説明

梯子兼用脚立の回転金具

【課題】低コストかつ簡素な機構で、脚立の回転軸が脚立内部に収まる構造で、手指の挟まりを防止できる梯子兼用脚立の回転金具を提供する。
【解決手段】一対の両平板状回転部材6,7の夫々の内側上部内に回転軸4,5と内側縁上部に両歯車2,3を一体成形して、上記両歯車2,3を相対的に噛み合わせ、両平板状回転部材6,7の両回転軸4,5と結合回転部材1の回転軸4,5を軸支ピン4,5にて相対回転可能に軸支する回転手段6,4,5,7で軸支し、脚立展開状態で、両平板状回転部材6,7の両突き合わせ部8,9が突き合い、結合回転部材1を少なくとも一方に配置されている梯子兼用脚立の回転金具。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、前後一対の脚体が開閉しうるように両脚体を回転可能に連結して梯子兼用脚立を構成するための回転金具に関する。
【背景技術】
【0002】
従来の梯子兼用脚立図7(A)の梯子状態での使用を示す側面図である。一対の平板状回転部材31,32からなり、両平板状回転部材のそれぞれ内端縁上部側に対向して一体連接された耳片相互をリベット等の軸支ピンで軸支連結することによって構成される。この回転金具30は、左右一組で使用される物で、脚立状態から一方の回転部材を固定させたまま他方の回転部材を上向きに回転させて、両回転部材の上端縁相互が突き合わさるような展開状態とすることにより、梯子として使用できるようになっている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2009−35944号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上記従来の梯子兼用脚立図7(A)にあっては、平板状回転部材の回転金具30が脚体部より突出しているため、傾斜のある構造物(C)等に立てかける際、両平板状回転部材の回転金具30が構造物(C)等に接触して梯子が不安定になり、接触を回避するために梯子を必要以上に傾斜すると回転金具と脚部が過負荷となり、梯子の転倒、滑り、破損、揺れる等の問題点があった。また、収納及び運搬時に、両脚体33,34が平行に収まらないために、積み重ねると荷崩れを起こすこともある。
【0005】
本発明は、梯子兼用脚立の展開状態である梯子状態図7(B)の時、両平板状回転部材6,7の結合回転部材1が脚体から突出しないことを目的としており、更に該装置に用いられる平板状回転部材6,7の両突き合わせ部8,9が直線的であり両平板状回転部材の変形がなく強度が増し、製造が容易であり、収納時両脚体が平行に収まり収納でき得る安全な構造の回転金具Mを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の第1の課題解決手段は、上記目的を達成するために、左右一対となる両平板状回転部材の両回転軸を脚体内側に収まるように設け、両平板状回転部材の回転軸部を繋ぐために、結合回転部材に2つの回転軸部を設けて、両平板状回転部材を軸支ピン等で個々に軸支したものである。
【0007】
また、上記結合回転部材を取り付けると脚体を展開状態にする時、両平板状回転部材と結合回転部材の移動がスムーズに出来ないため、両平板状回転部材の内側縁上部の接触する面に相対回転手段として歯車を設け、左右組み合わせて結合回転部材を両平板状回転部材と軸支することで、結合回転部材が相対回転可能となり、スムーズに相対回転移動するように構成されることを特徴としている。
【0008】
また、第2の課題解決手段は、上記相対回転手段として、両平板状回転部材の内側縁上端部内にゴム装着部を設け、上記装着部にゴムを堅固に装着し結合回転部材でゴム同士を圧接するように配置されることを特徴としている。
【0009】
また、第3の課題解決手段は、両平板状回転部材の突き合わせ部を拡張した平板状回転部材を設けられたことを特徴としている。
【0010】
更に、第4の課題解決手段は、両平板状回転部材の突き合わせ部を結合回転部材でカバーするように結合回転部材を拡張し成形されたことを特徴としている。
【発明の効果】
【0011】
