで、該パレット上に鋳造品を載せた状態で格子状パレットは搬送され、さらに鋳造品の冷却を行ったのち、本実施の形態の素材移し替え装置Ａへと格子状パレット１が搬送される。
【００１０】
図１〜３に示されるように、前記ライナ昇降手段Ｂは、格子状パレット１の格子孔１ａに下方（下部）からライナ９を差し込み、該パレット１の上面を平ら、すなわち該パレット１の上面とライナ９の上面を面一（平面）にする機能を有しており、所定の移し変え位置（搬送コンベヤ２の下部位置）に対向して立設する４本の支柱３間に配設された基台４の中央部に設けられる昇降アクチュエータ５と、該昇降アクチュエータ５のロッド先端部５ａに連結され、前記支柱３に固着されるガイドレール部６に沿って昇降自在に配される複数の車輪７を有する昇降台８と、該昇降台８の上面に前記格子状パレット１に形成される複数の格子孔１ａに対向して配置される複数のライナ９とを具備している。前記ガイドレール部６は、各支柱３の側部に固着されており、また、前記車輪７は、前記昇降台８の四隅部に設けられ、本実施の形態では、２個ずつにされている。なお、前記ライナ９の個数は、前記格子状パレット１の格子孔１ａの個数に相当し、とくに限定されるものではない。また、この格子孔１ａおよびライナ９の形状および配置は、本発明において、とくに限定されるものではなく、互いに矩形または円形などを格子状または千鳥形状にするなど適宜選定することができる。また、格子状パレット１およびライナ９の大きさや材質などについても適宜選定することができる。また、前記昇降アクチュエータ５としては、エアシリンダや、油圧シリンダ、電動シリンダなどを用いることができる。
【００１１】
前記素材押し出し手段Ｃは、対向して配置されるフレーム１１の側面に沿って設けられたレール１２の溝に回転自在に嵌合するローラ１３を有する一対のスライダ１４と、該スライダ１４を前後動（前進と後退）させるアクチュエータ１５と、前記スライダ１４の後端部（図１の紙面右側の位置）に設けられる押し出し手段１６とを具備している。
前記アクチュエータ１５としては、前記一対のスライダ１４の先端部に設けられる梁部１７に配置される連結具１８を介して連結されるエアシリンダや、油圧シリンダ、電動シリンダなどを用いることができる。このアクチュエータ１５は、前記対向するフレーム１１上に設けられる横梁部１９に支持されている。
また、前記押し出し手段１６は、前記格子状パレット１に載置される鋳造品Ｗの側面を押圧する押し出し部としての押し出し板２１を有していれば、とくに限定されるものではないが、本実施の形態では、さらに研掃機構２２と傾動機構２３を備えている。この研掃機構２２は、スクレーパ２２ａとエアブロー２２ｂとを備えており、押し出し工程時に格子状パレット１の上面に残る砂を除去する機能を有している。また、前記傾動機構２３は、この研掃機構２２を傾動させる機能を有しており、前記スライダ１４の後端部に設けられる支持部２３ａと、該支持部２３ａの二股部２３ｂに挟まれるとともに、該二股部２３ｂに挿通される軸２３ｃにより傾動自在にされる傾動体２３ｄと、該傾動体２３ｄを傾動させるアクチュエータとしてのエアシリンダ２３ｅとを備えている。本実施の形態では、前記押し出し板２１は傾動体２３ｄに固着されており、この傾動体２３ｄとともに傾動するようにされている。また、前記傾動体２３ｄは、前記支持部２３ａの二股部２３ｂに挟まれるとともに、該二股部２３ｂに挿通される軸２３ｃにより傾動自在にされているが、該支持部に対して傾動自在にされる構造であれば、とくにこれに限定されるものではない。
【００１２】
本実施の形態では、鋳造品Ｗを載置している格子状パレット１が素材移し替え装置Ａに搬送されると、位置決め装置（図示せず）で該パレット１を固定する。ついで、該パレット１の下部に配置されるライナ昇降装置Ｂにおける昇降アクチュエータ５のロッドを伸長作動させて、昇降台８に配置されるライナ９を前記パレット１の格子孔１ａに差し込み、パレット上面を凹凸のない平坦面（フラット）にする。
【００１３】
ついで、アクチュエータ１５のロッドを伸長作動させて、押し出し板２１を鋳造品Ｗの側面に押し当てるとともに、該鋳造品Ｗを該パレット１の上を滑らしながら、次工程への搬送ラインのエプロンコンベヤ３１に押し出して移し替える。押し出しと同時にスクレーパ２２aはパレット上面をスクレープし、エアブロー２２ｂが作動し、パレット上面の研掃を行う。このとき、パレット上面は平坦面であるので、鋳造品Ｗが前記パレット１に引っかかったり、鋳造品Ｗにすり傷などのトラブルは発生しない。したがって、生産ラインを安定して稼動させることができる。そして、前記エプロンコンベヤ３１に載せられた鋳造品Ｗは次工程へと搬送される。
【００１４】
ついで、前記鋳造品Ｗの移し替えが完了すると、傾動機構２３におけるエアシリンダ２３ｅを伸長作動させて傾動体２３ｄを傾動させる。かかる傾動により、スクレーパ２２ａの先端部は浮き上がり非接触状態になる。
【００１５】
ついで、アクチュエータ１５のロッドを収縮作動させて、押し出し板２１を後退させたのち、前記エアシリンダ２３ｅを収縮作動させる。そして、つぎの移し替え工程に備える。
