説明

梱包体

【課題】 曲面を有する被梱包体であっても、段ボール材のみで確実に緩衝及び固定を図ることができ、材料の調達及び廃棄を極めて容易とすることができる梱包体を提供する。
【解決手段】 梱包体は、曲面部10aを有する略柱状の被梱包体10を梱包する梱包体であって、被梱包体10の両端の側面を支持するトレー部21と、上面視でトレー部21に支持された被梱包体10の端部の曲面部10aを覆うように立設される一対の柱部22と、柱部22とトレー部21との接触部分において両端が固定され、被梱包体10の曲面部10aに沿って配設される帯状の回転止め部23とを備え、一対の柱部22が高さ方向においてトレー部21側に押圧されて、回転止め部23の両端部をトレー部21が固定されて、当該回転止め部23によって被梱包体10の曲面部10aに沿った回転力を抑圧する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、曲面部を有する略柱状の被梱包体を梱包する梱包体に関する。
【背景技術】
【0002】
従来から、製品等を輸送・保管する際には衝撃等に対する耐性を高めるために、各種梱包体が用いられている。このように複数種類の材料からなる梱包材を使用すると、当該複数種の材料を廃棄する際の環境に与える影響が大きく、環境に対する配慮が求められている。
【0003】
従来の梱包構造は、被梱包体を梱包体とともに収容する箱体と、被梱包体を箱体内で固定し、且つ、落下等の衝撃から収容物を保護するための緩衝体とを用いるのが通常であり、各種梱包体についての技術も提案されている(例えば、非特許文献1等参照。)。
【非特許文献1】株式会社東レリサーチセンター、“調査研究レポートの販売「輸送包装技術と材料 6.2発泡プラスチック緩衝材」”、[online]、[平成17年12月20日検索]、インターネット<URL:http://trcbook.com/zairyo/yusou.html>
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、被梱包体を梱包体とともに収容する箱体としては、段ボール材が用いられることが極めて多い。しかしながら、従来の梱包体は、曲面を有する被梱包体の緩衝及び固定を図るために、当該被梱包体の形状に合わせて成型可能な発泡スチロールやパルプモウルドといった段ボール材とは異なる材質からなるものを用いていた。そのため、従来においては、梱包体を廃棄する際に、材質毎に分別する必要が生じ、非常に手間を要する作業を強いられるという問題があった。また、異なる材料からなる梱包構造となっているとコストが高くなるといった問題もある。
【0005】
そこで、本発明は、上述したような問題を解決するために案出されたものであり、曲面部を有する被梱包体であっても、段ボール材のみで確実に緩衝及び固定を図ることができ、材料の調達及び廃棄を極めて容易とすることができる梱包体を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明は、曲面部を有する略柱状の被梱包体を梱包する梱包体であって、上述の課題を解決するために、 被梱包体の両端の側面を支持するトレー部と、上面視でトレー部に支持された被梱包体の端部の曲面部を覆うように立設される一対の柱部と、柱部とトレー部との接触部分において両端が固定され、被梱包体の曲面部に沿って配設される帯状の回転止め部とを備える。この梱包体は、一対の柱部が高さ方向においてトレー部側に押圧されて、回転止め部の両端部をトレー部が固定されて、当該回転止め部によって被梱包体の曲面部に沿った回転力を抑圧するように構成されている。
【発明の効果】
【0007】
本発明に係る梱包体によれば、曲面部を有する被梱包体であっても、回転止め部によって被梱包体の曲面部に沿った回転力を抑圧する構造となっているので、材料の調達が極めて容易な段ボール材からなる部材のみで確実に被梱包体の緩衝及び固定を図ることができる。したがって、材質毎に分別して廃棄する必要がなく、材料の調達及び廃棄、さらにはリサイクル活動を極めて容易とすることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0008】
以下、本発明の実施の形態について図面を参照して説明する。
【0009】
本発明を適用した梱包体は、図1に示すように、曲面部10aを有する略柱状の被梱包体10を梱包するものである。
【0010】
具体的には、梱包体は、図2に示すように、被梱包体10の側面10bを支持するトレー状緩衝片21を備える。
【0011】