上記第1の課題解決手段による作用効果は次の通りである。すなわち、図7(B)のように脚立を回転展開して梯子にすることにより、脚体の側面より見て、両脚体の結合回転部材1が両脚体の面状より突出しないために、梯子を構造物(C)に立てかけることが出来るので、脚立の揺れが無くなり梯子の転倒、滑り、過負荷による破損を防止することができる。また、収納及び運搬時に、結合回転部材が突出しないので平行に積み重ねることができ、荷崩れを防止することができる。
【0012】
また、第2の課題解決手段は、上記第1の課題解決手段効果と同様の作用効果を得ることができる。
【0013】
また、第3の課題解決手段では、踏桟の多い梯子兼用脚立は両平板状回転部材の両突き合わせ部の荷重が増加するために、上記両平板状回転部材の突き合わせ部を拡張することで破壊荷重を分散して耐え得る構造となるから、回転金具Mの耐用性を向上させることができる。
【0014】
更に、第4の課題解決手段では、上記両平板状回転部材の突き合わせ部を結合回転部材でカバーすることで、脚立を梯子に回転展開する際に、両突き合わせ部間に手指などの挟み込みを防止することができる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【図1】本発明に係る回転金具を示す正面図
【図2】一対の両平板状回転部材と結合回転部材の組合せ図
【図3】回転圧接部にゴムを示す正面図
【図4】(a)は結合回転部材が1つの回転金具Mの脚立を閉じたときの平面図(b)は拡張した結合回転部材が2つの回転金具Mの脚立を閉じたときの平面図
【図5】展開した梯子の側面図
【図6】突き合わせ部及び結合回転部材の正面図
【図7】(A)は従来、(B)本発明の梯子兼用脚立の梯子状態での使用を示す説明図
【発明を実施するための最良の形態】
【0016】
以下、本発明の実施の形態として第1の実施例及び第2〜第4の実施例を図1〜図6に基づいて説明する。
【実施例1】
【0017】
図1及び図4の(a)は本発明に係る梯子兼用脚立の脚立及び梯子状態での回転金具Mを示す正面図及び脚立を閉じた平面図である。この梯子兼用脚立の回転金具Mは、左右一対となる両平板状回転部材6,7の夫々の内側上部内に両回転軸4,5と内側縁上部に両歯車2,3を一体成形し、左右一対の両平板状回転部材6,7の夫々の歯車2と歯車3が相対的に噛み合うように構成し、両平板状回転部材6,7の回転軸4,5と結合回転部材1の回転軸4,5とを軸支ピン4,5で軸支する。これにより平板状回転部材7の連結する脚体11を回転展開する動作により平板状回転部材6の歯車2を平板状回転部材7の歯車3が噛み合い回転し、両平板状回転部材6,7の上端縁側の両突き合わせ部8,9が突き合うことで、梯子兼用脚立の梯子状態が構成される。
【0018】
回転金具Mは、図5に示すように2個1組で使用されるもので、両平板状回転部材6,7の上部を脚体10,11の取付け角度θ°に応じて変形し、両平板状回転金具6,7の夫々上端部及び下端部を、前後一対の脚体10,11の外側面上端部側に夫々に複数個の連結ピン12で取り付けることによって、両脚体10,11の上端部を連結してなるもので、両前後脚体10,10、11,11間に横架される複数個の踏桟14とから梯子兼用脚立が構成される。
【0019】
また、上記回転金具Mは、図2及び図4(b)に示すように、一対の両平板状回転金具6,7の両歯車2,3の歯車両面をカバーするように結合回転金具1を2枚使用して挟み込み軸支して取り付けても良く回転金具Mの強度が増し、歯車にゴミ等の浸入を防ぐことができる。
【0020】
また、上記構成の両平板状回転部材6,7の両歯車2,3は、前記両平板状回転部材6,7と一体成形されているが、両平板状回転部材6,7と両歯車2,3を夫々単体で成形し、連結ピン或いは溶接等で連結しても良い。
【実施例2】
【0021】
図3は、両平板状回転部材6,7の内側上部内に両回転軸4,5と内側縁上部にゴム装着可能に成形し、両ゴム22を装着し、両平板状回転部材6,7の両ゴム22を結合回転部材1で圧接軸支して、圧接部23の摩擦により回転摺動して結合回転部材1が相対回転することにより実施例1の両平板状回転部材6,7の両歯車2,3と同様の効果で脚立を展開し梯子にすることができる。
