説明

栽培施設の熱供給システム

【課題】石油系燃料費の高騰に対抗し、また脱炭素をこなして効率のよい熱供給を行う栽培施設の熱供給システムを提供することである。
【解決手段】土壌15にて栽培対象の栽培を行う栽培施設の熱供給システムにおいて、前記土壌中15にヒートポンプ14の熱交換用配管17を配置し、前記栽培対象の根域と前記熱交換用配管17の配置位置との間に、前記ヒートポンプ14によって発生した熱を供給する排熱用配管16を配置した、ことを特徴とする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、栽培施設の熱供給システムに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、栽培施設の熱供給システムとしては、特許文献1に記載のようにボイラーで水を加熱して熱水を作り、これを循環させるシステムが知られている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2006−204161号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、特許文献1のようにボイラーで熱水を作る場合、石油系燃料費の高騰や脱炭素の観点から将来的にふさわしくない方法である。
【0005】
本発明は、このような従来の問題点を解決するためになされたものであって、脱炭素をこなして効率のよい熱供給を行う栽培施設の熱供給システムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明は上記の目的を達成するために、土壌にて栽培対象の栽培を行う栽培施設の熱供給システムにおいて、前記土壌中にヒートポンプの熱交換用配管を配置し、前記栽培対象の根域と前記熱交換用配管の配置位置との間に、前記ヒートポンプによって発生した熱を供給する排熱用配管を配置した、ことを特徴とする。
【発明の効果】
【0007】
本発明によれば、脱炭素をこなして効率のよい熱供給を行う栽培施設の熱供給システムを提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【図1】本発明の栽培施設(温室)と、その土壌面下への熱供給システムの概観を示す図である。
【図2】本発明の畝と畦の下に水平設置された放熱管配管および地中熱交換配管の概念図である。
【図3】本発明の栽培施設を含む放熱管および熱交換管の土壌内水平二層設置方式による熱源地温補償型地中熱ヒートポンプシステムについて、その熱移動の概念を一次伝熱で表現した図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、図面を用いて、本発明の実施形態に係る栽培施設の熱供給システムをについて詳細に説明する。
【0010】
従来、施設栽培の熱供給方法は、エアコンによる空気対流方式を除けば、殆どの場合、栽培施設の地上に低く設置した放熱配管に熱水を供給し、その放熱を空気の対流移動によって栽培野菜・花卉の根およびを葉・茎に温熱を供給する方法であり、その熱源は石油系燃料ボイラーあるいは温泉熱水である。この方法では施設に冷熱を供給するにはエアコンのような別の設備が必要である。ボイラーで熱水を作る場合、燃料費の高騰と脱炭素の点から将来的にふさわしくない方法である。
【0011】
また、空気対流移動による熱供給のエネルギー効率は、伝導・伝達移動方法と比較して、鉢植栽培はともかく、畝床栽培における地面下の根への熱供給の効率は悪いので、熱移動方法に立ち入った熱供給の改良が求められる。
【0012】
孔井を熱交換井に用いた地中熱ヒートポンプによって地上配管に熱供給する試みが考えられるが、空気の対流移動による熱供給方式である限り、熱源コストが孔井掘削費を含めて相当に掛かる。
【0013】
総じて、従来の方式は、本願のように栽培野菜・花卉に根域の下から熱伝導、熱伝達で熱供給し、同時に地中熱交換器設置部分の温度を補償する画期的な省エネルギーシステムの類ではない。
【0014】
