説明

桑の実ジャムの製造方法

【課題】
桑の実ジャムに含まれる鉄分、ビタミン、カルシウムなどの有効成分を増加させることが可能な桑の実ジャムの製造方法を提供すること。
【解決方法】
本発明は、桑の実、桑の葉粉末、グラニュー糖及びきび糖を混合しながら煮ることを特徴とする桑の実ジャムの製造方法である。
好ましくは、桑の実には冷凍状態のものを、桑の葉粉末には桑の葉を乾燥し粉末状態にしたものを、各々使用することを特徴とする。さらに、原料として山芋の粉末を加えることも可能である。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は桑の実ジャムの製造方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
我が国には、明治以降、養蚕を目的として多くの桑の木が植林されて来た。しかしながら、現在、養蚕を営む地域は激減し、多くの桑の木が放置状態となっている。
【0003】
他方、桑の実には、鉄分、ビタミンC、カルシウムなどの成分が含まれ、特に、アントシアニンについてはブルーベリーの3倍の含有量があることが分かっている。このため、眼精疲労、老化防止、高血圧予防、免疫力の向上等の多くの効能を期待して、桑の実ジャムが製造されている。桑の実ジャムの製造方法を扱ったものとして、特許文献1が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2008−118860号公報
【0005】
ところで、桑の実は熱を加えても溶けて固まり難い性質があり、ジャムの主原料に適さない。このため、特許文献1では、寒天を混合することによりジャムとして固めている。
【0006】
特許文献1のように寒天を用いて固める場合には、寒天自体に植物繊維が豊富にあり、カロリーもほとんど無いため、寒天を使用した場合には健康食品としての機能も期待される。しかしながら、寒天を多く投与すると、ジャム中の桑の実の含有量が相対的に低下し、桑の実に含まれる有効成分を効率良く摂取できないことが危惧される。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
本発明が解決しようとする課題は、上記問題を解消し、桑の実ジャムに含まれる鉄分、ビタミン、カルシウムなどの有効成分を効率よく摂取することが可能な桑の実ジャムの製造方法を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記課題を解決するため、請求項1に係る発明は、桑の実、桑の葉粉末、グラニュー糖及びきび糖を混合しながら煮ることを特徴とする桑の実ジャムの製造方法である。
【0009】
請求項2に係る発明は、請求項1に記載の桑の実ジャムの製造方法において、桑の実には冷凍状態のものを、桑の葉粉末には桑の葉を乾燥し粉末状態にしたものを、各々使用することを特徴とする。
【0010】
請求項3に係る発明は、請求項1又は2に記載の桑の実ジャムの製造方法において、前記混合しながら煮る際には、山芋の粉末を加えることを特徴とする。
【発明の効果】
【0011】
請求項1に係る発明により、桑の実ジャムの製造方法において、桑の実、桑の葉粉末、グラニュー糖及びきび糖を混合しながら煮るため、桑の葉に含まれる、鉄分、カルシウム、ビタミンB1や1-デオキシノジリマイシンなどの有効成分を効率よく摂取することができるよう有効に煮出すことができ、桑の葉が持つ粘り成分により、桑の実を固まり易くし、口当たりも滑らかにすることが可能となる。
【0012】
請求項2に係る発明により、桑の実には冷凍状態のものを、桑の葉粉末には桑の葉を乾燥し粉末状態にしたものを、各々使用するため、桑の実や葉が収穫できる時期に左右されず、桑の実ジャムを一年を通じて製造することが可能となる。
【0013】
請求項3に係る発明により、桑の実ジャムの製造方法において、山芋の粉末を加えるため、ジャムに粘りや口当たりの良い滑らかさをより高めることが可能となる。