このトレー状緩衝片21は、段ボール材からなり、略柱状の被梱包体10を横たえた状態で載置可能な大きさの窪みが中央部21aに形成され、当該中央部21aに対して高い段差を形成している端部21bとを有する。このトレー状緩衝片21は、窪みの中央部21aと端部21bとの段差によって被梱包体10を支持する部材である。このトレー状緩衝片21は、当該梱包体の底部を形成し、横たえた状態の被梱包体10の底部及び左右側面10b、並びに前後部分を、落下等の衝撃に対する緩衝及び固定を図るための緩衝片として機能する。
【0012】
また、梱包体は、図3に示す柱状緩衝片22と、図4に示すような、この柱状緩衝片22に固定される帯状緩衝片23とを備える。なお、これら柱状緩衝片22及び帯状緩衝片23は、それぞれ被梱包体10の両端部における側面10b側に取り付けられるために、一対ずつ用いられる。
【0013】
柱状緩衝片22は、段ボール材からなり、帯状緩衝片23と、上面視でトレー状緩衝片21に支持された被梱包体10の側面10bの上部の曲面部10aを覆うように立設されて用いられる。特に、柱状緩衝片22は、図3に示すように、トレー状緩衝片21の前後方向における端部21bと嵌合可能な大きさの窪み22aを設けて形成された部材である。この柱状緩衝片22は、特に図示しないが、トレー状緩衝片21と当該柱状緩衝片22とを全体として内部に案内する筐体である箱体内に収納されることにより、帯状緩衝片23と被梱包体10とを強固に密着させ、当該梱包体による当該被梱包体10の緩衝及び固定機能を完全なものとする機能を有する。
【0014】
一方、帯状緩衝片23は、段ボール材の段目方向が長手方向とされる段ボール材からなり、図4(a)に示すように、トレー状緩衝片21に支持された被梱包体10の側面10bの上部の曲面部10aと接するように配設される帯状の部材である。ここで、この帯状緩衝片23には、図4(b)に示すように、所定の間隔で段目方向に直交して複数の折り目がつけられている。これにより、帯状緩衝片23は、被梱包体10の曲面形状に合わせて屈曲し、当該被梱包体10に密着することが可能とされる。
【0015】
この帯状緩衝片23は、図5に示すように、被梱包体10の曲面形状に合わせて屈曲した状態で、端部が柱状緩衝片22の窪み22aに覆われるように当該柱状緩衝片22に装着され、当該柱状緩衝片22と嵌合したトレー状緩衝片21との間に挟持されて固定される。これにより、帯状緩衝片23は、トレー状緩衝片21に支持された当該被梱包体10が梱包体内で回転し、当該トレー状緩衝片21から浮き上がることにより、トレー状緩衝片21の緩衝片としての機能が失われるのを防止する回転止め部としての機能を有する。
【0016】
また、この帯状緩衝片23の端部をトレー状緩衝片21と箱状緩衝片22との間で固定する構造としては、トレー状緩衝片21に帯状緩衝片23の端部の挿入穴を設けておき、当該帯状緩衝片23の端部が挿入された状態で箱状緩衝片22で帯状緩衝片23を固定する構造であっても良い。
【0017】
このような梱包体は、図6に示すような手順で組み立てられ、被梱包体10を梱包する。
【0018】
まず、梱包体を組み立てるにあたっては、同図(a)に示すような帯状緩衝片23を、同図(b)に示すように、被梱包体10の曲面形状に合わせて屈曲した状態で箱状緩衝片22の窪み22aに装着させる。そして、梱包体を組み立てるにあたっては、同図(c)に示すように、被梱包体10を支持したトレー状緩衝片21と、帯状緩衝片23が装着された一対の箱状緩衝片22とを嵌合させ、同図(d)に示すように、上面視でトレー状緩衝片21に支持された被梱包体10の側面10bを覆うように柱状緩衝片22を立設した状態とする。このとき、帯状緩衝片23は、被梱包体10の両端部の曲面部10aに沿った状態で、柱状緩衝片22とトレー状緩衝片21との嵌合構造によって挟持されて固定される。
【0019】
梱包体は、このような手順にしたがって組み立てられ、トレー状緩衝片21と柱状緩衝片22とを全体として図示しない箱体内に案内される。すると、当該箱体によって箱状緩衝片22の上面から下方向(高さ方向)において押圧力が加わり、帯状緩衝片23の両端部を端部21bによって固定する。これによって、帯状緩衝片23によって被梱包体10の曲面部10aを押圧して、被梱包体10の回転力を抑圧できる。また、梱包体において箱状緩衝片22をトレー状緩衝片21に押しつける構造としては、箱体ではなくて、紐状部材を箱状緩衝片22及びトレー状緩衝片21を囲むように取り付けて、箱状緩衝片22をトレー状緩衝片21に押しつけても良い。
【0020】
以上詳細に説明したように、この梱包体によれば、曲面部10aを有する略柱状の被梱包体10の側面10bをトレー状緩衝片21によって支持するとともに、上面視でトレー状緩衝片21に支持された当該被梱包体10の側面10bを覆うように一対の柱状緩衝片22を立設する際に、柱状緩衝片22に固定された帯状緩衝片23を当該被梱包体10の曲面部10aに沿って配設し、トレー状緩衝片21と柱状緩衝片22とを全体として箱体内に案内するように構成される。