本発明は、野菜・花卉の施設栽培に必要な熱供給システムとして、土壌中の根域の下位近傍に放熱配管を水平設置し、その下位近傍に地中熱交換配管を水平設置し、双方をヒートポンプに結合したシステムを構成することによって、地中熱交換配管で得られた温熱または冷熱を放熱配管から、上方へ熱伝導して根域に熱供給し、その後に熱伝達によって地上の葉・茎部に熱供給できる無駄の少ない熱供給方法であるとともに、放熱配管から下方へ伝導した熱によって地中熱交換配管領域の地中温度を補償できるフィードバック機能を有する省エネルギー型の施設栽培熱供給の制作を目的としたものである。
【0015】
すなわち、本発明は、上記の事情に鑑み、栽培施設での畝床栽培において、成育に最も肝要な土壌中の根域への適温の熱供給(温熱または冷熱)を重視し、熱対流が主たる熱移動である従来方式をやめて、床暖房と類似するように地中に水平設置した放熱管からの熱伝導・熱伝達を主とする熱移動方法を採用する。これによって上方熱伝達によって葉・茎部への熱供給熱エネルギーの利用効率が上がる。
【0016】
装置として、水平設置の放熱配管とその下位に水平配管した地中熱交換器をヒートポンプに接続したシステムを構成することによって、放熱管からの下方熱伝導の熱エネルギーが地中熱交換器周囲の熱交換によって変化した地温を補償できるので、その地中熱交換効率の補償およびヒートポンプ成績係数によって、熱源の脱石油および電力量節減を図ることができ、さらに冷熱用設備が不要であり、放熱配管および熱交換配管が土木的施工によって可能であるので、総じて施設栽培の採算性をいっそう高めることができる。
【0017】
すなわち、本発明は、栽培施設のそれぞれ約50cm幅の畝および畦の下の土壌内に、葉菜・果菜・花卉等の根域より下位の適切に深い畝表面の下50cm程度の深度に放熱管を水平配管し、それよりさらに50cm程度深い畦の下に地中熱交換管を水平配管することにより、放熱管および熱交換器の土壌内水平二層設置方式によって熱源地温補償型の地中熱ヒートポンプシステムを構成する。
【0018】
地温の日変化は、一般的に深さ50cmで1℃程度、深さ1mでは殆どゼロなので、日単位では放熱管、地中熱交換管を自然の安定した地温場に設置と評価できる。
【0019】
季節に関係なく施設栽培するための温度調整システムの標準的なモデルとして、土壌根域・施設内・外気の標準温度を設定し、放熱管から根域への放熱係数、土壌根域から施設内への伝熱係数、施設内から外気への伝熱係数をそれぞれ設定し、それらをベースにして放熱管から外気に至る定常的熱移動環境を作る必要がある。その手段として、土壌の温度調整を放熱管温水温度で行い、施設内の温度調整を遮熱ブラインドまたは補助機能として設置の空調エアコンで行うことによって、放熱管から外気に至る定常的熱移動環境をつくることができる。
【0020】
深さ50cm、1mでは地温の年変化は、雪国(例えば秋田)ではそれぞれ25℃程度、20℃程度あるが、放熱管温水温度の調整によって土壌根域温度を維持でき、放熱管からの下方伝熱によって年間をとおして地中熱源場の地温をほぼ一定の地温に概ね実現することが可能である。
【0021】
(効果1)
本発明のシステムによれば、このシステムひとつで季節に関係なく、特に雪国で施設栽培による冬季農業が可能となる。
【0022】
(効果2)
ひとつのシステムで根域から葉・茎部へ上昇するに類する熱伝導・熱伝達を主とする床暖房に類する栽培型方式で、温熱供給、冷熱供給、さらにそれらの供給量調整をヒートポンプに内臓の2つの熱交換器の役割モード変換操作だけで施設栽培の温度管理ができる。
【0023】
(効果3)
地中熱交換の熱源場が深度1m程度と浅いにも関らず、放熱管からの下方伝熱によって、概ね一定の地温を保って、安定的な地中熱交換効率を実現できる。
【0024】
(効果4)
放熱管からの熱エネルギーを、その1/3〜1/4のヒートポンプ電気エネルギーで作り出すことができ、ボイラーで熱水を造る必要がなく、二酸化炭素排出が多量で、かつ将来的に高騰しうる石油系燃料の使用から脱却して、経済性向上を図って低炭素社会へ移行する施設栽培農業の再生可能エネルギー中心の省エネルギーインフラとして有効である。
【0025】
(実施例)
一般的に存在する大きさおよび仕様の栽培施設の事例として、施設表面がビニール製で栽培有効土床面積が400m2(20m×20mの矩形)の施設を実施モデルとする。施設栽培の温度分布として、野菜・花卉類の栽培適温が15℃〜25℃であることから土壌根域温度を冬・夏ともに20℃とし、外気平均温度を冬0℃、夏30℃とし、施設内温度を通常作物の光合成等が可能な冬10℃、夏20℃を標準的温度として設定する。