【発明を実施するための形態】
【0014】
本発明は、桑の実、桑の葉粉末、グラニュー糖及びきび糖を混合しながら煮ることを特徴とする桑の実ジャムの製造方法である。特に、桑の葉の有効成分及び粘りに着目し、本発明の桑の実ジャムの製造方法を完成させたものである。
【0015】
桑の葉には、小松菜の15倍の鉄分が含まれ、カルシウム含量は野菜の中で最も多いモロヘイヤの0.8倍、小松菜の1.5倍である。ビタミンについては、ビタミンA,B2,Cなどは多くないが、B1は多く含まれている。また、総カロテンもホウレン草の10倍と豊富であり、亜鉛も多く含まれている。
【0016】
また、最近の研究では、桑の葉には1-デオキシノジリマイシンという特有成分が含有されており、これが血糖値の上昇を抑制する効果があることが分かっている。しかも、桑の葉には粘りもあり、桑の実ジャムを製造する上で貴重な役割を担っている。
【0017】
本発明の桑の実ジャムの製造方法では、桑の実には冷凍状態のものを、桑の葉粉末には桑の葉を乾燥し粉末状態にしたものを、各々使用している。桑の実を冷凍状態で保存し、桑の葉を乾燥保存することで、腐り易い桑の実や桑の葉を長期間に渡って保存できる。このため、桑の実や葉が収穫できる時期に左右されず、桑の実ジャムを、一年を通じて製造することが可能となる。また、桑の実を残すように煮ることで、食するときに桑の実の食感を楽しむこともできる。しかも、桑の実は冷凍保存されているため、煮詰める際に生の桑の実と比較して実が解れ易く、また、桑の葉も乾燥し粉末状態としているため、他の成分と混合し易く、共にジャムを製造するのに適した状態となっている。
そして、これらのものを同時に煮ることで、前記鉄やカルシウム等の成分を有効に煮出すことができることとなる。
【0018】
本発明の桑の実ジャムの製造方法では、山芋の乾燥した粉末を加えることも可能である。山芋の栄養成分の効果だけでなく、ジャムに粘りも付加し、口当たりの良い滑らかさをより高めることが可能となる。
【0019】
本発明で製造された桑の実ジャムは、桑の実や桑の葉に含まれる多くの有効成分を含有しているため、健康食品や眼精疲労、老化防止、高血圧予防、免疫力の向上などに加え血糖値の抑制剤など成人病予防薬としての効能も期待できる。当然、桑の実ジャムは、通常のジャムと同様に、ヨーグルトやパンケーキなどと一緒に摂取することも可能であるが、桑の実ジャムを原料とする加工食品に混合することも可能である。
【0020】
本発明に係る桑の実ジャムの製造方法においては、酢やレモン汁等の酸味料、保存料や着色料など、必要に応じて種々の添加物を混入可能であることは、言うまでもない。
【実施例】
【0021】
本発明に係る桑の実ジャムの製造方法の例を以下に示す。
冷凍保存した桑の実1kg、乾燥した桑の葉粉末70g、グラニュー糖400g、きび糖400gを混合しながら、弱火にて加熱して煮る。
【0022】
桑の実の水分が少ない場合には、約1時間煮た後、常温まで冷却させる。このように製造した桑の実ジャムは、適度な粘りがあり口当たりも滑らかなものであった。
【産業上の利用可能性】
【0023】
以上のように本発明によれば、桑の実ジャムに含まれる鉄分、ビタミン、カルシウムなどの有効成分を増加させることが可能な桑の実ジャムの製造方法を提供することが可能となる。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
桑の実、桑の葉粉末、グラニュー糖及びきび糖を混合しながら煮ることを特徴とする桑の実ジャムの製造方法。
【請求項2】
請求項1に記載の桑の実ジャムの製造方法において、桑の実には冷凍状態のものを、桑の葉粉末には桑の葉を乾燥し粉末状態にしたものを、各々使用することを特徴とする桑の実ジャムの製造方法。
【請求項3】
請求項1又は2に記載の桑の実ジャムの製造方法において、前記混合しながら煮る際には、山芋の粉末を加えることを特徴とする桑の実ジャムの製造方法。