【実施例3】
【0022】
図4(b)、図5の及び図6に示すように、回転金具Mの両平板状回転部材6,7と前記両平板状回転部材の両突き合わせ部8,9を脚立に加わる荷重に応じて両平板状回転金具6a,7aと前記両平板状回転部材の両突き合わせ部8a,9aに拡張することで、踏桟14の多い梯子の両平板状回転部材6a,7aの両突き合わせ部8a,9aの荷重を分散して耐え得る構造となるから、回転金具Mの耐用性が向上して、梯子兼用脚立(A)の使用寿命を大幅に延ばすことができる。
【実施例4】
【0023】
図6に示すように、結合回転金具1を両平板状回転部材6a,7aの両突き合わせ部8a,9aをカバーするように拡張して結合回転部材1aを成形することで、両脚体10,11を梯子状態に展開するときに、両平板状回転部材6a,7aの突き合わせ部8a,9aで手指を挟むことを防止することができる。
【0024】
また、上記の結合回転部材1aの形状は円形でなくとも両平板状回転部材6a,7aの突き合わせ部8a,9aをカバーすることができる形状であれば良い。
【0025】
また、上記の結合回転部材1aの形状は、本発明の目的の図7(A)の回転軸30の突出を無くし、梯子の安定を図るものであるが、脚立収納時の手指の挟み込み防止のために結合回転部材1aの回転軸4と回転軸5の軸線両側に対称的に結合回転部材1aを成形しても良い。
【符号の説明】
【0026】
1 結合回転部材
2,3 歯車
4 結合回転部材の回転軸、平板状回転部材の回転軸、軸支ピン
5 結合回転部材の回転軸、平板状回転部材の回転軸、軸支ピン
6,7 平板状回転部材
8,9 突き合わせ部
10,11 脚体
22 ゴム
23 圧接部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
左右一対の前脚体(10,11)と左右一対の後脚体(11,10)と各前記前脚体及び各前記後脚体を開閉自在に軸支する左右一対の両平板状回転部材(6,7)とを備える脚立であって、両脚体(10,11)の左右上端部に固定的に支持する一対の両平板状回転部材(6,7)の夫々の内側上部内に両回転軸(4,5)と内側縁上部に両歯車(2,3)が一体成形される。相対回転手段として前記両平板状回転部材(6,7)の両歯車(2,3)を相対的に噛み合わせ、両平板状回転部材(6,7)の回転軸(4,5)と結合回転部材(1)の両回転軸(4,5)を軸支ピン(4,5)にて、相対回転可能に軸支する回転手段(6,4,5,7)で、軸支し、梯子兼用脚立の梯子状態にて両平板状回転部材(6,7)の上端縁側の両突き合わせ部(8,9)が突き合い、結合回転部材(1)を少なくとも一方に設けて、両平板状回転部材(6,7)を前後一対の両脚体(10,11)の外側面上端部側に夫々連結することを特徴とする梯子兼用脚立。
【請求項2】
上記記載の相対回転手段として、ゴム(22)で構成される圧接部(23)の摩擦による圧接摺動することで、両脚体(10,11)と結合回転部材(1)が相対回転移動することを特徴とする請求項1記載の梯子兼用脚立。
【請求項3】
平板状回転部材(6,7)の上端縁側の突き合わせ部(8.9)を拡張して両平板状回転部材(6a,7a)と上端縁側の突き合わせ部(8a,9a)に成形されることを特徴とする請求項1記載の梯子兼用脚立。
【請求項4】
両平板状回転部材(6a,7a)の上端縁側の両突き合わせ部(8a,9a)をカバーするように成形される結合回転部材(1a)で構成されることを特徴とする請求項1記載の梯子兼用脚立。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公開番号】特開2012−21384(P2012−21384A)
【公開日】平成24年2月2日(2012.2.2)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−173992(P2010−173992)
【出願日】平成22年7月13日(2010.7.13)
【特許番号】特許第4702688号(P4702688)
【特許公報発行日】平成23年6月15日(2011.6.15)
【出願人】(594040682)
【Fターム(参考)】