【図面の簡単な説明】
【００１６】
【図１】本発明の一実施の形態にかかわる格子状パレット用素材移し替え装置の断面図である。
【図２】図１の格子状パレットの平面図である。
【図３】図２のＩ−Ｉ線断面図である。
【符号の説明】
【００１７】
Ａ 素材移し替え装置
Ｂ ライナ昇降手段
Ｃ 素材押し出し手段
Ｗ 素材
１ 格子状パレット
１ａ 格子孔
２ 搬送コンベヤ
３ 支柱
４ 基台
５ 昇降アクチュエータ
５ａ ロッド先端部
６ ガイドレール部
７ 車輪
８ 昇降台
９ ライナ
１１ フレーム
１２ レール
１３ ローラ
１４ スライダ
１５ アクチュエータ
１６ 押し出し手段
１７ 梁部
１８ 連結具
１９ 横梁部
２１ 押し出し板
２２ 研掃機構
２２ａ スクレーパ
２２ｂ エアブロー
２３ 傾動機構
２３ａ 支持部
２３ｂ 二股部
２３ｃ 軸
２３ｄ 傾動体
２３ｅ エアシリンダ
３１ エプロンコンベヤ
【特許請求の範囲】
【請求項１】
素材を載置している格子状パレットを所定の移し変え位置に搬送したのち、該パレット上の素材を滑らせて次工程の搬送ラインに移し替える設備における素材移し変え装置であって、
前記所定の移し変え位置の下方に配設され、前記格子状パレットの格子孔に下方からライナを差し込んで、該パレットの上面を平らにするライナ昇降手段と、
前記素材を押し出して次工程の搬送ラインに移し替える素材押し出し手段
とを具備してなる格子状パレット用素材移し替え装置。
【請求項２】
前記ライナ昇降手段が、昇降アクチュエータと、該昇降アクチュエータのロッド先端部に連結される昇降台と、該昇降台の上面に前記格子状パレットに形成される複数の格子孔に対向して配置される複数のライナとを具備してなる請求項1記載の格子状パレット用素材移し替え装置。
【請求項３】
前記素材押し出し手段が、一対のスライダと、該スライダを前後動させるアクチュエータと、前記スライダの後端部に設けられる押し出し手段とを具備してなる請求項1または２記載の格子状パレット用素材移し替え装置。
【請求項４】
前記押し出し手段が押し出し板である請求項３記載の格子状パレット用素材移し替え装置。
【請求項５】
前記押し出し手段がさらに研掃機構と傾動機構を備えてなる請求項４記載の格子状パレット用素材移し替え装置。
【請求項６】
前記研掃機構がスクレーパを備えてなる請求項５記載の格子状パレット用素材移し替え装置。
【請求項７】
前記傾動機構が、前記スライダの後端部に設けられる支持部に対して傾動自在にされる傾動体と、該傾動体を傾動させるアクチュエータとを備えてなる請求項５または６記載の格子状パレット用素材移し替え装置。
【請求項１】
素材を載置している格子状パレットを所定の移し変え位置に搬送したのち、該パレット上の素材を滑らせて次工程の搬送ラインに移し替える設備における素材移し変え装置であって、
前記所定の移し変え位置の下方に配設され、前記格子状パレットの格子孔に下方からライナを差し込んで、該パレットの上面を平らにするライナ昇降手段と、
前記素材を押し出して次工程の搬送ラインに移し替える素材押し出し手段
とを具備してなる格子状パレット用素材移し替え装置。
【請求項２】
前記ライナ昇降手段が、昇降アクチュエータと、該昇降アクチュエータのロッド先端部に連結される昇降台と、該昇降台の上面に前記格子状パレットに形成される複数の格子孔に対向して配置される複数のライナとを具備してなる請求項1記載の格子状パレット用素材移し替え装置。
【請求項３】
前記素材押し出し手段が、一対のスライダと、該スライダを前後動させるアクチュエータと、前記スライダの後端部に設けられる押し出し手段とを具備してなる請求項1または２記載の格子状パレット用素材移し替え装置。
【請求項４】
前記押し出し手段が押し出し板である請求項３記載の格子状パレット用素材移し替え装置。
【請求項５】
前記押し出し手段がさらに研掃機構と傾動機構を備えてなる請求項４記載の格子状パレット用素材移し替え装置。
【請求項６】
前記研掃機構がスクレーパを備えてなる請求項５記載の格子状パレット用素材移し替え装置。
【請求項７】
前記傾動機構が、前記スライダの後端部に設けられる支持部に対して傾動自在にされる傾動体と、該傾動体を傾動させるアクチュエータとを備えてなる請求項５または６記載の格子状パレット用素材移し替え装置。
【図１】
【図２】
【図３】
【図２】
【図３】
【公開番号】特開２００７−３０２４７０（Ｐ２００７−３０２４７０Ａ）
【公開日】平成１９年１１月２２日（２００７．１１．２２）
【国際特許分類】
【出願番号】特願２００６−１３５４８６（Ｐ２００６−１３５４８６）
【出願日】平成１８年５月１５日（２００６．５．１５）
【出願人】（０００１９１００９）新東工業株式会社 (474)
【Ｆターム（参考）】
【公開日】平成１９年１１月２２日（２００７．１１．２２）
【国際特許分類】
【出願日】平成１８年５月１５日（２００６．５．１５）
【出願人】（０００１９１００９）新東工業株式会社 (474)
【Ｆターム（参考）】
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