【0026】
放熱管の水平配管形態として、クッションタンクから放熱管へ温水(または冷水)が流出する下り幹管と流入する上り幹管を設け、この2本の幹管から分枝して何列かの畝下を直列に刺し通した枝管のユニットをすべての畝下に対して設置する。
【0027】
地中熱交換管の水平配管形態として、ヒートポンプの地中熱源側の熱交換器から地中熱交換器へ不凍液が流出する下り幹管と流入する上り幹管を設け、この2本の幹管から分枝して何列かの畦下を直列に刺し通した枝管のユニットをすべての畦下に対して設置する。
【0028】
クッションタンクは、放熱管との流体循環回路のほかに、ヒートポンプの二次側の熱交換器との温水・冷水循環の回路、および補助機能として施設内に設置のファンコイルユニットとの温水・冷水循環の回路が結合している。
【0029】
ビニール製の施設の屋根および壁面には可動式の遮熱カーテンが設置されている。
【0030】
根域下の放熱管水平配管、および地中熱交換水平配管のチューブには、熱伝導率が比較的良く、衝撃に強く、最も良く使われている架橋ポリエチレン製のものを使う。
【0031】
図1は、栽培施設(温室)10と、その土壌面下への熱供給システムの概観を示す。
【0032】
本発明の熱供給システムは、土壌15中の根域下位の放熱管水平配管(熱供給用配管17)およびその下位の地中熱交換水平配管(熱交換用配管16)、並びにヒートポンプ本体14、クッションタンク13および補助熱供給機能としてのファンコイルユニット12から構成される。
【0033】
栽培施設(温室)10は、遮熱カーテン11で覆われるものとしてもよい。
【0034】
図2は、土壌15の畝と畦のほぼ直下に水平設置された放熱管配管16および地中熱交換配管17の概念図であり、放熱管配管16および地中熱交換配管17の両者ともに幹管と枝管とで構成されている。
【0035】
上記の実施モデルで栽培施設10の栽培有効土床面積が400m2(20m×20mの矩形)であり、畝と畦を0.5m間隔で交互に配列すると、それぞれ20m長の畝と畦が20列ずつできる。
【0036】
放熱管16の幹管はクッションタンク13と循環するように流出する下り管と流入する上り管による循環管であり、地中熱交換管17の幹管はヒートポンプ14の地中熱源側熱交換器と不凍液が循環するように流出する下り管と流入する上り管による循環管である。放熱管幹管および地中熱交換管幹管の全長はそれぞれ40mとする。
【0037】
放熱管16の枝管は畝2列分を50cm深に水平にコ字状に串刺して幹管の上り管・下り管に接続するが、これをユニットとしてすべての畝下に枝管を設置する。放熱管枝管の全長は400mとなる。地中熱交換管17の枝管は畦2列分を1m深に水平にコ字状に串刺して幹管の上り管・下り管に接続するが、これをユニットとしてすべての畦下に枝管を設置する。地中熱交換管17の全長は400mとなる。
【0038】
図3は、本発明の栽培施設10を含む放熱管16および熱交換管17の土壌内水平二層設置方式による熱源地温補償型地中熱ヒートポンプシステムについて、その熱移動の概念を一次伝熱で表現したものであり、これを用いて伝熱量を概算する。
【0039】
土壌面から地表への標準的な熱伝達率は4kcal/h・m2・℃であり、施設壁面から外気への標準的な熱伝達率を3kcal/h・m2・℃とする。冬季において、外気温0℃、施設内温度10℃、土壌温度20℃を設定すると、土壌面から地表への伝熱量は概計算4×(20-10)℃×400m2=16,000kcal/hである。これを定常的な伝熱量とするために、放熱管16からの放熱効率を単位管長当たり40kcal/h・m供給すると、全放熱量が概計算40×400m=16,000 kcal/hになる。一方、施設10の壁面積から外気への伝熱量を16,000kcal/hとするには熱伝達する壁の面積は概略16,000÷3÷(10−0)℃=540m2となり、これより広い部分の壁面からに相当する熱通過量は遮熱カーテン11、その他の方法(FCU12暖房等)で防ぐことになる。
【0040】