【0021】
このような梱包体は、被梱包体10の回転止め機構を備えた梱包体を、材料の調達が極めて容易な段ボール材の板状部材のみで作成することを実現することができるものであり、曲面部10aを有する被梱包体10であっても、かかる段ボール材からなる緩衝片のみで確実に緩衝及び固定を図ることができる。したがって、この梱包体は、従来のように、材質毎に分別して廃棄する必要がなく、材料の調達及び廃棄、さらにはリサイクル活動を極めて容易とすることができる。また、この梱包体は、リサイクルが容易となることから、環境負荷の低減にも寄与し、さらには、調達が容易であることから、包材コストの大幅な低減を図ることもできる。
【0022】
また、この梱包体において、柱状緩衝片22とトレー状緩衝片21とは、嵌合構造となっており、帯状緩衝片23は、柱状緩衝片22とトレー状緩衝片21との嵌合構造によって挟持されて固定される。これにより、この梱包体は、回転止めによる被梱包体10の支持強度をさらに向上させることができる。
【0023】
さらに、この梱包体において、帯状緩衝片23は、段目方向が長手方向とされる段ボール材から形成されており、所定の間隔で段目方向に直交して折り目がつけられている。これにより、この梱包体は、段ボール材を使用した状態であっても回転止めによる支持強度を強固なものとすることができる。
【0024】
なお、上述の実施の形態は本発明の一例である。このため、本発明は、上述の実施形態に限定されることはなく、この実施の形態以外であっても、本発明に係る技術的思想を逸脱しない範囲であれば、設計等に応じて種々の変更が可能であることは勿論である。
【0025】
すなわち、上述した例においては、回転止め部である帯状緩衝片23が柱部である柱状緩衝片22とトレー状緩衝片21との間で押圧されているとしているが、これに限らず、特に嵌合構造になっていなくても良い。
【図面の簡単な説明】
【0026】
【図1】本発明の実施形態として示す梱包体によって梱包される被梱包体の構造を説明するための斜視図である。
【図2】本発明の実施形態として示す梱包体を構成するトレー状緩衝片の構造を説明するための斜視図である。
【図3】本発明の実施形態として示す梱包体を構成する柱状緩衝片の構造を説明するための斜視図である。
【図4】本発明の実施形態として示す梱包体を構成する帯状緩衝片の構造を説明するための斜視図であり、(a)は、屈曲していない状態の帯状緩衝片を示し、(b)は、屈曲した状態の帯状緩衝片を示す図である。
【図5】本発明の実施形態として示す梱包体を構成する柱状緩衝片に帯状緩衝片が装着された様子を説明するための斜視図である。
【図6】本発明の実施形態として示す梱包体の組み立て手順について説明するための図であり、(a)は、屈曲していない状態の帯状緩衝片を示し、(b)は、屈曲した状態の帯状緩衝片を柱状緩衝片に装着する様子を示し、(c)は、帯状緩衝片が装着された柱状緩衝片とトレー状緩衝片とを嵌合させる様子を示し、(d)は、柱状緩衝片とトレー状緩衝片とを嵌合させた様子を示す図である。
【符号の説明】
【0027】
10 被梱包体
21 トレー状緩衝片
22 柱状緩衝片
23 帯状緩衝片

【特許請求の範囲】
【請求項1】
曲面部を有する略柱状の被梱包体を梱包する梱包体であって、
前記被梱包体の両端の側面を支持するトレー部と、
上面視で前記トレー部に支持された前記被梱包体の端部の曲面部を覆うように立設される一対の柱部と、
前記柱部と前記トレー部との接触部分において両端が固定され、前記被梱包体の曲面部に沿って配設される帯状の回転止め部とを備え、
前記一対の柱部が高さ方向において前記トレー部側に押圧されて、前記回転止め部の両端部を前記トレー部が固定されて、当該回転止め部によって前記被梱包体の曲面部に沿った回転力を抑圧すること
を特徴とする梱包体。
【請求項2】
前記柱部と前記トレー部とは、嵌合構造となっており、
前記回転止め部は、前記柱部と前記トレー部との嵌合構造によって挟持されて固定されることを特徴とする請求項1に記載の梱包体。
【請求項3】
前記回転止め部は、段目方向が帯状の長手方向とされる段ボール材から形成されており、所定の間隔で段目方向に直交して折り目がつけられていることを特徴とする請求項1に記載の梱包体。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2007−223620(P2007−223620A)
【公開日】平成19年9月6日(2007.9.6)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−44095(P2006−44095)
【出願日】平成18年2月21日(2006.2.21)
【出願人】(000005832)松下電工株式会社 (17,916)
【Fターム(参考)】