ヒートポンプを標準的な成績係数(COP)=4で運転すると、16,000kcal/hの放熱量の元となる地中熱交換量は採熱の場合16,000×3/4=12,000 kcal/hとなり、単位長当たり熱交換率=16,000÷400m=30 kcal/h・m=35W/ mである。この熱交換量は地下水流のない地質環境での最少量に相当する熱交換量とみなすことができる。
【0041】
次に、砂質・粘土質土壌も熱伝導率は概ね1kcal/mh℃であるので、根域下の放熱管16から35℃の放射熱が下方伝熱によって40kcal/h・mを円筒放射上に伝熱すると地中熱交換管17の深度で概算20℃程度の地温を与えることになる。
【0042】
以上の概算で分かるように、放熱管からの35℃程度の放熱量で、定常的に根域領域の温度20℃および土壌上の施設内温度10℃を維持して、外気の平均気温0℃の冬季に施設栽培が可能であり、そして地中熱交換配管の地温を下方伝熱によって概ね20℃に維持し、ヒートポンプCOP=4の性能によって採熱に無理のない地中熱交換率35W/ mを得ることが十分に可能なトータルシステムである。
【0043】
(付記)
本発明は、以下に記載のものである。
1.(装置)
施設栽培の土壌中に、栽培野菜・花卉等の根域より下位の近傍に栽培に水道水を循環させる放熱配管装置を水平に設置し、その放熱管装置の下位の近傍に不凍液を循環させる地中熱交換器配管を水平に設置して、ともに地上の水冷式ヒートポンプに結合させた装置で、根域に適温の温熱(または冷熱)を供給し、土壌域から施設内へ上昇する温熱(または冷熱)を野菜・花卉の葉・茎域に熱供給し、さらに放熱管から下方伝熱する温熱(または冷熱)によって地中から採熱して地温低下(または地中へ排熱して地温上昇)している地中熱交換器配管周囲の地温を上昇(または下降)回復させる効果を機能として有し、さらに外気温度と断熱能力の乏しい素材からなる栽培施設の屋根および壁面との間の熱貫通量を調整して地中から外気まで定常的な熱伝達を確保するために、遮熱カーテンあるいはヒートポンプからの施設内部の空気暖房(または冷房)を補助機能として組み込んでいること特徴とする、放熱管および熱交換器の土壌内水平二層設置方式による熱源地温補償型地中熱ヒートポンプシステム。
2.(方法)
通常規模の適当な床面積を有する葉菜・果菜・花卉類の栽培施設の土壌表面に、畝と畦を適切な間隔で配列し、野菜の根域(畝表面より深さ30cm以内)より近傍下位(土壌表面より深さ50cm程度)の畝下に水道水を循環させる枝管放熱配管を畝2列(または4列)直列で水平配管して放熱管幹管に結合させて、ヒートポンプのクッションタンクに接続させ、一方、土壌表面より深さ1m程度の畦下に不凍液を循環させる枝管地中熱交換配管を畦2列(または4列)直列で水平配管して熱交換管幹管に結合させて、ヒートポンプ内の熱交換器(または凝縮器)に接続させることによって、地中熱交換配管内を一定の流速で流動する不凍液が隣接する地中との間で伝熱によって採熱(または排熱)して昇温(または降温)した不凍液をヒートポンプの蒸発器としての熱交換器(または凝縮器としての熱交換器)に導入してヒートポンプの循環冷媒を液体からガス化(またはガスから液化)させた後、電動式圧縮機で高温高圧ガス(または膨張器で低温低圧液)にし、凝縮器としての熱交換器(または蒸発器としての熱交換器)内で凝縮器としての熱交換器(または蒸発器としての熱交換器)とクッションタンクを経由して放熱管との間を循環する水道水に放熱(または、水道水から採熱)して昇温(または降温)させて、放熱配管内を一定の流速で流動する水道水が隣接する地中土壌との間で伝熱によって放熱(または吸熱)することにより、放熱管の上位土壌の根域温度を適温に上昇(または下降)させ、さらに土壌面を通して栽培施設の空気中へ伝熱が定常的に野菜・花卉の茎・葉部を適温に維持できるように、栽培施設の屋根および壁面に遮断カーテンを設置あるいはヒートポンプからの施設内部の空気暖房(または冷房)を補助機能として組み込んでおり、さらに放熱管からその下位の地中熱交換配管領域へ伝熱することにより、採熱(または排熱)によって降下(または上昇)した地中温度を上昇(または下降)回復させる熱源環境補償機能を有する方法を特徴とする、放熱管および熱交換器の土壌内水平二層設置方式による熱源地温補償型地中熱ヒートポンプシステム。
3.
地中の水平放熱配管装置から放熱される温熱(または冷熱)は、含水土壌中を熱伝達して野菜・花卉の根域に直接的に熱供給し、さらに地表面の上に熱伝達して空気を暖め(または冷やし)、その空気から葉・茎部に熱伝達するため、栽培野菜・花卉に対して無駄のない熱供給方法であって、さらに地中の放熱管水平配管装置から放熱される温熱(または冷熱)の熱伝達形式が、放熱管配管から上位近傍の根域に向かって、そして放熱管配管から下位近傍の地中熱交換器配管装置に向かって、ともに円筒型放射状の伝熱の組合せによって比較的簡単な伝熱モデルで表現されるので、省エネルギーで制御し易いことを特徴とする、放熱管および熱交換器の土壌内水平二層設置方式による熱源地温補償型地中熱ヒートポンプシステム。
4.
栽培施設の床面の下位に設置した水平放熱配管装置と地中熱交換器配管装置を地上の水冷式ヒートポンプに結合させたシステムで、1基のシステムでその構成器である2つの熱交換器の役割を蒸発器と凝縮器の組合せ、または凝縮器と蒸発器の組合せの片方を選択することによって、それぞれ温熱の供給または冷熱の供給を栽培環境の変化等に対応させて供給できることを特徴とする、放熱管および熱交換器の土壌内水平二層設置方式による熱源地温補償型地中熱ヒートポンプシステム。
5.
栽培施設の床面から0.5m程度の下位に設置した水平放熱配管装置と床面から1m程度の下位に水平に設置した地中熱交換器配管装置を地上の水冷式ヒートポンプに結合させたシステムであるので、地中熱交換のための孔井掘削を必要としないで簡便で安価な土木的作業の機械と方法で施工が可能であり、栽培土壌の基盤作りの一環として施工が可能であることを特徴とする、放熱管および熱交換器の土壌内水平二層設置方式による熱源地温補償型地中熱ヒートポンプシステム。
【0044】
以上、本発明の好ましい実施形態について説明したが、実施の形態については上記に限定されるものではなく、本発明の主旨を逸脱しない範囲で種々の変更および組み合わせが可能である。
【符号の説明】
【0045】
10 温室(栽培施設)
11 遮熱カーテン
12 FCU(ファンコイルユニット)
13 クッションタンク
14 HP(ヒートポンプ)
15 土壌
16 熱交換用配管
17 熱供給用配管

【特許請求の範囲】
【請求項1】
土壌にて栽培対象の栽培を行う栽培施設の熱供給システムにおいて、
前記土壌中にヒートポンプの熱交換用配管を配置し、
前記栽培対象の根域と前記熱交換用配管の配置位置との間に、前記ヒートポンプによって発生した熱を供給する熱供給用配管を配置した、
ことを特徴とする栽培施設の熱供給システム。
【請求項2】
前記ヒートポンプと前記熱供給用配管との間に、クッションタンクをさらに設けた、ことを特徴とする請求項1に記載の栽培施設の熱供給システム。
【請求項3】
前記栽培施設内に補助熱供給を行うファンコイルユニットをさらに設けた、ことを特徴とする請求項1または2に記載の栽培施設の熱供給システム。
【請求項4】
前記熱交換用配管を前記栽培施設内の畦のほぼ直下に配置し、
前記熱供給用配管を前記栽培施設内の畝のほぼ直下に配置した、
ことを特徴とする請求項1ないし3のうちのいずれか1項に記載の栽培施設の熱供給システム。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate


【公開番号】特開2011−172502(P2011−172502A)
【公開日】平成23年9月8日(2011.9.8)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−38256(P2010−38256)
【出願日】平成22年2月24日(2010.2.24)
【出願人】(501254955)川崎地質株式会社 (11)
【Fターム(参考)】